説明

脱穀装置およびこの脱穀装置を搭載したコンバイン

【課題】脱穀装置およびこの脱穀装置を搭載するコンバインの機動性を向上させると共に、脱穀作業能率の向上および製造原価の低減を図る。
【解決手段】フィードチェン(34)の挟持搬送終端部を後側壁(25)の近傍の部位あるいは後側壁(25)よりも後方に偏倚した部位に配置すると共に、後側壁(25)に形成した排稈口(32)を脱穀装置(3)の外部に向けて開口し、脱穀後の排稈の穂先側の部位が扱胴(27)後端部の切断刃(37)で切断されて排稈口(32)から脱穀装置(3)の外部へ直接排出され、脱穀後の排稈の株元側の部位はフィードチェン(34)の挟持搬送終端部から脱穀装置(3)の外部へ直接排出される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀装置およびこの脱穀装置を搭載したコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンバインに搭載された脱穀装置は、扱室の前部に備えた前側壁と扱室の後部に備えた後側壁との間に扱胴を軸架し、扱室の横外側に備えた外側壁に扱口を形成すると共にこの扱口に沿ってフィードチェンを設け、扱室の後側壁には、このフィードチェンによって搬送された脱穀後の排稈を排出する排稈口を形成している。
また、扱室の下方には、この扱室から漏下する処理物を受けて揺動移送しながら選別する揺動選別棚を配置し、この揺動選別棚の後部を扱室の後側壁よりも大きく後方へ延設し、この後部上方に排塵ファンを設けている。すなわち、この排塵ファンは、扱室の後側壁よりも後方へ所定間隔をおいて配置される。
そして、フィードチェンの挟持搬送終端部に始端を臨ませた排藁搬送装置を、上記排塵ファンの上側を迂回して配置し、その搬送終端部を脱穀装置後方の排稈カッターや結束装置に臨ませている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−143356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来のコンバインの脱穀装置では、扱室の後側に排塵ファンが配置されるために、この脱穀装置の全長が長くなり、コンバインの全長が長くなって圃場での機動性が低下する問題がある。
【0005】
一方、脱穀装置の全長を制約した場合には、扱胴が短くなり、脱穀能率が低下する問題が生じる。
【0006】
また、脱穀後の排藁を、排塵ファンを迂回して排藁カッターや結束装置に供給するために、フィードチェンとは別の排藁搬送装置を必要とし、製造コストが高くなる問題があった。
【0007】
そして、このようにフィードチェンの挟持搬送終端部から排藁搬送装置に排藁を引き継ぐ際に、この排藁が円滑に引き継がれずに詰まりを生じ、コンバインによる刈取脱穀作業を中断せざるをえなくなる問題が生じうるものであった。
この発明は、上記課題を解決し、脱穀装置およびこの脱穀装置を搭載するコンバインの機動性の向上、脱穀作業能率の向上、製造原価の低減を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、扱室(22)の前部に備えた前側壁(24)と扱室(22)の後部に備えた後側壁(25)との間に多数の扱歯(26)を有した扱胴(27)を扱胴軸(28)で軸架し、扱室(22)の横外側に備えた外側壁(30)には穀稈を扱室(22)内に挿入する扱口(33)を形成し、該扱口(33)に沿って穀稈を挟持搬送するフィードチェン(34)を設け、前記後側壁(25)には扱口(33)に連続する排稈口(32)を形成した脱穀装置(3)において、前記扱胴(27)の後端部周面に切断刃(37)を備え、前記フィードチェン(34)の挟持搬送終端部を後側壁(25)の近傍の部位あるいは後側壁(25)よりも後方に偏倚した部位に配置すると共に、前記排稈口(32)を脱穀装置(3)の外部に向けて開口し、脱穀後の排稈の穂先側の部位が扱胴(27)後端部の切断刃(37)で切断されて排稈口(32)から脱穀装置(3)の外部へ直接排出され、脱穀後の排稈の株元側の部位はフィードチェン(34)の挟持搬送終端部から脱穀装置(3)の外部へ直接排出される構成としたことを特徴とする脱穀装置としたものである。
請求項2記載の発明は、前記扱室(22)の下方に揺動選別棚(41)を設け、該揺動選別棚(41)の後端部を前記排稈口(32)の直下方の部位またはこの近傍の部位に配置したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置としたものである。
請求項3記載の発明は、前記扱胴(27)の後端部に備えた切断刃(37)に後方への送り角度を備えたことを特徴とする請求項2記載の脱穀装置としたものである。
請求項4記載の発明は、前記扱胴(27)の下側に扱網(29)を張設し、該扱網(29)の後端部に設けた仕切板(S)を前記切断刃(37)よりも前側の部位に配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の脱穀装置としたものである。
請求項5記載の発明は、前記仕切板(S)から脱穀装置(3)の外部へ向けて後下がり傾斜する排出案内板(F)を設けたことを特徴とする請求項4記載の脱穀装置としたものである。
請求項6記載の発明は、走行装置(2)を備えた機体フレーム(1)の左右一側に前記脱穀装置(3)を搭載し、機体フレーム(1)の左右他側には脱穀後の穀粒を貯留する穀粒貯留装置(4)を搭載し、機体フレーム(1)における前記脱穀装置(3)の直後の部位を切り欠き、前記排稈口(32)から圃場面へ排出される切断後の排藁の落下経路(A)を形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の脱穀装置を搭載したコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、フィードチェン(34)の挟持搬送終端部を後側壁(25)の近傍の部位あるいは後側壁(25)よりも後方に偏倚した部位に配置すると共に、後側壁(25)に形成した排稈口(32)を脱穀装置(3)の外部に向けて開口し、脱穀後の排稈の穂先側の部位が扱胴(27)後端部の切断刃(37)で切断されて排稈口(32)から脱穀装置(3)の外部へ直接排出され、脱穀後の排稈の株元側の部位はフィードチェン(34)の挟持搬送終端部から脱穀装置(3)の外部へ直接排出される構成としたので、脱穀装置(3)の全長をコンパクトに構成できてコンバインの機動性を向上させることができる。そして、扱胴(27)の全長を長くでき、また、排藁搬送装置を省略してフィードチェン(34)との引き継ぎ部での排稈の詰まりを少なくすることで、脱穀装置(3)の脱穀作業能率を高めることができる。そして、排藁搬送装置および後付けの排藁カッターを省略することで、脱穀装置(3)およびこの脱穀装置(3)を搭載するコンバインの製造原価を低減して安価に提供することができる。
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、扱室(22)の下方に設けた揺動選別棚(41)の後端部を排稈口(32)の直下方の部位またはこの近傍の部位に配置することで、脱穀装置(3)の選別部の全長を短くして脱穀装置(3)及びこの脱穀装置(3)を搭載するコンバインの全長を更にコンパクト化することができる。
請求項3記載の発明によると、上記請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、扱胴(27)の後端部に備えた切断刃(37)によって、切断後の排藁を排稈口(32)から円滑に排出することができる。
請求項4記載の発明によると、上記請求項1から請求項3のいずれか一項記載の発明の効果に加え、扱胴(27)の後端部に備えた切断刃(37)で切断された排藁が、扱網(29)に引っ掛かりにくくなり、円滑に排出することができる。
請求項5記載の発明によると、上記請求項4記載の発明の効果を奏するうえに、扱胴(27)の後端部に備えた切断刃(37)で切断された排藁を、脱穀装置(3)の外部へより円滑に排出することができる。
請求項6記載の発明によると、上記請求項1から請求項5のいずれか一項記載の発明の効果に加え、コンバインの機体フレーム(1)における脱穀装置(3)の直後の部位を切り欠いて形成した落下経路(A)から切断後の排藁を圃場面へ排出するで、機体フレーム(1)上に排藁が溜まりにくくなり、コンバインによる刈取脱穀作業を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の説明用側面図。
【図3】脱穀装置の説明用平面図。
【図4】脱穀装置の説明用背面図。
【図5】脱穀装置の説明用背面図。
【図6】一部の拡大図。
【図7】一部の拡大図。
【図8】脱穀装置の説明用背面図。
【図9】脱穀装置の説明用側面図。
【図10】脱穀装置の説明用平面図。
【図11】脱穀装置の説明用背面図。
【図12】脱穀装置の説明用側面図。
【図13】脱穀装置の説明用平面図。
【図14】脱穀装置の説明用背面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施の形態を、自脱型のコンバインを例示して説明する。
(機体構成)
図1に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下方に走行装置2を設け、機体フレーム1の上部左側には脱穀装置3を搭載し、機体フレーム1の上部右側には穀粒貯留装置4を搭載し、機体フレーム1上における穀粒貯留装置4の前側にはエンジン5を搭載し、走行装置2の前方位置には刈取装置6を設けて構成する。
(走行装置)
図1に示すように、走行装置2は、機体フレーム1の下部から下方へ延出した支持脚(図示省略)の下端部に左右の転輪支持フレーム7を固定し、この転輪フレーム7に軸支された多数の転輪8と、ミッションケース(図示省略)から駆動される左右の駆動輪9にわたってクローラ10を巻き掛けて構成する。
(刈取装置)
図1に示すように、刈取装置6は、機体フレーム1の前側上部に支持した支持フレーム11の前端部に左右方向の下部伝動筒12の左右方向中間部を連結し、この下部伝動筒12から前方へ延出する分草フレーム13の前端部に分草体14を取り付け、この分草体14の後側の部位にラグ式の引起装置15を後上がり傾斜姿勢に設け、この引起装置15の後側下部に刈刃装置16を設け、この刈刃装置16の上側に掻込搬送装置(図示省略)の始端部を配置し、この掻込搬送装置の終端部に供給搬送装置17の始端部を臨ませ、この供給搬送装置17の終端部を後述するフィードチェン34の始端部に臨ませて構成する。
(穀粒貯留装置)
図1に示すように、穀粒貯留装置4は、箱型の容器として形成し、底部に排出螺旋(図示省略)を備える。そして、この穀粒貯留装置4には、上記の排出螺旋から穀粒を引き継いで排出する排出装置18を備える。この排出装置18は、揚穀螺旋を内装した揚穀筒19の上端部に、排出螺旋を内装した排出筒20の基部を連通して構成する。また、穀粒貯留装置4の上部には、脱穀装置3によって回収された穀粒を揚穀する一番揚穀筒21の上端の吐き出し口を連通させる。
(脱穀装置)
図1に示すように、機体フレーム1の左側の前後長さを、右側の前後長さよりも短く形成している。即ち、機体フレーム1は、平面視で矩形に形成するが、脱穀装置3を搭載する部位の直後の部位を切り欠いた形状としている。これによって、脱穀装置3の直後には機体フレーム1が存在せず、脱穀装置3直後の機体フレーム1の後端面1Gの後側に、後述する排稈口32から排出された切断後の排藁が落下する落下経路Aが形成される。
【0012】
しかして、図2〜図4に示すように、上記脱穀装置3は、上部の扱室22と下部の選別室23とで構成される。
【0013】
扱室22は、前部に備えた前側壁24と、後部に備えた後側壁25との間に、周面に多数の線状の扱歯(ワイヤーツース)26を植設した扱胴27を扱胴軸28で軸架し、この扱胴27の下部外周に沿って扱網29を張設し、扱胴27の横外側を外側壁30で覆って構成する。この扱網29の後端部には仕切板Sを起立させて設け、この仕切板Sから脱穀装置3の外部へ向けて後下がりに傾斜した排出案内板Fを設ける。この排出案内板Fの下側であって、揺動選別棚41の後端部上側の部位には、排塵口Zを脱穀装置3の外部へ向けて開口する。外側壁30には、前側壁24に形成した供給口31から、後側壁25に形成した排稈口32まで連続する前後方向の扱口33を形成し、この扱口33の外側部に沿わせてフィードチェン34を設ける。
(フィードチェン)
このフィードチェン34の上側に対向させて、スプリング35で下向きに付勢された挟扼杆36を設ける。この挟扼杆36は、前後方向に複数に分割して、該分割された単体どうしを屈折可能に軸着連結したものであり、最後部のスプリング35aを他のスプリング35よりも後下がりに緩傾斜させている。
図1、図2に示すように、このフィードチェン34は、その搬送始端部を扱室22の前側壁24よりも前方へ大きく延出させ、その搬送終端部は、扱室22の後側壁25よりも後方に偏倚した位置まで延出させる。尚、このフィードチェン34の搬送終端部を、扱室22の後側壁25の近傍の位置に配置する構成としてもよい。
(スクレーパ)
そして、図1〜図6に示すように、フィードチェン34の搬送終端部には、このフィードチェン34によって搬送されてきた脱穀後の排稈の付き回りを防止するスクレーパ51を設ける。図1に示すように、このスクレーパ51は、フィードチェン34の搬送終端部の左側に設けたスクレーパ51Lと右側に設けたスクレーパ51Rとからなり、これらのスクレーパ51L,51Rの上縁は、夫々、フィードチェン34の搬送終端部の傾斜姿勢よりも後上がりに急傾斜している。
また、左側のスクレーパ51Lの後端部には、この左側のスクレーパ51Lの上縁の傾斜姿勢よりも後上がりに急傾斜した案内棒52を固定し、この案内棒52によって排稈の株元側を掬い上げながら放出する構成としている。
尚、図7に示すように、左側のスクレーパ51Lの上縁の高さを、右側のスクレーパ51Rの上縁の高さより低く設定してもよい。
(扱歯)
また、扱胴27の前部から後部にかけては、その外周面に上述の線状の扱歯26を植設するが、その後端部の外周面には、扱胴軸28の軸心方向と交差する向きの送り角度を有した複数の切断刃37を取り付ける。この切断刃37は、扱網29後端の仕切板Sよりも後側において扱胴27の後端部周面に設けられ、扱胴27の回転によって、扱室22内の処理物を後方へ搬送する送り機能を有すると共に、脱穀後の排稈の穂先側の部位を細かく切断する機能を有する。
(扱網)
また、扱網29は、線材を編んだ網状に形成するが、棒状の部材を組んだ格子状、あるいは目抜き鉄板としてもよい。
図4に示すように、この扱網29は、扱室22の後側壁25に形成した排稈口32の下縁から僅かに沈み込んだ位置に配置している。
該扱網29の後端に設ける前記の仕切板Sは、前記切断刃37の先端軌跡と、背面視でオーバーラップする。
(扱胴伝動)
図3に示すように、扱胴軸28の前端部を前側壁24に形成した孔を貫通させて前方へ突出させ、この扱胴軸28の前端に、エンジン5から駆動力の供給を受ける伝動装置5aを連動させる。尚、扱胴軸28の前端は、前側壁24側に支持した前側軸受39に軸受し、扱胴軸28の後端は、後側壁25側に支持した後側軸受40に軸受する。
(選別室)
図2に示すように、選別室23は、揺動選別棚41の下側に、唐箕42と一番移送螺旋43とニ番移送螺旋44とを前側からこの順に配置して構成する。上記揺動選別棚41には、移送棚45とシーブ46とストローラック47とを前側からこの順に備える。
(排塵ファン)
また、図4に示すように、脱穀装置3の左側の機壁48Lにおけるストローラック47よりも高い位置に、排塵ファン49の吸引口50を開口させる。この排塵ファン49の排風ダクト55は、排塵ファン49から左右方向に離間するほど低くなるように既刈地側に傾斜させる。
尚、図5に示すように、この排塵ファン49を脱穀装置3の右側の機壁48Rにも設ける構成としてもよい。
(流下案内板)
そして、図8に示すように、前記排稈口32の後側下方であって排塵口Zよりも下側の部位に、フィードチェン34から左右方向に離間するほど低くなるように傾斜した流下案内板54を設け、この流下案内板54を排風ダクト55に連続させて設ける。
尚、図3に示すように、前記一番移送螺旋43の移送終端部を一番揚穀筒21の基部に連通し、前記ニ番移送螺旋44の移送終端部に連通したニ番揚穀筒53の上端を脱穀装置3の右側の機壁48Rを通じて移送棚45の右側上方に開口させる。
(ドロッパ)
図9〜図11に示すように、前記排稈口32の後側下方に、この排稈口32から排出される切断後の排藁を受けるドロッパ56を設ける。
【0014】
即ち、扱室22の後側壁25の外側面の排稈口32よりも下側の部位に、左右方向の回転軸57を回転自在に軸支し、この回転軸57から後方へ向けて支持板58を延設し、この支持杆58が、無負荷状態において水平姿勢よりも後上がりの所定の傾斜姿勢に保持されるように、回転軸57を回動付勢するスプリング59を設ける。これにより、排稈口32から排出されて支持杆58上に溜った排藁の重量が所定の重量に達すると、スプリング59の付勢力に抗して支持杆58が下向きに回動し、溜っていた排藁が圃場面に落下する。
(扱胴軸から駆動されるファン)
図12〜図14に示すように、扱胴軸28の後端部を後側軸受40よりも後方へ突出させ、この突出端部にファン60を取り付け、このファン60をケーシング61で囲う。このケーシング61の下部には、既刈地側に向けて傾斜した送風口62を設け、後側壁25のケーシング61で囲われた部位には、後側軸受40を避けて吸引口63を形成する。
(上記構成による効果)
脱穀後の排稈の穂先側の部位が扱胴27後端部の切断刃37で切断されて排稈口32から脱穀装置3の外部へ直接排出され、脱穀後の排稈の株元側の部位はフィードチェン34の挟持搬送終端部から脱穀装置3の外部へ直接排出される構成としたので、脱穀装置3の全長をコンパクトに構成できてコンバインの機動性を向上させることができる。そして、扱胴27の全長を長くでき、また、排藁搬送装置を省略してフィードチェン34との引き継ぎ部での排稈の詰まりを少なくすることで、脱穀装置3の脱穀作業能率を高めることができる。そして、排藁搬送装置と専用の排藁カッターを省略することで、脱穀装置3およびこの脱穀装置3を搭載するコンバインの製造原価を低減して安価に提供することができる。
これに加え、扱室22の下方に設けた揺動選別棚41の後端部を排稈口32の直下方の部位またはこの近傍の部位に配置することで、脱穀装置3の選別部の全長を短くして脱穀装置3及びこの脱穀装置3を搭載するコンバインの全長を更にコンパクト化することができる。
これに加え、扱胴27の後端部に備えた切断刃37に後方への送り角度を備えたことで、扱胴27の後端部に備えた切断刃37によって、切断後の排藁を排稈口32から円滑に排出することができる。
これに加え、扱胴27の下側に扱網29を張設し、該扱網29の後端部に設けた仕切板Sを切断刃37よりも前側の部位に配置したことで、扱胴27の後端部に備えた切断刃37で切断された排藁が、扱網29に引っ掛かりにくくなり、円滑に排出することができる。
これに加え、仕切板Sから脱穀装置3の外部へ向けて後下がり傾斜する排出案内板Fを設けたことで、扱胴27の後端部に備えた切断刃37で切断された排藁を、脱穀装置3の外部へより円滑に排出することができる。
これに加え、コンバインの機体フレーム1における脱穀装置3の直後の部位を切り欠いて形成した落下経路Aから切断後の排藁を圃場面へ排出するで、機体フレーム1上に排稈が溜まりにくくなり、コンバインによる刈取脱穀作業を円滑に行なうことができる。
【符号の説明】
【0015】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 脱穀装置
4 穀粒貯留装置
22 扱室
24 前側壁
25 後側壁
26 扱歯
27 扱胴
28 扱胴軸
30 外側壁
32 排稈口
33 扱口
34 フィードチェン
37 切断刃
41 揺動選別棚
A 落下経路
F 排出案内板
S 仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(22)の前部に備えた前側壁(24)と扱室(22)の後部に備えた後側壁(25)との間に多数の扱歯(26)を有した扱胴(27)を扱胴軸(28)で軸架し、扱室(22)の横外側に備えた外側壁(30)には穀稈を扱室(22)内に挿入する扱口(33)を形成し、該扱口(33)に沿って穀稈を挟持搬送するフィードチェン(34)を設け、前記後側壁(25)には扱口(33)に連続する排稈口(32)を形成した脱穀装置(3)において、前記扱胴(27)の後端部周面に切断刃(37)を備え、前記フィードチェン(34)の挟持搬送終端部を後側壁(25)の近傍の部位あるいは後側壁(25)よりも後方に偏倚した部位に配置すると共に、前記排稈口(32)を脱穀装置(3)の外部に向けて開口し、脱穀後の排稈の穂先側の部位が扱胴(27)後端部の切断刃(37)で切断されて排稈口(32)から脱穀装置(3)の外部へ直接排出され、脱穀後の排稈の株元側の部位はフィードチェン(34)の挟持搬送終端部から脱穀装置(3)の外部へ直接排出される構成としたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記扱室(22)の下方に揺動選別棚(41)を設け、該揺動選別棚(41)の後端部を前記排稈口(32)の直下方の部位またはこの近傍の部位に配置したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記扱胴(27)の後端部に備えた切断刃(37)に後方への送り角度を備えたことを特徴とする請求項2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記扱胴(27)の下側に扱網(29)を張設し、該扱網(29)の後端部に設けた仕切板(S)を前記切断刃(37)よりも前側の部位に配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記仕切板(S)から脱穀装置(3)の外部へ向けて後下がり傾斜する排出案内板(F)を設けたことを特徴とする請求項4記載の脱穀装置。
【請求項6】
走行装置(2)を備えた機体フレーム(1)の左右一側に前記脱穀装置(3)を搭載し、機体フレーム(1)の左右他側には脱穀後の穀粒を貯留する穀粒貯留装置(4)を搭載し、機体フレーム(1)における前記脱穀装置(3)の直後の部位を切り欠き、前記排稈口(32)から圃場面へ排出される切断後の排藁の落下経路(A)を形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の脱穀装置を搭載したコンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate