説明

脱穀装置

【課題】簡易な構成で排藁の詰まりや滞留等を防止して排藁の搬送を良好にでき、コンパクトな脱穀装置を提供することである。
【解決手段】扱胴69を軸架した扱室66と、扱室66から落下する被処理物を選別する選別室50と、扱胴69からの被処理物を処理する排塵処理胴71を軸架した排塵処理室68と、扱胴69で脱穀後の排藁を処理する排藁処理部95と、扱胴69から排藁処理部95に排藁を搬送する排藁搬送装置110,111を備え、排塵処理胴軸71cと扱胴軸69bの間で且つ扱胴軸69bよりも上方の位置に、排藁搬送装置110,111を駆動する伝動機構部122aを設けた。伝動機構部122が扱胴軸69bよりも上方の位置にあることで、簡易な構成で伝動機構部122への排藁の詰まりや滞留等を防止して排藁の搬送を良好にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等に搭載される脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは穀稈の刈取装置と、脱穀装置と、脱穀後一時的に穀粒を貯留するグレンタンクと、グレンタンクに貯留されている穀粒を排出するオーガなどから構成される。
脱穀装置の主脱穀部である扱室には刈取装置で刈り取った穀稈が挿入され、穀稈は扱室に軸架された扱胴の表面に多数設けられた扱歯と扱網との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)は扱網を通過して、選別室の揺動棚で受け止められ、二番穀粒(二番物という場合がある)や藁屑などを分離して穀粒のみをグレンタンクに搬送する。
【0003】
二番穀粒は扱室の側方に設けられた二番処理室に送られ二番処理胴により穀粒、枝梗粒などに分離され、再び揺動棚に落下して比重選別や送風選別されて穀粒、藁屑などに分離される。扱室で発生した藁くずなど短尺のものは排塵処理室に搬送され、排塵処理胴により処理される。
【0004】
脱穀装置の中で最初に穀稈が挿入される扱室においては、被処理物が搬送されながら扱胴が回転することで穀稈の大部分が脱穀される。そして、扱室から落下する被処理物は、選別室において、上下前後方向に揺動する揺動棚上を移動しながら、後方のシーブで唐箕からの送風を受けて風力選別される。
【0005】
選別室においては、揺動棚上を移動してきた被処理物や扱室から一番棚板上と二番棚板上に落下する被処理物を濾過選別し、排藁などは機外に排出し、枝梗粒や穂切れ粒、稈切れ粒などと単粒とを分別して枝梗粒や穂切れ粒、稈切れ粒のみ二番処理室に送り、単粒はグレンタンクへ送る。
【0006】
そして、脱穀装置の扱室の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、排藁チェーンに挟持されて搬送され、脱穀装置の後部の排藁処理室の藁用カッターに投入された後、切断され、圃場に放出される。脱穀装置内で発生した排藁は被処理物の搬送経路内で滞留すると脱穀装置の動力伝動系などに絡みついて詰まりの原因ともなるため、速やかに搬送されて機外に放出されるのが好ましい。
【0007】
下記特許文献1には、脱穀室後方のササリ粒落とし室の後方外側と扱胴軸の右側と排藁穂先移送装置の移送始端部側等により形成される空間部に排藁穂先移送装置等の伝動ケースを設けることで、扱胴を長く設けて排藁の引継ぎを良好にした構成が開示されている。また、下記特許文献2には、穀稈の扱室への供給装置と排藁搬送装置との引継ぎを円滑にするために、供給装置の搬送終端部上方に排藁搬送装置の始端部を臨ませて、平面視で排藁搬送装置の始端部と供給装置の終端部を重ねた構成が開示されている。
【0008】
そして、下記特許文献3に記載された構成では、排藁の搬送とメンテナンス作業が良好にできるように、排藁搬送体の搬送終端部を回動可能とし、排藁搬送体の搬送始端部を扱胴上部カバーの株側で移動可能に支持して上部カバー及び排藁搬送体のカバーをともに上動回動して上方を開放できる構成として、排藁を排出するのに十分な長さの排藁搬送体を確保している。
【特許文献1】特開2006−67814号公報
【特許文献2】特開2003−23849号公報
【特許文献3】特開平9−9777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これら特許文献1〜3の構成により、排藁の引継ぎや搬送は良好になる。しかし、唐箕からの選別風によって排塵物が吹き上げられ、排藁チェーンの伝動系などに絡まって溜まると選別効率の低下を招いたり、排藁チェーンの伝動に支障をきたすという不具合が生じる。
【0010】
上記特許文献1記載の構成によれば、唐箕からの選別風によって吹き上げられた排塵物が排藁穂先移送装置等の伝動ケースに絡まって溜まるおそれがある。また、上記特許文献2記載の構成によれば、穀稈の扱室への供給装置の搬送終端部上方に排藁搬送装置の始端部を臨ませて、平面視で排藁搬送装置の始端部と供給装置の終端部を重ねているため、かえって両装置の距離が近すぎて排藁が両装置間に溜まってしまうと詰まりの原因となりやすい。また、排藁搬送装置の始端部付近にある排藁搬送装置用伝動ギアボックスに唐箕からの選別風によって吹き上げられた排塵物が絡まって溜まるおそれもある。
【0011】
また、上記特許文献3記載の構成によれば、排藁搬送体の伝動系がグレンタンクと脱穀装置の間に位置しているため、脱穀装置の横幅が広くなってコンバインの小型化の要請に対応できない。また、排藁搬送体の伝動系が脱穀装置の外側にあるため、脱穀装置の側壁を貫通させて配置しなければならず、脱穀装置の構造が複雑となる。
【0012】
本発明の課題は、簡易な構成で排藁の詰まりや滞留等を防止して排藁の搬送を良好にでき、小型化の要請に対応可能なコンパクトな脱穀装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、穀稈から穀粒を脱粒させる扱胴(69)を軸架した扱室(66)と、該扱室(66)の下方に設けられ、扱室(66)から落下する被処理物を後方へ搬送しながら選別する選別室(50)と、扱室(66)の搬送方向終端部側に達した被処理物を引き継いで処理する排塵処理胴(71)を軸架した排塵処理室(68)と、前記扱胴(69)により脱穀された後の排藁を処理するための排藁処理部(95)と、扱胴(69)の搬送方向終端部から前記排藁処理部(95)に排藁を搬送する排藁搬送装置(110,111)と、排塵処理胴(71)の軸(71c)と扱胴(69)の軸(69b)の間で且つ扱胴(69)の軸(69b)よりも上方の位置に設けられ前記排藁搬送装置(110,111)を駆動する伝動機構部(122a)とを備えた脱穀装置である。
【0014】
請求項2記載の発明は、前記伝動機構部(122a)を駆動するための駆動回転体(121)と扱胴(69)の被処理物の搬送方向終端部側の扱胴軸(69b)に軸着した回転体(120)に無端帯(106)を掛け渡し、脱穀装置駆動用のエンジンからの動力が扱胴軸(69b)から伝動機構部(122a)へ伝達される構成とし、扱胴軸(69b)に軸着した回転体(120)から前記駆動回転体(121)へ掛け渡した無端帯(106)の回転方向と排藁搬送装置(110,111)による排藁の搬送方向をほぼ同一の方向に設定した請求項1記載の脱穀装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、排藁搬送装置110,111を駆動する伝動機構部122aを排塵処理胴71の軸71cと扱胴69の軸69bの間で且つ扱胴69の軸69bよりも上方の位置に設けたことで、扱室66で発生する排塵物が唐箕79による選別風により吹き上げられても伝動機構部122aまで届きにくいため伝動機構部122aに溜まりにくい。
【0016】
特に脱穀装置15の主要部である扱胴69と排塵処理胴71の上方には被処理物がほとんど存在しないため、伝動機構部122aに被処理物が絡みついて溜まる心配もない。そして、伝動機構部122aを排塵処理胴71の軸71cと扱胴69の軸69bの間に設けることで、扱胴69と排塵処理胴71間のスペースを有効利用しながら、伝動機構部122aをより高い位置に配置できる。
したがって、このような簡易な構成で、伝動機構部122aへの排藁の詰まりや滞留等を防止して排藁の搬送を良好にできる。
【0017】
そして、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、扱胴軸69bに軸着した回転体120から伝動機構部122aの駆動回転体121へ掛け渡した無端帯106の回転方向と排藁搬送装置110,111による排藁の搬送方向をほぼ同一方向としたことから、無端帯106の回転が排藁の搬送を妨げることはない。
【0018】
したがって、例えば伝動機構部122aを駆動するための駆動回転体121に排藁が接触しても、駆動回転体121の回転及び無端帯106の回転が排藁の搬送に支障をきたすように作用しないので、駆動回転体121に排藁が巻き付いたり、排藁の搬送が妨げられることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1には本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、図2には図1のコンバインの平面図を、図3には図1のコンバインの脱穀装置の一部切り欠き側面断面図を示し、図4には図1のコンバインの脱穀装置の扱胴付近の平面図を示す。なお、本実施の形態ではコンバインの前進方向に向かって前側と後側をそれぞれ前、後といい、左側と右側をそれぞれ左、右ということにする。
【0020】
図1ないし図2に示すコンバイン1の走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部には図示しないエンジンならびに脱穀装置15、操縦席20およびグレンタンク30を搭載する。
【0021】
刈取装置6は、図示しない刈取昇降シリンダの伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置8を、その後方底部には刈刃(図示せず)を配置している。刈刃と脱穀装置15のフィードチェン14の始端部との間に、図示しない前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などの搬送装置9を順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0022】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジンを始動して変速用、操向用などの操作レバーをコンバイン1が前進するように操作し、刈取・脱穀クラッチ(図示せず)を入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置8の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0023】
穀稈は供給搬送装置からフィードチェン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置15に供給される。脱穀装置15は、上側に扱胴69を軸架した扱室66を前板97と後板98の間に配置し、扱室66の下側に選別部50を一体的に設け、供給された刈取穀稈を脱穀、選別する。
【0024】
脱穀装置15に供給された穀稈は、後で詳細に説明するが、主脱穀部である扱室66に挿入され、扱室66に軸架され回転する扱胴69の多数の扱歯69aと、フィードチェン14による移送と、扱網74との相互作用により脱穀され、被処理物(穀粒や藁くず)は脱穀装置15内の選別部50の揺動棚51で受け止められ、上下前後方向に揺動する揺動棚51上を移動しながら、唐箕79からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒はシーブ53、54および選別網63を通過し、一番螺旋65から、搬送螺旋78aを内蔵している一番揚穀筒78(図6)を経てグレンタンク30へ搬送され、グレンタンク30に一時貯留される。一番揚穀筒78の長手方向の軸芯上にグレンタンク30の籾排出口を設けている。
【0025】
脱穀装置15の扱室66の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、排藁根元チェーン110および排藁穂先チェーン111に挟持されて搬送され、脱穀装置15の後部の藁用カッター80a、80bに投入されて切断され、圃場に放出される。
【0026】
グレンタンク30内の底部に穀粒移送用のグレンタンク螺旋(図示せず)を設け、グレンタンク螺旋を駆動する螺旋駆動軸(図示せず)に縦オーガ18および横オーガ19からなる排出オーガを連接し、グレンタンク30内に貯留した穀粒を排出オーガ排出口19aからコンバイン1の外部に排出する。グレンタンク螺旋、縦オーガ螺旋(図示せず)および横オーガ螺旋(図示せず)は、エンジンの動力の伝動を受けて回転駆動され、それぞれの螺旋羽根のスクリュウコンベヤ作用により貯留穀粒を搬送する。
【0027】
更に、図5には図3のA−A線矢視の脱穀装置15の立面断面図を示し、図6には図3のB−B線矢視の脱穀装置15の立面断面図を示し、図7には図3のC−C線矢視の脱穀装置15の立面断面図を示す。
【0028】
刈取装置6で刈り取った穀稈は刈取装置6に装着された穀稈搬送、調節装置で扱深さが調節され、脱穀装置15の主脱穀部である扱室66内に挿入される。扱室66に軸架された扱胴69は、その表面に多数の扱歯69aが設けられており、図示しない駆動機構によって、エンジンからの動力により、図4ないし図5の矢印B方向に回転する。扱室66に挿入された穀粒の付いた穀稈は、移動するフィードチェン14により図4の矢印A方向に移送されながら、矢印B方向に回転する扱胴69の扱歯69aと扱網74との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)は扱網74を矢印C1方向(図5)に通過して、揺動棚51で受け止められる。
【0029】
揺動棚51は、扱室66の扱網74の下方に配置した移送棚52とその後方に配置した上方の第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54とその下方の選別網63と最後端部に配置したストローラック62などから構成されている。
【0030】
第1チャフシーブ53と第2チャフシーブ54は、揺動しながら各シーブ間から被処理物を漏下させ、唐箕79からの送風により風力選別する点で共通しているが、被処理物の搬送方向前方側の第1チャフシーブ53の方が後方側にある第2チャフシーブ54に比べて各シーブの大きさが小さく、各シーブ間の距離が多少狭い構成である。被処理物の搬送方向前方側では、被処理物中における単粒の含有率が高く、藁屑の漏下を抑えながら単粒だけを漏下させ、藁屑をより後方へ移送するために、このような構成としている。
【0031】
また、第1チャフシーブ53の上方に、揺動棚51上の被処理物を拡散させる拡散ガイド88を、被処理物の搬送方向に向かって拡散ガイド88の前端が前記移送棚52の上方に位置するように設けている。
そして移送棚52には複数個のラック状の選別板52aを備えており、移送棚52は第1チャフシーブ53の前方に配置されている。移送棚52は扱胴69の下方に配置して二番処理物を受け止め得る構成になっている。
【0032】
扱網74(図3)の前方の領域で漏下する脱穀初期に脱粒した穀粒は単粒であり夾雑物も含んでいないので第1チャフシーブ53や第2チャフシーブ54上で粗選別する必要が無く、直接選別網63で後述する唐箕79からの送風により風選することができ、これらチャフシーブ53、54の負荷を軽くし、能率的な脱穀が可能となる。唐箕79からの送風は、送風流路に設けた風割部105によって上下に分割される。
【0033】
また、揺動棚51は図示しない揺動棚駆動機構の作動により上下前後方向に揺動するので、被処理物は矢印D方向(図3)に移動しながら、揺動棚51上に漏下した比重の重い穀粒は選別網63を矢印E方向に通過し、一番棚板64で集積され、一番螺旋65から一番揚穀筒78(図6)を経てグレンタンク30へ搬送される。グレンタンク30に貯留された穀粒は、オーガ18、19を経由してコンバイン1の外部へ搬送される。
【0034】
揺動棚51の上の被処理物のうち軽量のものは、揺動棚51の揺動作用と唐箕79のファン79aによる送風に吹き飛ばされて揺動棚51から第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54に向けて矢印D方向に移動し、ストローラック62の上で大きさの小さい二番穀粒は矢印G方向に漏下して二番棚板85に集められ、二番螺旋86で二番揚穀筒87へ搬送される。
【0035】
二番穀粒(二番物ということがある)は、正常な穀粒、枝梗粒、藁くずおよび藁くずの中に正常な穀粒が刺さっているササリ粒などの混合物であり、二番揚穀筒87(図5)の中を二番揚穀筒螺旋87aにより揚送されて、二番処理室入口から二番処理室67の上方へ放出される。二番処理室67の下部に軸架する二番処理胴70はエンジンからの動力を伝動して駆動機構により、図3の矢印J方向に回転する。二番穀粒は二番処理胴70に植設してある多数の処理歯70aに衝突しながら矢印I方向(図3、図4)に進行する間に二番穀粒の分離と枝梗粒の枝梗の除去を行い、被処理物の一部は二番処理胴70の下方に設けられた受網75(図5)を通り抜けて選別部50に漏下し、被処理物の大部分は移送棚52から第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54方向に送られ、穀粒は第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54と選別網63を通り、一番螺旋65に集められる。 このように二番物を移送棚52上に回収して第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54による再処理をすることにより、穀粒と藁くずとの分離が良好になる。
【0036】
扱室66を図4の矢印A方向に進行し、扱室66の終端に到達した被処理物の中の脱穀された穀稈で長尺のままのものは、図4に示す矢印A1方向に搬送され、排藁処理室95に投入される。また、扱胴69により脱穀された後の排藁は、フィードチェン14によって扱室66の後板98に形成した排稈口92から扱室66の後方側へ排出される。
【0037】
また、扱室66の扱胴69による被処理物搬送方向終端部側に到達した被処理物の中で、藁くずなど短尺のものは、扱室66の扱胴69による被処理物の搬送方向終端部と排塵処理室68の排塵処理胴71による被処理物の搬送方向始端部とを連通する連通口101にある排塵処理室入口から矢印A2(図4)方向に投入されて、扱室66からの取り込みを良好にする螺旋71bの作用により排塵処理室68に入り、排塵処理室68では回転する排塵処理胴71の処理歯71aにより矢印K方向(図3、図4)に搬送されながら処理される。なお、排塵処理胴71の上手側に螺旋71bが設けられ、排塵処理胴71の下手側に処理歯71aが設けられている。排塵処理胴71の扱室66側には格子状の排塵処理胴枠72(図7)が排塵処理胴71の下側及び扱室66側の外周に沿って設けられ、排塵処理室68の濾過体を構成している。
【0038】
排塵処理室68に入った少量の穀粒を含む藁くずを主体とする被処理物の中の漏下物(穀粒)は受け網76(図3)から揺動棚51上に漏下し、揺動棚51に設けられたストローラック62に誘導されて二番棚板85から二番揚穀筒87を経由して二番処理室67に送られる。なお、同軸上にある二番処理胴70と排塵処理胴71の駆動は図示しないがエンジンから駆動力をプーリを介して行われる。
【0039】
図3に示すように、脱穀装置15の後部に横断流ファン91を設け、排塵処理室68を含む脱穀装置15内で発生する排塵のうち、比重の軽い藁くず、枝梗および塵埃を含む空気を横断流ファン91の回転による送風で吸引し、横断流ファン出口から矢印L方向へ吹き出して、コンバイン1の外部へ放出する。
【0040】
排塵処理室68から揺動棚51の終端部に矢印M(図3)のように落ちた排塵のうち二番穀粒、三番穀粒など小径で比重の重いものは、揺動棚51の終端部のストローラック62あるいはシーブ53を矢印G方向へ通過して二番棚板85に漏下し、再び二番処理室67において処理される。
【0041】
また、連通口101(図4)の前後には前方中板96F及び後方中板96Rを配置しており、前方中板96Fにより前記扱網74(図3)の後端部を支えている。
そして、連通口101後方側の後方中板96Rと後板98の間の扱胴69をササリ粒などの四番物の回収胴69c(図4)とし、扱室66の被処理物搬送方向終端部側に到達したササリ粒などを回収する回収室66aを扱室66内に設けている。回収室66aでは、扱胴69の前部から後部にわたって設けた扱歯69aによって脱穀処理された後の排藁穂先部分に対して、回収室66a内に臨む扱胴69後端部(回収胴69c)の扱歯69aが作用し、この排藁穂先部分に刺さり込んだ穀粒を揺動棚51上へ叩き落して回収することができる。
【0042】
図5から図7に示すように、被処理物が扱室66の外部に洩れないようにするために、扱胴69の側方で、扱室66内へフィードチェン14から搬入される被処理物の供給口近傍に、開閉自在の扱胴カバー102内側に取り付けられた抵抗板81を扱胴69の軸方向と平行に設けてもよい。また、前記抵抗板81と扱胴69の間に、被処理物を扱室66内方へ案内するための株元側ガイド体82を抵抗板81と平行に配置する(なお、図3及び図4では株元側ガイド体82、後述する案内板84などの図示を省略しているため、側面図は図9、平面図は図10を参照)。
【0043】
更に、株元側ガイド体82は、扱胴69の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴69のほぼ中央部にかけては、搬送方向から見て扱胴69回転時の扱歯69aの回転軌跡と重なる櫛歯状部と、扱胴69のほぼ中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては搬送方向から見て扱胴69回転時の扱歯69aの回転軌跡と重ならない平面部とを有し、長手方向を扱胴69軸芯と平行に設けた構成である。
【0044】
図5では、株元側ガイド体82が扱胴69の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴69の中央部後方にかけて扱歯69aの回転軌跡と重なっている状態を示す。
【0045】
図6では、株元側ガイド体82が扱胴69の中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては扱歯69aの回転軌跡と重なっていない状態を示している。抵抗板81の内側に株元側ガイド体82を設置することで扱室66内の被処理物を扱室66内方に導き、株元にささり込む穀粒を低減すると共に、株元側ガイド体82を、前板97と後板98を連結した連結フレーム100上に設けることでフレーム構成が強固となり株元側ガイド体82の取付も安定する。
【0046】
更に、扱胴カバー102の内側には、扱胴69における被処理物の搬送方向から見て下端部が扱胴69の外周に沿って円弧状であり、扱胴69の軸芯と直交する方向に板状平面部を有し、扱胴69における搬送方向下手側への被処理物の搬送を制限する上部仕切板83を設けてもよい。そして、図5及び図6に示すように、上部仕切板83が扱胴69における被処理物の搬送方向から見て扱胴69回転時の扱歯69aの回転軌跡と重なるように設けることで、上部仕切板83と扱歯69aとの相互作用により被処理物を搬送上手側に戻すことができる。
【0047】
また、上部仕切板83(図3)を回収室66a手前の後方中板96Rと前後方向でほぼ同じ位置に設けると、該上部仕切板83及び後方中板96Rとによって穀粒の後方への流れに抵抗が与えられ、上部仕切板83後方での回収室66aにおいてササリ粒の回収が良好となると共に、扱室66における被処理物の濾過も促進され、三番穀粒の回収ロスも低減する。そして、連通口101の近傍に、扱胴69の軸芯と略直交する方向に平面部を有し、扱室66内の扱胴69から排塵処理室68への被処理物の搬送を制限しながら案内する案内板84(図9,図10参照)を設けてもよい。連通口101近傍に設けた案内板84が、扱胴69の軸芯と略直交する方向に板状平面部を有しており、扱室66内の被処理物に搬送抵抗を与えて該被処理物を連通口101から排塵処理室68側へ移送案内することができる。即ち、扱室66内の被処理物に適度な搬送抵抗を与えることによって、この被処理物を連通口101から排塵処理室68側へ流入しやすくし、扱室66側から排塵処理室68側への被処理物の流れを円滑なものとして、扱室66内の過負荷による異音の発生を少なくできる。
【0048】
図8には、図1のコンバインの一部を断面して示した背面図を示す。
そして、本実施形態によれば、排藁根元チェーン110や排藁穂先チェーン111を駆動するべべルギア機構122a(図4)を内装した排藁入力ギアケース122を、選別室50の排塵処理室68側の側壁近傍であって排塵処理胴軸71cと扱胴軸69bのほぼ中間で且つ扱胴軸69bよりも上方に設けている。
【0049】
扱室66に軸架された扱胴69は、上述のようにエンジンからの動力により、図4ないし図5の矢印B方向に回転する。そして、図4及び図8に示すように、扱胴69の被処理物の搬送方向終端部側の扱胴軸69bには排藁出力プーリ120が軸着しており、該排藁出力プーリ120と排藁入力プーリ121に排藁入力ベルト106を掛け渡すことで、扱胴軸69bの回転により排藁出力プーリ120及び排藁入力プーリ121がともに矢印T方向に回転し、エンジンからの動力が排藁入力ギアケース122内のべべルギア機構122aに伝達される。
なお、排藁出力プーリ120と排藁入力プーリ121間の下側の排藁入力ベルト106に設けたテンションプーリ107によって排藁入力ベルト106の緊張と弛緩の調節が可能である。
【0050】
テンションプーリ107の軸107aはテンションアーム108の右側端部に固着連結しており、テンションアーム108の左側端部は排藁出力プーリ120の軸(扱胴軸69b)を内装した伝動ケース135(図4)に連結している。そして、テンションアーム108の中央上部にはテンションスプリング109の一端部が連結しており、テンションスプリング109の他端部は脱穀装置15の機枠に連結し、テンションスプリング109の張力でテンションプーリ107が排藁入力ベルト106を押圧して緊張させる。
【0051】
そして、図4に示すように、排藁入力プーリ121のプーリ軸121aから伝達された動力はべべルギア機構122a及びカップリング123を介して根元チェーン入力軸127から排藁根元チェーン110を駆動する根元チェーン駆動スプロケット126へと伝達される。根元チェーン駆動スプロケット126は排藁根元チェーン110中央付近に設けられている。
【0052】
そして、排藁根元チェーン110は、扱胴69によって脱穀されフィードチェン14によって株元(根元)側が挟持された排藁を引き継いで、フィードチェン14側の先端ローラ130から終端ローラ131へ矢印U方向(図4、図8)に搬送する。
【0053】
また、根元チェーン駆動スプロケット126からは穂先チェーン入力スプロケット128に動力が伝達されて、更に根元チェーン出力軸129から穂先チェーン駆動スプロケット125に伝達されることで排藁穂先チェーン111が排藁根元チェーン110と同様に矢印U方向に回転駆動する。本実施形態のように、排藁根元チェーン110と排藁穂先チェーン111の駆動軸をそれぞれ設け、排藁穂先チェーン111を後部から駆動することで、排藁穂先チェーン111を張り側(後部から駆動した場合、排藁穂先チェーン111の巻回域の下側部分が張り側、上側部分が緩み側となる)で搬送する構成にすることができ、一本の駆動軸で両排藁チェーン110,111を回転させる場合に比べて排藁の搬送力が安定し、搬送不良による排藁の詰まりを防止することができる。
【0054】
このように扱室66の排稈口92から排出された排藁の穂先側は穂先支持ガイド113によって排藁穂先チェーン111に支持、案内され、根元側は根元支持ガイド117によって排藁根元チェーン110に支持、案内されて根元チェーン挟持杆115により挟持される。そして、排藁チェーン110、111により矢印U方向に搬送された排藁は、排藁処理室95に投入されて藁用カッター80a、80bによって切断され、圃場に放出される。
【0055】
本構成を採用することにより、扱室66で発生する排塵物(排稈口92からの排塵物)が唐箕79による選別風により吹き上げられても排藁入力ギアケース122まで届きにくいため排藁入力ギアケース122に溜まりにくい。脱穀装置15の構造上、排稈口92付近に排藁根元チェーン110や排藁穂先チェーン111の伝動機構部を設ける場合があるが、特に排稈口92付近には排塵物が溜まりやすい。しかし、本構成のように排稈口92から上方の遠い箇所に排藁入力ギアケース122を設けることで、排藁入力ギアケース122に排塵物が絡みつく不具合を防止できる。
【0056】
また、脱穀装置15の主要部である扱胴69と排塵処理胴71の上方には被処理物がほとんど存在しないため、伝動機構部122aに被処理物が絡みついて溜まる心配もない。そして、伝動機構部122aを排塵処理胴軸71cと扱胴軸69bのほぼ中間に設けることで、扱胴69と排塵処理胴71間のスペースを有効利用できる。
【0057】
したがって、このような簡易な構成で、排藁の詰まりや滞留等を防止して排藁の搬送を良好にできる。また、排藁入力ギアケース122を、排藁根元チェーン110の先端部(搬送始端部)の先端ローラ130付近やフィードチェン14などの装置が混み合う部位から外して空スペースに構成できる。
【0058】
また、扱胴軸69bに軸着した排藁出力プーリ120から排藁入力プーリ121への排藁入力ベルト106の回転方向と排藁根元チェーン110や排藁穂先チェーン111による排藁の搬送方向をほぼ同一方向とすれば、排藁入力ベルト106の回転が排藁の搬送を妨げることはない。
【0059】
図8に示すように、排藁出力プーリ120から排藁入力プーリ121への排藁入力ベルト106の回転方向(矢印T2方向)と排藁根元チェーン110及び排藁穂先チェーン111の排藁の搬送方向(矢印U方向)は左側から右側の方向であり、ほぼ同一方向である。
【0060】
したがって、例えば排藁入力駆動プーリ121に排藁が接触しても、排藁入力駆動プーリ121の回転及び排藁入力ベルト106の回転が排藁の搬送に支障をきたすように作用しないので、駆動プーリ121に排藁が巻き付いたり、排藁の搬送が妨げられることがない。
【0061】
そして、排藁入力ベルト106の回転方向を、排藁入力ベルト106の巻回域の上側部分106aが下り傾斜(下向き)で下側部分106bが上り傾斜(上向き)とすれば、排藁入力ベルト106の上面(表面)に塵介などが乗っても排藁入力ベルト106に巻き付いたり排藁入力ベルト106上に溜まったりしない。
【0062】
図8に示すように、排藁入力ベルト106は巻回域の上側部分106aが矢印T1方向(右側から左下り方向)に回転するので、排藁入力ベルト106上に塵介などが乗っても排藁入力ベルト106の回転とともに下方に落下させることができ選別室50に送ることができる。また、排藁入力ベルト106の巻回域の下側部分106bは矢印T2方向(左側から右上がり方向)に回転するので、すなわち、穀稈の株元側(脱穀装置15の左側、フィードチェン14側)から穂先側(脱穀装置15の右側)方向に回転しており、排藁根元チェーン110や排藁穂先チェーン111による排藁の搬送に支障がない。
【0063】
また、図4に示すように、排藁穂先チェーン111を扱胴69の被処理物の搬送終端部にある排藁出力プーリ120の近傍であって、更に排藁穂先チェーン111のラグ111aの先端が排藁出力プーリ120よりも左側で且つ排藁出力プーリ120よりも前方に位置するように設けても良い。
【0064】
排藁穂先チェーン111のラグ111aの先端は排藁出力プーリ120の近傍で、後板98の排稈口92の近傍に位置しているので、排稈口92から排出される排藁の穂先部分を速やかに排藁穂先チェーン111に引き継ぎ、排藁の搬送姿勢を乱すことがなく排藁の搬送が可能となる。
【0065】
また、排藁穂先チェーン111のラグ111aの先端(図8の点線Z位置)が排藁出力プーリ120の左端(排藁出力プーリ120の排稈口92側端部)の位置よりも左側にあるため、ラグ111aの先端は排藁出力プーリ120に比べて排稈口92に近い位置にある。更に、排藁穂先チェーン111のラグ111aの先端が排藁出力プーリ120の位置(図4の点線V位置)よりも前方にあるため、排藁は排藁出力プーリ120に接触する前に排藁穂先チェーン111に引き継がれる。したがって、排稈口92近傍の排藁穂先チェーン111の引継部で排藁が排藁出力プーリ120に巻き付くことがない。
【0066】
そして、扱胴69の被処理物の搬送終端部の排藁出力プーリ120と排藁穂先チェーン111のラグ111aの先端部、及び排藁根元チェーン110の先端部(先端ローラ130)を左右方向にほぼ一直線上に設けても良い。
【0067】
図4に示すように、排藁根元チェーン110の先端ローラ130はフィードチェン14上に平面視でオーバーラップするまで前方に設けると、排藁出力プーリ120と排藁穂先チェーン111の先端部、及び排藁根元チェーン110の先端部までが一直線上となり、フィードチェン14から排藁根元チェーン110及び排藁穂先チェーン111までの排藁の引き継ぎ性能が向上する。
【0068】
図9には、本発明の他の実施形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの脱穀装置の一部切り欠き側面断面図を示し、図10には図9のコンバインの脱穀装置の扱胴付近の平面図を示し、図11には図9のコンバインの脱穀装置の一部を断面して示した背面図を示す。なお、図3、図4、図8等と同一の部材の説明は省略する。
【0069】
また、連通口101後方側の後方中板96Rと後板98の間の扱胴69をササリ粒などの四番物の回収胴69cとし、扱室66の被処理物の搬送方向終端部側に到達したササリ粒などを回収する回収室66aを扱室66内に設けても良い。回収室66aでは、扱胴69の前部から後部にわたって設けた扱歯69aによって脱穀処理された後の排藁穂先部分に対して、回収室66a内に臨む扱胴69後端部(回収胴69c)の扱歯69aが作用し、この排藁穂先部分に刺さり込んだ穀粒を揺動棚51上へ叩き落して回収することができる。
【0070】
また、被処理物が扱室66の外部に洩れないようにするために、扱胴69の側方で、扱室66内へフィードチェン14から搬入される被処理物の供給口近傍に、開閉用ハンドル140により開閉自在の扱胴カバー102を設けると良い。扱胴カバー102は扱胴69の長手方向(被処理物の搬送方向)に亘って設けられた開閉用ハンドル140の操作により、支点102a(図11)を中心として上下方向に回動することで開閉する構成である。
【0071】
図9から図11に示すように、開閉用ハンドル140の基部は前側、後側ともに接続部材147の一端部に固着連結し、更に接続部材147a、147bの他端部はリムーバ143a、143bに固着連結している。そしてリムーバ143a、143bの下部に連結したフック142a、142bの上部には断面円周状の切り欠き部を設け、該切り欠き部にロックピン141a、141bが係止している。扱胴カバー102の下面(底面)102bの左端(フィードチェン14側)はリムーバ143a、143bに連結しており、開閉用ハンドル140を上方に操作するとフック142a、142bがリムーバ143a、143bの回動軸145を支点として矢印W方向(図11)に回動してロックピン141a、141bから外れることで、扱胴カバー102が矢印R方向に開く。
このように開閉用ハンドル140の操作によりワンタッチで容易に扱胴カバー102の開閉が可能となり、脱穀作業の作業性や脱穀装置15のメンテナンス性が良好となる。
【0072】
そして、排藁根元チェーン110の先端部(搬送始端部)を扱室66における扱胴69の被処理物の搬送方向終端部側(後板98側)まで近づけて、扱室69の前後方向の長さL1よりも、扱胴カバー102の開閉用ハンドル140の前後方向の長さL2を短くすると良い。
【0073】
このように、開閉用ハンドル140により前後のリムーバ143a、143b、フック142a、142b、ロックピン141a、141b等のロック部150a、150bを扱胴カバー102に連結することで、扱胴カバー102がワンタッチで開閉可能であり、且つ排藁根元チェーン110をフィードチェン14上で後板98の近傍まで近づけて設けることが可能となる。すなわち、排藁根元チェーン110の搬送始端部とフィードチェン14との距離が近いことから排藁の引継ぎがスムーズに行われ、排藁の搬送が良好となる。
【0074】
また、後板98近傍のロック部(後方のロック部)150bのリムーバ部143bを排藁根元チェーン110の先端部(搬送始端部)を避けるように前方に屈曲して設けると良い。
図10に示すように、扱室69の後板98に設けた扱胴カバー102のロック部150bのリムーバ部143bを排藁根元チェーン110の始端部を避けるように前方に屈曲させて平面視でZ型に設けると、排藁根元チェーン110と扱胴カバー102のロック部150bが平面視で重ならないためほぼ同じ高さ位置に設けることができる。
【0075】
したがって、排藁根元チェーン110を扱胴69の後板98に近づけることが容易になり、排稈口92からの排藁の引継ぎや搬送が良好となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の脱穀装置はコンバインなどの収穫した穀粒の処理装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図である。
【図2】図1のコンバインの平面図である。
【図3】図1のコンバインの脱穀装置の左側面断面図である。
【図4】図1のコンバインの脱穀装置の扱胴付近の平面図である。
【図5】図3のA−A線矢視図である。
【図6】図3のB−B線矢視図である。
【図7】図3のC−C線矢視図である。
【図8】図1のコンバインの脱穀装置の一部を断面して示した背面図である。
【図9】本発明の他の実施形態のコンバインの脱穀装置の左側面断面図である。
【図10】図9のコンバインの脱穀装置の扱胴付近の平面図である。
【図11】図9のコンバインの脱穀装置の一部を断面して示した背面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 コンバイン 2 走行フレーム
3 走行装置 4 クローラ
6 刈取装置 7 分草具
8 穀稈引き起こし装置 9 搬送装置
14 フィードチェン 15 脱穀装置
18 縦オーガ 19 横オーガ
19a 排出口 20 操縦席
30 グレンタンク 50 選別部
51 揺動棚 52 移送棚
52a 選別板 53 第1チャフシーブ
54 第2チャフシーブ 62 ストローラック
63 選別網 64 一番棚板
65 一番螺旋 66 扱室
66a 回収室 67 二番処理室
68 排塵処理室 69 扱胴
69a 扱歯 69b 扱胴軸
69c 回収胴 70 二番処理胴
70a 処理歯 71 排塵処理胴
71a 処理歯 71b 螺旋
71c 排塵処理胴軸 72 排塵処理胴枠
74 扱網 75 二番処理胴受網
76 受け網 78 一番揚穀筒
78a 搬送螺旋 79 唐箕
79a 唐箕ファン 80a、80b 藁用カッター
81 抵抗板 82 株元側ガイド体
83 上部仕切板 84 案内板
85 二番棚板 86 二番螺旋
87 二番揚穀筒 87a 二番揚穀筒螺旋
88 拡散ガイド 91 横断流ファン
92 排稈口 95 排藁処理室
96F 前方中板 96R 後方中板
97 前板 98 後板
100 連結フレーム 101 連通口
102 扱胴カバー 102a 支点
102b 下面(底面) 105 風割部
106 排藁入力ベルト 107 テンションプーリ
107a テンションプーリ軸 108 テンションアーム
109 テンションスプリング 110 排藁根元チェーン
111 排藁穂先チェーン 111a ラグ
113 穂先支持ガイド 115 根元チェーン挟持杆
117 根元支持ガイド 120 排藁出力プーリ
121 排藁入力プーリ 121a プーリ軸
122 排藁入力ギアケース 122a べべルギア機構
123 カップリング 125 穂先チェーン駆動スプロケット
126 根元チェーン駆動スプロケット
127 根元チェーン入力軸 128 穂先チェーン入力スプロケット
129 根元チェーン出力軸 130 先端ローラ
131 終端ローラ 135 伝動ケース
140 開閉用ハンドル 141a、141b ロックピン
142a、142b フック 143a、143b リムーバ
145 支点(回動軸) 147 接続部材
150a、150b ロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈から穀粒を脱粒させる扱胴(69)を軸架した扱室(66)と、
該扱室(66)の下方に設けられ、扱室(66)から落下する被処理物を後方へ搬送しながら選別する選別室(50)と、
扱室(66)の搬送方向終端部側に達した被処理物を引き継いで処理する排塵処理胴(71)を軸架した排塵処理室(68)と、
前記扱胴(69)により脱穀された後の排藁を処理するための排藁処理部(95)と、
扱胴(69)の搬送方向終端部から前記排藁処理部(95)に排藁を搬送する排藁搬送装置(110,111)と、
排塵処理胴(71)の軸(71c)と扱胴(69)の軸(69b)の間で且つ扱胴(69)の軸(69b)よりも上方の位置に設けられ前記排藁搬送装置(110,111)を駆動する伝動機構部(122a)と
を備えたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記伝動機構部(122a)を駆動するための駆動回転体(121)と扱胴(69)の被処理物の搬送方向終端部側の扱胴軸(69b)に軸着した回転体(120)に無端帯(106)を掛け渡し、脱穀装置駆動用のエンジンからの動力が扱胴軸(69b)から伝動機構部(122a)へ伝達される構成とし、扱胴軸(69b)に軸着した回転体(120)から前記駆動回転体(121)へ掛け渡した無端帯(106)の回転方向と排藁搬送装置(110,111)による排藁の搬送方向をほぼ同一の方向に設定したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−55853(P2009−55853A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226314(P2007−226314)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】