説明

苗移植機

【課題】作業者が労力を費やすことなく「展開状態」と「収納状態」との切り替えを行うことができ、切替作業中であっても他の作業を中断せずにすみ、作業能率を向上することが可能な苗移植機を提供する。
【解決手段】第1〜3予備苗載台38a〜38cが前後一列に並んだ「展開状態」と、上下多段に並んだ「収納状態」とを第1〜3移動リンク部材39a〜39cにより切替可能な予備苗載台と、駆動力が与えられると、回動軸ax1,ax2を中心に第1〜3移動リンク部材39a〜39cを回動させる回動ギア300gと、回動ギア300gに駆動力を与える切替モータ300mと、第1〜3予備苗載台38a〜38cに積載された苗箱の有無を検知する予備苗載台スイッチと、予備苗載台スイッチの検知結果に応じて切替モータ300mの作動操作の受付を切り替えるマイコンとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補給用の苗を載せるための予備苗載台を備えた苗移植機の分野に係るものである。
【背景技術】
【0002】
このような苗移植機は例えば特許文献1に開示されている。この文献では、補給用の苗を載せる複数の予備苗載台をリンク機構により回動自在に連結しており、作業者は、作業状況に応じて、複数の予備苗載台が前後一列に並んだ「展開状態」と、上下多段に並んだ「収納状態」とを切り替えて使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術文献では、予備苗載台の「展開状態」と「収納状態」とを手動で切り替えねばならず、作業者が労力を費やす必要がある。また、切替作業中は他の作業を中断せねばならず、作業能率が低下する。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、作業者が労力を費やすことなく「展開状態」と「収納状態」との切り替えを行うことができ、切替作業中であっても他の作業を中断せずにすみ、作業能率を向上することが可能な苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る苗移植機は、
圃場を走行する走行車体(2)
この走行車体(2)の後部にリンク機構(3)を介して昇降部材(46)により昇降自在に設けられた苗植付部(4)
上記走行車体(2)の前部に設けられるとともに、予備の苗を積載する複数の予備苗載部材(38a,38b,38c)と、これら複数の予備苗載部材(38a,38b,38c)を回動自在に連結するリンク機構(39a,39b,39c)を備え、このリンク機構(39a,39b,39c)の動作により、上記複数の予備苗載部材(38a,38b,38c)が前後一列に並んだ「展開状態」と、上下多段に並んだ「収納状態」に切替可能な予備苗枠(38)
を設けた苗移植機において、
上記リンク機構(39a,39b,39c)を動作させ、上記「展開状態」と上記「収納状態」に切り替える切替装置(300)
上記予備苗載部材(38a,38b,38c)に積載された苗の有無を検知する苗検知部材(431)
この苗検知部材(431)の検知結果に応じて上記切替装置(300)の作動を規制する制御装置(400)
を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の発明に係る苗移植機は、請求項1の記載に加えて、
走行車体(2)に設けられ、リンク機構(39a,39b,39c)の回動軸(ax1,ax2)を上部の取付支柱(49p1,49p2)により支持する支持フレーム(49)
上記回動軸(ax1,ax2)を中心に上記リンク機構(39a,39b,39c)を回動させる回動部材(300g)
この回動部材(300g)を回動させる切替アクチュエータ(300m)
この切替アクチュエータ(300m)の作動を任意の位置で停止させる停止位置調節部材
から切替装置(300)を構成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の発明に係る苗移植機は、請求項1又は請求項2の記載に加えて、
「展開状態」で最前に位置する予備苗載部材(38a)の前部と、上記「展開状態」で最後に位置する予備苗載部材(38c)の後部とに、これら予備苗載部材(38a,38c)における苗の積載の有無を検知する苗検知部材(431−1,431−6)をそれぞれ設け、
上記2つの苗検知部材(431−1,431−6)が苗の積載を検知している場合は、制御装置(400)が切替アクチュエータ(300m)の作動を許容する
構成としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の発明に係る苗移植機は、請求項1〜3のいずれか1項の記載に加えて、
苗を植付条列ごとに載置する苗タンク(51t,……)を左右方向に複数並べて苗植付部(4)を構成するとともに、
この苗植付部(4)の外側端部の上記苗タンク(51t,……)を左右方向内側に向けて移動自在に構成し、
上記外側端部の苗タンク(51t,……)が上記苗植付部(4)の外側端部に位置する「作業状態」かどうかを検知する苗タンク検知部材(432)
この苗タンク検知部材(432)が上記「作業状態」を検知している場合は、制御装置(400)は切替アクチュエータ(300m)の作動を許容する
構成としたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5記載の発明に係る苗移植機は、請求項1〜4のいずれか1項の記載に加えて、
次行程における走行車体(2)の進路を圃場に線引きする左右一対の線引き部材(184)を苗植付部(4)に起立・転倒可能に設けるとともに、
起立した上記線引き部材(184)を「収納状態」として支持する支持部材を苗植付部(4)に設け、
上記線引き部材(184)が上記支持部材により上記「収納状態」かどうかを検知する収納検知部材(434)
この収納検知部材(434)が上記「収納状態」を検知している場合は、制御装置(400)は切替アクチュエータ(300m)の作動を規制する
構成としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、切替装置(300)を作動させると予備苗枠(38)を自動的に「展開状態」と「収納状態」とに切り替えることができるので、作業者が手作業で切り替えを行う必要がなく、作業能率が向上するという効果が得られる。
また、予備苗載部材(38a,38b,38c)に苗検知部材(431)を設けたことにより、予備苗枠(38)に積載された苗の有無に合わせて切替装置(300)の作動を制御装置(400)が規制することができるので、予備苗枠(38)の誤操作が防止されるという効果が得られる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、切替アクチュエータ(300m)が回動部材(300g)を回動させて予備苗枠(38)を「展開状態」と「収納状態」とに切り替えることにより、作業者が手作業で予備苗枠(38)の切り替えを行う必要がなく、作業能率が向上するという効果が得られる。
また、切替アクチュエータ(300m)の作動を任意の位置で停止させることができるので、予備苗枠を「展開状態」から「収納状態」までの動作途中で停止させ、予備苗枠の端部が圃場端にぶつからない程度に予備苗枠を「展開状態」とすることにより、予備苗枠の破損を防止しつつ苗の積み込みを容易にすることができるという効果が得られる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、苗検知部材(431−1,431−6)が2つとも苗の積載を検知している場合は、制御装置(400)が切替アクチュエータ(300m)の作動を許容する構成としたことにより、苗の積み込み作業中に誤操作により予備苗枠(38)を「収納状態」にしてしまうことを防止できるので、苗の積込作業を能率的に行えるという効果が得られる。
また、苗が苗検知部材(431−1,431−6)に検知されないほど大幅にはみ出した姿勢で予備苗載部材(38a,38c)に積載されている場合には、切替アクチュエータ(300m)は作動しないため、切替動作中に苗が落下することを防止でき、落下した苗を拾う作業が不要となり、作業能率が向上するという効果が得られる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、外側端部の苗タンク(51t,……)が「非作業状態」である場合には、制御装置(400)が切替アクチュエータ(300m)の作動を規制することにより、機体を作業場所まで搬送するときや倉庫等に収容する際、誤操作により予備苗枠(38)を「展開状態」にしてしまい、予備苗枠(38)が周囲にある物に接触して破損する、あるいは周囲の物を破損させることを防止できるという効果が得られる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、線引き部材(184)が「収納状態」である場合は、制御装置(400)は切替アクチュエータ(300m)の作動を規制することにより、機体を作業場所まで搬送するときや倉庫等に収容する際、誤操作により予備苗枠(38)を「展開状態」にしてしまい、予備苗枠(38)が周囲にある物に接触して破損する、あるいは周囲の物を破損させることを防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例の乗用型田植機の側面図である。
【図2】図1の乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1の乗用型田植機の予備苗載台を上下三段に配置した場合の側面図である。
【図4】図1の乗用型田植機の予備苗載台を同一平面に配置した場合の側面図である。
【図5】図4の予備苗載台部分の平面図である。
【図6】図1の乗用型田植機の予備苗載台を上下三段に配置した場合の機体前方から見た正面図である。
【図7】図1の乗用型田植機他の実施例の予備苗載台の上下三段に配置した場合の側面図(図7(a))と機体前方から見た正面図(図7(b))である。
【図8】本発明の実施例の電動式予備苗載台を設けた乗用型田植機の部分的側面図である。
【図9】本発明の実施例の電動式予備苗載台の側面図である。
【図10】第1,第2,第3予備苗載台の(a)正面図、(b)平面図、(c)背面図および(d)側面図である。
【図11】予備苗載台を「展開状態」としたときの平面図である。
【図12】第1,第2,第3予備苗載台を略直線状に並べたときの予備苗載台の側面図である。
【図13】前方から苗箱を押して後方に移動させているときの予備苗載台の側面図である。
【図14】苗積載の有無に応じた作動制限の一例を説明するための(a)ブロック図、(b)フローチャートおよび(c)予備苗載台スイッチの配置図である。
【図15】苗載台下部の側部断面図
【図16】図15におけるA矢視図
【図17】左右外端部の苗載部を折りたたんだ状態を示す苗載台の側面図
【図18】一部を省略して表した図17におけるA矢視図その2
【図19】中央部の苗載部と左右外側部の苗載部との上部連結部の断面図
【図20】中央部の苗載部と左右外側部の苗載部との下部連結部の断面図
【図21】苗載台支持フレームの要部の正面図
【図22】苗タンク折り畳み状態に応じた作動制限の一例を説明するための(a)ブロック図および(b)フローチャートである。
【図23】ブロア折り畳み状態に応じた作動制限の一例を説明するための(a)ブロック図および(b)フローチャートである。
【図24】線引きマーカ等を示す側面図
【図25】起立時の線引きマーカを示す平面図
【図26】マーカ軸の回動を示す図
【図27】線引きマーカの「収納状態」に応じた作動制限の一例を説明するための(a)ブロック図および(b)フローチャートである。
【図28】線引きマーカ収納用固定フックを示す(a)側面図および(b)上面図である。
【図29】予備苗載台の照明制御の一例を説明するための(a)ブロック図、(b)フローチャートおよび(c)予備苗載台の動作説明図である。
【図30】予備苗載台の空き箱入れを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明の苗移植機の典型例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが苗移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0018】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0019】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0020】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0021】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0022】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ184等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0023】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0024】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(第1ロータ27aと第2ロータ27bの組み合わせを単にロータ27ということがある)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0025】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗載台38,38が鉛直方向に伸びた回動軸49a(図4,図5参照)を中心に機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0026】
一方の機体側面にある第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを上下三段に配置した場合の側面図を図3に示し、第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを同一平面に配置した場合の側面図を図4に示し、第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを同一平面に配置した場合の平面図を図5に示し、第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを機体前方から見た正面図を図6に示す。
【0027】
予備苗載台38はそれぞれ傾斜支持部材で上下三段に構成され、最上段の第1予備苗載台38a、第2予備苗載台38b及び第3予備苗載台38cからなっている。最上段の第1予備苗載台38aの中央部側面と第2予備苗載台38bの最前部側面がそれぞれ回動軸38a1,38b1の回りに回動自在に第1移動リンク部材39aの両端で支持され、また最上段の第1予備苗載台38aの最後部側面と最下段の予備苗載台38cの最前部側面が第2移動リンク部材39bの両端でそれぞれ回動軸38a2,38c1の回りに回動自在に支持され、また第2予備苗載台38bの中央部側面が回動軸38b2の回りに回動自在に前記第2移動リンク部材39bの中央部で支持され、さらに第2予備苗載台38bの最後部側面と最下段の第3予備苗載台38cの中央部側面とがそれぞれ回動軸38b3,38c2の回りに回動自在に第3移動リンク部材39cの両端で支持されている。
【0028】
第2予備苗載台38bは機体に固定されており、第2予備苗載台38bを中心とし、その上下に第1予備苗載台38aと第3予備苗載台38cが配置され、全体として上下三段に配置される状態と第2予備苗載台38bを中心とし、その前後に第1予備苗載台38aと第3予備苗載台38cがそれぞれ配置され、全体として第1移動リンク部材39a,第2移動リンク部材39b,第3移動リンク部材39cをほぼ同一平面上に配置替えすることができる。すなわち、第2移動リンク部材39bは、その中央部が第2予備苗載台38bの中央部の両側に設けられた回動支点により支持されているので、第2移動リンク部材39bを回動させて、第1、第3予備苗載台38a,38cを第2予備苗載台38bの前後に移動させて、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に配置することで広い苗トレイ載置平面が得られる。
【0029】
また、第1移動リンク部材39aの第2予備苗載台38bの前端部との連結部側、第2移動リンク部材39bの第1予備苗載台38aの後端部側の連結部側、第2移動リンク部材39bの第3予備苗載台38cの前端部側の連結部側及び第3移動リンク部材39cの第2予備苗載台38bの後端部側の連結部側は、それぞれ第1移動リンク部材39a,第2移動リンク部材39b,第3移動リンク部材39cの長手方向に対して直角に折れ曲がって各リンク部材39a,39b,39cに設けられた短い第1,第2,第3補助リンク45a,45b,45cを介して第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cに回動自在に連結している。また、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの左右側面には苗トレイの落下を防ぐ第1,第2,第3仕切板48a,48b,48cを配置している。
【0030】
さらに第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に並べて配置するとき(図4)には、最前部に位置する第1予備苗載台38aの前辺と最後部に位置する第3予備苗載台38cの後辺にそれぞれの平面より上方向に立ち上った第1ストッパ47a、第6ストッパ47fが立ち上がっているので、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に並べて配置するときに、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38c上に載置された苗トレイが滑り落ちることがない。
【0031】
また第1移動リンク部材39aの第2予備苗載台38bの前端部との連結部にある短い第1補助リンク45aと、第2移動リンク部材39bの第1予備苗載台38aの後端部との連結部にある短い第2補助リンク45bと、第2移動リンク部材39bの第3予備苗載台38cの前端部との連結部にある短い第3補助リンク45cと、第3移動リンク部材39cの第3予備苗載台38cの後端部との連結部にある短い第4補助リンク45dにはそれぞれ第3、第2、第4、第5ストッパ47c,47b,47d,47eが設けられている。
【0032】
そして第3、第2、第4、第5ストッパ47c,47b,47d,47eは、それぞれ左右一対の第1、第2、第3補助リンク45a,45b,45c,45dと一体に固着されており、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cが上下三段配置されるときに第1、第2、第3、第4、第5、第6ストッパ47a,47b,47c,47d,47e,47fは図3に示すように全て立ち上がっているので、苗トレイが各ストッパ47a,47b,47c,47d,47e,47fからずり落ちることを防ぐ。
【0033】
また、図4に示すように第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に並べて配置するときには第2、第5ストッパ47b、47eが第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cの上平面より下方に移動し、第1、第6ストッパ47a、47fが立ち上がっているので、苗トレイは第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に障害物が無い状態で載置でき、また第1、第6ストッパ47a、47fで滑り落ちることがない。
【0034】
また、図6に示すように第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39cは、機体への支持部材49の内側に配置されているので、上下三段の予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上の一段に配置替えする場合に第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39cが回動する過程で操縦者などが稼動する第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39cなどに挟み込まれるおそれがない。
【0035】
しかも、これらの第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39cを回動させる操作をワンタッチで行うことで、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを、通常の上下三段に配置される状態と同一平面状に一段に配置替えすることができる。
【0036】
この第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cの段数の変更は、作業(圃場条件含む)形態により切り替える。例えば、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを苗トレイなどの補給時には同一平面上に並べ、また苗植付作業時には上下三段とする。また圃場条件が、例えば高畦などで第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを機体の外方又は前方に拡げられないときは上下複数段とし、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを機体の外方又は前方に展開するのに支障がないときには第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを展開して一段とする。
【0037】
また、上下三段からなる第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを前後に一段の平面状にする切り換えは、苗トレイを載せたまま行うことができる。
【0038】
また、3つの第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cに代えて2つの第1、第2予備苗載台38a,38bを用いて上下二段又は同一平面上に並べた構成を採用してもよい。
【0039】
予備苗載台38a,38b,38cを用いる場合と予備苗載台38a,38bを用いる場合にも、上下三段又は上下二段又は同一平面上に並べ替えるときには第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39c又は第1、第2移動リンク部材39a,39bは第1予備苗載台38aを機体前方に配置する構成、又は第1予備苗載台38aを機体後方に配置する構成のいずれでも良い。
【0040】
また第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bを用いる場合に上下三段又は上下二段又は同一平面上に並べ替えるときには第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39c又は第1、第2移動リンク部材39a,39bの作動を電動モータ(図示せず)で行ってもよい。このときには電動モータの作動スイッチはオペレーター側とオペレーターとは苗移植機周りの別の場所に居る補助者側の2個所に設けると作業性がよい。
【0041】
上記第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bは支持部材49の回動軸49a(図4,図5)の回りに鉛直方向の仮想回転軸を中心に回転させて機体内側、外側どちらでも鉛直方向に回転可能な構成とすることができる。こうして第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bを畦際に近づけることができる。
【0042】
また、図7(a)の側面図、図7(b)の正面図に示すように、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bを用いる場合に、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bの回動ロック板73aを回動させる回動ロックレバー73bを第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bの回動方向と合わせ前後方向に回動操作することができる。
【0043】
回動ロックレバー73bの操作により、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は予備苗載台38a,38bの回動と同時に回動ロック板73aを操作することができるので、切替操作を何度も行う必要が無く、作業能率が向上する。このとき苗枠回動ロックレバー73bを予備苗載台38a〜38c又は予備苗載台38a,38bの支持部材49の回動ロックピン73cの位置に設けた。このとき苗枠回動ロックレバー73bのロック状態で前側(畦側)に伸びる構成とすることで、前記回動ロックレバー73bを畦側からも田植機側でも行える。なお、支持部材49と予備苗載台38bを補強板73eで接続している。
【0044】
回動ロック板73aは、移動リンク39bの中央で該リンク39bと一体で回動する中間軸38b1と一体回動する。回動ロックレバー73bは、支持部材49に前後回動自在に取り付けられています。回動ロックピン73cは、支持部材49に進退自在に取り付けられ、ケーブル73dを介して回動ロックレバー73bに連結されている。回動ロック板73aには、回動ロックピン73cが入る孔がある。予備苗載台38a,38b,38cが上下複数段に配置された状態で回動ロックピン73cが回動ロック板73aの前記孔に入って回動ロック板73aの回動を規制する。
【0045】
<電動式予備苗載台>
上で述べたように、予備苗枠としての予備苗載台38において、そのリンク機構を電動モータで作動させることも可能である。このときの予備苗載台38の構成例を図8,図9に示す。ここでは、予備の苗を積載する複数の予備苗載部材である第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを上下三段に並べた「収納状態」の予備苗載台38と、第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを前後一列・同一平面に並べた「展開状態」の予備苗載台38とを重ねて図示している。
【0046】
第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの回動軸ax1,ax2は、走行車体2の前側に設けられた支持フレーム49上部の取付支柱49p1,49p2によりそれぞれ支持されている。そしてこの電動式の予備苗載台38には、正転/逆転して駆動力を発生する切替アクチュエータとしての切替モータ300mと、切替モータ300mから駆動力が与えられると回動軸ax1周りに第2移動リンク部材39bを回動させる回動部材としての回動ギア300gとからなる切替装置300が設けられている。
【0047】
作業者が切替モータ300mを作動させると、切替モータ300mの駆動力が回動ギア300gに伝わって第2移動リンク部材39bが回動軸ax1周りに回動し、これにともなって、予備苗載台38の「展開状態」と「収納状態」とが自動的に切り替わる。切替装置300の切替モータ300mを作動させると回動ギア300gに駆動力が伝わり、予備苗載台38を自動的に「展開状態」と「収納状態」とに切り替えることができるので、作業者が手作業で予備苗載台38の切り替えを行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0048】
また、図示は省略するが、切替モータ300mが作動を停止する位置を0〜100%の間で任意に指定することが可能な停止位置調節部材としての調節ダイヤルを設けておき、この調節ダイヤルにより指定された位置で切替モータ300mが作動停止するように構成することで、切替モータ300mの作動を調節ダイヤルにより任意の位置で停止させることができるので、予備苗載台38を「展開状態」と「収納状態」との動作途中で停止させ、予備苗載台38の端部が圃場端にぶつからない程度に予備苗載台38を「展開状態」とすることにより、予備苗載台38の破損を防止しつつ苗の積み込みを容易にすることもできる。
【0049】
<第1〜3予備苗載台の形状>
次に図8,図9に示した第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの形状について説明する。第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの形状は、図10に示すように、以下の(1)〜(7)の特徴を持つ。
【0050】
(1) 第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの前側端部に、前方に向かって突出する前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fを形成。
(2) 第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの後側端部に、後方に向かって突出する後側突出部38a−R,38b−R,38c−Rを形成。
(3) 予備苗載台38を「展開状態」に切り替えると、機体前側に位置する第1,第2予備苗載台38a,38bの後側突出部38a−R,38b−Rが、機体後側に位置する第2,第3予備苗載台38b,38cの前側突出部38b−F,38c−Fと側面視で重複する構成。
(4) 前側突出部38b−F,38c−Fの左右間で且つ第2,第3予備苗載台38b,38cの底部に、前側の第1,第2予備苗載台38a,38bの後側突出部38a−R,38b−Rを受ける受け部材38b−S,38c−Sを配置。
(5) 前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fを後上り傾斜姿勢に形成。
(6) 前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fの後部の上面を第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの苗載面よりも上位に形成。
(7) 後側突出部38a−R,38b−R,38c−Rを第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの苗載面よりも上位で、且つ前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fの上面と同じか、上面より下位に形成。
【0051】
上記形状の意図は次の通りである。
図11のように、予備苗載台38を「展開状態」としたときに、前側の第1,第2予備苗載台38a,38bの後側突出部38a−R,38b−Rが後側の第2,第3予備苗載台38b,38cの前側突出部38b−F,38c−Fに設けた受け部材38b−S,38c−Sに接触して受け止められることにより、第1,第2予備苗載台38a,38bが下がり過ぎることを防止でき、図12(a),(b)の側面図に示すように、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cを略直線状に並べることができる。
【0052】
これにより、図13(a),(b)に示すように、前方から苗箱Bを押して後方に移動させることができるが、このとき、前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fを後上り傾斜姿勢とすると共に、前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fの後部の上面を第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの苗載面よりも上方に位置させたことにより、機体前側から押される苗箱Bは前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fの上面を滑って第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38c上に移動できるため、苗箱Bが前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fに引っ掛かって動かなくなることが無い上に、別途ストッパを取り付ける必要が無くなる。
【0053】
なお、前側突出部38a−F,38b−F,38c−Fと後側突出部38a−R,38b−R,38c−Rは、予備苗載台38の「収納状態」時には苗箱Bを受け止めるストッパになる。また、左右方向への移動規制は、左右の側板38a−G,38b−G,38c−Gが行う。
【0054】
<苗積載の有無に応じた作動制限>
図14(a)に示すように、第1〜3予備苗載台38a〜38cにおける苗箱Bの正常な積載の有無を検知する苗検知部材としての予備苗載台スイッチ431を設けて予備苗載台38を構成している点に本発明の特徴の一つがある。つまり、図13のように、第1〜3予備苗載台38a〜38cに苗箱Bが順次積載され、このとき例えば図14(a)〜(c)に示すように、第1〜3予備苗載台38a〜38cの前後にそれぞれ設けた予備苗載台スイッチ431−1〜431−6が6つ全てONにならないと(ステップST31〜ST33の少なくとも1つのステップでNO)、予備苗載台38の作動スイッチなどから切替信号が伝わってきても、マイコン400は切替装置300の切替モータ300mの作動操作を受け付けず、電動式の予備苗載台38を作動させない(ステップST34)。
【0055】
図13で説明したように、苗箱Bが第1〜3予備苗載台38a〜38cに正常に積載されると、苗箱Bが予備苗載台38から落下したり挟み込んだりしない位置となって予備苗載台スイッチ431−1〜431−6が苗箱Bの重みにより全て押された状態となり、この場合は、予備苗載台38を開閉しても苗箱Bの落下等を防ぐことができる。このように、予備苗載台38に苗検知部材を設けることにより、予備苗載台38に積載された苗箱Bの有無に合わせてマイコン400が切替モータ300mの作動の受付を切り替えることができるので、予備苗載台38の誤操作が防止される。
【0056】
ここで、予備苗載台スイッチ431は、上のように6つの予備苗載台スイッチ431−1〜431−6により構成しても良いが、「展開状態」で最前に位置する第1予備苗載台38aの前部と、「展開状態」で最後に位置する第3予備苗載台38cの後部の両端にそれぞれ予備苗載台スイッチ431−1,431−6の2つを設ければ良く、これらの予備苗載台スイッチ431−1,431−6が苗箱Bの積載を検知したときに、マイコン400が切替モータ300mの作動を受け付ける構成としてもよい。予備苗載台スイッチ431の数が減るため、コストダウンを図ることができると共に、マイコン400の制御構成を簡略化することができる。
【0057】
これにより、苗箱Bの積込作業中に誤操作により予備苗載台38を「収納状態」にしてしまうことを防止できるので、積込作業を能率的に行える。なお、苗箱Bが予備苗載台スイッチ431−1,431−6に検知されないほど大幅にはみ出した姿勢で予備苗載台38に積載された場合には、苗箱Bは図13で説明したような正常な積載となっておらず、例えば前側突出部38a−Fや後側突出部38c−R等により第1〜3予備苗載台38a〜38cの苗載面から浮いた状態となって予備苗載台スイッチ431−1,431−6がONとならず、マイコン400は切替モータ300mを作動させない。このため、予備苗載台38の誤操作によって苗が落下することを防止でき、落下した苗を拾う作業が不要となり、作業能率が向上する。
【0058】
さて、切替装置300により「展開状態」と「収納状態」とを自動的に切替可能な電動式の予備苗載台38を備えた図8の苗移植機において、以下に示す機能を追加することも可能である。
【0059】
<苗タンク折り畳み状態に応じた作動制限>
この田植機1は、運搬時や格納時に苗植付部4の左右幅を縮小させるための構成が各所に施されている。まず、苗載台51の左右端部を折り畳む構成について説明する(図16〜図20参照)。
【0060】
左から3番目の苗載部51−3と4番目の苗載部51−4を仕切る仕切壁581−4は、内側の部位581aと外側の部位581bとに分割されており、内側の部位581aは中央部の苗載部51−4〜51−8と一体に形成され、外側の部位581bは左外側3条の苗載部51−1,51−2,51−3と一体に形成されている。この仕切壁581−4は、仕切壁581−9を除く他の仕切壁よりも苗載面に対して高く形成されている。そして、両部位581a,581bの上端部に形成した筒状部620a,620b,…に1本の回動軸621を挿通して設け、この回動軸621を中心として左外側3条の苗載部51−1,51−2,51−3を上側内向きに反転させ、当該部分を左から4番目乃至6番目の苗載部51−4,51−5,51−6の上に重なり合う状態に折りたたむようにしている。左から5番目乃至7番目の仕切壁581−5,581−6,581−7に設けた支柱617,…の頂部には凹状の支柱受け622,…が固着されており、左外側3条の苗載部が折りたたまれたとき仕切壁581−1,581−2,581−3に設けた支柱617,…の頂部がこの支柱受け622,…に係合する。
【0061】
また、右から2番目の苗載部51−9と3番目の苗載部51−9を仕切る仕切壁581−9は、内側の部位581aと外側の部位581bとに分割されており、内側の部位581aは中央部の苗載部51−4〜51−8と一体に形成され、外側の部位581bは右外側2条の苗載部51−9,51−10と一体に形成されている。この仕切壁581−9は仕切壁582−4よりも更に苗載面に対して高く形成されている。そして、両部位581a,581bの上端部に形成した筒状部620a,620b,…に1本の回動軸621を挿通して設け、この回動軸621を中心として右外側2条の苗載部51−9,51−10を上側内向きに反転させ、当該部分を右から3番目と4番目の苗載部51−7,51−8の上に重なり合う状態に折りたたむようにしている。一番左側の仕切壁581−1の底面に凹状の支柱受け622が固着されており、右外側2条の苗載部が折りたたまれたときに一番右側の仕切壁581−11に設けた支柱617の頂部がこの支柱受け622に係合する。また、仕切壁581−8の設け支柱617の頂部と仕切壁581−10に設けた支柱617の頂部を補助支柱623で連結して、苗載部51−9,51−10を支える。
【0062】
なお、前記筒状部の配置に関し、筒状部620a,620bは上下3組に分けて配置され、上から620b,620a,620b,620a,620a,620bの順に並んでいる。また、上2組の筒状部620a,620b間には隙間がないが、最下部の筒状部620a,620bには隙間Sが設けられている。これは次の理由による。すなわち、苗受板583のL状本体部583bは側面視で鋭角になっているので、左外側3条の苗載部51−1,51−2,51−3及び右外側2条の苗載部51−9,51−10をそのままの位置では反転させることができず、L状本体部583bとの干渉を避けるために苗載台の傾斜に沿って隙間S分だけ押し上げた状態で上記苗載部を反転させるためである。
【0063】
図19における582は前記横枠で、この横枠は中央部の苗載部51−4〜51−8と左右外側部の苗載部51−1,51−2,51−3(或は51−9,51−10)の境界部近傍で中央部分582Aと外側部分582Bに分離している。そして、中央部分582Aの左右両端部に前記取付部材588が固着されていると共に、外側部分582Bの内端部に取付部材588に対向させて固定部材624が固着されている。固定部材624には左右に貫通する丸孔625が穿設され、また取付部材588には前記丸孔625の延長線上にねじ孔626が穿設されている。先端部にねじが切られた固定棒627を外側から固定部材624の丸孔625に挿入し、その先端ねじ部を取付部材588のねじ孔626に螺合させることにより、左右外側部の苗載部51−1,51−2,51−3(或は51−9,51−10)を中央部の苗載部51−4〜51−8に固定する。なお、固定棒627の適所に小径部627aが形成されており、左右外側部の苗載部を折りたたむに際して固定棒627をねじ孔626から引き抜くと、この小径部627aにノックピン628の先端が係合するため、固定棒627がそれ以上抜けないようになっている。小径部627aの外側の壁面はテーパ状になっているので、固定棒627を押し込むことはできる。図中の629はノックピン628を固定棒627側に付勢するスプリングである。
【0064】
図20における631は苗載台の裏面上部に設けた横パイプで、この横パイプも中央部の苗載部51−4〜51−8と左右外側部の苗載部51−1,51−2,51−3(或は51−9,51−10)の境界部近傍で中央部分631Aと外側部分631Bに分離している。そして、中央部分631Aの中空部内端側に雄ねじ部材632が嵌装されている。先端部にねじ孔633が形成された固定棒634を外側から横パイプ631内に挿入し、そのねじ孔633を雄ねじ部材632に螺合させることにより、左右外側部の苗載部51−1,51−2,51−3(或は51−9,51−10)を中央部の苗載部51−4〜51−8に固定する。この固定棒634の抜落ち防止機構は、前記固定棒627のそれと同様で、スプリング636で付勢されたノックピン637を固定棒634の小径部634aに係合させるようになっている。
【0065】
左右外側部の苗載部を展開した状態では、中央部の苗縦送り装置601Aと左右外側部の苗縦送り装置601Bが伝動連結されるように構成されている(図16参照)。すなわち、中央部の苗縦送り装置601Aのローラ駆動軸603aAは、その内端部に駆動アーム607がラチェット機構608を介して取り付けられていると共に、外端部にクラッチ爪を備えた駆動クラッチ体640が一体に取り付けられている。駆動クラッチ体640には、外側部のローラ駆動軸603aBに取り付けた従動クラッチ体641が咬み合うようになっている。従動クラッチ体641は、外側部のローラ駆動軸603aBに一体回転するように嵌合し、かつ軸心方向に摺動可能で、スプリング642によって軸端側に付勢されている。したがって、両クラッチ体640,641を連結する際に、双方のクラッチ爪同士が突き合っても、従動クラッチ体641が逃げることができるので、両クラッチ体640,641の位相が合っていなくても無理なく連結すると共に、迅速に咬み合い状態になる。
【0066】
苗載台支持フレーム585は、図15に示すように、ユニット伝動部562−2,562−4に基部が固着された縦フレーム585a,585aの上部に横フレーム585bを水平に設け、該横フレームの左右端部に回動フレーム585c,585cを回動自在に設けた構成で、縦フレーム585a,585aの上端部に中央部の苗載部51−4〜51−8を支持するローラ586,586が取り付けられ、また回動フレーム585c,585cの先端部に左右外側の苗載部51−1,51−2,51−3(或は51−9,51−10)を支持するローラ586,586が取り付けられている。
【0067】
左右外側の苗載部を支持するローラ586は、図21に示すごとく、そのローラ軸586aが回動フレーム585cのローラ軸孔に軸方向に摺動自在に嵌合しており、ローラ軸586aに遊嵌するスプリング586bにて回動フレーム585cから離れる方向に付勢されローラ軸586aに挿通した割りピン586cによって抜止めされている。ローラ軸586aの端部には、指掛け586dが固着されている。この指掛け586dに指を掛けてローラ軸586aを下方に引き下げると、ローラ586が上部レール587のコ字状凹部から外れる。
【0068】
横フレーム585bと回動フレーム585cの連結部は、横フレーム585b側の軸585dに回動フレーム585c側の筒部585eが回動自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合している。筒部585eには波状のカム585fが一体に形成されており、軸585dに直交させて挿通したピン585gがこのカム585fに接当するようにスプリング585hによって筒部585eが上向きに付勢されている。常時は、カム585fの凹部にピン585gが係合し、回動フレーム585cが左右側方を向く状態で安定するようになっている。その安定状態よりも回動フレーム585cが苗載台側に回動しないようにするストッパ585iがカム585fに固着されている。
【0069】
更に、前記外側2条部分の苗送りベルト作動停止用ワイヤ612の中間部が、回動フレーム585cの適所に固定されている。このため、左右外側の苗載部を支持するローラ586が上部レール587のコ字状凹部から外れた状態で苗載台の外側2条部分を折りたたむと、ワイヤ612に引かれて回動フレーム585cが後方に回動する。この時、ピン585gが波状のカム585fに沿って摺動するため、回動フレーム585cの回動は滑らかに行われる。
【0070】
こうして、苗を植付条列ごとに載置する苗載部51−1,51−2,……としての苗タンク51t,……を左右方向に複数並べて苗植付部4の苗載台51を構成し、例えば8条構成以上の苗載台51には、苗載台51の中央に位置する6条分の苗タンク中央部51t,……の左右両側に折り畳み式苗載部の苗タンク延設部51t,……を設け、苗タンク中央部51t,……に対して外側端部の苗タンク延設部51t,……を左右方向内側に向けて回動自在に構成する。
【0071】
このとき、図22(a)に示すように、苗タンク延設部51t,……が苗植付部4の苗載台51の外側端部に位置する「作業状態」と、苗タンク延設部51t,……が折り畳まれて苗植付部4の苗載台51の左右方向内側に位置する「非作業状態」とを検知する苗タンク検知部材としての苗タンク折り畳み検知センサ432を設けておく。そして図22(b)において、マイコン400は、苗タンク折り畳み検知センサ432が「非作業状態」を検知しているときには切替モータ300mの作動操作を受け付けず(ステップST35〜ST34〜ST36のループ)、苗タンク折り畳み検知センサ432が「作業状態」を検知しているときには切替モータ300mの作動操作を受け付けるようにする。
【0072】
このようにすることで、苗タンク延設部51t,……が折り畳まれているときは予備苗載台38は動作せずに3段の「収納状態」のままとなり、苗タンク延設部51t,……が開いているときは予備苗載台38は「展開状態」に切り替わる。よって、苗移植機1を作業場所まで搬送するときや、苗タンク延設部51t,……を折り畳んで苗移植機1を倉庫などに収容する際、予備苗載台38を誤操作により「展開状態」にしてしまい、周囲にある物に予備苗載台38接触して破損する、あるいは周囲の物を破損させることを防止することができる。
【0073】
<ブロア折り畳み状態に応じた作動制限>
同様に、施肥装置5のブロア58の折り畳み状態に対応して予備苗載台38の作動を制限するようにしても良い。つまり、図23(a)に示すようにブロア58の折り畳み部にブロア状態検知センサ433を設けておき、図23(b)において、ブロア58が折り畳まれていることをブロア状態検知センサ433が検知している間はマイコン400が予備苗載台38を作動させないようにする(ステップST37〜ST34〜ST38のループ)。ブロア58を折り畳んで苗移植機1を倉庫などに収容する際、予備苗載台38を誤操作によって開いて破損することを防ぐことができる。
【0074】
<線引きマーカの「収納状態」に応じた作動制限>
図24に示すように、線引きマーカ184は、前記レール防護フレーム273の内側部分273aに起立・転倒可能に取り付けられるマーカアーム274と、該マーカアーム274の先端部に略直角方向に設けたマーカ軸275と、該マーカ軸275の先端部に回動自在に設けたマーカ体276とを備えている。尚、マーカ体276は、その外周に突出する複数の跡付け部276aを備えている。前記マーカ軸275の先端は線引き作用時に左右方向へ向くよう略直角に屈曲しており、マーカ体276が接地して回転することにより、該マーカ体276の跡付け部276aが次行程における機体のセンターライン上の圃場に跡を付けていく。マーカ軸275は、筒軸277を介してマーカアーム274に取り付けられ、マーカアーム274に固着したストッパ278により前記筒軸277の回動が規制されて、マーカ体276がマーカアーム274に対して所定位置より後側にのみ移動可能となるようマーカアーム274の軸心回りに所定位置より後側でのみ回動自在に設けられている。尚、マーカアーム274の前記ストッパ278とマーカ軸275との間に設けたトルクスプリング279により、マーカ軸275を前側へ回動付勢している。
【0075】
図24に示すように、前記マーカアーム274が起立・転倒するときの該アーム274先端の回動軌跡Tは側面視で後下がりに傾斜しており、前記マーカ軸275は、マーカ体276がより後側に位置するように線引き作用時において前記回動軌跡Tより下へいくほど後側に位置するように大きく前倒れ姿勢に傾斜している。これにより、機体の前進でマーカ体276が圃場面から受ける抵抗によりマーカ軸275が座屈しにくいようにすると共に、マーカ体276ができるだけ後寄りに位置するようにして、非線引き状態に切り替えるべくマーカアーム274を起立回動させたときにマーカ体276による泥はねが前側の座席31に座る作業者に降りかからないように構成している。しかも、線引き作用時においてマーカ軸275をマーカアーム274先端の回動軌跡Tより前倒れ姿勢に傾斜させているので、マーカアーム274を起立回動させたときにその回動終端でマーカ軸275は慣性力によりトルクスプリング279に抗して前記回動軌跡Tより後側に回動するようになり、マーカ体276による泥はねが前記回動軌跡Tより後側に作用するようになり、前側の座席31に座る作業者に泥が降りかかることを防止している。尚、この構成により、苗植付部4を後輪11,11すなわち走行車体2側に近づけてレイアウトすることができる。特に、上述のように回動する形態のマーカ体276は泥が付着しやすく、泥はねが生じやすいが、従来は特開2001−78514号公報に示されるように、マーカアームの起立時にマーカ体が苗載台の前側へ収容できるようにマーカ体をマーカアーム先端の回動軌跡より前側に配置していた。
【0076】
マーカ軸275は、この軸心回りに回動しないようにマーカアーム274側に設けた規制ピン280により規制されている。尚、規制ピン280がマーカ軸275と一体の位置決めプレート281に設けた通常位置用孔281aに挿入されることにより、マーカ軸275は規制される。前記位置決めプレート281には収納位置用孔281bも設けており、規制ピン280を引き抜いてマーカ軸275を軸心回りに略直角に回動させて前記収納位置用孔281bに挿入することにより、マーカ体276がマーカ軸275回りに略直角に回動した状態で固定することができる。このように、マーカ体276を回動させることにより、側面視においてマーカ体276を苗載台51に沿って幅狭にでき、路上走行時や機体格納時等、線引きマーカ184を使用しないとき、マーカ体276を苗載台51の前側へ侵入させて収納することができる。尚、この収納にあたっては、苗植付部4側に設けたフック(図示せず)にマーカアーム274を係止するべく回動させて行うようにすればよい。これにより、従来のようにマーカ体276を取り外す必要もなく、線引きマーカ184を機体の左右方向内側に収納でき、機体の左右幅を縮小することができる。このとき、マーカ体276がレール防護フレーム273の端部より左右内側に収納されるようになるので、マーカ体276が畦等の他の構造物と干渉するようなことを抑えることができ、線引きマーカ184の破損を防止することができる。
【0077】
以上、起立した線引き部材の線引きマーカ184を「収納状態」として支持する支持部材としての線引きマーカ収納フックに対し、図27(a)に示すように、線引きマーカ184が線引きマーカ収納フックにより「収納状態」であることを検知する収納検知部材としての線引きマーカ検知センサ434を苗植付部4に設けておき、線引きマーカ検知センサ434が線引きマーカ184の「収納状態」を検知している間は、マイコン400が切替モータ300mを作動させず予備苗載台38を開かせないように制御しても良い(ステップST39〜ST34〜ST40のループ)。
【0078】
線引きマーカ184の「収納状態」に対応してマイコン400が予備苗載台38の切替モータ300mの動作を決める構成とし、線引きマーカ184の「収納状態」は「作業状態」ではないとマイコン400が判断して予備苗載台38を開かないようにすることで、苗移植機1を作業場所まで搬送するときや倉庫等に収容する際、誤操作により予備苗載台38を「展開状態」にしてしまい、予備苗載台38が周囲にある物に接触して破損する、あるいは周囲の物を破損させることを防止できるようになる。
【0079】
<線引きマーカ収納用固定フック>
図28(a),(b)に示すように、線引きマーカ184を収納するための固定フック276sを第1予備苗載台38aの第1仕切板48aに設け、該固定フック276sに機体収納時や畦際に壁があり取り外す必要がある時に取り外した線引きマーカ184のマーカ軸275を挟み込ませて支持する構成としても良い。
【0080】
上記構成により、線引きマーカ184を取り外したとき、線引きマーカ184を機体に固定して収納しておくことができるので、作業中や収納中に線引きマーカ184が転がって機外に移動してしまうことが防止され、線引きマーカ184を探す余分な作業が省略される。特に野外の作業中は圃場の凹凸で機体が揺れたり、強風が吹いたりして飛ばされやすいため、挟んで固定する上記構成は効果が高い。
【0081】
なお、固定フック276sは第1仕切板48aの機体外側に設けると、収納時に線引きマーカ184を着脱する際、作業者は機体上に上がることなく固定フック276sに線引きマーカ184のマーカ軸275を着脱することができるので、作業能率が向上する。
【0082】
また、第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39cに固定フック276sやマーカ軸275が干渉することがないので、線引きマーカ184を予備苗載台38に取り付けたまま操作しても予備苗載台38や線引きマーカ184が破損することを防止できる。
【0083】
<予備苗載台の照明制御>
開閉動作中の予備苗載台38をライトで照らすようにしても良い。例えば図29(a),(c)に示すように、予備苗載台ギアモータ、つまり切替モータ300mの作動を検知する予備苗載台ギアモータ検知センサ451と、予備苗載台38を上方から照らすライト452とを設けておく。該ライト451は、支持部材49に支持され、最上段となる第1予備苗載台38aよりも上方に配置されている。
【0084】
そして図29(b)において、マイコン400は、切替モータ300mが作動中であることを予備苗載台ギアモータ検知センサ451が検知している間は、ライト452を点灯させる(ステップST41〜ST43のループ)。開閉動作中の予備苗載台38がライト452によりライトアップされることにより、作業者に注意を促すことができ、また、暗い場所であれば、作業中、予備苗載台38の動きを確認できるので危険を察知しやすくなる。
【0085】
<予備苗載台の空き箱入れ>
マット苗を苗植付部4に補充した跡に残る苗箱は、機体上に置いておくか、機体上に空箱収容容器を設けてその中に収容している。しかしながら、機体上に置いておくと、作業者が機体から乗り降りするときや苗の補充作業を行う際等に移動を妨げる原因となり、作業能率が低下する。一方、空箱収容容器を設けると、苗箱は空箱収容容器の中にのみ位置することになるが、この空箱収容容器を載置した箇所は移動不能になり、作業者の機体上での移動は制限されてしまう。苗箱収容容器を小さくすればこの問題はある程度解消できるが、今度は苗箱の収容量が減ってしまい、頻繁に苗箱を畦際に置きに行かねばならず、作業能率が低下してしまう。
【0086】
上記の問題を回収すべく、図30に示すように、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの下部に前後の取付ボス701a1,701a2、701b1,701b2、701c1,701c2を設け、該取付ボス701a1,701a2、701b1,701b2、701c1,701c2に空箱もしくはマット苗を載置した苗箱を積載する平面視コの字形上の第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702cの端部を機体左右方向に摺動自在に差し込む構成としてもよい。
なお、該第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702cは機体外側に引き出す構成とする。
【0087】
上記構成により、予備苗載台38に苗を載せているときは第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702cを機体内側に移動させておき、予備苗載台38に載置していた苗を苗植付部4に補充して空箱が発生すると、第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702cを機体外側に引き出して、第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702c上に空箱を載置することができるので、機体上に空箱を放置したり、移動場所を制限してしまう空箱収容容器を設ける必要がなくなるので、作業者は機体上を自由に移動することができ、作業能率が向上する。
【0088】
また、第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702cを使用するときは機体外側に引き出すことにより、走行車体2上に第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702cが位置しないので、作業者の移動が妨げられることが無く、いっそう作業能率が向上する。
【0089】
なお、第1,第2補助載置トレイ702a,702bの機体外側の前後方向の長辺部分702aL,702bLに、第1,第2ブリッジプレート703a,703bを前後方向に回動自在に取り付ける構成としても良い。該第1,第2ブリッジプレート703a,703bの前後長さは、第1,第2ブリッジプレート703a,703bを機体後方に回動させると第2,第3補助載置トレイ702b,702cの前側端部上に接触する長さとする。
【0090】
上記により、第1補助載置トレイ702aと第2補助載置トレイ702bが第1ブリッジプレート703aで連結されると共に、第2補助載置トレイ702bと第3補助載置トレイ702cが第2ブリッジプレート703bで連結されるので、空箱を機体後側から機体前側に押して移動させることができるので、作業能率が向上する。
【0091】
また、機体前側から機体後側にマット苗を積載した苗箱を押して移動させることができるので、作業能率が向上すると共に、第1,第2,第3補助載置トレイ702a,702b,702cにも苗箱を載置しておくことができるので、苗の積載量が増え、苗を補充しに畦際に戻る頻度が減少するため、作業能率が大幅に向上する。
【符号の説明】
【0092】
1 施肥装置付き乗用型田植機
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 苗植付部
5 施肥装置
10 前輪
11 後輪
12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース
15 メインフレーム
18 後輪ギヤケース
20 エンジン
21 ベルト伝動装置
23 HST
25 植付クラッチケース
26 植付伝動軸
27 ロータ
27a 第1ロータ
27b 第2ロータ
28 施肥伝動機構
30 エンジンカバー
31 座席
32 フロントカバー
34 ハンドル
35 フロアステップ
36 リヤステップ
38 予備苗載台
38a 第1予備苗載台
38b 第2予備苗載台
38c 第3予備苗載台
38a1,38a2,38b1,38b2,38b3,38c1,38c2 回動 軸
38a−F,38b−F,38c−F 前側突出部
38a−R,38b−R,38c−R 後側突出部
38a−S,38b−S,38c−S 受け部材
38a−G,38b−G,38c−G 側板
38a−T,38b−T,38c−T トレイ
39a 第1移動リンク部材
39b 第2移動リンク部材
39c 第3移動リンク部材
40 上リンク
41 下リンク
42 リンクベースフレーム
43 縦リンク
44 連結軸
45a〜45d 第1〜4補助リンク
46 昇降油圧シリンダ
47a〜47f 第1〜6ストッパ
48a〜48c 第1〜3仕切板
49 支持部材、支持フレーム
49a 回動軸
49p1,49p2 取付支柱 ax1,ax2 回動軸
50 伝動ケース
51 苗載台
51−1〜51−10 苗載部
51a 苗取出口
51b 苗送りベルト
51t 苗タンク
52 苗植付装置
52a 苗植付具
53 ブロア用電動モータ
55 センターフロート
56 サイドフロート
58 ブロア
59 エアチャンバ
60 肥料ホッパ
61 繰出部
62 施肥ホース
65 支持枠体
65a 支持ローラ
65b 両側辺部材
73a 回動ロック板
73b 回動ロックレバー
73c 回動ロックピン
73d ケーブル
73e 補強板
184 線引きマーカ
273 レール防護フレーム
273a 内側部分
274 マーカアーム
275 マーカ軸
276 マーカ体
276a 跡付け部
276s 固定フック
277 筒軸
278 ストッパ
279 トルクスプリング
280 規制ピン
281 位置決めプレート
281a 通常位置用孔
281b 収納位置用孔
300 切替装置
300m 切替モータ
300g 回動ギア
400 マイコン
431,431−1〜431−6 予備苗載台スイッチ
432 苗タンク折り畳み検知センサ
433 ブロア状態検知センサ
434 線引きマーカ検知センサ
451 予備苗載台ギアモータ検知センサ
452 ライト
581−1〜581−11 仕切壁
581a 内側の部位
581b 外側の部位
582 横枠
582A 中央部分
582B 外側部分
583 苗受板
583b L状本体部
585 苗載台支持フレーム
562−2,562−4 ユニット伝動部
585a 縦フレーム
585b 横フレーム
585c 回動フレーム
585d 軸
585e 筒部
585f カム
585g ピン
585h スプリング
585i ストッパ
586 ローラ
586a ローラ軸
586b スプリング
586c 割りピン
586d 指掛け
587 上部レール
588 取付部材
617 支柱
620a,620b,… 筒状部
621 回動軸
622,… 支柱受け
623 補助支柱
624 固定部材
625 丸孔
626 ねじ孔
627 固定棒
627a 小径部
628 ノックピン
629 スプリング
631 横パイプ
631A 中央部分
631B 外側部分
632 雄ねじ部材
633 ねじ孔
634 固定棒
634a 小径部
636 スプリング
637 ノックピン
601A 中央部の苗縦送り装置
601B 左右外側部の苗縦送り装置
603aA ローラ駆動軸
603aB 外側部のローラ駆動軸
607 駆動アーム
608 ラチェット機構
612 苗送りベルト作動停止用ワイヤ
640 駆動クラッチ体
641 従動クラッチ体
642 スプリング
701a1,701a2、701b1,701b2、701c1,701c2 取付ボス
702a,702b,702c 第1,第2,第3補助載置トレイ
702aL,702bL 長辺部分
703a,703b 第1,第2ブリッジプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行する走行車体(2)
この走行車体(2)の後部にリンク機構(3)を介して昇降部材(46)により昇降自在に設けられた苗植付部(4)
上記走行車体(2)の前部に設けられるとともに、予備の苗を積載する複数の予備苗載部材(38a,38b,38c)と、これら複数の予備苗載部材(38a,38b,38c)を回動自在に連結するリンク機構(39a,39b,39c)を備え、このリンク機構(39a,39b,39c)の動作により、上記複数の予備苗載部材(38a,38b,38c)が前後一列に並んだ「展開状態」と、上下多段に並んだ「収納状態」に切替可能な予備苗枠(38)
を設けた苗移植機において、
上記リンク機構(39a,39b,39c)を動作させ、上記「展開状態」と上記「収納状態」に切り替える切替装置(300)
上記予備苗載部材(38a,38b,38c)に積載された苗の有無を検知する苗検知部材(431)
この苗検知部材(431)の検知結果に応じて上記切替装置(300)の作動を規制する制御装置(400)
を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
走行車体(2)に設けられ、リンク機構(39a,39b,39c)の回動軸(ax1,ax2)を上部の取付支柱(49p1,49p2)により支持する支持フレーム(49)
上記回動軸(ax1,ax2)を中心に上記リンク機構(39a,39b,39c)を回動させる回動部材(300g)
この回動部材(300g)を回動させる切替アクチュエータ(300m)
この切替アクチュエータ(300m)の作動を任意の位置で停止させる停止位置調節部材
から切替装置(300)を構成したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
「展開状態」で最前に位置する予備苗載部材(38a)の前部と、上記「展開状態」で最後に位置する予備苗載部材(38c)の後部とに、これら予備苗載部材(38a,38c)における苗の積載の有無を検知する苗検知部材(431−1,431−6)をそれぞれ設け、
上記2つの苗検知部材(431−1,431−6)が苗の積載を検知している場合は、制御装置(400)が切替アクチュエータ(300m)の作動を許容する
構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
苗を植付条列ごとに載置する苗タンク(51t,……)を左右方向に複数並べて苗植付部(4)を構成するとともに、
この苗植付部(4)の外側端部の上記苗タンク(51t,……)を左右方向内側に向けて移動自在に構成し、
上記外側端部の苗タンク(51t,……)が上記苗植付部(4)の外側端部に位置する「作業状態」かどうかを検知する苗タンク検知部材(432)
この苗タンク検知部材(432)が上記「作業状態」を検知している場合は、制御装置(400)は切替アクチュエータ(300m)の作動を許容する
構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
次行程における走行車体(2)の進路を圃場に線引きする左右一対の線引き部材(184)を苗植付部(4)に起立・転倒可能に設けるとともに、
起立した上記線引き部材(184)を「収納状態」として支持する支持部材を苗植付部(4)に設け、
上記線引き部材(184)が上記支持部材により上記「収納状態」かどうかを検知する収納検知部材(434)
この収納検知部材(434)が上記「収納状態」を検知している場合は、制御装置(400)は切替アクチュエータ(300m)の作動を規制する
構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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