説明

自動車用座席

【課題】 従来のチャイルドレストレイントシート(CRS)を内蔵する自動車用座席は、バックレストの上層部をホールドダウンしてCRSを使用状態にした時、クッション部となった上層部とクッションとの間に隙間が生じ、幼児が座ると変形するおそれがあった。
【解決手段】 バックレスト40の上層部41を、長手方向の略中央部のヒンジ41dを境に、上部41aと下部41bとに2分割し、上部41aの上端の前方に枕状の突起41cを形成し、上層部41をクッション20上に折り畳んでホールドダウンした状態で、枕状の突起41cが下部41bと上部先端41eとの間の隙間44を充填するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チャイルドレストレイントシート(以下CRSと略称する)を内蔵する自動車用座席に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近CRSに関しては、別体の専用シートを自動車用座席に取り付けるのではなく、CRSを内蔵した自動車用座席が提案されている。その従来例としては、図4,図5に示したものがあった。図4は、バックレスト10を上層部11と、下層部12で構成し、上層部11をバックレスト10から前方にホールドダウンした状態の説明図、図5はバックレスト30の上層部31を上部31aと下部31bに2分割し、これがクッション20の上面に載置された時、成人着座時の表面側を内側にして、上層部31の下部31bの下に上層部31の上部31aを折り返した状態の説明図であるが、クッション20の着座中央部には乗員の臀部に合せた凹部21が形成されているので、図4の場合は、クッション20の凹部21上面との間に、また図5の場合は上層部の下部と上部先端部との間に大きな隙間22が発生していた。図6は従来のCRSを収納した時の斜視図である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、何れの場合も幼児や児童がCRSに着座した時変形するおそれがあった。
【0004】本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、幼児や児童が着座した時変形するおそれのないCRSを内蔵した自動車用座席を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の自動車用座席は、クッションの着座中央部に凹部が形成された座席において、そのバックレストは、下層部と下端に支点を有する上層部とから構成され、前記上層部は長手方向の略中央部のヒンジを境に上部と下部に2分割されており、前記ヒンジを介して上部を下部の前側に折り畳み、かつ前記支点を中心にして前記クッションの上面の凹部上にホールドダウンした状態では、下部と上部先端の間の隙間が充填されるように前記上層部の前方に枕状の突起を設けた上層部が、前記クッションの凹部に載置されてチャイルドレストレイントシートのクッション部を構成すると共に、前記下層部はチャイルドレストレイントシートのバックレスト部を構成し、下層部と上層部の下部背面とにはチャイルドシート用のシートベルトが収納可能に掛け渡されている。
【0006】上層部を折り畳んで、クッション上にホールドダウンした状態では、枕状の突起が上層部の下部と上部先端の間の隙間を埋めるので、クッションの凹部に上層部の上部先端が固定される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下添付図に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1の(a)は本発明の一実施の形態を示すCRSの使用状態を示す斜視図、(b)はCRSの収納状態の斜視図、図2はCRSの収納状態のベンチシートの斜視図、図3は座席の上層部をクッションの凹部に折畳み、ホールドダウンした状態の説明図である。
【0008】図に示すようにクッション20の着座中央部には乗員の臀部に合せた凹部21が形成されている。そして、バックレスト40は、下端に支点43を有する上層部41と下層部42とから成っている。上層部41はホールドダウンした図1及び図3の状態では、CRSのクッション部を形成するもので、上端の前方に枕状の突起41cが形成され、長手方向の略中央には前傾可能なヒンジ41dが配設され、これを境に上部41aと下部41bに2分割されている。そして、図1,図3に示すようにヒンジ41dを介して上部41aを下部上面に折り畳み支点43(図3)を中心にして、クッション20上面にホールドダウンすると、枕状の突起41cにより下部41bと上部41a先端間の隙間44が充填され、クッション20の凹部21に上層部41の上部先端41eが固定され、下部41bに幼児や児童が腰かけても上下の動きが大巾に減少する。
【0009】そして、下層部42はCRSのバックレスト部を形成し、下層部42と上層部41の下部背面とにはCRS用のシートベルト45(図1の(a))がかけ渡され、CRS収納時には下層部42と上層部41の間に格納されるようになっている。図示されてないが、CRSが収納され、大人の乗員が使用するためのシートベルトが具備されていることは勿論である。
【0010】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、下記のような効果を奏するものである。
(1) 上層をホールドダウンした時に、クッションの凹部上面に折畳まれた上部と下部とが枕状の突起を介して動きが大巾に減少されるのでCRSのクッション部に幼児や児童が着座した時に変形がほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すCRSの図で、(a)は使用状態を、(b)は収納状態を示す。
【図2】図1の(b)がベンチシートの場合の斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示し、座席の上層部をクッションの凹部に折畳みホールドダウンした状態の説明図である。
【図4】従来のCRSの一例を示す説明図である。
【図5】従来のCRSの他の例を示す説明図である。
【図6】従来のCRSが収納された状態を示す座席の斜視図で、(a)はセパレートシートを、(b)はベンチシートをそれぞれ示す。
【符号の説明】
20 クッション
21 凹部
40 バックレスト
41 上層部
41a 上部
41b 下部
41c 枕状の突起
41d ヒンジ
41e 上部先端
42 下層部
43 支点
44 隙間
45 シートベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 クッションの着座中央部に凹部が形成された座席において、そのバックレストは、下層部と下端に支点を有する上層部とから構成され、前記上層部は長手方向の略中央部のヒンジを境に上部と下部に2分割されており、前記ヒンジを介して上部を下部の前側に折り畳み、かつ前記支点を中心にして前記クッションの上面の凹部上にホールドダウンした状態では、下部と上部先端の間の隙間が充填されるように前記上層部の前方に枕状の突起を設けた上層部が、前記クッションの凹部に載置されてチャイルドレストレイントシートのクッション部を構成すると共に、前記下層部はチャイルドレストレイントシートのバックレスト部を構成し、下層部と上層部の下部背面とにはチャイルドシート用のシートベルトが収納可能に掛け渡されていることを特徴とする自動車用座席。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−118277(P2000−118277A)
【公開日】平成12年4月25日(2000.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−289778
【出願日】平成10年10月12日(1998.10.12)
【出願人】(000210089)池田物産株式会社 (10)
【出願人】(000004640)日本発条株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】