説明

苗移植機

【課題】 乗用走行車体の後側にリンク装置を介して苗植付部を昇降可能に装着し、予備苗載台を上下方向に複数段備える予備苗枠を、乗用走行車体の前部の左右に設けた苗移植機において、上下複数段の予備苗載台の予備苗載台の四側方及び最上位の予備苗載台の上方を覆うカバーがあると、たとえ予備苗載台の後方のカバー部分を開閉可能に構成しても、前側から予備苗載台へ苗補給できず、苗補給作業性が悪くなる。
【解決手段】 両端に係合フック(159)を備えるカバー(163)を、一方の係合フック(159)が最下位の予備苗載台(151c)の一端部に係合し、他方の係合フック(159)が最上位の予備苗載台(151a)の前記一端部とは反対側の他端部に係合して、上下複数段の予備苗載台(151a,151b,151c)の一側方及び最上位の予備苗載台(151a)の上方を覆う位置に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備苗載台を上下方向に複数段備える予備苗枠を設けた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用走行車体の後側にリンク装置を介して苗植付部を昇降可能に装着し、予備苗載台を上下方向に複数段備える予備苗枠を、乗用走行車体の前部の左右に設けた苗移植機がある(特許文献1参照)。
【0003】
また、予備苗載台を上下方向に複数段備える予備苗枠を設けた苗移植機において、カバーを、上下複数段の予備苗載台の予備苗載台の四側方及び最上位の予備苗載台の上方を覆う位置に設け、前記四側方のうちの後方を開閉可能に構成したものがある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−231706号公報
【特許文献2】特開2000−166320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の苗移植機は、苗植付部及び予備苗枠へ苗を補給するとき、機体の前部を圃場の畦側に向けて畦に機体を近づけ、作業者が乗用走行車体上で予備苗枠から苗植付部へ苗補給しながら、同じ作業者又は別の作業者が畦から予備苗枠へ苗補給し、苗植付部及び予備苗枠へ苗を満載するように苗を補給していく。このとき、特許文献2に記載のように、上下複数段の予備苗載台の予備苗載台の四側方及び最上位の予備苗載台の上方を覆うカバーがあると、たとえ予備苗載台の後方のカバー部分を開閉可能に構成しても、前側から予備苗載台へ苗補給できず、苗補給作業性が悪くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、乗用走行車体(2)の後側にリンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に装着し、予備苗載台(151a,151b,151c)を上下方向に複数段備える予備苗枠(15)を、乗用走行車体(2)の前部の左右に設けた苗移植機において、両端に係合フック(159)を備えるカバー(163)を、一方の係合フック(159)が最下位の予備苗載台(151c)の一端部に係合し、他方の係合フック(159)が最上位の予備苗載台(151a)の前記一端部とは反対側の他端部に係合して、上下複数段の予備苗載台(151a,151b,151c)の一側方及び最上位の予備苗載台(151a)の上方を覆う位置に設けた苗移植機とした。
【0006】
従って、この苗移植機によると、乗用走行車体(2)を走行させながら苗植付部(4)を作動させ、圃場に苗を植え付けていく。植付作業中に苗植付部(4)の苗が少なくなると、作業者が乗用走行車体(2)の前部の左右に設けた予備苗枠(15)から苗植付部(4)へ適宜苗補給を行う。また、上下複数段の予備苗載台(151a,151b,151c)の一側方及び最上位の予備苗載台(151a)の上方を覆うカバー(163)により、風を遮断して、予備苗載台(151a,151b,151c)上の苗の乾燥を防止できる。そして、予備苗枠(15)の苗が少なくなると、機体すなわち乗用走行車体(2)の前部を圃場の畦側に向けて畦に機体を近づけ、作業者が乗用走行車体(2)上で予備苗枠(15)から苗植付部(4)へ苗補給しながら、同じ作業者又は別の作業者が畦から予備苗枠(15)へ苗補給し、苗植付部(4)及び予備苗枠(15)へ苗を満載するように苗を補給していく。このとき、カバー(163)は上下複数段の予備苗載台(151a,151b,151c)の一側方及び最上位の予備苗載台(151a)の上方を覆う状態で、上下複数段の予備苗載台(151a,151b,151c)の三側方は開放されているので、畦から予備苗枠(15)へ苗補給する際には前側から予備苗載台(151a,151b,151c)へ苗を容易に供給でき、予備苗枠(15)から苗植付部(4)へ苗補給する際には予備苗載台(151a,151b,151c)から後側へ苗を容易に取り出すことができる。更に、苗補給の作業形態により、このカバー(163)が苗補給時に支障となる場合には、前記他方の係合フック(159)を外して、カバー(163)を一方の係合フック(159)で最下位の予備苗載台(151c)の一端部に引っ掛けた状態で吊り下げ、予備苗載台(151a,151b,151c)の上方及び側方を完全に開放できる。以上により、苗補給作業が容易になる。
【発明の効果】
【0007】
よって、通常の植付作業時には、カバー(163)により風を遮断して予備苗載台(151a,151b,151c)上の苗の乾燥を防止できる。そして、畦から予備苗枠(15)へ苗補給する際には前側から予備苗載台(151a,151b,151c)へ苗を容易に供給でき、予備苗枠(15)から苗植付部(4)へ苗補給する際には予備苗載台(151a,151b,151c)から後側へ苗を容易に取り出すことができ、苗補給の作業形態によりカバー(163)が苗補給時に支障となる場合には、前記他方の係合フック(159)を外してカバー(163)を一方の係合フック(159)で最下位の予備苗載台(151c)の一端部に引っ掛けた状態で吊り下げ、予備苗載台(151a,151b,151c)の上方及び側方を完全に開放でき、苗補給作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施の一形態を、図面に基づき説明する。
本発明を実施する苗移植機1は、8条植えの施肥田植機であって、乗用走行車体2の後側にリンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部には施肥装置5の肥料ホッパ5aと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰出装置5bが配設されている。
【0009】
走行車体2は、駆動回転する左右一対の操向可能な前輪6,6と駆動回転する左右一対の後輪7,7を備え、前後フレーム8上の前側にミッションケース9、その後側にエンジンEが搭載され、エンジンEの回転動力は、第一ベルト伝動装置10、第二ベルト伝動装置11を介してミッションケース9内に伝動されるようになっている。そして、ミッションケース9内のミッションで変速された動力が前輪6,6及び後輪7,7に伝達されると共に、伝動軸9a、中間ギヤケース9b、伝動軸9cを介して苗植付部4に伝動される。車体2の前側には前輪6,6を操向操舵するステアリングハンドル12が設けられ、また、該ハンドル12の後側には操縦者が着座する操縦座席13が設置されている。14はステップフロア、15は予備苗枠、16は線引きマーカ、17は噴霧用水タンクを示す。
【0010】
前記予備苗枠15は、ステアリングハンドル12の下部に設けたフロントカバー150の左右すなわち乗用走行車体2の前部の左右に配置され、予備苗載台151a,151b,151cを上下方向に複数段(3段)備えている。予備苗載台151a,151b,151cより下側には予備苗枠15を支持する支持フレーム152を設けており、この支持フレーム152は、乗用走行車体2の前輪アクスルケース153に固着されて機体の左右方向外側に延びる第一フレーム154と、該第一フレーム154の先端部に設けた上下方向の第一回動軸155回りに回動する第二フレーム156と、該第二フレーム156の先端部に設けた上下方向の第二回動軸157回りに回動する第三フレーム158とを備えて構成され、該第三フレーム158に支持された予備苗枠15が該第三フレーム158と一体で回動する構成となっている。従って、第一回動軸155及び第二回動軸157回りの回動により、作業者が予備苗枠15を苗補給作業をしやすい位置や角度に適宜変更できる構成となっている。
【0011】
最上位の予備苗載台151aの対向する両端部には、後述する係合フック159を引っ掛ける係合軸160,161を設けている。また、上から2段目及び3段目の予備苗載台151b,151cには、最上位の予備苗載台151aの係合軸160,161を有する両端部のうちの一方160側と対応する一端部に、係合軸162を設けている。そして、カバー163の四隅に設けた係合フック159のうちの2個を3段目(最下位)の予備苗載台151cの係合軸162に引っ掛け、カバー163を上から1段目及び2段目の側方を通して上に延ばし、最上位の予備苗載台151aの係合軸162でカバー163を屈曲させて横に延ばし、残りの2個の係合フック159を最上位の予備苗載台151aの対向する係合軸161に引っ掛けている。従って、両端に係合フック159を備えるカバー163を、一方の2個の係合フック159が最下位の予備苗載台151cの一端部に設けた係合軸162に係合し、他方の2個の係合フック159が最上位の予備苗載台151aの前記一端部とは反対側の他端部の係合軸161に係合して、上下複数段の予備苗載台151a,151b,151cの一側方及び最上位の予備苗載台151aの上方を覆う位置に配置している。
【0012】
最下位の予備苗載台151cの係合軸162に引っ掛けた2個の係合フック159を外せば、カバー163を残りの2個の係合フック159のみで最下位の予備苗載台151cから下側に吊り下げた状態にでき、上下3段の予備苗載台151a,151b,151cの上方及び側方を完全に開放できる。従って、予備苗枠15を回動させながら苗補給作業を行うとき、この苗補給作業が容易になる。また、畦から予備苗載台151a,151b,151cへ苗補給するとき、各々の予備苗載台151a,151b,151cに設けた係合軸160,162に2個の係合フック159を引っ掛けてカバー163の一端を予備苗載台151a,151b,151cに接続し、カバー163の他端を畦側へ延ばすことにより、カバー163上を滑らせて苗を畦から予備苗載台151a,151b,151c側へ案内することができる。このとき、カバー163の他端の2個の係合フック159を畦に停車した苗運搬車等に係合すればよい。
【0013】
また、L1はミッションを切り替えるチェンジレバー、L2は変速レバー、L3は植付部の伝動入・切及び植付部を昇降させる植付昇降レバー、L4は植付部の作業状態と非作業状態とを切り替えるフィンガアップレバー、L5は植付部昇降制御の感度を調節する副感度調節レバー、L6は植付部の下降を規制する下降ロックレバー、Dは対地昇降制御の感度を調節する感度調節ダイヤルである。
【0014】
苗植付部4は、8条植えの構成で、昇降用油圧シリンダ26によって昇降用油圧(電磁)バルブ27を介して上下に昇降する構成であり、隣接する2条づつで共用の後下がりに傾斜した上下2段の苗箱供給部30,30…が左右並列に4組設けられ、これら各組の苗箱供給部の後端部に苗箱主搬送部31,31…が接続されて苗箱搬送路が構成されている。各苗箱主搬送部31は、上下2段の苗箱供給部30,30から順に1個づつ供給される苗箱を前半は下向きに搬送し、途中で搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字条に形成されている。苗箱搬送部31の終端部に接続して、後記苗取出位置Pで苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容枠38が設けられている。空箱ガイドレール39aと39bとの繋ぎ目に対応する部位には、空箱を上側から案内するガイド体40が設けられ、苗箱の周回移動が円滑に行われるようにしている。ところで、苗が取出された後の空の苗箱は、空箱ガイドレール39がU字状に上方に屈曲するよう設けているので、再び上方に搬送されていき、その上端部から排出される空の苗箱は、空箱収容枠38内に収容されることになる。
【0015】
なお、この種の移植機に使用される苗箱Cとしては、縦横に多数配列した育苗ポットC1に苗が一株づつ収容された可撓性を有する苗トレイが使用される。
苗箱供給部30にある苗箱を主搬送部31へ供給する苗箱供給装置29が備えられている。苗箱供給部30,30の底面には空転ローラ20,…が設けられていて、載置されている苗箱が自重で後方に滑り落ちるようになっている。各苗箱供給部30の後端部には、苗箱主搬送部31の搬送路へ苗箱を供給する供給装置29として、苗箱の左右縁部を把持して苗箱を主搬送部側に繰り出す左右各一対の供給ローラ21,22と、該供給ローラの前方に位置し、外周部に形成された突起がポットとポットの隙間に下側から係合して苗箱を送る幅広の送りローラ23とが設けられている。上下苗箱供給部の下側供給ローラ22及び送りローラ23は、それぞれモータM1,M2で回転駆動される。
【0016】
また、各苗箱主搬送部31に対応して、苗箱を苗箱搬送路に沿って搬送させる苗箱送り装置32と、苗箱主搬送部31の苗取出位置Pで搬送中の苗箱からポット横一列分づつ苗を取り出す苗取出装置33と、取り出された苗を下側前方に弧を描くような軌跡でもって搬送する苗搬送装置34と、該苗搬送装置から苗を抜き出す苗抜き装置35と、該苗抜き装置によって抜き出される横1列分の半分づつ左右両側に横送りする苗横送り装置36と、該苗横送り装置によって供給される苗を取って圃場に植え付ける苗植付装置37が設けられている。
【0017】
駆動ケース41と一体のフレーム42の下側左右水平部分から植付伝動フレーム45が後方に延出され、駆動ケース41の上面には苗載台支持フレーム46が固着され、これで上下2段の苗箱供給部(供給台)30を支持している。ローリング支持軸24は、フレーム42の左右中央部分に固着の植付部支持ブラケット48に取り付けた軸受ケース50に回動自在に軸受され、植付部全体がローリング自在に支持されている。この植付部全体は、駆動ケース41上に設けた水平センサ43の検出値に基づきこの検出値が設定値に維持されるように、制御装置からの操作信号によりローリングモータ25を正逆転駆動することで、該植付部がローリングスプリング28を介して支持軸24回りに左右ローリング制御されるようになっている。なお、前記水平センサ43は、植付部の脱着部より後側に設置するようにしておくことで、植付部を交換しても作動の狂いをなくすことができる。
【0018】
各ユニットの下方には、植付作業時に圃場面を整地しながら滑走する4個のフロート52,52,53,53が設けられ、支持アーム56の後端部に上下回動自在に枢着されている。これらフロートの左右両側には、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を形成する作溝器54,…と、その後側に施肥ガイド5cとが取り付けられ、この施肥ガイド5cには肥料繰り出し装置5bからの肥料を移送する施肥ホース5dが連設されている。
【0019】
苗箱送り装置32は、左右一対の送り爪60,60及び係止爪61,61とからなり、送り爪60,60は苗箱搬送路に沿って上下に往復動し、下動するときには苗箱の左右端縁部にポットのピッチと同ピッチで穿設された苗箱送り用の角孔に係合し、上動するときは角孔との係合が外れて次の角孔まで乗り越すように作動する。係止爪61,61は、送り爪60,60の動作と連動し、送り爪60,60が下動するときには、角孔から外れ、送り爪60,60が上動するときには、角孔に係合して苗箱を支えるように作動する。これら送り爪60,60及び係止爪61,61の作動により、苗箱搬送路31に沿って苗箱がポット配列の1ピッチ分づつ間欠的に送られる。この苗箱送り装置32の送り作動は、後記苗取出装置33の苗押出しピン72,…が苗箱のポット内に挿入されていない時に行われる。また、送り爪60,60及び係止爪61,61の搬送上手側には、係止爪61,61が先行する苗箱の角孔から抜け出るのに連動して苗箱搬送路に突出し、苗箱搬送路31を滑り落ちてくる後続の苗箱を一旦受け止める遮断爪63,63が設けられている。
【0020】
苗箱送り装置32の作動機構は、駆動ケース41の上部を貫通する第一伝動軸64に苗箱送りカム65を設け、苗箱作動アーム66に回動自在に支承されたローラ67をカム65の外周面に常時当接するように苗箱送り作動アーム66をスプリング68で付勢している。苗箱送りカム65の回転により、苗箱送り作動アーム66が揺動し、その苗箱送り作動アーム66の揺動が苗箱送り駆動軸69を介して苗箱送り駆動アーム70,70に伝えられ、送り爪60,60を上下に往復動させる。カム65がローラ67を押す時に送り爪60,60が下動して苗箱を送るようになっている。
【0021】
図17に示すように、送り爪60が最下点に下動した時、苗箱送り駆動アーム70で感知スイッチ71を押すように設けてあり、そして、この感知スイッチ71が押されないと、警報音を発するように連動構成しておくことができる。この構成によると、苗箱供給部での箱詰まり等により、苗箱送り不良をおこした時に、送り爪60の駆動アーム70が感知スイッチ71を押さなくなるので、警報ブザーにてオペレータに知らせることができ、連続欠株等の植付不良を防止できる。
【0022】
苗箱供給部30,30と苗箱主搬送部31の搬送路には、苗箱の有無を検出する苗箱検出センサSW1〜SW7が設けられている。SW1(SW5)は、上段(下段)苗箱供給部30に苗箱が載置されているとき苗箱有りとなる。SW2(SW6)は、上段(下段)の供給ローラ21,22が苗箱を把持しているとき苗箱有りとなる。SW3は、上段搬送路と下段搬送路の合流部に設けられていて、上段又は下段の供給ローラ21,22が苗箱を開放する寸前まで繰り出しているとき苗箱有りとなる。
【0023】
SW4は、SW3の位置と苗取出位置Pの直前位置との間に設けられていて、上段又は下段の供給ローラ21,22が苗箱を開放した直後に苗箱有りとなる。また、この苗箱検出センサSW4は、接触式のセンサにて構成され、このセンサの接触作用部tが遮断爪63の作用位置の搬送上手側から下手側にかけて位置するように配置されてあり、そして、このセンサが苗箱が無いことを検出すると、これに連動して苗箱供給装置29の供給ローラ21,22の作動により次の苗箱を繰り出し供給するようになっている。このようにして供給される苗箱が遮断爪63によって受け止められる直前に至っては、接触式検出センサ自体の押圧スプリング力によって接触抵抗を受けることになり、苗箱に制動作用が付与されて落下速度が緩和さるようになっている。
【0024】
SW7は、苗箱送り駆動アーム70を駆動する苗箱作動アーム66の位置を検出する検出センサで、つまり、送り爪60及び係止爪61の作動位置を検出するセンサであり、苗箱作動アーム66が上動したときに押されてOFFになる構成である。
【0025】
図4に示す構成例において、苗箱検出センサSW1〜SW7は、図5に示すように、コントローラに接続されている。そして、各センサからの情報に基づき、コントローラがモータM1,M2、苗減少ランプ、及び減少ブザーに出力する。図6は、コントローラにおける制御のフローチャートであって、各検出センサSW1〜SW7からの入力を読み込み、それを図7に示す動作表と比較し、該当する入力条件のパターンに応じて出力を行う。いづれの入力条件にも該当しない時には出力は行なわない。
【0026】
図7に示す動作表において、SW1〜SW6については、「0」は苗箱無し、「1」は苗箱有り、空白部は苗箱無し又は苗箱有りとする。SW7については、「1」はOFF時とし、空白部はON又はOFF時とする。また、「優先」はプログラム処理上のフラグで、その切換条件はNO.8とNO.13とする。「優先」の空白部は「1」又は「2」とし、電源投入時の「優先」は「1」とする。
【0027】
植付作業を行う前に、上段搬送路に苗箱を1個装填すると共に、上下両苗箱供給部に苗箱を2個づつ載置する。この作業開始状態では、SW1〜SW7は「1」、優先は「1」となっており、いづれの入力条件にも該当しないので、モータM1,M2は停止している。上記状態から植付作業を開始すると、送り爪60と係止爪61が作動して、苗箱を1ピッチづつ間欠的に送る。これと同期して植付部4の各部が作動し、苗取出位置Pで苗箱の横一列分づつのポットから苗を取出し、それを圃場に植え付ける。作業が進行して、苗取出し中の苗箱(第一苗箱)の最後尾が苗取出位置Pの直前位置まで来て、SW3及びSW4が「0」になると、NO.5の入力条件となり、モータM1が作動する。これにより、上段苗箱供給部の次の苗箱(第二苗箱)が上段搬送部に繰り出される。この第二苗箱を開放する寸前まで繰り出すと、第二苗箱の先頭部が上下搬送路の合流部に達し、SW3が「1」になる。この状態は、SW1〜SW6については、NO.6−1の入力条件に該当している。従って、送り爪60の送り作動時即ち係止爪61が苗箱を支えていない時にはモータM1が一旦停止し、その後、係止爪61が苗箱を支えた状態で且つ苗箱遮断爪63が苗箱搬送路内に突入して苗箱の下端を受け止める状態になっている時(SW7が「1」)になった時点でモータM1が再作動して、第二苗箱を開放する。すると、第二苗箱は遮断爪63にて一旦受け止められる。
【0028】
そして、第二苗箱を開放してSW2が「0」になると、NO.4の入力条件に切り替わり、モータM1の作動が継続され、次の第3苗箱の先頭部が供給ローラに把持される。すると、SW2が「1」になり、いづれの入力条件にも該当しなくなるので、モータM1は停止する。このようにして作業が進行し、第三苗箱の再後尾が苗取出位置Pの直前位置を通過し、SW3及びSW4が「0」になると、NO.13の入力条件となり、「優先」が「1」から「2」に切り替わる。すると、今度はモータM2が作動し、下段苗箱供給部の苗箱(第4苗箱)を繰り出す。 以下、上段苗箱供給部の第二苗箱、第三苗箱を上段搬送部に供給する場合と同様に、モータM2が適時作動して、下段苗箱供給部の第四苗箱、第五苗箱が順に下段搬送部に供給され、それぞれの苗箱から苗が取り出される。最後の第五苗箱が下段供給ローラから開放されると、NO.1の入力条件となり、苗減少ランプに出力する。苗減少ランプが点灯すると、上下苗供給部に苗補給する。また、苗減少ランプが点灯しても苗補給せず、第五苗箱の最後尾が苗取出位置Pの直前位置を通過してSW3及びSW4が「0」になると、NO.3の入力条件が4秒以上継続されることになるので、条件が成立してから4秒後に苗減少ブザーに出力する。
【0029】
以上のような経過を経て苗箱供給部の苗箱が主搬送部の所定位置まで自動供給されるが、この作業中において、上記苗取出し中の苗箱の最後尾が苗取出位置Pの直前位置まで来て、苗箱検出センサSW3及びSW4が「0」になると、NO.5(又はNO・10、NO・13)の入力条件となり、モータM1又はM2の作動により、苗箱供給部にある次の苗箱が主搬送部の所定位置に繰り出されることになるが、このとき、図8のフローチャートで示すように、モータM1又はM2が所定時間(約5秒程度)以上作動しても、苗箱が所定位置まで送られて来ない場合には、苗箱検出センサSW3がOFF作動し、苗箱送り不良警報装置BZに出力してオペレータに告知するようにしている。これにより、オペレータは苗箱送り不良と判断して速やかに対処することができる。同様に、モータM1が所定時間(約5秒程度)以上作動しても苗箱検出センサSW2がONのまま、又はモータM2が所定時間(約5秒程度)以上作動しても苗箱検出センサSW6がONのままのとき、苗箱送り不良警報装置BZに出力してオペレータに告知する構成としてもよい。
【0030】
上記苗箱の自動供給装置において、上段搬送路と下段搬送路で苗箱を送るモータM1,M2の回転速度を切り替えできる構成としている。上段のモータM1の回転速度は、下段のモータM2の回転速度より遅くしている。つまり、図6に示すように、モータM2の連続出力に対し、モータM1のパルス出力によって回転速度を遅くしている。これは、上段搬送路は、下段搬送路に対し苗箱の落下する傾斜角度が大きいため、遮断爪に当たった時に苗箱の両端が破損し易い。自動供給時の上段を送るときは、モータM1の回転速度を遅くすることで、遮断爪に当たる時の速度が上下段共、同じになり、苗箱両端の破損を防ぐことができる。
【0031】
なお、図7に示すように、モータM2のパルス出力に対し、モータM1を微小パルス出力とすることによってこの回転速度を遅くすることもできる。また、モータの回転速度と検出センサSW1からSW2間の苗箱の自由落下速度を略同じにすることで、苗箱がモータ部のローラへ激突する時の衝撃力が少なくなり、苗箱の破損を防ぐことができる。
【0032】
なお、図10に示す苗箱検出センサSWは、このセンサの接触作用部tが苗箱CのポットC1部に作用して感知する構成としてあり、前記SW1〜SW6の検出センサに利用することができる。これら各検出センサはポット部側面にて感知させるので、泥の影響を受けることがなく、ポット部は規則正しく成形された丸形状のため、確実に感知することができる。
【0033】
苗取出装置33は、苗箱横方向のポットに対し同数同ピッチで並んだ苗押出しピン72,…が、前後方向に摺動自在に支持された左右一対のスライド軸73,73と一体に作動するように設けられている。スライド軸73にはラック73aが形成され、そのラックに第一扇形ギヤ74が噛み合っている。また、第一扇形ギヤ74が取り付けられているギヤ軸75には、別の第二扇形ギヤ76が取り付けられ、第二扇形ギヤ76は、支持軸78に回動自在に支持された苗取出作動アーム79のギヤ部79aと噛み合っている。苗取出作動アーム79のギヤ部79aと反対側の端部にはローラ80が回転自在に支承されており、そのローラ80が苗取出カム81のガイド溝81aに嵌り込んでいる。苗取出カム81の回転によりスライド軸73,73が前後にスライドし、該スライド軸が後方にスライドするときに、苗押出しピン72,…が苗取出位置Pにある苗箱の横一列分のポットに対し、ポット底部の切れ目からポット内に挿入され、苗を後方に押し出す。
【0034】
尚、横一列の苗押出しピン72,…は、苗箱の底部を受ける受け板164に設けた横一列の孔を通過して押出作動する。前記受け板164には苗箱のポット間に位置して苗箱の搬送方向に延びる突条165を設け、この突条165により苗箱搬送作動でポット間にわたって延びる根を切断して苗押出しピン72,…による苗押出し及び以降の苗搬送を適正に行えるようにしている。この突条165は、苗箱搬送経路において送り爪60が作動する位置にあるので、苗箱搬送の抵抗となることで苗箱の搬送を阻害するようなことがなく、また苗箱搬送作用が確実であるため根の切断も確実になる。尚、突条165は、受け板164の各孔の間に配置される。
【0035】
また、前記孔又は受け板164にブラシ又はスクレーパを設け、苗押出しピン72,…がそのスライドでブラシ又はスクレーパに接触するように構成すれば、苗押出しピン72,…に付着する泥を除去することができる。これに代えて、苗押出しピン72,…に水等の洗浄液を吐出する吐出ノズルを設けてもよい。
【0036】
また、前記ギヤ軸75には、ギヤ軸75以後の伝動系に所定以上の負荷がかかった場合には第一扇形ギヤ74からギヤ軸75への伝動を断つ安全クラッチ75aが設けられている。
【0037】
さらに、ギヤ軸75には、苗押出しピン72,…の前後スライドのストロークを調節する機構75b、左右のスライド軸73,73の位置を調節する機構75cとが設けられている。苗箱送りカム66と苗取出カム81は第一伝動軸64に回転自在に嵌合する共通の筒体64aに一体形成され、該筒体と第一伝動軸64を外部操作する定位置停止クラッチ64bによって伝動入・切可能に連結している。尚、定位置停止クラッチ64bによって伝動切としたとき、後述する苗ホルダ83が空の状態で上昇し、且つ苗押出しピン72,…が苗を押し出す直前で、苗箱送り装置32、苗取出装置33及び苗搬送装置34が停止する。
【0038】
この定位置停止クラッチ64bによって一部の植付条(2条毎)の苗の植付を停止させることができるのであるが、この苗の植付停止後、再度定位置停止クラッチ64bを伝動入状態にして当該植付条で苗を植え付けようとするとき、後述する苗送りベルト113上の苗は既に搬送されてなくなっているから、即座に苗の植付が行えず、苗を植え付けないまま所定距離走行してしまう。そこで、定位置停止クラッチ64bの伝動入・切状態を検出する定位置停止クラッチセンサを設け、該定位置停止クラッチセンサにより何れかの定位置停止クラッチ64bが伝動切状態から伝動入状態に切り替えられたことを検出すると、走行クラッチ又は走行変速装置を操作して機体の走行のみを停止させることができる走行アクチュエータ(例えば後述の主クラッチモータ)を作動させて走行を停止し、苗植付部4のみを駆動して伝動軸9c(9a)の回転数を検出する回転センサにより所定の累計回転数に到達したとき、走行アクチュエータにより走行を開始する構成とした制御装置を設けることができる。これにより、植付をせずに機体を走行させることがなく、圃場に未植付域が発生するのを防止すると共に、オペレータが走行停止操作等の格別の操作を行わなくてよいので、操作性が向上する。
【0039】
上記は走行開始の操作を自動的に行わせるものであるが、走行変速装置を変速用モータ等の変速アクチュエータで自動的に変速操作することもできる。圃場の土壌内に検出子が突入してその突入深さにより土壌の硬軟を検出する硬軟センサを設け、該硬軟センサの検出に基づいて土壌が軟らかいと判断されるときには、走行速度が減速されるように変速アクチュエータへ出力する制御装置を設けることができる。これにより、走行速度を減速することでフロート52,53による泥押しを抑えることができ、圃場内の土壌が軟らかくて流動性が高くても、泥流により植え付けた苗を倒すようなことを防止でき、植付精度が向上する。逆に、エンジンEのスロットルを操作するスロットルモータ等のスロットルアクチュエータを設け、硬軟センサの検出に基づいて土壌が硬いと判断されるときには、エンジンEの回転数を上昇させるようにスロットルアクチュエータへ出力する制御装置を設けることができる。これにより、圃場内の土壌の粘性が強くて車輪の駆動力を要するようなときに、走行駆動力を向上させることができ、馬力不足による走行速度の低下を防止できる。
【0040】
前記苗押出しピン72,…による苗取出位置Pの手前には苗箱の有無を検出するセンサスイッチSW8を設け(図4参照)ている。苗箱供給部に苗箱があって検出センサSW1又はSW5がON状態にあっても、前記SW8がOFFの場合には、図9に示すように、苗箱送り不良として、主クラッチモータの駆動で走行クラッチを「切り」作動(同時に警報装置を作動するようにしてもよい。)して機体の走行を停止するように構成することもできる。従って、この走行停止によって、オペレータは苗箱送り不良であることを察知でき、速やかに対処することによって連続欠株を未然に防止することができる。
【0041】
また、苗押出しピン72とスライド軸73との間に荷重センサ126を設け(図18参照)、荷重センサの検出結果による荷重値が軽い場合は噴霧の時間を通常より長くするように設定している。押出しピンの押出し荷重が軽いと、ポットが崩れ易い状態になるので、噴霧の時間を長くし、苗ホルダーや苗送りベルト等への泥の付着を少なくして植付を安定させることができる。図20及び図21において、押出しピンの荷重センサ126及び植付昇降レバーセンサ127が制御部128の入力側に接続され、制御部の出力側には噴霧用電磁バルブ129が接続されている。植付昇降レバーセンサ127が「植付」作業状態であることを検出し、前回の噴霧時から所定時間経過後、押出しピン荷重センサ値が「大」(重)の時には、噴霧用電磁バルブ129を通常の時間開く信号を出力する。逆に、押出しピン荷重センサ値が「小」(軽)の場合には、噴霧用電磁バルブ129を長時間開く信号を出力する。
【0042】
なお、荷重センサが異常に重い値を検出した時には、警報ブザーを鳴らしてオペレータに報知するように構成することもできる。苗押出しピンが苗箱ポット部から芯ずれした位置を押し出すと、荷重センサが非常に重い検出値を出すので、これをオペレータに報知することによって植付不良を未然に防止することができる。
【0043】
苗搬送装置34は、苗押出しピン72,…により苗箱から押し出される苗の床土部を保持する苗ホルダー83を備えている。苗ホルダー83は上下2本づつの揺動リンク84,85に連結された支持部材86,86に左右両端が固定されており、上記揺動リンクの揺動により円弧軌跡を描いて往復動するようになっている。苗搬送装置の駆動機構は、図16及び図19に示すように、第一伝動軸64の回転を、アーム88、伸縮ロッド89、アーム90を介して苗搬送伝動ケース91の入力軸92に反復回動運動として伝達し、更に、該入力軸92から一対の伝動ギヤ93、94を介して、揺動リンク85に取り付けられている苗搬送駆動軸95に反復回動運動を伝達するように構成されている。
【0044】
また、図3に示すように、前記苗ホルダー83は、苗植付時において、植付クラッチ又は畦クラッチを切った時の苗ホルダーの停止位置が、苗を取りに行く方向で洗浄ノズル116から噴水される噴水圏(イ)内にあって停止するように構成している。これによれば、苗を植え付けしていない状態のときでも苗ホルダーを効率よく洗浄でき、泥の付着が少なくなって苗のキャッチングが安定することになる。これに代えて、苗ホルダー83専用の清掃ブラシを設け、該清掃ブラシが苗ホルダー83の上昇過程で該苗ホルダー83の作動経路上に突出して苗ホルダー83上の土を落として清掃する構成とすることもできる。
【0045】
苗抜き装置35は、苗ホルダ83の苗保持部を前後に通り抜け可能な櫛状の苗叩き100を備えている。回動自在に設けた左右方向の苗叩き取付軸101に苗叩きアーム102を取り付け、更にその苗叩きアーム102に回動可能に取り付けた回動アーム103に苗叩き100を一体的に取り付けている。回動アーム103は長孔103aの範囲内でボルト102aを介して回動可能である。叩きアーム102に取り付けたローラ104が、カム軸105に取り付けられた苗叩きカム106のカム面に当接するようにスプリング107にて付勢している。苗叩きカム106が回転すると、該カムの凹部にローラ104嵌り込むときスプリング107の張力により苗叩き100が素早く下向きに回動し、直ぐに元の位置に復帰するように作動する。
【0046】
苗ホルダー83が移動軌跡下端に移動してきたとき、苗ホルダ83の各苗保持部に保持されている苗を苗叩き100が受け止め苗ホルダー83のみを通過させて苗を抜き出すと共に、苗叩き100が下向きに回動し、抜き出された苗を後記苗横送り装置36の苗送りベルト113,113上に叩き落とす。
【0047】
苗横送り装置36は、メインフレームに架設された苗横送り駆動軸110の駆動ローラ111と従動ローラ112とに巻き掛けた左右一対の苗送りベルト113,113を、それぞれの横送り作用部外側へ移動するように左右対称に設けている。横送り部の下側には落下する苗の重みでベルトが橈むのを防止する撓み防止板114が設けられている。苗抜き装置35により抜き落とされた横一列分の苗N,…は、各苗送りベルト113,113の上に整列で落下し、これを受けた苗送りベルト113,113が左右半分づつの苗をそれぞれ左右両側に搬送する。苗送りベルト113で搬送された苗Nは、一対の植付ガイド115,115の間に落し込まれる。
【0048】
苗の床部を受ける苗送りベルト113の前部の適宜箇所は、外径が小さく窪み166が構成されている。従って、苗の床部を窪み166で受け、苗叩き100による苗抜き作動で苗が後方へ飛ばされ過ぎるのを防止し、苗送りベルト113上における苗の前後位置を適正に安定させることができ、植付精度を向上させることができる。また、苗送りベルト113の前端にはベルト周回方向の適宜箇所でのみ前側へ突出する凸部167を設け、該凸部167により苗送りベルト113の前側で該苗送りベルト113を支持する支持ステー168上に載る土を除去する構成となっており、支持ステー168から苗送りベルト113の前端までの間で土が溜まるようなことを防止している。
【0049】
苗送りベルト113,113の上方には該ベルトに付着した泥土を洗い流す洗浄ノズル116,…が設けられている。洗浄ノズル116,…が一体に形成された通水パイプ117は、その両端部に一体の取付プレート118をボルト119により植付部フレームに固定することにより支持されている。
【0050】
図11には、苗送りベルト113の周辺に泥が溜まると、その泥溜まりを検出する音波検出装置124が設けられている。この音波検出装置は泥溜まりを検出すると、警報ブザー等でオペレータに報知することで、オペレータはその泥溜まりを速やかに除去できるし、若しくは噴霧装置を作動して洗浄ノズルで洗い落すことができ、苗の植付不良を少なくすることができる。
【0051】
苗植付装置37は、植付伝動フレーム45の後端部に設けられた植付駆動軸120と一体回転する回転ケース121に一対の苗植込具122、122が取り付られ、苗植込具122、122が閉ループの先端軌跡を描いて移動する。各苗植込具122は、植付ガイド115,115の間に落し込まれた苗を交互に一株づつ取り、それを植付ガイド115,115の間を移動させて圃場に植え付ける。
【0052】
尚、一対の苗植込具122、122の間には掃除具169を設け、該掃除具169が苗植付の度に植付ガイド115,115の間を移動することにより、植付ガイド115,115の間の土を除去して清掃する構成となっている。尚、掃除具169は、苗植込具122と同じ程度の長さに構成され、苗植込具122と同様に回転ケース121に取り付けられている。
【0053】
植付部の伝動機構について図14及び図15に基づき説明すると、本機側から動力伝達される入力軸130はベベルギヤ131,132を介して第二伝動軸133と連動連結している。そして、第二伝動軸133から、8組のベベルギヤ135,136を介して各条の苗横送り駆動軸110へ伝動する。隣接する一対の苗横送り駆動軸110,110は、互いに逆向きに回転するようになっている。また、各植付伝動フレーム45内には、第二伝動軸133に取り付けたスプロケット137aと植付駆動軸120に取り付けたスプロケット137b掛け渡した伝動チエン137が設けられており、該チエン137により第二伝動軸133から植付駆動軸120へ伝動する。
【0054】
更に、第二伝動軸133は、その外端部でベベルギヤ140,141を介して、左右2本の上下伝動軸142の下端部とそれぞれ連動連結している。左側の上下伝動軸142は、その上端部がベベルギヤ143,144を介して第一ユニット・第二ユニット用の第一伝動軸64と連動連結すると共に、その中間部がベベルギヤ147,148を介して第一ユニット・第二ユニット用の苗叩きカム軸105と連動連結している。同様に右側の上下伝動軸142は、第三ユニット・第四ユニット用の第一伝動軸64及び苗叩きカム軸105と連動連結している。
【0055】
中央2個のセンタフロート52,52は、圃場面の凹凸を検出するものであり、両フロートの圃場面に対する角度(迎い角)がフロート迎い角センサによって検出される。フロート迎い角センサの検出に基づいて、センタフロート52,52の前後傾斜姿勢が前上がり側に変化したときには苗植付部4を上昇させ、逆にセンタフロート52,52の前後傾斜姿勢が前下がり側に変化したときには苗植付部4を下降させるべく昇降用油圧バルブ27を作動させ、苗植付部4を所定の対地高さとなるよう昇降制御する構成となっている。尚、フロート迎い角センサにより、センタフロート52,52の前後傾斜姿勢が前上がり側に変化したままでこの前後傾斜姿勢が所定時間(例えば5秒以上)維持されて昇降用油圧バルブ27により苗植付部4の上昇指令が継続されているようなときには、制御装置により苗植付部4が下降するように昇降用油圧バルブ27へ出力し、苗植付部4を下降させる。これにより、圃場内の夾雑物がセンタフロート52,52に引っ掛かったり、圃場の水深が深かったりしてセンタフロート52,52で圃場面を適正に検出できない場合、苗植付部4を強制的に下降させることにより、夾雑物を土壌内に敷き込んだり苗植付部4の対地浮上を防止したりでき、フロート52,53による圃場面の整地を良好に行えると共に、植え付ける苗が浮き苗になるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】苗移植機の側面図
【図2】同上平面図
【図3】苗植付部の要部の側面図
【図4】苗箱供給部及び苗箱搬送部の側面図
【図5】苗箱供給の制御ブロック図
【図6】苗箱供給用フローチャート
【図7】各部材の動作表
【図8】苗箱送り不良の警報フローチャート
【図9】同上警報フローチャート
【図10】苗箱検出センサの(a)側面図、及び(b)正面図
【図11】苗叩き及び苗送りベルトの背面図
【図12】苗抜き装置の側面図
【図13】洗浄装置の背面図
【図14】植付部の伝動機構図
【図15】植付伝動機構部の一部の背断面図
【図16】駆動ケースの背断面図
【図17】図16のS1−S1断面図
【図18】図16のS2−S2断面図
【図19】苗搬送駆動ケースの側断面図
【図20】制御ブロック図
【図21】フローチャート
【図22】予備苗枠を示す正面図
【符号の説明】
【0057】
1:苗移植機、2:乗用走行車体、3:リンク装置、4:苗植付部、15:予備苗枠、151a,151b,151c:予備苗載台、159:係合フック、160,161,162:係合軸、163:カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗用走行車体(2)の後側にリンク装置(3)を介して苗植付部(4)を昇降可能に装着し、予備苗載台(151a,151b,151c)を上下方向に複数段備える予備苗枠(15)を、乗用走行車体(2)の前部の左右に設けた苗移植機において、両端に係合フック(159)を備えるカバー(163)を、一方の係合フック(159)が最下位の予備苗載台(151c)の一端部に係合し、他方の係合フック(159)が最上位の予備苗載台(151a)の前記一端部とは反対側の他端部に係合して、上下複数段の予備苗載台(151a,151b,151c)の一側方及び最上位の予備苗載台(151a)の上方を覆う位置に設けた苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−4856(P2010−4856A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171627(P2008−171627)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】