説明

脱穀装置用の切り刃

【課題】凹凸刃縁の形態を変更することにより摩耗し難いものとする。
【解決手段】切り刃1は、脱穀装置に着脱自在に取り付ける取付ボルトを挿通する透孔g1を形成した取付部1Cと、単一平面状に形成した一対の平板部1A、1Aとをコ字状に一体的に形成し、平板部1Aには、直線状に形成した下辺部b01と、取付部1Cの一端から先端部に向けて漸次に降下し一線状に変化する上辺部b0とを形成し、上辺部b0には脱穀装置の扱室内を扱歯と共に連れ回りしている藁を粉砕する凹凸刃縁1aを形成し、凹凸刃縁1aは単一平面に直交する方向から見たときの形状を逆三角状とされた空所からなる凹部b1と、上辺部b0に沿った刃縁である頂縁箇所b4を形成した凸部b2とを上辺部b0に沿って交互に繰り返して一線状に形成した構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置の扱室内に装着される切り刃に関するものである。
【背景技術】
【0002】
b1図13は従来例で、脱穀装置用の切り刃を示している。
【0003】
図13に示すように、単一平面に沿う2つの平板部1A、1Aを備え、各平板部1Aの幅方向a1の少なくとも一方の側縁b0に凹部b1と凸部b2とが交互に繰り返される一線状の凹凸刃縁1aを形成された、脱穀機用の切り刃1は既に知られている(特許文献1、2、3)。
【0004】
この切り刃1は、扱胴を軸架している扱室或いは、処理胴を軸架している処理室内に配設されると共に、扱胴或いは処理胴の軸心方向視において平板部1Aの先端を扱胴の扱歯或いは、処理胴の処理歯の回転軌跡円内に入り込ませるように位置されており、扱歯或いは処理歯に連れ回りしている藁クズを、凹凸刃縁1aで切断するように機能するものである。
【0005】
この種の切り刃1は、前記単一平面に平行とされ且つ直線状、凸形円弧線状又は凹形円弧線状の何れかの形状に沿ったものとされる。
【0006】
図14は側縁b0が凸形円弧線状である場合の切り刃1の加工例を説明するためのものである。
上記切り刃1の凹凸刃縁1aは例えば次のようにして加工される。
【0007】
先ず、厚さ例えば3.5mm程度の鋼板から図14Aに示すような外形の平板部材1Bを作成しておき、上記平板部1Aとなるべき各箇所b3の幅方向a1の一側縁b0に、プレス機を使用して、上方視三角形状の溝c1をこれの存在する側縁b0の方向に対しほぼ直交する向きとして該側縁b0に沿った一定間隔(例えば3mm程度)で繰り返し形成する。こうして溝c1の形成された側縁b0の形状はこれを矢印方向x1−x1から見たとき、図14Bに示すような形態となる。
【0008】
このさい、各溝c1の断面形状は図14Bを拡大して示した図14Cに示すように、2つの直線c10、c11と、平板部材1Bの一面上の直線c12とで囲まれた三角形となり、このとき、2つの直線c10、c11の角度θ1は例えば60度程とされ、またその深さは平板部材1Bの厚さの略半分程度とされる。
【0009】
この加工段階における平板部材1Bのx2−x2部の断面を示すと、図15Aに示すようになるのであり、この状態の平板部材1Bの厚さ方向a2の一側を研削して傾斜面c3を形成する。この傾斜面c3の平板部材1Bの一面に対する角度θ2は例えば15度程度とされる。
【0010】
研削した後の平板部材1Bの断面は図15Bに示すようになり、溝c1の一部が平板部材1B上に残り、且つ、図14A中の三角形状の溝c1間の三角形状部分の先部d1が錐先状となって残存する。錐先状の先部d1のそれぞれが図13中の凹凸刃縁1aを矢印方向a3から見たときの三角状の各凸部b2の先部に対応する。なお図15B中の符号f1は凹部b1の傾斜面c3に沿った方向の深さを示している。
【0011】
この後、平板部材1Bを図14中の一点鎖線位置e1、e1で折り曲げることにより、図13に示すような形態とし、さらに適当な熱処理を施して、凹凸刃縁1aの硬度を概略HRc55程度とする。
【0012】
こうして加工された切り刃1は、図13中において藁クズが矢印方向a4へ移動される過程で、それを切断するような先鋭状の刃先を有するものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−81467号公報
【特許文献2】特開2006−271263号公報
【特許文献3】特開2007−143536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記した従来の切り刃1は、凹凸刃縁1aの各凸部b2の先部d1が錐先状に尖っているため、脱穀機に装着されて使用されると、比較的早く摩耗が進行するのであり、例えば一町ほどの広さの圃場に植えられた稲を脱穀すると、明らかに切れ味が劣化して、未切断の藁クズの存在に起因して動力の浪費が増大するようになる。
【0015】
これを回避するための、1つの対処は、切り刃1の凹凸刃縁1aを研磨することであるが、このように切れ味の劣化した時点の切り刃1の凹凸刃縁1aはその肉部が新品の段階から薄いことに起因して、もはや凹凸が存在しない程度にまで摩耗しており、実際上、研磨による切れ味の再生は不可能な状態となっており、切れ味の劣化した切り刃1は新しいものと交換しているのが実情である。
【0016】
他の対処は、切り刃1の硬度を大きくして摩耗し難くすることであるが、各凸部b2は先部が錐先状に尖っていて、その肉部の体積が小さくしかも刃先の厚さが薄いことから、ロックウェル硬度でHRC60以上にすると、使用中における藁クズや籾や砂などとの衝突で、先部が欠損する現象が頻発するようになるのであり、したがって凹凸刃縁1aの硬度は従来のものより大きくすることができないのが実情である。
【0017】
本発明は、このような実情に対処するために創案したものであって、凹凸刃縁1aの形態を変更することにより摩耗し難いものとした脱穀機用の切り刃を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本願の第1の発明に係る脱穀機用の切り刃は、
コンバイン或いは、自走自脱形に搭載した脱穀装置に備えた脱穀装置用の切り刃(1)において、切り刃(1)は、脱穀装置に着脱自在に取り付ける取付ボルトを挿通する透孔(g1)を形成した取付部(1C)と、単一平面状に形成した一対の平板部(1A、1A)とをコ字状に一体的に形成し、
同平板部(1A)には、直線状に形成した下辺部(b01)と、取付部(1C)の一端から先端部に向けて漸次に降下し一線状に変化する上辺部(b0)とを形成し、
上辺部(b0)には、脱穀装置の扱室内を扱歯(4)と共に連れ回りしている藁を粉砕する凹凸刃縁(1a)を形成し、
同凹凸刃縁(1a)は、上記単一平面に直交する方向から見たときの形状を逆三角状とされた空所からなる凹部(b1)と、上辺部(b0)に沿った刃縁である頂縁箇所(b4)を形成した凸部(b2)とを上辺部(b0)に沿って交互に繰り返して一線状に形成したことを特徴とするものである。
【0019】
この第1の発明は次のように具体化するのがよい。
即ち、第一の具体化では、上記凸部(b2)は上記単一平面と直交する方向から見たときの形状を台形に形成すると共に、該台形の上辺は上記頂縁箇所(b4)で形成した構成とする。
【0020】
第二の具体化では、記凹部(b1)は、上記単一平面と直交する方向の一側を、上記平板部(1A、1A)の一側の平面に形成された溝(c1)で形成されており、該溝(c1)は前記した平板部(1A、1A)の一側の平面上で、上記上辺部(b0)の外周線からなる外周辺(d3)にほぼ直交するように傾斜した第1長辺部(d4)と、該外周辺(d3)にほぼ直交するように傾斜した第2長辺部(d5)と、これら第1及び第2長辺部(d4、d5)を結合した第1傾斜辺部(d6)とで囲まれた外形とした構成とする。
【0021】
次に本願の第2の発明に係る脱穀機用の切り刃は、
コンバイン或いは、自走自脱形に搭載した脱穀装置に備えた脱穀装置用の切り刃(1)において、
切り刃(1)は、
脱穀装置に着脱自在に取り付けるための取付部(1C)と、これの各端部から折れ曲がり状で平行状に延出され各々が単一平面状とされた一対の平板部(1A、1A)とを備え、
同平板部(1A)は、取付部(1C)側から先端部に向けて漸次に降下するように一線状に変化する上辺部(b0)を具備し、
同上辺部(b0)には、脱穀装置の扱室内を扱歯(4)と共に連れ回りしている藁を切断し粉砕する凹凸刃縁(1a)が形成され、
同凹凸刃縁(1a)は、凹部(b1)と凸部(b2)とが前記上辺部(b0)に沿って交互に繰り返して形成され、
前記した各凸部(b2)は上記単一平面に直交する方向から見たとき、外周囲が前記取付部(1C)側に位置した上手辺部(b5)と、各平板部(1A)の先端側に位置した下手辺部(b6)と、これら上手辺部(b5)と下手辺部(b6)を結合する頂縁箇所(b4)とで囲まれた形態とされ、
前記上手辺部(b6)が直線状の刃縁とされ水平線に対し比較的大きな角度で、その対応する凸部(b2)の前記下手辺部(b6)側へ上昇するように傾斜され、
前記頂縁箇所(b4)が直線状の刃縁とされ水平線に対し前記上手辺部(b5)よりも小な角度で、その対応する凸部(b2)の前記下手辺部(b6)側へ上昇するように傾斜されていることを特徴とする。
【0022】
この第2の発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、前記頂縁箇所(b4)の傾斜度合いは、その対応する位置の上辺部(b0)の接線(m1)に対する角度(θ4)が10度〜15度の範囲内となる状態とする。
【発明の効果】
【0023】
本願の第1の発明によれば、各凸部(b2)の先部が錐先状に尖った状態とならず、凹凸刃縁(1a)の形成された側縁(b0)に沿う頂縁箇所(b4)を有しているため、凸部(b2)の先部の肉部の体積が大幅に増大されて使用による摩耗の進行が顕著に抑制され、扱室内又は処理室内での使用において、従来のものよりも長期に亘って良好な切れ味を持続することのできるものとなる。さらには凸部(b2)の先部の肉部の体積の増大が該凸部(b2)の硬度の増大化を可能とし、これにより凹凸刃縁(1a)の切れ味の長期維持を一層、促進させることができるのである。また摩耗の進行が抑制されて凹部(b1)が長期に亘って存在するようになるため、凹凸刃縁(1a)の切れ味が劣化した時点で凹凸刃縁(1a)の切れ味を再生するための研削代が残存する状態となり、この結果、凸部(b2)の先部のうち平板部(1A)厚さ方向の各側部箇所を傾斜面状に研削しても凹部(b1)は消失せず、凹凸刃縁(1a)の切れ味を容易に再生させることが可能となる。
【0024】
上記した第一の具体化によれば、各凸について、平板部(1A)基端側から平板部(1A)先端側へ向け漸次に高くなる先鋭状の斜辺部である上手辺部(b5)を形成することができ、この上手辺部(b5)及びこれに続く頂縁箇所(b4)にて藁くずを切れ味よく切断することが可能となる。
上記した第二の具体化によれば、凹凸刃縁(1a)を形成するために必要となる溝(c1)を比較的深く形成しても該溝(c1)が平板部(1A)の幅方向(a1)へ長く延びるのを回避することができるのであり、この結果、使用中において藁クズから付与される曲げ力に対する平板部(1A)の強度が溝(c1)の窪みに起因して低下するような事態は効果的に回避される。
【0025】
本願の第2の発明によれば、第1の発明に準じた効果がえられる上に、頂縁箇所(b4)が上辺部(b0)に対し下手辺部(b6)側へ上昇するように傾斜されていることから凹凸刃縁(1a)の切れ味が一層向上するものとなる。
この発明において、任意の頂縁箇所(b4)の傾斜度合いが次のような状態のとき、即ち、その頂縁箇所(b4)の対応する位置の上辺部(b0)の接線(m1)に対する角度(θ4)が10度〜15度の範囲内となる状態のとき、第1の発明の効果が得られる上に凹凸刃縁(1a)の切れ味が向上するという作用を効果的に発現させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る脱穀装置用の切り刃の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】上記切り刃を示しAは側面図でBは中央縦断面図である。
【図3】上記切り刃の加工途中を示しており、Aは水平に位置された平板部材の平面図でBは平板部材の側縁を型押しした状態を示す平面図でCはx3−x3部を示す断面図である。
【図4】上記切り刃の加工途中を示しており、Aは溝を形成された状態の平面図でBはx4−x4部を示す図でCは図4の一部を拡大した状態の説明図でDはBの一部を拡大した状態を示す図である。
【図5】上記溝を形成するための押し型を示しており、A及びBはそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。
【図6】上記切り刃の加工途中を示しており、Aは図4中のx5−x5部を示す断面図でBはAに示したものの一部を研削した状態を示す断面図である。
【図7】上記切り刃を装着された脱穀装置の上方視断面図である。
【図8】上記脱穀装置の前方視断面図である。
【図9】上記切り刃の変形例を示しており、A及びBは凹凸刃縁が凹み状の切り刃を示した斜視図及び側面図であり、C及びDは凹凸刃縁が上記平板部の上下の側縁に形成された切り刃を示した斜視図及び側面図である。
【図10】本発明に係る脱穀装置用の切り刃の第2実施例を示す斜視図である。
【図11】上記第2実施例の切り刃を示しAは側面図でBは中央縦断面図である。
【図12】上記第2実施例の切り刃の一部を示す拡大図である。
【図13】従来の切り刃を示す斜視図である。
【図14】従来の切り刃の加工手順を示す説明図でAは水平に位置された平板部材の平面図、Bはx1−x1部を示す図、CはBの一部を拡大した図である。
【図15】従来の切り刃の加工途中を示しており、Aは図14中のx2−x2部を示す拡大断面図でBはAに示したものの一部を研削した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【第1実施例】
【0028】
図1〜図6は本発明に係る脱穀装置用の切り刃の一実施例に係るものである。
この切り刃1は、図1及び図2に示すように、平面視コ字形とされており、取付部1Cとこれの左右に位置した一対の平板部1A、1Aからなっている。
【0029】
取付部1Cは中央箇所に、図示しない取付ボルトを挿通するための透孔g1が形成されている。一対の平板部1A、1Aは前後方向a5に沿った垂直な単一平面に沿ったものとされ、幅方向a1の一方の側縁b01である下辺部は水平な直線状に形成されると共に、他方の側縁である上辺部b0は取付部1Cの側(基端側)から先端に向け漸次に降下するような円弧線状とされている。
【0030】
そして、上辺部b0にはこれに倣って凹凸刃縁1aが円弧線状に形成されている。この凹凸刃縁1aは平板部1Aをこれと直交する方向a3から見たとき、平板部1Aの幅方向a1中央側を頂点とする逆三角状の凹部b1と、上辺部b0に倣う頂縁箇所b4を有する凸部b2とを交互に繰り返すように形成されている。
【0031】
凸部b2のそれぞれは、平板部1A基端側に位置され平板部1A幅中央線に対し平板部1A基端側から平板部1A先端側へ向けて漸次に高くなる斜辺部b5である上手辺部を有している。そして、上手辺部b5は平板部4Aに直交する方向a3で対向した各側部を、平板部1Aの研削により得られる傾斜面c3、c5で形成され、これら一対の傾斜面c3、c5が例えば45度程度で交差されることにより先鋭化されており、藁に対し良好な切れ味を呈するものとされている。
【0032】
また各凸部b2の頂縁箇所b4は平板部1Aに直交する方向a3で対向した各側部を傾斜面c3、c6で形成され、これら一対の傾斜面c3、c6が例えば35度程度で交差されることにより先鋭化されており、藁に対し良好な切れ味を呈するものとされている。そして、頂縁箇所b4は上辺部b0に沿った方向の長さを1.5mm〜4mmの範囲内とされている。
【0033】
ここで、1.5mmを下限としたのは、これよりも小さいと、凸部b2の肉部の体積(質量)が従来の凸部b2にくらべて十分な程度に大きくならず、頂縁箇所b4の硬度をHRc60以上とした場合における使用時負荷に対する靭性を十分な大きさとすることができず凸部b2の欠損現象が頻発するようになるからであり、また凸部b2の摩耗の進行を従来の凸部b2のそれにくらべ明確な差違の確認される程度に抑制できないからである。
【0034】
一方、4mmを上限としたのは、これよりも大きいと、切り刃1の大きさは脱穀装置の構造に基づいてその変更を規制されるにも拘わらず、凹凸刃縁1aの上辺部b0に沿った方向での凸部1bの繰り返しピッチが過度に大きくなって、1つの平板部1A上の凸部b2の数が不足したり、十分な深さの凹部b1とすることが困難となり、藁を対象とする切断性能が劣化するからである。
【0035】
次に上記した切り刃1の加工手順の一例を説明する。
厚さが例えば3.5mm程度である鋼板から図3Aに示すような外形の平板部材1Bを作成し、切り刃1の平板部1Aとなるべき各箇所b3の一面の平面視円弧線状の上辺部b0のうち、凹凸刃縁1aが形成される予定領域の、上辺部b0上の長さ範囲より少し長い範囲でしかも、該上辺部b0と直交する方向の寸法である幅が数mm(例えば2mm〜3mmまでの大きさ)程度である範囲箇所をプレス機で型押しすることにより、図3B及びCに示すように平板部材1Bの一面に対する角度θ2を例えば13度程度とされた傾斜面c6を形成する。この型押しは傾斜面c6箇所の鋼材を鍛える作用がある。
【0036】
次に凹凸刃縁1aを形成する予定の領域に、プレス機で型押しすることにより、図4Aに示すように刃形成用の溝c1を、その最深位置を連ねた直線の方向d2が上辺部b0の外周線にほぼ直交するような向きとして該上辺部b0の外周線上の一定間隔(例えば4〜7mm程度)で繰り返し形成する。多数の溝c1を形成された上辺部b0を矢印方向x4−x4から見たとき、図4Bに示すような形態となる。図4Aの溝c1周辺を拡大して見たとき、その形状は図4Cに示すようになり、矢印方向x4−x4から見た形状を拡大すると、図4Dに示すようになる。
【0037】
各溝c1の平面視形状は、図4Cに示すように上辺部b0の外周線からなる外周辺d3と、外周辺d3にほぼ直交した第1長辺部d4と、外周辺d3とほぼ直交した第2長辺部d5と、これら長辺部d4、d5を結合した第1傾斜辺部d6とで囲まれた外形となっており、この外形の内方に後述の2つの面の交叉線である第2傾斜辺部d7を有するものとなっている。
【0038】
図5はこのような溝c1を形成するための押し型2を示している。この押し型2は例えば45度で交叉した2つの基本面h1、h2を有すると共に、これら基本面h1、h2に交叉する付加面h3を有するものとなっている。このさい、各面h1、h2、h3の交叉した稜線箇所は先鋭状とならないようにR面取りを施すのがよい。この押し型2をプレス機で矢印方向a6へ往復移動させて平板部材1Bを押圧することで、平板部材1Bの上側の一面に図4に示す各溝c1が形成される。このさい、図4C及びDに示すように、基本面h1が各溝c1における第1の溝面h01を形成し、他の基本面h2が第2の溝面h02を形成し、付加面h3が第3の溝面h03を形成する。上記第2傾斜辺部d7は2つの溝面h02、h03の交叉により形成された線である。
【0039】
こうして形成された各溝c1の深さは従来の場合にくらべ大きくされるのであり、例えば平板部材1Bの厚さの7割以上に及ぶものとされる。
【0040】
ここで、付加面h3の存在意義について説明する。
いま、仮に各溝c1を第1の側面h1と第2の側面h2のみで従来と同様な平面視三角形の形態としたときは、2つの側面h1、h2の図4Dに示す交叉角θ1が従来のそれよりも小さい45度とされたこと、及び、各溝c1の深さが大きくされたことの双方に起因して、各溝c1は図4Cに仮想線d8で示すように平板部材1Aの幅方向a1へ過度に長い形状になる。このように深く長い形状の溝c1は平板部材1Bが切り刃1とされて使用される場合に、切り刃1としての強度を著しく減じるものとなる。このような強度低下を回避するには溝c1を短くすればよいのであり、これを実現させるために、付加面h3を形成したのである。この付加面h3の存在により、各溝c1は仮想線d8の範囲に凹み箇所を有しないものとなり、平板部材1B上における各溝c1の、上辺部b0に直交した長さが従来の溝c1のそれと同等又はそれ以下となり、既述の強度低下が回避される。
【0041】
平板部材1Bを図4D中の矢印x5−x5で示す位置で切断すると図6Aに示すようになる。この状態の平板部材1Bについて、溝c1の存在しない側の一面のうちの、溝存在領域と対向した溝対応範囲を研削具で研削して、平板部材1Bの一面に対する傾斜角度θ3が例えば22度となるような傾斜面c3を形成し、この傾斜面c3と先の傾斜面c6とを交叉させた状態とする。
【0042】
これにより、平板部材1Bは図2Bや図6Bに示すように、各溝c1を形成した2つの溝面h01、h02が部分的に切除されるのであり、該切除の後、図1において、平板部材1Bの溝存在領域を平板部材1Bに直交する方向a3から見たとき、図2に示すように逆三角状の凹部b1と、上辺部b0に倣う頂縁箇所b4を有する凸部b2とが円弧線状の上辺部b0に沿って繰り返し形成された状態となる。
【0043】
そして一対の傾斜面c3、c6は、頂縁箇所b4を含み且つ平板部1Aに平行な平面を挟むように且つ頂縁箇所b4の刃先に寄るほど間隔が小さくなるように関係される。このような構成とされた各凸部b2は従来の凸部b2にくらべその肉部の体積が飛躍的に大きなものとなる。
【0044】
ここで、凹部b1と凸部b2のそれぞれについて詳細に説明する。
凹部b1は、溝面h01、溝面h02及び溝面h03で囲まれた空所箇所であり、平板部材1Bと直交する方向a3から凹部b1を見たとき、図2及び図6などに示すように溝面h01と傾斜面c3との交叉する箇所である下手辺部b6と、溝面h02と傾斜面c3との交叉する箇所である上手辺部b5と、これら辺部b5、b6を結合する仮想線d9とで囲まれた領域が三角状に見える。この凹部b1の傾斜面c3に沿う深さb1aは、傾斜面c3の傾斜角度θ3や、溝c1の深さc01、及び、溝面h01と溝面h02との交叉線箇所の長さc02に関連して決定されるのであり、傾斜角度θ3が小さいほど、そして溝c1の深さc01及び長さc02が大きいほど大きくなる。したがって、この実施例においては凹部b1の深さb1aは従来のそれよりも、大きいものとなる。
【0045】
一方、凸部b2は、図2、図4及び図6などに示すように、溝面h03、溝面h02、傾斜面c3、この傾斜面c3と対向した平板部材1Bの一面、及び溝面h01で囲まれた鋼材存在箇所であり、溝面h02と傾斜面c3との交叉する箇所である上手辺部b5と、傾斜面c3と傾斜面c6との交叉する箇所である頂縁箇所b4と、傾斜面c3と溝面h01との交叉する箇所からなる下手辺部b6とを具備しており、平板部材1Bと直交する方向a3から見たとき、上手辺部b5、頂縁箇所b4、下手辺部b6及び、上手辺部b5の一端と下手辺部b6の一端とを結合した仮想線b7とで囲まれた領域が概略、台形(頂縁箇所b4が上辺部に、仮想線b7が下辺部に対応している。)に見えるものである。
【0046】
このさい、上手辺部b5の先端からなる刃先は、上辺部b0に対し傾斜しているため、平板部材1Bの一面に対する溝面h02の傾斜角度θ1が例えば45度とされていても、上辺部b0に沿い平板部材1Bに直交する円弧平面上での溝面h02と傾斜面c3との交叉角が例えば35度以下になって切れ味の良好な刃として機能する。また頂縁箇所b4の先端線からなる刃先は、傾斜面c3と傾斜面c6とが、平板部材1Bの一面に対する傾斜面c3の傾斜角度θ3と、平板部材1Bの一面に対する傾斜面c6の傾斜角度θ2を加算した角度(例えば35度)で交叉したものとなって上手辺部b5と同様に切り味の良好な刃として機能する。
【0047】
こうして平板部1Aとなる箇所の上辺部b0に凹部b1と凸部b2とが繰り返し形成された凹凸刃縁1aが形成されるのである。
【0048】
次に平板部材1Bを図4Aに示す仮想線箇所e1、e1で90度屈曲して、溝c1が図1に示すように平板部1Aの内面に位置するように変形して平面視コ字形にする。これにより、左右に平板部1A、1Aを有し、これら平板部1A、1Aの基端を結合した取付部1Cとを有する切り刃中間品が形成される。
【0049】
その後、取付部1Cの中央位置に取付用のボルトの挿入される透孔g1をプレス機で打ち抜く。
そして最後に、熱処理を施すことにより、各平板部1A、1Aの硬度をHRc60以上とする。なお、取付部1Cは脆性を緩和するため硬度をHRc45〜50程度とする。
【0050】
次に、このように加工した切り刃1の使用例及び作用などについて説明する。
切り刃1はコンバインに搭載される脱穀装置或いは単独で使用される脱穀装置などに装着される。
【0051】
図7は上記切り刃1を装着されたコンバインの脱穀装置の内部を上方から見た状態を示し、図8は該脱穀装置の内部を前方から見た状態を示している。
【0052】
脱穀装置は、これら図7及び図8に示すように、扱室3内に軸架されている扱歯4付きの扱胴5と、扱胴5の下部外周を覆うように設けている受網6と、扱室3の側方に設けられている処理室7と、処理室7内に軸架されている処理歯8付きの処理胴9と、フィードチエン10及び図示しない排藁チエンなどにより構成される。
【0053】
扱室3内において、切り刃1は扱室3の扱口3a側のフィードチエン10の上方の室壁部位、及び、扱室3の扱室奥側の受網6の上方の室壁部位に、その透孔g1に挿通される取付ボルトを介して固定される。このさい、各切り刃1の一対の平板部1A、1Aは、該切り刃1と正対して位置された扱歯4の回転軌跡j2の左右両側に位置するように配置される。
【0054】
そして、扱胴3の軸心j1方向視において切り刃1の先部は扱歯4の回転軌跡j2内に入り込むように位置され、切り刃1の左右一対の凹凸刃縁1a、1aの間を扱歯4が通過するように設定されている。
【0055】
フィードチェン10を介し扱口3aを経て供給された稲などの脱穀物k1は、回転する扱胴5の扱歯4に接触して脱穀されるが、このさい、脱穀物k1の藁などが切断されて、藁クズが発生し、扱歯4に絡んで回転移動されるようになる。各切り刃1はこの藁クズなどを、回転軌跡j2を描く扱歯4と切り刃1の円弧線状に形成された凹凸刃縁1aとによって扱室3内の扱口3a側と扱室奥側とで切断処理する。これにより、長い藁クズなどに起因した扱室3における脱穀処理性能の低下や、扱胴5を回転させる動力の浪費が回避される。
【0056】
一方、排塵用処理室7内において、切り刃1は処理室7の上方の室壁部位に、その透孔g1に挿通される取付ボルトを介して固定される。このさい、各切り刃1の一対の平板部1A、1Aは、該切り刃1と正対して位置された処理歯8の回転軌跡j4の左右両側に位置するように配置される。
【0057】
そして、切り刃1の先部は処理胴9の軸心j3方向視において処理歯8の回転軌跡j4内に入り込むように位置され、切り刃1の左右一対の凹凸刃縁1a、1aの間を処理歯8が通過するように設定されている。
【0058】
扱室3の移送終端部に設けられた脱穀排出口11から、これの右側下部へ移送され処理室7内に供給された未脱穀処理物は、回転する処理胴9の処理歯8に接触して再脱穀処理されるが、このさい、脱穀物k1の藁などが扱室3内におけると同様に切断されて、藁クズが発生し、処理歯8に絡んで回転移動されるようになる。各切り刃1はこの藁クズなどを、回転軌跡j4を描く処理歯8と切り刃1の円弧線状に形成された凹凸刃縁1aとによって処理室7内の上部で切断処理する。これにより、長い藁クズなどに起因した処理室7内における再脱穀処理性能の低下や、処理胴9を回転させる動力の浪費が回避される。
【0059】
各切り刃1による藁クズなどの切断状況をさらに詳細に見ると、藁くずなどは凹凸刃縁1aに対し平板部1Aの基端側から先端側へ向け移動される過程で、凹部b1と凸部b2とに交互に当接される。このさい、藁クズは扱歯4や処理歯8に押されると同時に遠心力を受けて、凹部b1ではその内方に入り込み、凸部b2では上手辺部b5に衝突した後に該上手辺部b5に押圧されつつ案内されてその斜め上方へ移動され続いて頂縁箇所b4に到達し、今度はこの頂縁箇所b4に押し付けられつつ平板部1A先端側へ移動されるようになる。このような藁クズと凹凸刃縁1aの相互関係により、藁クズは上手辺部b5及び頂縁箇所b4で切断され、脱穀部移送方向前側の1つの切り刃1の凹凸刃縁1aで切断されないときは移送方向後側に位置した他の切り刃1の凹凸刃縁1aで切断される。
【0060】
切り刃1の使用中、切り刃1の上手辺部b5及び頂縁部b4には比較的硬い藁クズが繰り返し衝接することになるが、凸部b2を形成した肉部の体積が比較的大きいこと、凹凸刃縁1aの硬度がHRc60以上にされていること、上手辺部b5や頂縁箇所b4の刃先の角度が比較的大きいことから、上手辺部b5や頂縁箇所b4の摩耗の進行が従来のものにくらべて大きく抑制され且つ脱穀中の衝撃に対し強靱となる。
【0061】
また切り刃1の一対の平板部1A、1A間には藁クズがその量を時事刻々に大小に変化されながら繰り返し送り込まれ通過するようになるが、このとき一対の平板部1A、1Aはその間隔を大小に変化されるような曲げ力を藁クズから付与される。この曲げ力に対し、各平板部1A、1Aの凹部b1を形成する溝c1はその対応する平板部1Aを折損し易くするように作用する傾向となるが、各溝c1の幅方向a1長さが溝面h03の存在により比較的短くされているため、各平板部1Aは前記曲げ力に対し従来同様又は従来以上に耐久性を発揮するものとなる。
【0062】
したがって切り刃1はその良好な切れ味を従来のそれの例えば1.5倍以上の期間に亘って維持するものとなり、また稲を脱穀するときに籾や混入物の砂などが凹凸刃縁1aに頻繁に衝突しても、その衝撃で上手辺部b5や頂縁箇所b4が欠損するようなことは生じ難くなる。
【0063】
また上記のコンバインで1町を大幅に超える広さに育った稲を収穫して、上手辺部b5や頂縁箇所b4の刃先が摩耗して切れ味が落ちたときでも、従来のように凹部b1が無くなる程には摩耗していないため、傾斜面c3、c6を研削することで切れ味を再生させることができる。この傾斜面c3、c6の研削は専門業者に依らなくても簡便に行えるものである。
【0064】
上記実施例の変形例について言及する。
上記実施例においては、凹凸刃縁1aは平板部1Aの一面に沿った凸型の円弧線状としたが、図9A及びBに示すように平板部1Aの一面に沿った凹形の円弧線状であってもよいし、或いは、図9B中に仮想線k2で示すように平板部1Aの一面に沿った直線状であってもよい。さらには図9C及びDに示すように、上記実施例のものを上下対称状に結合した形態の切り刃1としても差し支えないのであって、この場合、平板部1Aの幅方向a1の各上辺部b0、b0に凹凸刃縁1aが形成された状態となる。
【0065】
また上記実施例では各溝c1が平板部1Aの内側に位置するように平板部材1Bを屈曲したが、これに代えて、各溝c1が平板部1Aの外側に位置するように平板部材1Bを屈曲することも差し支えない。
【第2実施例】
【0066】
図10〜図12は本発明に係る脱穀装置用の切り刃の第2実施例に係るものである。
以下の説明では、第1実施例と相違する箇所について説明する。
凸部b2のそれぞれは、単一平面に形成された平板部1Aに直交する方向から見たとき、取付部1C側に位置した上手辺部b5と、各平板部1Aの先端側に位置した下手辺部b6と、これら上手辺部b5と下手辺部b6を結合する頂縁箇所b4とで囲まれた形態とされている。
【0067】
図12に示すように、上手辺部b5は直線状の刃縁とされ水平線(側縁b01)に対し比較的大きな角度(例えば45度以上の大きさ)でその対応する凸部b2の下手辺部b6側へ上昇するように傾斜されており、一方、頂縁箇所b4は直線状の刃縁とされ水平線(側縁b01)に対し上手辺部b5よりも小な角度でその対応する凸部b2の下手辺部b6側へ上昇するように傾斜されている。
【0068】
頂縁箇所b4の傾斜度合いは、厳密には、その対応する位置の上辺部b0の接線m1に対する角度θ4が10度〜15度の範囲内となる状態とされる。ここで、角度θ4が10度より小さいと、凹凸刃縁1aの切れ味が第1実施例の場合に較べて明確に改善された状態となるに至らないのであり、逆に15度より大きいと第1実施例における凹凸刃縁1aの切れ味の持続性が確保されなくなる。このような理由から、角度θ4が10度〜15度の範囲内であるとき、第1実施例に準じた効果が得られる上に、凹凸刃縁1aの切れ味を向上させることができるのである。
【0069】
各頂縁箇所b4は平板部1Aに直交する方向a3で対向した各側部を傾斜面c3、c6で形成されているが、このさい、傾斜面c6は平面状であって差し支えないが、第1実施例のそれとは平板部1Aに対する傾斜角度が異なっており、この傾斜角度の相違により頂縁箇所b4が接線m1に対し角度θ4だけ傾斜した状態となる。各凸部b2ごとの傾斜面c6は研磨砥石により機械的に研磨し形成することができるものである。
【符号の説明】
【0070】
1A 平板部
1a 凹凸刃縁
3 扱室
4 扱歯
5 扱胴
8 処理歯
9 処理胴
b0 上辺部(側縁)
b1 凹部
b2 凸部
b4 頂縁箇所
b5 斜辺部
j2 回転軌跡円
j4 回転軌跡円
m1 接線
θ4 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバイン或いは、自走自脱形に搭載した脱穀装置に備えた脱穀装置用の切り刃(1)において、
切り刃(1)は、
脱穀装置に着脱自在に取り付ける取付ボルトを挿通する透孔(g1)を形成した取付部(1C)と、単一平面状に形成した一対の平板部(1A、1A)とをコ字状に一体的に形成し、
同平板部(1A)には、
直線状に形成した下辺部(b01)と、
取付部(1C)の一端から先端部に向けて漸次に降下し一線状に変化する上辺部(b0)とを形成し、
上辺部(b0)には、
脱穀装置の扱室内を扱歯(4)と共に連れ回りしている藁を粉砕する凹凸刃縁(1a)を形成し、
同凹凸刃縁(1a)は、
上記単一平面に直交する方向から見たときの形状を逆三角状とされた空所からなる凹部(b1)と、
上辺部(b0)に沿った刃縁である頂縁箇所(b4)を形成した凸部(b2)とを上辺部(b0)に沿って交互に繰り返して一線状に形成したことを特徴とする脱穀装置用の切り刃。
【請求項2】
上記凸部(b2)は上記単一平面と直交する方向から見たときの形状を台形に形成すると共に、該台形の上辺部は上記頂縁箇所(b4)で形成したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置用の切り刃。
【請求項3】
上記凹部(b1)は、上記単一平面と直交する方向の一側を、上記平板部(1A、1A)の一側の平面に形成された溝(c1)で形成されており、該溝(c1)は前記した平板部(1A、1A)の一側の平面上で、上記上辺部(b0)の外周線からなる外周辺(d3)にほぼ直交するように傾斜した第1長辺部(d4)と、該外周辺(d3)にほぼ直交するように傾斜した第2長辺部(b5)と、これら第1及び第2長辺部(d4、d5)を結合した第1傾斜辺部(d6)とで囲まれた外形としたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置用の切り刃。
【請求項4】
コンバイン或いは、自走自脱形に搭載した脱穀装置に備えた脱穀装置用の切り刃(1)において、
切り刃(1)は、
脱穀装置に着脱自在に取り付けるための取付部(1C)と、これの各端部から折れ曲がり状で平行状に延出され各々が単一平面状とされた一対の平板部(1A、1A)とを備え、
同平板部(1A)は、取付部(1C)側から先端部に向けて漸次に降下するように一線状に変化する上辺部(b0)を具備し、
同上辺部(b0)には、脱穀装置の扱室内を扱歯(4)と共に連れ回りしている藁を切断し粉砕する凹凸刃縁(1a)が形成され、
同凹凸刃縁(1a)は、凹部(b1)と凸部(b2)とが前記上辺部(b0)に沿って交互に繰り返して形成され、
前記した各凸部(b2)は上記単一平面に直交する方向から見たとき、外周囲が前記取付部(1C)側に位置した上手辺部(b5)と、各平板部(1A)の先端側に位置した下手辺部(b6)と、これら上手辺部(b5)と下手辺部(b6)を結合する頂縁箇所(b4)とで囲まれた形態とされ、
前記上手辺部(b6)が直線状の刃縁とされ水平線に対し比較的大きな角度で、その対応する凸部(b2)の前記下手辺部(b6)側へ上昇するように傾斜され、
前記頂縁箇所(b4)が直線状の刃縁とされ水平線に対し前記上手辺部(b5)よりも小な角度で、その対応する凸部(b2)の前記下手辺部(b6)側へ上昇するように傾斜されていることを特徴とする脱穀装置用の切り刃。
【請求項5】
前記頂縁箇所(b4)の傾斜度合いは、その対応する位置の上辺部(b0)の接線(m1)に対する角度(θ4)が10度〜15度の範囲内となる状態としたことを特徴とする請求項4記載の脱穀装置用の切り刃。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−50372(P2011−50372A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284524(P2009−284524)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(505415237)山陽熱工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】