説明

茶園管理装置

【課題】小型(従来の略1/2程度の寸法、以下同じ)でなる鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームに可動可能に設けた小型でなる門形の可動側のフレームで構成した茶園管理装置のフレーム機構の前進及び/又は後退方向の双方に刃物台を装備可能とするとともに、この刃物台の刃物の刃先位置を変更可能とした茶園管理装置の提供。
【解決手段】走行部2に立設した鉛直側の柱体3に昇降自在に外嵌した昇降柱体4と、昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した略H形の鉛直側のフレーム1と、前記昇降柱体に設け、かつ第一・第二の柱体11,12を備えた可動自在の門形の可動側のフレームと、第一の柱体に枢着した刃物を支持する支持杆31と、支持杆の可動を司る刃物調整手段30と、また第二の柱体に枢着した他の刃物を支持する支持装置・固定機構・回転を司る回転機構で構成した茶園管理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型(従来の略1/2程度の寸法、以下同じ)でなる鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームに可動可能に設けた小型でなる門形の可動側のフレームで構成した茶園管理装置のフレーム機構の前進及び/又は後退方向の双方に刃物台を装備可能とするとともに、この刃物台の刃物の刃先位置を変更可能とした茶園管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、従来の茶樹で形成される茶畝は略1.8m幅に仕立てられ、この茶畝に対応可能な各種の茶園管理装置(大型茶園管理装置であり、以下全面刈り茶刈機とする)が市販されている。しかし、この大型茶園管理装置では、現場の茶園(圃場)において、下記のような問題点が指摘されている。
(イ)略1.8m幅仕立ての茶園を、半条刈り(全面刈りの略1/2である)茶刈機を介して片側ずつ摘採する方法では、その中心箇所が刈り残しや、深刈り等の状況になり易く、茶刈精度が劣ること、又は綺麗な茶園仕立てが困難視されること等の改良点がある。
(ロ)全面刈り茶刈機は価格が高く、またこの全面刈り茶刈機の部品の修理及び/又はメンテナンス(刃物修繕費等)が高く、ランニングコストが嵩む等の改良点がある。
(ハ)乗用式の全面刈り茶刈機においては、茶袋荷台に上がって茶袋交換作業をしなくてはならず、重労働であり、また危険性を伴うこと等の改良点がある。
(ニ)茶園の仕立てが大きくなると、肥料の届く距離が長くなり、肥料効率が劣ること、又は茶樹の根元への日射量が少なくなり、高品質のお茶の栽培には不向きであること等の改良点がある。
(ホ)全面刈り茶刈機は大型であるため、最小回転半径が大きくなり、枕地を多く必要とし、不都合であること、又は軽トラックへの搭載には難儀であること(不可能に近い)、さらに山間傾斜地では、細くて狭い道が多い圃場があるので、茶刈機の移動に難儀すること等の改良点がある。
【0003】
また周知の如く、従来の茶園管理装置には多様な使用目的があり、この装置に取付けられる刃物台には各種の刃物が取付けられる。例えば、摘採(茶刈)刃物、中刈刃物、整枝刃物等があり、その作業毎に取替える必要があり、厄介であること、取替え作業に時間を要すること等の問題があった。例えば、通常の茶刈機では、刈刃体が、刈刃支持ガイド板に対してガイドピンを用いて取付けられているため、このガイドピンを解除するとともに、往復駆動部を分解して駆動機構と刈刃体との接続部を解除する作業が必要となる。従って、刈刃体を茶刈機に取り付けるにあたっては、上下一対の刈刃体の隙間調整を要するものであり、この隙間調整作業を正確に行うには、高度の熟練を要すること、また作業に時間を要すること等の問題点がある。
【0004】
これらの問題点を解決するための先行文献としては、例えば、特開2002−360035の「着脱可能な刈刃ユニットを具えた茶刈機」がある(文献(1)とする)。この発明の概要は、適宜の駆動源によって往復駆動される刈刃体を備えてなる茶刈機に設けたモジュール化した刈刃ユニットにおいて、刈刃体を支持する刈刃支持ガイド板と、駆動源から伝達される動力を刈刃体の往復運動に変換するための往復駆動部を一組立体とし、この刈刃ユニットを前記茶刈機にモジュール化して設けた本体部に対して着脱自在に取付ける構成であり、従来煩わしい作業であった刈刃体の着脱をユニット交換で行うことができるため、機器の扱いに精通したメーカーの人間でなくとも容易に且つ迅速に行うことができる。またモジュール化を介して異種仕様のものをより合理的に製造できる特徴がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−360035
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の全面刈り茶刈機は、前述した(イ)〜(ホ)の改良点があり、その解決が要望されている。そして、文献(1)は、モジュール化した刈刃ユニットと、本体部とで、刈刃の交換を簡易化した構成であり、またこのモジュール化により、異種仕様のものをより合理的に製造できる特徴を有する。しかし、茶刈機に複数の刃物を配備する構成でないので、刈刃の交換を簡易化したとしても一部の改良に留まっており、改良の余地がある。また刃物間の隙間の調整はやはり必要なものであり、手間の掛かることは歪めない事実であり、この点においても改良の余地が考えられる。
【0007】
上記に鑑み、本発明は、次のような改良点を提案及び/又は意図(目的)する。(1)略1.2mの畝幅に仕立てる半条刈り茶刈機を採用し、茶園を小さく仕立てる。これにより、片側ずつしか摘採できない半条刈り茶刈機を全面刈りのような状態で使用することで、例えば、茶刈精度が向上し、綺麗な茶園仕立てが可能になる。また(2)半条刈り茶刈機の値段は、全面刈り茶刈機に比べ、1/4で済むこと、また部品の修理及び/又はメンテナンス(刃物修繕費等)が安く済みランニングコストの低廉化に寄与する。(3)この半条刈り茶刈機は市販性が高く、入手し易い。さらに(4)全面刈り茶刈機の改良点であって、前進(行き)と後退(帰り)で走行車軌道が異なるため、茶樹の中央部分に段差が発生することを解消し、摘採及び/又は中刈り等の精度の向上を図る。また(5)半条刈り茶刈機を使用する場合、運転席から容易に袋交換ができるので、作業の容易性が図れ、危険性の回避ができること等を意図する。(6)茶樹の仕立てを小さくすることによって、肥料の届く距離が短くなり、肥料効率が良くなること、また茶樹の根元への日射量が略1.8m幅仕立てよりも増えるため、同条件で高品質のお茶が栽培可能になる。(7)走行車寸法がコンパクトになり、最小回転半径が小さくて済む。また、軽トラックに搭載できる寸法になる。山間傾斜地では、細くて狭い道が多いので、軽トラックに搭載できることにより、機動性能が格段に増すこと等を意図する。(8)茶園管理装置(茶刈機)に複数の刃物を配備する構成とし、刃物の取替え回数の減少化と、この減少化に基づく、作業の簡便化又は低コスト化等を図る。(9)中刈刃物の前後方向への簡易な着脱と、その反転を可能とすることと、この反転時に刃先の高さを(略40mm〜略80mm等)変更できる構成を採用することで、刈り落し高さの再設定を要せず簡便な作業と、中刈り等の作業の簡便化を意図する。(10)経年作業となる中刈りに掛かる時間と手間を軽減し、かつ中刈りの役割を果たし得る茶園管理装置、又はこの中刈りで切断された枝を茶畝間に落下できるように小型の茶園管理装置等の如く、多機能を備えた茶園管理装置を提供する。(11)片側枕地における反転時間の短縮化及び/又は両側枕地での作業の効率化が図れる茶園管理装置の提供を意図する。また(12)摘み取った生葉収容用の袋を、必要時に竿及び/又は係止紐を利用して吊下する構成を採用し、袋載置機構の省略と、装置の簡便化、低コスト化等を図る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、半条刈り茶刈機を採用し、作業の効率化、茶樹の生育の確保及び/又は品質の向上を図ること等を意図する。そして、茶園管理装置に複数の刃物を配備する構成とし、刃物の取替え回数の減少化と、この減少化に基づく、作業の簡便化又は低コスト化等を図ることを意図する。さらに片側枕地における反転時間の短縮化及び/又は両側枕地での作業の効率化が図れる茶園管理装置の提供を意図する。
【0009】
請求項1は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した略H形の鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、この可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、この可動側のフレームの第一の柱体に枢着した茶園管理用の刃物を支持する支持杆と、この支持杆の可動を司る刃物調整手段とで構成した茶園管理装置である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、また、中刈刃物の交換を容易とし、往復走行で中刈りの作業をすることを意図する。さらに前述の刈り落し高さの再設定を要せず簡便な作業と、中刈り等の作業の簡便化と、多機能を備えた茶園管理装置を提供すること等を意図する。
【0011】
請求項2は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した略H形の鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、この可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、この可動側のフレームの第一の柱体に枢着した茶園管理用の刃物を支持する支持杆と、この支持杆の可動を司る刃物調整手段と、またこの可動側のフレームの第二の柱体に枢着した茶園管理用の他の刃物を支持する支持装置及び/又は固定機構と、この他の刃物の回転を司る回転機構とで構成した茶園管理装置である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の目的を達成すること、また、傾斜地での茶園管理装置の鉛直側のフレームの鉛直状態を確保することを意図する。
【0013】
請求項3は、請求項1又は請求項2に記載の可動手段を、可動側のフレームの第二の柱体に差渡した梁材に固止した対の支持框と、この対の支持框に架承した螺軸と、この螺軸を回転する前記梁材に固止した回転軸と、この回転軸を回転する可動手段用のハンドルで構成した茶園管理装置である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2の目的を達成すること、茶刈刃物、中刈刃物等の後退時に刃先の高さを(略40mm〜略80mm)変更できる構成を採用することで、刈り落し高さの再設定を要しない簡便及び/又は迅速な設定作業と、茶刈り、中刈り等の作業の簡便化及び/又は迅速化を図ること、中刈り作業の刈り寸法を適宜調整し、所望の寸法の中刈りを行うこと等を意図する。
【0015】
請求項4は、請求項1又は請求項2に記載の刃物調整手段を、第一の柱体に枢着し、かつ前記支持杆が固止された従動側可動板と、この従動側可動板の長溝に遊嵌されるピンと、このピンが固止され、かつ前記第一の柱体に枢着した駆動側可動板と、この駆動側可動板の支持軸に設けた駆動体と、この駆動体の動作を司る調整ハンドルで構成した茶園管理装置である。
【0016】
請求項5の発明は、請求項2の発明の中刈刃物の反転を可能とすること、また、この反転時に刃先の高さを(略40mm〜略80mm)変更できる構成を採用することで、刈り落し高さの再設定を要せず簡便な作業と、中刈りの作業の簡便化を意図する。
【0017】
請求項5は、請求項2に記載の回転機構を、前記第二の柱体より略水平方向に延設した水平框と、この水平框の先端に固止し、かつ前記刃物を支持する刃物台が固止された軸と、この軸の螺嵌を可能とした回転部で構成した茶園管理装置である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項2に記載の回転機構を採用することで、刃物の上下方向の位置関係(地面に対して)を確保し、作業の簡便化・迅速化等を図ることを意図する。
【0019】
請求項6は、請求項2に記載の回転機構が、前記刃物を支持する刃物台の回転を司る構成であって、この回転機構は、前記第二の柱体より略水平方向に延設した水平框と、この水平框の先端に固止した軸と、この軸に軸支した回転部で構成し、前記刃物台の回転を介して前進時と後退時の刃物の高さを可変可能とした茶園管理装置である。
【0020】
請求項7の発明は、請求項2に記載の回転機構を利用して刃物の上下方向の位置関係を確保し、その位置関係を確保することを意図する。
【0021】
請求項7は、請求項5に記載の刃物台を、前記回転機構の軸に偏倚して固止する構成とした茶園管理装置である。
【0022】
請求項8の発明は、請求項5に記載の刃物台を、回転後に確実に第二の柱体に固止し、刃物としての機能を発揮できるようにすることを意図する。
【0023】
請求項8は、請求項2に記載の固定機構において、刃物台が請求項7に記載の如く、前記回転機構の軸に偏倚して固止する構成を採用することを条件とし、この刃物台の固止を司る構成であって、この固定機構は前記第二の柱体に設けた各挾持片とする構成とした茶園管理装置である。
【0024】
請求項9の発明は、摘み取った生葉収容用の袋を、必要時に竿及び/又は係止紐を利用して吊下する構成を採用し、袋載置機構の省略と、装置の簡便化、低コスト化等を図ることを意図する。
【0025】
請求項9は、請求項1又は請求項2に記載の第一の柱体に荷台を装備し、この荷台に竿を架承し、前記刃物に取付けた生葉収容用の袋を、前記竿で吊下げる構成とした茶園管理装置である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した略H形の鉛直側のフレームと、鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、可動側のフレームの第一の柱体に枢着した茶園管理用の刃物を支持する支持杆と、支持杆の可動を司る刃物調整手段とで構成した茶園管理装置である。
【0027】
従って、請求項1の発明は、(1)略1.2mの畝幅に仕立てる半条刈り茶刈機を採用し、茶園を小さく仕立てる。これにより、片側ずつしか摘採できない半条刈り茶刈機を全面刈りのような状態で使用することで、例えば、茶刈精度が向上し、きれいな茶園仕立てが可能になること等の特徴がある。また(2)半条刈り茶刈機の値段は、全面刈り茶刈機に比べ、1/4で済むこと、また部品の修理及び/又はメンテナンス(刃物修繕費等)が安く済みランニングコストの低廉化に寄与できる。(3)この半条刈り茶刈機は市販性が高く、入手し易い。さらに(4)全面刈り茶刈機の改良点であって、前進(行き)と後退(帰り)で走行車軌道が異なるため、茶樹の中央部分に段差が発生することを解消し、摘採及び/又は中刈り等の精度の向上が図れる特徴がある。また(5)半条刈り茶刈機を使用する場合、運転席から容易に袋交換ができるので、運転席から容易に袋交換ができるので、作業の容易性が図れ、危険性の回避ができること等の特徴がある。(6)茶樹の仕立てを小さくすることによって、肥料の届く距離が短くなり、肥料効率が良くなること、また茶樹の根元への日射量が略1.8m幅仕立てよりも増えるため、同条件で高品質のお茶が栽培可能になること等の実益がある。(7)走行車寸法がコンパクトになり、最小回転半径が小さくて済む。また、軽トラックに搭載できる寸法になる。山間傾斜地では、細くて狭い道が多いので、軽トラックに搭載できることにより、機動性能が格段に増すこと等の特徴がある。また(8)茶園管理装置(茶刈機)に複数の刃物を配備する構成とし、刃物の取替え回数の減少化と、この減少化に基づく、作業の簡便化又は低コスト化等が図れる特徴がある。(11)片側枕地における反転時間の短縮化及び/又は両側枕地での作業の効率化が図れる茶園管理装置を提供できる実益がある。
【0028】
請求項2の発明は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した略H形の鉛直側のフレームと、鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、可動側のフレームの第一の柱体に枢着した茶園管理用の刃物を支持する支持杆と、支持杆の可動を司る刃物調整手段と、また可動側のフレームの第二の柱体に枢着した茶園管理用の他の刃物を支持する支持装置及び/又は固定機構と、他の刃物の回転を司る回転機構とで構成した茶園管理装置である。
【0029】
従って、請求項2の発明は、請求項1の目的を達成できること、また、中刈刃物の交換を容易とし、往復走行で中刈りの作業ができること等の特徴がある。さらに前記(9)中刈刃物の前後方向への簡易な着脱と、その反転が可能となることと、この反転時に刃先の高さを(略40mm〜略80mm等)変更できる構成を採用することで、刈り落し高さの再設定を要せず簡便な作業と、中刈り等の作業の簡便化が図れる特徴がある。(10)経年作業となる中刈りに掛かる時間と手間を軽減し、かつ中刈りの役割を果たし得る茶園管理装置、又はこの中刈りで切断された枝を茶畝間に落下できるように小型の茶園管理装置等の如く、多機能を備えた茶園管理装置を提供できる特徴がある。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の可動手段を、可動側のフレームの第二の柱体に差渡した梁材に固止した対の支持框と、対の支持框に架承した螺軸と、螺軸を回転する梁材に固止した回転軸と、回転軸を回転する可動手段用のハンドルで構成した茶園管理装置である。
【0031】
従って、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の目的を達成できること、また、傾斜地での茶園管理装置の鉛直側のフレームの鉛直状態が確保できること等の特徴がある。
【0032】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の刃物調整手段を、第一の柱体に枢着し、かつ支持杆が固止された従動側可動板と、従動側可動板の長溝に遊嵌されるピンと、ピンが固止され、かつ第一の柱体に枢着した駆動側可動板と、駆動側可動板の支持軸に設けた駆動体と、駆動体の動作を司る調整ハンドルで構成した茶園管理装置である。
【0033】
従って、請求項4の発明は、請求項1又は請求項2の目的を達成できること、茶刈刃物、中刈刃物等の後退時に刃先の高さを(略40mm〜略80mm)変更できる構成を採用することで、刈り落し高さの再設定を要しない簡便及び/又は迅速な設定作業と、茶刈り、中刈り等の作業の簡便化及び/又は迅速化が図れること、中刈り作業の刈り寸法を適宜調整し、所望の寸法の中刈りを行い得ること等の特徴がある。
【0034】
請求項5の発明は、請求項2に記載の回転機構を、第二の柱体より略水平方向に延設した水平框と、水平框の先端に固止し、かつ刃物を支持する刃物台が固止された軸と、軸の螺嵌を可能とした回転部で構成した茶園管理装置である。
【0035】
従って、請求項5の発明は、請求項2の発明の中刈刃物の反転が可能となることと、この反転時に刃先の高さを(略40mm〜略80mm)変更できる構成を採用することで、刈り落し高さの再設定を要せず簡便な作業と、中刈りの作業の簡便化が図れる特徴がある。
【0036】
請求項6の発明は、請求項2に記載の回転機構が、刃物を支持する刃物台の回転を司る構成であって、回転機構は、第二の柱体より略水平方向に延設した水平框と、水平框の先端に固止した軸と、軸に軸支した回転部で構成し、刃物台の回転を介して前進時と後退時の刃物の高さを可変可能とした茶園管理装置である。
【0037】
従って、請求項6の発明は、請求項2に記載の回転機構を採用することで、刃物の上下方向の位置関係(地面に対して)を確保し、作業の簡便化・迅速化等が図れること等の特徴を有する。
【0038】
請求項7の発明は、請求項5に記載の刃物台を、回転機構の軸に偏倚して固止する構成とした茶園管理装置である。
【0039】
従って、請求項7の発明は、請求項2に記載の回転機構を利用して刃物の上下方向の位置関係を確保し、その位置関係が確保できる特徴がある。
【0040】
請求項8の発明は、請求項2に記載の固定機構において、刃物台が請求項7に記載の如く、回転機構の軸に偏倚して固止する構成を採用することを条件とし、刃物台の固止を司る構成であって、固定機構は第二の柱体に設けた各挾持片とする構成とした茶園管理装置である。
【0041】
従って、請求項8の発明は、請求項5に記載の刃物台を、回転後に確実に第二の柱体に固止し、刃物としての機能を発揮できる特徴を有する。
【0042】
請求項9の発明は、請求項1又は請求項2に記載の第一の柱体に荷台を装備し、荷台に竿を架承し、刃物に取付けた生葉収容用の袋を、竿で吊下げる構成とした茶園管理装置である。
【0043】
従って、請求項9の発明は、摘み取った生葉収容用の袋を、必要時に竿及び/又は係止紐を利用して吊下する構成を採用し、袋載置機構の省略と、装置の簡便化、低コスト化等が図れる特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の一例を説明する。
図面の説明をすると、図1は茶園管理装置の一例を説明する一部省略の全体の側面図、図2は茶園管理装置の一例を説明する全体の平面図、図3は茶園管理装置の一例を説明する全体の正面図、図4は茶園管理装置の一例を説明する全体の背面図、図5は鉛直側のフレームと可動側のフレームの関係を説明する一部欠截の要部の拡大正面図である。また図6は茶園管理装置の他の一例を説明する一部省略の全体の側面図、図7は茶園管理装置の他の一例を説明する全体の平面図、図8は茶園管理装置の他の一例を説明する全体の正面図、図9は茶園管理装置の他の一例を説明する全体の背面図である。
【0045】
先ず、図1〜図5に示した一例を説明すると、1は略1.2m幅〜略1.3m幅(略1.2m幅とする)の茶樹(畝)を跨ぎ得る構成の略H形の鉛直側のフレームであり、この鉛直側のフレーム1は左右の車輪、クローラ等の走行部2、2(以下、左右等の如く、対の場合には、一方を表示する)にそれぞれ立設した鉛直側の柱体3と、この鉛直側の柱体3に外嵌した左右の角筒形状の昇降柱体4と、この左右の昇降柱体4間に枢支した中間フレーム5で構成する。そして、この鉛直側のフレーム1と、その鉛直側の柱体3は、茶園(圃場)の傾斜、水平等の何れの条件下においても、鉛直状態を確保する。また前記枢支は、枢軸500と、この枢軸500が挿入される前記中間フレーム5に設けた長孔501で構成し、この枢軸500が長孔501を移動し、前記鉛直及び/又は後述する可動側のフレーム1、10の可動を確保する構成である。尚、図示しないが、この枢軸500の移動は、後述する可動手段との関係による。
【0046】
尚、この鉛直側の柱体3に外嵌(遊嵌)した昇降柱体4は昇降手段で上下動(昇降)するが、この例では、昇降手段は、昇降柱体4に設けた螺軸7及び/又は歯車機構(図示せず)と、この螺軸7に噛合する歯車(図示せず)と、この歯車を回すハンドル8で構成し、このハンドル8の回転で歯車機構(傘歯車減速機構)→螺軸7→歯車を介して昇降する構成である。尚、シリンダー等の他の機構でも可能である。
【0047】
10は左右の昇降柱体4に設けた略1.2m幅の茶樹を跨ぎ得る構成の略門形の可動側のフレームであり、この可動側のフレーム10は、昇降柱体4にそれぞれ基端側11a、12aを枢支し、この昇降柱体4を抱持するように設けた第一の柱体11、第二の柱体12と、この第一の柱体11間に差渡した梁材13及び/又は第二の柱体12間に差渡した梁材14と、この梁材13、14を固止する、当該差渡した梁材13、14間に設けた一枚又は数枚の差渡し材15で構成する。そして、この可動側のフレーム10は、傾斜地の茶樹Aに対応して可動可能に設けられている。従って、例えば、この可動側のフレーム10は、鉛直側のフレーム1が傾斜地で鉛直方向に立設した状態において、後述する可動手段で傾斜地の茶樹Aに対応して可動することで、この可動側のフレーム10に設けた刃物(後述する)が傾斜地の茶樹Aに対応できる構成となっている。このような構成を採用することで、例えば、傾斜地では、後述するハンドルの操作により茶園の傾斜に対応できて重宝すること、安全な作業ができること、後述する刃先を茶樹Aに馴染むよう微調整できること等の特徴があり、また茶樹Aの生育にも好影響を与えること等が考えられる。一方、平地の茶園での作業は従来通りである。
【0048】
また20は可動手段であり、この可動手段20は、鉛直側のフレーム1と可動側のフレーム10との間に設けられおり、この可動側のフレーム10の可動(傾斜)を司る。そして、この可動手段20は可動側のフレーム10に設けた対の支持框21と、対の支持框21に架承した螺軸22と、この螺軸22に噛合するナット23と、このナット23に設けた前記中間フレーム5に固止したブラケット24と、螺軸22に自在継手25を介して回転する回転軸26と、回転軸26を回し、かつ鉛直側のフレーム1を可動する可動手段用のハンドル27で構成されている。従って、ハンドル27を回すことで、螺軸22が回転し、この螺軸22に噛合されているナット23が、当該螺軸22に沿って順次移動する。その理由は、この螺軸22が鉛直側のフレーム1に固止されているので、螺軸22は鉛直側のフレーム1とともに、停止状態であり、逆にこのナット23が螺軸22に沿って移動する構成である。このナット23の移動に伴って、ブラケット24の移動を介して中間フレーム5が移動する。この中間フレーム5の移動を介して可動側のフレーム10が鉛直側のフレーム1の昇降柱体4を支点として順次可動する。即ち、この可動側のフレーム10が傾斜地の茶樹Aに倣うように可動する構成(前述の鉛直側のフレーム1を構成する枢軸500の移動を含む)である。尚、29は可動側のフレーム10の可動を司る支点軸(回転軸)をそれぞれ示す。そして、この支点軸29は第一の柱体11、第二の柱体12の基端側11a、12aを枢支し、昇降柱体4に固止する。
【0049】
また図中30は刃物調整手段であり、この刃物調整手段30は、第一の柱体11に枢着した従動側可動板32と、この従動側可動板32に固止した支持杆31と、前記従動側可動板32の長溝320に遊嵌されるピン33と、またこのピン33が固止される前記第一の柱体11に枢着した駆動側可動板35と、この駆動側可動板35の支持軸350に設けた駆動体36と、駆動体36の動作を司る調整ハンドル37で構成する。そして、左右の支持杆31(支持杆31とする)は支持軸350を介して同時に可動する構成である。尚、調整ハンドル37を介して駆動体36(歯車減速機構)を駆動し、駆動側可動板35を可動する。この駆動側可動板35の可動により、ピン33が長溝320内を移動し、これと同時に従動側可動板32が枢軸321を支点として可動し、この可動に合せて支持杆31の先端側31aが上下動する。この上下動で刃物台40の刃物41の刃先41aが上下する。この刃物41とは、茶刈刃物、中刈刃物、整枝刃物、均し刃物等を指し、この種の刃物を自由に交換可能な構成とし、利便性、経済性、作業性等の向上を意図する。尚、以上で説明した刃物調整手段30は、一例であり、図示しないが、駆動機構及び/又は可動機構等を介して支持杆31が可動する構成であれば、採用できる。
【0050】
そして、図中50は第一の柱体11に設けた小型の荷台51に着脱自在に設けた竿であり、この竿50の先端には、袋52を吊下する係止紐54と、この係止紐54を規制するストッパー55を有する。この竿50を利用して袋52を吊下することで、従来の袋用の大型の荷台(図示せず)をなくし、装置の簡略化、小型化又は低コスト化、作業性の向上等に役立つこと、また茶葉の収容の容易化、収容時の茶葉の損傷回避等にも役立つことが考えられる。尚、60は運転席、61は操作機構、Aは茶樹を示す。
【0051】
次に図5〜図9に示した他の一例を説明すると、基本的な構造は前述の例と同様のため説明は省略し、この前述の例にない構成を説明すると、図中70は回転機構であり、この回転機構70は刃物44を支持する刃物台43の回転を司るものであって、この回転機構70は、例えば、第二の柱体12及び/又は梁材14より略水平方向に延設した水平框71と、この水平框71の螺子部に回転かつ昇降自在に設けた螺軸72(ハイリードネジ)と、この螺軸72の先端部に軸支した回転部74で構成する。従って、刃物台43が回転することで、螺軸72が水平框71を基に昇降する。この昇降で刃物台43が上下動し、その刃物44の全体が上下動する。即ち、略40mm〜略80mm程度昇降する構成となっている。そして、この刃物台43は、第二の柱体12に設けた左右で位置を異にする挾持片75(固定機構:ストッパー)に挾持される。この例では、刃物台43の少なくとも一方の後端部430が、挾持片75に差込み又は嵌入等により固止される構成である。そして、この挾持片75による後端部430の挾持は一例であり、ボルト、フック等の他の固定機構でも可能である。この刃物台43には原則として中刈刃物を取付ける。尚、前述の回転機構70は一例であり、刃物台43が回転することで、螺軸72が水平框71を基に昇降する構成であれば、他の構成でも可能である。
【0052】
この構成を採用することで、例えば、中刈り作業は、4〜5年に1回行う作業で、900mm前後の茶樹Aを500mm程度の高さまで切落とす。この中刈り作業は、作業をし易くするだけでなく、樹勢の回復等を目的とし、400mm近く茶樹Aを切落とす必要がある。この際に、一度に400mm切落とすことは通常不可能であることに鑑み、本発明は往路(行き)で100mm程度切落とし、復路(戻り)で50mm程度切落とし、一往復で略150mm程度切落とす作業をすることで、通常4〜5回に分けて茶樹Aを低くする構成を、例えば、一回程度省略できる効果があり重宝すること、作業の効率化が図れること等の特徴がある。またこの構成の他の利点は、例えば、片側枕地の茶園の場合、茶刈機を持上げて空送後退する。この空送を利用し、この際に、中刈り作業した方が、作業効率も良くなること、さらにこのように往復走行で中刈り作業を行う場合には、茶樹Aの仕上げ形状が大変綺麗になり、茶樹Aへの影響や茶刈精度の向上に貢献できる利点がある。そして、この回転は、半条刈り茶刈機であるので容易及び/又は安全にできる特徴がある。
【0053】
尚、この他の一例では、軸72の螺子のピッチを変更し、その上下動の高さを調整することで、茶樹及び/又は中刈り等の多様な高さに調整できる実益がある。またこの他の一例では、中刈刃物を可動側のフレーム10の前進側と、後退側に兼用して取り付け及び/又は使用できる特徴と、作業効率の確保ができる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は茶園管理装置の一例を説明する一部省略の全体の側面図
【図2】図2は茶園管理装置の一例を説明する全体の平面図
【図3】図3は茶園管理装置の一例を説明する全体の正面図
【図4】図4は茶園管理装置の一例を説明する全体の背面図
【図5】図5は鉛直側のフレームと可動側のフレームの関係を説明する一部欠截の要部の拡大正面図
【図6】図6は茶園管理装置の他の一例を説明する一部省略の全体の側面図
【図7】図7は茶園管理装置の他の一例を説明する全体の平面図
【図8】図8は茶園管理装置の他の一例を説明する全体の正面図
【図9】図9は茶園管理装置の他の一例を説明する全体の背面図
【符号の説明】
【0055】
1 鉛直側のフレーム
2 走行部
3 鉛直側の柱体
4 昇降柱体
5 中間フレーム
500 枢軸
501 長孔
7 螺軸
8 ハンドル
10 可動側のフレーム
11 第一の柱体
11a 基端側
12 第二の柱体
12a 基端側
13 梁材
14 梁材
15 差渡し材
20 可動手段
21 支持框
22 螺軸
23 ナット
24 ブラケット
25 自在継手
26 回転軸
27 ハンドル
29 支点軸
30 刃物調整手段
31 支持杆
31a 先端側
32 従動側可動板
320 長溝
321 枢軸
33 ピン
35 駆動側可動板
350 支持軸
36 駆動体
37 調整ハンドル
40 刃物台
41 刃物
41a 刃先
43 刃物台
430 後端部
44 刃物
50 竿
51 荷台
52 袋
54 係止紐
55 ストッパー
60 運転席
61 操作機構
70 回転機構
71 水平框
72 螺軸
74 回転部
75 挾持片
A 茶樹

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した略H形の鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、この可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、この可動側のフレームの第一の柱体に枢着した茶園管理用の刃物を支持する支持杆と、この支持杆の可動を司る刃物調整手段とで構成した茶園管理装置。
【請求項2】
左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した略H形の鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、この可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、この可動側のフレームの第一の柱体に枢着した茶園管理用の刃物を支持する支持杆と、この支持杆の可動を司る刃物調整手段と、またこの可動側のフレームの第二の柱体に枢着した茶園管理用の他の刃物を支持する支持装置及び/又は固定機構と、この他の刃物の回転を司る回転機構とで構成した茶園管理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の可動手段は、可動側のフレームの第二の柱体に差渡した梁材に固止した対の支持框と、この対の支持框に架承した螺軸と、この螺軸を回転する前記梁材に固止した回転軸と、この回転軸を回転する可動手段用のハンドルで構成した茶園管理装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の刃物調整手段は、第一の柱体に枢着し、かつ前記支持杆が固止された従動側可動板と、この従動側可動板の長溝に遊嵌されるピンと、このピンが固止され、かつ前記第一の柱体に枢着した駆動側可動板と、この駆動側可動板の支持軸に設けた駆動体と、この駆動体の動作を司る調整ハンドルで構成した茶園管理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の回転機構は、前記第二の柱体より略水平方向に延設した水平框と、この水平框の先端に固止し、かつ前記刃物を支持する刃物台が固止された軸と、この軸の螺嵌を可能とした回転部で構成した茶園管理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の回転機構は、前記刃物を支持する刃物台の回転を司る構成であって、この回転機構は、前記第二の柱体より略水平方向に延設した水平框と、この水平框の先端に固止した軸と、この軸に軸支した回転部で構成し、前記刃物台の回転を介して前進時と後退時の刃物の高さを可変可能とした茶園管理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の刃物台は、前記回転機構の軸に偏倚して固止する構成とした茶園管理装置。
【請求項8】
請求項2に記載の固定機構は、刃物台が請求項7に記載の如く、前記回転機構の軸に偏倚して固止する構成を採用することを条件とし、この刃物台の固止を司る構成であって、この固定機構は前記第二の柱体に設けた各挾持片とする構成とした茶園管理装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の第一の柱体に荷台を装備し、この荷台に竿を架承し、前記刃物に取付けた生葉収容用の袋を、前記竿で吊下げる構成とした茶園管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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