脱穀装置
【課題】可動シーブにおける付着物の清掃機能を提供する。
【解決手段】扱室から漏下する脱穀処理物を受けて揺動により移送しつつ選別を行う揺動選別棚を設け、この揺動選別棚に左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の可動シーブ部材24bが前後方向に平行に並設されてなる可動シーブ24を備える。各可動シーブ部材24bに可動シーブ部材24bの付着物を掻き取る清掃片101を左右方向に往復移動可能に付設し、各可動シーブ部材24bの清掃片101を連結部材102により相互に連結して、各可動シーブ部材24bの清掃片101を一体的に左右方向に往復駆動させる構成とし、各清掃片101が連結部材102に対する連結状態を維持しつつ可動シーブ部材24bと一体的に傾斜角度が変化する構成とする。
【解決手段】扱室から漏下する脱穀処理物を受けて揺動により移送しつつ選別を行う揺動選別棚を設け、この揺動選別棚に左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の可動シーブ部材24bが前後方向に平行に並設されてなる可動シーブ24を備える。各可動シーブ部材24bに可動シーブ部材24bの付着物を掻き取る清掃片101を左右方向に往復移動可能に付設し、各可動シーブ部材24bの清掃片101を連結部材102により相互に連結して、各可動シーブ部材24bの清掃片101を一体的に左右方向に往復駆動させる構成とし、各清掃片101が連結部材102に対する連結状態を維持しつつ可動シーブ部材24bと一体的に傾斜角度が変化する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜角度が調整自在のシーブ部材が平行に複数配列された可動シーブに、清掃装置を備えた脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置における揺動選別棚のシーブに付着した藁屑を、シーブ上を左右方向に往復揺動する清掃体により掻き取り除去する清掃装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−100671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のシーブの清掃装置は、シーブ部材の傾斜角度(開度)が固定の固定シーブに設けられるものであり、シーブ部材の傾斜角度(開度)が調整自在の可動シーブに設けられるものではなかった。
【0005】
可動シーブは、固定シーブと組み合わせて固定シーブの下流側に設けられることが一般的であり、可動シーブ上の処理物は穀粒の含有率が少なく藁屑が多いため、可動シーブへの藁屑の付着率は固定シーブよりも高い。特に湿材を処理するときには、可動シーブ表面に藁屑が付着し易く、各可動シーブ間に形成されるろ過空間が塞がれて三番ロスが多くなる。よって、選別性能の悪化を防止するためには、可動シーブに付着した藁屑の清掃除去は極めて重要である。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、可動シーブにおける付着物の清掃機能を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、扱室(11)から漏下する脱穀処理物を受けて揺動により移送しつつ選別を行う揺動選別棚(20)を設け、
この揺動選別棚(20)に、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が固定の複数の固定シーブ部材(23b)を前後方向に併設した固定シーブ(23)と、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の可動シーブ部材(24b)を前後方向に併設した可動シーブ(24)を備え、
前記固定シーブ部材(23b)に、固定シーブ部材(23b)の付着物を掻き取る傾斜縁部(82a)を備えた清掃体(80)を左右方向に往復移動可能に付設し、
前記可動シーブ部材(24b)に、可動シーブ部材(24b)の付着物を掻き取る清掃片(101)を左右方向に往復移動可能に付設したことを特徴とする脱穀装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前後方向に並設された各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を連結部材(102)により前後方向に相互に連結し、該連結部材(102)の左右方向の往復移動によって各清掃片(101)を一体的に左右方向に往復移動させる構成とし、
各清掃片(101)が前記連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、前記可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成としたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記複数の可動シーブ部材(24b)を、左右方向に沿う軸心(24c)を中心として回動するように構成するとともに、各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を、前後方向に沿って延在する共通の連結部材(102)に対し、左右方向の軸芯まわりに回動可能に連結して相互に一体化して、前記可動シーブ部材(24b)及びこれに付設された清掃片(101)からなる部分と前記連結部材(102)とが平行クランクをなすように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の脱穀装置である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記揺動選別棚(20)は、前記可動シーブ(24)と、この可動シーブ(24)の後方に設けられたストローラック(25)と、前記可動シーブ(24)部の下方に設けられた選別網(28)と、これら可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が取り付けられた本体部(20s)とを備え、前記可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が一体として前記本体部(20s)に着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記一番受樋(19A)の後端部に後斜め上方に向かって延在する一番棚先(29)を設け、この一番棚先(29)を送風方向下流側の部位が上下するように姿勢変化自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の量を検出する処理量検出センサ(95)を設け、この処理量検出センサ(95)の検出結果に基づき、前記唐箕(16)の送風方向変化と前記一番棚先(29)29の姿勢変化とが連動して行われる構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記唐箕(16)の回転数を作物選択スイッチ(91)による作物選択により変更可能な構成とするとともに、前記作物選択スイッチ(91)の各作物選択状態において前記唐箕(16)の送風方向が揺動選別棚(20)における移送上手側に向かうほど前記唐箕(16)の回転数を増速する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の終端部の上方に吸引排塵ファン(47)の吸塵口(47i)を開口させ、前記唐箕(16)の送風方向が所定角度以上上方に向いたときに、前記吸引排塵ファン(47)の回転数を所定値以下に低下させる構成としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、固定シーブ部材(23b)に、付着物を掻き取る傾斜縁部(82a)を備えた清掃体(80)を左右方向に往復移動可能に付設し、可動シーブ部材(24b)に、可動シーブ部材(24b)の付着物を掻き取る清掃片(101)を左右方向に往復移動可能に付設したので、清掃体(80)の傾斜縁部(82a)によって固定シーブ部材(23b)の付着物を効率的に除去し、この後に続く可動シーブ部材(24b)の表面を清掃片(101)で清掃することで、固定シーブ(23)及び可動シーブ(24)における藁屑付着による目詰まりを防止することで、揺動選別棚(20)の選別性能を維持し、穀粒回収率を高めることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、清掃片(101)を連結部材(102)により前後方向に相互に連結して、各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を一体的に左右方向に往復移動させる構成とし、各清掃片(101)が連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成としたことにより、可動シーブ(24)の傾斜角度に関係なく、可動シーブ部材(24b)の表面を清掃片(101)により清掃することができる。その結果、可動シーブ(24)における藁屑付着による目詰まり及びそれによる三番ロスを更に効率的に防止することができ、所期の選別性能を維持できるようになる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、簡素かつ確実な機構により、各清掃片(101)が連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成を実現することができるようになる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、揺動選別棚(20)の全体を外すことなく、可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)を容易に取り外すことができるので、その下方に位置する部分のメンテナンスを容易に行うことができる。特に大型の機械では、揺動選別棚(20)全体は重すぎて一人での取り外し作業は困難であるが、可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)だけであれば一人でも取り外しが可能となる。また、揺動選別棚(20)全体を組み付ける場合には揺動選別棚(20)の周囲にシールゴムを適切にセットすることが必要となるが、請求項3記載の発明では揺動選別棚(20)全体を取り外す必要が無いので、揺動選別棚(20)周囲のシールゴムのセット不良によるロス・選別不良が発生し難くなる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、棚上処理物の量に応じて唐箕(16)の送風方向変化を変化させることにより、処理量に関係なく機外飛散を低減できるとともに、唐箕(16)の送風方向変化と連動して一番棚先(29)の姿勢変化がなされるため、処理物量に応じて一番受樋(19A)に導く穀粒の割合や選別状態を調整可能となり、選別性能を向上できるようになる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項記載の発明による効果に加えて、唐箕(16)の送風方向が揺動選別棚(20)における処理物移送方向上手寄りになっても唐箕(16)の回転数増加により一番受樋(19A)の後壁先端部における風速が減少し難くなり、一番受樋(19A)に稈切れが混入し難くなり、所期の選別性能を維持することができる。また、唐箕(16)の送風方向が上方寄りになったときには三番排塵口への唐箕(16)風の流出は少ないので、唐箕(16)の回転数増加による三番ロスは増加し難い。しかも、作物選択スイッチ(91)により基本となる唐箕(16)の回転数を変更できるので、上述の作用を稲、麦等の作物種類に応じて適切に発揮させることができるようになる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、唐箕(16)の送風方向が上向きになった時に吸引排塵ファン(47)の回転数が下がり、吸引力が弱くなるため、唐箕(16)の送風により吹き上げられた穀粒を機外へ排出することにより発生するロスを低減でき、吸引排塵ファン(47)を効率良く駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの正面図である。
【図4】コンバインの背面図である。
【図5】脱穀装置の縦断面図である。
【図6】脱穀装置の他の位置における要部縦断面図である。
【図7】脱穀装置の水平断面図である。
【図8】コンバインの要部水平断面図である。
【図9】図8のA−A断面図である。
【図10】図8のB−B断面図である。
【図11】図7のC−C断面図である。
【図12】コンバインの要部縦断面図である。
【図13】コンバインの要部縦断面図である。
【図14】(a)脱穀装置の要部縦断面図、並びにスクレーパ片の(b)正面図及び(c)側面図である。
【図15】脱穀装置の要部水平断面図である。
【図16】脱穀装置の要部縦断面図である。
【図17】操作ケーブルの駆動装置の要部左側面図である。
【図18】操作ケーブルの駆動装置の要部底面図である。
【図19】第一シーブの平面図である。
【図20】第一シーブの要部斜視図である。
【図21】第一シーブの要部斜視図である。
【図22】(a)第一清掃体の平面図、及び(b)第一清掃体の左側面図である。
【図23】第一清掃体の正面図である。
【図24】脱穀装置の要部縦断面図である。
【図25】第二シーブ、ストローラック及び選別網の正面図である。
【図26】脱穀装置の要部縦断面図である。
【図27】第一唐箕の送風方向変化及び一番棚先の姿勢変化における連動駆動機構の側面図である。
【図28】脱穀装置の動力伝動経路図である。
【図29】第一唐箕の回転数の制御関数を示すグラフである。
【図30】操作盤の概略図である。
【図31】第一唐箕の送風方向変化の制御関数を示すグラフである。
【図32】脱穀装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施例について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0023】
図中の符号1はコンバインの機体フレーム、符号2は左右一対のクローラを有する走行装置、符号3は機体フレーム1の上方に設けられた脱穀装置、符号4は脱穀装置3の前側に設けられた、植立穀稈を刈り取る刈取装置、符号6は脱穀装置3の側部に設けられたグレンタンク、符号6はグレンタンク5の前方に設けた操縦部、符号7はグレンタンクの貯留穀粒を排出するための排出管、符号7は刈取装置4で刈り取った穀稈を脱穀装置3に向けて搬送する供給搬送装置8をそれぞれ示している。
【0024】
走行装置2により機体を走行し、圃場に植立する穀稈を刈取装置4により刈り取ると、その穀稈は供給搬送装置8により揚上搬送され、その過程で株元側が側方に持ち上がるように姿勢変更され且つ脱穀装置3における扱ぎ深さが調整された後に脱穀部搬送装置12に受け渡される。脱穀部搬送装置12では、穀稈の株元側をフィードチェーン13Bと挟持杆13Aとの間で挟持してその穂先側を脱穀装置3の扱室11内に通過させて脱穀を行いつつ後方に搬送する。脱穀済みの排藁は、排藁搬送装置14に引き継がれる。
【0025】
(扱室)
脱穀装置3は穀稈の脱穀を行う扱室11を上部に備えている。この扱室11内には扱歯10bを有する扱胴10が前後方向に沿う軸心を中心として回転するように軸支されており、この扱胴10の主として下方側を扱胴10外周に沿って包囲するように扱網15が張設されている。扱室11に供給された穀稈は回転する扱胴10と扱網15との間で脱穀され、脱穀された穀粒は扱網15から漏下して選別室18に供給され、揺動選別装置21により選別される。
【0026】
扱室11は、前後方向中間に設けられた中間隔壁11J,11Kよりも前側の部分で構成され、中間隔壁11J,11K間に排塵処理室30(後述する)への連通口35が形成されている。また、中間隔壁11Kとその下流側に設けられた後隔壁11Lとの間に刺さり粒回収室11Eが形成されるとともに、扱胴10の下流側(後側)端部が中間隔壁11Kを貫通して刺さり粒回収室11E内まで延在しており、この延在部分に、扱胴回転方向に対して所定角度に傾斜する傾斜扱歯10cが扱胴周方向に所定の間隔を空けて且つ交互に設けられている。扱室11の側面には、穀稈の穂先側を扱胴10の扱歯10bの作用域へ供給した状態で後送するための扱ぎ口11iが形成され、この扱ぎ口11iに沿って、フィードチェーン13Bが配置される。扱室11で脱穀された処理物のうち扱網15から漏下しない処理物は連通口35を介して排塵処理室30に供給される。一方、扱室11を通過した穀稈は刺さり粒回収室11Eに至り、傾斜扱歯10cにより搬送穀稈を開いて穀稈中にささり込んだ穀粒が取り除かれて落とされた後、排藁搬送装置14に引き継がれる。
【0027】
刺さり粒回収室11Eは穀稈に刺さり残った刺さり粒を落とすためのものであるため、刺さり粒回収室11Eの前後方向長さは扱室11の前後方向長さよりも短くするのが望ましい。
【0028】
扱室11の上方を覆う上部カバー11Uは、脱穀部搬送装置12と反対側に位置する前後方向に沿う支軸を支点として揺動開閉するように構成されており、この上部カバー11Uに挟持杆13Aが取り付けられ、挟持杆13Aも上部カバー11Uに伴って揺動開閉するように構成されている。
【0029】
(挟持杆、フィードチェーン部)
図5、図9等に示すように、扱室11の一方側(機体走行方向の左側)に設けられる脱穀部搬送装置12は、下側に位置するフィードチェーン13Bと、上側に位置し、且つスプリング等の付勢手段13cにより上部カバー11Uに対してフィードチェーン13B側に付勢される挟持杆13Aとから主に構成されている。図8及び図12等に示すように、フィードチェーン13Bは、前後に設けられた張設輪13d,13d及びこれらの間に設けられた伝動スプロケット13eに巻回されて駆動される無端のチェーンであり、上方側を後方に向かって移動する過程で挟持杆13Aとの間に穀稈の株元側が挟持されるようになっている。
【0030】
本実施形態では、これらのフィードチェーン13B、張設輪13d、伝動スプロケット13e、これらを支持するフレーム9f、及びその外側のカバー9c等を含み、裏側に扱室11の側壁が位置する部分がフィードチェーン部9を構成している。フィードチェーン部9は、本実施形態では前端部に位置する上下方向に沿う支軸9xを中心として揺動開閉するようになっているが、フィードチェーン13Bと挟持杆13Aとの間で穀稈を搬送する閉位置と、裏側に位置する扱室11の側壁が露出する開位置とに開閉変更自在であれば、支軸9xの位置が後端部であっても良く、また移動形態が開動ではなくスライド移動等であっても良い。
【0031】
(選別室)
扱室11の扱網15の下方には、扱網15から漏下する脱穀処理物を穀粒とそれ以外の物とに選別するための選別室18が形成されており、選別室18の上部には前後方向に往復揺動する揺動選別棚20により構成された揺動選別装置21が設けられ、選別室18の下部には、唐箕16と、一番受樋19A、二番受樋19Bとが、揺動選別棚20の移送方向に(前から後ろに向かって)この順で設けられている。
【0032】
揺動選別棚20の始端部(前端部)は、唐箕ケーシング16cの上方に位置する移送棚22として形成されている。移送棚22の構成は任意であり、移送方向下流側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚22の上面に突起や凹凸を設けたりして、揺動選別装置21の移送方向下流側の第一シーブ(固定シーブ)23に向けて扱網15からの漏下物を移送できればよい。
【0033】
第一シーブ23は、主に扱網15から直接漏下する又は移送棚22を介して送り込まれる穀粒と異物とを選別する篩であり、図示例では、移送方向下流側(後側)が高くなるように傾斜した薄い板状体からなる固定シーブ部材23bを揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものである。この形態における第一シーブ23のシーブ部材(固定シーブ部材)23bの傾斜角度は固定とされた固定シーブである。
【0034】
第一シーブ23の移送方向下流側(後側)には、主に穀粒とチャフ(わら屑)とを選別する第二シーブ24が並設されている。第二シーブ24は、扱室11から排塵処理室30への連通口35より後側に配置され、第一シーブ23からの処理物及び刺さり粒回収室11Eからの処理物を受け入れて選別する箭であり、図示例では、移送方向下流側(後側)が高くなるように傾斜した薄い板状体からなるシーブ部材24bを揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものであり、第一シーブ23より選別行程が長く構成されている。
【0035】
第二シーブ24は、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の第二シーブ部材24bが前後方向に平行に並設されてなるものである。より詳細には、図5、図6及び図16等に示されるように、各第二シーブ部材24bには左右方向に延在する上部支軸24c及び下部支軸24dがそれぞれ設けられるとともに、その下方には各第二シーブ部材24bを連結する連結板24rが設けられており、この連結板24rには各第二シーブ部材24bに対応して前後方向に間隔を空けて長孔24hが設けられており、この長孔24hに対して各第二シーブ部材24bの下部支軸24dが長孔24hの長手方向に移動可能なように挿入されている。また、各第二シーブ部材24bの上部及び下部支軸24c,24dには、傾斜角度(間隙)調節用の操作アーム24mが取付けられ、この操作アーム24Mに操作用のケーブル24wと復帰用のバネ24sとが対向的に連結されている。操作用のケーブル24wの引き又は戻し操作により操作アーム24mが揺動し、これに伴い操作アーム24Mに取り付けられた第二シーブ部材24b、並びにこの第二シーブ部材24bに対して連結板24rにより一体化された他の第二シーブ部材24bが同時かつ一体的に上部支軸24cを中心として回動し、前後方向に対する傾斜角度が調節される。
【0036】
さらに、第二シーブ24の下流側には、第一シーブ23及び第二シーブ24から漏下しなかった比較的大きな藁屑中から枝梗付着粒等を篩い選別し、これらを後述する二番受樋19B上に漏下させるために、ストローラック25が設けられている。
【0037】
また、揺動選別棚20には、移送棚22の後端部から延出して第一シーブ23からの漏下物を受けるバケット状のグレンパン20Gが設けられるととともに、このグレンパン20Gにおける第二シーブ24の下方に、第一シーブ23及び第二シーブ24から漏下した粗選物を中選別する選別網28が設けられている。
【0038】
揺動選別棚20の下方における選別風送り方向上手側には、揺動選別棚20と一番受樋19Aとの間に臨む送風口65を備えた第一唐箕16が設けられており、この第一唐箕16の送風口65には、風割66によって上下に形成された上側風路74と下側風路75とが設けられており、この送風口65の下手側に一番受樋19Aが設けられ、さらにこの一番受樋19Aの下手側に二番受樋19Bが設けられている。一番受樋19A内には、グレンタンク5へ連通する螺旋コンベア式の一番コンベア26が配置され、二番受樋19B内には、二番処理室40へ連通する螺旋コンベア式の二番コンベア27が配置されている。一番受樋19Aは、その前側の部分が第一唐箕16のケーシング16cに一体的に繋がれるとともに、その後側の部分は一番棚先29まで延在されている。
【0039】
一番棚先29は、上側の揺動選別棚20の第二シーブ24終端に向けて斜め上方へ傾斜して設けられている。一番棚先29は揺動選別棚20と一体に組み付けて揺動するように構成されているので、図6に示すように、ナイロンシート或いはゴム板からなるシール部材S1,S2を設けて穀粒が交じり合ったり漏れ出たりすることを防いでいる。
【0040】
一番棚先29の下側における一番コンベア26と二番コンベア27との間には、横断流ファンからなる第二唐箕17が設けられている。この第二唐箕17のケーシングは、前側の部分が一番受樋19Aの後側から一番棚先29までの下面で形成され、後側の部分は二番受樋19Bの前側で形成されている。二番受樋19Bの前端部は、一番棚先29と略平行に後斜め上向きに延在する部分を有しており、その上端は一番棚先29に対して基端寄りに配置され、これらの間に形成される送風口は一番棚先29の背面に沿って排塵口(三番口)56へ向かって吹き出すように構成されている。
【0041】
揺動選別棚20は図示しない駆動機構により上下前後方向に揺動するので、被処理物は後方側へ移動しながら、第一唐箕16からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒は第一シーブ23及び第二シーブ24を漏下して選別網28上に供給され、選別網28上の被処理物は、更に第一唐箕16からの選別風を下側から受けて細かな藁屑が吹き飛ばされながら後方に移送され、この移送中に選別網28から漏下したものが一番受樋19Aにより回収され、一番コンベア26で搬送されてグレンタンク5へ投入される。グレンタンク5に貯留された穀粒は、排出筒7を介してコンバインの外部へ搬出される。このように、選別網28から漏下して一番受樋19Aで回収される処理物は、枝梗付着の少ない穀粒(清粒)が主である。
【0042】
一方、選別網28から漏下しないものは、この選別網28上を後方へ移送されて選別網28の後方から落下して二番受樋19Bに至り、回収される。この落下の際に第二唐箕17の選別風を受けて軽い藁屑が後方の排塵口56へ吹き飛ばされる。選別網28から漏下せずに二番受樋19Bに供給される被処理物は、枝梗付着粒や小さな藁屑等が主である。
【0043】
揺動選別棚20上の被処理物のうち軽量のものは、シーブ23,24を漏下せず、揺動選別棚20の揺動作用と第一唐箕16による送風で吹き飛ばされてシーブ23,24の上を後方へ移動し、ストローラック25の上で大きさの小さい二番物は漏下して二番受樋19Bにより回収される。この落下する二番物は第二唐箕17の選別風を受け、そこに含まれる軽い藁屑が後方の排塵口56へ吹き飛ばされる。シーブ23,24の後部やストローラック25から漏下して二番コンベア27により二番処理室40へ供給される。二番コンベア27に取り込まれるものは、枝梗付着粒、藁屑および藁屑の中に混在した穀粒などの混合物である。これら枝梗付着粒や藁屑を二番還元物として再処理する。また、シーブ23,24及びストローラック25から漏下しない被処理物(主に藁屑)は、更に後方へ移送されて三番排塵口56から排出される。この中には僅かな穀粒が含まれていることがあり、この量(比率)によって、脱穀装置の選別精度が評価される。
【0044】
(点検口)
図8〜図13に示すように、扱室11のフィードチェーン部9側の側壁には、フィードチェーン部9の裏側を含む範囲に、取り外した第一シーブ23が通過可能である点検口11Sが形成されるとともに、この点検口11Sを開閉する蓋体11Zが設けられており、この蓋体11Zはフィードチェーン部9に連結一体化されている。フィードチェーン部9をオープン(揺動開放)すると、図8に示すように蓋体11Zもフィードチェーン部9に伴い移動して点検口11Sが開口し、図13に示すように点検口11Sから扱胴10の下端部及び扱胴10の下側空間が露出する。よって、点検口11S及び扱胴10の下側空間を介して後述の揺動選別棚20の上流側、具体的には移送棚22及び第一シーブ23の掃除やメンテナンスを行うことができる。
【0045】
また、扱室11の下側に張設される受網15のうちフィードチェーン部9側の端部が、受網15の下側において前後方向に沿って架設された棒状等の受網固定部材15Uに係合および離脱自在な構成とされており、フィードチェーン13Bのオープンした状態で受網固定部材15Uが点検口11Sを横切る場合、この受網固定部材15Uが第一シーブ23の着脱等の作業の邪魔になる。よってこのような場合、図5及び図13に示すように、受網固定部材15Uの形状を、点検口11Sより前側及び後側の部位であって且つ点検口11Sと重なる上下方向範囲に、受網15のフィードチェーン部9側の端部に係合する係合部15fを有するとともに、点検口11Sと重なる前後方向中間部に、受網15のフィードチェーン部9側の端部が係合することなく側面視で点検口11Sを迂回するU字状をなすように下方に湾曲した湾曲部15wを有する形状とするのは好ましい。この湾曲部15wと受網15のフィードチェーン部9側の端部との間に形成された空間を経て、点検口11Sから第一シーブ23を外部へ取り出すことができるので、点検口11Sからの第一シーブ23の着脱等の作業空間が拡大し、作業性が向上する。
【0046】
(排塵処理室)
扱室11の後端部は連通口35を介して排塵処理室30に連通されている。排塵処理室30内には、扱胴10の軸心と略平行な排塵処理胴31が軸装されている。排塵処理室30の周壁のうち揺動選別棚20側(正面に向かって左側)の下部は、後端部に処理物排出口33が形成されるとともに、この排出口33と連通口35との間の部分が受網により形成されている。排塵処理胴31の外周面のうち、処理物の移送方向の初端部(前端部)にはスクリュー羽根体37が設けられ、処理物の移送方向の終端部(後端部)には径方向に沿って外方に突出する羽根体34が設けられ、これらの間には排塵処理歯36が設けられている。
【0047】
排塵処理室30に供給された被処理物は、回転する排塵処理胴31により終端側に移動されつつ解砕処理される過程で、受網から揺動選別棚20上に漏下されるか、又は排塵処理室30の終端閉塞部に至った後に、羽根体34により排出口33を介して揺動選別棚20のストローラック25上に排出される。これら排出処理物は、揺動選別棚20により選別されて穀粒は回収され、藁屑等は機外に排出される。排塵処理室30に供給される被処理物中には、少量ながら枝梗の付着した穀粒が含まれており、この枝梗付着粒および小さな藁屑が受網及び処理物排出口33から揺動選別棚20に落下する。
【0048】
(二番処理室)
排塵処理室30の前側には、二番物を処理して還元するための二番処理室40が設けられている。二番処理室40内には、外周面に間欠螺旋羽根を有する二番処理胴41が排塵処理胴31と同心的かつ直列的に軸装されている。二番処理室40における二番処理胴41の下方は、その終端部を除いて樋状の受板42により包囲されており、その側部上方は開口しており、その開口部は扱網15の側部下方に位置し、扱網15の側部から漏れ出る漏出物は二番物として二番処理室40に供給されるようになっている。また、二番処理室40における二番処理胴41の終端部(前端部)の下方は、二番処理物還元口43として、揺動選別棚20の上流側における二番処理室40側の側部の上方に開口されている。また、二番処理胴41の始端側(後端側)上方には二番コンベア27から供給される二番物の供給口44が開口している。
【0049】
二番処理室40では、二番物が二番処理胴60によって搬送される間に穀粒の分離と枝梗付着粒からの枝梗の除去が行われた後、二番処理物還元口43から揺動選別棚20に落下し、扱室11からの被処理物と合流して再選別される。
【0050】
(吸引排塵ファン)
揺動選別棚20の終端部(後端部)の上方には吸引排塵ファン47の吸塵口47iが開口している。吸引排塵ファン47は、排風口46を有するケーシング45により覆われている。図示例では、揺動選別棚20の上方空間の両側壁のうち排塵処理室30と反対側の側壁に、排塵処理室30と対峙するように吸引排塵ファン47が取り付けられ、その取り付け部位に吸塵口47iが開口しているが、これらの取り付け位置は図示例に限定されるものではない。
【0051】
(排藁処理装置)
脱穀装置3の後側では、扱室を通り脱穀を終えた穀稈、つまり排藁は排藁搬送装置14に引き継がれ、排藁搬送装置14の終端部から排藁処理装置としてのカッター装置48に排出される。カッター装置48は、上方から落下供給される排藁を一対のロータリーカッター刃49間に通して切断する構造のものである。ロータリーカッター刃49の外部側はフードにより覆われており、またロータリーカッター刃49の前側には、切断した排藁の切断藁屑を後方に落下するように案内するための切藁案内板50が設けられている。切藁案内板50は、上部が上側カッター刃49の下部とほぼ同じ高さに位置しており、下方に至るに従い後側に位置するように後下がりに傾斜し、切藁案内板50の下部は下側カッター刃49の下部より下方に位置している。カッター装置48に代えて他の排藁処理装置を用いることも可能である。
【0052】
(三番排塵口)
脱穀装置3の後側壁55には三番排塵口56が開口されており、揺動選別棚20の後部がこの三番排塵口56に臨むように構成されている。また、三番排塵口56を開閉する三番排塵口シャッタ57が設けられており、例えば圃場の一辺を刈り終えて次辺へ向けて旋回する際に、この三番排塵口シャッタ57を閉じれば、排塵処理室30の処理物排出口33から排出される排塵処理物に含まれる穀粒を、三番排塵口56から排出させずに、揺動選別棚20の第二シーブ24又はストローラック25に供給し、篩い選別により回収することができる。よって、三番ロスの発生を防止して脱穀効率を向上できるようになる。また、排塵処理室30と吸引排塵ファン47の吸塵口47iとは、揺動選別棚20を挟んで対峙するように配置されており、三番排塵口シャッタ57を閉めると、排塵処理室30から排出される排塵処理物が、吸引排塵ファン47の吸塵口47i側に向かって広範に拡散するため、カギ又などの回収効率が一層向上する。
【0053】
(可動シーブ清掃装置)
図7、及び図14〜図16に示すように、本実施形態では、第二シーブ24上を往復移動することにより清掃を行う第二清掃体100が設けられている。より詳細には、第二シーブ24は左右方向に所定の間隔を空けて配置された複数の第二清掃体100,100…を備えており、これら第二清掃体100は前端部及び後端部を貫通する連結軸103及び連結カラー104により所定の間隔を空けて連結され、一体化されている。
【0054】
さらに、各第二清掃体100は、各第二シーブ部材24bに設けられたスクレーパ片(清掃片)101,101…と、これらスクレーパ片101,101…を相互に連結する連結部材102とから構成されている。本実施形態のスクレーパ片101は、図14に示すように、第二シーブ部材24bの断面形状に合わせたガイド穴101hを穿設した鍔状体であり、ガイド穴101hに第二シーブ部材24bが挿通されることにより、第二シーブ部材24bの表面全体に接触しつつ第二シーブ部材24bの長手方向にスライドして付着物を掻き取って除去するものである。また、各第二清掃体100におけるスクレーパ片101,101…は前後方向に沿って延在する共通のプレート状の連結部材102に対し、各スクレーパ片101の下端部を通る支軸101xを中心として回動可能に連結して相互に一体化し、これらスクレーパ片101,101…を一体的に、第二シーブ24に対して左右横方向(第二シーブ部材24bの長手方向)に往復移動可能とするとともに、第二シーブ部材24及びこれに付設されたスクレーパ片101からなる部分と連結部材102とが平行クランクをなすように構成している。これにより、各スクレーパ片101が連結部材102に対する連結状態を維持しつつ、第2シーブ部材24bと一体的に傾斜角度が変化するため、第二シーブ24の傾斜角度に関係なく、第二シーブ部材24bの表面をスクレーパ片101により清掃することができる。その結果、第二シーブ24における藁屑付着による目詰まり及びそれによる三番ロスが防止され、所期の選別性能を維持できるようになる。また、スクレーパ片101の角度変更機構及び第二清掃体100の駆動機構が簡素かつ確実なものとなる。もちろん、各スクレーパ片101が連結部材102に対する連結状態を維持しつつ、第2シーブ部材24bと一体的に傾斜角度が変化する限り、他の構成を採用することもできる。
【0055】
第二清掃体100を駆動するための清掃体駆動装置は適宜設計することができるが、本実施形態では、図17及び図18に示すように、駆動モータ85の回転駆動により、互い違いに引き操作される一対の操作ケーブル86b,86bを第二清掃体100の左右両側部にそれぞれ連結して左右横方向に往復動するように構成している。すなわち、駆動モータ85を駆動すると、クランクアーム86の回転により、クランクピン86pに対して連結された一対の操作ケーブル86b,86bが互い違いに引き操作され、各第二清掃体100が一体的に左右横方向に強制揺動され、各第二清掃体100のスクレーパ片101により第二シーブ部材24bの付着片の除去がなされるようになっている。この左右横方向の往復移動範囲(移動ストローク)が、左右方向に隣接する第二清掃体100,100間のピッチよりも大きくされていると、スクレーパ片101が第二シーブ部材24bの全域にわたって作用するため好ましい。
【0056】
この形態では、第二清掃体100の揺動が連続的になされるが間欠的でも良い。また、第二清掃体100の駆動モータ85を脱穀操作、例えば脱穀クラッチの入り操作に連動して自動で駆動を開始するようにするのが好ましいが、非連動として任意のスイッチにより駆動を開始する構成としても良い。さらに、本実施形態のように、クランクピン86pと操作ケーブル86bとはスプリング86s及びプレート86tを介して連結保持させると、操作ケーブル86bに無理な加重が掛からないため好ましい。
【0057】
(固定シーブの清掃装置)
図5〜図7に示すように、本実施形態では、第一シーブ(固定シーブ)23上を往復移動することにより清掃を行う第一清掃体(清掃体)80が設けられている。より詳細には、第一シーブ23は左右方向に所定の間隔を空けて配置された複数の第一清掃体80,80,80…を備えており、この第一清掃体80は図19〜図23に詳細に示すように、前後方向に沿うプレート部81と、第一シーブ23の各シーブ部材23bの上面に接触して付着物を除去するスクレーパ部82とを有するものである。
【0058】
これら第一清掃体80,80,80…は、前後に設けられた左右方向に延在する連結部材と左右の補強板84,84とによって一体的に連結保持され、第一シーブ23に対して左右横方向(シーブ部材23bの長手方向)に往復移動可能に支持されている。また図22(b)に示すように、プレート部81は上下方向に沿う垂直姿勢で立設されており、そして、各プレート81にはシーブ部材23bの断面形状に合わせたガイド穴81hを穿設し、各ガイド穴81hに各シーブ部材23bを挿通してスライド案内する構成としている。
【0059】
スクレーパ部82は、上下方向に傾斜するシーブ部材23bの傾斜上面に接触して摺接移動により付着物を除去するものである。本実施形態のスクレーパ部82は、移動方向に対して所定角度に傾斜する傾斜刃縁(傾斜縁部)82aをプレート部81を挟んで左右対称に有し、平面視で略ハの宇型の傾斜刃縁82a,82aを有する形状となっており、このような形状によって左右の往復動に対する付着物の除去が無理なく確実に行えるようになっている。また、このスクレーパ部82は、正面硯で山型の傾斜角を保持すべく昇り傾斜面82s,82s(図19〜図22参照)が設けられ、横方向への移動に伴いその昇り傾斜面82s,82sによって各シーブ部材23b面上の付着物が上方に掬い上げられるようになっている。スクレーパ部82の最突出端部82eは、シーブ部材23bの折り曲げ稜線と合致させた構成としてあり、シーブ部材23bの折り曲げ部に溜まった藁屑や塵埃の除去が容易に行えるようにしている。
【0060】
プレート部81とスクレーパ部82とは別体とすることもできるが、本実施形態のように一体とし、特に合成樹脂材で一体成形した構成とすると、製造容易性、コスト、メンテナンス性の点で優れるため好ましい。
【0061】
各第一清掃体80を駆動するための清掃体駆動装置は適宜設計することができるが、本実施形態では、図6及び図7に示すように、互い違いに引き操作される一対の操作ケーブル87b,87b、往復回動する天秤アーム87、天秤アーム軸87a、往復回動する揺動アーム88等の連動機構を介して左右横方向に往復動するように構成している。すなわち、一対の操作ケーブル87b,87bが互い違いに引き操作され、天秤アーム87の往復回動によって天秤アーム軸87aを回動中心として揺動アーム88が左右に往復揺動し、この揺動アーム88の長孔88hに対して移動自在に挿入された89を有する第一清掃体80が左右横方向へ強制的に往復動されるようになっている。この左右横方向の往復移動範囲(移動ストローク)が、各第一清掃体80,80,80…間の配置ピッチPよりも大きくされていると、スクレーパ部82がシーブ部材23bの全域にわたって作用するため好ましい。なお、操作ケーブル87bの駆動装置については第二清掃体100の操作ケーブル86bの駆動装置で説明したものと同様の構造のものを用いることができ、この駆動装置を第一清掃体80と第二清掃体100とで共用することもできる。
【0062】
(可動シーブの着脱構造)
第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28の交換等を行う場合のメンテナンス性を向上させるために、図24に示すように、揺動選別棚20の本体部に対して、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28を一体状態で着脱自在に構成するのは好ましい形態である。図25は揺動選別棚20の本体部から取り外した状態の、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28の連結一体化物を示しており、図26はこの一体状態の第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28を揺動選別棚20の本体部に取り付けた状態を示している。図25と図26との対比からも分るように、揺動選別棚20の両側板20sに対して第二シーブ24の両側板をボルト20bで着脱可能に固定することにより、上述の取外し及び取付けが可能となっている。
【0063】
このような構造の採用により、揺動選別棚20の全体を外すことなく、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28を容易に取り外すことができるので、その下方に位置する部分、例えば一番受樋19Aや二番受樋19Bの底部のメンテナンス(掃除)を容易に行うことができる。特に大型の機械では、揺動選別棚20全体は重すぎて一人での取り外し作業は困難であるが、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28だけであれば一人でも取り外しが可能となる。また、揺動選別棚20全体を組み付ける場合には揺動選別棚20の周囲にシールゴムを適切にセットすることが必要となるが、上述の形態では揺動選別棚20全体を取り外す必要が無いので、揺動選別棚20周囲のシールゴムのセット不良によるロス・選別不良が発生し難くなる。
【0064】
(第一唐箕の送風方向変化)
第一唐箕16の唐箕ケーシング16cの送風口65は、上方に位置する天面部67と下方に位置する底面部68との間に開口しており、これら天面部67と底面部68との上下中間に風割66が設けられている。これにより、送風口65は、風割66と天面部67との間の上側風路74と、風割66と底面部68との間の下側風路75とに区画されている。
【0065】
図示例の風割66は、下方に頂点70を有する逆三角形状の断面を有する形状をなしている。これによって、図示例の風割66における上面69は第一唐箕16の唐箕ケーシング16cの天面部67とほぼ同傾斜の平坦面により形成され、風割66の下面は下側前部傾斜面71と下側後部傾斜面72とを有する屈曲面により形成されている。風割66がこのような形状を有していると、上側風路74から送出される風は風割66の上面に沿って下方にはあまり拡散せずに揺動選別棚20に向かって流れ、下側風路75から送出される風は風割66の下側後部傾斜面72に沿って上方にも拡散しつつ揺動選別棚20の更に下流側の範囲までに向かって流れるようになる(図5参照)。
【0066】
風割66は、送風方向と直交する水平の回動軸66x(図9参照)を回動中心とし、且つ上面69及び下面71,72が送風方向下流側に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で回動自在に構成されており、また、風割66の回動軸66xは風割の送風方向中間に位置しており、回動軸66xの上流側及び下流側が上下するように回動するようになっている。風割66の回動軸66xは、その両端部が選別室18の両側壁18Sに軸支されている。さらに、風割66の回動により風割66の水平面に対する傾斜角(以下単に傾斜角ともいう)を最大まで増加させたとき、風割66における第一唐箕16側の端部が送風口65の底面部68と近接又は接触するように構成されている(図5及び図6参照)。
【0067】
また、天面部67も、送風方向と直交する水平の回動軸67xを回動中心とし、且つ下面が送風方向下流側に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で、風割66と同方向に回動するように構成されている。天面部67の回動軸67xは、図示例では天面部67の第一唐箕16側端部に位置しているが、送風方向中間や、送風方向下流側端部に位置させることもでき、いずれにせよ天面部67の下流側が上下するように回動すれば良い。天面部67の回動軸67xも、その両端部が選別室18の両側壁18Sに軸支されている。
【0068】
このような構造においては、第一唐箕16から供給される一定量の風の上側風路74及び下側風路75に対する配分比率は、上側風路74及び下側風路75の開口度の比率によって定まる。よって、下側風路75の開口度が減少する方向に、天面部67及び風割66が同じ方向に連動して回動すると、下側風路75の風量は減少し、反対に上側風路74の風量は増加するとともに、下側風路75の風向は風割66の下面の角度変化に応じて変化し、上側風路74の風向は天面部67の角度変化および風割66の下面の角度変化に応じて変化する。一方、下側風路75の開口度が増加する方向に、天面部67及び風割66が同じ方向に連動して回動すると、下側風路75の風量は増加し、反対に上側風路74の風量は減少する。下側風路75の風向は風割66の下面の角度変化に応じて変化し、上側風路74の風向は天面部67の角度変化および風割66の下面の角度変化に応じて変化する。つまり、上側風路74及び下側風路75の風向及び風量を同時に調整できるようになる。
【0069】
風割66及び天面部67を回動するための駆動手段は、風割66および天面部67を連動して回動させるものであれば適宜選択して設計することができ、手動でもモータ等の動力源を用いても良い。図示例では、風割66の回動軸66xの一端部が選別室18の側壁18Sから突出しており、この突出部分に主揺動梃181の先端部が取り付けられ、この主揺動梃181及び風割66が一体的に回動するようになっている。また、選別室18の側壁18S外面にステー182が取り付けられ、このステー182に搭載されたモータ183の駆動軸183xにピニオンギア183gが取り付けられ、このピニオンギア183gと噛合する扇状ギア184がステー182に軸支され、この扇状ギア184の一方側の円周端部(第1の偏心位置)と主揺動梃181の基端部とが連杆185を介して連結されており、各連結部分はピン185pにより回転自由な連結となっている。さらに、ステー182には、ポテンションメータ等の回転量検出装置186が搭載され、この回転量検出装置186の検出軸186xに副揺動梃187の先端部が取り付けられ、副揺動梃187の回動量が検出されるように構成されるとともに、扇状ギア184の反対側の円周端部(第2の偏心位置)にはピン187pが突設され、このピン187pが副揺動梃187の長手方向に沿う溝187d内を滑るように構成されている。また、風割66における回動軸66xよりも送風方向下流側の部位と、天面部67における回動軸67xよりも送風方向下流側の部位とが、選別室18内の両側部において連杆188を介してそれぞれ連結されており、各連結部分はピン188pにより回転自由な連結となっている。
【0070】
したがって、モータ183の正逆駆動により、扇状ギア184、連杆185、主揺動梃181を介して風割66が正逆回動されるとともに、その回動量が、扇状ギア184及び副揺動梃187を介して回転量検出装置186により検出される。また、風割66の回動に伴い、これと連杆188を介して連結された天面部67も連動して回動する。よって、風割66と天面部67とを同時かつ同方向に回動させ、それぞれ所定の角度に調整でき、調整操作が容易となる。
【0071】
風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角(単に傾斜角ともいう)は、それぞれ上述の範囲内で適宜変化させることができるが、上側風路74の選別風の過半は揺動選別棚20のうちシーブ(図示例では第二シーブ24。選別網28でも良い)下流側(後側)端よりも上流側に向き、且つ下側風路75からの選別風の過半はシーブ(第二シーブ24)下流側(後側)端よりも下流側を向くように、風割66及び天面部67の傾斜角範囲を設定するのが好ましい。この範囲内で、風割66及び天面部67の傾斜角を変化させることによって、被処理物の流量が低流量の状態(低流量時)であっても高流量の状態(高流量時)であっても、より適切な選別を行うことができ、穀粒損失の低減と、選別の良化を図ることができる。
【0072】
特に、上側風路74、下側風路75の選別風は、風割66の傾斜角を大きくするほど、両風路65A,65Bの選別風ともに、揺動選別棚20の上流側(前側)への風量が増加し、且つ下流側(後側)への風量は低減するように構成されていると好ましい。そして、風割66の傾斜角を最大としたとき、下側風路75の風量よりも上側風路74の風量が多くなるように構成すると更に好ましい。また、風割66の傾斜角を最大としたとき、側面視で風割66の上面の送風方向延長線66Lは一番棚先29よりも所定の間隔をおいて上方に位置させ、一番棚先29よりも揺動選別棚20の上流側(前方)の部位へ向かう選別風を増加させるのが好ましい。これにより、例えば低流量時や低速作業時には揺動選別棚20の下流側の選別風を低減することで機外飛散を低減し、揺動選別棚20の上流側への選別風を増加することで、稈切れや枝梗付着粒などの漏下を制限し、選別状態を良好に保つことができる。
【0073】
特に、風割66の傾斜角をある程度以上大きくしたとき、例えば最大としたときに、側面視で風割66の上面の送風方向延長線66L上に排塵ファン43の吸塵口45が開口する(換言すれば延長線66Lが吸塵口45と交わる)と好ましい。これにより、前方で吹き上げた塵芥を効率良く排塵ファン43で吸塵することができ、選別風が機体後方に抜けにくい構造(特に図示例のような三番排塵口シャッタ57を有する場合)でも選別能力を損なうことなく、効果的に塵芥を機外に排出できるようになる。
【0074】
また、上側風路74、下側風路75の選別風は、風割66の傾斜角を小さくするほど、両風路65A,65Bの選別風ともに、揺動選別棚20の下流側に風向を変更し、上側風路74の風量を低減し、且つ下側風路75の風量を増加させるように構成されていると好ましい。そして、傾斜角を最小としたときには、上側風路74の風量よりも下側風路75の風量が多くなるように構成すると更に好ましい。また、傾斜角を最小としたときには、風割66の上面の送風方向延長線66Lは一番棚先29及びその近傍に位置させ、一番棚先29へ向かう選別風を増加させるのが好ましい。これにより、高速作業時や高流量時において選別室から機外への選別風の抜けを促進し、揺動選別棚20上の藁屑の外部への排出を促進するとともに、還元量(二番コンベア27に取り込まれる量)を抑制し、高速作業への適応性を高めることができる。
【0075】
風割66及び天面部67の傾斜角の変化量は同じでも良いが、異ならしめることもできる。例えば、図示例のように、風割66の傾斜角が最大の状態から最小の状態まで回動したとき、天面部67の前端(第一唐箕16側)の回動量に対し、風割66の前端の回動量が大きくなるように構成すると、天面部67の前端(第一唐箕16側)の回動量が相対的に小さくなることにより、上側風路74の風量を損なうことなく、風向の変更ができるだけでなく、風割66の前端の回動量が相対的に大きくなることにより、上側風路74及び下側風路75に対する選別風の分配比を大きく変更でき、且つ両風路の風向も変化させることができるため、好ましい。
【0076】
風割66及び天面部67の傾斜角の上限(上限角)及び下限(下限角)は固定しても良いが、風割66の適切な傾斜角範囲は作物条件や作物種によって異なるため、連続的又は段階的に変更可能とするのが好ましい。また、上限角及び下限角を変更可能とする場合、その上限角及び下限角は任意の角度に手動調整可能とする他、作物種等によってあらかじめ定められた角度に自動変更可能とするのも好ましく、両者を切り替え可能とすると更に好ましい。手動調整の場合、コンバインの使用に際して、予め設定されている上限角及び下限角が作物条件(例えば作物の水分量の多少、作物の倒伏の程度、処理物量の増減)に合致しない場合、任意に補正することができる。一方、自動変更の場合、上限角及び下限角を稲、麦等、予め作物種に応じて切り替え可能に構成しておくことで、作物種に応じて上限角及び下限角を簡単に切り替えて、適切な選別を行うことができるようになる。例えば、麦は稲より処理物量中の穀粒比率が小さく、同一流量であっても機外排出効率を高めるよう風割66の傾斜角の上限を浅くして処理効率を高めるようにするのが好ましい。
【0077】
図30は、風割66及び天面部67の上限角及び下限角の変更を行うための操作盤の例を示しており、シーブの開度調節の近傍に、ロータリ式の作物選択スイッチ91と、ロータリ式の開度調整スイッチ92とが並設されており、作物選択スイッチ91を「稲」又は「麦」に合わせることにより、それぞれの作物種に応じて、風割66及び天面部67の上限角及び下限角が自動変更され、作物選択スイッチ91を「手動」に合わせると、風割66及び天面部67の上限角及び下限角が、開度調整スイッチ92の回転位置に応じて定まる任意の角度に変更される。
【0078】
風割66及び天面部67の上限角及び下限角の設定は、機械的に行っても良いが、上述のように、風割66及び天面部67の回動をモータ等の駆動源により行う場合にはその駆動制御により行うのが望ましい。
【0079】
(処理量検出センサ)
風割66及び天面部67の傾斜角は処理物量に関係なく固定としても良いが、揺動選別棚20の棚上処理物の量を検出する処理量検出センサ95を設け、この処理量検出センサ95の検出結果に基づき、棚上処理物の量(層厚)が増加したときに風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角を減少させ、棚上処理物の量が減少したときに風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角を増加させる制御装置(図示略)を設けるのも好ましい。これにより、処理物量に増減があっても、揺動選別棚20上の処理物量検出結果に応じて、風割66及び天面部67の傾斜角が適切に自動調整され、最適な穀粒損失と選別状態を得ることができる。
【0080】
この風割66及び天面部67の傾斜角の制御は、図31に一点鎖線で示すように棚上処理物量に対して線形(直線的に)変化する制御関数を用いる他、図31に実線又は二点鎖線で示すように非線形(曲線的に)変化する制御関数を用いることもできる。この場合、一つの制御関数を固定的に用いる他、脱穀条件に応じた複数種の制御関数を操縦部に設けたスイッチにより任意に選択又は調節可能な構成とし、より幅広い脱穀条件に適応させることもできる。
【0081】
処理量検出センサ95は、公知の接触又は非接触センサを用いることにより構成することができる。図示例では、二番処理室40の受板42における終端側(二番処理物還元口側又は前端側)部分と、刺さり粒回収室11Eの中間隔壁11Kの下端部とがセンサステー95Sにより連結され、このセンサステー95Sにポテンションメータ等の回転量検出装置96が取り付けられるとともに、この回転量検出センサ96の検出軸96xにフロート97が吊り下げ状態で取り付けられており、このフロート97が、揺動選別棚20の移送棚22上を移動する被処理物に接触して、被処理物の移動方向に回転しつつ持ち上がり、その回転量が、移送棚22上を移動する被処理物の層厚として回転量検出装置96により検出されるように構成されている。
【0082】
このように、センサステー95Sにより二番処理室40の受板42における終端側(二番処理物還元口側又は前端側)部分と、排塵処理室導入部11Eの中間隔壁11Kの下端部とを連結する構造を採用すると、二番処理物還元口43からの二番処理物の排出及びその移送の邪魔となる位置を避けて、フロート97を宙吊り状態で設置できるだけでなく、二番処理室40の受板42、中間隔壁11K及びセンサステー95Sが三角形状に連結できるため、機枠1の強化にも繋がる、という利点がある。
【0083】
また、図示例のようにフロート97が回動するタイプの場合、フロート97の回動中心(つまり図示例では検出軸96x)が、二番還元物の流れ又は棚上処理物全体の流れに対して略直角となり、平面視で揺動選別棚20の揺動方向に対して傾斜するように構成するのが好ましい。これにより、棚上処理物の流れ方向と、これに接触するフロート97の回動方向とが一致するか又は近くなるため、フロート97が円滑に動作し、処理物量の変化に対して正確かつ敏感に反応するようになる。
【0084】
この場合、フロート97の作動をより円滑にするために、フロート97における回動中心方向一方側、特に図示例のように移送棚22の移送方向下流側に、フロート97の回動中心に対して略直交する方向(センサフロート97の回動方向と略平行)に延在する寄せ板98を立設するのも好ましい形態である。これにより、移送棚22による揺動作用により棚上処理物の移動方向がずれていくとしても、そのフロート97近傍では寄せ板98により移動方向が規制されるため、棚上処理物の流れ方向と、これに接触するフロート97の回動方向とが略一致し、フロート97がより一層円滑に動作するようになる。
【0085】
また、フロート97の形状は、図示例のように、少なくとも棚上処理物と接触する部分(図示例では棚上処理物が無い非接触状態で、棚上処理物の移動方向上流側の面)が、棚上処理物の摺動方向の中間部ほど張り出す弧状曲面であるのが好ましい。
【0086】
他方、一般に移送棚22上においては処理物量が偏在し、特に二番処理物還元口43の下方近傍における処理物量が最も多くなる。よって、処理量検出センサ95は、二番処理物還元口43の近傍における揺動選別棚20の棚上処理物の量を検出するように構成するのが望ましい。このため、図示例ではフロート97を二番処理物還元口43の近傍に配置している。
【0087】
(一番棚先の角度調節)
一番棚先29は、揺動選別棚20から落ちてくる被処理物を受けて、これに第一唐箕43からの選別風を当て、穀粒は一番棚先29の傾斜に沿って滑落させて一番受樋19Aに供給し、その他は選別風に乗せて後方に吹き飛ばすことにより選別を行うためのものである。本実施形態では、一番棚先29は前後方向中間部に位置する回動支点29xを中心として、後方に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で回動するように構成されている。これにより、多収量品種においては、一番棚先29の角度を急傾斜にする(立てる)ことで、一番の回収率を高くすることが可能となり、また、藁屑、青葉、稈切れ等が混入しやすい品種においては、一番棚先29の角度を緩くすることで、一番棚先29上にて塵介の排出が行なわれ易くなる。そして、選別の悪化を防止できるようになる。
【0088】
なお、一番棚先29の回動支点29xは、前端部等の任意の部位に設けることができるが、図示形態のように一番棚先29aをその前方の棚先シールS1との接続部29bと、これより後側の回動部分29tとに分割するとともに、両者の境界に回動支点29xを設け、接続部29bを固定としてその後側の回動部分29tを回動する構成とすると、一番棚先29と前方の棚先シールS1との接続部29bの上下動がなくなり、揺動選別棚20の運動時の棚先シールS1の浮き上がりやめくれ等の不具合が無く、選別に対する悪影響を低減できるため好ましい。
【0089】
一番棚先29の傾斜角度を調節する場合、任意にかつ単独で調節しても良いが、前述の処理量検出センサ95により検出される棚上処理物の量(層厚)に応じて一番棚先29の傾斜角度を制御するのが好ましく、この場合における一番棚先29の角度制御は、前述の第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)とは別に行う他、連動して行うこともできる。第一唐箕16の送風方向変化と連動して一番棚先29の姿勢変化を行うと、処理物量に応じて一番受樋19Aに導く穀粒の割合や選別状態を調整可能となり、選別性能を向上できるようになる。
【0090】
一つの好ましい形態は、処理量検出センサ95により検出される棚上処理物の量(層厚)に応じて、処理量検出センサ95の検出結果に基づき、第一唐箕16の送風方向変化と一番棚先29の姿勢変化とを連動させ、棚上処理物量が少ないときは第一唐箕16の送風方向(風割66及び天面部67が後上がり)の傾斜角を増加する(立ち上げる)とともに、一番棚先29の傾斜角を減少する(倒す)ように制御するのが好ましい。また、この制御とともに、又は別に、棚上処理物量が多いときは第一唐箕16の送風方向(風割66及び天面部67)の傾斜角を減少する(倒す)とともに、一番棚先29の傾斜角を増加する(立ち上げる)ように制御するのが好ましい。
【0091】
この第一唐箕16の送風方向及び一番棚先29の姿勢変化は棚上処理物量に対して連続的に変化させる他、棚上処理物量に対して断続的に変化させることもでき、最も簡素な制御として、第一唐箕16の送風方向及び一番棚先29の姿勢変化の制御を、傾斜角最大と傾斜角最小の二状態に限定し、棚上処理物量が所定値以下のときには第一唐箕16の送風方向を傾斜角最大にするとともに一番棚先29を傾斜角最小にし、棚上処理物量が所定値を超えるときには第一唐箕16の送風方向を傾斜角最小にするとともに一番棚先29を傾斜角最大にするといったことも可能である。これにより、棚上処理物の低流量時は第一唐箕16の送風を前方寄りにし、機外への単粒ロス(三番ロス)を抑制できるとともに、一番棚先29の傾斜を緩くすることにより、一番棚先29の風量減少による一番受樋19Aへの稈切れ等の混入を防止し、選別を良好に保つことができる。また、棚上処理物の高流量時は一番棚先29への風量を増加するとともに一番棚先29を上向きにすることで、一番の回収効率を向上させるとともに、機外への飛散を抑制することができる。
【0092】
第一唐箕16の送風方向変化と一番棚先29の姿勢変化との連動手段は適宜定めれば良く、例えば互いに独立した駆動機構を電子的又は機械的に連動制御しても良いが、図27に示すように互いの作動を機械的に連動させるのが好ましい。すなわち、同図の例では、風割66及び天面部67に対して往復駆動力を伝達するための部材(図示形態では連杆185)に連動ケーブル190の一端部を連結し、他端部を一番棚先29の回動支点29xよりも先端側の部分に対して回動方向一方側(図示形態では上側)から連結するとともに、一番棚先29の回動支点29xよりも先端側の部分に対して連動ケーブル190と反対側からスプリング等の引張付勢手段191を連結し、風割66及び天面部67の傾斜角度調節のための連杆85の往復移動により、連動ケーブル190を介して一番棚先29が上下動されるように構成している。
【0093】
(唐箕の回転数制御)
第一唐箕16の回転数(回転速度)は固定としても良いが、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動して変速する構成とするのは好ましい形態である。連動制御は適宜定めることができるが、特に、第一唐箕16の送風方向の傾斜角が増加するほど、第一唐箕16の回転数を増速させるのが好ましい。この制御により、第一唐箕16の送風方向が前寄りになると、一番棚先29に向かう風量が減少し、一番受樋19Aに稈切れ等が入り易くなるが、第一唐箕16の回転数を増加することでこれを補うことができ、選別性能を保つことが可能となる。しかも、第一唐箕16の送風方向が上向きであるため、三番排塵口56への第一唐箕16からの選別風の流出は少なく、三番ロスが増加し難い。
【0094】
また、このような連動制御を行うにあたり、その制御関数を図29に示すように稲、麦等の作物種によって切換可能に構成するのが好ましく、例えば稲、麦の切換の場合、麦は稲と比べて処理物中の塵芥割合が多く、選別を良好に保つには風量変化割合を大きくする必要があるため、稲モードの第一唐箕16の回転数変化(a)に対し、麦モードの第一唐箕16の回転数変化(b)を(a≦b)とするのが好ましい。さらに、前述のような連動制御を行うにあたり、図29に示すように、第一唐箕16の回転数(風量)変化範囲を二点鎖線で示すように任意の範囲に手動調整可能な構成とすると、予め設定されている回転数(風量)が作物条件(例えば作物の水分量の多少、作物の倒伏の程度、処理物量の増減)に合致しない場合、選別状態(ロス)を確認して任意に補正し、選別状態を良好に保つことができるため好ましい。
【0095】
これら作物種モードの切換、及び回転数(風量)変化範囲の調節は、図30に示される操作盤を設けて、作物選択スイッチ91を「稲」又は「麦」に合わせることにより、それぞれの作物種に応じた回転数の制御関数が自動選択され、選別風量変化ダイアル93を回転することにより、その回転位置に応じて定まる任意の回転数範囲に変更されるように構成することができる。
【0096】
第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と第一唐箕16の回転数変化(変速)との連動手段は適宜定めれば良く、例えば互いに独立した駆動機構を電子的又は機械的に連動制御しても良いが、図13及び図28に示すように互いの作動を機械的に連動させるのが好ましい。すなわち図28は、脱穀装置3の動力伝動系統図で、コンバインに搭載したエンジン140の動力がプーリ及びベルトを介して第一カウンター軸150に伝動され、この第一カウンター軸150からプーリ及びベルトの伝動により第一唐箕16の回転軸16xに入力されて第一唐箕16が駆動される。また、第一カウンター軸150に入力された動力はプーリ及びベルトの伝動により揺動軸151に入力され、揺動選別棚20が揺動される。さらに、第一カウンター軸150に入力された動力はプーリ及びベルトの伝動により一番コンベア26、二番コンベア27及び第二カウンター軸152にそれぞれ入力され、さらに第二カウンター軸152からプーリ及びベルトの伝動により吸引排塵ファン47及び排藁処理装置としてのカッター装置48にそれぞれ入力され、各装置が駆動されるようになっている。また、第一カウンター軸150に入力された動力はプーリ、ベルト及びギアの伝動により排塵処理胴31及び二番処理胴41に入力され、さらにプーリ及びベルトの伝動により扱胴10に入力され、さらにプーリ、ベルト及びギアの伝動により排藁搬送装置14に入力され、各装置が駆動されるようになっている。一方、揺動軸151に入力された動力はギアを介してフィードチェーン13Bを駆動するようになっている。
【0097】
そして、第一唐箕16の回転軸16xへの伝動を行うプーリ160として、変速カムによりプーリ幅が変更可能なベルコンプーリを用い、このベルコンプーリ160のプーリ幅を変更すべく変速カム161と、風割66の回動軸66xとをロッド162で連結している。従って、風割66の傾斜角度を変化させると、ロッド162を介して変速カム161が回動してベルコンプーリ160のプーリ幅が変更され、第一唐箕16の回転軸16xの回転数が変化する。
【0098】
なお、図13に示される例からも分るとおり、第二唐箕17の回転数についても、第一唐箕16と同様のベルコンプーリ170、変速カム171、及びロッド172を用いた連動機構により、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動させることができる。
【0099】
(吸引排塵ファンの回転数制御)
吸引排塵ファン47の回転数は固定としても良いが、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動して変速する構成とするのは好ましい形態である。連動制御は適宜定めることができるが、特に、第一唐箕16の送風方向が所定角度以上、例えば傾斜角最大のときに、吸引排塵ファン47の回転数(回転速度)を所定値以下に減速させるのが好ましい。これにより、第一唐箕16の送風方向が上向きになった時に吸引排塵ファン47の回転数が下がり、吸引力が弱くなるため、吸引排塵ファン47を効率良く駆動させることができる。
【0100】
第一唐箕16の送風方向変化と吸引排塵ファンの回転数変化(変速)との連動手段は適宜定めれば良く、例えば吸引排塵ファン47の回転軸に駆動力を伝達するプーリとしてプーリ幅が可変のベルコンプーリを用い、上述の第一唐箕16の回転数の制御と同様に機械的な連動機構を構成しても良いが、吸引排塵ファン47として電動ファンを使用し、第一唐箕16の送風方向変化をポテンションメータ等の回転量検出装置186で検出して、その検出結果に応じて吸引排塵ファン47のモータの回転数を電気的に制御しても良い。
【0101】
(可動シーブの開度制御)
第二シーブ24の開度(第二シーブ部材24bの傾斜角度)は独立的に調節する構成としても良いが、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動して調節する構成とするのは好ましい形態である。連動制御は適宜定めることができるが、特に、第一唐箕16の送風方向が所定角度以上、例えば傾斜角最大のときに、第二シーブ24の開度を標準状態よりも絞る(第二シーブ部材24bの傾斜角を減少させる)のが好ましい。棚上処理物の量が少なく第一唐箕16の送風方向が前よりになったときに、第二シーブ24が開いたままであると稈切れ等が一番物に混入して選別不良を起こし易いが、上述のように第一唐箕16の送風方向の傾斜角が所定角度以上になったときに第二シーブ24の開度を標準状態よりも絞ることで、稈切れ等の混入による選別不良を防止することができる。
【0102】
また、この制御とともに、又は別に、第一唐箕16の送風方向が所定角度以下、例えば傾斜角最小のときには、第二シーブ24の開度を標準状態よりも開く(第二シーブ部材24bの傾斜角を増加させる)のが好ましい。棚上処理物の量が多く第一唐箕16の送風方向が後よりになったときに、第二シーブ24の開度が不十分であると、第二シーブ24でのろ過が不十分となり、三番ロスが増加し易いが、上述のように第一唐箕16の送風方向が所定角度以下になったときに第二シーブ24の開度を標準状態よりも開くことで、第二シーブ24におけるろ過を促進し、三番ロスの増加を防止することができる。
【0103】
(その他)
いうまでもないが、本発明は図32に示されるような第一唐箕16のみを備え、図5に示されるような第二唐箕17を有しない形態にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、コンバイン等の脱穀装置に適用できるものである。
【符号の説明】
【0105】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、8…供給搬送装置、9…フィードチェーン部、10…扱胴、11…扱室、11i…扱ぎ口、11S…点検口、11Z…蓋体、12…供給搬送装置、13A…挟持杆、13B…フィードチェーン、14…排藁搬送装置、15…扱網、15U…扱網固定部材、15W…湾曲部、16…第一唐箕、17…第二唐箕、18…選別室、19A…一番受樋、19B…二番受樋、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…移送棚、23…第一シーブ、23b…第一シーブ部材、24…第二シーブ、24b…第二シーブ部材、25…ストローラック、26…一番コンベア、27…二番コンベア、28…選別網、29…一番棚先、30…排塵処理室、31…排塵処理胴、40…二番処理室、43…二番処理物還元口、44…二番物供給口、45…ケーシング、47…吸引排塵ファン、47i…吸塵口、48…カッター装置、49…カッター刃、50…切藁案内板、55…後側壁、56…三番排塵口、65…送風口、66…風割、67…天面部、68…底面部、69…上面、70…頂点、71…下側前部傾斜面、72…下側後部傾斜面、74…上側風路、75…下側風路、80…第一清掃体(清掃体)、81h…ガイド穴、82a…傾斜刃縁(傾斜縁部)、88h…係合部、89…突出部、91…作物選択スイッチ、92…開度調整スイッチ、93…選別風量変化ダイアル、95…処理量検出センサ、98…寄せ板、100…第二清掃体、101…スクレーパ片、102…連結部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜角度が調整自在のシーブ部材が平行に複数配列された可動シーブに、清掃装置を備えた脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置における揺動選別棚のシーブに付着した藁屑を、シーブ上を左右方向に往復揺動する清掃体により掻き取り除去する清掃装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−100671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のシーブの清掃装置は、シーブ部材の傾斜角度(開度)が固定の固定シーブに設けられるものであり、シーブ部材の傾斜角度(開度)が調整自在の可動シーブに設けられるものではなかった。
【0005】
可動シーブは、固定シーブと組み合わせて固定シーブの下流側に設けられることが一般的であり、可動シーブ上の処理物は穀粒の含有率が少なく藁屑が多いため、可動シーブへの藁屑の付着率は固定シーブよりも高い。特に湿材を処理するときには、可動シーブ表面に藁屑が付着し易く、各可動シーブ間に形成されるろ過空間が塞がれて三番ロスが多くなる。よって、選別性能の悪化を防止するためには、可動シーブに付着した藁屑の清掃除去は極めて重要である。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、可動シーブにおける付着物の清掃機能を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、扱室(11)から漏下する脱穀処理物を受けて揺動により移送しつつ選別を行う揺動選別棚(20)を設け、
この揺動選別棚(20)に、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が固定の複数の固定シーブ部材(23b)を前後方向に併設した固定シーブ(23)と、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の可動シーブ部材(24b)を前後方向に併設した可動シーブ(24)を備え、
前記固定シーブ部材(23b)に、固定シーブ部材(23b)の付着物を掻き取る傾斜縁部(82a)を備えた清掃体(80)を左右方向に往復移動可能に付設し、
前記可動シーブ部材(24b)に、可動シーブ部材(24b)の付着物を掻き取る清掃片(101)を左右方向に往復移動可能に付設したことを特徴とする脱穀装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前後方向に並設された各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を連結部材(102)により前後方向に相互に連結し、該連結部材(102)の左右方向の往復移動によって各清掃片(101)を一体的に左右方向に往復移動させる構成とし、
各清掃片(101)が前記連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、前記可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成としたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記複数の可動シーブ部材(24b)を、左右方向に沿う軸心(24c)を中心として回動するように構成するとともに、各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を、前後方向に沿って延在する共通の連結部材(102)に対し、左右方向の軸芯まわりに回動可能に連結して相互に一体化して、前記可動シーブ部材(24b)及びこれに付設された清掃片(101)からなる部分と前記連結部材(102)とが平行クランクをなすように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の脱穀装置である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記揺動選別棚(20)は、前記可動シーブ(24)と、この可動シーブ(24)の後方に設けられたストローラック(25)と、前記可動シーブ(24)部の下方に設けられた選別網(28)と、これら可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が取り付けられた本体部(20s)とを備え、前記可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が一体として前記本体部(20s)に着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記一番受樋(19A)の後端部に後斜め上方に向かって延在する一番棚先(29)を設け、この一番棚先(29)を送風方向下流側の部位が上下するように姿勢変化自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の量を検出する処理量検出センサ(95)を設け、この処理量検出センサ(95)の検出結果に基づき、前記唐箕(16)の送風方向変化と前記一番棚先(29)29の姿勢変化とが連動して行われる構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記唐箕(16)の回転数を作物選択スイッチ(91)による作物選択により変更可能な構成とするとともに、前記作物選択スイッチ(91)の各作物選択状態において前記唐箕(16)の送風方向が揺動選別棚(20)における移送上手側に向かうほど前記唐箕(16)の回転数を増速する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の終端部の上方に吸引排塵ファン(47)の吸塵口(47i)を開口させ、前記唐箕(16)の送風方向が所定角度以上上方に向いたときに、前記吸引排塵ファン(47)の回転数を所定値以下に低下させる構成としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、固定シーブ部材(23b)に、付着物を掻き取る傾斜縁部(82a)を備えた清掃体(80)を左右方向に往復移動可能に付設し、可動シーブ部材(24b)に、可動シーブ部材(24b)の付着物を掻き取る清掃片(101)を左右方向に往復移動可能に付設したので、清掃体(80)の傾斜縁部(82a)によって固定シーブ部材(23b)の付着物を効率的に除去し、この後に続く可動シーブ部材(24b)の表面を清掃片(101)で清掃することで、固定シーブ(23)及び可動シーブ(24)における藁屑付着による目詰まりを防止することで、揺動選別棚(20)の選別性能を維持し、穀粒回収率を高めることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、清掃片(101)を連結部材(102)により前後方向に相互に連結して、各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を一体的に左右方向に往復移動させる構成とし、各清掃片(101)が連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成としたことにより、可動シーブ(24)の傾斜角度に関係なく、可動シーブ部材(24b)の表面を清掃片(101)により清掃することができる。その結果、可動シーブ(24)における藁屑付着による目詰まり及びそれによる三番ロスを更に効率的に防止することができ、所期の選別性能を維持できるようになる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、簡素かつ確実な機構により、各清掃片(101)が連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成を実現することができるようになる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、揺動選別棚(20)の全体を外すことなく、可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)を容易に取り外すことができるので、その下方に位置する部分のメンテナンスを容易に行うことができる。特に大型の機械では、揺動選別棚(20)全体は重すぎて一人での取り外し作業は困難であるが、可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)だけであれば一人でも取り外しが可能となる。また、揺動選別棚(20)全体を組み付ける場合には揺動選別棚(20)の周囲にシールゴムを適切にセットすることが必要となるが、請求項3記載の発明では揺動選別棚(20)全体を取り外す必要が無いので、揺動選別棚(20)周囲のシールゴムのセット不良によるロス・選別不良が発生し難くなる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、棚上処理物の量に応じて唐箕(16)の送風方向変化を変化させることにより、処理量に関係なく機外飛散を低減できるとともに、唐箕(16)の送風方向変化と連動して一番棚先(29)の姿勢変化がなされるため、処理物量に応じて一番受樋(19A)に導く穀粒の割合や選別状態を調整可能となり、選別性能を向上できるようになる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項記載の発明による効果に加えて、唐箕(16)の送風方向が揺動選別棚(20)における処理物移送方向上手寄りになっても唐箕(16)の回転数増加により一番受樋(19A)の後壁先端部における風速が減少し難くなり、一番受樋(19A)に稈切れが混入し難くなり、所期の選別性能を維持することができる。また、唐箕(16)の送風方向が上方寄りになったときには三番排塵口への唐箕(16)風の流出は少ないので、唐箕(16)の回転数増加による三番ロスは増加し難い。しかも、作物選択スイッチ(91)により基本となる唐箕(16)の回転数を変更できるので、上述の作用を稲、麦等の作物種類に応じて適切に発揮させることができるようになる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、唐箕(16)の送風方向が上向きになった時に吸引排塵ファン(47)の回転数が下がり、吸引力が弱くなるため、唐箕(16)の送風により吹き上げられた穀粒を機外へ排出することにより発生するロスを低減でき、吸引排塵ファン(47)を効率良く駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの正面図である。
【図4】コンバインの背面図である。
【図5】脱穀装置の縦断面図である。
【図6】脱穀装置の他の位置における要部縦断面図である。
【図7】脱穀装置の水平断面図である。
【図8】コンバインの要部水平断面図である。
【図9】図8のA−A断面図である。
【図10】図8のB−B断面図である。
【図11】図7のC−C断面図である。
【図12】コンバインの要部縦断面図である。
【図13】コンバインの要部縦断面図である。
【図14】(a)脱穀装置の要部縦断面図、並びにスクレーパ片の(b)正面図及び(c)側面図である。
【図15】脱穀装置の要部水平断面図である。
【図16】脱穀装置の要部縦断面図である。
【図17】操作ケーブルの駆動装置の要部左側面図である。
【図18】操作ケーブルの駆動装置の要部底面図である。
【図19】第一シーブの平面図である。
【図20】第一シーブの要部斜視図である。
【図21】第一シーブの要部斜視図である。
【図22】(a)第一清掃体の平面図、及び(b)第一清掃体の左側面図である。
【図23】第一清掃体の正面図である。
【図24】脱穀装置の要部縦断面図である。
【図25】第二シーブ、ストローラック及び選別網の正面図である。
【図26】脱穀装置の要部縦断面図である。
【図27】第一唐箕の送風方向変化及び一番棚先の姿勢変化における連動駆動機構の側面図である。
【図28】脱穀装置の動力伝動経路図である。
【図29】第一唐箕の回転数の制御関数を示すグラフである。
【図30】操作盤の概略図である。
【図31】第一唐箕の送風方向変化の制御関数を示すグラフである。
【図32】脱穀装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施例について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0023】
図中の符号1はコンバインの機体フレーム、符号2は左右一対のクローラを有する走行装置、符号3は機体フレーム1の上方に設けられた脱穀装置、符号4は脱穀装置3の前側に設けられた、植立穀稈を刈り取る刈取装置、符号6は脱穀装置3の側部に設けられたグレンタンク、符号6はグレンタンク5の前方に設けた操縦部、符号7はグレンタンクの貯留穀粒を排出するための排出管、符号7は刈取装置4で刈り取った穀稈を脱穀装置3に向けて搬送する供給搬送装置8をそれぞれ示している。
【0024】
走行装置2により機体を走行し、圃場に植立する穀稈を刈取装置4により刈り取ると、その穀稈は供給搬送装置8により揚上搬送され、その過程で株元側が側方に持ち上がるように姿勢変更され且つ脱穀装置3における扱ぎ深さが調整された後に脱穀部搬送装置12に受け渡される。脱穀部搬送装置12では、穀稈の株元側をフィードチェーン13Bと挟持杆13Aとの間で挟持してその穂先側を脱穀装置3の扱室11内に通過させて脱穀を行いつつ後方に搬送する。脱穀済みの排藁は、排藁搬送装置14に引き継がれる。
【0025】
(扱室)
脱穀装置3は穀稈の脱穀を行う扱室11を上部に備えている。この扱室11内には扱歯10bを有する扱胴10が前後方向に沿う軸心を中心として回転するように軸支されており、この扱胴10の主として下方側を扱胴10外周に沿って包囲するように扱網15が張設されている。扱室11に供給された穀稈は回転する扱胴10と扱網15との間で脱穀され、脱穀された穀粒は扱網15から漏下して選別室18に供給され、揺動選別装置21により選別される。
【0026】
扱室11は、前後方向中間に設けられた中間隔壁11J,11Kよりも前側の部分で構成され、中間隔壁11J,11K間に排塵処理室30(後述する)への連通口35が形成されている。また、中間隔壁11Kとその下流側に設けられた後隔壁11Lとの間に刺さり粒回収室11Eが形成されるとともに、扱胴10の下流側(後側)端部が中間隔壁11Kを貫通して刺さり粒回収室11E内まで延在しており、この延在部分に、扱胴回転方向に対して所定角度に傾斜する傾斜扱歯10cが扱胴周方向に所定の間隔を空けて且つ交互に設けられている。扱室11の側面には、穀稈の穂先側を扱胴10の扱歯10bの作用域へ供給した状態で後送するための扱ぎ口11iが形成され、この扱ぎ口11iに沿って、フィードチェーン13Bが配置される。扱室11で脱穀された処理物のうち扱網15から漏下しない処理物は連通口35を介して排塵処理室30に供給される。一方、扱室11を通過した穀稈は刺さり粒回収室11Eに至り、傾斜扱歯10cにより搬送穀稈を開いて穀稈中にささり込んだ穀粒が取り除かれて落とされた後、排藁搬送装置14に引き継がれる。
【0027】
刺さり粒回収室11Eは穀稈に刺さり残った刺さり粒を落とすためのものであるため、刺さり粒回収室11Eの前後方向長さは扱室11の前後方向長さよりも短くするのが望ましい。
【0028】
扱室11の上方を覆う上部カバー11Uは、脱穀部搬送装置12と反対側に位置する前後方向に沿う支軸を支点として揺動開閉するように構成されており、この上部カバー11Uに挟持杆13Aが取り付けられ、挟持杆13Aも上部カバー11Uに伴って揺動開閉するように構成されている。
【0029】
(挟持杆、フィードチェーン部)
図5、図9等に示すように、扱室11の一方側(機体走行方向の左側)に設けられる脱穀部搬送装置12は、下側に位置するフィードチェーン13Bと、上側に位置し、且つスプリング等の付勢手段13cにより上部カバー11Uに対してフィードチェーン13B側に付勢される挟持杆13Aとから主に構成されている。図8及び図12等に示すように、フィードチェーン13Bは、前後に設けられた張設輪13d,13d及びこれらの間に設けられた伝動スプロケット13eに巻回されて駆動される無端のチェーンであり、上方側を後方に向かって移動する過程で挟持杆13Aとの間に穀稈の株元側が挟持されるようになっている。
【0030】
本実施形態では、これらのフィードチェーン13B、張設輪13d、伝動スプロケット13e、これらを支持するフレーム9f、及びその外側のカバー9c等を含み、裏側に扱室11の側壁が位置する部分がフィードチェーン部9を構成している。フィードチェーン部9は、本実施形態では前端部に位置する上下方向に沿う支軸9xを中心として揺動開閉するようになっているが、フィードチェーン13Bと挟持杆13Aとの間で穀稈を搬送する閉位置と、裏側に位置する扱室11の側壁が露出する開位置とに開閉変更自在であれば、支軸9xの位置が後端部であっても良く、また移動形態が開動ではなくスライド移動等であっても良い。
【0031】
(選別室)
扱室11の扱網15の下方には、扱網15から漏下する脱穀処理物を穀粒とそれ以外の物とに選別するための選別室18が形成されており、選別室18の上部には前後方向に往復揺動する揺動選別棚20により構成された揺動選別装置21が設けられ、選別室18の下部には、唐箕16と、一番受樋19A、二番受樋19Bとが、揺動選別棚20の移送方向に(前から後ろに向かって)この順で設けられている。
【0032】
揺動選別棚20の始端部(前端部)は、唐箕ケーシング16cの上方に位置する移送棚22として形成されている。移送棚22の構成は任意であり、移送方向下流側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚22の上面に突起や凹凸を設けたりして、揺動選別装置21の移送方向下流側の第一シーブ(固定シーブ)23に向けて扱網15からの漏下物を移送できればよい。
【0033】
第一シーブ23は、主に扱網15から直接漏下する又は移送棚22を介して送り込まれる穀粒と異物とを選別する篩であり、図示例では、移送方向下流側(後側)が高くなるように傾斜した薄い板状体からなる固定シーブ部材23bを揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものである。この形態における第一シーブ23のシーブ部材(固定シーブ部材)23bの傾斜角度は固定とされた固定シーブである。
【0034】
第一シーブ23の移送方向下流側(後側)には、主に穀粒とチャフ(わら屑)とを選別する第二シーブ24が並設されている。第二シーブ24は、扱室11から排塵処理室30への連通口35より後側に配置され、第一シーブ23からの処理物及び刺さり粒回収室11Eからの処理物を受け入れて選別する箭であり、図示例では、移送方向下流側(後側)が高くなるように傾斜した薄い板状体からなるシーブ部材24bを揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものであり、第一シーブ23より選別行程が長く構成されている。
【0035】
第二シーブ24は、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の第二シーブ部材24bが前後方向に平行に並設されてなるものである。より詳細には、図5、図6及び図16等に示されるように、各第二シーブ部材24bには左右方向に延在する上部支軸24c及び下部支軸24dがそれぞれ設けられるとともに、その下方には各第二シーブ部材24bを連結する連結板24rが設けられており、この連結板24rには各第二シーブ部材24bに対応して前後方向に間隔を空けて長孔24hが設けられており、この長孔24hに対して各第二シーブ部材24bの下部支軸24dが長孔24hの長手方向に移動可能なように挿入されている。また、各第二シーブ部材24bの上部及び下部支軸24c,24dには、傾斜角度(間隙)調節用の操作アーム24mが取付けられ、この操作アーム24Mに操作用のケーブル24wと復帰用のバネ24sとが対向的に連結されている。操作用のケーブル24wの引き又は戻し操作により操作アーム24mが揺動し、これに伴い操作アーム24Mに取り付けられた第二シーブ部材24b、並びにこの第二シーブ部材24bに対して連結板24rにより一体化された他の第二シーブ部材24bが同時かつ一体的に上部支軸24cを中心として回動し、前後方向に対する傾斜角度が調節される。
【0036】
さらに、第二シーブ24の下流側には、第一シーブ23及び第二シーブ24から漏下しなかった比較的大きな藁屑中から枝梗付着粒等を篩い選別し、これらを後述する二番受樋19B上に漏下させるために、ストローラック25が設けられている。
【0037】
また、揺動選別棚20には、移送棚22の後端部から延出して第一シーブ23からの漏下物を受けるバケット状のグレンパン20Gが設けられるととともに、このグレンパン20Gにおける第二シーブ24の下方に、第一シーブ23及び第二シーブ24から漏下した粗選物を中選別する選別網28が設けられている。
【0038】
揺動選別棚20の下方における選別風送り方向上手側には、揺動選別棚20と一番受樋19Aとの間に臨む送風口65を備えた第一唐箕16が設けられており、この第一唐箕16の送風口65には、風割66によって上下に形成された上側風路74と下側風路75とが設けられており、この送風口65の下手側に一番受樋19Aが設けられ、さらにこの一番受樋19Aの下手側に二番受樋19Bが設けられている。一番受樋19A内には、グレンタンク5へ連通する螺旋コンベア式の一番コンベア26が配置され、二番受樋19B内には、二番処理室40へ連通する螺旋コンベア式の二番コンベア27が配置されている。一番受樋19Aは、その前側の部分が第一唐箕16のケーシング16cに一体的に繋がれるとともに、その後側の部分は一番棚先29まで延在されている。
【0039】
一番棚先29は、上側の揺動選別棚20の第二シーブ24終端に向けて斜め上方へ傾斜して設けられている。一番棚先29は揺動選別棚20と一体に組み付けて揺動するように構成されているので、図6に示すように、ナイロンシート或いはゴム板からなるシール部材S1,S2を設けて穀粒が交じり合ったり漏れ出たりすることを防いでいる。
【0040】
一番棚先29の下側における一番コンベア26と二番コンベア27との間には、横断流ファンからなる第二唐箕17が設けられている。この第二唐箕17のケーシングは、前側の部分が一番受樋19Aの後側から一番棚先29までの下面で形成され、後側の部分は二番受樋19Bの前側で形成されている。二番受樋19Bの前端部は、一番棚先29と略平行に後斜め上向きに延在する部分を有しており、その上端は一番棚先29に対して基端寄りに配置され、これらの間に形成される送風口は一番棚先29の背面に沿って排塵口(三番口)56へ向かって吹き出すように構成されている。
【0041】
揺動選別棚20は図示しない駆動機構により上下前後方向に揺動するので、被処理物は後方側へ移動しながら、第一唐箕16からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒は第一シーブ23及び第二シーブ24を漏下して選別網28上に供給され、選別網28上の被処理物は、更に第一唐箕16からの選別風を下側から受けて細かな藁屑が吹き飛ばされながら後方に移送され、この移送中に選別網28から漏下したものが一番受樋19Aにより回収され、一番コンベア26で搬送されてグレンタンク5へ投入される。グレンタンク5に貯留された穀粒は、排出筒7を介してコンバインの外部へ搬出される。このように、選別網28から漏下して一番受樋19Aで回収される処理物は、枝梗付着の少ない穀粒(清粒)が主である。
【0042】
一方、選別網28から漏下しないものは、この選別網28上を後方へ移送されて選別網28の後方から落下して二番受樋19Bに至り、回収される。この落下の際に第二唐箕17の選別風を受けて軽い藁屑が後方の排塵口56へ吹き飛ばされる。選別網28から漏下せずに二番受樋19Bに供給される被処理物は、枝梗付着粒や小さな藁屑等が主である。
【0043】
揺動選別棚20上の被処理物のうち軽量のものは、シーブ23,24を漏下せず、揺動選別棚20の揺動作用と第一唐箕16による送風で吹き飛ばされてシーブ23,24の上を後方へ移動し、ストローラック25の上で大きさの小さい二番物は漏下して二番受樋19Bにより回収される。この落下する二番物は第二唐箕17の選別風を受け、そこに含まれる軽い藁屑が後方の排塵口56へ吹き飛ばされる。シーブ23,24の後部やストローラック25から漏下して二番コンベア27により二番処理室40へ供給される。二番コンベア27に取り込まれるものは、枝梗付着粒、藁屑および藁屑の中に混在した穀粒などの混合物である。これら枝梗付着粒や藁屑を二番還元物として再処理する。また、シーブ23,24及びストローラック25から漏下しない被処理物(主に藁屑)は、更に後方へ移送されて三番排塵口56から排出される。この中には僅かな穀粒が含まれていることがあり、この量(比率)によって、脱穀装置の選別精度が評価される。
【0044】
(点検口)
図8〜図13に示すように、扱室11のフィードチェーン部9側の側壁には、フィードチェーン部9の裏側を含む範囲に、取り外した第一シーブ23が通過可能である点検口11Sが形成されるとともに、この点検口11Sを開閉する蓋体11Zが設けられており、この蓋体11Zはフィードチェーン部9に連結一体化されている。フィードチェーン部9をオープン(揺動開放)すると、図8に示すように蓋体11Zもフィードチェーン部9に伴い移動して点検口11Sが開口し、図13に示すように点検口11Sから扱胴10の下端部及び扱胴10の下側空間が露出する。よって、点検口11S及び扱胴10の下側空間を介して後述の揺動選別棚20の上流側、具体的には移送棚22及び第一シーブ23の掃除やメンテナンスを行うことができる。
【0045】
また、扱室11の下側に張設される受網15のうちフィードチェーン部9側の端部が、受網15の下側において前後方向に沿って架設された棒状等の受網固定部材15Uに係合および離脱自在な構成とされており、フィードチェーン13Bのオープンした状態で受網固定部材15Uが点検口11Sを横切る場合、この受網固定部材15Uが第一シーブ23の着脱等の作業の邪魔になる。よってこのような場合、図5及び図13に示すように、受網固定部材15Uの形状を、点検口11Sより前側及び後側の部位であって且つ点検口11Sと重なる上下方向範囲に、受網15のフィードチェーン部9側の端部に係合する係合部15fを有するとともに、点検口11Sと重なる前後方向中間部に、受網15のフィードチェーン部9側の端部が係合することなく側面視で点検口11Sを迂回するU字状をなすように下方に湾曲した湾曲部15wを有する形状とするのは好ましい。この湾曲部15wと受網15のフィードチェーン部9側の端部との間に形成された空間を経て、点検口11Sから第一シーブ23を外部へ取り出すことができるので、点検口11Sからの第一シーブ23の着脱等の作業空間が拡大し、作業性が向上する。
【0046】
(排塵処理室)
扱室11の後端部は連通口35を介して排塵処理室30に連通されている。排塵処理室30内には、扱胴10の軸心と略平行な排塵処理胴31が軸装されている。排塵処理室30の周壁のうち揺動選別棚20側(正面に向かって左側)の下部は、後端部に処理物排出口33が形成されるとともに、この排出口33と連通口35との間の部分が受網により形成されている。排塵処理胴31の外周面のうち、処理物の移送方向の初端部(前端部)にはスクリュー羽根体37が設けられ、処理物の移送方向の終端部(後端部)には径方向に沿って外方に突出する羽根体34が設けられ、これらの間には排塵処理歯36が設けられている。
【0047】
排塵処理室30に供給された被処理物は、回転する排塵処理胴31により終端側に移動されつつ解砕処理される過程で、受網から揺動選別棚20上に漏下されるか、又は排塵処理室30の終端閉塞部に至った後に、羽根体34により排出口33を介して揺動選別棚20のストローラック25上に排出される。これら排出処理物は、揺動選別棚20により選別されて穀粒は回収され、藁屑等は機外に排出される。排塵処理室30に供給される被処理物中には、少量ながら枝梗の付着した穀粒が含まれており、この枝梗付着粒および小さな藁屑が受網及び処理物排出口33から揺動選別棚20に落下する。
【0048】
(二番処理室)
排塵処理室30の前側には、二番物を処理して還元するための二番処理室40が設けられている。二番処理室40内には、外周面に間欠螺旋羽根を有する二番処理胴41が排塵処理胴31と同心的かつ直列的に軸装されている。二番処理室40における二番処理胴41の下方は、その終端部を除いて樋状の受板42により包囲されており、その側部上方は開口しており、その開口部は扱網15の側部下方に位置し、扱網15の側部から漏れ出る漏出物は二番物として二番処理室40に供給されるようになっている。また、二番処理室40における二番処理胴41の終端部(前端部)の下方は、二番処理物還元口43として、揺動選別棚20の上流側における二番処理室40側の側部の上方に開口されている。また、二番処理胴41の始端側(後端側)上方には二番コンベア27から供給される二番物の供給口44が開口している。
【0049】
二番処理室40では、二番物が二番処理胴60によって搬送される間に穀粒の分離と枝梗付着粒からの枝梗の除去が行われた後、二番処理物還元口43から揺動選別棚20に落下し、扱室11からの被処理物と合流して再選別される。
【0050】
(吸引排塵ファン)
揺動選別棚20の終端部(後端部)の上方には吸引排塵ファン47の吸塵口47iが開口している。吸引排塵ファン47は、排風口46を有するケーシング45により覆われている。図示例では、揺動選別棚20の上方空間の両側壁のうち排塵処理室30と反対側の側壁に、排塵処理室30と対峙するように吸引排塵ファン47が取り付けられ、その取り付け部位に吸塵口47iが開口しているが、これらの取り付け位置は図示例に限定されるものではない。
【0051】
(排藁処理装置)
脱穀装置3の後側では、扱室を通り脱穀を終えた穀稈、つまり排藁は排藁搬送装置14に引き継がれ、排藁搬送装置14の終端部から排藁処理装置としてのカッター装置48に排出される。カッター装置48は、上方から落下供給される排藁を一対のロータリーカッター刃49間に通して切断する構造のものである。ロータリーカッター刃49の外部側はフードにより覆われており、またロータリーカッター刃49の前側には、切断した排藁の切断藁屑を後方に落下するように案内するための切藁案内板50が設けられている。切藁案内板50は、上部が上側カッター刃49の下部とほぼ同じ高さに位置しており、下方に至るに従い後側に位置するように後下がりに傾斜し、切藁案内板50の下部は下側カッター刃49の下部より下方に位置している。カッター装置48に代えて他の排藁処理装置を用いることも可能である。
【0052】
(三番排塵口)
脱穀装置3の後側壁55には三番排塵口56が開口されており、揺動選別棚20の後部がこの三番排塵口56に臨むように構成されている。また、三番排塵口56を開閉する三番排塵口シャッタ57が設けられており、例えば圃場の一辺を刈り終えて次辺へ向けて旋回する際に、この三番排塵口シャッタ57を閉じれば、排塵処理室30の処理物排出口33から排出される排塵処理物に含まれる穀粒を、三番排塵口56から排出させずに、揺動選別棚20の第二シーブ24又はストローラック25に供給し、篩い選別により回収することができる。よって、三番ロスの発生を防止して脱穀効率を向上できるようになる。また、排塵処理室30と吸引排塵ファン47の吸塵口47iとは、揺動選別棚20を挟んで対峙するように配置されており、三番排塵口シャッタ57を閉めると、排塵処理室30から排出される排塵処理物が、吸引排塵ファン47の吸塵口47i側に向かって広範に拡散するため、カギ又などの回収効率が一層向上する。
【0053】
(可動シーブ清掃装置)
図7、及び図14〜図16に示すように、本実施形態では、第二シーブ24上を往復移動することにより清掃を行う第二清掃体100が設けられている。より詳細には、第二シーブ24は左右方向に所定の間隔を空けて配置された複数の第二清掃体100,100…を備えており、これら第二清掃体100は前端部及び後端部を貫通する連結軸103及び連結カラー104により所定の間隔を空けて連結され、一体化されている。
【0054】
さらに、各第二清掃体100は、各第二シーブ部材24bに設けられたスクレーパ片(清掃片)101,101…と、これらスクレーパ片101,101…を相互に連結する連結部材102とから構成されている。本実施形態のスクレーパ片101は、図14に示すように、第二シーブ部材24bの断面形状に合わせたガイド穴101hを穿設した鍔状体であり、ガイド穴101hに第二シーブ部材24bが挿通されることにより、第二シーブ部材24bの表面全体に接触しつつ第二シーブ部材24bの長手方向にスライドして付着物を掻き取って除去するものである。また、各第二清掃体100におけるスクレーパ片101,101…は前後方向に沿って延在する共通のプレート状の連結部材102に対し、各スクレーパ片101の下端部を通る支軸101xを中心として回動可能に連結して相互に一体化し、これらスクレーパ片101,101…を一体的に、第二シーブ24に対して左右横方向(第二シーブ部材24bの長手方向)に往復移動可能とするとともに、第二シーブ部材24及びこれに付設されたスクレーパ片101からなる部分と連結部材102とが平行クランクをなすように構成している。これにより、各スクレーパ片101が連結部材102に対する連結状態を維持しつつ、第2シーブ部材24bと一体的に傾斜角度が変化するため、第二シーブ24の傾斜角度に関係なく、第二シーブ部材24bの表面をスクレーパ片101により清掃することができる。その結果、第二シーブ24における藁屑付着による目詰まり及びそれによる三番ロスが防止され、所期の選別性能を維持できるようになる。また、スクレーパ片101の角度変更機構及び第二清掃体100の駆動機構が簡素かつ確実なものとなる。もちろん、各スクレーパ片101が連結部材102に対する連結状態を維持しつつ、第2シーブ部材24bと一体的に傾斜角度が変化する限り、他の構成を採用することもできる。
【0055】
第二清掃体100を駆動するための清掃体駆動装置は適宜設計することができるが、本実施形態では、図17及び図18に示すように、駆動モータ85の回転駆動により、互い違いに引き操作される一対の操作ケーブル86b,86bを第二清掃体100の左右両側部にそれぞれ連結して左右横方向に往復動するように構成している。すなわち、駆動モータ85を駆動すると、クランクアーム86の回転により、クランクピン86pに対して連結された一対の操作ケーブル86b,86bが互い違いに引き操作され、各第二清掃体100が一体的に左右横方向に強制揺動され、各第二清掃体100のスクレーパ片101により第二シーブ部材24bの付着片の除去がなされるようになっている。この左右横方向の往復移動範囲(移動ストローク)が、左右方向に隣接する第二清掃体100,100間のピッチよりも大きくされていると、スクレーパ片101が第二シーブ部材24bの全域にわたって作用するため好ましい。
【0056】
この形態では、第二清掃体100の揺動が連続的になされるが間欠的でも良い。また、第二清掃体100の駆動モータ85を脱穀操作、例えば脱穀クラッチの入り操作に連動して自動で駆動を開始するようにするのが好ましいが、非連動として任意のスイッチにより駆動を開始する構成としても良い。さらに、本実施形態のように、クランクピン86pと操作ケーブル86bとはスプリング86s及びプレート86tを介して連結保持させると、操作ケーブル86bに無理な加重が掛からないため好ましい。
【0057】
(固定シーブの清掃装置)
図5〜図7に示すように、本実施形態では、第一シーブ(固定シーブ)23上を往復移動することにより清掃を行う第一清掃体(清掃体)80が設けられている。より詳細には、第一シーブ23は左右方向に所定の間隔を空けて配置された複数の第一清掃体80,80,80…を備えており、この第一清掃体80は図19〜図23に詳細に示すように、前後方向に沿うプレート部81と、第一シーブ23の各シーブ部材23bの上面に接触して付着物を除去するスクレーパ部82とを有するものである。
【0058】
これら第一清掃体80,80,80…は、前後に設けられた左右方向に延在する連結部材と左右の補強板84,84とによって一体的に連結保持され、第一シーブ23に対して左右横方向(シーブ部材23bの長手方向)に往復移動可能に支持されている。また図22(b)に示すように、プレート部81は上下方向に沿う垂直姿勢で立設されており、そして、各プレート81にはシーブ部材23bの断面形状に合わせたガイド穴81hを穿設し、各ガイド穴81hに各シーブ部材23bを挿通してスライド案内する構成としている。
【0059】
スクレーパ部82は、上下方向に傾斜するシーブ部材23bの傾斜上面に接触して摺接移動により付着物を除去するものである。本実施形態のスクレーパ部82は、移動方向に対して所定角度に傾斜する傾斜刃縁(傾斜縁部)82aをプレート部81を挟んで左右対称に有し、平面視で略ハの宇型の傾斜刃縁82a,82aを有する形状となっており、このような形状によって左右の往復動に対する付着物の除去が無理なく確実に行えるようになっている。また、このスクレーパ部82は、正面硯で山型の傾斜角を保持すべく昇り傾斜面82s,82s(図19〜図22参照)が設けられ、横方向への移動に伴いその昇り傾斜面82s,82sによって各シーブ部材23b面上の付着物が上方に掬い上げられるようになっている。スクレーパ部82の最突出端部82eは、シーブ部材23bの折り曲げ稜線と合致させた構成としてあり、シーブ部材23bの折り曲げ部に溜まった藁屑や塵埃の除去が容易に行えるようにしている。
【0060】
プレート部81とスクレーパ部82とは別体とすることもできるが、本実施形態のように一体とし、特に合成樹脂材で一体成形した構成とすると、製造容易性、コスト、メンテナンス性の点で優れるため好ましい。
【0061】
各第一清掃体80を駆動するための清掃体駆動装置は適宜設計することができるが、本実施形態では、図6及び図7に示すように、互い違いに引き操作される一対の操作ケーブル87b,87b、往復回動する天秤アーム87、天秤アーム軸87a、往復回動する揺動アーム88等の連動機構を介して左右横方向に往復動するように構成している。すなわち、一対の操作ケーブル87b,87bが互い違いに引き操作され、天秤アーム87の往復回動によって天秤アーム軸87aを回動中心として揺動アーム88が左右に往復揺動し、この揺動アーム88の長孔88hに対して移動自在に挿入された89を有する第一清掃体80が左右横方向へ強制的に往復動されるようになっている。この左右横方向の往復移動範囲(移動ストローク)が、各第一清掃体80,80,80…間の配置ピッチPよりも大きくされていると、スクレーパ部82がシーブ部材23bの全域にわたって作用するため好ましい。なお、操作ケーブル87bの駆動装置については第二清掃体100の操作ケーブル86bの駆動装置で説明したものと同様の構造のものを用いることができ、この駆動装置を第一清掃体80と第二清掃体100とで共用することもできる。
【0062】
(可動シーブの着脱構造)
第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28の交換等を行う場合のメンテナンス性を向上させるために、図24に示すように、揺動選別棚20の本体部に対して、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28を一体状態で着脱自在に構成するのは好ましい形態である。図25は揺動選別棚20の本体部から取り外した状態の、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28の連結一体化物を示しており、図26はこの一体状態の第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28を揺動選別棚20の本体部に取り付けた状態を示している。図25と図26との対比からも分るように、揺動選別棚20の両側板20sに対して第二シーブ24の両側板をボルト20bで着脱可能に固定することにより、上述の取外し及び取付けが可能となっている。
【0063】
このような構造の採用により、揺動選別棚20の全体を外すことなく、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28を容易に取り外すことができるので、その下方に位置する部分、例えば一番受樋19Aや二番受樋19Bの底部のメンテナンス(掃除)を容易に行うことができる。特に大型の機械では、揺動選別棚20全体は重すぎて一人での取り外し作業は困難であるが、第二シーブ24、ストローラック25、及び選別網28だけであれば一人でも取り外しが可能となる。また、揺動選別棚20全体を組み付ける場合には揺動選別棚20の周囲にシールゴムを適切にセットすることが必要となるが、上述の形態では揺動選別棚20全体を取り外す必要が無いので、揺動選別棚20周囲のシールゴムのセット不良によるロス・選別不良が発生し難くなる。
【0064】
(第一唐箕の送風方向変化)
第一唐箕16の唐箕ケーシング16cの送風口65は、上方に位置する天面部67と下方に位置する底面部68との間に開口しており、これら天面部67と底面部68との上下中間に風割66が設けられている。これにより、送風口65は、風割66と天面部67との間の上側風路74と、風割66と底面部68との間の下側風路75とに区画されている。
【0065】
図示例の風割66は、下方に頂点70を有する逆三角形状の断面を有する形状をなしている。これによって、図示例の風割66における上面69は第一唐箕16の唐箕ケーシング16cの天面部67とほぼ同傾斜の平坦面により形成され、風割66の下面は下側前部傾斜面71と下側後部傾斜面72とを有する屈曲面により形成されている。風割66がこのような形状を有していると、上側風路74から送出される風は風割66の上面に沿って下方にはあまり拡散せずに揺動選別棚20に向かって流れ、下側風路75から送出される風は風割66の下側後部傾斜面72に沿って上方にも拡散しつつ揺動選別棚20の更に下流側の範囲までに向かって流れるようになる(図5参照)。
【0066】
風割66は、送風方向と直交する水平の回動軸66x(図9参照)を回動中心とし、且つ上面69及び下面71,72が送風方向下流側に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で回動自在に構成されており、また、風割66の回動軸66xは風割の送風方向中間に位置しており、回動軸66xの上流側及び下流側が上下するように回動するようになっている。風割66の回動軸66xは、その両端部が選別室18の両側壁18Sに軸支されている。さらに、風割66の回動により風割66の水平面に対する傾斜角(以下単に傾斜角ともいう)を最大まで増加させたとき、風割66における第一唐箕16側の端部が送風口65の底面部68と近接又は接触するように構成されている(図5及び図6参照)。
【0067】
また、天面部67も、送風方向と直交する水平の回動軸67xを回動中心とし、且つ下面が送風方向下流側に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で、風割66と同方向に回動するように構成されている。天面部67の回動軸67xは、図示例では天面部67の第一唐箕16側端部に位置しているが、送風方向中間や、送風方向下流側端部に位置させることもでき、いずれにせよ天面部67の下流側が上下するように回動すれば良い。天面部67の回動軸67xも、その両端部が選別室18の両側壁18Sに軸支されている。
【0068】
このような構造においては、第一唐箕16から供給される一定量の風の上側風路74及び下側風路75に対する配分比率は、上側風路74及び下側風路75の開口度の比率によって定まる。よって、下側風路75の開口度が減少する方向に、天面部67及び風割66が同じ方向に連動して回動すると、下側風路75の風量は減少し、反対に上側風路74の風量は増加するとともに、下側風路75の風向は風割66の下面の角度変化に応じて変化し、上側風路74の風向は天面部67の角度変化および風割66の下面の角度変化に応じて変化する。一方、下側風路75の開口度が増加する方向に、天面部67及び風割66が同じ方向に連動して回動すると、下側風路75の風量は増加し、反対に上側風路74の風量は減少する。下側風路75の風向は風割66の下面の角度変化に応じて変化し、上側風路74の風向は天面部67の角度変化および風割66の下面の角度変化に応じて変化する。つまり、上側風路74及び下側風路75の風向及び風量を同時に調整できるようになる。
【0069】
風割66及び天面部67を回動するための駆動手段は、風割66および天面部67を連動して回動させるものであれば適宜選択して設計することができ、手動でもモータ等の動力源を用いても良い。図示例では、風割66の回動軸66xの一端部が選別室18の側壁18Sから突出しており、この突出部分に主揺動梃181の先端部が取り付けられ、この主揺動梃181及び風割66が一体的に回動するようになっている。また、選別室18の側壁18S外面にステー182が取り付けられ、このステー182に搭載されたモータ183の駆動軸183xにピニオンギア183gが取り付けられ、このピニオンギア183gと噛合する扇状ギア184がステー182に軸支され、この扇状ギア184の一方側の円周端部(第1の偏心位置)と主揺動梃181の基端部とが連杆185を介して連結されており、各連結部分はピン185pにより回転自由な連結となっている。さらに、ステー182には、ポテンションメータ等の回転量検出装置186が搭載され、この回転量検出装置186の検出軸186xに副揺動梃187の先端部が取り付けられ、副揺動梃187の回動量が検出されるように構成されるとともに、扇状ギア184の反対側の円周端部(第2の偏心位置)にはピン187pが突設され、このピン187pが副揺動梃187の長手方向に沿う溝187d内を滑るように構成されている。また、風割66における回動軸66xよりも送風方向下流側の部位と、天面部67における回動軸67xよりも送風方向下流側の部位とが、選別室18内の両側部において連杆188を介してそれぞれ連結されており、各連結部分はピン188pにより回転自由な連結となっている。
【0070】
したがって、モータ183の正逆駆動により、扇状ギア184、連杆185、主揺動梃181を介して風割66が正逆回動されるとともに、その回動量が、扇状ギア184及び副揺動梃187を介して回転量検出装置186により検出される。また、風割66の回動に伴い、これと連杆188を介して連結された天面部67も連動して回動する。よって、風割66と天面部67とを同時かつ同方向に回動させ、それぞれ所定の角度に調整でき、調整操作が容易となる。
【0071】
風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角(単に傾斜角ともいう)は、それぞれ上述の範囲内で適宜変化させることができるが、上側風路74の選別風の過半は揺動選別棚20のうちシーブ(図示例では第二シーブ24。選別網28でも良い)下流側(後側)端よりも上流側に向き、且つ下側風路75からの選別風の過半はシーブ(第二シーブ24)下流側(後側)端よりも下流側を向くように、風割66及び天面部67の傾斜角範囲を設定するのが好ましい。この範囲内で、風割66及び天面部67の傾斜角を変化させることによって、被処理物の流量が低流量の状態(低流量時)であっても高流量の状態(高流量時)であっても、より適切な選別を行うことができ、穀粒損失の低減と、選別の良化を図ることができる。
【0072】
特に、上側風路74、下側風路75の選別風は、風割66の傾斜角を大きくするほど、両風路65A,65Bの選別風ともに、揺動選別棚20の上流側(前側)への風量が増加し、且つ下流側(後側)への風量は低減するように構成されていると好ましい。そして、風割66の傾斜角を最大としたとき、下側風路75の風量よりも上側風路74の風量が多くなるように構成すると更に好ましい。また、風割66の傾斜角を最大としたとき、側面視で風割66の上面の送風方向延長線66Lは一番棚先29よりも所定の間隔をおいて上方に位置させ、一番棚先29よりも揺動選別棚20の上流側(前方)の部位へ向かう選別風を増加させるのが好ましい。これにより、例えば低流量時や低速作業時には揺動選別棚20の下流側の選別風を低減することで機外飛散を低減し、揺動選別棚20の上流側への選別風を増加することで、稈切れや枝梗付着粒などの漏下を制限し、選別状態を良好に保つことができる。
【0073】
特に、風割66の傾斜角をある程度以上大きくしたとき、例えば最大としたときに、側面視で風割66の上面の送風方向延長線66L上に排塵ファン43の吸塵口45が開口する(換言すれば延長線66Lが吸塵口45と交わる)と好ましい。これにより、前方で吹き上げた塵芥を効率良く排塵ファン43で吸塵することができ、選別風が機体後方に抜けにくい構造(特に図示例のような三番排塵口シャッタ57を有する場合)でも選別能力を損なうことなく、効果的に塵芥を機外に排出できるようになる。
【0074】
また、上側風路74、下側風路75の選別風は、風割66の傾斜角を小さくするほど、両風路65A,65Bの選別風ともに、揺動選別棚20の下流側に風向を変更し、上側風路74の風量を低減し、且つ下側風路75の風量を増加させるように構成されていると好ましい。そして、傾斜角を最小としたときには、上側風路74の風量よりも下側風路75の風量が多くなるように構成すると更に好ましい。また、傾斜角を最小としたときには、風割66の上面の送風方向延長線66Lは一番棚先29及びその近傍に位置させ、一番棚先29へ向かう選別風を増加させるのが好ましい。これにより、高速作業時や高流量時において選別室から機外への選別風の抜けを促進し、揺動選別棚20上の藁屑の外部への排出を促進するとともに、還元量(二番コンベア27に取り込まれる量)を抑制し、高速作業への適応性を高めることができる。
【0075】
風割66及び天面部67の傾斜角の変化量は同じでも良いが、異ならしめることもできる。例えば、図示例のように、風割66の傾斜角が最大の状態から最小の状態まで回動したとき、天面部67の前端(第一唐箕16側)の回動量に対し、風割66の前端の回動量が大きくなるように構成すると、天面部67の前端(第一唐箕16側)の回動量が相対的に小さくなることにより、上側風路74の風量を損なうことなく、風向の変更ができるだけでなく、風割66の前端の回動量が相対的に大きくなることにより、上側風路74及び下側風路75に対する選別風の分配比を大きく変更でき、且つ両風路の風向も変化させることができるため、好ましい。
【0076】
風割66及び天面部67の傾斜角の上限(上限角)及び下限(下限角)は固定しても良いが、風割66の適切な傾斜角範囲は作物条件や作物種によって異なるため、連続的又は段階的に変更可能とするのが好ましい。また、上限角及び下限角を変更可能とする場合、その上限角及び下限角は任意の角度に手動調整可能とする他、作物種等によってあらかじめ定められた角度に自動変更可能とするのも好ましく、両者を切り替え可能とすると更に好ましい。手動調整の場合、コンバインの使用に際して、予め設定されている上限角及び下限角が作物条件(例えば作物の水分量の多少、作物の倒伏の程度、処理物量の増減)に合致しない場合、任意に補正することができる。一方、自動変更の場合、上限角及び下限角を稲、麦等、予め作物種に応じて切り替え可能に構成しておくことで、作物種に応じて上限角及び下限角を簡単に切り替えて、適切な選別を行うことができるようになる。例えば、麦は稲より処理物量中の穀粒比率が小さく、同一流量であっても機外排出効率を高めるよう風割66の傾斜角の上限を浅くして処理効率を高めるようにするのが好ましい。
【0077】
図30は、風割66及び天面部67の上限角及び下限角の変更を行うための操作盤の例を示しており、シーブの開度調節の近傍に、ロータリ式の作物選択スイッチ91と、ロータリ式の開度調整スイッチ92とが並設されており、作物選択スイッチ91を「稲」又は「麦」に合わせることにより、それぞれの作物種に応じて、風割66及び天面部67の上限角及び下限角が自動変更され、作物選択スイッチ91を「手動」に合わせると、風割66及び天面部67の上限角及び下限角が、開度調整スイッチ92の回転位置に応じて定まる任意の角度に変更される。
【0078】
風割66及び天面部67の上限角及び下限角の設定は、機械的に行っても良いが、上述のように、風割66及び天面部67の回動をモータ等の駆動源により行う場合にはその駆動制御により行うのが望ましい。
【0079】
(処理量検出センサ)
風割66及び天面部67の傾斜角は処理物量に関係なく固定としても良いが、揺動選別棚20の棚上処理物の量を検出する処理量検出センサ95を設け、この処理量検出センサ95の検出結果に基づき、棚上処理物の量(層厚)が増加したときに風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角を減少させ、棚上処理物の量が減少したときに風割66及び天面部67の水平面に対する傾斜角を増加させる制御装置(図示略)を設けるのも好ましい。これにより、処理物量に増減があっても、揺動選別棚20上の処理物量検出結果に応じて、風割66及び天面部67の傾斜角が適切に自動調整され、最適な穀粒損失と選別状態を得ることができる。
【0080】
この風割66及び天面部67の傾斜角の制御は、図31に一点鎖線で示すように棚上処理物量に対して線形(直線的に)変化する制御関数を用いる他、図31に実線又は二点鎖線で示すように非線形(曲線的に)変化する制御関数を用いることもできる。この場合、一つの制御関数を固定的に用いる他、脱穀条件に応じた複数種の制御関数を操縦部に設けたスイッチにより任意に選択又は調節可能な構成とし、より幅広い脱穀条件に適応させることもできる。
【0081】
処理量検出センサ95は、公知の接触又は非接触センサを用いることにより構成することができる。図示例では、二番処理室40の受板42における終端側(二番処理物還元口側又は前端側)部分と、刺さり粒回収室11Eの中間隔壁11Kの下端部とがセンサステー95Sにより連結され、このセンサステー95Sにポテンションメータ等の回転量検出装置96が取り付けられるとともに、この回転量検出センサ96の検出軸96xにフロート97が吊り下げ状態で取り付けられており、このフロート97が、揺動選別棚20の移送棚22上を移動する被処理物に接触して、被処理物の移動方向に回転しつつ持ち上がり、その回転量が、移送棚22上を移動する被処理物の層厚として回転量検出装置96により検出されるように構成されている。
【0082】
このように、センサステー95Sにより二番処理室40の受板42における終端側(二番処理物還元口側又は前端側)部分と、排塵処理室導入部11Eの中間隔壁11Kの下端部とを連結する構造を採用すると、二番処理物還元口43からの二番処理物の排出及びその移送の邪魔となる位置を避けて、フロート97を宙吊り状態で設置できるだけでなく、二番処理室40の受板42、中間隔壁11K及びセンサステー95Sが三角形状に連結できるため、機枠1の強化にも繋がる、という利点がある。
【0083】
また、図示例のようにフロート97が回動するタイプの場合、フロート97の回動中心(つまり図示例では検出軸96x)が、二番還元物の流れ又は棚上処理物全体の流れに対して略直角となり、平面視で揺動選別棚20の揺動方向に対して傾斜するように構成するのが好ましい。これにより、棚上処理物の流れ方向と、これに接触するフロート97の回動方向とが一致するか又は近くなるため、フロート97が円滑に動作し、処理物量の変化に対して正確かつ敏感に反応するようになる。
【0084】
この場合、フロート97の作動をより円滑にするために、フロート97における回動中心方向一方側、特に図示例のように移送棚22の移送方向下流側に、フロート97の回動中心に対して略直交する方向(センサフロート97の回動方向と略平行)に延在する寄せ板98を立設するのも好ましい形態である。これにより、移送棚22による揺動作用により棚上処理物の移動方向がずれていくとしても、そのフロート97近傍では寄せ板98により移動方向が規制されるため、棚上処理物の流れ方向と、これに接触するフロート97の回動方向とが略一致し、フロート97がより一層円滑に動作するようになる。
【0085】
また、フロート97の形状は、図示例のように、少なくとも棚上処理物と接触する部分(図示例では棚上処理物が無い非接触状態で、棚上処理物の移動方向上流側の面)が、棚上処理物の摺動方向の中間部ほど張り出す弧状曲面であるのが好ましい。
【0086】
他方、一般に移送棚22上においては処理物量が偏在し、特に二番処理物還元口43の下方近傍における処理物量が最も多くなる。よって、処理量検出センサ95は、二番処理物還元口43の近傍における揺動選別棚20の棚上処理物の量を検出するように構成するのが望ましい。このため、図示例ではフロート97を二番処理物還元口43の近傍に配置している。
【0087】
(一番棚先の角度調節)
一番棚先29は、揺動選別棚20から落ちてくる被処理物を受けて、これに第一唐箕43からの選別風を当て、穀粒は一番棚先29の傾斜に沿って滑落させて一番受樋19Aに供給し、その他は選別風に乗せて後方に吹き飛ばすことにより選別を行うためのものである。本実施形態では、一番棚先29は前後方向中間部に位置する回動支点29xを中心として、後方に向かって斜め上向きとなる角度範囲内で回動するように構成されている。これにより、多収量品種においては、一番棚先29の角度を急傾斜にする(立てる)ことで、一番の回収率を高くすることが可能となり、また、藁屑、青葉、稈切れ等が混入しやすい品種においては、一番棚先29の角度を緩くすることで、一番棚先29上にて塵介の排出が行なわれ易くなる。そして、選別の悪化を防止できるようになる。
【0088】
なお、一番棚先29の回動支点29xは、前端部等の任意の部位に設けることができるが、図示形態のように一番棚先29aをその前方の棚先シールS1との接続部29bと、これより後側の回動部分29tとに分割するとともに、両者の境界に回動支点29xを設け、接続部29bを固定としてその後側の回動部分29tを回動する構成とすると、一番棚先29と前方の棚先シールS1との接続部29bの上下動がなくなり、揺動選別棚20の運動時の棚先シールS1の浮き上がりやめくれ等の不具合が無く、選別に対する悪影響を低減できるため好ましい。
【0089】
一番棚先29の傾斜角度を調節する場合、任意にかつ単独で調節しても良いが、前述の処理量検出センサ95により検出される棚上処理物の量(層厚)に応じて一番棚先29の傾斜角度を制御するのが好ましく、この場合における一番棚先29の角度制御は、前述の第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)とは別に行う他、連動して行うこともできる。第一唐箕16の送風方向変化と連動して一番棚先29の姿勢変化を行うと、処理物量に応じて一番受樋19Aに導く穀粒の割合や選別状態を調整可能となり、選別性能を向上できるようになる。
【0090】
一つの好ましい形態は、処理量検出センサ95により検出される棚上処理物の量(層厚)に応じて、処理量検出センサ95の検出結果に基づき、第一唐箕16の送風方向変化と一番棚先29の姿勢変化とを連動させ、棚上処理物量が少ないときは第一唐箕16の送風方向(風割66及び天面部67が後上がり)の傾斜角を増加する(立ち上げる)とともに、一番棚先29の傾斜角を減少する(倒す)ように制御するのが好ましい。また、この制御とともに、又は別に、棚上処理物量が多いときは第一唐箕16の送風方向(風割66及び天面部67)の傾斜角を減少する(倒す)とともに、一番棚先29の傾斜角を増加する(立ち上げる)ように制御するのが好ましい。
【0091】
この第一唐箕16の送風方向及び一番棚先29の姿勢変化は棚上処理物量に対して連続的に変化させる他、棚上処理物量に対して断続的に変化させることもでき、最も簡素な制御として、第一唐箕16の送風方向及び一番棚先29の姿勢変化の制御を、傾斜角最大と傾斜角最小の二状態に限定し、棚上処理物量が所定値以下のときには第一唐箕16の送風方向を傾斜角最大にするとともに一番棚先29を傾斜角最小にし、棚上処理物量が所定値を超えるときには第一唐箕16の送風方向を傾斜角最小にするとともに一番棚先29を傾斜角最大にするといったことも可能である。これにより、棚上処理物の低流量時は第一唐箕16の送風を前方寄りにし、機外への単粒ロス(三番ロス)を抑制できるとともに、一番棚先29の傾斜を緩くすることにより、一番棚先29の風量減少による一番受樋19Aへの稈切れ等の混入を防止し、選別を良好に保つことができる。また、棚上処理物の高流量時は一番棚先29への風量を増加するとともに一番棚先29を上向きにすることで、一番の回収効率を向上させるとともに、機外への飛散を抑制することができる。
【0092】
第一唐箕16の送風方向変化と一番棚先29の姿勢変化との連動手段は適宜定めれば良く、例えば互いに独立した駆動機構を電子的又は機械的に連動制御しても良いが、図27に示すように互いの作動を機械的に連動させるのが好ましい。すなわち、同図の例では、風割66及び天面部67に対して往復駆動力を伝達するための部材(図示形態では連杆185)に連動ケーブル190の一端部を連結し、他端部を一番棚先29の回動支点29xよりも先端側の部分に対して回動方向一方側(図示形態では上側)から連結するとともに、一番棚先29の回動支点29xよりも先端側の部分に対して連動ケーブル190と反対側からスプリング等の引張付勢手段191を連結し、風割66及び天面部67の傾斜角度調節のための連杆85の往復移動により、連動ケーブル190を介して一番棚先29が上下動されるように構成している。
【0093】
(唐箕の回転数制御)
第一唐箕16の回転数(回転速度)は固定としても良いが、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動して変速する構成とするのは好ましい形態である。連動制御は適宜定めることができるが、特に、第一唐箕16の送風方向の傾斜角が増加するほど、第一唐箕16の回転数を増速させるのが好ましい。この制御により、第一唐箕16の送風方向が前寄りになると、一番棚先29に向かう風量が減少し、一番受樋19Aに稈切れ等が入り易くなるが、第一唐箕16の回転数を増加することでこれを補うことができ、選別性能を保つことが可能となる。しかも、第一唐箕16の送風方向が上向きであるため、三番排塵口56への第一唐箕16からの選別風の流出は少なく、三番ロスが増加し難い。
【0094】
また、このような連動制御を行うにあたり、その制御関数を図29に示すように稲、麦等の作物種によって切換可能に構成するのが好ましく、例えば稲、麦の切換の場合、麦は稲と比べて処理物中の塵芥割合が多く、選別を良好に保つには風量変化割合を大きくする必要があるため、稲モードの第一唐箕16の回転数変化(a)に対し、麦モードの第一唐箕16の回転数変化(b)を(a≦b)とするのが好ましい。さらに、前述のような連動制御を行うにあたり、図29に示すように、第一唐箕16の回転数(風量)変化範囲を二点鎖線で示すように任意の範囲に手動調整可能な構成とすると、予め設定されている回転数(風量)が作物条件(例えば作物の水分量の多少、作物の倒伏の程度、処理物量の増減)に合致しない場合、選別状態(ロス)を確認して任意に補正し、選別状態を良好に保つことができるため好ましい。
【0095】
これら作物種モードの切換、及び回転数(風量)変化範囲の調節は、図30に示される操作盤を設けて、作物選択スイッチ91を「稲」又は「麦」に合わせることにより、それぞれの作物種に応じた回転数の制御関数が自動選択され、選別風量変化ダイアル93を回転することにより、その回転位置に応じて定まる任意の回転数範囲に変更されるように構成することができる。
【0096】
第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と第一唐箕16の回転数変化(変速)との連動手段は適宜定めれば良く、例えば互いに独立した駆動機構を電子的又は機械的に連動制御しても良いが、図13及び図28に示すように互いの作動を機械的に連動させるのが好ましい。すなわち図28は、脱穀装置3の動力伝動系統図で、コンバインに搭載したエンジン140の動力がプーリ及びベルトを介して第一カウンター軸150に伝動され、この第一カウンター軸150からプーリ及びベルトの伝動により第一唐箕16の回転軸16xに入力されて第一唐箕16が駆動される。また、第一カウンター軸150に入力された動力はプーリ及びベルトの伝動により揺動軸151に入力され、揺動選別棚20が揺動される。さらに、第一カウンター軸150に入力された動力はプーリ及びベルトの伝動により一番コンベア26、二番コンベア27及び第二カウンター軸152にそれぞれ入力され、さらに第二カウンター軸152からプーリ及びベルトの伝動により吸引排塵ファン47及び排藁処理装置としてのカッター装置48にそれぞれ入力され、各装置が駆動されるようになっている。また、第一カウンター軸150に入力された動力はプーリ、ベルト及びギアの伝動により排塵処理胴31及び二番処理胴41に入力され、さらにプーリ及びベルトの伝動により扱胴10に入力され、さらにプーリ、ベルト及びギアの伝動により排藁搬送装置14に入力され、各装置が駆動されるようになっている。一方、揺動軸151に入力された動力はギアを介してフィードチェーン13Bを駆動するようになっている。
【0097】
そして、第一唐箕16の回転軸16xへの伝動を行うプーリ160として、変速カムによりプーリ幅が変更可能なベルコンプーリを用い、このベルコンプーリ160のプーリ幅を変更すべく変速カム161と、風割66の回動軸66xとをロッド162で連結している。従って、風割66の傾斜角度を変化させると、ロッド162を介して変速カム161が回動してベルコンプーリ160のプーリ幅が変更され、第一唐箕16の回転軸16xの回転数が変化する。
【0098】
なお、図13に示される例からも分るとおり、第二唐箕17の回転数についても、第一唐箕16と同様のベルコンプーリ170、変速カム171、及びロッド172を用いた連動機構により、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動させることができる。
【0099】
(吸引排塵ファンの回転数制御)
吸引排塵ファン47の回転数は固定としても良いが、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動して変速する構成とするのは好ましい形態である。連動制御は適宜定めることができるが、特に、第一唐箕16の送風方向が所定角度以上、例えば傾斜角最大のときに、吸引排塵ファン47の回転数(回転速度)を所定値以下に減速させるのが好ましい。これにより、第一唐箕16の送風方向が上向きになった時に吸引排塵ファン47の回転数が下がり、吸引力が弱くなるため、吸引排塵ファン47を効率良く駆動させることができる。
【0100】
第一唐箕16の送風方向変化と吸引排塵ファンの回転数変化(変速)との連動手段は適宜定めれば良く、例えば吸引排塵ファン47の回転軸に駆動力を伝達するプーリとしてプーリ幅が可変のベルコンプーリを用い、上述の第一唐箕16の回転数の制御と同様に機械的な連動機構を構成しても良いが、吸引排塵ファン47として電動ファンを使用し、第一唐箕16の送風方向変化をポテンションメータ等の回転量検出装置186で検出して、その検出結果に応じて吸引排塵ファン47のモータの回転数を電気的に制御しても良い。
【0101】
(可動シーブの開度制御)
第二シーブ24の開度(第二シーブ部材24bの傾斜角度)は独立的に調節する構成としても良いが、第一唐箕16の送風方向変化(風割66及び天面部67の傾斜角度の制御)と連動して調節する構成とするのは好ましい形態である。連動制御は適宜定めることができるが、特に、第一唐箕16の送風方向が所定角度以上、例えば傾斜角最大のときに、第二シーブ24の開度を標準状態よりも絞る(第二シーブ部材24bの傾斜角を減少させる)のが好ましい。棚上処理物の量が少なく第一唐箕16の送風方向が前よりになったときに、第二シーブ24が開いたままであると稈切れ等が一番物に混入して選別不良を起こし易いが、上述のように第一唐箕16の送風方向の傾斜角が所定角度以上になったときに第二シーブ24の開度を標準状態よりも絞ることで、稈切れ等の混入による選別不良を防止することができる。
【0102】
また、この制御とともに、又は別に、第一唐箕16の送風方向が所定角度以下、例えば傾斜角最小のときには、第二シーブ24の開度を標準状態よりも開く(第二シーブ部材24bの傾斜角を増加させる)のが好ましい。棚上処理物の量が多く第一唐箕16の送風方向が後よりになったときに、第二シーブ24の開度が不十分であると、第二シーブ24でのろ過が不十分となり、三番ロスが増加し易いが、上述のように第一唐箕16の送風方向が所定角度以下になったときに第二シーブ24の開度を標準状態よりも開くことで、第二シーブ24におけるろ過を促進し、三番ロスの増加を防止することができる。
【0103】
(その他)
いうまでもないが、本発明は図32に示されるような第一唐箕16のみを備え、図5に示されるような第二唐箕17を有しない形態にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、コンバイン等の脱穀装置に適用できるものである。
【符号の説明】
【0105】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、8…供給搬送装置、9…フィードチェーン部、10…扱胴、11…扱室、11i…扱ぎ口、11S…点検口、11Z…蓋体、12…供給搬送装置、13A…挟持杆、13B…フィードチェーン、14…排藁搬送装置、15…扱網、15U…扱網固定部材、15W…湾曲部、16…第一唐箕、17…第二唐箕、18…選別室、19A…一番受樋、19B…二番受樋、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…移送棚、23…第一シーブ、23b…第一シーブ部材、24…第二シーブ、24b…第二シーブ部材、25…ストローラック、26…一番コンベア、27…二番コンベア、28…選別網、29…一番棚先、30…排塵処理室、31…排塵処理胴、40…二番処理室、43…二番処理物還元口、44…二番物供給口、45…ケーシング、47…吸引排塵ファン、47i…吸塵口、48…カッター装置、49…カッター刃、50…切藁案内板、55…後側壁、56…三番排塵口、65…送風口、66…風割、67…天面部、68…底面部、69…上面、70…頂点、71…下側前部傾斜面、72…下側後部傾斜面、74…上側風路、75…下側風路、80…第一清掃体(清掃体)、81h…ガイド穴、82a…傾斜刃縁(傾斜縁部)、88h…係合部、89…突出部、91…作物選択スイッチ、92…開度調整スイッチ、93…選別風量変化ダイアル、95…処理量検出センサ、98…寄せ板、100…第二清掃体、101…スクレーパ片、102…連結部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(11)から漏下する脱穀処理物を受けて揺動により移送しつつ選別を行う揺動選別棚(20)を設け、
この揺動選別棚(20)に、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が固定の複数の固定シーブ部材(23b)を前後方向に併設した固定シーブ(23)と、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の可動シーブ部材(24b)を前後方向に併設した可動シーブ(24)を備え、
前記固定シーブ部材(23b)に、固定シーブ部材(23b)の付着物を掻き取る傾斜縁部(82a)を備えた清掃体(80)を左右方向に往復移動可能に付設し、
前記可動シーブ部材(24b)に、可動シーブ部材(24b)の付着物を掻き取る清掃片(101)を左右方向に往復移動可能に付設したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前後方向に並設された各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を連結部材(102)により前後方向に相互に連結し、該連結部材(102)の左右方向の往復移動によって各清掃片(101)を一体的に左右方向に往復移動させる構成とし、
各清掃片(101)が前記連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、前記可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成としたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記複数の可動シーブ部材(24b)を、左右方向に沿う軸心(24c)を中心として回動するように構成するとともに、各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を、前後方向に沿って延在する共通の連結部材(102)に対し、左右方向の軸芯まわりに回動可能に連結して相互に一体化して、前記可動シーブ部材(24b)及びこれに付設された清掃片(101)からなる部分と前記連結部材(102)とが平行クランクをなすように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記揺動選別棚(20)は、前記可動シーブ(24)と、この可動シーブ(24)の後方に設けられたストローラック(25)と、前記可動シーブ(24)部の下方に設けられた選別網(28)と、これら可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が取り付けられた本体部(20s)とを備え、前記可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が一体として前記本体部(20s)に着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記一番受樋(19A)の後端部に後斜め上方に向かって延在する一番棚先(29)を設け、この一番棚先(29)を送風方向下流側の部位が上下するように姿勢変化自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の量を検出する処理量検出センサ(95)を設け、この処理量検出センサ(95)の検出結果に基づき、前記唐箕(16)の送風方向変化と前記一番棚先(29)29の姿勢変化とが連動して行われる構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記唐箕(16)の回転数を作物選択スイッチ(91)による作物選択により変更可能な構成とするとともに、前記作物選択スイッチ(91)の各作物選択状態において前記唐箕(16)の送風方向が揺動選別棚(20)における移送上手側に向かうほど前記唐箕(16)の回転数を増速する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【請求項7】
前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の終端部の上方に吸引排塵ファン(47)の吸塵口(47i)を開口させ、前記唐箕(16)の送風方向が所定角度以上上方に向いたときに、前記吸引排塵ファン(47)の回転数を所定値以下に低下させる構成としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【請求項1】
扱室(11)から漏下する脱穀処理物を受けて揺動により移送しつつ選別を行う揺動選別棚(20)を設け、
この揺動選別棚(20)に、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が固定の複数の固定シーブ部材(23b)を前後方向に併設した固定シーブ(23)と、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の可動シーブ部材(24b)を前後方向に併設した可動シーブ(24)を備え、
前記固定シーブ部材(23b)に、固定シーブ部材(23b)の付着物を掻き取る傾斜縁部(82a)を備えた清掃体(80)を左右方向に往復移動可能に付設し、
前記可動シーブ部材(24b)に、可動シーブ部材(24b)の付着物を掻き取る清掃片(101)を左右方向に往復移動可能に付設したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前後方向に並設された各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を連結部材(102)により前後方向に相互に連結し、該連結部材(102)の左右方向の往復移動によって各清掃片(101)を一体的に左右方向に往復移動させる構成とし、
各清掃片(101)が前記連結部材(102)に対する連結状態を維持しつつ、前記可動シーブ部材(24b)と一体的に傾斜角度が変化する構成としたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記複数の可動シーブ部材(24b)を、左右方向に沿う軸心(24c)を中心として回動するように構成するとともに、各可動シーブ部材(24b)の清掃片(101)を、前後方向に沿って延在する共通の連結部材(102)に対し、左右方向の軸芯まわりに回動可能に連結して相互に一体化して、前記可動シーブ部材(24b)及びこれに付設された清掃片(101)からなる部分と前記連結部材(102)とが平行クランクをなすように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記揺動選別棚(20)は、前記可動シーブ(24)と、この可動シーブ(24)の後方に設けられたストローラック(25)と、前記可動シーブ(24)部の下方に設けられた選別網(28)と、これら可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が取り付けられた本体部(20s)とを備え、前記可動シーブ(24)、ストローラック(25)及び選別網(28)が一体として前記本体部(20s)に着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記一番受樋(19A)の後端部に後斜め上方に向かって延在する一番棚先(29)を設け、この一番棚先(29)を送風方向下流側の部位が上下するように姿勢変化自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の量を検出する処理量検出センサ(95)を設け、この処理量検出センサ(95)の検出結果に基づき、前記唐箕(16)の送風方向変化と前記一番棚先(29)29の姿勢変化とが連動して行われる構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記唐箕(16)の回転数を作物選択スイッチ(91)による作物選択により変更可能な構成とするとともに、前記作物選択スイッチ(91)の各作物選択状態において前記唐箕(16)の送風方向が揺動選別棚(20)における移送上手側に向かうほど前記唐箕(16)の回転数を増速する制御を行う構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【請求項7】
前記揺動選別棚(20)の下方に、唐箕(16)と、樋状の一番受樋(19A)と、二番受樋(19B)とを、前記揺動選別棚(20)の棚上処理物の移送方向にこの順で設け、前記唐箕(16)の送風方向を揺動選別棚(20)における処理物移送方向の上手側から下手側にわたり変更自在に構成し、前記揺動選別棚(20)の終端部の上方に吸引排塵ファン(47)の吸塵口(47i)を開口させ、前記唐箕(16)の送風方向が所定角度以上上方に向いたときに、前記吸引排塵ファン(47)の回転数を所定値以下に低下させる構成としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図29】
【図30】
【図31】
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【公開番号】特開2012−135287(P2012−135287A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291090(P2010−291090)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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