草刈り用作業機械
【課題】作業車両本体の前側に草刈り部を設けた草刈り用作業機械の外になるべく刈草や土埃等が巻き上がらないようにする。
【解決手段】草刈り部(4)が、草刈り用のカッター(16)とハウジング(10)を有し、そのハウジングが、カッターによる刈草の排出口(111)を有する。作業車両本体(2)が、その排出口から排出された刈草の外への飛散を抑えその刈草を作業車両本体よりも下側へと案内するための第一のカバー(121)を有する。
【解決手段】草刈り部(4)が、草刈り用のカッター(16)とハウジング(10)を有し、そのハウジングが、カッターによる刈草の排出口(111)を有する。作業車両本体(2)が、その排出口から排出された刈草の外への飛散を抑えその刈草を作業車両本体よりも下側へと案内するための第一のカバー(121)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り用作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
草刈り用作業機械の一つとして、例えば特許文献1に示すように、作業車両本体の前側に草刈り部が設けられたフレールモア(例えば日本では「ハンマーナイフモア」とも呼ばれる)が知られている。草刈り部は、ハウジングと回転軸とを有している。回転軸は、ハウジングに収納されており、フレールモアの左右方向に延びている。回転軸の外周面には、草刈りのための複数のカッターが配置されている。カッターの配置としては、例えば特許文献2に示すように、刈草を回転軸の一端又は両端に集めるための配置が知られている。
【0003】
また、この種のフレールモアとは異なる草刈り用作業機械ではあるが、特許文献3に示すように、草刈り部から車両後端まで延びた刈草用のダクトを有する草刈り用作業機械が知られている。特許文献3によれば、刈草用ダクトに案内された刈草が、車両後端に備えられた集草容器に収納される。
【0004】
【特許文献1】特開2002−125430号公報
【特許文献2】実開平5−9224号公報
【特許文献3】特許第3664662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のフレールモアにおいて、カッターの配置が、特許文献2のような配置になっていると、回転軸の回転に伴い、刈草や土埃等が、ハウジングの一側又は両側からフレールモアの外へと巻き上げられるおそれがある。刈草や土埃等がフレールモアの外へ巻き上げられると、フレールモアに設けられているフィルタ及び/又はラジエータに目詰まりが生じたり、作業者の視界が悪くなったり等の問題が生じ得る。
【0006】
これを防ぐ方法として、特許文献3に開示されているようなダクトと、回転軸の一端又は両端に寄せられた刈草や土埃等をそのダクトの入口に案内する手段とをフレールモアに備える方法が考えられる。
【0007】
しかし、その方法を、作業車両本体の前側に草刈り部が設けられたフレールモアに単純に採用することは好ましくない。草刈り部が作業車両本体の前側にあるため、長いダクトを必要とすることになり得るからである。
【0008】
従って、本発明の目的は、作業車両本体の前側に草刈り部を設けた草刈り用作業機械の外になるべく刈草や土埃等が巻き上がらないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この欄の記述において、カッコ内の符号は、添付の図面に記載の要素との対応関係を例示するものであるが、これは、単なる説明のための例示にすぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0010】
第一の観点では、草刈り用作業機械が、作業車両本体(2)と、前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)とを備える。前記草刈り部が、ハウジング(10)を有している。前記ハウジング(10)が、複数のカッター(16)が取り付けられている左右方向に延びた回転軸(15)と、前記回転軸の回転に伴い前記カッターによって刈られた草の排出口(111)とを有している。前記作業車両本体が、前記排出口から排出された刈草の外への飛散を抑え前記刈草を前記作業車両本体よりも下側へと案内するための第一のカバー(121)を有している。
【0011】
これにより、排出口から排出された刈草が、途中で草刈り用作業機械の外へ飛散することなく、作業車両本体よりも下側へと流れる。故に、作業車両本体の前側に草刈り部を設けた草刈り用作業機械の外になるべく刈草や土埃等が巻き上がらないようにすることができる。
【0012】
第二の観点では、第一の観点において、草刈り用作業機械が、前記排出口と前記第一のカバーとの隙間を塞ぐための変形可能な隙間塞ぎ部材(129)を更に備える。前記草刈り部が、上下に動くものである。前記草刈り部の動きに伴う前記排出口の動きに応じて、前記隙間塞ぎ部材が変形する。
【0013】
これにより、排出口と第一のカバーとの隙間の上下方向のサイズが変化しても、排出口と第一のカバーとの隙間をなるべく塞ぐことができので、排出口と第一のカバーとの隙間から刈草が出てしまうことをなるべく防ぐことができる。なお、「隙間塞ぎ部材」としては、例えば、弾性部材や、折畳み式の板材などを採用することができる。隙間塞ぎ部材は、例えば、排出口を有した部材から力がかかることで変形しても良いし、草刈り部の動きに応じた電気的或いは機械的な制御に従って変形しても良い。
【0014】
第三の観点では、第二の観点において、前記草刈り部が定位置にある状態では、前記隙間塞ぎ部材は非変形状態である。
【0015】
これにより、隙間塞ぎ部材を劣化しにくくすることができる。具体的には、例えば、隙間塞ぎ部材が弾性部材である場合、草刈り部が定位置にあるときは、弾性部材は、撓んでいない自然状態にあるので、弾性部材を劣化しにくくすることができる。なお、「定位置」は、例えば、草刈り部の最も低い位置である。
【0016】
第四の観点では、第三の観点において、草刈り用作業機械が、前記作業車両本体の左右に設けられた走行体(3)を有している。前記第一のカバーは、前記排出口から排出された刈草を前記作業車両本体よりも下側且つ左右の前記走行体の間へと案内する構成となっている。
【0017】
これにより、前記作業車両本体よりも下側であって左右の走行体に挟まれたスペースを有効に利用することができる。
【0018】
第五の観点では、第四の観点において、前記ハウジングが、刈草を前記排出口へと案内するためのガイド部材(105A、105B)を有する。
【0019】
これにより、刈草が排出口から排出される確実性を高めることができる。
【0020】
第六の観点では、第五の観点において、前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されている。前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列である。前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である。
【0021】
これにより、カッター列(161A)による刈草は、回転軸の左端側に飛び、カッター列(161C)による刈草は、回転軸の右端側に飛ぶので、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることができる。
【0022】
第七の観点では、第六の観点において、前記ハウジングの両側面における、後側の下端が、前記カッターの先端が最も低くなる位置と同じ位置又はそれよりも低い位置にある。
【0023】
これにより、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0024】
第八の観点では、第六又は第七の観点において、三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでいる。前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである。
【0025】
これにより、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0026】
第九の観点では、第六乃至第八の観点のいずれかにおいて、前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置される。前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されている。前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てている。前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)である。前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にある。前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にある。前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでいる。各前記カッターユニットが、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアとを備える。前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多い。前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多い。前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てている。それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである。
【0027】
これにより、バランスウエイトを不要にしたカッター配置を実現しつつ、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0028】
第十の観点では、第一乃至第九の観点のいずれかにおいて、前記作業車両本体が、ラジエータと前記ラジエータによって冷却されるエンジンとが収容される機械室(20)と、前記機械室内のスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第二のカバー(131)とを更に備える。これにより、作業車両本体よりも下側のスペースに機械室から風が送られることを抑えられるので、作業車両本体よりも下側にある刈草がそのような風によって舞ってしまうことを防ぐことが期待できる。
【0029】
第十一の観点では、第一乃至第十の観点のいずれかにおいて、前記作業車両本体が、前記作業車両本体が有する配管が存在するスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第三のカバー(151)を更に備える。これにより、配管が刈草によって傷つけられるおそれを低減することができる。
【0030】
第十二の観点では、草刈り用作業機械が、作業車両本体(2)と、前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)とを備える。前記草刈り部が、前記作業車両本体の左右方向に延びた回転軸を有する。前記回転軸に、草を刈るための複数のカッター(16)が備えられている。前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されている。前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列である。前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である。
【0031】
カッター列(161A)による刈草は、回転軸の左端側に飛び、カッター列(161C)による刈草は、回転軸の右端側に飛ぶ。このため、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることができる。
【0032】
第十三の観点では、第十二の観点において、三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでいる。前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである。
【0033】
これにより、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0034】
第十四の観点では、第十二又は第十三の観点において、前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置される。前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されている。前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てている。前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)である。前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にある。前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にある。前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでいる。各前記カッターユニットが、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアとを備える。前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多い。前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多い。前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てている。それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである。
【0035】
これにより、バランスウエイトを不要にしたカッター配置を実現しつつ、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る草刈り用作業機械が適用されたフレールモアを説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係るフレールモアの斜視図である。図2は、フレールモアの右側面図である。
【0038】
フレールモア1は、車両本体2と、車両本体2の下側の左右に設けられたクローラ(履帯又はキャタピラと呼ばれることもある)3と、車両本体2の前側に昇降可能に設けられた草刈り部4とを備える。
【0039】
車両本体2の下側の後端に、作業者が立つステップ7が設けられている。また、車両本体2の後側に、ステップ7に立つ作業者から操作される操縦装置8が設けられている。このフレールモア1は、車両本体2の後側に立つ作業者の操作に応答して走行しながら草を刈るタイプの草刈り用作業機械である。
【0040】
車両本体2の左右に、車両本体2の両側を覆うサイドカバー5が着脱可能に取り付けられる。また、車両本体2の上側に、車両本体2内の上側部分を覆うアッパーカバー6が開閉可能に取り付けられる。
【0041】
図2に点線で示す通り、車両本体2の中に機械室20があり、機械室20に、例えば、ラジエータ及びエンジン(図示せず)が設けられている。
【0042】
前述したように、草刈り部4は、車両本体2の前側に昇降可能(上下に揺動可能)に設けられている。草刈り部4は、例えば、作業車両本体2の前側から前方に延びたアーム(図示せず)に取り付けられており、そのアームによって、昇降される。草刈り部4は、例えば作業機であり、ハウジング10と、カッターカバー11と、左右両側のリンク12と、左右両側のバネ13と、左右両側のソリ14と、回転軸15(図3参照)と、カッター16(図3参照)とを備えている。
【0043】
カッターカバー11は、ハウジング10の前側の下部に、リンク12及びバネ13を介して、開閉可能に取り付けられている。この構成により、草の背丈に応じて、カッターカバー11の開口量が変化する。具体的には、草の背丈が低い場合、カッターカバー11の開く量は小さくなる。これにより、小石等がハウジング10内から前方に飛散するのが防止される。草の背丈が高い場合、カッターカバー11には開方向(上方向)への力が加わり、カッターカバー11の開く量が大きくなる。これにより、背丈の高い草を大量にハウジング10内に取り込んで、破砕することができる。
【0044】
図3に示すように、ハウジング10に形成されているスペースは、メインスペース101とサブスペース103とに大別することができる。
【0045】
メインスペース101は、車両本体2の左右方向に延びている回転軸15が存在するスペースである。回転軸15は、ハウジング10の両側面に支持されている。回転軸15の外周面に、草刈り用の複数のカッター(典型的にはハンマーナイフなどの刈刃)16が設けられている。回転軸15が回転することにより、カッター16が草を刈り取る。回転軸15の回転方向は、図3に矢印で示すように、回転軸15の右側から見て時計周り(右回り)である。
【0046】
サブスペース103は、メインスペース101に連通しているスペースであり、メインスペース101よりも後方車両本体2の方向)に形成されているスペースである。具体的には、サブスペース103は、ハウジング10の後側における略中央から後方へと延びている排出口部材108によって形成されているスペースである。排出口部材108の先端に、刈草排出口111が形成されており、この刈草排出口111は、サブスペース103に連通している。後述するように、回転軸105の回転に伴い生じた刈草や土埃等は、メインスペース101の後側の略中央からサブペース103を通って刈草排出口111から排出される。
【0047】
図3に示すように、ハウジング10内には、刈草を刈草排出口111側(つまりサブスペース103)に案内するためのガイド部材105A、105Bが、メインスペース101の後側に設けられている。具体的には、例えば、ガイド部材105A、105Bは、それぞれ、ハウジング10の内側面から中央へと延びており、サブスペース103へ向けて傾いた斜面(回転軸15に対向した斜面)を有する。これにより、ガイド部材105A、105Bの斜面に当った刈草は、その斜面に沿ってサブスペース103へと案内される。
【0048】
図4に示すように、ソリ14は、ハウジング10の両側面の下側に設けられている。ソリ14が地面に接触することで、ハウジング10の両側面が地面から或る程度離れた高さに位置するようになっている。図4に斜線で示すように、ハウジング10の右側面(及び左側面)の後側の下端が、カッター16の先端が最も低くなる位置と同じ位置(又はそれよりも低い位置)にまで下りている。これにより、地面との間を狭くすることができ、それ故、刈草や土埃等がハウジング10の両側面から巻き上げられてしまうことの防止につながることが期待できる。
【0049】
本実施形態では、ハウジング10内において刈草を中央側に集めることが、図3を参照して説明したガイド部材105A及び105Bによって支援され、ハウジング10の外へ刈草や土埃等が巻き上げられてしまうことの防止が、図4を参照して説明した斜線の部分によって支援される。この他、本実施形態では、回転軸15におけるカッター16の配置を図5に示すような配置にすることで、刈草を中央に集めることができる。
【0050】
図5は、カッター16が配置された回転軸15の外周面の展開図である。
【0051】
回転軸15の外周面に、回転方向に対して傾斜した複数(例えば3つ)のカッター列161A、161B、161Cが、回転軸方向に沿って並んでいる。カッター列161Aは、回転軸15の右端に最も近いカッター列であり、カッター列161Cは、回転軸15の左端に最も近いカッター列であり、カッター列161Bは、カッター列161Aと161Cの間にあるカッター列である。
【0052】
1本のカッター列において、互いに隣り合うカッターは、回転方向に隣り合うカッターのうち距離が最も短いカッターである。カッター列161Aを例に採って具体的に説明すると、カッター16−1と回転方向隣にあるカッターは、カッター16−2、16−3及び16−4のうち、カッター16−1から最も近い位置にあるカッター16−2である。本実施形態では、1本のカッター列(例えば161A)の先頭のカッターは、回転方向における或る位置を基準位置とした場合にその基準位置から回転方向反対側に最も近いカッター16S(回転軸15の右端にあるカッター16S)であり、そのカッター列161Aの最後尾のカッターは、その基準位置から回転方向側に最も近いカッター16Eである。
【0053】
カッター列の種類として、2種類ある。一つは、カッター列161A及び161Bのような、回転方向に対して右に傾いた右傾きのカッター列である。もう1つは、カッター列161Cのような、回転方向に対して左に傾いた左傾きのカッター列である。右傾きのカッター列によれば、回転軸15の回転に伴って、刈草が、図5に示すように、回転軸15の左端側に飛ぶ。一方、左傾きのカッター列によれば、回転軸15の回転に伴って、刈草が、図5に示すように、回転軸15の右端側に飛ぶ。
【0054】
本実施形態では、回転軸15の左端よりも右端に近い位置にあるカッター列161Aが、前述したように、右傾きのカッター列とされ、回転軸15の右端よりも左端に近い位置にあるカッター列161Cが、前述したように、左傾きのカッター列とされる。これにより、刈草が中央側に集められる。
【0055】
なお、図5によれば、真ん中のカッター列161Bは、カッター列161Aと同様に、右傾きのカッター列とされているが、それに代えて、左傾きのカッター列とされても良い。しかし、例えばラジエータ(図示せず)がエンジンよりも右に設けられている場合には、ラジエータの目詰まりを防ぐ観点から、カッター列161Aに加えてカッター列161Bも右傾きのカッター列とすることが好ましい。すなわち、そのような場合には、回転軸方向に並んだカッター列の数が、三以上の奇数ならば、左傾きのカッター列の数よりも右傾きのカッター列の数が多いことが望ましい。右端側に飛ぶ刈草を左端側に飛ぶ刈草よりも少なくできるためである。
【0056】
以上が、カッター16の配置に関する説明である。なお、カッター列は、必ずしも直線でなく、例えば図6の参照番号161A´に示すように、曲線状になっていても良い。また、カッター列を構成するカッター16は、図6の参照番号161C´に示すように、不等間隔で並んでいても良い。
【0057】
図5を参照して説明したカッター配置や、図3を参照して説明したガイド部材105A及び105Bにより、回転軸15の回転に伴って、刈草が、メインスペース101の後側における略中央からサブスペース103を経由して刈草排出口111(図3参照)から排出される。
【0058】
ハウジング10から排出された刈草は、刈草や土埃等がフレールモア1の途中で巻き上げられるのを防ぐ観点から、途中でフレールモア1の外へ排出されることなく車両本体2の後方へと排出されることが望ましいと考えられる。これを実現する方法として、排出口部材108(図3参照)から車両本体2の後端まで延びた刈草ダクトを備える方法が考えられるが、その方法を単純に採用することはできない。なぜなら、そのような刈草ダクトが、ハウジング10の昇降を妨げるおそれがあり、また、ハウジング10の昇降に応じて刈草ダクトを或る程度伸縮できるようにする等の工夫が必要になると考えられるからである。
【0059】
そこで、本実施形態では、図7〜図13を参照して説明する工夫により、刈草ダクトをわざわざ備えなくても、刈草ダクトが実質的に形成されるので、刈草や土埃等をフレールモア1の途中から巻き上げることなくフレールモア1の後方から排出することができる。
【0060】
以下、その実質的な刈草ダクト(以下、「実質ダクト」と略す)について、詳細に説明する。
【0061】
図7は、車両本体2の下側に取り付けられる五種類のカバーの斜視図である。図8は、五種類のカバー、ハウジング及びクローラの上から見た位置関係を示す。図9は、ハウジングと実質ダクトの断面の概要を示す。
【0062】
図8に示すように、車両本体2の下側のフレームは、車両本体2の下側の左右の縁を形成する右端フレーム部194R及び左端フレーム部194Lと、それらのフレーム部194R及び194Lに挟まれている第一内部フレーム部196及び第二内部フレーム部198とで構成されている。五種類のカバーのうち、後述のクローラ中央カバー141(図7及び図11参照)以外は、このフレームに固定されている。
【0063】
五種類のカバーとして、図7に示すように、フロントアンダーカバー121、機械室アンダーカバー131、リアアンダーカバー151、クローラ中央カバー141、及びクローラリアカバー143がある。これらのカバー121、131、151、141及び143の互いの位置関係は、図7及び図8に示す通りである。また、これらのカバー121、131、151、141及び143の前後方向に延びた範囲Aは、図2及び図8に示した範囲Aに重なる。具体的には、フロントアンダーカバー121は、ハウジング10の後方に位置しており、機械室アンダーカバー131は、機械室20の真下に位置しており、リアアンダーカバー151は、機械室アンダーカバー131の後側から車両本体2の後端(図2に示すようにステップ7の手前)まで延びており、クローラ中央カバー141は、クローラ3の内側の中央下側部分に位置しており、クローラリアカバー143は、クローラ3の内側の後端部分に位置している。
【0064】
以下、各カバー121、131、151、141及び143について説明する。
【0065】
まず、フロントアンダーカバー121について説明する。
【0066】
図7〜図9に示すように、フロントアンダーカバー121は、刈草排出口111が入り込む開口127を有した部材(言い換えれば、刈草排出口111を上側から両側にかけて覆う部材)であって、実質ダクトの入口部分となる部材である。
【0067】
図7及び図8に示すように、フロントアンダーカバー121の幅(左右方向の長さ)は、クローラ3間の距離よりも短い長さである。フロントアンダーカバー121の後側は、クローラ3間に挟まれている。
【0068】
図7及び図10に示すように、フロントアンダーカバー121は、右側を遮蔽するライト遮蔽板123R(右側面)と、左側を遮蔽するレフト遮蔽板123L(左側面)と、上側を遮蔽するアッパー遮蔽板125(上面)とを有する。ライト遮蔽板123R及びレフト遮蔽板123Lにより、フロントアンダーカバー121内に入った刈草がフロントアンダーカバー121の左右から外へと出てしまうことを防ぐことができる。アッパー遮蔽板125により、フロントアンダーカバー121内に入った刈草がフロントアンダーカバー121の上から外へと出てしまうことを防ぐことができる。
【0069】
図8に示すように、右端フレーム部194Rの右縁(右側面)と、フロントアンダーカバー121の右側面(つまりライト遮蔽板123R)とが、実質的に同じ平面にある(例えば、それらが実質的に面一になっている)。同様に、左端フレーム部194Lの左縁(左側面)と、フロントアンダーカバー121の左側面(つまりレフト遮蔽板123L)とが、実質的に同じ平面にある。各クローラ3と各フレーム部194R及び194Lとの間には、所定距離(例えば、30mm若しくはその前後(具体例として31mm))の隙間があり、故に、各クローラ3とフロントアンダーカバー121の各側面との間にも、同じ距離の隙間がある。右端フレーム部194R及び左端フレーム194Lは、中空の部材(パイプ)で構成されている。このため、例えば、右側のクローラ3がずれて、ライト遮蔽板123Rにぶつかったとしても、右端フレーム部194Rで衝撃を吸収することができ、以って、ライト遮蔽板123Rが損傷することを防ぐことができる。
【0070】
図7及び図10に示すように、遮蔽板121、123R及び123Lにより、フロントアンダーカバー121内にスペースが形成されており、且つ、フロントアンダーカバー121の前側に、図10に示すように開口127が形成されている。図9に示すように、ハウジング10がどの位置にあっても、排出口部材108の先端部分が、開口127を通ってフロントアンダーカバー121内のスペースに入り込んでいる。
【0071】
開口127の左右縁と排出口部材108との隙間のサイズは、実質的に一定である。草刈り部4は、上下には動くが左右には動かないためである。
【0072】
それに対し、開口127の上縁と排出口部材108との隙間のサイズは、可変である。草刈り部4の上下に動きに伴って排出口部材108が上下に動くからである。そこで、本実施形態では、図7、図9及び図10に示すように、開口127の上縁と排出口部材108との隙間を塞ぐための隙間塞ぎ部材129が取り付けられている。隙間塞ぎ部材129は、例えば、アッパー遮蔽板125の先端に取り付けられている。隙間塞ぎ部材129は、例えば、板状の弾性部材(例えばゴム)である。隙間塞ぎ部材129の幅は、例えば、開口127の幅よりも若干短い長さ(又は開口127の幅と同程度の長さ)である。隙間塞ぎ部材129は、アッパー遮蔽板125の先端から真下へと延びている。隙間塞ぎ部材129は、図9及び図12に示すように、ハウジング10(排出口部材108)が最も低い位置にあるときには、撓んでいない自然の状態にある(具体的には、隙間塞ぎ部材129の下縁が、排出口部材108に接触しているか、或いは、排出口部材108から若干離れた位置にある)。ハウジング10が上昇するにつれて、排出口部材108が高い位置に移動すると、図9及び図13に示すように、隙間塞ぎ部材129が、排出口部材108から上方へと押されて撓むことになる。ハウジング10が最も低い位置(例えば定位置)に下降すれば、隙間塞ぎ部材129の撓みが解除され、隙間塞ぎ部材129は元の形状に戻る。
【0073】
以上のように、ハウジング10がどの位置にあっても、刈草排出口111は、フロントアンダーカバー121の開口127に入り込んでいる。また、ハウジング10が昇降しても、排出口部材108の上面と開口127の上縁との隙間は、上述した隙間塞ぎ部材129で塞がれた構成となっている。このため、ハウジング10がどの位置にあっても、刈草排出口111から排出された刈草が、ハウジング10とフロントアンダーカバー121との間から漏れてしまうことなく、フロントアンダーカバー121内のスペースに入ることになる。
【0074】
なお、隙間塞ぎ部材129の下縁は、ハウジング10(排出口部材108)が最も低い位置にあるときであっても撓むような高さにまで下りてきていても良い。また、隙間塞ぎ部材129の下縁は、直線である必要は無く、排出口部材108の上面の形状に応じたラインになっていても良い。具体的には、隙間塞ぎ部材129の下縁は、排出口部材108が隙間塞ぎ部材129と接触したと同時にその下縁全体が排出口部材108に接触するようなラインになっていることが好ましい。隙間をなるべく生じさせないようにするためである。
【0075】
図7及び図9に示すように、アッパー遮蔽板125は、後方へかけて斜め下に傾いており、アッパー遮蔽板125の後端は、実質ダクトのメイン通路の入口へと延びている。例えば、アッパー遮蔽板125の後端は、実質ダクトのメイン通路の入口を構成する第一内部フレーム196の高さと同じかそれよりも低い位置にある。この構成により、フロントアンダーカバー121内に入り込んだ刈草は、アッパー遮蔽板125の傾斜に沿って、後方且つ車両本体2よりも下側へと案内されて、実質ダクトのメイン通路(第一内部フレーム196よりも下のスペース)に入る。
【0076】
以上が、フロントアンダーカバー121についての説明である。なお、上述の例では、ハウジング10から後方へと延びた排出口部材108がフロントアンダーカバー121に入り込む構成であるが、それとは逆に、フロントアンダーカバー121から管路が延びていてそれがハウジング10内に入り込む構成であっても良い。しかし、フレールモア1が、草刈り部4(作業機械)を取り外して別のタイプの作業機械を取り付けることができるタイプのフレールモアである場合には、フロントアンダーカバー121から管路が延びている構成となっていると、別のタイプの作業機械の邪魔になるおそれがあるので、上述した実施形態のような構成になっている方が好ましいと考えられる。
【0077】
さて、次に、機械室アンダーカバー131について説明する。
【0078】
機械室アンダーカバー131は、機械室20(図2参照)に対向する位置に設けられた方形の遮蔽板である。図8に示すように、機械室アンダーカバー131の前後方向の長さ(縦の長さ)は、機械室20の前後方向の長さを含んだ長さであり、機械室アンダーカバー131の左右方向の長さ(横の長さ)は、右端フレーム194Rと左端フレーム194Lとの間を跨げる長さである。機械室アンダーカバー131は、第二内部フレーム198、右端フレーム194R及び左端フレーム194Lに固定されている。図7に示すように、機械室アンダーカバー131の前縁及び後縁が、上方へと折られている。
【0079】
なお、機械室アンダーカバー131の別の構成として、例えば、機械室20内の温まった空気を逃がすための開口が穿たれた構成が考え得る。しかし、機械室アンダーカバー131の構成としては、図7及び図8に示すように、機械室20に対向する領域を含んだ、車両本体2の下側を左右に延びた領域の全域を遮蔽することが望ましいと考えられる。なぜなら、そうすることにより、機械室アンダーカバー131から下方へと逃げた熱風によって刈草が巻き散ることを防ぐことが期待できるからである。
【0080】
次に、リアアンダーカバー151について説明する。
【0081】
図7及び図8に示すように、リアアンダーカバー151は、機械室アンダーカバー131の後隣に設けられた遮蔽板である。図2、図7〜図9及び図11に示すように、リアアンダーカバー151は、車両本体2の後端(ステップ7の手前付近)まで延びている。また、リアアンダーカバー151の左右方向の長さ(横の長さ)は、右端フレーム194Rと左端フレーム194Lとの間を跨げる長さである。リアアンダーカバー151があることで、所定の配管(例えば、走行モータへの配管)が刈草によって傷つけられるおそれを低減することができる。
【0082】
次に、クローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143について説明する。
【0083】
図7に示すクローラ中央カバー141は、クローラ3の下側中央に生じている隙間を覆うカバーであり、クローラリアカバー143は、クローラ3の後端部分を覆うカバーである。図11に示すように、クローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143は、クローラ3の内側に取り付けられる。以上の構成により、実質ダクトの途中で、クローラ3の内側から外側へと刈草が出てしまうことを防ぐことが期待できる。
【0084】
以上が、実質ダクトに関する説明である。この説明によれば、車両本体2と地面との間及びクローラ3間にあるスペースを有効に利用することで、上述した工夫を施すことにより、ハウジング10から車両本体2の後端へと延びたダクトをわざわざ備えることなく、そのようなダクトを実質的に形成することできている。
【0085】
具体的には、実質ダクトの前後方向の長さは、図2、図7及び図8に示した範囲Aの長さ、すなわち、フロントアンダーカバー121からリアアンダーカバー151にかけた長さになっている。実施ダクトの下面は、地面である。実質ダクトの上面は、フロントアンダーカバー121のアッパー遮蔽板125、第一内部フレーム部196、第二内部フレーム部198、機械室アンダーカバー131及びリアアンダーカバー151で構成されている。実質ダクトの右側面は、フロントアンダーカバー121のライト遮蔽板123R、右側のクローラ3、それに取り付けられたクローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143で構成されている。実質ダクトの左側面は、フロントアンダーカバー121のレフト遮蔽板123L、左側のクローラ3、それに取り付けられたクローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143で構成されている。
【0086】
回転軸15の回転に伴い、刈草は、ハウジング10のメインスペース101からサブスペース103を通って刈草排出口111から排出される。排出された刈草は、フロントアンダーカバー121に入って、車両本体2の下側且つ後側へと案内される。刈草は、実質ダクトの途中(例えば、フロントアンダーカバー121の下、及び/又は、第一内部フレーム部196の下)に溜まることがあり得る。しかし、フレールモア1は、通常、草刈りをしながら前進しているため、実質ダクトが刈草で詰まることなく、刈草が実質ダクトを通ってフレールモア1の下側且つ後側から排出されているかのように見える。
【0087】
以上が、本実施形態についての説明である。
【0088】
また、カッター16の配置に関して幾つかの変形例が考えられる。
【0089】
例えば、図14に示すように、カッター列の数は、四以上であっても良い。カッター列の数が四以上の偶数の場合、右傾きのカッター列の数が、左傾きのカッター列の数より多くても良いが、図14に示すように、それらが同数であることが好ましい。
【0090】
また、右傾きのカッター列と左傾きのカッター列とが隣り合うことで、図14に示すように略V字が形成されるが、カッター列の数が三以上の場合、V字の頂点(言い換えれば、右傾きのカッター列と左傾きのカッター列とが隣り合う位置)は、図15に示すように、回転軸方向に異なる複数個(図15の例では3個)の位置に存在しても良い。しかし、V字の頂点は、中央付近一箇所に集める観点で言えば、図14に示すように一つであることが好ましい。なお、ここで言う「一つ」とは、回転軸方向において実質的に一つの意味である。具体的には、後に説明する図16に示すように、回転軸15の外周面の展開図(方形)の横を、回転軸方向に平行の座標軸とした場合に、実質的に同一の座標上にV字の頂点が乗りさえすれば、隣り合う右傾きのカッター列と左傾きのカッター列との組は、複数組存在しても良い。より具体的には、図16では、右傾きのカッター列が点線矢印で表されており、左傾きのカッター列が一点鎖線矢印で表されているが、図16によれば、実質的に同一の座標上に載っているV字頂点として、カッター(11)とカッター(12)の2つがある。
【0091】
また、カッター16は、例えば図16に示すように配置されても良い。
【0092】
図16は、左端にあるカッター(1)の位置を基準とした、回転軸15の外周面の展開図である。
【0093】
回転軸15の側面の円周πL(Lは回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数、図16の例ではn=3のため2n=6)等分した位置にカッターが配置される。回転軸方向に隣り合う各2個のカッター(例えば、カッター(1)とカッター(2)、カッター(7)とカッター(8))で、各カッターペアが構成されている。カッターペアを構成する2個のカッター(例えば、カッター(1)とカッター(2))は、回転軸方向に、距離pを隔てており、回転方向に、180°位相がずらされた距離(つまり円周πLの半分)を隔てている。
【0094】
カッターペアの種類として、参照番号181に示すような右傾きのカッターペアと、参照番号183に示すような左傾きのカッターペアとの2種類がある。
【0095】
右傾きのカッターペア181は、例えばカッターペア(7,8)に示す通り、回転方向に対して右に傾いているカッターペアである。すなわち、2個のカッター(7,8)のうちの回転方向側にあるカッター(8)が、それら2個のカッター(7,8)のうちの回転方向反対側にあるカッター(7)よりも回転軸16の右端側にある。右傾きカッターペア181としては、カッターペア(7,8)の他に、カッターペア(9,10)、(11,12)、(13,14)、(15,16)、(23,24)、(25,26)、(27,28)及び(35,36)がある。
【0096】
左傾きのカッターペア183は、例えばカッターペア(1,2)に示す通り、回転方向に対して左に傾いているカッターペアである。すなわち、2個のカッター(1,2)のうちの回転方向側にあるカッター(1)が、それら2個のカッター(1,2)のうちの回転方向反対側にあるカッター(2)よりも回転軸16の左端側にある。左傾きのカッターペア183としては、カッターペア(1,2)の他に、カッターペア(3,4)、(5,6)、(17,18)、(19,20)、(21,22)、(29,30)、(31,32)及び(33,34)がある。
【0097】
回転軸方向に、動バランスが均衡したカッターユニット201A、201B及び201Cが並んでいる。各カッターユニット201A、201B及び201Cは、回転軸方向にn個(図16の例ではn=3)並んだ左傾きのカッターペアと、回転軸方向にn個並んだ右傾きのカッターペアとで構成される。これにより、動バランスが均衡している。
【0098】
回転軸15の右端よりも左端に近いカッターユニット201Aでは、右傾き及び左傾きのカッターペアの組として、右傾きのカッターペアよりも左傾きのカッターペアの方が回転軸15の左端に近い組が多い。具体的には、カッターユニット201Aにおいて、カッターペアの3つの組<(1,2)、(7,8)>、<(3,4)、(9,10)>及び<(5,6)、(11,12)>のいずれの組でも、右傾きのカッターペアよりも左傾きのカッターペアの方が回転軸15の左端に近い位置にある。
【0099】
一方、回転軸15の左端よりも右端近いカッターユニット201Cや、カッターユニット201Aと201Cとの間にあるカッターユニット201Bでは、右傾き及び左傾きのカッターペアの組として、右傾きのカッターペアよりも左傾きのカッターペアの方が回転軸15の右端に近い組が多い。カッターユニット201Cを例に採って言えば、カッターペアの3つの組<(25,26)、(29,30)>、<(27,28)、(31,32)>及び<(33,34)、(35,36)>のうちの過半数の組<(25,26)、(29,30)>、<(27,28)、(31,32)>では、右傾きのカッターペア(例えば(25,26))よりも左傾きのカッターペア(例えば(29,30))の方が回転軸15の右端に近い位置にある。
【0100】
図16の例によれば、回転軸1周あたり6個のカッター16が配置されるので、1本のカッター列を構成するカッターの数は最大で6である。図16では、点線矢印に沿ったカッター列が、右傾きのカッター列であり、一点鎖線矢印に沿ったカッター列が、左傾きのカッター列である。
【0101】
各カッター列(例えば、右上向きカッター列(36,34,32,30))では、隣接する一方のカッター(例えば(36))と他方のカッター(例えば(34))との距離は、回転軸方向で言えば、2p(pの2倍)であり、回転方向で言えば、円周÷2nである(円周は、図16の上端Aから下端Aまでの距離)。
【0102】
カッター列を構成するカッターと、カッターペアを構成するカッターとの関係は、次の通りである。すなわち、各カッター列(例えば、左上向きカッター列(2,4,6))では、隣接する2個のカッター(例えば(2,4))のうちの一方のカッター(例えば(2))は、回転軸方向に隣接する2つのカッターペア(例えば(1,2)、(3,4))のうちの一方のカッターペア(例えば(1,2))を構成する一つのカッター(例えば(2))である。上記隣接する2個のカッター(例えば(2,4))のうちの他方のカッター(例えば(4))は、回転軸方向に隣接する2つのカッターペア(例えば(1,2)、(3,4))のうちの他方のカッターペア(例えば(3,4))を構成する一つのカッター(例えば(4))である。
【0103】
以上、本発明の実施形態及び幾つかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこれらの実施形態及び変形例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。例えば、草刈り用作業機械として、車両の後方にオペレータが立って操作するタイプのフレールモアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、乗用車型の草刈り作業機械や手押し式の草刈り作業機械にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態に係るフレールモアの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るフレールモアの右側面図である。
【図3】ハウジングの下側からの斜視図である。
【図4】図2に示したハウジング右側面の拡大図である。
【図5】カッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【図6】カッター列の変形例を示す。
【図7】車両本体の下側に取り付けられる五種類のカバーの斜視図である。
【図8】五種類のカバー、ハウジング及びクローラの上から見た位置関係を示す。
【図9】ハウジングと実質ダクトの断面の概要、及び、ハウジングの昇降に伴う隙間塞ぎ部材の動きを示す。
【図10】フロントアンダーカバーの前方且つ上方からの斜視図である。
【図11】クローラの内側の後方且つ下方からの斜視図である。
【図12】ハウジングが最も低い位置にあるときの隙間塞ぎ部材の正面図及び側面図である。
【図13】ハウジングが昇降したときの隙間塞ぎ部材の正面図及び側面図である。
【図14】第一の変形例に従ってカッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【図15】第二の変形例に従ってカッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【図16】第三の変形例に従ってカッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【符号の説明】
【0105】
1…フレールモア、2…車両本体、3…走行体、4…草刈り部、10…ハウジング、14…ソリ、15…回転軸、16…カッター、20…機械室、121…フロントアンダーカバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り用作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
草刈り用作業機械の一つとして、例えば特許文献1に示すように、作業車両本体の前側に草刈り部が設けられたフレールモア(例えば日本では「ハンマーナイフモア」とも呼ばれる)が知られている。草刈り部は、ハウジングと回転軸とを有している。回転軸は、ハウジングに収納されており、フレールモアの左右方向に延びている。回転軸の外周面には、草刈りのための複数のカッターが配置されている。カッターの配置としては、例えば特許文献2に示すように、刈草を回転軸の一端又は両端に集めるための配置が知られている。
【0003】
また、この種のフレールモアとは異なる草刈り用作業機械ではあるが、特許文献3に示すように、草刈り部から車両後端まで延びた刈草用のダクトを有する草刈り用作業機械が知られている。特許文献3によれば、刈草用ダクトに案内された刈草が、車両後端に備えられた集草容器に収納される。
【0004】
【特許文献1】特開2002−125430号公報
【特許文献2】実開平5−9224号公報
【特許文献3】特許第3664662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のフレールモアにおいて、カッターの配置が、特許文献2のような配置になっていると、回転軸の回転に伴い、刈草や土埃等が、ハウジングの一側又は両側からフレールモアの外へと巻き上げられるおそれがある。刈草や土埃等がフレールモアの外へ巻き上げられると、フレールモアに設けられているフィルタ及び/又はラジエータに目詰まりが生じたり、作業者の視界が悪くなったり等の問題が生じ得る。
【0006】
これを防ぐ方法として、特許文献3に開示されているようなダクトと、回転軸の一端又は両端に寄せられた刈草や土埃等をそのダクトの入口に案内する手段とをフレールモアに備える方法が考えられる。
【0007】
しかし、その方法を、作業車両本体の前側に草刈り部が設けられたフレールモアに単純に採用することは好ましくない。草刈り部が作業車両本体の前側にあるため、長いダクトを必要とすることになり得るからである。
【0008】
従って、本発明の目的は、作業車両本体の前側に草刈り部を設けた草刈り用作業機械の外になるべく刈草や土埃等が巻き上がらないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この欄の記述において、カッコ内の符号は、添付の図面に記載の要素との対応関係を例示するものであるが、これは、単なる説明のための例示にすぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0010】
第一の観点では、草刈り用作業機械が、作業車両本体(2)と、前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)とを備える。前記草刈り部が、ハウジング(10)を有している。前記ハウジング(10)が、複数のカッター(16)が取り付けられている左右方向に延びた回転軸(15)と、前記回転軸の回転に伴い前記カッターによって刈られた草の排出口(111)とを有している。前記作業車両本体が、前記排出口から排出された刈草の外への飛散を抑え前記刈草を前記作業車両本体よりも下側へと案内するための第一のカバー(121)を有している。
【0011】
これにより、排出口から排出された刈草が、途中で草刈り用作業機械の外へ飛散することなく、作業車両本体よりも下側へと流れる。故に、作業車両本体の前側に草刈り部を設けた草刈り用作業機械の外になるべく刈草や土埃等が巻き上がらないようにすることができる。
【0012】
第二の観点では、第一の観点において、草刈り用作業機械が、前記排出口と前記第一のカバーとの隙間を塞ぐための変形可能な隙間塞ぎ部材(129)を更に備える。前記草刈り部が、上下に動くものである。前記草刈り部の動きに伴う前記排出口の動きに応じて、前記隙間塞ぎ部材が変形する。
【0013】
これにより、排出口と第一のカバーとの隙間の上下方向のサイズが変化しても、排出口と第一のカバーとの隙間をなるべく塞ぐことができので、排出口と第一のカバーとの隙間から刈草が出てしまうことをなるべく防ぐことができる。なお、「隙間塞ぎ部材」としては、例えば、弾性部材や、折畳み式の板材などを採用することができる。隙間塞ぎ部材は、例えば、排出口を有した部材から力がかかることで変形しても良いし、草刈り部の動きに応じた電気的或いは機械的な制御に従って変形しても良い。
【0014】
第三の観点では、第二の観点において、前記草刈り部が定位置にある状態では、前記隙間塞ぎ部材は非変形状態である。
【0015】
これにより、隙間塞ぎ部材を劣化しにくくすることができる。具体的には、例えば、隙間塞ぎ部材が弾性部材である場合、草刈り部が定位置にあるときは、弾性部材は、撓んでいない自然状態にあるので、弾性部材を劣化しにくくすることができる。なお、「定位置」は、例えば、草刈り部の最も低い位置である。
【0016】
第四の観点では、第三の観点において、草刈り用作業機械が、前記作業車両本体の左右に設けられた走行体(3)を有している。前記第一のカバーは、前記排出口から排出された刈草を前記作業車両本体よりも下側且つ左右の前記走行体の間へと案内する構成となっている。
【0017】
これにより、前記作業車両本体よりも下側であって左右の走行体に挟まれたスペースを有効に利用することができる。
【0018】
第五の観点では、第四の観点において、前記ハウジングが、刈草を前記排出口へと案内するためのガイド部材(105A、105B)を有する。
【0019】
これにより、刈草が排出口から排出される確実性を高めることができる。
【0020】
第六の観点では、第五の観点において、前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されている。前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列である。前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である。
【0021】
これにより、カッター列(161A)による刈草は、回転軸の左端側に飛び、カッター列(161C)による刈草は、回転軸の右端側に飛ぶので、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることができる。
【0022】
第七の観点では、第六の観点において、前記ハウジングの両側面における、後側の下端が、前記カッターの先端が最も低くなる位置と同じ位置又はそれよりも低い位置にある。
【0023】
これにより、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0024】
第八の観点では、第六又は第七の観点において、三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでいる。前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである。
【0025】
これにより、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0026】
第九の観点では、第六乃至第八の観点のいずれかにおいて、前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置される。前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されている。前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てている。前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)である。前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にある。前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にある。前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでいる。各前記カッターユニットが、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアとを備える。前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多い。前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多い。前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てている。それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである。
【0027】
これにより、バランスウエイトを不要にしたカッター配置を実現しつつ、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0028】
第十の観点では、第一乃至第九の観点のいずれかにおいて、前記作業車両本体が、ラジエータと前記ラジエータによって冷却されるエンジンとが収容される機械室(20)と、前記機械室内のスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第二のカバー(131)とを更に備える。これにより、作業車両本体よりも下側のスペースに機械室から風が送られることを抑えられるので、作業車両本体よりも下側にある刈草がそのような風によって舞ってしまうことを防ぐことが期待できる。
【0029】
第十一の観点では、第一乃至第十の観点のいずれかにおいて、前記作業車両本体が、前記作業車両本体が有する配管が存在するスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第三のカバー(151)を更に備える。これにより、配管が刈草によって傷つけられるおそれを低減することができる。
【0030】
第十二の観点では、草刈り用作業機械が、作業車両本体(2)と、前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)とを備える。前記草刈り部が、前記作業車両本体の左右方向に延びた回転軸を有する。前記回転軸に、草を刈るための複数のカッター(16)が備えられている。前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されている。前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列である。前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である。
【0031】
カッター列(161A)による刈草は、回転軸の左端側に飛び、カッター列(161C)による刈草は、回転軸の右端側に飛ぶ。このため、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることができる。
【0032】
第十三の観点では、第十二の観点において、三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでいる。前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである。
【0033】
これにより、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【0034】
第十四の観点では、第十二又は第十三の観点において、前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置される。前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されている。前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てている。前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)である。前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にある。前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にある。前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでいる。各前記カッターユニットが、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアとを備える。前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多い。前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多い。前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てている。それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである。
【0035】
これにより、バランスウエイトを不要にしたカッター配置を実現しつつ、ハウジングの左右のいずれの側からも刈草や土埃等が外へと巻き上がらないようにすることの確実性の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る草刈り用作業機械が適用されたフレールモアを説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係るフレールモアの斜視図である。図2は、フレールモアの右側面図である。
【0038】
フレールモア1は、車両本体2と、車両本体2の下側の左右に設けられたクローラ(履帯又はキャタピラと呼ばれることもある)3と、車両本体2の前側に昇降可能に設けられた草刈り部4とを備える。
【0039】
車両本体2の下側の後端に、作業者が立つステップ7が設けられている。また、車両本体2の後側に、ステップ7に立つ作業者から操作される操縦装置8が設けられている。このフレールモア1は、車両本体2の後側に立つ作業者の操作に応答して走行しながら草を刈るタイプの草刈り用作業機械である。
【0040】
車両本体2の左右に、車両本体2の両側を覆うサイドカバー5が着脱可能に取り付けられる。また、車両本体2の上側に、車両本体2内の上側部分を覆うアッパーカバー6が開閉可能に取り付けられる。
【0041】
図2に点線で示す通り、車両本体2の中に機械室20があり、機械室20に、例えば、ラジエータ及びエンジン(図示せず)が設けられている。
【0042】
前述したように、草刈り部4は、車両本体2の前側に昇降可能(上下に揺動可能)に設けられている。草刈り部4は、例えば、作業車両本体2の前側から前方に延びたアーム(図示せず)に取り付けられており、そのアームによって、昇降される。草刈り部4は、例えば作業機であり、ハウジング10と、カッターカバー11と、左右両側のリンク12と、左右両側のバネ13と、左右両側のソリ14と、回転軸15(図3参照)と、カッター16(図3参照)とを備えている。
【0043】
カッターカバー11は、ハウジング10の前側の下部に、リンク12及びバネ13を介して、開閉可能に取り付けられている。この構成により、草の背丈に応じて、カッターカバー11の開口量が変化する。具体的には、草の背丈が低い場合、カッターカバー11の開く量は小さくなる。これにより、小石等がハウジング10内から前方に飛散するのが防止される。草の背丈が高い場合、カッターカバー11には開方向(上方向)への力が加わり、カッターカバー11の開く量が大きくなる。これにより、背丈の高い草を大量にハウジング10内に取り込んで、破砕することができる。
【0044】
図3に示すように、ハウジング10に形成されているスペースは、メインスペース101とサブスペース103とに大別することができる。
【0045】
メインスペース101は、車両本体2の左右方向に延びている回転軸15が存在するスペースである。回転軸15は、ハウジング10の両側面に支持されている。回転軸15の外周面に、草刈り用の複数のカッター(典型的にはハンマーナイフなどの刈刃)16が設けられている。回転軸15が回転することにより、カッター16が草を刈り取る。回転軸15の回転方向は、図3に矢印で示すように、回転軸15の右側から見て時計周り(右回り)である。
【0046】
サブスペース103は、メインスペース101に連通しているスペースであり、メインスペース101よりも後方車両本体2の方向)に形成されているスペースである。具体的には、サブスペース103は、ハウジング10の後側における略中央から後方へと延びている排出口部材108によって形成されているスペースである。排出口部材108の先端に、刈草排出口111が形成されており、この刈草排出口111は、サブスペース103に連通している。後述するように、回転軸105の回転に伴い生じた刈草や土埃等は、メインスペース101の後側の略中央からサブペース103を通って刈草排出口111から排出される。
【0047】
図3に示すように、ハウジング10内には、刈草を刈草排出口111側(つまりサブスペース103)に案内するためのガイド部材105A、105Bが、メインスペース101の後側に設けられている。具体的には、例えば、ガイド部材105A、105Bは、それぞれ、ハウジング10の内側面から中央へと延びており、サブスペース103へ向けて傾いた斜面(回転軸15に対向した斜面)を有する。これにより、ガイド部材105A、105Bの斜面に当った刈草は、その斜面に沿ってサブスペース103へと案内される。
【0048】
図4に示すように、ソリ14は、ハウジング10の両側面の下側に設けられている。ソリ14が地面に接触することで、ハウジング10の両側面が地面から或る程度離れた高さに位置するようになっている。図4に斜線で示すように、ハウジング10の右側面(及び左側面)の後側の下端が、カッター16の先端が最も低くなる位置と同じ位置(又はそれよりも低い位置)にまで下りている。これにより、地面との間を狭くすることができ、それ故、刈草や土埃等がハウジング10の両側面から巻き上げられてしまうことの防止につながることが期待できる。
【0049】
本実施形態では、ハウジング10内において刈草を中央側に集めることが、図3を参照して説明したガイド部材105A及び105Bによって支援され、ハウジング10の外へ刈草や土埃等が巻き上げられてしまうことの防止が、図4を参照して説明した斜線の部分によって支援される。この他、本実施形態では、回転軸15におけるカッター16の配置を図5に示すような配置にすることで、刈草を中央に集めることができる。
【0050】
図5は、カッター16が配置された回転軸15の外周面の展開図である。
【0051】
回転軸15の外周面に、回転方向に対して傾斜した複数(例えば3つ)のカッター列161A、161B、161Cが、回転軸方向に沿って並んでいる。カッター列161Aは、回転軸15の右端に最も近いカッター列であり、カッター列161Cは、回転軸15の左端に最も近いカッター列であり、カッター列161Bは、カッター列161Aと161Cの間にあるカッター列である。
【0052】
1本のカッター列において、互いに隣り合うカッターは、回転方向に隣り合うカッターのうち距離が最も短いカッターである。カッター列161Aを例に採って具体的に説明すると、カッター16−1と回転方向隣にあるカッターは、カッター16−2、16−3及び16−4のうち、カッター16−1から最も近い位置にあるカッター16−2である。本実施形態では、1本のカッター列(例えば161A)の先頭のカッターは、回転方向における或る位置を基準位置とした場合にその基準位置から回転方向反対側に最も近いカッター16S(回転軸15の右端にあるカッター16S)であり、そのカッター列161Aの最後尾のカッターは、その基準位置から回転方向側に最も近いカッター16Eである。
【0053】
カッター列の種類として、2種類ある。一つは、カッター列161A及び161Bのような、回転方向に対して右に傾いた右傾きのカッター列である。もう1つは、カッター列161Cのような、回転方向に対して左に傾いた左傾きのカッター列である。右傾きのカッター列によれば、回転軸15の回転に伴って、刈草が、図5に示すように、回転軸15の左端側に飛ぶ。一方、左傾きのカッター列によれば、回転軸15の回転に伴って、刈草が、図5に示すように、回転軸15の右端側に飛ぶ。
【0054】
本実施形態では、回転軸15の左端よりも右端に近い位置にあるカッター列161Aが、前述したように、右傾きのカッター列とされ、回転軸15の右端よりも左端に近い位置にあるカッター列161Cが、前述したように、左傾きのカッター列とされる。これにより、刈草が中央側に集められる。
【0055】
なお、図5によれば、真ん中のカッター列161Bは、カッター列161Aと同様に、右傾きのカッター列とされているが、それに代えて、左傾きのカッター列とされても良い。しかし、例えばラジエータ(図示せず)がエンジンよりも右に設けられている場合には、ラジエータの目詰まりを防ぐ観点から、カッター列161Aに加えてカッター列161Bも右傾きのカッター列とすることが好ましい。すなわち、そのような場合には、回転軸方向に並んだカッター列の数が、三以上の奇数ならば、左傾きのカッター列の数よりも右傾きのカッター列の数が多いことが望ましい。右端側に飛ぶ刈草を左端側に飛ぶ刈草よりも少なくできるためである。
【0056】
以上が、カッター16の配置に関する説明である。なお、カッター列は、必ずしも直線でなく、例えば図6の参照番号161A´に示すように、曲線状になっていても良い。また、カッター列を構成するカッター16は、図6の参照番号161C´に示すように、不等間隔で並んでいても良い。
【0057】
図5を参照して説明したカッター配置や、図3を参照して説明したガイド部材105A及び105Bにより、回転軸15の回転に伴って、刈草が、メインスペース101の後側における略中央からサブスペース103を経由して刈草排出口111(図3参照)から排出される。
【0058】
ハウジング10から排出された刈草は、刈草や土埃等がフレールモア1の途中で巻き上げられるのを防ぐ観点から、途中でフレールモア1の外へ排出されることなく車両本体2の後方へと排出されることが望ましいと考えられる。これを実現する方法として、排出口部材108(図3参照)から車両本体2の後端まで延びた刈草ダクトを備える方法が考えられるが、その方法を単純に採用することはできない。なぜなら、そのような刈草ダクトが、ハウジング10の昇降を妨げるおそれがあり、また、ハウジング10の昇降に応じて刈草ダクトを或る程度伸縮できるようにする等の工夫が必要になると考えられるからである。
【0059】
そこで、本実施形態では、図7〜図13を参照して説明する工夫により、刈草ダクトをわざわざ備えなくても、刈草ダクトが実質的に形成されるので、刈草や土埃等をフレールモア1の途中から巻き上げることなくフレールモア1の後方から排出することができる。
【0060】
以下、その実質的な刈草ダクト(以下、「実質ダクト」と略す)について、詳細に説明する。
【0061】
図7は、車両本体2の下側に取り付けられる五種類のカバーの斜視図である。図8は、五種類のカバー、ハウジング及びクローラの上から見た位置関係を示す。図9は、ハウジングと実質ダクトの断面の概要を示す。
【0062】
図8に示すように、車両本体2の下側のフレームは、車両本体2の下側の左右の縁を形成する右端フレーム部194R及び左端フレーム部194Lと、それらのフレーム部194R及び194Lに挟まれている第一内部フレーム部196及び第二内部フレーム部198とで構成されている。五種類のカバーのうち、後述のクローラ中央カバー141(図7及び図11参照)以外は、このフレームに固定されている。
【0063】
五種類のカバーとして、図7に示すように、フロントアンダーカバー121、機械室アンダーカバー131、リアアンダーカバー151、クローラ中央カバー141、及びクローラリアカバー143がある。これらのカバー121、131、151、141及び143の互いの位置関係は、図7及び図8に示す通りである。また、これらのカバー121、131、151、141及び143の前後方向に延びた範囲Aは、図2及び図8に示した範囲Aに重なる。具体的には、フロントアンダーカバー121は、ハウジング10の後方に位置しており、機械室アンダーカバー131は、機械室20の真下に位置しており、リアアンダーカバー151は、機械室アンダーカバー131の後側から車両本体2の後端(図2に示すようにステップ7の手前)まで延びており、クローラ中央カバー141は、クローラ3の内側の中央下側部分に位置しており、クローラリアカバー143は、クローラ3の内側の後端部分に位置している。
【0064】
以下、各カバー121、131、151、141及び143について説明する。
【0065】
まず、フロントアンダーカバー121について説明する。
【0066】
図7〜図9に示すように、フロントアンダーカバー121は、刈草排出口111が入り込む開口127を有した部材(言い換えれば、刈草排出口111を上側から両側にかけて覆う部材)であって、実質ダクトの入口部分となる部材である。
【0067】
図7及び図8に示すように、フロントアンダーカバー121の幅(左右方向の長さ)は、クローラ3間の距離よりも短い長さである。フロントアンダーカバー121の後側は、クローラ3間に挟まれている。
【0068】
図7及び図10に示すように、フロントアンダーカバー121は、右側を遮蔽するライト遮蔽板123R(右側面)と、左側を遮蔽するレフト遮蔽板123L(左側面)と、上側を遮蔽するアッパー遮蔽板125(上面)とを有する。ライト遮蔽板123R及びレフト遮蔽板123Lにより、フロントアンダーカバー121内に入った刈草がフロントアンダーカバー121の左右から外へと出てしまうことを防ぐことができる。アッパー遮蔽板125により、フロントアンダーカバー121内に入った刈草がフロントアンダーカバー121の上から外へと出てしまうことを防ぐことができる。
【0069】
図8に示すように、右端フレーム部194Rの右縁(右側面)と、フロントアンダーカバー121の右側面(つまりライト遮蔽板123R)とが、実質的に同じ平面にある(例えば、それらが実質的に面一になっている)。同様に、左端フレーム部194Lの左縁(左側面)と、フロントアンダーカバー121の左側面(つまりレフト遮蔽板123L)とが、実質的に同じ平面にある。各クローラ3と各フレーム部194R及び194Lとの間には、所定距離(例えば、30mm若しくはその前後(具体例として31mm))の隙間があり、故に、各クローラ3とフロントアンダーカバー121の各側面との間にも、同じ距離の隙間がある。右端フレーム部194R及び左端フレーム194Lは、中空の部材(パイプ)で構成されている。このため、例えば、右側のクローラ3がずれて、ライト遮蔽板123Rにぶつかったとしても、右端フレーム部194Rで衝撃を吸収することができ、以って、ライト遮蔽板123Rが損傷することを防ぐことができる。
【0070】
図7及び図10に示すように、遮蔽板121、123R及び123Lにより、フロントアンダーカバー121内にスペースが形成されており、且つ、フロントアンダーカバー121の前側に、図10に示すように開口127が形成されている。図9に示すように、ハウジング10がどの位置にあっても、排出口部材108の先端部分が、開口127を通ってフロントアンダーカバー121内のスペースに入り込んでいる。
【0071】
開口127の左右縁と排出口部材108との隙間のサイズは、実質的に一定である。草刈り部4は、上下には動くが左右には動かないためである。
【0072】
それに対し、開口127の上縁と排出口部材108との隙間のサイズは、可変である。草刈り部4の上下に動きに伴って排出口部材108が上下に動くからである。そこで、本実施形態では、図7、図9及び図10に示すように、開口127の上縁と排出口部材108との隙間を塞ぐための隙間塞ぎ部材129が取り付けられている。隙間塞ぎ部材129は、例えば、アッパー遮蔽板125の先端に取り付けられている。隙間塞ぎ部材129は、例えば、板状の弾性部材(例えばゴム)である。隙間塞ぎ部材129の幅は、例えば、開口127の幅よりも若干短い長さ(又は開口127の幅と同程度の長さ)である。隙間塞ぎ部材129は、アッパー遮蔽板125の先端から真下へと延びている。隙間塞ぎ部材129は、図9及び図12に示すように、ハウジング10(排出口部材108)が最も低い位置にあるときには、撓んでいない自然の状態にある(具体的には、隙間塞ぎ部材129の下縁が、排出口部材108に接触しているか、或いは、排出口部材108から若干離れた位置にある)。ハウジング10が上昇するにつれて、排出口部材108が高い位置に移動すると、図9及び図13に示すように、隙間塞ぎ部材129が、排出口部材108から上方へと押されて撓むことになる。ハウジング10が最も低い位置(例えば定位置)に下降すれば、隙間塞ぎ部材129の撓みが解除され、隙間塞ぎ部材129は元の形状に戻る。
【0073】
以上のように、ハウジング10がどの位置にあっても、刈草排出口111は、フロントアンダーカバー121の開口127に入り込んでいる。また、ハウジング10が昇降しても、排出口部材108の上面と開口127の上縁との隙間は、上述した隙間塞ぎ部材129で塞がれた構成となっている。このため、ハウジング10がどの位置にあっても、刈草排出口111から排出された刈草が、ハウジング10とフロントアンダーカバー121との間から漏れてしまうことなく、フロントアンダーカバー121内のスペースに入ることになる。
【0074】
なお、隙間塞ぎ部材129の下縁は、ハウジング10(排出口部材108)が最も低い位置にあるときであっても撓むような高さにまで下りてきていても良い。また、隙間塞ぎ部材129の下縁は、直線である必要は無く、排出口部材108の上面の形状に応じたラインになっていても良い。具体的には、隙間塞ぎ部材129の下縁は、排出口部材108が隙間塞ぎ部材129と接触したと同時にその下縁全体が排出口部材108に接触するようなラインになっていることが好ましい。隙間をなるべく生じさせないようにするためである。
【0075】
図7及び図9に示すように、アッパー遮蔽板125は、後方へかけて斜め下に傾いており、アッパー遮蔽板125の後端は、実質ダクトのメイン通路の入口へと延びている。例えば、アッパー遮蔽板125の後端は、実質ダクトのメイン通路の入口を構成する第一内部フレーム196の高さと同じかそれよりも低い位置にある。この構成により、フロントアンダーカバー121内に入り込んだ刈草は、アッパー遮蔽板125の傾斜に沿って、後方且つ車両本体2よりも下側へと案内されて、実質ダクトのメイン通路(第一内部フレーム196よりも下のスペース)に入る。
【0076】
以上が、フロントアンダーカバー121についての説明である。なお、上述の例では、ハウジング10から後方へと延びた排出口部材108がフロントアンダーカバー121に入り込む構成であるが、それとは逆に、フロントアンダーカバー121から管路が延びていてそれがハウジング10内に入り込む構成であっても良い。しかし、フレールモア1が、草刈り部4(作業機械)を取り外して別のタイプの作業機械を取り付けることができるタイプのフレールモアである場合には、フロントアンダーカバー121から管路が延びている構成となっていると、別のタイプの作業機械の邪魔になるおそれがあるので、上述した実施形態のような構成になっている方が好ましいと考えられる。
【0077】
さて、次に、機械室アンダーカバー131について説明する。
【0078】
機械室アンダーカバー131は、機械室20(図2参照)に対向する位置に設けられた方形の遮蔽板である。図8に示すように、機械室アンダーカバー131の前後方向の長さ(縦の長さ)は、機械室20の前後方向の長さを含んだ長さであり、機械室アンダーカバー131の左右方向の長さ(横の長さ)は、右端フレーム194Rと左端フレーム194Lとの間を跨げる長さである。機械室アンダーカバー131は、第二内部フレーム198、右端フレーム194R及び左端フレーム194Lに固定されている。図7に示すように、機械室アンダーカバー131の前縁及び後縁が、上方へと折られている。
【0079】
なお、機械室アンダーカバー131の別の構成として、例えば、機械室20内の温まった空気を逃がすための開口が穿たれた構成が考え得る。しかし、機械室アンダーカバー131の構成としては、図7及び図8に示すように、機械室20に対向する領域を含んだ、車両本体2の下側を左右に延びた領域の全域を遮蔽することが望ましいと考えられる。なぜなら、そうすることにより、機械室アンダーカバー131から下方へと逃げた熱風によって刈草が巻き散ることを防ぐことが期待できるからである。
【0080】
次に、リアアンダーカバー151について説明する。
【0081】
図7及び図8に示すように、リアアンダーカバー151は、機械室アンダーカバー131の後隣に設けられた遮蔽板である。図2、図7〜図9及び図11に示すように、リアアンダーカバー151は、車両本体2の後端(ステップ7の手前付近)まで延びている。また、リアアンダーカバー151の左右方向の長さ(横の長さ)は、右端フレーム194Rと左端フレーム194Lとの間を跨げる長さである。リアアンダーカバー151があることで、所定の配管(例えば、走行モータへの配管)が刈草によって傷つけられるおそれを低減することができる。
【0082】
次に、クローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143について説明する。
【0083】
図7に示すクローラ中央カバー141は、クローラ3の下側中央に生じている隙間を覆うカバーであり、クローラリアカバー143は、クローラ3の後端部分を覆うカバーである。図11に示すように、クローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143は、クローラ3の内側に取り付けられる。以上の構成により、実質ダクトの途中で、クローラ3の内側から外側へと刈草が出てしまうことを防ぐことが期待できる。
【0084】
以上が、実質ダクトに関する説明である。この説明によれば、車両本体2と地面との間及びクローラ3間にあるスペースを有効に利用することで、上述した工夫を施すことにより、ハウジング10から車両本体2の後端へと延びたダクトをわざわざ備えることなく、そのようなダクトを実質的に形成することできている。
【0085】
具体的には、実質ダクトの前後方向の長さは、図2、図7及び図8に示した範囲Aの長さ、すなわち、フロントアンダーカバー121からリアアンダーカバー151にかけた長さになっている。実施ダクトの下面は、地面である。実質ダクトの上面は、フロントアンダーカバー121のアッパー遮蔽板125、第一内部フレーム部196、第二内部フレーム部198、機械室アンダーカバー131及びリアアンダーカバー151で構成されている。実質ダクトの右側面は、フロントアンダーカバー121のライト遮蔽板123R、右側のクローラ3、それに取り付けられたクローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143で構成されている。実質ダクトの左側面は、フロントアンダーカバー121のレフト遮蔽板123L、左側のクローラ3、それに取り付けられたクローラ中央カバー141及びクローラリアカバー143で構成されている。
【0086】
回転軸15の回転に伴い、刈草は、ハウジング10のメインスペース101からサブスペース103を通って刈草排出口111から排出される。排出された刈草は、フロントアンダーカバー121に入って、車両本体2の下側且つ後側へと案内される。刈草は、実質ダクトの途中(例えば、フロントアンダーカバー121の下、及び/又は、第一内部フレーム部196の下)に溜まることがあり得る。しかし、フレールモア1は、通常、草刈りをしながら前進しているため、実質ダクトが刈草で詰まることなく、刈草が実質ダクトを通ってフレールモア1の下側且つ後側から排出されているかのように見える。
【0087】
以上が、本実施形態についての説明である。
【0088】
また、カッター16の配置に関して幾つかの変形例が考えられる。
【0089】
例えば、図14に示すように、カッター列の数は、四以上であっても良い。カッター列の数が四以上の偶数の場合、右傾きのカッター列の数が、左傾きのカッター列の数より多くても良いが、図14に示すように、それらが同数であることが好ましい。
【0090】
また、右傾きのカッター列と左傾きのカッター列とが隣り合うことで、図14に示すように略V字が形成されるが、カッター列の数が三以上の場合、V字の頂点(言い換えれば、右傾きのカッター列と左傾きのカッター列とが隣り合う位置)は、図15に示すように、回転軸方向に異なる複数個(図15の例では3個)の位置に存在しても良い。しかし、V字の頂点は、中央付近一箇所に集める観点で言えば、図14に示すように一つであることが好ましい。なお、ここで言う「一つ」とは、回転軸方向において実質的に一つの意味である。具体的には、後に説明する図16に示すように、回転軸15の外周面の展開図(方形)の横を、回転軸方向に平行の座標軸とした場合に、実質的に同一の座標上にV字の頂点が乗りさえすれば、隣り合う右傾きのカッター列と左傾きのカッター列との組は、複数組存在しても良い。より具体的には、図16では、右傾きのカッター列が点線矢印で表されており、左傾きのカッター列が一点鎖線矢印で表されているが、図16によれば、実質的に同一の座標上に載っているV字頂点として、カッター(11)とカッター(12)の2つがある。
【0091】
また、カッター16は、例えば図16に示すように配置されても良い。
【0092】
図16は、左端にあるカッター(1)の位置を基準とした、回転軸15の外周面の展開図である。
【0093】
回転軸15の側面の円周πL(Lは回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数、図16の例ではn=3のため2n=6)等分した位置にカッターが配置される。回転軸方向に隣り合う各2個のカッター(例えば、カッター(1)とカッター(2)、カッター(7)とカッター(8))で、各カッターペアが構成されている。カッターペアを構成する2個のカッター(例えば、カッター(1)とカッター(2))は、回転軸方向に、距離pを隔てており、回転方向に、180°位相がずらされた距離(つまり円周πLの半分)を隔てている。
【0094】
カッターペアの種類として、参照番号181に示すような右傾きのカッターペアと、参照番号183に示すような左傾きのカッターペアとの2種類がある。
【0095】
右傾きのカッターペア181は、例えばカッターペア(7,8)に示す通り、回転方向に対して右に傾いているカッターペアである。すなわち、2個のカッター(7,8)のうちの回転方向側にあるカッター(8)が、それら2個のカッター(7,8)のうちの回転方向反対側にあるカッター(7)よりも回転軸16の右端側にある。右傾きカッターペア181としては、カッターペア(7,8)の他に、カッターペア(9,10)、(11,12)、(13,14)、(15,16)、(23,24)、(25,26)、(27,28)及び(35,36)がある。
【0096】
左傾きのカッターペア183は、例えばカッターペア(1,2)に示す通り、回転方向に対して左に傾いているカッターペアである。すなわち、2個のカッター(1,2)のうちの回転方向側にあるカッター(1)が、それら2個のカッター(1,2)のうちの回転方向反対側にあるカッター(2)よりも回転軸16の左端側にある。左傾きのカッターペア183としては、カッターペア(1,2)の他に、カッターペア(3,4)、(5,6)、(17,18)、(19,20)、(21,22)、(29,30)、(31,32)及び(33,34)がある。
【0097】
回転軸方向に、動バランスが均衡したカッターユニット201A、201B及び201Cが並んでいる。各カッターユニット201A、201B及び201Cは、回転軸方向にn個(図16の例ではn=3)並んだ左傾きのカッターペアと、回転軸方向にn個並んだ右傾きのカッターペアとで構成される。これにより、動バランスが均衡している。
【0098】
回転軸15の右端よりも左端に近いカッターユニット201Aでは、右傾き及び左傾きのカッターペアの組として、右傾きのカッターペアよりも左傾きのカッターペアの方が回転軸15の左端に近い組が多い。具体的には、カッターユニット201Aにおいて、カッターペアの3つの組<(1,2)、(7,8)>、<(3,4)、(9,10)>及び<(5,6)、(11,12)>のいずれの組でも、右傾きのカッターペアよりも左傾きのカッターペアの方が回転軸15の左端に近い位置にある。
【0099】
一方、回転軸15の左端よりも右端近いカッターユニット201Cや、カッターユニット201Aと201Cとの間にあるカッターユニット201Bでは、右傾き及び左傾きのカッターペアの組として、右傾きのカッターペアよりも左傾きのカッターペアの方が回転軸15の右端に近い組が多い。カッターユニット201Cを例に採って言えば、カッターペアの3つの組<(25,26)、(29,30)>、<(27,28)、(31,32)>及び<(33,34)、(35,36)>のうちの過半数の組<(25,26)、(29,30)>、<(27,28)、(31,32)>では、右傾きのカッターペア(例えば(25,26))よりも左傾きのカッターペア(例えば(29,30))の方が回転軸15の右端に近い位置にある。
【0100】
図16の例によれば、回転軸1周あたり6個のカッター16が配置されるので、1本のカッター列を構成するカッターの数は最大で6である。図16では、点線矢印に沿ったカッター列が、右傾きのカッター列であり、一点鎖線矢印に沿ったカッター列が、左傾きのカッター列である。
【0101】
各カッター列(例えば、右上向きカッター列(36,34,32,30))では、隣接する一方のカッター(例えば(36))と他方のカッター(例えば(34))との距離は、回転軸方向で言えば、2p(pの2倍)であり、回転方向で言えば、円周÷2nである(円周は、図16の上端Aから下端Aまでの距離)。
【0102】
カッター列を構成するカッターと、カッターペアを構成するカッターとの関係は、次の通りである。すなわち、各カッター列(例えば、左上向きカッター列(2,4,6))では、隣接する2個のカッター(例えば(2,4))のうちの一方のカッター(例えば(2))は、回転軸方向に隣接する2つのカッターペア(例えば(1,2)、(3,4))のうちの一方のカッターペア(例えば(1,2))を構成する一つのカッター(例えば(2))である。上記隣接する2個のカッター(例えば(2,4))のうちの他方のカッター(例えば(4))は、回転軸方向に隣接する2つのカッターペア(例えば(1,2)、(3,4))のうちの他方のカッターペア(例えば(3,4))を構成する一つのカッター(例えば(4))である。
【0103】
以上、本発明の実施形態及び幾つかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこれらの実施形態及び変形例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。例えば、草刈り用作業機械として、車両の後方にオペレータが立って操作するタイプのフレールモアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、乗用車型の草刈り作業機械や手押し式の草刈り作業機械にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態に係るフレールモアの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るフレールモアの右側面図である。
【図3】ハウジングの下側からの斜視図である。
【図4】図2に示したハウジング右側面の拡大図である。
【図5】カッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【図6】カッター列の変形例を示す。
【図7】車両本体の下側に取り付けられる五種類のカバーの斜視図である。
【図8】五種類のカバー、ハウジング及びクローラの上から見た位置関係を示す。
【図9】ハウジングと実質ダクトの断面の概要、及び、ハウジングの昇降に伴う隙間塞ぎ部材の動きを示す。
【図10】フロントアンダーカバーの前方且つ上方からの斜視図である。
【図11】クローラの内側の後方且つ下方からの斜視図である。
【図12】ハウジングが最も低い位置にあるときの隙間塞ぎ部材の正面図及び側面図である。
【図13】ハウジングが昇降したときの隙間塞ぎ部材の正面図及び側面図である。
【図14】第一の変形例に従ってカッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【図15】第二の変形例に従ってカッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【図16】第三の変形例に従ってカッターが配置された回転軸の外周面の展開図である。
【符号の説明】
【0105】
1…フレールモア、2…車両本体、3…走行体、4…草刈り部、10…ハウジング、14…ソリ、15…回転軸、16…カッター、20…機械室、121…フロントアンダーカバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両本体(2)と、
前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)と
を備え、
前記草刈り部が、ハウジング(10)を有しており、
前記ハウジング(10)が、複数のカッター(16)が取り付けられている左右方向に延びた回転軸(15)と、前記回転軸の回転に伴い前記カッターによって刈られた草の排出口(111)とを有しており、
前記作業車両本体が、前記排出口から排出された刈草の外への飛散を抑え前記刈草を前記作業車両本体よりも下側へと案内するための第一のカバー(121)を有している、
草刈り用作業機械。
【請求項2】
前記排出口と前記第一のカバーとの隙間を塞ぐための変形可能な隙間塞ぎ部材(129)を備え、
前記草刈り部が、上下に動くものであり、
前記草刈り部の動きに伴う前記排出口の動きに応じて前記隙間塞ぎ部材が変形する、
請求項1記載の草刈り用作業機械。
【請求項3】
前記草刈り部が定位置にある状態では、前記隙間塞ぎ部材は非変形状態である、
請求項2記載の草刈り用作業機械。
【請求項4】
前記作業車両本体の左右に設けられた走行体(3)を有しており、
前記第一のカバーは、前記排出口から排出された刈草を前記作業車両本体よりも下側且つ左右の前記走行体の間へと案内する構成となっている、
請求項3記載の草刈り用作業機械。
【請求項5】
前記ハウジングが、刈草を前記排出口へと案内するためのガイド部材(105A、105B)を有する、
請求項4記載の草刈り用作業機械。
【請求項6】
前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されており、
前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列であり、
前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である、
請求項5記載の草刈り用作業機械。
【請求項7】
前記ハウジングの両側面における、後側の下端が、前記カッターの先端が最も低くなる位置と同じ位置又はそれよりも低い位置にある、
請求項6記載の草刈り用作業機械。
【請求項8】
三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでおり、
前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである、
請求項6又は7に記載の草刈り用作業機械。
【請求項9】
前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置され、
前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されており、
前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てており、
前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)であり、
前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にあり、
前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にあり、
前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでおり、
各前記カッターユニットが、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアと
を備え、
前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多く、
前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多く、
前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てており、それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである、
請求項6乃至8のうちのいずれか1項に記載の草刈り用作業機械。
【請求項10】
前記作業車両本体が、
ラジエータと前記ラジエータによって冷却されるエンジンとが収容される機械室(20)と、
前記機械室内のスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第二のカバー(131)と
を更に備える、
請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載の草刈り用作業機械。
【請求項11】
前記作業車両本体が、前記作業車両本体が有する配管が存在するスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第三のカバー(151)を更に備える、
請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載の草刈り用作業機械。
【請求項12】
作業車両本体(2)と、
前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)と、
を備え、
前記草刈り部が、前記作業車両本体の左右方向に延びた回転軸を有し、
前記回転軸に、草を刈るための複数のカッター(16)が備えられており、
前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されており、
前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列であり、
前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である、
草刈り用作業機械。
【請求項13】
三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでおり、
前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである、
請求項12記載の草刈り用作業機械。
【請求項14】
前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置され、
前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されており、
前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てており、
前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)であり、
前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にあり、
前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にあり、
前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでおり、
各前記カッターユニットが、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアと
を備え、
前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多く、
前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多く、
前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てており、それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである、
請求項12又は13記載の草刈り用作業機械。
【請求項1】
作業車両本体(2)と、
前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)と
を備え、
前記草刈り部が、ハウジング(10)を有しており、
前記ハウジング(10)が、複数のカッター(16)が取り付けられている左右方向に延びた回転軸(15)と、前記回転軸の回転に伴い前記カッターによって刈られた草の排出口(111)とを有しており、
前記作業車両本体が、前記排出口から排出された刈草の外への飛散を抑え前記刈草を前記作業車両本体よりも下側へと案内するための第一のカバー(121)を有している、
草刈り用作業機械。
【請求項2】
前記排出口と前記第一のカバーとの隙間を塞ぐための変形可能な隙間塞ぎ部材(129)を備え、
前記草刈り部が、上下に動くものであり、
前記草刈り部の動きに伴う前記排出口の動きに応じて前記隙間塞ぎ部材が変形する、
請求項1記載の草刈り用作業機械。
【請求項3】
前記草刈り部が定位置にある状態では、前記隙間塞ぎ部材は非変形状態である、
請求項2記載の草刈り用作業機械。
【請求項4】
前記作業車両本体の左右に設けられた走行体(3)を有しており、
前記第一のカバーは、前記排出口から排出された刈草を前記作業車両本体よりも下側且つ左右の前記走行体の間へと案内する構成となっている、
請求項3記載の草刈り用作業機械。
【請求項5】
前記ハウジングが、刈草を前記排出口へと案内するためのガイド部材(105A、105B)を有する、
請求項4記載の草刈り用作業機械。
【請求項6】
前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されており、
前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列であり、
前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である、
請求項5記載の草刈り用作業機械。
【請求項7】
前記ハウジングの両側面における、後側の下端が、前記カッターの先端が最も低くなる位置と同じ位置又はそれよりも低い位置にある、
請求項6記載の草刈り用作業機械。
【請求項8】
三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでおり、
前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである、
請求項6又は7に記載の草刈り用作業機械。
【請求項9】
前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置され、
前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されており、
前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てており、
前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)であり、
前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にあり、
前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にあり、
前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでおり、
各前記カッターユニットが、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアと
を備え、
前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多く、
前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多く、
前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てており、それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである、
請求項6乃至8のうちのいずれか1項に記載の草刈り用作業機械。
【請求項10】
前記作業車両本体が、
ラジエータと前記ラジエータによって冷却されるエンジンとが収容される機械室(20)と、
前記機械室内のスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第二のカバー(131)と
を更に備える、
請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載の草刈り用作業機械。
【請求項11】
前記作業車両本体が、前記作業車両本体が有する配管が存在するスペースを前記作業車両本体よりも下側のスペースに対して遮蔽する第三のカバー(151)を更に備える、
請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載の草刈り用作業機械。
【請求項12】
作業車両本体(2)と、
前記作業車両本体の前側に設けられた草刈り部(4)と、
を備え、
前記草刈り部が、前記作業車両本体の左右方向に延びた回転軸を有し、
前記回転軸に、草を刈るための複数のカッター(16)が備えられており、
前記複数のカッターのうちの二以上のカッターで、前記回転軸の回転方向に対して傾いたカッター列が構成されており、
前記回転軸の左端よりも前記回転軸の右端に近い位置にある前記カッター列(161A)が、前記回転軸の回転方向側がその回転方向反対側よりも前記回転軸の右端に近くなっているように傾いている第一種のカッター列であり、
前記回転軸の右端よりも前記回転軸の左端に近い位置にある前記カッター列(161C)が、前記回転方向側が前記回転方向反対側よりも前記回転軸の左端に近くなっているように傾いている第二種のカッター列である、
草刈り用作業機械。
【請求項13】
三以上の前記カッター列が、前記回転軸方向に沿って並んでおり、
前記第一種のカッター列と前記第二種のカッター列が隣り合う位置は、前記回転軸方向において実質的に一つである、
請求項12記載の草刈り用作業機械。
【請求項14】
前記回転軸の側面の円周πL(Lは前記回転軸の側面の直径)を2n(nは自然数)等分した位置にカッターが配置され、
前記回転軸方向に隣り合う各2個のカッターで、各カッターペアが構成されており、
前記カッターペアを構成する2個のカッターは、前記回転軸方向に、距離pを隔てており、前記回転方向に、180°位相がずらされた距離(円周πL÷2)を隔てており、
前記各カッターペアは、第一種のカッターペア(181)又は第二種のカッターペア(183)であり、
前記第一種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の一端側にあり、
前記第二種のカッターペアは、2個のカッターのうちの前記回転方向側にあるカッターが、それら2個のカッターのうちの前記回転方向反対側にあるカッターよりも前記回転軸の他端側にあり、
前記回転軸方向に沿って、動バランスが均衡したカッターユニットが並んでおり、
各前記カッターユニットが、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第一種のカッターペアと、
前記回転軸方向に沿ってn個並んだ前記第二種のカッターペアと
を備え、
前記回転軸の他端よりも前記回転軸の一端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の一端に近い組が多く、
前記回転軸の一端よりも前記回転軸の他端に近い前記カッターユニットでは、前記第一種及び第二種のカッターペアの組として、前記第一種のカッターペアよりも前記第二種のカッターペアの方が前記回転軸の他端に近い組が多く、
前記カッター列において隣り合う2個のカッターは、前記回転軸方向に、(前記距離p×2)を隔てており、前記回転方向に、(円周πL÷2n)を隔てており、それら2個のカッターのうちの一方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの一方のカッターペアを構成する一つのカッターであり、それら2個のカッターのうちの他方のカッターが、前記回転軸方向に隣接する2つのカッターペアのうちの他方のカッターペアを構成する一つのカッターである、
請求項12又は13記載の草刈り用作業機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−4783(P2010−4783A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166303(P2008−166303)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(307009883)ハスクバーナ・ゼノア株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(307009883)ハスクバーナ・ゼノア株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
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