脱穀装置の揺動選別構造
【課題】操作性の良い調節構造を構築するとともに、そのために採用される操作手段と開度変更機構とを連係する連係手段を合理的に構成できる脱穀装置の揺動選別構造を提供する。
【解決手段】チャフシーブ39に設けたリップ板39aにおける隣接するリップ板同士の間隙から処理物を漏下すべく構成し、間隙を現出するリップ板群の開度を変更する変更調節レバー56を設けてある。運転操縦部に人為的操作部を設け、変更調節レバー56を、チャフシーブ39を備えたシーブケース35に設け、人為的操作部と変更張設レバー56とを連係する。連係する手段を、シーブケース35の後方を迂回する状態で配置してあるワイヤ式連係手段と、ワイヤ式連係手段と人為的操作部とを連係するリンク式連係手段とで構成してある。
【解決手段】チャフシーブ39に設けたリップ板39aにおける隣接するリップ板同士の間隙から処理物を漏下すべく構成し、間隙を現出するリップ板群の開度を変更する変更調節レバー56を設けてある。運転操縦部に人為的操作部を設け、変更調節レバー56を、チャフシーブ39を備えたシーブケース35に設け、人為的操作部と変更張設レバー56とを連係する。連係する手段を、シーブケース35の後方を迂回する状態で配置してあるワイヤ式連係手段と、ワイヤ式連係手段と人為的操作部とを連係するリンク式連係手段とで構成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャフシーブに設けたリップ板における隣接するリップ板同士の間隙から処理物を漏下すべく構成し、前記間隙を現出する前記リップ板群の開度を変更可能な開度変更機構を設けてある脱穀装置の揺動選別構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀装置の揺動選別構造においては、脱穀処理する作物の種類、処理量、濡れ具合等によって、チャフシーブの開度を変更して対応するために、開度変更機構を設けていた。
開度変更機構は、選別部に設けてあるシーブケースにおける左側壁の横外側に変更調節レバーを配置し、この変更調節レバーを運転者が操作することによって、チャフシーブの開度を変更調節していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2003−9642号公報(〔0019〕、〔0036〕、図4,7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構成にあっては、変更調節レバーを操作するには、変更調節レバーが脱穀装置の横側方に配置された横カバーの内部に配置されているために、その横カバーを開放操作する必要があるとともに、その横カバーを開いた状態で変更調節レバーを表出させるための点検口の蓋を、工具を使用して取り外す必要があるところから、調節操作に取り掛かるまでの手間が大変なものになっていた。
【0004】
本発明の目的は、このような点に着目してなされたものであって、操作性の良い調節構造を構築するとともに、そのために採用される操作手段と開度変更機構とを連係する連係手段を合理的に構成できる脱穀装置の揺動選別構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、運転操縦部に人為的操作部を設け、前記開度変更機構を、前記チャフシーブを備えたシーブケースに設け、前記人為的操作部と前記開度変更機構とを連係手段で連係し、前記連係手段を、前記開度変更機構から前記シーブケースの後方を迂回する状態で配置してあるワイヤ式連係手段と、前記ワイヤ式連係手段と前記人為的操作部とを連係するリンク式連係手段とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】
〔作用〕
運転操縦部に人為的操作部を設けたので、シーブケースに取り付けてある開度変更機構の設置位置まで出向く必要がなく、また、従来のように、脱穀装置の横カバーや点検口等を開放する手間を必要とせず、運転操縦部に居ながら変更調節操作が可能ある。
しかも、シーブケースの後方を迂回させる必要のある連係手段としては、選別の為に複雑な楕円運動を行うシーブケースに取り付けられた開度変更機構と固定側に位置する運転操縦部の人為的操作部とを連係する必要があるので、シーブケースと運転操縦部との相対運動を吸収可能なワイヤ式連係手段を採用する。一方、運転操縦部に設けた人為操作部に繋がる連係手段は、シーブケースの取り外しとは関係しない固定の部分であるので、連係手段として伸び等が少なく、人為的操作部の操作量をワイヤ連係手段よりは確実に伝達可能なリンク式連係手段を採用した。
【0007】
〔効果〕
従って、チャフシーブの変更調節を容易迅速に行うことができるとともに、その為に採用した人為的操作部と開度変更機構とを連係する連係手段を、シーブケースの選別運動を考慮し、かつ、人為的操作部での操作量を確実に開度変更機構に伝達可能な手段とし、変更調節の確実さを確保した。
【0008】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記間隙を小さくする方向に前記リップ板群を付勢する付勢手段を設け、前記付勢手段の付勢力に抗して処理物重量が重くなる程前記間隙を大きくする方向に前記リップ板群を移動変位させて前記間隙を変更すべく構成し、前記開度変更機構で前記間隙の最小開口状態を変更すべく構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用効果〕
上記構成によると、付勢手段でリップ板を上方に向けて付勢しているので、間隙を処理物重量に応じて開度調節することができ、自動的な処理が可能である。しかも、例えば、単位時間当たりの収穫量が比較的少なくて処理物が少ない場合には、チャフシーブの最小開度を小さくすることで、ワラ屑やゴミの混入の少ない精度の高い選別を行うことができる。単位時間当たりの収穫量が多く処理物が多い場合には、チャフシーブの最大開度を大きくすることでリップ板群を大きく開きやすくし、処理物の漏下性を高めて停滞や詰まりのない選別を行うことができる。
以上のように、処理物量に対応した処理が可能なチャフシーブの開度調節が自動的に行える構成に加えて、さらに、間隙の最小開度を人為的に調節可能であるので、脱穀作物の状況に対応した選別処理も可能である。
【0010】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記ワイヤ式連係手段と前記リンク式連係手段とを連結解除自在に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0011】
シーブケースの後方を迂回させる必要のある連係手段としては、シーブケースが引き出し操作されるものであるので、シーブケース引き出し時でも取り外すことが容易にでき、取り外した状態で細かく巻き取る等の仕舞い処理が可能なワイヤ連係手段を採用した。
しかも、ワイヤ連係手段をリンク式連係手段から取り外すことができるので、ワイヤ連係手段をシーブケースに取り付けた状態で引き出すことができ、ワイヤ連係手段とシーブケースに取り付けてある開度変更機構との連係を解除する作業を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に、自脱型のコンバインに搭載される脱穀装置1の縦断側面図が示されている。この脱穀装置1は、図外左方の刈取り部から搬送されてきた横倒れ姿勢の刈取り穀稈をフィードチェーン2で受取り、刈取穀稈の穂部を扱室3に挿入した状態で図中左方から右方に挟持搬送することで、扱室3に駆動回転可能に軸支した扱胴4によって脱穀処理する。扱室3の下方に沿って張設した受け網8を漏下した脱穀処理物および扱室終端の送塵口9から排出された処理物を扱室下方の選別部5で揺動風選処理し、穀粒を1番回収部11に回収して横スクリュー12および揚穀装置13で機外に搬出する。枝梗付き穀粒などの2番物を2番回収部14に回収した後、横スクリュー15および還元装置16によって選別部5の前部に還元搬送して再度の選別処理を行い、送塵口9から搬出された脱穀処理後の排ワラを排ワラ搬送装置6に受け渡して後方に斜め搬送し、脱穀装置1の後部に連結される排ワラカッタ7に供給する。
【0013】
図1及び図2に示すように、受け網8の前端部に機体横向き軸芯周りで遊転する横長いローラ体30が支承してある。
この構成によって、フィードチェーン2に根元部を挾持されて扱室3に持ち込まれる脱穀用穀稈の穂先部の搬送抵抗を、ローラ体30の上面を移動させることによって軽減し、搬送遅れを抑制する構成を採っている。
【0014】
脱穀装置1のケースは、扱胴4を軸支した上部ケース1aと、受け網8および選別部5が組み付けられた下部ケース1bとで構成されるとともに、上部ケース1aが前後向き支点(図示せず)を中心にして上方に揺動開放可能に支持されており、上部ケース1aを上方揺動して下部ケース1bを開放することで、受け網8や選別部5の点検整備および掃除を容易に行えるよう構成されている。
【0015】
選別部5には、落下供給された脱穀処理物を後方(図1では右方)に向けて揺動搬送しながら篩い選別する前後に長いシーブケース35、このシーブケース35に向けて下方から選別風を供給して風選別する唐箕36が備えられるとともに、選別部5の後部上方にはシーブケース35の上方に浮き上げられた塵埃やワラ屑、および、扱室終端の送塵口9から送出された塵埃やワラ屑を吸引して機外に排出する横断流型の排塵ファン37が配備されている。
【0016】
シーブケース35には、前方から後方に亘って、前部グレンパン38、前後に長い粗選別用のチャフシーブ39、および、ストローラック40が装備されるとともに、チャフシーブ39の下方には精選別用のグレンシーブ41が装備されている。シーブケース35の前後中間の上部には、送塵口9から排出された処理物を受ける解し選別用の中間ラック42と篩い線43が備えられている。
【0017】
図3に示すように、チャフシーブ39は、多数のリップ板39aを前後方向に所定間隔をもって並列配備して構成されている。各リップ板39aは、リップ板39aの上端における横向きの支点a周りに前後揺動可能に枢支されるとともに、リップ板39aの下端部が前後に長い連係リンク44に枢支連結されており、全部のリップ板39aの角度が同時に変更されて、前後のリップ板39aの間に形成される漏下間隙の開度が増減され、処理物の漏下特性が変更調節されるようになっている。
【0018】
扱室3で脱穀されて穀稈から分離した処理物は先ず受け網8で漏下選別され、この受け網8を漏下した処理物は選別部5の前半部に落下供給されるとともに、受け網8を漏下しなかった処理物は送塵口9から送出されて選別部5の前後中間部に落下供給される。
【0019】
選別部5に落下した処理物はシーブケース35に供給され、供給された処理物は後方(図1では右方)に向けて揺動搬送されながら前部グレンパン38で比重差選別されるとともに、粗選別用のチャフシーブ39、精選別用のグレンシーブ41、ストローラック40等により篩い選別され、唐箕36から後方上方に向けて供給される選別風で風選処理される。
グレンシーブ41から漏下した穀粒は1番回収部11に、また、ストローラック40を漏下した2番物は2番回収部14にそれぞれ選別回収され、ストローラック40を漏下しない大きいワラ屑が選別部5の後端の排塵口17から機外に排出される。
【0020】
リップ板39a群の開度を変更可能な開度変更機構Aについて説明する。図3および図4に示すように、チャフシーブ39を構成するリップ板39a群の内、前後中間に位置する所定のリップ板39aにおける上部枢支ピン60が、シーブケース35の横内側壁に支持されるとともに、リップ板39aにおける下部枢支ピン52がシーブケース35の横側面に形成された円弧状長孔53を貫通して横外側に突出され、後記する変更調節レバー56の枢支ピン51の突出部と下部枢支ピン52の突出部とに亘って作動リンク54が装着されている。作動リンク54における下部枢支ピン連結側とは反対側となる後端箇所にバランスウエイト55が連結されており、シーブケース35の揺動作動に伴ってリップ板39a群が慣性によって揺動作動するのをバランスウエイト55で抑制するよう構成されている。
【0021】
下部枢支ピン52の突出端と、シーブケース35の横外側に配備された変更調節レバー56の上端部とに亘って引っ張りバネからなる開度調節バネ(付勢手段の一例)57が張設され、開度調節バネ57の張力によって下部枢支ピン52が前方上方に引き上げ付勢されることで、連係リンク44を介して連動揺動する全リップ板35aが上方前方、つまり、開度を小さくする方向に付勢されている。
【0022】
開度変更機構Aの主要部品である変更調節レバー56は、金属板材を加工して形成されたものであり、変更調節レバー56の上端部に開度調節バネ57の一端が係止連結されるとともに、変更調節レバー56の前後中間部に下部枢支ピン52を挿通する開口58が形成されている。変更調節レバー56の後端に前記した枢支ピン51が設けてあり、この枢支ピン51に作動リンク54とともに変更調節レバー56を枢支ピン51回りで揺動可能に枢支してある。
【0023】
図6に示すように、変更調節レバー56の前端とシーブケース35とに亘って引っ張りバネからなる復帰バネ61が張設されて、変更調節レバー56が前上方へ揺動自在に付勢されている。シーブケース35の横外側面にはワイヤ受け金具62が設けられ、このワイヤ受け金具62に操作ワイヤ63のアウタ端部が前後向き姿勢で固定支持されるとともに、操作ワイヤ63のアウタ端部から前方に導出されたインナワイヤ63aが変更調節レバー56の後端部に連結されている。
【0024】
開度調節バネ57の張力によって上方に付勢される下部枢支ピン52は、変更調節レバー56に形成された開口58の上端縁又はシーブケース35の側板に形成された円弧状長孔53の上端縁に接当されてそれ以上の付勢移動が阻止され、これによってチャフシーブ39のリップ板群の最小開度が規制される。一方、下部枢支ピン52は、開口58の下端縁に接当されてチャフシーブ39のリップ板群の最大開度が規制されるようになっている。
【0025】
変更調節レバー56の開口58とシーブケース35の側板に形成された円弧状長孔53とは一部重なり合う状態にあり、そのために、次のような操作が行われる。
(1) 開口58の上端縁58aを円弧状長孔53の上端縁53aより上方に位置させる場合
この場合には、開口58の下端縁58bが円弧状長孔53の下端縁53bより上方にあるので、下部枢支ピン52は、円弧状長孔53の上端縁53aと開口58の下端縁53bとに亘って揺動可能である。したがって、開口58の上端縁58aから下端縁58bに亘る範囲よりは、揺動範囲が狭められている。
このような形態は、ワラ屑や切れワラの多い場合や、単位時間当たりの処理物量が少ない場合に、適応される。
(2) 開口58の下端縁58bを円弧状長孔53の下端縁53bより下方に位置させる場合
この場合には、開口58の上端縁58aが円弧状長孔53の上端縁53aより下方にあるので、下部枢支ピン52は、開口58の上端縁58aと円弧状長孔53の下端縁53bとに亘って揺動可能である。
このような形態は、ワラ屑や切れワラの少ない場合や、単位時間当たりの処理物量が多い場合に、適応される。
(3) 開口58の上端縁58aを円弧状長孔53の上端縁53aより下方に位置させ、開口58の下端縁58bを円弧状長孔53の下端縁53bより上方に位置させる場合
この場合には、下部枢支ピン52は、開口58の上端縁58aと下端縁58bとの全長に亘って揺動可能である。
このような形態は、ワラ屑や切れワラの量が中間位で、単位時間当たりの処理物量も中間位の場合に、適応される。
(4) 上記した開度変更機構Aは、刈取り穀稈の濡れ具合に対応して細かい調節が加えられる。
以上、主たる部品として変更調節レバー56を利用することによって、リップ板39a群の最小開度を変更可能な開度変更機構Aを構成する。
【0026】
運転操縦部18に設ける人為的操作部19について説明する。図2、7、8に示すように、運転操縦部18の左後方に支持フレーム20を立設し、この支持フレーム20に棒状の操作フレーム19Aが上下向き姿勢かつ上下スライド移動可能に支持されている。操作フレーム19Aの上端部に横向きに屈曲形成された握り部19Bを設けて、この操作フレーム19Aと握り部19Bとで人為的操作部19を構成する。
【0027】
図7及び図8に示すように、操作フレーム19Aの上端部近傍に操作フレーム19Aの上下方向での位置決めを行うデテント機構21が設けてある。デテント機構21は、操作フレーム19Aを挿通支持するチャンネル状のフレーム22に取付固定されたデテント用バネ板21Aと操作フレーム19Aの一側面に形成された複数個の凹部19aとで構成してある。このデテント用バネ板21Aの係合突起部21aが操作フレーム19Aの凹部19aに係合することによって、操作フレーム19Aの上下方向での位置決めを行っている。
【0028】
次に、人為的操作部19と開度変更機構Aとの連係手段Bについて説明する。
図2及び図7に示すように、連係手段Bは、人為的操作部19に連係され、排塵口17の後方を迂回するワイヤ式連係手段Cと、シーブケース35と穀粒貯留タンク23との間に配置されたリンク式連係手段Dとを連結して構成してある。
【0029】
ワイヤ式連係手段Cについて説明する。図2及び図6、図7に示すように、ワイヤ式連係手段Cは、変更調節レバー56に連係された操作ワイヤ63を、排塵口17の後方を迂回させて、シーブケース35の穀粒貯留タンク23との間に入り込む位置まで迂回させる。
シーブケース35の右後端近くに後支持フレーム24を立設するとともに、その後支持フレーム24にアウターワイヤ受け25を取付け、アウターワイヤ63bを取付固定している。
アウターワイヤ受け25には、クランク状の連係アーム26が前後揺動自在に取付てあり、この連係アーム26の屈曲部位に操作ワイヤ63のインナーワイヤ63aの端部を連結してある。
【0030】
リンク式連係手段Dについて説明する。
図2及び図7に示すように、後支持フレーム24の前方側で、運転操縦部18の左後方部位に前支持フレーム27を立設し、前支持フレーム27にベルクランク28が揺動自在に取付てある。このベルクランク28の一端に、人為的操作部19の操作フレーム19Aの下端部を相対揺動可能に連結してある。
【0031】
一方、ベルクランク28の他端には、フラットバー状の連結材29の一端が連結してあり、その連結材29の他端は、前記したクランク状の連係アーム26の先端に連結してある。
連係アーム26、連結材29、ベルクランク28によって、リンク式連係手段Dを構成する。
【0032】
以上のように構成することによって、握り部19Bを握って、操作フレーム19Aを上下方向に操作することで、開度変更機構Aを操作することができる。
(1) 図7及び図8に示すように、操作フレーム19Aを押し下げ操作した状態では、連結材29が後方側に位置しているために、操作ワイヤ63が緩み状態となっている。このために、変更調節レバー56が開度調節バネ57によって引っ張り操作されて、上向きに回転し、チャフ板63aの最小開度を小さくする位置に設定される。
(2) 図6〜図8に示すように、操作フレーム19Aを引き上げ操作した状態では、連結材29が前方側に移動し、操作ワイヤ63が引き操作される。このために、変更調節レバー56が開度調節バネ57の付勢力に抗して操作ワイヤ63に引っ張り操作されて、下向きに回転し、チャフ板63aの最小開度を大きくする位置に設定される。
(3) デテント機構21を利用して、操作フレーム19Aを上下中間位置に操作した状態では、変更調節レバー56はチャフ板63aの最小開度を大小中間の大きさ位置に設定される。
【0033】
メインテナンス作業のために、シーブケース35を機体後方側に引き出す場合には、図7において、クランク状の連係アーム26から操作ワイヤ63を取り外して、操作ワイヤ63と固定側の運転操縦部18との連係を解除し、操作ワイヤ63をシーブケース35のみに属させて、シーブケース35を引き出し操作する。
このように操作ワイヤ63をクランク状の連係アーム26から取り外す際に、取り外し部位が機体の後端部近傍に存在するので、機体後方側から取り外し操作を行うのに容易に行うことができる。
【0034】
次に、シーブケース35をメインテナンス作業のために一旦取り外した状態から、メインテナンス終了後に、再度、取り付ける際の方法について説明する。図9に示すように、二番回収部14の下方に燃料タンク31を設けてあり、燃料タンク31の上方に防塵カバー32を設けてある。排塵口17より放出される排塵が燃料タンク31の上面等に降り掛かり堆積することを、前記防塵カバー32で防止している。
【0035】
この防塵カバー32は、横方向に長い長方形状を呈しており、横側部の一端に折り曲げ片32Aを形成している。折り曲げ片32Aには、後記するボルト45の頭径より大きな位置決め用の開口32aが設けてある。
【0036】
一方、1番回収部11に漏下穀粒を搬送用の横スクリュー12まで誘導する傾斜ガイド面11Aを設けてあり、その傾斜ガイド面11Aをカバーゴム板46で覆っている。このカバーゴム板46は、上端部をシーブケース35の下向き突出部35Aにボルトで取付固定してある。
このカバーゴム板46は、シーブケース35を機外に取り出す場合には、1番回収部11から2番回収部14の傾斜ガイド面14Aに沿ってシーブケース35とともに移動する。しかし、シーブケース35を再度取付るために、所定位置までシーブケース35を押し込んでいく際に、下向きに垂れ下がったカバーゴム板46の下半部が、2番回収部14における傾斜ガイド面14Aのうちの、機体前方側に位置する前方傾斜ガイド面14aに当接することがある。したがって、カバーゴム板46が、シーブケース35の下向き突出部35Aに取り付けられた基端部と、先端遊端部との間の中間部分で折れ曲がりを生じ、2番回収部14と1番回収部11との境界突出部を乗り越えることが出来ない虞があり、1番回収部11の傾斜ガイド面11Aの後側傾斜ガイド面11bに所定姿勢で設置されないことが考えられる。
【0037】
そこで、シーブケース35を装着する場合には、次のような方法を採っていた。つまり、
シーブケース35を機外に取り出した状態で、燃料タンク31の上方に位置する防塵カバー32を取り外し、図10に示すように、その防塵カバー32を2番回収部14の前後傾斜ガイド面14a、14bの上端に亘って跨る状態で掛け渡す。
この場合に、防塵カバー32の折り曲げ片32A部分を2番回収部14の後側傾斜ガイド面14bの上端部に被せて、防塵カバー32の機体前後方向での位置決めを図っている。
【0038】
後側傾斜ガイド面14bの上端部にはボルト45を取り付けてあり、このボルト45の頭部に、防塵カバー32の折り曲げ片32Aの位置決め用開口32aを被せて、左右方向、及び、上下方向での位置決めを行っている。
また、このボルト45の頭部が防塵カバー32を取り付ける際の目印となるので、取付作業が容易になる。
【0039】
防塵カバー32を取り付けた後に、シーブケース35を押し込んで取り付けるが、シーブケース35を押し込んでいく途中の段階で、垂れ下がり状態にあるカバーゴム板46の下半部を作業者が持ち上げて、カバーゴム板46の下端が機体前方側に位置する状態で防塵カバー32の上に載せ付ける。その状態でシーブケース35の移動とともにカバーゴム板46を防塵カバー32の上面を擦らせながら移動させて、シーブケース35を所定位置に設置した状態でカバーゴム板46を1番回収部の後側傾斜ガイド面11bの上に載置される。
【0040】
シーブケース35を取り外す際のシーブケース駆動系に介装されているクラッチ機構Eの取り外し構造について説明する。図11、及び、図12に示すように、脱穀装置1の両側板1B間に亘って、シーブケース35の駆動軸65を架設する。両側板1Bの後端枠フレーム80に軸受部材81を固定し、軸受部材81に軸受を介して駆動軸65を支持してある。
図11に示すように、駆動軸65には偏芯状のインナーレース66Aが遊転状態で外嵌されるとともに、偏芯板67を一体固定されており、インナーレース66Aと偏芯板67とをボルト68で一体固定してある。インナーレース66Aの外側には、アウターレース66Bが外嵌されており、そのアウターレース66Bの外周面にシーブケース35の底面から立ち下げられているブラケット69を外嵌して、シーブケース35の偏芯駆動構造を構成している。
【0041】
図11及び図12に示すように、脱穀側板1Bの外側に駆動軸65の一端を延出し、その延出端65に入力プーリ70を取付固定してある。この入力プーリ70にはバランスウエイト70Aが取り付け固定してあり、前記偏芯状態で駆動軸65に取り付けられているインナーレース66Aに対して駆動軸65の軸芯を挟んで180°反対側にバランスウエイト70Aが配置してある。一方、入力プーリ70の上方には、出力プーリ71が設置してあり、出力プーリ71が排塵ファン37を駆動する駆動軸72に取付てある。
【0042】
出力プーリ71と入力プーリ70とに亘って伝動ベルト82が掛け渡されており、排塵ファン37からシーブケース35への駆動伝動構造が形成されている。出力プーリ71と入力プーリ70との中間位置には、テンションプーリ73が配置されて、テンションプーリ式のクラッチ機構Eを構成してある。
脱穀側板1Bの中間桟部材1cの延出端に、その中間桟部材1cから横側方に枢支ピン77を延出し、その枢支ピン77にベルクランク状のブラケット74を揺動自在に支持する。その中間桟部材1cにブラケット74に隣接する状態でクラッチ操作アーム75を揺動自在に取付け、ブラケット74の後記する板状アーム部74Aと握り部75Bを備えたクラッチ操作アーム75の板状フレーム75Aとを連結バネ76で連係してある。
【0043】
ベルクランク状のブラケット74は、テンションプーリ73を取付たチャンネル状のアーム部74Bと前記した連結バネ76を連係した板状アーム部74Aとで構成される。チャンネル状のアーム部74Bは、基端部74bにおいてチャンネル状を呈しており、その基端部74bを枢支ピン77に支持してある。基端部74bにおける外側に位置する板部分74cを下方に延出し、その板部分74cの下端部にテンションプーリ73を取り付けてある。
【0044】
図11(a)(b)に示すように、クラッチ操作アーム75の近傍で後端枠フレーム80の後方延出端部に受止カム板78が取り付け固定され、受止カム板78の下端面に、上向きに凹入するカム面78Aが設けてある。カム面78Aは、クラッチ操作アーム75が位置する外側に下向きの突出部78aを形成するとともに、突出部78aの内側に突出部78aよりは上方に凹入する受止面部78bを形成して構成してある。
【0045】
以上のような構成によって、クラッチ機構Eの操作について説明する。クラッチ機構Eが切り状態では、図11(a)に示すように、クラッチ操作アーム75の板状フレーム75Aは、後端枠フレーム80の横側方に位置する。ベルクランク状のブラケット74は、伝動ベルト82によって切り位置に押し戻されているテンションプーリ73とともに上方の切り位置に位置している。
【0046】
この状態から、握り部75Bを握り、板状フレーム75Aを押し下げて、クラッチ操作アーム75を操作すると、図11(b)に示すように、板状フレーム75Aが受止板78の下向きの突出部78aを迂回し受止面部78bの下方に達するので、そこで、握り部75Bを離せば、板状フレーム75Aは伝動ベルト82の反力を受けて受止面部78bに当接して、クラッチ操作アーム75はクラッチ入り状態に設定される。
クラッチ機構Eを切り状態とするには、逆の操作を行えばよい。
【0047】
以上、クラッチ操作アーム75を操作してクラッチ機構Eを切りにし、伝動ベルト82を入力プーリ70と出力プーリ71とから取り外し、入力プーリ70を脱穀装置1側に残し、出力プーリ71、及び、駆動軸63をシーブケース35とともに脱穀装置後方に抜き出すことができる。この場合には、脱穀装置1の後方に位置する排ワラカッター7は、その脱穀装置1の後方を開放する退避姿勢に切り換える必要がある。
【0048】
排ワラカッタ7と排塵口17との間にゴム板製の後カバー83を設けた場合の取り扱いについて説明する。図13及び図14に示すように、ゴム板製の後カバー83は前記後端枠フレーム80よりもさらに後方で排塵ファン37の後方に位置する後枠フレーム84に取り付けられ、地面近くまで垂下されている。後カバー83の直前方には、クラッチ操作アーム75の握り部75Bが延出されている。
【0049】
このような配置関係にあるために、クラッチ操作アーム75の握り部75Bは、次のような構成となっている。つまり、クラッチ操作アーム75の板状フレーム75Aの後向き先端部を横側方に屈折させ、その屈折した部分に横向き水平姿勢で握り部75Bを取り付ける。これによって、クラッチ操作を後カバー83に邪魔されることなく行うことができる。
【0050】
以上、このようなクラッチ操作アーム75を後方に延出することによって、脱穀装置1の横側方に位置するグレンタンク86を開放姿勢に切り換えることなく、伝動ベルト82を取り外すことができ、シーブケース35の取り外しを容易に行えるようになった。
また、クラッチ操作アーム75の後方側にゴム板製の後カバー83を配置することによって、クラッチ操作アーム75の握り部75Bに、排塵口17より排出される排塵が握り部75Bに降り掛かることを阻止できる。
【0051】
〔別の実施形態〕
(1)人為的操作部19としては、上記したレバー方式のものだけでなく、ペダル方式のものでもよい。
【0052】
(2)開度変更機構Aとして、処理物重量でリップ板39aを自動的に開度調節する構成を採用したが、リップ板39aの最小開度等を調節する変更調節レバー56とは別個に、処理物量に関係なく、強制的にかつ人為的にリップ板39aの開度を調節する方法を採ってもよい。
【0053】
(3)リンク式連係手段Cとしては、板状の連結材だけでなくロッド製の連結材やバネ等を併用してもよい。
【0054】
(4)上記構成は、コンバインだけでなく、ハーベスタ等の他の脱穀装置を搭載している農機にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】チャフシーブの開度調節構造を示す一部切り欠き側面図
【図4】チャフシーブの開度調節構造を示す横断平面図
【図5】チャフシーブの支点構造を示す縦断正面図
【図6】開度拡大状態に調節されたチャフシーブの開度調節構造を示す一部切り欠き側面図
【図7】操作具と変更調節レバーとを連係するリンク連係手段を示す側面図
【図8】操作具を示す拡大側面図
【図9】2番回収部の後方に配置した燃料タンクにカバーを設けてある状態を示す縦断側面図
【図10】燃料タンク上のカバーを2番回収部の上方に掛け渡して、シーブケースを取り付ける際に、1番回収部用のカバーゴム板を誘導する状態を示す縦断側面図
【図11】(a)排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造を示す縦断背面図、(b) クラッチ操作アームをクラッチ入り状態に維持する受止カム板構造を示す縦断背面図、
【図12】排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造を示す側面図
【図13】排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造とその操作構造を後方から覆う後カバーを示す背面図、
【図14】排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造と後カバーを示す側面図
【符号の説明】
【0056】
18 運転操縦部
19 人為的操作部
35 シーブケース
39 チャフシーブ
39a リップ板
56 変更調節レバー
57 開度調節バネ
A 開度変更機構
B 連係手段
C ワイヤ式連係手段
D リンク式連係手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャフシーブに設けたリップ板における隣接するリップ板同士の間隙から処理物を漏下すべく構成し、前記間隙を現出する前記リップ板群の開度を変更可能な開度変更機構を設けてある脱穀装置の揺動選別構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀装置の揺動選別構造においては、脱穀処理する作物の種類、処理量、濡れ具合等によって、チャフシーブの開度を変更して対応するために、開度変更機構を設けていた。
開度変更機構は、選別部に設けてあるシーブケースにおける左側壁の横外側に変更調節レバーを配置し、この変更調節レバーを運転者が操作することによって、チャフシーブの開度を変更調節していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2003−9642号公報(〔0019〕、〔0036〕、図4,7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構成にあっては、変更調節レバーを操作するには、変更調節レバーが脱穀装置の横側方に配置された横カバーの内部に配置されているために、その横カバーを開放操作する必要があるとともに、その横カバーを開いた状態で変更調節レバーを表出させるための点検口の蓋を、工具を使用して取り外す必要があるところから、調節操作に取り掛かるまでの手間が大変なものになっていた。
【0004】
本発明の目的は、このような点に着目してなされたものであって、操作性の良い調節構造を構築するとともに、そのために採用される操作手段と開度変更機構とを連係する連係手段を合理的に構成できる脱穀装置の揺動選別構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、運転操縦部に人為的操作部を設け、前記開度変更機構を、前記チャフシーブを備えたシーブケースに設け、前記人為的操作部と前記開度変更機構とを連係手段で連係し、前記連係手段を、前記開度変更機構から前記シーブケースの後方を迂回する状態で配置してあるワイヤ式連係手段と、前記ワイヤ式連係手段と前記人為的操作部とを連係するリンク式連係手段とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】
〔作用〕
運転操縦部に人為的操作部を設けたので、シーブケースに取り付けてある開度変更機構の設置位置まで出向く必要がなく、また、従来のように、脱穀装置の横カバーや点検口等を開放する手間を必要とせず、運転操縦部に居ながら変更調節操作が可能ある。
しかも、シーブケースの後方を迂回させる必要のある連係手段としては、選別の為に複雑な楕円運動を行うシーブケースに取り付けられた開度変更機構と固定側に位置する運転操縦部の人為的操作部とを連係する必要があるので、シーブケースと運転操縦部との相対運動を吸収可能なワイヤ式連係手段を採用する。一方、運転操縦部に設けた人為操作部に繋がる連係手段は、シーブケースの取り外しとは関係しない固定の部分であるので、連係手段として伸び等が少なく、人為的操作部の操作量をワイヤ連係手段よりは確実に伝達可能なリンク式連係手段を採用した。
【0007】
〔効果〕
従って、チャフシーブの変更調節を容易迅速に行うことができるとともに、その為に採用した人為的操作部と開度変更機構とを連係する連係手段を、シーブケースの選別運動を考慮し、かつ、人為的操作部での操作量を確実に開度変更機構に伝達可能な手段とし、変更調節の確実さを確保した。
【0008】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記間隙を小さくする方向に前記リップ板群を付勢する付勢手段を設け、前記付勢手段の付勢力に抗して処理物重量が重くなる程前記間隙を大きくする方向に前記リップ板群を移動変位させて前記間隙を変更すべく構成し、前記開度変更機構で前記間隙の最小開口状態を変更すべく構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用効果〕
上記構成によると、付勢手段でリップ板を上方に向けて付勢しているので、間隙を処理物重量に応じて開度調節することができ、自動的な処理が可能である。しかも、例えば、単位時間当たりの収穫量が比較的少なくて処理物が少ない場合には、チャフシーブの最小開度を小さくすることで、ワラ屑やゴミの混入の少ない精度の高い選別を行うことができる。単位時間当たりの収穫量が多く処理物が多い場合には、チャフシーブの最大開度を大きくすることでリップ板群を大きく開きやすくし、処理物の漏下性を高めて停滞や詰まりのない選別を行うことができる。
以上のように、処理物量に対応した処理が可能なチャフシーブの開度調節が自動的に行える構成に加えて、さらに、間隙の最小開度を人為的に調節可能であるので、脱穀作物の状況に対応した選別処理も可能である。
【0010】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記ワイヤ式連係手段と前記リンク式連係手段とを連結解除自在に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0011】
シーブケースの後方を迂回させる必要のある連係手段としては、シーブケースが引き出し操作されるものであるので、シーブケース引き出し時でも取り外すことが容易にでき、取り外した状態で細かく巻き取る等の仕舞い処理が可能なワイヤ連係手段を採用した。
しかも、ワイヤ連係手段をリンク式連係手段から取り外すことができるので、ワイヤ連係手段をシーブケースに取り付けた状態で引き出すことができ、ワイヤ連係手段とシーブケースに取り付けてある開度変更機構との連係を解除する作業を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に、自脱型のコンバインに搭載される脱穀装置1の縦断側面図が示されている。この脱穀装置1は、図外左方の刈取り部から搬送されてきた横倒れ姿勢の刈取り穀稈をフィードチェーン2で受取り、刈取穀稈の穂部を扱室3に挿入した状態で図中左方から右方に挟持搬送することで、扱室3に駆動回転可能に軸支した扱胴4によって脱穀処理する。扱室3の下方に沿って張設した受け網8を漏下した脱穀処理物および扱室終端の送塵口9から排出された処理物を扱室下方の選別部5で揺動風選処理し、穀粒を1番回収部11に回収して横スクリュー12および揚穀装置13で機外に搬出する。枝梗付き穀粒などの2番物を2番回収部14に回収した後、横スクリュー15および還元装置16によって選別部5の前部に還元搬送して再度の選別処理を行い、送塵口9から搬出された脱穀処理後の排ワラを排ワラ搬送装置6に受け渡して後方に斜め搬送し、脱穀装置1の後部に連結される排ワラカッタ7に供給する。
【0013】
図1及び図2に示すように、受け網8の前端部に機体横向き軸芯周りで遊転する横長いローラ体30が支承してある。
この構成によって、フィードチェーン2に根元部を挾持されて扱室3に持ち込まれる脱穀用穀稈の穂先部の搬送抵抗を、ローラ体30の上面を移動させることによって軽減し、搬送遅れを抑制する構成を採っている。
【0014】
脱穀装置1のケースは、扱胴4を軸支した上部ケース1aと、受け網8および選別部5が組み付けられた下部ケース1bとで構成されるとともに、上部ケース1aが前後向き支点(図示せず)を中心にして上方に揺動開放可能に支持されており、上部ケース1aを上方揺動して下部ケース1bを開放することで、受け網8や選別部5の点検整備および掃除を容易に行えるよう構成されている。
【0015】
選別部5には、落下供給された脱穀処理物を後方(図1では右方)に向けて揺動搬送しながら篩い選別する前後に長いシーブケース35、このシーブケース35に向けて下方から選別風を供給して風選別する唐箕36が備えられるとともに、選別部5の後部上方にはシーブケース35の上方に浮き上げられた塵埃やワラ屑、および、扱室終端の送塵口9から送出された塵埃やワラ屑を吸引して機外に排出する横断流型の排塵ファン37が配備されている。
【0016】
シーブケース35には、前方から後方に亘って、前部グレンパン38、前後に長い粗選別用のチャフシーブ39、および、ストローラック40が装備されるとともに、チャフシーブ39の下方には精選別用のグレンシーブ41が装備されている。シーブケース35の前後中間の上部には、送塵口9から排出された処理物を受ける解し選別用の中間ラック42と篩い線43が備えられている。
【0017】
図3に示すように、チャフシーブ39は、多数のリップ板39aを前後方向に所定間隔をもって並列配備して構成されている。各リップ板39aは、リップ板39aの上端における横向きの支点a周りに前後揺動可能に枢支されるとともに、リップ板39aの下端部が前後に長い連係リンク44に枢支連結されており、全部のリップ板39aの角度が同時に変更されて、前後のリップ板39aの間に形成される漏下間隙の開度が増減され、処理物の漏下特性が変更調節されるようになっている。
【0018】
扱室3で脱穀されて穀稈から分離した処理物は先ず受け網8で漏下選別され、この受け網8を漏下した処理物は選別部5の前半部に落下供給されるとともに、受け網8を漏下しなかった処理物は送塵口9から送出されて選別部5の前後中間部に落下供給される。
【0019】
選別部5に落下した処理物はシーブケース35に供給され、供給された処理物は後方(図1では右方)に向けて揺動搬送されながら前部グレンパン38で比重差選別されるとともに、粗選別用のチャフシーブ39、精選別用のグレンシーブ41、ストローラック40等により篩い選別され、唐箕36から後方上方に向けて供給される選別風で風選処理される。
グレンシーブ41から漏下した穀粒は1番回収部11に、また、ストローラック40を漏下した2番物は2番回収部14にそれぞれ選別回収され、ストローラック40を漏下しない大きいワラ屑が選別部5の後端の排塵口17から機外に排出される。
【0020】
リップ板39a群の開度を変更可能な開度変更機構Aについて説明する。図3および図4に示すように、チャフシーブ39を構成するリップ板39a群の内、前後中間に位置する所定のリップ板39aにおける上部枢支ピン60が、シーブケース35の横内側壁に支持されるとともに、リップ板39aにおける下部枢支ピン52がシーブケース35の横側面に形成された円弧状長孔53を貫通して横外側に突出され、後記する変更調節レバー56の枢支ピン51の突出部と下部枢支ピン52の突出部とに亘って作動リンク54が装着されている。作動リンク54における下部枢支ピン連結側とは反対側となる後端箇所にバランスウエイト55が連結されており、シーブケース35の揺動作動に伴ってリップ板39a群が慣性によって揺動作動するのをバランスウエイト55で抑制するよう構成されている。
【0021】
下部枢支ピン52の突出端と、シーブケース35の横外側に配備された変更調節レバー56の上端部とに亘って引っ張りバネからなる開度調節バネ(付勢手段の一例)57が張設され、開度調節バネ57の張力によって下部枢支ピン52が前方上方に引き上げ付勢されることで、連係リンク44を介して連動揺動する全リップ板35aが上方前方、つまり、開度を小さくする方向に付勢されている。
【0022】
開度変更機構Aの主要部品である変更調節レバー56は、金属板材を加工して形成されたものであり、変更調節レバー56の上端部に開度調節バネ57の一端が係止連結されるとともに、変更調節レバー56の前後中間部に下部枢支ピン52を挿通する開口58が形成されている。変更調節レバー56の後端に前記した枢支ピン51が設けてあり、この枢支ピン51に作動リンク54とともに変更調節レバー56を枢支ピン51回りで揺動可能に枢支してある。
【0023】
図6に示すように、変更調節レバー56の前端とシーブケース35とに亘って引っ張りバネからなる復帰バネ61が張設されて、変更調節レバー56が前上方へ揺動自在に付勢されている。シーブケース35の横外側面にはワイヤ受け金具62が設けられ、このワイヤ受け金具62に操作ワイヤ63のアウタ端部が前後向き姿勢で固定支持されるとともに、操作ワイヤ63のアウタ端部から前方に導出されたインナワイヤ63aが変更調節レバー56の後端部に連結されている。
【0024】
開度調節バネ57の張力によって上方に付勢される下部枢支ピン52は、変更調節レバー56に形成された開口58の上端縁又はシーブケース35の側板に形成された円弧状長孔53の上端縁に接当されてそれ以上の付勢移動が阻止され、これによってチャフシーブ39のリップ板群の最小開度が規制される。一方、下部枢支ピン52は、開口58の下端縁に接当されてチャフシーブ39のリップ板群の最大開度が規制されるようになっている。
【0025】
変更調節レバー56の開口58とシーブケース35の側板に形成された円弧状長孔53とは一部重なり合う状態にあり、そのために、次のような操作が行われる。
(1) 開口58の上端縁58aを円弧状長孔53の上端縁53aより上方に位置させる場合
この場合には、開口58の下端縁58bが円弧状長孔53の下端縁53bより上方にあるので、下部枢支ピン52は、円弧状長孔53の上端縁53aと開口58の下端縁53bとに亘って揺動可能である。したがって、開口58の上端縁58aから下端縁58bに亘る範囲よりは、揺動範囲が狭められている。
このような形態は、ワラ屑や切れワラの多い場合や、単位時間当たりの処理物量が少ない場合に、適応される。
(2) 開口58の下端縁58bを円弧状長孔53の下端縁53bより下方に位置させる場合
この場合には、開口58の上端縁58aが円弧状長孔53の上端縁53aより下方にあるので、下部枢支ピン52は、開口58の上端縁58aと円弧状長孔53の下端縁53bとに亘って揺動可能である。
このような形態は、ワラ屑や切れワラの少ない場合や、単位時間当たりの処理物量が多い場合に、適応される。
(3) 開口58の上端縁58aを円弧状長孔53の上端縁53aより下方に位置させ、開口58の下端縁58bを円弧状長孔53の下端縁53bより上方に位置させる場合
この場合には、下部枢支ピン52は、開口58の上端縁58aと下端縁58bとの全長に亘って揺動可能である。
このような形態は、ワラ屑や切れワラの量が中間位で、単位時間当たりの処理物量も中間位の場合に、適応される。
(4) 上記した開度変更機構Aは、刈取り穀稈の濡れ具合に対応して細かい調節が加えられる。
以上、主たる部品として変更調節レバー56を利用することによって、リップ板39a群の最小開度を変更可能な開度変更機構Aを構成する。
【0026】
運転操縦部18に設ける人為的操作部19について説明する。図2、7、8に示すように、運転操縦部18の左後方に支持フレーム20を立設し、この支持フレーム20に棒状の操作フレーム19Aが上下向き姿勢かつ上下スライド移動可能に支持されている。操作フレーム19Aの上端部に横向きに屈曲形成された握り部19Bを設けて、この操作フレーム19Aと握り部19Bとで人為的操作部19を構成する。
【0027】
図7及び図8に示すように、操作フレーム19Aの上端部近傍に操作フレーム19Aの上下方向での位置決めを行うデテント機構21が設けてある。デテント機構21は、操作フレーム19Aを挿通支持するチャンネル状のフレーム22に取付固定されたデテント用バネ板21Aと操作フレーム19Aの一側面に形成された複数個の凹部19aとで構成してある。このデテント用バネ板21Aの係合突起部21aが操作フレーム19Aの凹部19aに係合することによって、操作フレーム19Aの上下方向での位置決めを行っている。
【0028】
次に、人為的操作部19と開度変更機構Aとの連係手段Bについて説明する。
図2及び図7に示すように、連係手段Bは、人為的操作部19に連係され、排塵口17の後方を迂回するワイヤ式連係手段Cと、シーブケース35と穀粒貯留タンク23との間に配置されたリンク式連係手段Dとを連結して構成してある。
【0029】
ワイヤ式連係手段Cについて説明する。図2及び図6、図7に示すように、ワイヤ式連係手段Cは、変更調節レバー56に連係された操作ワイヤ63を、排塵口17の後方を迂回させて、シーブケース35の穀粒貯留タンク23との間に入り込む位置まで迂回させる。
シーブケース35の右後端近くに後支持フレーム24を立設するとともに、その後支持フレーム24にアウターワイヤ受け25を取付け、アウターワイヤ63bを取付固定している。
アウターワイヤ受け25には、クランク状の連係アーム26が前後揺動自在に取付てあり、この連係アーム26の屈曲部位に操作ワイヤ63のインナーワイヤ63aの端部を連結してある。
【0030】
リンク式連係手段Dについて説明する。
図2及び図7に示すように、後支持フレーム24の前方側で、運転操縦部18の左後方部位に前支持フレーム27を立設し、前支持フレーム27にベルクランク28が揺動自在に取付てある。このベルクランク28の一端に、人為的操作部19の操作フレーム19Aの下端部を相対揺動可能に連結してある。
【0031】
一方、ベルクランク28の他端には、フラットバー状の連結材29の一端が連結してあり、その連結材29の他端は、前記したクランク状の連係アーム26の先端に連結してある。
連係アーム26、連結材29、ベルクランク28によって、リンク式連係手段Dを構成する。
【0032】
以上のように構成することによって、握り部19Bを握って、操作フレーム19Aを上下方向に操作することで、開度変更機構Aを操作することができる。
(1) 図7及び図8に示すように、操作フレーム19Aを押し下げ操作した状態では、連結材29が後方側に位置しているために、操作ワイヤ63が緩み状態となっている。このために、変更調節レバー56が開度調節バネ57によって引っ張り操作されて、上向きに回転し、チャフ板63aの最小開度を小さくする位置に設定される。
(2) 図6〜図8に示すように、操作フレーム19Aを引き上げ操作した状態では、連結材29が前方側に移動し、操作ワイヤ63が引き操作される。このために、変更調節レバー56が開度調節バネ57の付勢力に抗して操作ワイヤ63に引っ張り操作されて、下向きに回転し、チャフ板63aの最小開度を大きくする位置に設定される。
(3) デテント機構21を利用して、操作フレーム19Aを上下中間位置に操作した状態では、変更調節レバー56はチャフ板63aの最小開度を大小中間の大きさ位置に設定される。
【0033】
メインテナンス作業のために、シーブケース35を機体後方側に引き出す場合には、図7において、クランク状の連係アーム26から操作ワイヤ63を取り外して、操作ワイヤ63と固定側の運転操縦部18との連係を解除し、操作ワイヤ63をシーブケース35のみに属させて、シーブケース35を引き出し操作する。
このように操作ワイヤ63をクランク状の連係アーム26から取り外す際に、取り外し部位が機体の後端部近傍に存在するので、機体後方側から取り外し操作を行うのに容易に行うことができる。
【0034】
次に、シーブケース35をメインテナンス作業のために一旦取り外した状態から、メインテナンス終了後に、再度、取り付ける際の方法について説明する。図9に示すように、二番回収部14の下方に燃料タンク31を設けてあり、燃料タンク31の上方に防塵カバー32を設けてある。排塵口17より放出される排塵が燃料タンク31の上面等に降り掛かり堆積することを、前記防塵カバー32で防止している。
【0035】
この防塵カバー32は、横方向に長い長方形状を呈しており、横側部の一端に折り曲げ片32Aを形成している。折り曲げ片32Aには、後記するボルト45の頭径より大きな位置決め用の開口32aが設けてある。
【0036】
一方、1番回収部11に漏下穀粒を搬送用の横スクリュー12まで誘導する傾斜ガイド面11Aを設けてあり、その傾斜ガイド面11Aをカバーゴム板46で覆っている。このカバーゴム板46は、上端部をシーブケース35の下向き突出部35Aにボルトで取付固定してある。
このカバーゴム板46は、シーブケース35を機外に取り出す場合には、1番回収部11から2番回収部14の傾斜ガイド面14Aに沿ってシーブケース35とともに移動する。しかし、シーブケース35を再度取付るために、所定位置までシーブケース35を押し込んでいく際に、下向きに垂れ下がったカバーゴム板46の下半部が、2番回収部14における傾斜ガイド面14Aのうちの、機体前方側に位置する前方傾斜ガイド面14aに当接することがある。したがって、カバーゴム板46が、シーブケース35の下向き突出部35Aに取り付けられた基端部と、先端遊端部との間の中間部分で折れ曲がりを生じ、2番回収部14と1番回収部11との境界突出部を乗り越えることが出来ない虞があり、1番回収部11の傾斜ガイド面11Aの後側傾斜ガイド面11bに所定姿勢で設置されないことが考えられる。
【0037】
そこで、シーブケース35を装着する場合には、次のような方法を採っていた。つまり、
シーブケース35を機外に取り出した状態で、燃料タンク31の上方に位置する防塵カバー32を取り外し、図10に示すように、その防塵カバー32を2番回収部14の前後傾斜ガイド面14a、14bの上端に亘って跨る状態で掛け渡す。
この場合に、防塵カバー32の折り曲げ片32A部分を2番回収部14の後側傾斜ガイド面14bの上端部に被せて、防塵カバー32の機体前後方向での位置決めを図っている。
【0038】
後側傾斜ガイド面14bの上端部にはボルト45を取り付けてあり、このボルト45の頭部に、防塵カバー32の折り曲げ片32Aの位置決め用開口32aを被せて、左右方向、及び、上下方向での位置決めを行っている。
また、このボルト45の頭部が防塵カバー32を取り付ける際の目印となるので、取付作業が容易になる。
【0039】
防塵カバー32を取り付けた後に、シーブケース35を押し込んで取り付けるが、シーブケース35を押し込んでいく途中の段階で、垂れ下がり状態にあるカバーゴム板46の下半部を作業者が持ち上げて、カバーゴム板46の下端が機体前方側に位置する状態で防塵カバー32の上に載せ付ける。その状態でシーブケース35の移動とともにカバーゴム板46を防塵カバー32の上面を擦らせながら移動させて、シーブケース35を所定位置に設置した状態でカバーゴム板46を1番回収部の後側傾斜ガイド面11bの上に載置される。
【0040】
シーブケース35を取り外す際のシーブケース駆動系に介装されているクラッチ機構Eの取り外し構造について説明する。図11、及び、図12に示すように、脱穀装置1の両側板1B間に亘って、シーブケース35の駆動軸65を架設する。両側板1Bの後端枠フレーム80に軸受部材81を固定し、軸受部材81に軸受を介して駆動軸65を支持してある。
図11に示すように、駆動軸65には偏芯状のインナーレース66Aが遊転状態で外嵌されるとともに、偏芯板67を一体固定されており、インナーレース66Aと偏芯板67とをボルト68で一体固定してある。インナーレース66Aの外側には、アウターレース66Bが外嵌されており、そのアウターレース66Bの外周面にシーブケース35の底面から立ち下げられているブラケット69を外嵌して、シーブケース35の偏芯駆動構造を構成している。
【0041】
図11及び図12に示すように、脱穀側板1Bの外側に駆動軸65の一端を延出し、その延出端65に入力プーリ70を取付固定してある。この入力プーリ70にはバランスウエイト70Aが取り付け固定してあり、前記偏芯状態で駆動軸65に取り付けられているインナーレース66Aに対して駆動軸65の軸芯を挟んで180°反対側にバランスウエイト70Aが配置してある。一方、入力プーリ70の上方には、出力プーリ71が設置してあり、出力プーリ71が排塵ファン37を駆動する駆動軸72に取付てある。
【0042】
出力プーリ71と入力プーリ70とに亘って伝動ベルト82が掛け渡されており、排塵ファン37からシーブケース35への駆動伝動構造が形成されている。出力プーリ71と入力プーリ70との中間位置には、テンションプーリ73が配置されて、テンションプーリ式のクラッチ機構Eを構成してある。
脱穀側板1Bの中間桟部材1cの延出端に、その中間桟部材1cから横側方に枢支ピン77を延出し、その枢支ピン77にベルクランク状のブラケット74を揺動自在に支持する。その中間桟部材1cにブラケット74に隣接する状態でクラッチ操作アーム75を揺動自在に取付け、ブラケット74の後記する板状アーム部74Aと握り部75Bを備えたクラッチ操作アーム75の板状フレーム75Aとを連結バネ76で連係してある。
【0043】
ベルクランク状のブラケット74は、テンションプーリ73を取付たチャンネル状のアーム部74Bと前記した連結バネ76を連係した板状アーム部74Aとで構成される。チャンネル状のアーム部74Bは、基端部74bにおいてチャンネル状を呈しており、その基端部74bを枢支ピン77に支持してある。基端部74bにおける外側に位置する板部分74cを下方に延出し、その板部分74cの下端部にテンションプーリ73を取り付けてある。
【0044】
図11(a)(b)に示すように、クラッチ操作アーム75の近傍で後端枠フレーム80の後方延出端部に受止カム板78が取り付け固定され、受止カム板78の下端面に、上向きに凹入するカム面78Aが設けてある。カム面78Aは、クラッチ操作アーム75が位置する外側に下向きの突出部78aを形成するとともに、突出部78aの内側に突出部78aよりは上方に凹入する受止面部78bを形成して構成してある。
【0045】
以上のような構成によって、クラッチ機構Eの操作について説明する。クラッチ機構Eが切り状態では、図11(a)に示すように、クラッチ操作アーム75の板状フレーム75Aは、後端枠フレーム80の横側方に位置する。ベルクランク状のブラケット74は、伝動ベルト82によって切り位置に押し戻されているテンションプーリ73とともに上方の切り位置に位置している。
【0046】
この状態から、握り部75Bを握り、板状フレーム75Aを押し下げて、クラッチ操作アーム75を操作すると、図11(b)に示すように、板状フレーム75Aが受止板78の下向きの突出部78aを迂回し受止面部78bの下方に達するので、そこで、握り部75Bを離せば、板状フレーム75Aは伝動ベルト82の反力を受けて受止面部78bに当接して、クラッチ操作アーム75はクラッチ入り状態に設定される。
クラッチ機構Eを切り状態とするには、逆の操作を行えばよい。
【0047】
以上、クラッチ操作アーム75を操作してクラッチ機構Eを切りにし、伝動ベルト82を入力プーリ70と出力プーリ71とから取り外し、入力プーリ70を脱穀装置1側に残し、出力プーリ71、及び、駆動軸63をシーブケース35とともに脱穀装置後方に抜き出すことができる。この場合には、脱穀装置1の後方に位置する排ワラカッター7は、その脱穀装置1の後方を開放する退避姿勢に切り換える必要がある。
【0048】
排ワラカッタ7と排塵口17との間にゴム板製の後カバー83を設けた場合の取り扱いについて説明する。図13及び図14に示すように、ゴム板製の後カバー83は前記後端枠フレーム80よりもさらに後方で排塵ファン37の後方に位置する後枠フレーム84に取り付けられ、地面近くまで垂下されている。後カバー83の直前方には、クラッチ操作アーム75の握り部75Bが延出されている。
【0049】
このような配置関係にあるために、クラッチ操作アーム75の握り部75Bは、次のような構成となっている。つまり、クラッチ操作アーム75の板状フレーム75Aの後向き先端部を横側方に屈折させ、その屈折した部分に横向き水平姿勢で握り部75Bを取り付ける。これによって、クラッチ操作を後カバー83に邪魔されることなく行うことができる。
【0050】
以上、このようなクラッチ操作アーム75を後方に延出することによって、脱穀装置1の横側方に位置するグレンタンク86を開放姿勢に切り換えることなく、伝動ベルト82を取り外すことができ、シーブケース35の取り外しを容易に行えるようになった。
また、クラッチ操作アーム75の後方側にゴム板製の後カバー83を配置することによって、クラッチ操作アーム75の握り部75Bに、排塵口17より排出される排塵が握り部75Bに降り掛かることを阻止できる。
【0051】
〔別の実施形態〕
(1)人為的操作部19としては、上記したレバー方式のものだけでなく、ペダル方式のものでもよい。
【0052】
(2)開度変更機構Aとして、処理物重量でリップ板39aを自動的に開度調節する構成を採用したが、リップ板39aの最小開度等を調節する変更調節レバー56とは別個に、処理物量に関係なく、強制的にかつ人為的にリップ板39aの開度を調節する方法を採ってもよい。
【0053】
(3)リンク式連係手段Cとしては、板状の連結材だけでなくロッド製の連結材やバネ等を併用してもよい。
【0054】
(4)上記構成は、コンバインだけでなく、ハーベスタ等の他の脱穀装置を搭載している農機にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】チャフシーブの開度調節構造を示す一部切り欠き側面図
【図4】チャフシーブの開度調節構造を示す横断平面図
【図5】チャフシーブの支点構造を示す縦断正面図
【図6】開度拡大状態に調節されたチャフシーブの開度調節構造を示す一部切り欠き側面図
【図7】操作具と変更調節レバーとを連係するリンク連係手段を示す側面図
【図8】操作具を示す拡大側面図
【図9】2番回収部の後方に配置した燃料タンクにカバーを設けてある状態を示す縦断側面図
【図10】燃料タンク上のカバーを2番回収部の上方に掛け渡して、シーブケースを取り付ける際に、1番回収部用のカバーゴム板を誘導する状態を示す縦断側面図
【図11】(a)排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造を示す縦断背面図、(b) クラッチ操作アームをクラッチ入り状態に維持する受止カム板構造を示す縦断背面図、
【図12】排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造を示す側面図
【図13】排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造とその操作構造を後方から覆う後カバーを示す背面図、
【図14】排塵ファン軸からシーブケースの駆動軸への伝動系に設けてあるクラッチ機構に対する入切操作構造と後カバーを示す側面図
【符号の説明】
【0056】
18 運転操縦部
19 人為的操作部
35 シーブケース
39 チャフシーブ
39a リップ板
56 変更調節レバー
57 開度調節バネ
A 開度変更機構
B 連係手段
C ワイヤ式連係手段
D リンク式連係手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャフシーブに設けたリップ板における隣接するリップ板同士の間隙から処理物を漏下すべく構成し、前記間隙を現出する前記リップ板群の開度を変更可能な開度変更機構を設けてある脱穀装置の揺動選別構造において、
運転操縦部に人為的操作部を設け、前記開度変更機構を、前記チャフシーブを備えたシーブケースに設け、前記人為的操作部と前記開度変更機構とを連係手段で連係し、前記連係手段を、前記開度変更機構から前記シーブケースの後方を迂回する状態で配置してあるワイヤ式連係手段と、前記ワイヤ式連係手段と前記人為的操作部とを連係するリンク式連係手段とで構成してある脱穀装置の揺動選別構造。
【請求項2】
前記開度変更機構が、前記間隙を小さくする方向に前記リップ板群を付勢する付勢手段を設け、前記付勢手段の付勢力に抗して処理物重量が重くなる程前記間隙を大きくする方向に前記リップ板群を移動変位させて前記間隙を変更するとともに、前記間隙の最小開口状態を変更すべく構成してある請求項1記載の脱穀装置の揺動選別構造。
【請求項3】
前記ワイヤ式連係手段と前記リンク式連係手段とを連結解除自在に構成してある請求項1又は2記載の脱穀装置の揺動選別構造。
【請求項1】
チャフシーブに設けたリップ板における隣接するリップ板同士の間隙から処理物を漏下すべく構成し、前記間隙を現出する前記リップ板群の開度を変更可能な開度変更機構を設けてある脱穀装置の揺動選別構造において、
運転操縦部に人為的操作部を設け、前記開度変更機構を、前記チャフシーブを備えたシーブケースに設け、前記人為的操作部と前記開度変更機構とを連係手段で連係し、前記連係手段を、前記開度変更機構から前記シーブケースの後方を迂回する状態で配置してあるワイヤ式連係手段と、前記ワイヤ式連係手段と前記人為的操作部とを連係するリンク式連係手段とで構成してある脱穀装置の揺動選別構造。
【請求項2】
前記開度変更機構が、前記間隙を小さくする方向に前記リップ板群を付勢する付勢手段を設け、前記付勢手段の付勢力に抗して処理物重量が重くなる程前記間隙を大きくする方向に前記リップ板群を移動変位させて前記間隙を変更するとともに、前記間隙の最小開口状態を変更すべく構成してある請求項1記載の脱穀装置の揺動選別構造。
【請求項3】
前記ワイヤ式連係手段と前記リンク式連係手段とを連結解除自在に構成してある請求項1又は2記載の脱穀装置の揺動選別構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−81811(P2010−81811A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251592(P2008−251592)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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