説明

膜厚測定方法,膜厚測定装置及び蒸着装置

【課題】 膜厚測定装置において,膜厚の厚みに関わらず膜厚を測定することが可能とする。
【解決手段】 交流電源3からの電力の供給によって励振するピエゾ素子4が支持部2に取り付けられている。ピエゾ素子4には,測定部6を有するカンチレバー5の一端部が固定される。カンチレバー5内には,ピエゾ抵抗素子7とヒータ8が内蔵されている。ピエゾ素子4を励振させ,測定部6表面に形成される膜の膜厚の増大によって変化するカンチレバー5の共振周波数を信号処理装置11によって観測する。記憶装置13には,カンチレバー5に形成される膜の膜厚とカンチレバー5の共振周波数との関係のデータが予め記憶されており,このデータと観測した共振周波数とを演算装置14によって比較照合することで,測定部6の膜厚や膜厚形成レートを測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,膜厚測定方法,膜厚測定装置及び当該膜厚測定装置用いた蒸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば蒸着材料を気化あるいは昇華させてその蒸気を基板に蒸着させる蒸着装置においては,基板表面に蒸着して堆積する膜の厚さを正確に測定する必要がある。
【0003】
これに関し従来は,水晶振動子の表面に膜を堆積させ,当該膜の質量を水晶振動子の質量増加分と等しいものとみなし,水晶振動子の共振周波数の変化から当該膜の膜厚を検出するようにしていたが,水晶振動子によって検出する膜の膜厚には限界があるため,最近では水晶振動子を加熱し,水晶振動子上の成膜速度を成膜対象物よりも意図的に低下させ,あらかじめ求めておいた薄膜の成膜温度と成膜速度との関係から,成膜対象物の温度と水晶振動子の温度から成膜速度の比を求めて水晶振動子の表面の膜厚を検出することで,成膜対象物上の膜厚を算出することが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−111121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらそのように水晶振動子のみを加熱して意図的に成膜速度を遅くしても,やはり堆積した膜がある一定以上の厚みになると計測不能になることが予想される。また依然として水晶振動子を採用している関係上,加熱の温度には限界があり,堆積する膜を蒸発するほどまでには加熱することができず,結局水晶振動子の洗浄を頻繁に行わなければならず,装置の稼働率に影響を与える。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり,膜厚測定装置において,膜厚の厚みに関わらず膜厚を測定することが可能で,しかも堆積膜を蒸発させることが容易で,メンテナンスサイクルを長くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため,本発明は,カンチレバーに形成される膜の厚さを測定する方法であって,交流電力の供給によって励振するピエゾ素子によって,当該ピエゾ素子に取り付けられたカンチレバーを振動させてその共振周波数を測定し,予め求めておいた前記カンチレバーに形成される膜の膜厚とカンチレバーの共振周波数との関係に,前記測定した共振周波数を照合させることで,前記カンチレバーに形成された膜の膜厚を求めることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば,水晶振動子を用いずに,ピエゾ素子によるカンチレバーの共振周波数に基づいてカンチレバー表面に形成される膜の厚さを測定するので,形成される膜の厚みに関わらず,これを測定することが可能である。
【0009】
また本発明の別な観点によれば,本発明の膜厚測定装置は,交流電力の供給によって励振するピエゾ素子と,前記ピエゾ素子に取り付けられたカンチレバーと,前記カンチレバーに設けられたピエゾ抵抗素子と,前記ピエゾ抵抗素子が受けた歪みに基づいてカンチレバーの振動周波数を観測する観測装置とを有することを特徴としている。
【0010】
かかる本発明によれば,例えばカンチレバーを,表面に形成される膜厚の測定対象物の近傍に配置することで,当該測定対象物表面に形成される膜と同じ膜の厚さをリアルタイムで測定することが可能である。
【0011】
本発明の膜厚測定装置においては,前記カンチレバーに形成される膜の膜厚とカンチレバーの共振周波数との関係を記憶した記憶装置と,前記観測装置で観測された共振周波数と,前記記憶装置に記憶されたデータとを比較照合する演算装置とをさらに有するようにしてもよい。
【0012】
さらにまたカンチレバーを加熱するヒータをさらに付加すれば,カンチレバー表面に形成された膜成分を蒸発させることができ,メンテナンスサイクルを長くすることができる。
【0013】
さらにまた本発明の別な観点によれば,本発明の蒸着装置は,上記したいずれかの膜厚測定装置が,基板の周辺部に配置されたことを特徴としている。かかる場合,膜厚測定装置によって測定された膜厚または膜厚形成レートに基づいて,蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源を制御する制御装置をさらに有するようにすれば,所定の膜厚を基板表面に形成することが自動的になされる。
【0014】
蒸着装置のタイプとしては,例えば収容部に収容された蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源と,前記蒸着源から生じた蒸着材料の蒸気を前記基板に向けて誘導する誘導路と,前記誘導路からの蒸気を基板に向けて放出する放出口と,
前記誘導路を経て前記放出口から放出される蒸着材料の蒸気の流量を制御するダンパとを備え,この放出口に上記した膜厚測定装置を備え,当該膜厚測定装置によって測定された膜厚または膜厚形成レートに基づいて,前記ダンパを制御する制御装置をさらに有する構成としてもよい。
【0015】
また処理容器内で保持された基板に蒸着材料を蒸着する装置であって,収容部に収容された蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源と,前記蒸着源から生じた蒸着材料の蒸気を前記基板に向けて誘導する誘導路と,前記誘導路からの蒸気を基板に向けて放出する放出口と,前記蒸着源における前記誘導路へと続く流路に上記した膜厚測定装置を備え,前記流路を通過する蒸着材料の蒸気の流量を制御する流量調整器と,前記膜厚測定装置によって測定された膜厚または膜厚形成レートに基づいて,前記流量調整器を制御する制御装置をさらに有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,形成される膜厚の厚みの如何に関わらず膜厚を測定することができる。またヒータによって加熱し,カンチレバーに形成された膜の成分を蒸発させてこれを除去することができるので,メンテナンスのサイクルを従来よりも長くすることができ,装置の稼働率を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,実施の形態にかかる膜厚測定装置1の構成の概略を示しており,支持部2には,交流電源3から供給される交流電力によって励振するピエゾ素子4が取り付けられている。このピエゾ素子4では,例えば定常周波数100Hz〜10kHzの振動が発生する。
【0018】
ピエゾ素子4には,カンチレバー5の一端部が固定され,他端部は自由端となっている。カンチレバー5は例えばシリコンからなる。カンチレバー5の特定面,例えば下面は測定部6を構成している。カンチレバー5の内部には,ピエゾ抵抗素子7が設けられている。さらにカンチレバー5には,ヒータ8が設けられている。本実施の形態では,カンチレバー5の内部にヒータ8が設けられている。ヒータ8は,加熱用電源9からの電力の供給によって発熱する。加熱用電源9は,前記交流電源3と共用してもよい。
【0019】
カンチレバー5内にピエゾ抵抗素子7,ヒータ8を収蔵して一体化するには,例えばメムス技術を用いることができる。
【0020】
ピエゾ抵抗素子7は,カンチレバー5の振動に伴って抵抗素子自体が受けた歪みによってその抵抗値が変化し,それに基づいた電気信号を適宜の回路によって得ることができる。したがって,ピエゾ素子4の励振によってカンチレバー5が振動したときの振動周波数,つまりカンチレバー5の共振周波数をピエゾ抵抗素子7からの信号によって測定することができる。
【0021】
カンチレバー5の振動によるピエゾ抵抗素子7からの抵抗値の変動信号は,信号処理装置11によって,周波数信号に変換され,この信号処理装置11によって観測することができる。したがって本実施の形態では,信号処理装置11は観測装置としても機能している。
【0022】
信号処理装置11からの周波数信号,すなわちカンチレバー5の共振周波数は,処理装置12へと出力される。処理装置12は,例えばパソコン等を使用できる。処理装置12内には,予め調べておいた,カンチレバー5の測定部6に形成される膜の膜厚と,カンチレバー5の共振周波数との関係をデータとして記憶した記憶装置13と,前記信号処理装置11からの共振周波数と,記憶装置13に記憶されたデータとを比較照合する演算装置14とを有している。
【0023】
膜厚測定装置1は以上のような主たる構成を有しており,カンチレバー5の測定部6に対して,例えば蒸着材料の蒸発による蒸着によって膜が形成される場合,時間の経過によって測定部6の表面に膜が堆積していき,膜厚が増大する。このときカンチレバー5の共振周波数も変化することが発明者らの知見によってわかっている。
【0024】
すなわち図2に示したように,例えば膜厚0[nm]のときの共振周波数をf0とすると,膜厚がx[nm]に増大するとそれに伴って共振周波数はf1に変化する。したがって,予めカンチレバー5の例えば測定部6における膜厚と共振周波数との関係を予め求めておくことにより,信号処理装置11で観測された共振周波数と,予め求めた当該関係とを照合することで,測定部6の形成された膜の膜厚を測定することが可能である。したがって,演算装置14において,記憶装置13に記憶されたデータと信号処理装置11からの観測データとを比較照合することで,リアルタイムで測定部6の表面に形成される膜の膜厚や膜厚形成レートなどを測定することができる。
【0025】
また発明者らの知見によれば,膜厚−共振周波数の関係は,膜厚の厚さが増大するに伴って,共振周波数が変化する関係を有するので,形成された膜厚の厚さに関係なく,測定部6表面の膜厚を測定することが可能である。
【0026】
しかもカンチレバー5内にはヒータ8が内蔵され,カンチレバー5の測定部6を加熱することが可能であるので,形成された膜を加熱してこれを蒸発させることができる。したがって,膜種変更の際のクリーニングを省略することができ,全体してのメンテナンスサイクルを長くとることができる。
【0027】
次に前記膜厚測定装置1を用いた蒸着装置について説明する。図3は,第1の実施の形態にかかる蒸着装置31の構成の概略を示しており,この蒸着装置31は,内部に処理空間32aを形成する処理容器32を有している。処理容器32内の上部には,ガイド部材33と,このガイド部材33に沿って適宜の駆動源(図示せず)によって移動する支持部材34が設けられている。支持部材34には,例えば静電チャックなどの基板保持部35が取り付けられており,成膜対象である基板Wは基板保持部35に水平に保持される。処理容器32の側壁32bには,基板Wの搬入出口35が形成されている。搬入出口35にはゲートバルブ36が設けられている。
【0028】
処理容器32の下部には,排気管37に通ずる排気口38が設けられている。排気管37は,ポンプなどの排気手段に通じており,処理容器32内の雰囲気は,この排気口38をから処理容器32外へ排気される。
【0029】
処理容器32内の底部には,蒸着源41が設置されている。この蒸着源41は,蒸着材料Sを収容する容器41aと,容器41aを加熱するヒータ41bを有している。ヒータ41bは,処理容器32外の電源42からの電力の供給によって容器41aを加熱し,蒸着材料Sを気化又は昇華させる。そして気化又は昇華した蒸着材料Sは,処理空間32aに滞留し,基板保持部35に保持された基板Wの表面(下面)に蒸着して,所定の蒸着膜が基板表面に形成される。
【0030】
膜厚測定装置1は,図3に示したように,基板W近傍の基板保持部35に取り付けられる。これによって,測定部6の表面に形成される蒸着膜の膜厚は,基板Wの表面に形成される蒸着膜の膜厚とみなすことができる。そして信号処理装置11,処理装置12を経て得られた測定部6の膜厚は,基板Wの膜厚として制御装置43へと出力される。制御装置43では,そのようにして入力された膜厚信号に基づいて,電源42を制御し,例えば電源のON−OFFやヒータ41bの温度を制御することが可能である。
【0031】
かかる構成を有する蒸着装置31によれば,基板W表面に形成される蒸着膜の膜厚や膜厚形成レート(蒸着レート)をリアルタイムで測定することが可能であり,またそれに基づいて蒸着源41を制御して,基板Wの表面に所定の膜厚の膜を形成することが容易である。しかも前記したように,膜厚測定装置1のメンテナンスサイクルは従来よりも長くなっているので,蒸着装置31の稼働率は向上している。さらにまた従来この種の蒸着装置において使用されてきたレーザなどを使用する光学系の膜厚測定装置と比べると,例えば光学系が汚れるなど処理容器32内の雰囲気によって測定精度が影響を受けることはなく,長期間にわたって正確に測定と,それに基づいた正確な膜厚制御を実施することが可能である。
【0032】
次に膜厚測定装置1を使用した第2の実施の形態にかかる蒸着装置について説明する。図4は,第2の実施の形態にかかる蒸着装置51の構成の概略を示しており,この蒸着装置51は,内部に処理空間52aを形成する処理容器52を有している。処理容器52内の上部には,ガイド部材53と,このガイド部材53に沿って適宜の駆動源(図示せず)によって移動する支持部材54が設けられている。支持部材54には,静電チャックなどの基板保持部55が取り付けられており,成膜対象である基板Wは基板保持部55に水平に保持される。また基板Wの周縁部は,マスク56によって覆われる。処理容器52の側壁32bには,基板Wの搬入出口57が形成されている。搬入出口57にはゲートバルブ58が設けられている。
【0033】
また搬入出口57と基板保持部55との間には,アライメント装置59が設けられている。このアライメント装置59は,X,Y,Z,θ方向に移動可能なステージ59aを備えており,搬入出口57から処理容器52内に搬入された基板Wは,まずこのステージ59aに載置され,そこで所定のアライメントが行われた後,ステージ59aが上昇して,基板保持部55に基板Wが受け渡されるようになっている。
【0034】
本実施の形態にかかる蒸着装置51においては,3台の蒸着源61,62,63を備えている。いずれも同一構成であるから,例えば蒸着源61を例にとって,図5に基づいて説明すると,筒状の本体61a内の下部には,蒸着材料を収容する蒸発皿61bを有し,さらにこの蒸発皿61bの下方には,ヒータ61cを有している。ヒータ61cは,図4に示した電源64からの電力の供給によって発熱し,蒸発皿61bを所定の温度に加熱することが可能である。本体61aの上部には,流路61dを形成する突部61eが設けられている。
【0035】
各蒸着源61,62,63の各流路61d,62d,63dは,誘導路65に通じている。そしてこの誘導路65の一端部上方には,放出口66が設けられている。放出口66は,基板保持部55に保持された基板Wに向けられている。放出口66は,ダンパ67によって開閉可能である。本実施の形態においては,ダンパ67は例えば駆動部材68によって上下に昇降して放出口66を閉鎖,開放するように構成されている。この駆動部材68及び前記した電源64は,制御装置69によって制御されるようになっている。
【0036】
そして本実施の形態においては,膜厚測定装置1は,放出口66の内壁部66aに取り付けられている。また膜厚測定装置1,信号処理装置11,処理装置12を経て得られた膜厚信号は制御装置69へと出力される。制御装置69では,そのようにして入力された膜厚信号に基づいて,電源64を制御し,例えば電源64のON−OFFやヒータ61c,62c、63cの温度を制御することが可能である。また制御装置69は,前記膜厚信号に基づいて駆動部材68を介してダンパ67を制御する。
【0037】
放出口66の先端周囲の雰囲気は,排気路71,72を通じて,図4に示したように,処理容器52内の雰囲気と共に,排気口73から排気管74を通じて,ポンプなどの排気手段75によって,処理容器52の外部へと排気される。また誘導路65内の雰囲気も,ダンパ67の下方の排気路76を通じて,排気口77から,排気管74から処理容器52の外部へと排気されるようになっている。
【0038】
本実施の形態にかかる蒸着装置51は以上のように構成されており,3台の蒸着源61,62,63からの蒸着材料は,各々の流路61d,62d,63dから誘導路65を経て,放出口66から,基板保持部55に保持されている基板Wの表面に放出され,基板Wの表面に所定の膜が形成される。また蒸着装置51は3台の蒸着源61,62,63を備えているので,これらに対応した3種類の蒸着材料の蒸気は誘導路65において混合され,当該3種類の蒸着材料が混合された蒸着膜を基板Wの表面に形成することができる。
【0039】
そして放出口66の内壁66aには,膜厚測定装置1が取り付けられているので,上記3種類の蒸着材料が混合された蒸着膜の膜厚や膜厚形成レートをリアルタイムで測定することが可能であり,またそれに基づいてダンパ67を制御して,基板Wの表面に所定の膜厚の膜を形成することが容易である。また蒸着源61,62,63のヒータ61c,62c,63cを個別に制御して,3種類の蒸着材料の混合比を制御することも可能である。
【0040】
しかも前記したように,膜厚測定装置1のメンテナンスサイクルは従来よりも長くなっているので,蒸着装置51自体の稼働率は向上している。もちろん膜厚測定装置1は光学系の膜厚測定装置ではないので,長期間にわたって正確に測定と,それに基づいた正確な膜厚制御を実施することが可能である。
【0041】
なお蒸着源61,62,63の3種類の蒸着材料の混合比や,各々の蒸着材料の蒸着形成レートを独自に測定して,これを制御するには,各蒸着源61,62,63からの蒸着材料の蒸着膜の形成レートを独立して測定し,これを制御することがより好ましい。それには例えば図6に示した蒸着源61のように,膜厚測定装置1を突部61eに取り付け,流路61d内を流れる蒸着材料の蒸気による蒸着レートを測定すればよい。
【0042】
そして流路61d内を流れる蒸着材料の蒸気の流量を調節する流量調節器61fを流路61dに設け,当該流量調節器61の制御を,前出制御装置69によって行うように構成すればよい。こうすることで,流路61d内を流れる蒸着材料の蒸気による蒸着レートの測定結果に基づいて,流路61d内を流れる蒸着材料の蒸気の流量を制御することが可能である。もちろんヒータ61cについても同様に,流路61d内を流れる蒸気の蒸着レートに基づいて個別に制御するようにしてもよい。
【0043】
なお流路61dは,蒸発皿61b,ヒータ61cに近接しているので,必要に応じて,膜厚測定装置1自体を冷却する冷却装置,例えばペルチェ素子61gを膜厚測定装置1に設けてもよい。
【0044】
その他,図7に示したように,膜厚測定装置1を,各蒸着源61,62,63の流路61d,62d,63dの出口付近に設けて,各蒸着源61,62,63からの膜厚形成レートを測定するようにしてもよい。
【0045】
また図6,図7に示したように構成して,各蒸着源61,62,63からの膜厚形成レートを独立して測定したり,制御する場合でも,混合蒸気による膜形成レートを測定する図5のように,放出口66に膜厚測定装置1を設けてダンパ67を制御する方式を併用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態にかかる膜厚測定装置の構成の概略を示す説明図である。
【図2】膜厚変化に伴う共振周波数の変化を示すグラフである。
【図3】第1の実施の形態にかかる蒸着装置の構成の概略を示す説明図である。
【図4】第2の実施の形態にかかる蒸着装置の構成の概略を示す説明図である。
【図5】図4の蒸着装置における蒸着源付近の拡大説明図である。
【図6】膜厚測定装置を流路に設けた場合の説明図である。
【図7】膜厚測定装置を流路の出口に設けた場合の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 膜厚測定装置
2 支持部
3 交流電源
4 ピエゾ素子
5 カンチレバー
6 測定部
7 ピエゾ抵抗素子
8 ヒータ
11 信号処理装置
12 処理装置
13 記憶装置
14 演算装置
31,51 蒸着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンチレバーに形成される膜の厚さを測定する方法であって,
交流電力の供給によって励振するピエゾ素子によって,当該ピエゾ素子に取り付けられたカンチレバーを振動させてその共振周波数を測定し,
予め求めておいた前記カンチレバーに形成される膜の膜厚とカンチレバーの共振周波数との関係に,前記測定した共振周波数を照合することで,前記カンチレバー表面に形成された膜の膜厚を求めることを特徴とする,膜厚測定方法。
【請求項2】
カンチレバーに形成される膜の厚さを測定する装置であって,
交流電力の供給によって励振するピエゾ素子と,
前記ピエゾ素子に取り付けられたカンチレバーと,
前記カンチレバーに設けられたピエゾ抵抗素子と,
前記ピエゾ抵抗素子が受けた歪みに基づいてカンチレバーの振動周波数を観測する観測装置とを有することを特徴とする,膜厚測定装置。
【請求項3】
前記カンチレバーに形成される膜の膜厚とカンチレバーの共振周波数との関係を記憶した記憶装置と,
前記観測装置で観測された共振周波数と,前記記憶装置に記憶されたデータとを比較照合する演算装置とをさらに有することを特徴とする,請求項2に記載の膜厚測定装置。
【請求項4】
カンチレバーを加熱するヒータをさらに有することを特徴とする,請求項2または3に記載の膜厚測定装置。
【請求項5】
処理容器内で保持された基板に蒸着材料を蒸着する装置であって,
請求項2〜4のいずれかに記載の膜厚測定装置が,前記基板の周辺部に配置されたことを特徴とする,蒸着装置。
【請求項6】
前記膜厚測定装置によって測定された膜厚または膜厚形成レートに基づいて,蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源を制御する制御装置をさらに有することを特徴とする,請求項5に記載の蒸着装置。
【請求項7】
処理容器内で保持された基板に蒸着材料を蒸着する装置であって,
収容部に収容された蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源と,
前記蒸着源から生じた蒸着材料の蒸気を前記基板に向けて誘導する誘導路と,
前記誘導路からの蒸気を基板に向けて放出する放出口と,
前記誘導路を経て前記放出口から放出される蒸着材料の蒸気の流量を制御するダンパと,
前記放出口に設けられた請求項2〜4のいずれかに記載の膜厚測定装置と,
前記膜厚測定装置によって測定された膜厚または膜厚形成レートに基づいて,前記ダンパを制御する制御装置をさらに有することを特徴とする,蒸着装置。
【請求項8】
処理容器内で保持された基板に蒸着材料を蒸着する装置であって,
収容部に収容された蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源と,
前記蒸着源から生じた蒸着材料の蒸気を前記基板に向けて誘導する誘導路と,
前記誘導路からの蒸気を基板に向けて放出する放出口と,
前記蒸着源における前記誘導路へと続く流路に設けられた請求項2〜4のいずれかに記載の膜厚測定装置と,
前記流路を通過する蒸着材料の蒸気の流量を制御する流量調整器と,
前記膜厚測定装置によって測定された膜厚または膜厚形成レートに基づいて,前記流量調整器を制御する制御装置をさらに有することを特徴とする,蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−24814(P2007−24814A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211008(P2005−211008)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】