自然斜面安定化工法
【課題】土砂流出防止を有効に図ることが可能でかつ自然斜面にマッチする自然斜面安定化工法を提供する。
【解決手段】自然斜面に設置した各アンカー1の頭部に支圧部材2を取り付けこれを締着しアンカー1間をワイヤロープ3で連結する自然斜面安定化工法において、ワイヤロープ3に沿って土砂流出防止のための間伐材11を配置し地面に保持する。間伐材11は、土砂流出防止作用の上で適切な外径や長さや重量のものを容易に入手でき、かつ、景観的に自然斜面に違和感なくマッチする。
【解決手段】自然斜面に設置した各アンカー1の頭部に支圧部材2を取り付けこれを締着しアンカー1間をワイヤロープ3で連結する自然斜面安定化工法において、ワイヤロープ3に沿って土砂流出防止のための間伐材11を配置し地面に保持する。間伐材11は、土砂流出防止作用の上で適切な外径や長さや重量のものを容易に入手でき、かつ、景観的に自然斜面に違和感なくマッチする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数のアンカーとアンカー頭部に取り付ける支圧部材とアンカー頭部間を連結するロープとで斜面の安定化を図る自然斜面安定化工法に関し、特に、表層土砂の流出防止を有効に図ることができる自然斜面安定化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をワイヤロープで連結する自然斜面安定化工法は、樹木を残して斜面安定化を図ることができるので、斜面にコンクリートやモルタルによる格子状の枠を設置するのり枠工法と比較して、環境保全、景観等の点で自然斜面の安定化工法として優れている。
しかし、このアンカーと支圧部材とワイヤロープとによる自然斜面安定化工法(単に斜面安定化工法という)は、斜面上の樹木や草などの自生している植物を残す工法なので、植物がある斜面では土砂の流出を防止することができるが、のり枠工法のように斜面を構造物で仕切るものではないので、部分的にでも植物がない斜面では表層土砂の流出を防止する効果が低い点が弱点である。この場合、支圧部材の補強用リブやワイヤロープが表層土砂の流出防止に若干寄与するが、これらでは一定以上の土砂を捕捉することは難しい。
【0003】
この種の斜面安定化工法において土砂流出を防止するために、本願出願人は先に、ワイヤロープに土砂流出防止部材を取り付ける工法を特許出願している(特許文献1)。この特許文献1では、土砂流出防止部材の実施例として、例えば、ロープに嵌め込むためのスリットを設けた円板状のもの、鉄線により目の粗い筒状網としてかつロープに嵌め込むためのスリットを設けたもの、矩形板に多数のスリットを設けて櫛歯状にし歯の隙間にてロープに取り付けるもの等を開示している。
【特許文献1】特開2004−324348の図3、図4、図9等。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では上記のように土砂流出防止のための種々の構造が提案されているが、土砂流出防止効果をさらに高めるとともに自然斜面にマッチしたものとすることが望まれる。
本発明は上記背景の下になされたもので、アンカーと支圧部材とロープとで自然斜面の安定化を図る自然斜面安定化工法において、土砂流出防止を有効に図ることができるとともに、そのための土砂流出防止部材が自然斜面にマッチする自然斜面安定化工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明は、斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持することを特徴とする。
【0006】
請求項2は、請求項1の自然斜面安定化工法において、間伐材をロープの概ね上側に配置したことを特徴とする。
【0007】
請求項3は、請求項1の自然斜面安定化工法において、間伐材をロープの上側及び下側に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項1〜3の自然斜面安定化工法において、間伐材を地面に保持する手段として、水平に張り出した頭部を持つピンを、前記頭部で間伐材の上面を押さえる態様で地面に差し込んだことを特徴とする。
【0009】
請求項5は、請求項4の自然斜面安定化工法において、前記ピンを、当該ピンと間伐材との間にロープが位置するように地面に差し込んだことを特徴とする。
【0010】
請求項6は、請求項1〜3の自然斜面安定化工法において、間伐材を地面に保持する手段として、間伐材を貫通するピンを地面に差し込んだことを特徴とする。
【0011】
請求項7は、請求項1〜4又は6の自然斜面安定化工法において、間伐材を地面に保持する手段として、間伐材の下面側に間伐材長さ方向の溝を形成し、この溝にロープを収容したことを特徴とする。
【0012】
請求項8は、請求項1〜7の自然斜面安定化工法において、アンカーの配列を隣接する3本のアンカーが三角形をなすような配列とするとともに、三角形をなす3本のアンカー毎に1本のロープを廻らせてアンカー間を連結することを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付け、これを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持して、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にするように間伐材と係合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自然斜面安定化工法を施工する場合、アンカー間隔を例えば2m程度にすることが多い。また、土砂流出防止のための部材をロープに沿わせる場合、ある程度の高さを持たせることが土砂流出防止作用に有効である。
これに対して間伐材は、2m弱の長さで外径約100mmなどのある程度の太さのものが多数容易に手に入るので、ロープに沿わせる土砂流出防止部材として極めて適切である。また、間伐材を現地で入手できる場合が多々あり、そのように現地調達できる場合は、搬送コストも要せず、安価に施工できる。また、間伐材は現場で任意に切断して、長さを調整することが可能なので、多様な現場状況に容易に対応することができ、施工性がよい。
また、自然斜面の表層は柔らかいので、ある程度重量を持つ間伐材は、通常ある程度の凹凸のある自然斜面に置いた時に地面によく馴染み、この点でもロープに沿わせる土砂流出防止部材として好適である。
また、自然斜面に木の幹が横たわっているのはよくある光景であり、金属製の土砂流出防止部材と比較して、間伐材は自然斜面に違和感なくマッチする。
【0015】
請求項2のように、ロープに沿って間伐材を配置する手段として、間伐材をロープの上側に取り付けることは、ロープは概ね地面に這っているので、無理のない自然な配置となる。
【0016】
請求項3のように間伐材をロープの上側及び下側の両方に取り付ける場合は、隣接するアンカーの中間部分に、ある程度の深さの窪みがある場合であり、その窪みを下側の間伐材で埋めることができ、そのような窪みのある斜面に設置する場合に、窪み部分からの土砂流出を有効に防止できる。
【0017】
請求項4のように、水平に張り出した頭部を持つピンを、その頭部で間伐材の上面を押さえる態様で地面に差し込む方法によれば、間伐材を簡単に地面に保持できる。
【0018】
請求項5のように、ピンを当該ピンと間伐材との間にロープが位置するように地面に差し込む方法によれば、間伐材がピンの存在でロープによっても拘束されることになるので、間伐材をロープに沿って地面に保持する簡単に手段として適切である。
【0019】
請求項6のように、間伐材を貫通するピンを地面に差し込む方法によれば、簡単かつ確実に間伐材を地面に保持できる。
【0020】
請求項7にように、間伐材の下面側に間伐材長さ方向の溝を形成し、この溝にロープを収容する方法によれば、間伐材がロープに確実に係合する状態となるので、間伐材を確実にロープに沿って地面に保持する手段として適切である。
【0021】
請求項8では、アンカーの配列が三角形配列でありロープが三角形の各辺を形成するパターンであるが、この三角形パターンでは、斜面傾斜方向と水平方向との縦横にロープを張った四角形パターンの場合と比較すると、ロープに土砂流出防止を図り易い向き(斜面傾斜方向に対して角度を持つ向き)の部分を多くすることができる。したがって、斜面全体として、ロープに沿って配置した間伐材の土砂流出防止効果を高くすることができる。
【0022】
請求項9のように、ロープを、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にするように間伐材と係合させると、降雨、地震の際の土砂流下を有効に防止できる。また、降雨、地震の際に限らず、経年により低下しがちなロープの張力を補うことになり、ロープの斜面安定化作用の点で好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の斜面安定化工法の実施例を、図1〜図18参照して説明する。
【実施例1】
【0024】
図1(イ)は本発明の一実施形態の土砂流出抑制の斜面安定化工法を施工した斜面の平面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図、図2は図1の一部分の拡大図である。これらの図に示すように、この斜面安定化工法は、斜面に多数のアンカー1を設置するとともに、各アンカー1の頭部に支圧部材2を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー1の頭部間をロープ例えばワイヤロープ3で連結する斜面安定化工法である。
【0025】
アンカー頭部の詳細構造を説明すると、図3に示すように、支圧部材2は、鋼板製で、中心にアンカー挿通穴を持つ底板6に筒体7を垂直に固定し、底板6と筒体7との間に、ワイヤロープ3を通すための切り欠き8aを設けた補強リブ8を溶接固定した構造であり、この支圧部材2を地盤に打設したアンカー1の頭部に配置し、ワッシャプレート9を介してナット10をアンカー頭部のネジ部1aに螺合させ締め付けることで、地盤に対する支圧力を得る。
この実施例は、アンカー1の配列を、隣接する3本のアンカー1が三角形をなすような配列とするとともに、三角形をなす3本のアンカー1毎に1本のワイヤロープ3を廻らせてアンカー1間を連結するものである。ワイヤロープ3は具体的には、支圧部材2の補強リブ8の切り欠き8aを通して、筒体7の外周に接触する。隣接するアンカー1間の間隔は例えば2m程度である。
【0026】
本発明では、図4に拡大して示すように、前記ワイヤロープ3に沿って土砂流出防止のための間伐材11を配置し地面に保持する。間伐材11として、例えば外径100mm程度で長さ1.5m程度のものを用いることができる。間伐材11を地面に保持する手段として、水平に張り出した頭部を持つピンを用いるとよい。図示例では、逆L字形に屈曲させたその先端を下向きに折り返した下向きコ字形の頭部12aを持つ間伐材保持用のピン12を地面に差し込んでその頭部12aで間伐材11の上面を押さえている。頭部12aの折り返し部を12bで示す。その際、間伐材11をワイヤロープ3の斜面上方側(図4(ロ)で右側)に配置して、当該ピン12と間伐材11と地面の間の隙間にワイヤロープ3が位置するようにしている。これにより、間伐材11はピン12の存在でワイヤロープ3によっても拘束されることになる。この場合、間伐材11はワイヤロープ3の真上ではないが概ね上側である。図示例では間伐材11の長さ方向両側の2箇所においてピン12で保持している。
【0027】
上記のようにワイヤロープ3に沿って配置保持した間伐材11は、図7に示すように、斜面の上方から下方に流出しようとする土砂14を止めて、当該間伐材11の斜面上方側に堆積させる。ワイヤロープ3は、地面に這わずに地面から若干浮いた状態となる場合もあるので、図示のように間伐材11をワイヤロープ3の斜面上方側に配置すると、間伐材11が土砂から受ける斜面傾斜方向下向きの力を、ピン12とともにワイヤロープ3が受け止めることになり、両者を一体化させるために有効である。その場合、間伐材11が土砂から受ける斜面傾斜方向下向きの力はワイヤロープ3の張力を高める作用をする(土砂の流下を止める間伐材で押されてワイヤロープ3の張力が増加する)ので、経年により低下しがちなワイヤロープ3の張力を補うことになり、ワイヤロープ3の斜面安定化作用の点で好ましい。
なお、ワイヤロープ3を間伐材11と係合させるに当たって、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にする程度に一体化した状態で、ロープを間伐材と係合させると、降雨、地震の際の土砂流下を有効に防止できる。そのようにロープと間伐材とを一体化させる手段としては、後述する図10のようにロープ3を間伐材11の溝11aに収容する係合構造、あるいは、図14のように鉄線17で両者3、11を結束する係合構造、その他種々の方法が考えられる。
【0028】
自然斜面に土砂流出防止部材を配置する場合、土砂流出防止作用のための高さとして例えば高さ100mm程度とするのは適切であるが、外径100mm程度の間伐材11は容易に入手できるので、土砂流出防止部材の高さの確保が容易なものとして、間伐材11は適切である。また、長さについても、アンカー間隔を例えば2mとした場合、ワイヤロープ3に沿って配置する間伐材11の長さは2m弱となるが、2m弱程度の間伐材11は容易に入手できるので、この点でも、間伐材11は土砂流出防止部材として適切である。但し、間伐材11の外径及び長さは特に限定されない。なお、間伐材11の長さは、アンカー間隔の全長に亘るものである必要はなく、斜面の状況によって長さを適切に設定する。
また、自然斜面の表層は柔らかいので、適度に重量を持つ間伐材11は斜面に置いた時に地面によく馴染み、この点でもワイヤロープ3に沿わせる土砂流出防止部材として好適である。
また、自然斜面に木の幹が横たわっているのはよくある光景であり、金属製の土砂流出防止部材と比較して、間伐材11は自然斜面に違和感なくマッチするので、この点でも自然斜面に設置する土砂流出防止部材として好適である。
上記のように、ワイヤロープ3に沿って地面に配置し保持する土砂流出防止部材として、間伐材11は、土砂流出防止作用の面で外径や長さが適切であり、かつ自然斜面に置くものとして重量的にも適切であり、さらに、景観的に自然斜面に違和感なくマッチするものであり、しかも、その入手が極めて容易である。
また、斜面の保守等で作業者等が当該施工斜面に立ち入る際、目立たないワイヤロープ3に足を引っ掛けることも生じやすいが、ワイヤロープ3に沿って間伐材11を配置すると、間伐材11が目立つので、特に注意を払わなくても足を引っ掛けることを防止できる。これは本発明工法を施工する作業時についても言える。また、ワイヤロープ3が地面から浮いている場合に特に足を引っ掛け易いが、間伐材11がワイヤロープ3を地面に付けるので、間伐材11の両側にワイヤロープ3のみが伸びている部分での、足の引っ掛け防止に有効である。
【0029】
間伐材11を配置するのは土砂流出防止の目的であるから、三角形をなすワイヤロープ3の縦の部分(斜面傾斜方向の辺)に沿って間伐材11を配置する必要性は、斜めの部分(斜面傾斜方向に対して角度を持つ辺)に沿って配置する場合と比べると、少ない。したがって、実施例のように間伐材11を、三角形をなすワイヤロープ3の縦・斜めのすべての部分に配置する場合に限らず、ワイヤロープ3の縦の部分の一部又は全部について、間伐材11の配置を省略してもよい。なお、ワイヤロープ3の斜めの部分についても、必ずしもすべてに間伐材11を配置する場合に限定されない。
【0030】
この実施例はワイヤロープ3が三角形網目を形成するパターンなので、次に述べるように、ワイヤロープ3を縦横の格子状に配列して四角形網目を形成するパターンとする場合と比較して、間伐材11をワイヤロープ3に沿って配置するメリットは大きい。
上記のように、間伐材11を配置するのは土砂流出防止の目的であるから、ワイヤロープ3の斜面傾斜方向の部分については間伐材11を配置する必要性は薄い。したがって、ワイヤロープ3が図示例の三角形網目パターンの場合は、土砂流出防止に大きく寄与する間伐材11は三角形の3辺のうちの2辺に配置した間伐材11であり、全体の3分の2である。
これに対して、ワイヤロープを縦横の格子状で四角形網目パターンとする場合は、土砂流出防止に大きく寄与する間伐材は四角形の4辺のうちの2辺に配置した間伐材であり、全体の2分の1である。
したがって、ワイヤロープ3を三角形網目パターンとする実施例の場合は、ワイヤロープを四角形網目パターンとする場合と比較して、土砂流出防止に寄与する部分の割合(網目の辺の全体に対する土砂流出防止に寄与する辺の割合)が大きい。土砂流出防止に寄与する部分の割合が大きいこと自体は間伐材を用いるか用いないかの問題とは直接関係はないが、間伐材11の土砂流出防止その他の効果が大であることを考慮した場合、ワイヤロープ3を三角形網目パターンとする場合に、本発明の効果が大きく達成される。
【実施例2】
【0031】
図5に斜面のワイヤロープ位置に窪み13がある場合の実施例を示す。この場合、間伐材11をワイヤロープ3の上側だけでなく下側にも配置して、上下の間伐材11を一体に地面に保持する。
図示例では、前記実施例と同様に、下向きコ字形の頭部12aを持つ間伐材保持用のピン12を地面に差し込んでその頭部12aで間伐材11の上面を押さえて、間伐材11を地面に保持している。なお、ピン12の下向きコ字形の頭部12aの折り返し部12bは、2点鎖線で示したように、下側の間伐材11に届くように長くしてもよい。ワイヤロープ3は上下の間伐材11とピン12との間に形成される隙間に配されている。
【0032】
この実施例では、下側の間伐材11がワイヤロープ3の下方空間を占める。すなわち、図8に示すように、間伐材11が部分的に窪み13を埋めることになる。したがって、窪み13が存在することによる土砂流出防止機能喪失を回避できる。当初は下側の間伐材11が土砂流出を防止し、窪み13が埋まる段階になってからは、上側の間伐材11が土砂流出を防止して、上下の間伐材11が土砂14を堆積させる。
なお、図8では窪み13を、斜面傾斜方向に短い局所的な窪み13として図示したが、斜面傾斜方向に長く伸びる溝的な窪みの場合でも当然同様な作用をする。
【実施例3】
【0033】
図5の実施例ではワイヤロープ位置の窪み13の底面が概ね平坦であるとして示したが、図6に示すように底面が湾曲している場合もある。この場合、下側の間伐材11の下方に隙間16が生じるが、このような場合にも、隙間16を何らかの手段で埋める方法、あるいは単にそのままとする方法で、やはり土砂流出防止を図ることは可能である。
すなわち、例えば、施工時に隙間16を土で埋めたり、板材その他の別部材で隙間16を遮断したりすることで、当然、土砂流出防止機能喪失を回避できる。また、その隙間16のままとしても、隙間16が狭いものであれば影響は小さいし、隙間16が若干広くても、間伐材11が沈んだり、隙間16が土砂や落ち葉や小枝等で埋まる等、種々の原因で隙間がなくなったり狭くなったりすることも考えられるので、隙間16があるままとすることも考えられる。図9(イ)はそのような場合に上下の間伐材11が土砂14を堆積させる状況を示す。
また、間伐材は現地で簡単に切断することができるので、下側の間伐材を切断して短くすることで、図9(ロ)に示すように、短くした下側の間伐材11と湾曲した底面との間の隙間16が小さくなり或いはなくなるように設置することも可能である。
【実施例4】
【0034】
上述の実施例ではワイヤロープ3を間伐材11に外周面に配したが、図10(イ)、(ロ)に示すように、間伐材11の下面に間伐材長さ方向の溝11aを形成し、この溝11aにワイヤロープ3を収容してもよい。
これにより、ワイヤロープ3に確実に係合する状態となるので、間伐材11を確実にワイヤロープ3に沿って地面に保持する手段として適切である。
なお、図10(ロ)のように上下に間伐材11を重ねる場合には特に、ワイヤロープ3を上下の間伐材11と一体化するために有効である。
【実施例5】
【0035】
間伐材11を地面に保持するためのピンの変形例を図11(イ)、(ロ)、(ハ)に示す。
図11(イ)に示したピン12は頭部12aを単に逆L字形に屈曲させたもの(折り返し部のない形状)である。ピン12を図示のように間伐材11の斜面下方側(図11(イ)で左側)に差し込んだ場合は、ピン12が間伐材11の斜面下方への移動を拘束するとともに、間伐材11が斜面上方に移動することは概ねないので、折り返し部のない単なる逆L字形としても問題はない。
また、図11(ロ)に示すように、ピン12の頭部12aを略円形断面の間伐材11の外周面に沿う円弧状にしてもよい。これにより、間伐材11の保持が単なる逆L字形の場合より確実になり、間伐材11の移動を防止できる。
また、図11(ハ)に示すように、頭部12aが下向きコ字形をなす場合に、折り返し部12bを長くして、この折り返し部12bも地面に差し込むようにしてもよい。これにより、間伐材11の保持がさらに確実になり、間伐材11の移動を防止できる。
【実施例6】
【0036】
上述の各実施例はピン12を間伐材11の横に差し込んでその頭部12aで間伐材11を保持するものであるが、図12(イ)、(ロ)に示すように、間伐材11を貫通する貫通ピン15を地面に差し込んで、間伐材11を地面に保持してもよい。
この貫通ピン15による方法は、図12(ロ)のように上下に間伐材11を重ねる場合に、両者を堅固に一体化できるので、そのような場合に特に適切である。
図示例の貫通ピン15は逆L字形の頭部15aを有するので、抜け止めが図られるものとなっているが、頭部に抜け止めのない単なる直線状の貫通ピンであってもよい。
その場合でも、間伐材11の斜面傾斜方向の移動を拘束できれば充分なので、特に問題はない。また、場合によっては貫通ピン15を抜かずに間伐材11だけを取り替えることも可能である。
【実施例7】
【0037】
図13に示した実施例は、間伐材11の下面に設けた溝11aにワイヤロープ3を収容するとともに、間伐材11を貫通する貫通ピン15を地面に差し込んで、間伐材11を地面に保持するものである。すなわち、図10の実施例と図12の実施例との両者の考えを採用したものである。この場合、溝11aの幅を広くして、貫通ピン15がワイヤロープ3と干渉しないようにするとよい。また、溝を間伐材11の幅方向中央位置からずらして貫通ピン15が溝を貫通しないようにしてもよい。
【実施例8】
【0038】
また、図14に示すように、間伐材11とワイヤロープ3とを鉄線17などで結束して、間伐材11をワイヤロープ3に係合させる簡便な方法を採用してもよい。アンカー1に連結されたワイヤロープ3は移動しないので、間伐材11はこのワイヤロープ3を介して地面に保持される。
【実施例9】
【0039】
上述の各実施例ではいずれも間伐材を横方向には1本のみ配置しているが、図15に示すように、2本の間伐材11をワイヤロープ3を挟み込むように横並びに配置することもできる。この場合、図示のように、両側に張り出した腕部22aを持つT字形のピン22を地盤に差し込み、ピン22の両側の腕部22aで間伐材11を押さえるようにして、ワイヤロープ3とともに地面に保持することができる。
【実施例10】
【0040】
実施例は1本のワイヤロープ3で三角形配置の3本のアンカー間を連結するものであるが、その場合に、ワイヤロープ3の三角形に閉ざす端部は通常、図16に簡略化して示したようにターンバックル18を介して連結する。そこで、ターバックル18に連結するためにワイヤロープ3の端部に設けた止め輪3aを通して、地面にピン12を差し込んでもよい。ピン12は両端の止め輪3aの一方又は両方のいずれでもよい。
【実施例11】
【0041】
上述の各実施例は、アンカー1の配列が三角形配列でワイヤロープ3が三角形網目を形成する場合であり、本発明は前述の通りこのような場合に適切であるが、図17に示すように、アンカー1間を連結するワイヤロープ23が、縦方向(斜面傾斜方向)のワイヤロープ23aとこれと直角な横方向(水平方向)のワイヤロープ23bとで格子状をなし四角形網目を形成する場合にも適用できる。図示の支圧部材2は円形である。
この場合、間伐材11は図示例のようにワイヤロープ23の縦横すべての部分に沿って配置する場合に限らず、縦方向の一部又は全部について間伐材11を省略してもよい。横方向についても、必ずしもすべてに間伐材11を配置する場合に限定されない。
【実施例12】
【0042】
図18は斜面に予め金網等のネット20を敷設する場合の実施例である。ネット20はアンカー1に係合させる。アンカー1、支圧部材2及びワイヤロープ3の施工については、前述の実施例と同様である。
この実施例では、ネット20の上から間伐材11を配置し地面に保持する。
間伐材11は前述と同様に土砂流出防止の作用を奏する。
なお、図18の実施例で、ワイヤロープ3を省略する場合も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例の斜面安定化工法を施工した斜面を示すもので、(イ)は斜面の一部分の平面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図2】図1(イ)の一部分の拡大図である。
【図3】図1における1箇所のアンカー頭部近傍の詳細構造を示した断面図である。
【図4】(イ)は図2のB−B断面図、(ロ)は図2のC−C断面図である(但し、図面では斜面を水平に図示している)。
【図5】間伐材をロープの上下に取り付ける実施例を示すもので、(イ)は図4(イ)に対応する図、(ロ)は図4(ロ)に対応する図である。
【図6】間伐材をロープの上下に取り付ける実施例で斜面の窪みが異なる態様の場合を示すもので、(イ)は図5(イ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図7】図4の実施例において間伐材が土砂流出を防止する状況を説明する図である(なお、図4等と異なり、斜面を傾けて図示している)。
【図8】図5の実施例において間伐材が土砂流出を防止する状況を説明する図である。
【図9】(イ)は図6の実施例において間伐材が土砂流出を防止する状況を説明する図、(ロ)は図6の実施例における下側の間伐材を短くする場合を示す図である。
【図10】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図11】間伐材を地面に保持するためのピンの変形例を示すもので、(イ)、(ロ)、(ハ)はそれぞれ異なる変形例を示す。
【図12】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図13】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図14】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図15】2本の間伐材を横並びに配置する場合の実施例を示す図である。
【図16】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、ロープを連結する部分のロープ止め輪を利用することを示す図である。
【図17】本発明のさらに他の実施例を示すもので、アンカー配列を格子状にしてロープが四角形網目を形成する場合を示す。
【図18】本発明のさらに他の実施例を示すもので、予めネットを布設した場合を示す。
【符号の説明】
【0044】
1 アンカー
2 支圧部材
3 ワイヤロープ(ロープ)
3a 止め輪
11 間伐材
11a 溝
12 ピン
12a 頭部
12b 折り返し部
13 窪み
14 土砂
15 ピン(貫通ピン)
16 隙間
17 鉄線
18 ターンバックル
20 ネット
22 ピン
22a 腕部
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数のアンカーとアンカー頭部に取り付ける支圧部材とアンカー頭部間を連結するロープとで斜面の安定化を図る自然斜面安定化工法に関し、特に、表層土砂の流出防止を有効に図ることができる自然斜面安定化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をワイヤロープで連結する自然斜面安定化工法は、樹木を残して斜面安定化を図ることができるので、斜面にコンクリートやモルタルによる格子状の枠を設置するのり枠工法と比較して、環境保全、景観等の点で自然斜面の安定化工法として優れている。
しかし、このアンカーと支圧部材とワイヤロープとによる自然斜面安定化工法(単に斜面安定化工法という)は、斜面上の樹木や草などの自生している植物を残す工法なので、植物がある斜面では土砂の流出を防止することができるが、のり枠工法のように斜面を構造物で仕切るものではないので、部分的にでも植物がない斜面では表層土砂の流出を防止する効果が低い点が弱点である。この場合、支圧部材の補強用リブやワイヤロープが表層土砂の流出防止に若干寄与するが、これらでは一定以上の土砂を捕捉することは難しい。
【0003】
この種の斜面安定化工法において土砂流出を防止するために、本願出願人は先に、ワイヤロープに土砂流出防止部材を取り付ける工法を特許出願している(特許文献1)。この特許文献1では、土砂流出防止部材の実施例として、例えば、ロープに嵌め込むためのスリットを設けた円板状のもの、鉄線により目の粗い筒状網としてかつロープに嵌め込むためのスリットを設けたもの、矩形板に多数のスリットを設けて櫛歯状にし歯の隙間にてロープに取り付けるもの等を開示している。
【特許文献1】特開2004−324348の図3、図4、図9等。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では上記のように土砂流出防止のための種々の構造が提案されているが、土砂流出防止効果をさらに高めるとともに自然斜面にマッチしたものとすることが望まれる。
本発明は上記背景の下になされたもので、アンカーと支圧部材とロープとで自然斜面の安定化を図る自然斜面安定化工法において、土砂流出防止を有効に図ることができるとともに、そのための土砂流出防止部材が自然斜面にマッチする自然斜面安定化工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明は、斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持することを特徴とする。
【0006】
請求項2は、請求項1の自然斜面安定化工法において、間伐材をロープの概ね上側に配置したことを特徴とする。
【0007】
請求項3は、請求項1の自然斜面安定化工法において、間伐材をロープの上側及び下側に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項1〜3の自然斜面安定化工法において、間伐材を地面に保持する手段として、水平に張り出した頭部を持つピンを、前記頭部で間伐材の上面を押さえる態様で地面に差し込んだことを特徴とする。
【0009】
請求項5は、請求項4の自然斜面安定化工法において、前記ピンを、当該ピンと間伐材との間にロープが位置するように地面に差し込んだことを特徴とする。
【0010】
請求項6は、請求項1〜3の自然斜面安定化工法において、間伐材を地面に保持する手段として、間伐材を貫通するピンを地面に差し込んだことを特徴とする。
【0011】
請求項7は、請求項1〜4又は6の自然斜面安定化工法において、間伐材を地面に保持する手段として、間伐材の下面側に間伐材長さ方向の溝を形成し、この溝にロープを収容したことを特徴とする。
【0012】
請求項8は、請求項1〜7の自然斜面安定化工法において、アンカーの配列を隣接する3本のアンカーが三角形をなすような配列とするとともに、三角形をなす3本のアンカー毎に1本のロープを廻らせてアンカー間を連結することを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付け、これを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持して、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にするように間伐材と係合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自然斜面安定化工法を施工する場合、アンカー間隔を例えば2m程度にすることが多い。また、土砂流出防止のための部材をロープに沿わせる場合、ある程度の高さを持たせることが土砂流出防止作用に有効である。
これに対して間伐材は、2m弱の長さで外径約100mmなどのある程度の太さのものが多数容易に手に入るので、ロープに沿わせる土砂流出防止部材として極めて適切である。また、間伐材を現地で入手できる場合が多々あり、そのように現地調達できる場合は、搬送コストも要せず、安価に施工できる。また、間伐材は現場で任意に切断して、長さを調整することが可能なので、多様な現場状況に容易に対応することができ、施工性がよい。
また、自然斜面の表層は柔らかいので、ある程度重量を持つ間伐材は、通常ある程度の凹凸のある自然斜面に置いた時に地面によく馴染み、この点でもロープに沿わせる土砂流出防止部材として好適である。
また、自然斜面に木の幹が横たわっているのはよくある光景であり、金属製の土砂流出防止部材と比較して、間伐材は自然斜面に違和感なくマッチする。
【0015】
請求項2のように、ロープに沿って間伐材を配置する手段として、間伐材をロープの上側に取り付けることは、ロープは概ね地面に這っているので、無理のない自然な配置となる。
【0016】
請求項3のように間伐材をロープの上側及び下側の両方に取り付ける場合は、隣接するアンカーの中間部分に、ある程度の深さの窪みがある場合であり、その窪みを下側の間伐材で埋めることができ、そのような窪みのある斜面に設置する場合に、窪み部分からの土砂流出を有効に防止できる。
【0017】
請求項4のように、水平に張り出した頭部を持つピンを、その頭部で間伐材の上面を押さえる態様で地面に差し込む方法によれば、間伐材を簡単に地面に保持できる。
【0018】
請求項5のように、ピンを当該ピンと間伐材との間にロープが位置するように地面に差し込む方法によれば、間伐材がピンの存在でロープによっても拘束されることになるので、間伐材をロープに沿って地面に保持する簡単に手段として適切である。
【0019】
請求項6のように、間伐材を貫通するピンを地面に差し込む方法によれば、簡単かつ確実に間伐材を地面に保持できる。
【0020】
請求項7にように、間伐材の下面側に間伐材長さ方向の溝を形成し、この溝にロープを収容する方法によれば、間伐材がロープに確実に係合する状態となるので、間伐材を確実にロープに沿って地面に保持する手段として適切である。
【0021】
請求項8では、アンカーの配列が三角形配列でありロープが三角形の各辺を形成するパターンであるが、この三角形パターンでは、斜面傾斜方向と水平方向との縦横にロープを張った四角形パターンの場合と比較すると、ロープに土砂流出防止を図り易い向き(斜面傾斜方向に対して角度を持つ向き)の部分を多くすることができる。したがって、斜面全体として、ロープに沿って配置した間伐材の土砂流出防止効果を高くすることができる。
【0022】
請求項9のように、ロープを、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にするように間伐材と係合させると、降雨、地震の際の土砂流下を有効に防止できる。また、降雨、地震の際に限らず、経年により低下しがちなロープの張力を補うことになり、ロープの斜面安定化作用の点で好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の斜面安定化工法の実施例を、図1〜図18参照して説明する。
【実施例1】
【0024】
図1(イ)は本発明の一実施形態の土砂流出抑制の斜面安定化工法を施工した斜面の平面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図、図2は図1の一部分の拡大図である。これらの図に示すように、この斜面安定化工法は、斜面に多数のアンカー1を設置するとともに、各アンカー1の頭部に支圧部材2を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー1の頭部間をロープ例えばワイヤロープ3で連結する斜面安定化工法である。
【0025】
アンカー頭部の詳細構造を説明すると、図3に示すように、支圧部材2は、鋼板製で、中心にアンカー挿通穴を持つ底板6に筒体7を垂直に固定し、底板6と筒体7との間に、ワイヤロープ3を通すための切り欠き8aを設けた補強リブ8を溶接固定した構造であり、この支圧部材2を地盤に打設したアンカー1の頭部に配置し、ワッシャプレート9を介してナット10をアンカー頭部のネジ部1aに螺合させ締め付けることで、地盤に対する支圧力を得る。
この実施例は、アンカー1の配列を、隣接する3本のアンカー1が三角形をなすような配列とするとともに、三角形をなす3本のアンカー1毎に1本のワイヤロープ3を廻らせてアンカー1間を連結するものである。ワイヤロープ3は具体的には、支圧部材2の補強リブ8の切り欠き8aを通して、筒体7の外周に接触する。隣接するアンカー1間の間隔は例えば2m程度である。
【0026】
本発明では、図4に拡大して示すように、前記ワイヤロープ3に沿って土砂流出防止のための間伐材11を配置し地面に保持する。間伐材11として、例えば外径100mm程度で長さ1.5m程度のものを用いることができる。間伐材11を地面に保持する手段として、水平に張り出した頭部を持つピンを用いるとよい。図示例では、逆L字形に屈曲させたその先端を下向きに折り返した下向きコ字形の頭部12aを持つ間伐材保持用のピン12を地面に差し込んでその頭部12aで間伐材11の上面を押さえている。頭部12aの折り返し部を12bで示す。その際、間伐材11をワイヤロープ3の斜面上方側(図4(ロ)で右側)に配置して、当該ピン12と間伐材11と地面の間の隙間にワイヤロープ3が位置するようにしている。これにより、間伐材11はピン12の存在でワイヤロープ3によっても拘束されることになる。この場合、間伐材11はワイヤロープ3の真上ではないが概ね上側である。図示例では間伐材11の長さ方向両側の2箇所においてピン12で保持している。
【0027】
上記のようにワイヤロープ3に沿って配置保持した間伐材11は、図7に示すように、斜面の上方から下方に流出しようとする土砂14を止めて、当該間伐材11の斜面上方側に堆積させる。ワイヤロープ3は、地面に這わずに地面から若干浮いた状態となる場合もあるので、図示のように間伐材11をワイヤロープ3の斜面上方側に配置すると、間伐材11が土砂から受ける斜面傾斜方向下向きの力を、ピン12とともにワイヤロープ3が受け止めることになり、両者を一体化させるために有効である。その場合、間伐材11が土砂から受ける斜面傾斜方向下向きの力はワイヤロープ3の張力を高める作用をする(土砂の流下を止める間伐材で押されてワイヤロープ3の張力が増加する)ので、経年により低下しがちなワイヤロープ3の張力を補うことになり、ワイヤロープ3の斜面安定化作用の点で好ましい。
なお、ワイヤロープ3を間伐材11と係合させるに当たって、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にする程度に一体化した状態で、ロープを間伐材と係合させると、降雨、地震の際の土砂流下を有効に防止できる。そのようにロープと間伐材とを一体化させる手段としては、後述する図10のようにロープ3を間伐材11の溝11aに収容する係合構造、あるいは、図14のように鉄線17で両者3、11を結束する係合構造、その他種々の方法が考えられる。
【0028】
自然斜面に土砂流出防止部材を配置する場合、土砂流出防止作用のための高さとして例えば高さ100mm程度とするのは適切であるが、外径100mm程度の間伐材11は容易に入手できるので、土砂流出防止部材の高さの確保が容易なものとして、間伐材11は適切である。また、長さについても、アンカー間隔を例えば2mとした場合、ワイヤロープ3に沿って配置する間伐材11の長さは2m弱となるが、2m弱程度の間伐材11は容易に入手できるので、この点でも、間伐材11は土砂流出防止部材として適切である。但し、間伐材11の外径及び長さは特に限定されない。なお、間伐材11の長さは、アンカー間隔の全長に亘るものである必要はなく、斜面の状況によって長さを適切に設定する。
また、自然斜面の表層は柔らかいので、適度に重量を持つ間伐材11は斜面に置いた時に地面によく馴染み、この点でもワイヤロープ3に沿わせる土砂流出防止部材として好適である。
また、自然斜面に木の幹が横たわっているのはよくある光景であり、金属製の土砂流出防止部材と比較して、間伐材11は自然斜面に違和感なくマッチするので、この点でも自然斜面に設置する土砂流出防止部材として好適である。
上記のように、ワイヤロープ3に沿って地面に配置し保持する土砂流出防止部材として、間伐材11は、土砂流出防止作用の面で外径や長さが適切であり、かつ自然斜面に置くものとして重量的にも適切であり、さらに、景観的に自然斜面に違和感なくマッチするものであり、しかも、その入手が極めて容易である。
また、斜面の保守等で作業者等が当該施工斜面に立ち入る際、目立たないワイヤロープ3に足を引っ掛けることも生じやすいが、ワイヤロープ3に沿って間伐材11を配置すると、間伐材11が目立つので、特に注意を払わなくても足を引っ掛けることを防止できる。これは本発明工法を施工する作業時についても言える。また、ワイヤロープ3が地面から浮いている場合に特に足を引っ掛け易いが、間伐材11がワイヤロープ3を地面に付けるので、間伐材11の両側にワイヤロープ3のみが伸びている部分での、足の引っ掛け防止に有効である。
【0029】
間伐材11を配置するのは土砂流出防止の目的であるから、三角形をなすワイヤロープ3の縦の部分(斜面傾斜方向の辺)に沿って間伐材11を配置する必要性は、斜めの部分(斜面傾斜方向に対して角度を持つ辺)に沿って配置する場合と比べると、少ない。したがって、実施例のように間伐材11を、三角形をなすワイヤロープ3の縦・斜めのすべての部分に配置する場合に限らず、ワイヤロープ3の縦の部分の一部又は全部について、間伐材11の配置を省略してもよい。なお、ワイヤロープ3の斜めの部分についても、必ずしもすべてに間伐材11を配置する場合に限定されない。
【0030】
この実施例はワイヤロープ3が三角形網目を形成するパターンなので、次に述べるように、ワイヤロープ3を縦横の格子状に配列して四角形網目を形成するパターンとする場合と比較して、間伐材11をワイヤロープ3に沿って配置するメリットは大きい。
上記のように、間伐材11を配置するのは土砂流出防止の目的であるから、ワイヤロープ3の斜面傾斜方向の部分については間伐材11を配置する必要性は薄い。したがって、ワイヤロープ3が図示例の三角形網目パターンの場合は、土砂流出防止に大きく寄与する間伐材11は三角形の3辺のうちの2辺に配置した間伐材11であり、全体の3分の2である。
これに対して、ワイヤロープを縦横の格子状で四角形網目パターンとする場合は、土砂流出防止に大きく寄与する間伐材は四角形の4辺のうちの2辺に配置した間伐材であり、全体の2分の1である。
したがって、ワイヤロープ3を三角形網目パターンとする実施例の場合は、ワイヤロープを四角形網目パターンとする場合と比較して、土砂流出防止に寄与する部分の割合(網目の辺の全体に対する土砂流出防止に寄与する辺の割合)が大きい。土砂流出防止に寄与する部分の割合が大きいこと自体は間伐材を用いるか用いないかの問題とは直接関係はないが、間伐材11の土砂流出防止その他の効果が大であることを考慮した場合、ワイヤロープ3を三角形網目パターンとする場合に、本発明の効果が大きく達成される。
【実施例2】
【0031】
図5に斜面のワイヤロープ位置に窪み13がある場合の実施例を示す。この場合、間伐材11をワイヤロープ3の上側だけでなく下側にも配置して、上下の間伐材11を一体に地面に保持する。
図示例では、前記実施例と同様に、下向きコ字形の頭部12aを持つ間伐材保持用のピン12を地面に差し込んでその頭部12aで間伐材11の上面を押さえて、間伐材11を地面に保持している。なお、ピン12の下向きコ字形の頭部12aの折り返し部12bは、2点鎖線で示したように、下側の間伐材11に届くように長くしてもよい。ワイヤロープ3は上下の間伐材11とピン12との間に形成される隙間に配されている。
【0032】
この実施例では、下側の間伐材11がワイヤロープ3の下方空間を占める。すなわち、図8に示すように、間伐材11が部分的に窪み13を埋めることになる。したがって、窪み13が存在することによる土砂流出防止機能喪失を回避できる。当初は下側の間伐材11が土砂流出を防止し、窪み13が埋まる段階になってからは、上側の間伐材11が土砂流出を防止して、上下の間伐材11が土砂14を堆積させる。
なお、図8では窪み13を、斜面傾斜方向に短い局所的な窪み13として図示したが、斜面傾斜方向に長く伸びる溝的な窪みの場合でも当然同様な作用をする。
【実施例3】
【0033】
図5の実施例ではワイヤロープ位置の窪み13の底面が概ね平坦であるとして示したが、図6に示すように底面が湾曲している場合もある。この場合、下側の間伐材11の下方に隙間16が生じるが、このような場合にも、隙間16を何らかの手段で埋める方法、あるいは単にそのままとする方法で、やはり土砂流出防止を図ることは可能である。
すなわち、例えば、施工時に隙間16を土で埋めたり、板材その他の別部材で隙間16を遮断したりすることで、当然、土砂流出防止機能喪失を回避できる。また、その隙間16のままとしても、隙間16が狭いものであれば影響は小さいし、隙間16が若干広くても、間伐材11が沈んだり、隙間16が土砂や落ち葉や小枝等で埋まる等、種々の原因で隙間がなくなったり狭くなったりすることも考えられるので、隙間16があるままとすることも考えられる。図9(イ)はそのような場合に上下の間伐材11が土砂14を堆積させる状況を示す。
また、間伐材は現地で簡単に切断することができるので、下側の間伐材を切断して短くすることで、図9(ロ)に示すように、短くした下側の間伐材11と湾曲した底面との間の隙間16が小さくなり或いはなくなるように設置することも可能である。
【実施例4】
【0034】
上述の実施例ではワイヤロープ3を間伐材11に外周面に配したが、図10(イ)、(ロ)に示すように、間伐材11の下面に間伐材長さ方向の溝11aを形成し、この溝11aにワイヤロープ3を収容してもよい。
これにより、ワイヤロープ3に確実に係合する状態となるので、間伐材11を確実にワイヤロープ3に沿って地面に保持する手段として適切である。
なお、図10(ロ)のように上下に間伐材11を重ねる場合には特に、ワイヤロープ3を上下の間伐材11と一体化するために有効である。
【実施例5】
【0035】
間伐材11を地面に保持するためのピンの変形例を図11(イ)、(ロ)、(ハ)に示す。
図11(イ)に示したピン12は頭部12aを単に逆L字形に屈曲させたもの(折り返し部のない形状)である。ピン12を図示のように間伐材11の斜面下方側(図11(イ)で左側)に差し込んだ場合は、ピン12が間伐材11の斜面下方への移動を拘束するとともに、間伐材11が斜面上方に移動することは概ねないので、折り返し部のない単なる逆L字形としても問題はない。
また、図11(ロ)に示すように、ピン12の頭部12aを略円形断面の間伐材11の外周面に沿う円弧状にしてもよい。これにより、間伐材11の保持が単なる逆L字形の場合より確実になり、間伐材11の移動を防止できる。
また、図11(ハ)に示すように、頭部12aが下向きコ字形をなす場合に、折り返し部12bを長くして、この折り返し部12bも地面に差し込むようにしてもよい。これにより、間伐材11の保持がさらに確実になり、間伐材11の移動を防止できる。
【実施例6】
【0036】
上述の各実施例はピン12を間伐材11の横に差し込んでその頭部12aで間伐材11を保持するものであるが、図12(イ)、(ロ)に示すように、間伐材11を貫通する貫通ピン15を地面に差し込んで、間伐材11を地面に保持してもよい。
この貫通ピン15による方法は、図12(ロ)のように上下に間伐材11を重ねる場合に、両者を堅固に一体化できるので、そのような場合に特に適切である。
図示例の貫通ピン15は逆L字形の頭部15aを有するので、抜け止めが図られるものとなっているが、頭部に抜け止めのない単なる直線状の貫通ピンであってもよい。
その場合でも、間伐材11の斜面傾斜方向の移動を拘束できれば充分なので、特に問題はない。また、場合によっては貫通ピン15を抜かずに間伐材11だけを取り替えることも可能である。
【実施例7】
【0037】
図13に示した実施例は、間伐材11の下面に設けた溝11aにワイヤロープ3を収容するとともに、間伐材11を貫通する貫通ピン15を地面に差し込んで、間伐材11を地面に保持するものである。すなわち、図10の実施例と図12の実施例との両者の考えを採用したものである。この場合、溝11aの幅を広くして、貫通ピン15がワイヤロープ3と干渉しないようにするとよい。また、溝を間伐材11の幅方向中央位置からずらして貫通ピン15が溝を貫通しないようにしてもよい。
【実施例8】
【0038】
また、図14に示すように、間伐材11とワイヤロープ3とを鉄線17などで結束して、間伐材11をワイヤロープ3に係合させる簡便な方法を採用してもよい。アンカー1に連結されたワイヤロープ3は移動しないので、間伐材11はこのワイヤロープ3を介して地面に保持される。
【実施例9】
【0039】
上述の各実施例ではいずれも間伐材を横方向には1本のみ配置しているが、図15に示すように、2本の間伐材11をワイヤロープ3を挟み込むように横並びに配置することもできる。この場合、図示のように、両側に張り出した腕部22aを持つT字形のピン22を地盤に差し込み、ピン22の両側の腕部22aで間伐材11を押さえるようにして、ワイヤロープ3とともに地面に保持することができる。
【実施例10】
【0040】
実施例は1本のワイヤロープ3で三角形配置の3本のアンカー間を連結するものであるが、その場合に、ワイヤロープ3の三角形に閉ざす端部は通常、図16に簡略化して示したようにターンバックル18を介して連結する。そこで、ターバックル18に連結するためにワイヤロープ3の端部に設けた止め輪3aを通して、地面にピン12を差し込んでもよい。ピン12は両端の止め輪3aの一方又は両方のいずれでもよい。
【実施例11】
【0041】
上述の各実施例は、アンカー1の配列が三角形配列でワイヤロープ3が三角形網目を形成する場合であり、本発明は前述の通りこのような場合に適切であるが、図17に示すように、アンカー1間を連結するワイヤロープ23が、縦方向(斜面傾斜方向)のワイヤロープ23aとこれと直角な横方向(水平方向)のワイヤロープ23bとで格子状をなし四角形網目を形成する場合にも適用できる。図示の支圧部材2は円形である。
この場合、間伐材11は図示例のようにワイヤロープ23の縦横すべての部分に沿って配置する場合に限らず、縦方向の一部又は全部について間伐材11を省略してもよい。横方向についても、必ずしもすべてに間伐材11を配置する場合に限定されない。
【実施例12】
【0042】
図18は斜面に予め金網等のネット20を敷設する場合の実施例である。ネット20はアンカー1に係合させる。アンカー1、支圧部材2及びワイヤロープ3の施工については、前述の実施例と同様である。
この実施例では、ネット20の上から間伐材11を配置し地面に保持する。
間伐材11は前述と同様に土砂流出防止の作用を奏する。
なお、図18の実施例で、ワイヤロープ3を省略する場合も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例の斜面安定化工法を施工した斜面を示すもので、(イ)は斜面の一部分の平面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図2】図1(イ)の一部分の拡大図である。
【図3】図1における1箇所のアンカー頭部近傍の詳細構造を示した断面図である。
【図4】(イ)は図2のB−B断面図、(ロ)は図2のC−C断面図である(但し、図面では斜面を水平に図示している)。
【図5】間伐材をロープの上下に取り付ける実施例を示すもので、(イ)は図4(イ)に対応する図、(ロ)は図4(ロ)に対応する図である。
【図6】間伐材をロープの上下に取り付ける実施例で斜面の窪みが異なる態様の場合を示すもので、(イ)は図5(イ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図7】図4の実施例において間伐材が土砂流出を防止する状況を説明する図である(なお、図4等と異なり、斜面を傾けて図示している)。
【図8】図5の実施例において間伐材が土砂流出を防止する状況を説明する図である。
【図9】(イ)は図6の実施例において間伐材が土砂流出を防止する状況を説明する図、(ロ)は図6の実施例における下側の間伐材を短くする場合を示す図である。
【図10】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図11】間伐材を地面に保持するためのピンの変形例を示すもので、(イ)、(ロ)、(ハ)はそれぞれ異なる変形例を示す。
【図12】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図13】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図14】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、(イ)は図4(ロ)に対応する図、(ロ)は図5(ロ)に対応する図である。
【図15】2本の間伐材を横並びに配置する場合の実施例を示す図である。
【図16】間伐材を地面に保持する手段のさらに他の実施例を示すもので、ロープを連結する部分のロープ止め輪を利用することを示す図である。
【図17】本発明のさらに他の実施例を示すもので、アンカー配列を格子状にしてロープが四角形網目を形成する場合を示す。
【図18】本発明のさらに他の実施例を示すもので、予めネットを布設した場合を示す。
【符号の説明】
【0044】
1 アンカー
2 支圧部材
3 ワイヤロープ(ロープ)
3a 止め輪
11 間伐材
11a 溝
12 ピン
12a 頭部
12b 折り返し部
13 窪み
14 土砂
15 ピン(貫通ピン)
16 隙間
17 鉄線
18 ターンバックル
20 ネット
22 ピン
22a 腕部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持することを特徴とする自然斜面安定化工法。
【請求項2】
間伐材をロープの概ね上側に配置したことを特徴とする請求項1記載の自然斜面安定化工法。
【請求項3】
間伐材をロープの上側及び下側に配置したことを特徴とする請求項1記載の自然斜面安定化工法。
【請求項4】
間伐材を地面に保持する手段として、水平に張り出した頭部を持つピンを、前記頭部で間伐材の上面を押さえる態様で地面に差し込んだことを特徴とする請求項1〜3記載の自然斜面安定化工法。
【請求項5】
前記ピンを、当該ピンと間伐材との間にロープが位置するように地面に差し込んだことを特徴とする請求項4記載の自然斜面安定化工法。
【請求項6】
間伐材を地面に保持する手段として、間伐材を貫通するピンを地面に差し込んだことを特徴とする請求項1〜3記載の自然斜面安定化工法。
【請求項7】
間伐材を地面に保持する手段として、間伐材の下面側に間伐材長さ方向の溝を形成し、この溝にロープを収容したことを特徴とする請求項1〜4又は6記載の自然斜面安定化工法。
【請求項8】
アンカーの配列を隣接する3本のアンカーが三角形をなすような配列とするとともに、三角形をなす3本のアンカー毎に1本のロープを廻らせてアンカー間を連結することを特徴とする請求項1〜7記載の自然斜面安定化工法。
【請求項9】
斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付け、これを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持して、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にするように間伐材と係合させることを特徴とする自然斜面安定化工法。
【請求項1】
斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持することを特徴とする自然斜面安定化工法。
【請求項2】
間伐材をロープの概ね上側に配置したことを特徴とする請求項1記載の自然斜面安定化工法。
【請求項3】
間伐材をロープの上側及び下側に配置したことを特徴とする請求項1記載の自然斜面安定化工法。
【請求項4】
間伐材を地面に保持する手段として、水平に張り出した頭部を持つピンを、前記頭部で間伐材の上面を押さえる態様で地面に差し込んだことを特徴とする請求項1〜3記載の自然斜面安定化工法。
【請求項5】
前記ピンを、当該ピンと間伐材との間にロープが位置するように地面に差し込んだことを特徴とする請求項4記載の自然斜面安定化工法。
【請求項6】
間伐材を地面に保持する手段として、間伐材を貫通するピンを地面に差し込んだことを特徴とする請求項1〜3記載の自然斜面安定化工法。
【請求項7】
間伐材を地面に保持する手段として、間伐材の下面側に間伐材長さ方向の溝を形成し、この溝にロープを収容したことを特徴とする請求項1〜4又は6記載の自然斜面安定化工法。
【請求項8】
アンカーの配列を隣接する3本のアンカーが三角形をなすような配列とするとともに、三角形をなす3本のアンカー毎に1本のロープを廻らせてアンカー間を連結することを特徴とする請求項1〜7記載の自然斜面安定化工法。
【請求項9】
斜面に多数のアンカーを設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧部材を取り付け、これを締着して地盤に対する支圧力を与え、かつ各アンカー頭部間をロープで連結する自然斜面安定化工法において、
前記ロープに沿って土砂流出防止のための間伐材を配置し地面に保持して、降雨、地震によって土砂が流下したときに、土砂の流下を止める間伐材で押されて張力が増加することを可能にするように間伐材と係合させることを特徴とする自然斜面安定化工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−25237(P2008−25237A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199772(P2006−199772)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
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