脱穀装置用の扱胴
【課題】コスト低減を図ることが可能な脱穀装置用の扱胴を提供する。
【解決手段】扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態の複数の棒状支持部材47において、複数の扱歯48を、棒状支持部材47の表面のうちの棒状支持部材47の軸芯Xに対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接してある。
【解決手段】扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態の複数の棒状支持部材47において、複数の扱歯48を、棒状支持部材47の表面のうちの棒状支持部材47の軸芯Xに対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の棒状支持部材が備えられ、前記各棒状支持部材に扱胴径方向外方に向けて突出する状態で且つ前記扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の扱歯が取り付けられている脱穀装置用の扱胴に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀装置用の扱胴において、従来では、前記棒状支持部材として丸パイプ材が用いられ、前記扱歯として丸棒部材が用いられて、丸パイプ材からなる棒状支持部材に軸芯方向と直交する方向に貫通孔を形成し、その貫通孔を挿通して棒状支持部材の中心部を通るように扱歯を挿入した状態で扱歯と棒状支持部材とを溶接又はネジ締結により固定するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−178417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、扱胴の作製にあたっては、棒状支持部材に扱歯を取り付けるための貫通孔を多数形成する穿孔作業を行ったのちに、扱歯を棒状支持部材に固定する扱歯固定作業を行わなければならず、穿孔作業と扱歯固定作業という別々の作業が必要となり、加工に手間が掛かるものとなっており、それだけコスト高になる不利があった。
【0005】
本発明の目的は、コスト低減を図ることが可能な脱穀装置用の扱胴を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の棒状支持部材が備えられ、前記各棒状支持部材に扱胴径方向外方に向けて突出する状態で且つ前記扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の扱歯が取り付けられている脱穀装置用の扱胴において、
前記各棒状支持部材において、前記複数の扱歯を、前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接してある。
【0007】
第1発明の構成によれば、扱歯が棒状支持部材の表面に溶接によって取り付けられているから、棒状支持部材に扱歯が挿通するための貫通孔を形成する孔加工が不要となり扱歯を棒状支持部材の表面に溶接するだけで固定できる。
【0008】
扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ扱歯を棒状支持部材に溶接するのに、棒状支持部材の軸芯に対して棒状支持部材の半径方向での一側方に位置する箇所にだけ並べて溶接した場合、溶接歪みが発生すれば、棒状支持部材の軸芯に対して一側方に位置する箇所に溶接歪みが集中することになって棒状支持部材の全体としての曲がり歪みが発生するのに対し、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接するものだから、溶接歪みが発生しても、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に溶接歪みが分散することになって棒状支持部材の全体としての曲がり歪みを回避しやすい。
【0009】
従って、棒状支持部材に扱歯を固定するのに必要となる加工の手間を少なくして、かつ溶接歪みによる棒状支持部材の不良品の発生を回避しやすくて、全体として安価に得ることが可能な脱穀装置用の扱胴を提供できた。
【0010】
本第2発明では、前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所が、扱胴回転方向上手側と扱胴回転方向下手側と分散している。
【0011】
第2発明の構成によれば、棒状支持部材の表面のうちの扱胴回転方向下手側に位置する箇所にあっては、脱穀処理物から受ける脱穀反力に抗して扱歯を受け止め支持すことになり、殊にこの箇所に溶接された扱歯は脱穀反力に抗して強固に支持される。
【0012】
従って、扱歯を棒状支持部材の表面に溶接するものでありながら、扱歯が脱穀反力に抗して強固に支持されて長期使用できるよう耐久性に富んだ扱胴を得ることができる。
【0013】
本第3発明では、前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における一つの扱歯が位置している。
【0014】
第3発明の構成によれば、扱胴回転軸芯に沿う方向に並んで棒状支持部材に溶接にされる複数の扱歯は、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に他方の箇所における一つの扱歯が位置する千鳥配列で溶接されることになり、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に溶接歪みが分散することによる棒状支持部材の全体として曲がり歪みの回避を行ない易い。
【0015】
従って、扱歯を溶接するものでありながら、溶接歪みによる棒状支持部材の不良品の発生を効果的に回避できる。
【0016】
本第4発明では、前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における複数の扱歯が位置している。
【0017】
第4発明の構成によれば、扱胴回転軸芯に沿う方向に並んで棒状支持部材に溶接にされる複数の扱歯は、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に他方の箇所における複数の扱歯が位置する千鳥配列で溶接されることになり、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所それぞれに複数の扱歯を纏めて溶接して扱歯の溶接作業を能力よく行なうことができる。
【0018】
従って、扱歯の溶接作業を能率よく行なってこの面からも安価に得ることができる。
【0019】
本第5発明では、前記棒状支持部材を横断面形状が矩形の管状に形成してある。
【0020】
本第5発明の構成によると、棒状支持部材の表面が平坦面に形成されていることにより、扱歯を精度よく位置決めしながらの扱歯の溶接を行い易い。
【0021】
従って、扱歯を溶接によって固定するものでありながら、扱歯の位置決め精度が良い高品質の扱胴を得ることができる。
【0022】
本第6発明では、前記棒状支持部材に扱胴前端部に位置する前支持プレート及び扱胴後端部に位置する後支持プレートに対する脱着自在な連結部を備えて、前記棒状支持部材を前記前支持プレート及び前記後支持プレートに対して前後向きを入れ換えて連結可能に構成してある。
【0023】
扱胴の前側では、後側に比べ、脱穀処理物が着粒状態にあるなどによって強い脱穀反力を受けて扱歯の摩滅が発生しやすい。本第6発明の構成によると、扱胴の前側に位置する扱歯の摩滅が発生した場合、棒状支持部材の前支持プレート及び後支持プレートに連結する連結向きを入れ換えて、摩滅が無いとか少ない扱歯を扱胴の前側に位置変更することができる。棒状支持部材の前支持プレート及び後支持プレートに対する連結向きを入れ換えても、棒状支持部材に支持される扱歯の扱胴回転軸芯及び棒状支持部材に対する位置及び配列が変化せず、脱穀処理を支障なく行なうことができる。
【0024】
従って、扱胴の前側に位置する扱歯に摩滅が発生しても、棒状支持部の前支持プレート及び後支持プレートに対する連結向きを入れ換えて脱穀処理を支障なく行えるように有利な扱胴を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】脱穀装置を示す縦断側面図である。
【図4】図3のIV−IV断面矢視図である。
【図5】(a)は、棒状支持部材を示す側面図であり、(b)は、棒状支持部材を示す平面図である。
【図6】(a)は、図5(a)のVIa−VIa断面矢視図、(b)は、図5(a)のVIb−VIb断面矢視図、(c)は、図5(a)のVIc−VIc断面矢視図である。
【図7】(a)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図8】(a)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図9】第2の別実施構造を備える棒状支持部材が装備された扱胴を示す縦断正面図である。
【図10】(a)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図11】図10(a)のXI−XI断面矢視図である。
【図12】(a)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図13】(a)は、棒状支持部材の連結部が位置する部位を示す縦断正面図、(b)は、排塵歯の取付け構造を示す縦断正面図、(c)は、脱着自在な扱歯の取付け構造を示す縦断正面図である。
【図14】棒状支持部材及び扱歯取付け構造の別実施形態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明に係る脱穀装置用の扱胴を全稈投入型コンバインの脱穀装置に適用した場合について説明する。
図1は、稲や麦などを収穫対象とする全稈投入型のコンバインの全体を示す側面図である。図2は、稲や麦などを収穫対象とする全稈投入型のコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、このコンバインは、車体フレーム1にエンジン2や図外の変速装置などを搭載し、車体フレーム1の下部に、変速装置などを介して伝達されるエンジン2からの動力で駆動される左右一対のクローラ式走行装置3を装備し、車体フレーム1の前部に、収穫対象の植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送装置4を昇降揺動可能に連結し、車体フレーム1の左半部に、刈取搬送装置4からの刈取穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、その脱穀処理で得られた処理物に対して選別処理を施す脱穀装置5を搭載し、車体フレーム1の右半部に、脱穀装置5からの穀粒を貯留するとともにその貯留した穀粒の袋詰めを可能にする袋詰装置6を搭載し、車体フレーム1における袋詰装置6の前方箇所に搭乗運転部7を備えて構成されている。
【0027】
図1,2に示すように、刈取搬送装置4は、車体の走行に伴って、その前部左右両端に装備したデバイダ9が植立穀稈を収穫対象の植立穀稈と収穫対象外の植立穀稈とに梳き分け、その前部上方に配備した回転リール10が、左右のデバイダ9で梳き分けられた収穫対象の植立穀稈を後方に向けて掻き込み、その底部に装備したバリカン形の切断機構11が収穫対象の植立穀稈の株元側を切断し、切断機構11の後方に配備したオーガ12が、切断機構11による切断後の刈取穀稈を左右方向の所定箇所に寄せ集めるとともに、その所定箇所において後方に向けて送り出し、その所定箇所から脱穀装置5の前上部にわたる搬送コンベヤからなるフィーダ13が、オーガ12からの刈取穀稈を脱穀装置5に向けて搬送するように構成されている。
【0028】
図3,4に示すように、脱穀装置5は、その上部に形成した扱室14に、刈取穀稈の搬送方向に沿って架設した前後向きの支軸15を支点にして回転する扱胴16と、その扱胴16の下方に位置して円弧状に形成される受網17とが備えられ、扱室14の機体後方側箇所には排稈口18が形成されている。
受網17の下方には、受網17から漏下した処理物の選別を行う揺動選別機構19、選別用の風を送風する唐箕20、揺動選別機構19にて選別された穀粒を回収する一番回収部21、枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物である二番物を回収する二番回収部22等が備えられ、揺動選別機構19の機体後方側には吹き飛ばされた細かなワラ屑等を機外に排出するための排出口23が形成されている。
【0029】
扱室14は、扱胴16を覆う受網17や天板24などによって区画形成され、その前端下方部位に供給口25が形成され、その供給口25にフィーダ13の後端部が接続され、そのフィーダ13で搬送された刈取穀稈の株元から穂先までの全体が脱穀処理物として供給口25から投入供給される。
【0030】
天板24の内面には、扱胴16の回転作動に伴って、扱室14の上部に搬送された脱穀処理物を処理物移送方向下手側(機体後方側)に向けて案内する複数の送塵弁49が、前後方向に所定間隔を隔てて並ぶ状態で備えられている。
【0031】
扱胴16は、その支軸15が脱穀装置5の前壁26と後壁27とにわたって回転可能に架設され、エンジン2からの動力で支軸15の軸芯である扱胴回転軸芯Pまわりに回転駆動されることで、扱室14に供給された刈取穀稈に対して脱穀処理を施して、送塵弁49により案内して処理物を回転軸芯方向一端側から他端側、言い換えると機体前方側から機体後方側に向けて移送しながら脱穀処理を行うように構成されている。
【0032】
受網17は、格子状に形成されたコンケーブ受網であり、扱室14に供給された刈取穀稈を受け止めて、刈取穀稈に対する扱胴16の脱穀処理を補助し、その脱穀処理で得られた単粒化穀粒や枝梗付き穀粒、あるいは、脱穀処理で発生したワラ屑などを下方の揺動選別機構19に向けて漏下させる一方で、脱粒穀稈などの揺動選別機構19への漏下を防止する。
【0033】
揺動選別機構19は、カム式の駆動機構28によって前後方向に揺動駆動されるシーブケース29の上部に、粗選別用のグレンパン30とチャフシーブ31とストローラック32とを備え、シーブケース29の下部に、精選別用のグレンパン33とグレンシーブ34とを備えて構成されている。そして、単粒化穀粒やワラ屑などが混在する状態で受網17から漏下した選別処理物を、上部のグレンパン30やチャフシーブ31あるいはストローラック32で受け止めて、篩い選別による粗選別処理を施し、かつ、単粒化穀粒や枝梗付き穀粒などが混在する状態でチャフシーブ31から漏下した選別処理物を、下部のグレンパン33やグレンシーブ34で受け止めて、篩い選別による精選別処理を施して、選別処理物を、単粒化穀粒(一番物)と、枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物(二番物)と、細かなワラ屑などの塵埃とに選別する。
【0034】
唐箕20は回転駆動されることで選別風を生起し、その選別風が、受網17から漏下した選別処理物や、揺動選別機構19で選別される選別処理物などに向けて供給されることで、選別処理物に対して風力選別処理を施して、選別処理物から比重の小さいワラ屑などを吹き分けて、脱穀処理方向下手側すなわち機体後部側の排出口23に向けて搬送する。
【0035】
一番回収部21は、唐箕20からの選別風でワラ屑などの塵埃が除去された状態で、揺動選別機構19のグレンシーブ34から漏下した単粒化穀粒を回収し、回収した単粒化穀粒を、その底部に左右向きに配備した一番スクリュー36にて脱穀装置5の横側外方に搬送するように構成されている。又、搬送された穀粒は揚送スクリュー(図示せず)にて袋詰装置6の上部に備えた穀粒タンク40(図2参照)に向けて搬送する。
【0036】
二番回収部22は、揺動選別機構19により選別された枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物(二番物)を回収し、回収した混在物を二番スクリュー38にて脱穀装置5の横側外方に搬送するように構成されている。又、搬送された混在物は再処理部(図示せず)による再脱穀処理を行った後に揺動選別機構19に還元するように構成されている。
【0037】
図3に示すように、扱胴16は、その前端部に装備した掻込部16Aと、その掻込部16Aの後端に連接した脱穀処理部16Bとを備えて構成されている。掻込部16Aの外周面には、扱胴16の回転作動時に、供給口25から供給された刈取穀稈を後方の脱穀処理部16Bに向けて掻き込み搬送する2枚の螺旋羽根43が一体装備されている。
【0038】
図3,4に示すように、脱穀処理部16Bは、支軸15の前部に溶接固定された前支持プレート44、支軸15の前後中間部に溶接固定された中支持プレート45、支軸15の後端部に溶接固定された後支持プレート46、回転軸芯方向に沿う前後向きの姿勢で扱胴16の周方向に一定間隔を隔てて並ぶ状態で配備された6本の棒状支持部材47、及び、各棒状支持部材47に扱胴16の径方向外方に向けて突出する姿勢で処理物移送方向(前後方向)に間隔を隔てて並ぶように装備した複数の扱歯48などによって構成されている。
【0039】
各支持プレート44〜46は、支軸15を中心とする円形で、その外周側における支軸15からの等距離の位置に各棒状支持部材47がボルト連結されており、各支持プレート44〜46と6本の棒状支持部材47が一体的に連結されて略円筒状の扱胴16が構成されている。前支持プレート44は、掻込部16Aの後端部に一体回転自在に連結されている。
【0040】
そして、図4,5,6に示すように、各棒状支持部材47において扱胴回転軸芯Pに沿う方向に間隔を隔てて並ぶ扱歯48は、棒状支持部材47の表面のうち棒状支持部材47の軸芯Xに対して互い反対側に位置し合う箇所47A,47Bに振り分けて溶接して固定してある。具体的には、棒状支持部材47は横断面形状が矩形の管状に形成されており、扱歯48は、棒状支持部材47の平坦面に形成される4つの表面のうちの扱胴16の回転方向Q(図4参照)での上手側に位置する箇所47Aと下手側に位置する箇所47Bとに振り分けて溶接されている。各棒状支持部材47の扱胴周方向視において、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの一方の箇所47A,47Bにおける扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯48,48の間に、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの他方の箇所47B,47Aにおける一つの扱歯48が位置している。
【0041】
扱歯48は、丸棒部材にて形成され、長手方向が扱胴16の径方向に沿う姿勢で棒状支持部材47の表面での箇所47A及び箇所47Bに基端側の外周面を当てつけた状態で溶接されている。扱歯48は、棒状支持部材47の表面での箇所47A及び箇所47Bの全幅又は略全幅にわたって長い範囲で接しており、その接触箇所における扱歯48の前部側箇所及び後部側箇所の夫々において、長い接触範囲の全領域又は略全領域で溶接が行われており、充分な耐久性を有するものとなっている。
【0042】
図3,5に示すように、各棒状支持部材47には、棒状支持部材47の前端部にブラケットを付設して形成した前連結部51〔図6(a)参照〕、棒状支持部材47の前後中間部にブラケットを付設して形成した中連結部52〔図6(b)参照〕、及び棒状支持部材47の後端部にブラケットを付設して形成した後連結部53〔図6(c)参照〕を備えてある。前連結部51のボルト孔51aに装着した連結ボルトによって前連結部51を前支持プレート44に締め付け連結し、中連結部52のボルト孔52aに装着した連結ボルトによって中連結部52を中支持プレート45に締め付け連結し、後連結部53のボルト孔53aに装着した連結ボルトによって後連結部53を後支持プレート46に締め付け連結することにより、棒状支持部材47を前支持プレート44、中支持プレート45及び後支持プレート46に連結してある。
【0043】
扱胴16は、その外方に向けて突出する複数の扱歯48が、脱穀処理部16Bの周方向と前後方向とに間隔を隔てて並ぶように配備され、又、脱穀処理部16Bの内部空間Sが扱室14における扱胴16の外方側の空間に連通して、その内部空間Sへの脱穀処理物の入り込みを許容するようになっている。その結果、扱胴16の回転作動時には、その外周側の脱穀処理物と内部空間Sに入り込んだ脱穀処理物とを攪拌しながら、それらの脱穀処理物に対して、棒状支持部材47や扱歯48の打撃や梳き込みなどによる脱穀処理を施すことになる。つまり、扱胴16の回転作動時には、複数の扱歯48だけでなく、扱胴16の脱穀処理部16Bを形成する6本の棒状支持部材47までもが、脱穀処理物に作用する部材として機能することから、脱穀性能の向上を図ることができる。
【0044】
又、脱穀処理部16Bの内部空間Sが扱室14における扱胴16の外方側に連通することで、大量の刈取穀稈が扱室14に供給された場合であっても、扱胴16の外方側の空間だけでなく脱穀処理部16Bの内部空間Sも脱穀処理用の処理空間として有効利用することができる。
【0045】
〔別実施形態〕
図7(a)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図7(b)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、第1の別実施構造を備える棒状支持部材47では、棒状支持部材47の扱胴周方向視において、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの一方の箇所47A,47Bにおける扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯48,48の間に、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの他方の箇所47B,47Aにおける二つの扱歯48が位置している。
【0046】
図8(a)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図8(b)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、図9は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47が装備された扱胴16を示す縦断正面図である。
【0047】
これらの図に示すように、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47は、棒状支持部材47の後端部に設けられた排塵歯60を備えている。排塵歯60は、棒状支持部材47に連結する基端部に対して先端部が後退角を備えるよう折れ曲がり形状に形成されている。排塵歯60は、扱室14の後端部に位置したワラ屑を排稈口18から出易いように掻き出し処理する。
【0048】
排塵歯60は、基端部に板金部材を付設して形成された取付け部60aを備え、棒状支持部材47に一対のメネジ部材を貫設して形成された一対の支持部47C,47Cに取付け部60aを連結ボルトによって締め付け連結することによって棒状支持部材47に装着されている。
【0049】
図10(a)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図10(b)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47は、前端部、前後中間部及び後端部にブラケットを付設して形成された連結部56,57を備えている。図11に示すように、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47の前端部に備えられた連結部56は、ボルト孔56aに装着される連結ボルトによって前支持プレート44に脱着自在に構成してある。第3の別実施構造を備える棒状支持部材47の前後中間部及び後端部に備えられた連結部56,57は、前端部に備えられた連結部56と同じ連結仕様を備えて、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して連結ボルトによって脱着自在に構成されている。
【0050】
つまり、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47は、扱胴16の前端側に位置していた扱歯48に摩滅が発生した場合、前支持プレート44、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して前後向きを入れ換えて連結して使用することができるように構成してある。
【0051】
図12(a)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図12(b)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47は、前端部、前後中間部及び後端部にブラケットを付設して形成された連結部56,57を備え、前端部及び後端部に一対のメネジ部材を貫設して形成された一対の支持部47C,47Cを備えている。
【0052】
図13(a)に示すように、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47の前端部に備えられた連結部56は、ボルト孔56aに装着される連結ボルトによって前支持プレート44に脱着自在に構成してある。第4の別実施構造を備える棒状支持部材47の前後中間部及び後端部に備えられた連結部56,57は、前端部に備えられた連結部56と同じ連結仕様を備えて、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して連結ボルトによって脱着自在に構成されている。
【0053】
つまり、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47は、扱胴16の前端側に位置していた扱歯48に摩滅が発生した場合、前支持プレート44、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して前後向きを入れ換えて連結して使用することができるように構成してある。
【0054】
第4の別実施構造を備える棒状支持部材47では、前後向きを入れ換える前においても前後向きを入れ換えた後においても、図13(b)に示すように、扱胴後端側に位置することになる一対の支持部47C,47Cに脱着自在な排塵歯60を取付け、図13(c)に示すように、扱胴前端側に位置することになる一対の支持部47C,47Cに脱着自在な扱歯61を取り付けるように構成してある。
【0055】
脱着自在な排塵歯60及び脱着自在な扱歯61は、基部にブラケットを付設して形成された取付け部60a,61aを一対の支持部47C,47Cに連結ボルトによって締め付け連結することで装着するよう構成してある。排塵歯60は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47に設けられた排塵歯60と同じ構成を備えている。
【0056】
〔別実施例〕
(1)上記した実施形態では、横断面形状が矩形の管状に形成された棒状支持部材47の表面のうち、軸芯Xを挟んで平行に位置する二辺の箇所に扱歯48を溶接する例を示したが、図14(a)に示すように、連続する二辺に扱歯48を溶接する構成を採用してもよい。
【0057】
(2)上記した実施形態では、棒状支持部材47の表面のうち、扱胴回転方向上手側と扱胴回転方向下手側とに分散する箇所47A,47Bに扱歯48を溶接する例を示したが、図14(b)に示すように、棒状支持部材47の表面のうち、棒状支持部材47の軸芯Xに対して扱胴半径方向での外側と内側とに分散して互いに反対側に位置する箇所に扱歯48を溶接する構成を採用して実施してもよい。
【0058】
(3)上記した実施形態では、横断面形状が矩形の管状に形成された棒状支持部材47を採用した例を示したが、このような構成に代えて、例えば、図14(c)に示すように、断面形状がH形に形成されたものを採用してもよい。又、図14(d)に示すように横断面形状が丸形の管状に形成された棒状支持部材47を採用してもよい。この場合、扱歯48として棒状支持部材47の表面に沿うように曲げたものを用いることになる。
【0059】
(4)上記した実施形態では、扱歯48が棒状支持部材47の表面47A,47Bの全幅又は略全幅にわたって長い範囲で接しており、扱歯48の前部側箇所及び後部側箇所の夫々において、長い接触範囲の全領域又は略全領域で溶接が行われる構成としたが、前記接触範囲の一部の箇所、例えば、1箇所又は複数の箇所で部分的に溶接が行われるものでもよく、扱歯48の前部側箇所と後部側箇所のうちのいずれか一方でのみ溶接が行われるものでもよい。
【0060】
(5)上記した実施形態では、扱胴16が、掻込部16Aと脱穀処理部16Bとを備える構成としたが、扱胴16としては、掻込部16Aを備えないものでもよく、又、掻込部16Aに、螺旋羽根43の代わりに整流歯又は扱歯48を備えるものであってもよい。
【0061】
(6)上記した実施形態では、棒状支持部材47が6本備えられる構成としたが、棒状支持部材47の装備数量は種々変更が可能であり、例えば、8本の棒状支持部材47を装備するようにしてもよい。
【0062】
(7)上記した実施形態では、扱歯48として丸棒部材を用いたが、扱歯48としては、角棒鋼材、丸パイプ材、あるいは、フラットバーなどを採用するようにしてもよく、又、U字状やV字状に屈曲形成されたものを採用するようにしてもよい。
【0063】
(8)上記した実施形態では、扱歯48が、棒状支持部材47の脱穀処理物移送方向での始端側から終端側にわたって同じまたはほぼ同じ間隔で並ぶ例を示しが、脱穀処理物の移送始端側と移送終端側とで間隔が異なる構成を採用してしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、全稈投入型のコンバインに備えられる脱穀装置に備えられる扱胴の他、自脱型のコンバインに備えられる脱穀装置に備えられる扱胴にも利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
44 前支持プレート
46 後支持プレート
47 棒状支持部材
47A,47B 箇所
48 扱歯
56 連結部
P 扱胴回転軸芯
X 軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の棒状支持部材が備えられ、前記各棒状支持部材に扱胴径方向外方に向けて突出する状態で且つ前記扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の扱歯が取り付けられている脱穀装置用の扱胴に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀装置用の扱胴において、従来では、前記棒状支持部材として丸パイプ材が用いられ、前記扱歯として丸棒部材が用いられて、丸パイプ材からなる棒状支持部材に軸芯方向と直交する方向に貫通孔を形成し、その貫通孔を挿通して棒状支持部材の中心部を通るように扱歯を挿入した状態で扱歯と棒状支持部材とを溶接又はネジ締結により固定するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−178417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、扱胴の作製にあたっては、棒状支持部材に扱歯を取り付けるための貫通孔を多数形成する穿孔作業を行ったのちに、扱歯を棒状支持部材に固定する扱歯固定作業を行わなければならず、穿孔作業と扱歯固定作業という別々の作業が必要となり、加工に手間が掛かるものとなっており、それだけコスト高になる不利があった。
【0005】
本発明の目的は、コスト低減を図ることが可能な脱穀装置用の扱胴を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の棒状支持部材が備えられ、前記各棒状支持部材に扱胴径方向外方に向けて突出する状態で且つ前記扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の扱歯が取り付けられている脱穀装置用の扱胴において、
前記各棒状支持部材において、前記複数の扱歯を、前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接してある。
【0007】
第1発明の構成によれば、扱歯が棒状支持部材の表面に溶接によって取り付けられているから、棒状支持部材に扱歯が挿通するための貫通孔を形成する孔加工が不要となり扱歯を棒状支持部材の表面に溶接するだけで固定できる。
【0008】
扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ扱歯を棒状支持部材に溶接するのに、棒状支持部材の軸芯に対して棒状支持部材の半径方向での一側方に位置する箇所にだけ並べて溶接した場合、溶接歪みが発生すれば、棒状支持部材の軸芯に対して一側方に位置する箇所に溶接歪みが集中することになって棒状支持部材の全体としての曲がり歪みが発生するのに対し、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接するものだから、溶接歪みが発生しても、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に溶接歪みが分散することになって棒状支持部材の全体としての曲がり歪みを回避しやすい。
【0009】
従って、棒状支持部材に扱歯を固定するのに必要となる加工の手間を少なくして、かつ溶接歪みによる棒状支持部材の不良品の発生を回避しやすくて、全体として安価に得ることが可能な脱穀装置用の扱胴を提供できた。
【0010】
本第2発明では、前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所が、扱胴回転方向上手側と扱胴回転方向下手側と分散している。
【0011】
第2発明の構成によれば、棒状支持部材の表面のうちの扱胴回転方向下手側に位置する箇所にあっては、脱穀処理物から受ける脱穀反力に抗して扱歯を受け止め支持すことになり、殊にこの箇所に溶接された扱歯は脱穀反力に抗して強固に支持される。
【0012】
従って、扱歯を棒状支持部材の表面に溶接するものでありながら、扱歯が脱穀反力に抗して強固に支持されて長期使用できるよう耐久性に富んだ扱胴を得ることができる。
【0013】
本第3発明では、前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における一つの扱歯が位置している。
【0014】
第3発明の構成によれば、扱胴回転軸芯に沿う方向に並んで棒状支持部材に溶接にされる複数の扱歯は、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に他方の箇所における一つの扱歯が位置する千鳥配列で溶接されることになり、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に溶接歪みが分散することによる棒状支持部材の全体として曲がり歪みの回避を行ない易い。
【0015】
従って、扱歯を溶接するものでありながら、溶接歪みによる棒状支持部材の不良品の発生を効果的に回避できる。
【0016】
本第4発明では、前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における複数の扱歯が位置している。
【0017】
第4発明の構成によれば、扱胴回転軸芯に沿う方向に並んで棒状支持部材に溶接にされる複数の扱歯は、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に他方の箇所における複数の扱歯が位置する千鳥配列で溶接されることになり、棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所それぞれに複数の扱歯を纏めて溶接して扱歯の溶接作業を能力よく行なうことができる。
【0018】
従って、扱歯の溶接作業を能率よく行なってこの面からも安価に得ることができる。
【0019】
本第5発明では、前記棒状支持部材を横断面形状が矩形の管状に形成してある。
【0020】
本第5発明の構成によると、棒状支持部材の表面が平坦面に形成されていることにより、扱歯を精度よく位置決めしながらの扱歯の溶接を行い易い。
【0021】
従って、扱歯を溶接によって固定するものでありながら、扱歯の位置決め精度が良い高品質の扱胴を得ることができる。
【0022】
本第6発明では、前記棒状支持部材に扱胴前端部に位置する前支持プレート及び扱胴後端部に位置する後支持プレートに対する脱着自在な連結部を備えて、前記棒状支持部材を前記前支持プレート及び前記後支持プレートに対して前後向きを入れ換えて連結可能に構成してある。
【0023】
扱胴の前側では、後側に比べ、脱穀処理物が着粒状態にあるなどによって強い脱穀反力を受けて扱歯の摩滅が発生しやすい。本第6発明の構成によると、扱胴の前側に位置する扱歯の摩滅が発生した場合、棒状支持部材の前支持プレート及び後支持プレートに連結する連結向きを入れ換えて、摩滅が無いとか少ない扱歯を扱胴の前側に位置変更することができる。棒状支持部材の前支持プレート及び後支持プレートに対する連結向きを入れ換えても、棒状支持部材に支持される扱歯の扱胴回転軸芯及び棒状支持部材に対する位置及び配列が変化せず、脱穀処理を支障なく行なうことができる。
【0024】
従って、扱胴の前側に位置する扱歯に摩滅が発生しても、棒状支持部の前支持プレート及び後支持プレートに対する連結向きを入れ換えて脱穀処理を支障なく行えるように有利な扱胴を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】脱穀装置を示す縦断側面図である。
【図4】図3のIV−IV断面矢視図である。
【図5】(a)は、棒状支持部材を示す側面図であり、(b)は、棒状支持部材を示す平面図である。
【図6】(a)は、図5(a)のVIa−VIa断面矢視図、(b)は、図5(a)のVIb−VIb断面矢視図、(c)は、図5(a)のVIc−VIc断面矢視図である。
【図7】(a)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図8】(a)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図9】第2の別実施構造を備える棒状支持部材が装備された扱胴を示す縦断正面図である。
【図10】(a)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図11】図10(a)のXI−XI断面矢視図である。
【図12】(a)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材を示す側面図、(b)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材を示す平面図である。
【図13】(a)は、棒状支持部材の連結部が位置する部位を示す縦断正面図、(b)は、排塵歯の取付け構造を示す縦断正面図、(c)は、脱着自在な扱歯の取付け構造を示す縦断正面図である。
【図14】棒状支持部材及び扱歯取付け構造の別実施形態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明に係る脱穀装置用の扱胴を全稈投入型コンバインの脱穀装置に適用した場合について説明する。
図1は、稲や麦などを収穫対象とする全稈投入型のコンバインの全体を示す側面図である。図2は、稲や麦などを収穫対象とする全稈投入型のコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、このコンバインは、車体フレーム1にエンジン2や図外の変速装置などを搭載し、車体フレーム1の下部に、変速装置などを介して伝達されるエンジン2からの動力で駆動される左右一対のクローラ式走行装置3を装備し、車体フレーム1の前部に、収穫対象の植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送装置4を昇降揺動可能に連結し、車体フレーム1の左半部に、刈取搬送装置4からの刈取穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、その脱穀処理で得られた処理物に対して選別処理を施す脱穀装置5を搭載し、車体フレーム1の右半部に、脱穀装置5からの穀粒を貯留するとともにその貯留した穀粒の袋詰めを可能にする袋詰装置6を搭載し、車体フレーム1における袋詰装置6の前方箇所に搭乗運転部7を備えて構成されている。
【0027】
図1,2に示すように、刈取搬送装置4は、車体の走行に伴って、その前部左右両端に装備したデバイダ9が植立穀稈を収穫対象の植立穀稈と収穫対象外の植立穀稈とに梳き分け、その前部上方に配備した回転リール10が、左右のデバイダ9で梳き分けられた収穫対象の植立穀稈を後方に向けて掻き込み、その底部に装備したバリカン形の切断機構11が収穫対象の植立穀稈の株元側を切断し、切断機構11の後方に配備したオーガ12が、切断機構11による切断後の刈取穀稈を左右方向の所定箇所に寄せ集めるとともに、その所定箇所において後方に向けて送り出し、その所定箇所から脱穀装置5の前上部にわたる搬送コンベヤからなるフィーダ13が、オーガ12からの刈取穀稈を脱穀装置5に向けて搬送するように構成されている。
【0028】
図3,4に示すように、脱穀装置5は、その上部に形成した扱室14に、刈取穀稈の搬送方向に沿って架設した前後向きの支軸15を支点にして回転する扱胴16と、その扱胴16の下方に位置して円弧状に形成される受網17とが備えられ、扱室14の機体後方側箇所には排稈口18が形成されている。
受網17の下方には、受網17から漏下した処理物の選別を行う揺動選別機構19、選別用の風を送風する唐箕20、揺動選別機構19にて選別された穀粒を回収する一番回収部21、枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物である二番物を回収する二番回収部22等が備えられ、揺動選別機構19の機体後方側には吹き飛ばされた細かなワラ屑等を機外に排出するための排出口23が形成されている。
【0029】
扱室14は、扱胴16を覆う受網17や天板24などによって区画形成され、その前端下方部位に供給口25が形成され、その供給口25にフィーダ13の後端部が接続され、そのフィーダ13で搬送された刈取穀稈の株元から穂先までの全体が脱穀処理物として供給口25から投入供給される。
【0030】
天板24の内面には、扱胴16の回転作動に伴って、扱室14の上部に搬送された脱穀処理物を処理物移送方向下手側(機体後方側)に向けて案内する複数の送塵弁49が、前後方向に所定間隔を隔てて並ぶ状態で備えられている。
【0031】
扱胴16は、その支軸15が脱穀装置5の前壁26と後壁27とにわたって回転可能に架設され、エンジン2からの動力で支軸15の軸芯である扱胴回転軸芯Pまわりに回転駆動されることで、扱室14に供給された刈取穀稈に対して脱穀処理を施して、送塵弁49により案内して処理物を回転軸芯方向一端側から他端側、言い換えると機体前方側から機体後方側に向けて移送しながら脱穀処理を行うように構成されている。
【0032】
受網17は、格子状に形成されたコンケーブ受網であり、扱室14に供給された刈取穀稈を受け止めて、刈取穀稈に対する扱胴16の脱穀処理を補助し、その脱穀処理で得られた単粒化穀粒や枝梗付き穀粒、あるいは、脱穀処理で発生したワラ屑などを下方の揺動選別機構19に向けて漏下させる一方で、脱粒穀稈などの揺動選別機構19への漏下を防止する。
【0033】
揺動選別機構19は、カム式の駆動機構28によって前後方向に揺動駆動されるシーブケース29の上部に、粗選別用のグレンパン30とチャフシーブ31とストローラック32とを備え、シーブケース29の下部に、精選別用のグレンパン33とグレンシーブ34とを備えて構成されている。そして、単粒化穀粒やワラ屑などが混在する状態で受網17から漏下した選別処理物を、上部のグレンパン30やチャフシーブ31あるいはストローラック32で受け止めて、篩い選別による粗選別処理を施し、かつ、単粒化穀粒や枝梗付き穀粒などが混在する状態でチャフシーブ31から漏下した選別処理物を、下部のグレンパン33やグレンシーブ34で受け止めて、篩い選別による精選別処理を施して、選別処理物を、単粒化穀粒(一番物)と、枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物(二番物)と、細かなワラ屑などの塵埃とに選別する。
【0034】
唐箕20は回転駆動されることで選別風を生起し、その選別風が、受網17から漏下した選別処理物や、揺動選別機構19で選別される選別処理物などに向けて供給されることで、選別処理物に対して風力選別処理を施して、選別処理物から比重の小さいワラ屑などを吹き分けて、脱穀処理方向下手側すなわち機体後部側の排出口23に向けて搬送する。
【0035】
一番回収部21は、唐箕20からの選別風でワラ屑などの塵埃が除去された状態で、揺動選別機構19のグレンシーブ34から漏下した単粒化穀粒を回収し、回収した単粒化穀粒を、その底部に左右向きに配備した一番スクリュー36にて脱穀装置5の横側外方に搬送するように構成されている。又、搬送された穀粒は揚送スクリュー(図示せず)にて袋詰装置6の上部に備えた穀粒タンク40(図2参照)に向けて搬送する。
【0036】
二番回収部22は、揺動選別機構19により選別された枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物(二番物)を回収し、回収した混在物を二番スクリュー38にて脱穀装置5の横側外方に搬送するように構成されている。又、搬送された混在物は再処理部(図示せず)による再脱穀処理を行った後に揺動選別機構19に還元するように構成されている。
【0037】
図3に示すように、扱胴16は、その前端部に装備した掻込部16Aと、その掻込部16Aの後端に連接した脱穀処理部16Bとを備えて構成されている。掻込部16Aの外周面には、扱胴16の回転作動時に、供給口25から供給された刈取穀稈を後方の脱穀処理部16Bに向けて掻き込み搬送する2枚の螺旋羽根43が一体装備されている。
【0038】
図3,4に示すように、脱穀処理部16Bは、支軸15の前部に溶接固定された前支持プレート44、支軸15の前後中間部に溶接固定された中支持プレート45、支軸15の後端部に溶接固定された後支持プレート46、回転軸芯方向に沿う前後向きの姿勢で扱胴16の周方向に一定間隔を隔てて並ぶ状態で配備された6本の棒状支持部材47、及び、各棒状支持部材47に扱胴16の径方向外方に向けて突出する姿勢で処理物移送方向(前後方向)に間隔を隔てて並ぶように装備した複数の扱歯48などによって構成されている。
【0039】
各支持プレート44〜46は、支軸15を中心とする円形で、その外周側における支軸15からの等距離の位置に各棒状支持部材47がボルト連結されており、各支持プレート44〜46と6本の棒状支持部材47が一体的に連結されて略円筒状の扱胴16が構成されている。前支持プレート44は、掻込部16Aの後端部に一体回転自在に連結されている。
【0040】
そして、図4,5,6に示すように、各棒状支持部材47において扱胴回転軸芯Pに沿う方向に間隔を隔てて並ぶ扱歯48は、棒状支持部材47の表面のうち棒状支持部材47の軸芯Xに対して互い反対側に位置し合う箇所47A,47Bに振り分けて溶接して固定してある。具体的には、棒状支持部材47は横断面形状が矩形の管状に形成されており、扱歯48は、棒状支持部材47の平坦面に形成される4つの表面のうちの扱胴16の回転方向Q(図4参照)での上手側に位置する箇所47Aと下手側に位置する箇所47Bとに振り分けて溶接されている。各棒状支持部材47の扱胴周方向視において、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの一方の箇所47A,47Bにおける扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯48,48の間に、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの他方の箇所47B,47Aにおける一つの扱歯48が位置している。
【0041】
扱歯48は、丸棒部材にて形成され、長手方向が扱胴16の径方向に沿う姿勢で棒状支持部材47の表面での箇所47A及び箇所47Bに基端側の外周面を当てつけた状態で溶接されている。扱歯48は、棒状支持部材47の表面での箇所47A及び箇所47Bの全幅又は略全幅にわたって長い範囲で接しており、その接触箇所における扱歯48の前部側箇所及び後部側箇所の夫々において、長い接触範囲の全領域又は略全領域で溶接が行われており、充分な耐久性を有するものとなっている。
【0042】
図3,5に示すように、各棒状支持部材47には、棒状支持部材47の前端部にブラケットを付設して形成した前連結部51〔図6(a)参照〕、棒状支持部材47の前後中間部にブラケットを付設して形成した中連結部52〔図6(b)参照〕、及び棒状支持部材47の後端部にブラケットを付設して形成した後連結部53〔図6(c)参照〕を備えてある。前連結部51のボルト孔51aに装着した連結ボルトによって前連結部51を前支持プレート44に締め付け連結し、中連結部52のボルト孔52aに装着した連結ボルトによって中連結部52を中支持プレート45に締め付け連結し、後連結部53のボルト孔53aに装着した連結ボルトによって後連結部53を後支持プレート46に締め付け連結することにより、棒状支持部材47を前支持プレート44、中支持プレート45及び後支持プレート46に連結してある。
【0043】
扱胴16は、その外方に向けて突出する複数の扱歯48が、脱穀処理部16Bの周方向と前後方向とに間隔を隔てて並ぶように配備され、又、脱穀処理部16Bの内部空間Sが扱室14における扱胴16の外方側の空間に連通して、その内部空間Sへの脱穀処理物の入り込みを許容するようになっている。その結果、扱胴16の回転作動時には、その外周側の脱穀処理物と内部空間Sに入り込んだ脱穀処理物とを攪拌しながら、それらの脱穀処理物に対して、棒状支持部材47や扱歯48の打撃や梳き込みなどによる脱穀処理を施すことになる。つまり、扱胴16の回転作動時には、複数の扱歯48だけでなく、扱胴16の脱穀処理部16Bを形成する6本の棒状支持部材47までもが、脱穀処理物に作用する部材として機能することから、脱穀性能の向上を図ることができる。
【0044】
又、脱穀処理部16Bの内部空間Sが扱室14における扱胴16の外方側に連通することで、大量の刈取穀稈が扱室14に供給された場合であっても、扱胴16の外方側の空間だけでなく脱穀処理部16Bの内部空間Sも脱穀処理用の処理空間として有効利用することができる。
【0045】
〔別実施形態〕
図7(a)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図7(b)は、第1の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、第1の別実施構造を備える棒状支持部材47では、棒状支持部材47の扱胴周方向視において、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの一方の箇所47A,47Bにおける扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯48,48の間に、互いに反対側に位置し合う箇所47A,47Bのうちの他方の箇所47B,47Aにおける二つの扱歯48が位置している。
【0046】
図8(a)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図8(b)は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、図9は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47が装備された扱胴16を示す縦断正面図である。
【0047】
これらの図に示すように、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47は、棒状支持部材47の後端部に設けられた排塵歯60を備えている。排塵歯60は、棒状支持部材47に連結する基端部に対して先端部が後退角を備えるよう折れ曲がり形状に形成されている。排塵歯60は、扱室14の後端部に位置したワラ屑を排稈口18から出易いように掻き出し処理する。
【0048】
排塵歯60は、基端部に板金部材を付設して形成された取付け部60aを備え、棒状支持部材47に一対のメネジ部材を貫設して形成された一対の支持部47C,47Cに取付け部60aを連結ボルトによって締め付け連結することによって棒状支持部材47に装着されている。
【0049】
図10(a)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図10(b)は、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47は、前端部、前後中間部及び後端部にブラケットを付設して形成された連結部56,57を備えている。図11に示すように、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47の前端部に備えられた連結部56は、ボルト孔56aに装着される連結ボルトによって前支持プレート44に脱着自在に構成してある。第3の別実施構造を備える棒状支持部材47の前後中間部及び後端部に備えられた連結部56,57は、前端部に備えられた連結部56と同じ連結仕様を備えて、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して連結ボルトによって脱着自在に構成されている。
【0050】
つまり、第3の別実施構造を備える棒状支持部材47は、扱胴16の前端側に位置していた扱歯48に摩滅が発生した場合、前支持プレート44、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して前後向きを入れ換えて連結して使用することができるように構成してある。
【0051】
図12(a)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す側面図である。図12(b)は、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47を示す平面図である。これらの図に示すように、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47は、前端部、前後中間部及び後端部にブラケットを付設して形成された連結部56,57を備え、前端部及び後端部に一対のメネジ部材を貫設して形成された一対の支持部47C,47Cを備えている。
【0052】
図13(a)に示すように、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47の前端部に備えられた連結部56は、ボルト孔56aに装着される連結ボルトによって前支持プレート44に脱着自在に構成してある。第4の別実施構造を備える棒状支持部材47の前後中間部及び後端部に備えられた連結部56,57は、前端部に備えられた連結部56と同じ連結仕様を備えて、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して連結ボルトによって脱着自在に構成されている。
【0053】
つまり、第4の別実施構造を備える棒状支持部材47は、扱胴16の前端側に位置していた扱歯48に摩滅が発生した場合、前支持プレート44、中支持プレート45及び後支持プレート46に対して前後向きを入れ換えて連結して使用することができるように構成してある。
【0054】
第4の別実施構造を備える棒状支持部材47では、前後向きを入れ換える前においても前後向きを入れ換えた後においても、図13(b)に示すように、扱胴後端側に位置することになる一対の支持部47C,47Cに脱着自在な排塵歯60を取付け、図13(c)に示すように、扱胴前端側に位置することになる一対の支持部47C,47Cに脱着自在な扱歯61を取り付けるように構成してある。
【0055】
脱着自在な排塵歯60及び脱着自在な扱歯61は、基部にブラケットを付設して形成された取付け部60a,61aを一対の支持部47C,47Cに連結ボルトによって締め付け連結することで装着するよう構成してある。排塵歯60は、第2の別実施構造を備える棒状支持部材47に設けられた排塵歯60と同じ構成を備えている。
【0056】
〔別実施例〕
(1)上記した実施形態では、横断面形状が矩形の管状に形成された棒状支持部材47の表面のうち、軸芯Xを挟んで平行に位置する二辺の箇所に扱歯48を溶接する例を示したが、図14(a)に示すように、連続する二辺に扱歯48を溶接する構成を採用してもよい。
【0057】
(2)上記した実施形態では、棒状支持部材47の表面のうち、扱胴回転方向上手側と扱胴回転方向下手側とに分散する箇所47A,47Bに扱歯48を溶接する例を示したが、図14(b)に示すように、棒状支持部材47の表面のうち、棒状支持部材47の軸芯Xに対して扱胴半径方向での外側と内側とに分散して互いに反対側に位置する箇所に扱歯48を溶接する構成を採用して実施してもよい。
【0058】
(3)上記した実施形態では、横断面形状が矩形の管状に形成された棒状支持部材47を採用した例を示したが、このような構成に代えて、例えば、図14(c)に示すように、断面形状がH形に形成されたものを採用してもよい。又、図14(d)に示すように横断面形状が丸形の管状に形成された棒状支持部材47を採用してもよい。この場合、扱歯48として棒状支持部材47の表面に沿うように曲げたものを用いることになる。
【0059】
(4)上記した実施形態では、扱歯48が棒状支持部材47の表面47A,47Bの全幅又は略全幅にわたって長い範囲で接しており、扱歯48の前部側箇所及び後部側箇所の夫々において、長い接触範囲の全領域又は略全領域で溶接が行われる構成としたが、前記接触範囲の一部の箇所、例えば、1箇所又は複数の箇所で部分的に溶接が行われるものでもよく、扱歯48の前部側箇所と後部側箇所のうちのいずれか一方でのみ溶接が行われるものでもよい。
【0060】
(5)上記した実施形態では、扱胴16が、掻込部16Aと脱穀処理部16Bとを備える構成としたが、扱胴16としては、掻込部16Aを備えないものでもよく、又、掻込部16Aに、螺旋羽根43の代わりに整流歯又は扱歯48を備えるものであってもよい。
【0061】
(6)上記した実施形態では、棒状支持部材47が6本備えられる構成としたが、棒状支持部材47の装備数量は種々変更が可能であり、例えば、8本の棒状支持部材47を装備するようにしてもよい。
【0062】
(7)上記した実施形態では、扱歯48として丸棒部材を用いたが、扱歯48としては、角棒鋼材、丸パイプ材、あるいは、フラットバーなどを採用するようにしてもよく、又、U字状やV字状に屈曲形成されたものを採用するようにしてもよい。
【0063】
(8)上記した実施形態では、扱歯48が、棒状支持部材47の脱穀処理物移送方向での始端側から終端側にわたって同じまたはほぼ同じ間隔で並ぶ例を示しが、脱穀処理物の移送始端側と移送終端側とで間隔が異なる構成を採用してしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、全稈投入型のコンバインに備えられる脱穀装置に備えられる扱胴の他、自脱型のコンバインに備えられる脱穀装置に備えられる扱胴にも利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
44 前支持プレート
46 後支持プレート
47 棒状支持部材
47A,47B 箇所
48 扱歯
56 連結部
P 扱胴回転軸芯
X 軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の棒状支持部材が備えられ、前記各棒状支持部材に扱胴径方向外方に向けて突出する状態で且つ前記扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の扱歯が取り付けられている脱穀装置用の扱胴であって、
前記各棒状支持部材において、前記複数の扱歯を、前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接してある脱穀装置用の扱胴。
【請求項2】
前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所が、扱胴回転方向上手側と扱胴回転方向下手側と分散している請求項1記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項3】
前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における一つの扱歯が位置している請求項1又は2記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項4】
前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における複数の扱歯が位置している請求項1又は2記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項5】
前記棒状支持部材を横断面形状が矩形の管状に形成してある請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項6】
前記棒状支持部材に扱胴前端部に位置する前支持プレート及び扱胴後端部に位置する後支持プレートに対する脱着自在な連結部を備えて、前記棒状支持部材を前記前支持プレート及び前記後支持プレートに対して前後向きを入れ換えて連結可能に構成してある請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項1】
扱胴回転軸芯方向に沿う姿勢で且つ扱胴周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の棒状支持部材が備えられ、前記各棒状支持部材に扱胴径方向外方に向けて突出する状態で且つ前記扱胴回転軸芯に沿う方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数の扱歯が取り付けられている脱穀装置用の扱胴であって、
前記各棒状支持部材において、前記複数の扱歯を、前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所に振り分けて溶接してある脱穀装置用の扱胴。
【請求項2】
前記棒状支持部材の表面のうちの前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所が、扱胴回転方向上手側と扱胴回転方向下手側と分散している請求項1記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項3】
前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における一つの扱歯が位置している請求項1又は2記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項4】
前記各棒状支持部材の扱胴周方向視において、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の一方の箇所における扱胴回転軸芯方向に隣り合う一対の扱歯の間に、前記棒状支持部材の軸芯に対して互いに反対側に位置し合う箇所の他方の箇所における複数の扱歯が位置している請求項1又は2記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項5】
前記棒状支持部材を横断面形状が矩形の管状に形成してある請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱穀装置用の扱胴。
【請求項6】
前記棒状支持部材に扱胴前端部に位置する前支持プレート及び扱胴後端部に位置する後支持プレートに対する脱着自在な連結部を備えて、前記棒状支持部材を前記前支持プレート及び前記後支持プレートに対して前後向きを入れ換えて連結可能に構成してある請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱穀装置用の扱胴。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−70645(P2013−70645A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210694(P2011−210694)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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