説明

蓄積再生装置

【課題】格納された全てのTSを読み出す必要なく、要約再生に必要なIピクチャを迅速にサーチすることを可能とする。
【解決手段】コンテンツをスクランブル処理して得られたデータが格納された第1パケット及びスクランブル処理が施されたコンテンツをデスクランブル処理するためのデータであって、所定の暗号鍵によって暗号化処理されたデータが格納された第2パケットが多重化された入力データを蓄積する手段を備え、第1又は第2パケットに対して第1又は第2パケットを蓄積手段に蓄積した後に第1,第2パケットに格納されたデータを再生する際の時間的な基準を示す情報が格納されたタイムスタンプを付加し、該タイムスタンプを付加して得られるタイムスタンプ付パケットを格納する蓄積手段における位置を示す情報を生成し、タイムスタンプと当該タイムスタンプが付加されたタイムスタンプ付パケットに対応する格納位置情報とを対応付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄積再生装置に関し、特に、受信したコンテンツの要約再生を行なう際に必要なデータを生成し、当該データを記録し、当該データに基づいてコンテンツの再生を行なう蓄積再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ型放送に対応する従来の受信装置は、送信装置から送信されたコンテンツおよび暗号化された鍵(コンテンツ鍵、スクランブル鍵等。以下、暗号化された鍵を暗号鍵ともいう。)を受信し、当該コンテンツ等を蓄積装置に蓄積させる。そして、当該コンテンツの要約再生を行なう場合には、蓄積装置に蓄積されたコンテンツ鍵およびスクランブル鍵を使用して、前記コンテンツをデスクランブルし、当該コンテンツに対応するIピクチャを順次再生する(例えば、非特許文献1および非特許文献2)。
【0003】
【非特許文献1】規格番号「ARIB STD−B25」、標準規格名「デジタル放送におけるアクセス制御方式」、社団法人電波産業界(ARIB)、第4.1版(改定日:平成15年6月5日)、策定年月日:平成11年10月26日
【非特許文献2】西本友成、馬場秋継、栗岡辰弥、難波誠一、「サーバ型放送におけるコンテンツのアクセス制御方式」、映像情報メディア学会誌、(社)映像情報メディア学会、平成16年7月1日、第58巻、第7号、p.1003−p.1008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の受信装置においては、受信したコンテンツに対応するTS(Transport Stream)および暗号鍵を順次、蓄積装置に蓄積させる。したがって、当該蓄積装置に蓄積したコンテンツを要約再生する際には、蓄積装置に格納されたTSおよび暗号鍵を短時間で全て読み出し、当該暗号鍵の復号およびTSのデスクランブルを行なって、当該要約再生に必要なIピクチャをサーチする必要がある。
【0005】
その結果、TSの短時間での読み出しおよびIピクチャのサーチの際、受信装置および蓄積装置の動作負荷が非常に高くなってしまう。特に、当該要約再生と、その他の処理(コンテンツの受信、記録等)とを同時に行なう場合には、当該動作負荷が高くなることによって、映像の途切れ等が起こり、滑らかな要約再生が困難となる。
【0006】
また、滑らかな要約再生を行なうためには、単位時間当たりにデコードするIピクチャの数を増やす必要があるが、上述のように全てのTSを読み出す場合には、蓄積装置および受信装置の性能の限界により、単位時間当たりにデコードするIピクチャ数を増加させるにも限界がある。
【0007】
そこで本発明は、格納された全てのTSを読み出す必要なく、要約再生に必要なIピクチャを迅速にサーチすることを可能とする蓄積再生装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄積再生装置は、
映像データまたは音声データを含んで構成されるコンテンツをスクランブル処理して得られたデータが格納された第1のパケット、および、前記スクランブル処理が施された前記コンテンツをデスクランブル処理するためのデータであって、所定の暗号鍵によって暗号化処理がなされたデータが格納された第2のパケット、が多重化された入力データを蓄積する蓄積手段を備える蓄積再生装置であって、
前記入力データが入力される入力部と、
前記蓄積手段における、前記入力部に入力された前記第2のパケットを格納する位置を示す格納位置情報を生成する格納位置情報生成手段と、
前記格納位置情報生成手段によって生成された前記格納位置情報を管理する管理手段と、
前記格納位置情報に基づいて前記蓄積手段に蓄積された前記入力データを前記所定の暗号鍵によってデスクランブル処理することにより、前記コンテンツを再生する再生手段と、を備えること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る蓄積再生装置によれば、蓄積装置に格納された蓄積された全てのTSをデスクランブルしなくても、要約再生に必要なIピクチャを迅速にサーチすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】EMM処理部7におけるKw・E(Km)の復号を模式的に示した模式図である。
【図3】EMM処理部7におけるKm’・E(Km)の復号を模式的に示した模式図である。
【図4】限定受信用ECM処理部8におけるKs・E(Kw)の復号を模式的に示した模式図である。
【図5】限定再生用ECM−Kc処理部9におけるワーク鍵Kwの復号および暗号化を模式的に示した模式図である。
【図6】所定数n個のTSで構成されるブロック(以下、TSブロックともいう。)を模式的に示した模式図である。
【図7】実施の形態1におけるテーブル生成部40の構成を示すブロック図である。
【図8】ECM−Kc格納位置テーブルを模式的に示した模式図である。
【図9】限定受信用ECM−Kc処理部9においてスクランブル鍵Ksを得るまでの復号を模式的に示した模式図である。
【図10】この発明の実施の形態2における記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態2におけるテーブル生成部50の構成を示すブロック図である。
【図12】Iピクチャ格納位置テーブルを模式的に示した模式図である。
【図13】この発明の実施の形態3における記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における記録再生装置の構成を示すブロック図である。当該記録再生装置は、受信装置101および蓄積装置4を有して構成される。また、当該記録再生装置には、図示しないインタフェースを介してセキュリティモジュール2が接続される。
【0012】
受信装置101には、図示しないチューナーからスクランブルされたTSが入力される。当該TSにはコンテンツに対応するデータ(以下、ストリームともいう。)、送信機(図示せず)によって暗号化された鍵(暗号鍵)等が含まれる。なお、図1における太い矢印は、ストリームの流れを示す。ここで、暗号鍵について説明する。
【0013】
例えば、ARIB STD−B25(非特許文献1)に記載のサーバ型放送においては、前記ストリームをスクランブルするスクランブル鍵Ks、コンテンツ事業者個別に設定されるワーク鍵Kw、前記セキュリティモジュール毎に設定される固有の鍵であるマスター鍵Kmならびに固有鍵Km’、およびコンテンツ単位の視聴制御を実現するためのコンテンツ鍵Kcが設けられている。なお、スクランブル鍵Ksは、暗号化時と復号化時で同一の鍵を使用する共通鍵方式をとり、秒単位で異なる鍵となるように設定される。また、コンテンツ鍵Kcはスクランブルされたストリームと共に蓄積され、当該蓄積の際に固有鍵Km'によって暗号化される。
【0014】
そして、これらの鍵は、送信機において、他の鍵によって暗号化され送信される。例えば、ワーク鍵Kwはマスター鍵Kmによって暗号化され、EMMによって送信される。なお、以下の説明においては、1の鍵Kaによって暗号化された他の鍵KbをKb・E(Ka)とする。したがって、上述のマスター鍵Kmによって暗号化されたワーク鍵Kwは、Kw・E(Km)とする。また、当該暗号鍵を送信するEMMまたはECMをそれぞれEMM(Kb・E(Ka))、ECM(Kb・E(Ka))とする。
【0015】
受信装置101に入力されたTSは、当該受信装置101における限定受信関連情報分離部5に入力される。限定受信関連情報分離部5は、TSからEMM(Kw・E(Km))およびEMM(Km’・E(Km))を分離させてセキュリティモジュール2におけるEMM処理部7に出力する。また、EMM(Kw・E(Km))およびEMM(Km’・E(Km))以外のデータを限定再生用情報分離部6に出力する。
【0016】
EMM処理部7は、当該セキュリティモジュール2に予め設定するマスター鍵KmによってKw・E(Km)を復号してワーク鍵Kwを限定受信用ECM処理部8または限定再生用ECM−Kc処置部9に出力する。また、当該EMM処理部7は、EMM(Km’・E(Km))を復号して限定再生用ECM−Kc処置部9に出力する。なお、図2は、EMM処理部7におけるKw・E(Km)の復号を模式的に示した模式図であり、図3は、EMM処理部7におけるKm’・E(Km)の復号を模式的に示した模式図である。また、図2および図3におけるDは「Decrypt」、すなわち暗号を解くことを意味する。
【0017】
なお、限定受信用ECM処理部8は、受信したTSに対応するコンテンツを受信と同時に再生する場合に、前記限定受信関連情報分離部5によって分離されたECM−Kw(Ks・E(Kw))が入力され、Ks・E(Kw)をEMM処理部7から出力されたワーク鍵Kwによって復号する。なお、図4は、限定受信用ECM処理部8におけるKs・E(Kw)の復号を模式的に示した模式図である。当該復号化して得られるスクランブル鍵Ksは、デスクランブラ3に出力される。デスクランブラ3は、スクランブル鍵Ksによって限定再生用情報分離部6から入力されるストリームをデスクランブルしてデコーダ部23に出力する。デコーダ部はデスクランブルされたストリームをデコードし、図示しない表示部に出力する。
【0018】
一方、当該記録再生装置にコンテンツ(ストリーム)の記録をする場合、限定再生用ECM−Kc処理部9は、限定再生用情報分離部6によってTSから分離された、コンテンツ鍵Kcを伝送するためのEMC(Kc・E(Kw))におけるKc・E(Kw)をEMM処理部7から出力されたワーク鍵Kwで復号し、当該復号して得られたコンテンツ鍵KcをEMM処理部7から出力された固有鍵Km’で暗号化する。なお、図5は、限定再生用ECM−Kc処理部9におけるコンテンツ鍵Kcの復号および暗号化を模式的に示した模式図である。また、図5におけるEは「Encrypt」、すなわち暗号化することを意味する。
【0019】
そして、当該暗号化したKc・E(Km’)をECMによってKc伝送用ECM蓄積部10に送信する。そして、Kc伝送用ECM蓄積部10は、ECM(Kc・E(Km’))を記録する。なお、前記ワーク鍵Kwおよび固有鍵Km’は、セキュリティモジュールに設ける記憶部(図示せず)によって記憶される。
【0020】
ストリームを蓄積する場合、前記限定再生用情報分離部6は、ECM(Kc・E(Kw))を分離したストリームを限定再生用ECM−Kc検出部16に出力する。限定再生用ECM−Kc検出部16は、入力されたTSにECM−Kcが含まれているか否かを検出し、検出結果(ECM−Kcの有無)および入力されたTSをTS情報ヘッダ付加部15に出力する。ここで、ECM−Kcとは、送信機においてスクランブル鍵Ksをコンテンツ鍵Kcによって暗号化したKs・E(Kc)を伝送するECMである。
【0021】
タイムカウンタ20は、TS情報ヘッダ付加部15に入力されたTSが当該受信装置101によって受信された時刻に対応するタイムスタンプを前記TS情報ヘッダ付加部15に出力する。
【0022】
TS情報ヘッダ付加部15は、入力されたTSに前記限定再生用ECM−Kc検出部16から入力されたECM−Kcの有無、およびタイムカウンタ20から入力されたタイムスタンプを含むヘッダを前記TSに付加する。そして、ヘッダを付加したTSを記録用バッファ11に出力する。
【0023】
TSを蓄積装置4に蓄積する際、前記TSの転送は、所定数n個のTSで構成される1ブロック単位で行なわれる。そのため、当該記録用バッファ11は、1ブロックを構成する所定数のTSが揃うまで、当該TSを保持する。なお、図6は、所定数n個のTSで構成されるブロック(以下、TSブロックともいう。)を模式的に示した模式図であり、図6中のhは前記TS情報ヘッダ付加部15によってTSに付加されたヘッダを示す。また、前記所定数nは、当該記録再生装置の設計の際、蓄積装置4の性能等から適宜設定する。
【0024】
記録用バッファ11に所定数nのTSが揃うと、図示しない制御部によって、当該記録用バッファ11からテーブル生成部40にTSブロックが出力される。テーブル生成部40は、入力されたTSブロックに含まれるECM−Kcに関する情報(例えば、TSブロックにおけるECM−Kcの有無、当該ECM−Kcが記録された蓄積装置のアドレス等)が格納されるECM−Kc格納位置テーブルを生成する。
【0025】
図7は、実施の形態1におけるテーブル生成部40の構成を示すブロック図である。記録バッファ11から出力されたTSブロックは蓄積装置インタフェース部43(以下、蓄積装置I/F43という。)に入力される。
【0026】
蓄積装置I/F43は、タイムスタンプ検出部44、ECM−Kc検出部45およびTS出力部46を有して構成される。タイムスタンプ検出部44は、入力されたTSブロックにおける先頭のTSに付加されたヘッダからタイムスタンプを検出し、当該タイムスタンプをECM−Kc格納位置テーブル生成部41に出力する。
【0027】
ECM−Kc検出部45は、入力されたTSブロックを構成するいずれかのTSにECM−Kcが含まれているかを検出し、検出結果をECM−Kc格納位置テーブル生成部41に出力する。具体的には、TSブロックを構成するTSに付加されたヘッダに含まれるECM−Kcの有無を示す情報を参照して、当該ECM−Kcの有無を検出する。したがって、TSブロックを構成するTSのうち、少なくとも1のTSがECM−Kcを有していれば、検出結果を「ECM−Kc有り」とする。
【0028】
TS出力部46は、書込みアドレス管理部42によって指定された蓄積装置4における蓄積媒体(図示せず)のアドレスに、入力されたTSブロックを記録させるように、当該TSブロックを蓄積装置4に出力する。なお、当該TS出力部46に前記アドレスが出力される際、ECM−Kc格納位置テーブル生成部41にも当該アドレスが出力される。
【0029】
ECM−Kc格納位置テーブル生成部41は、タイムスタンプ検出部44から入力されたタイムスタンプ、ECM−Kc検出部45から入力された検出結果(ECM−Kcの有無)および書込みアドレス管理部42から入力された前記アドレスをTSブロックに対応付けてECM−Kc格納位置テーブルに格納する。
【0030】
図8は、当該ECM−Kc格納位置テーブルを模式的に示した模式図である。図8において、ブロック番号は入力されたTSブロックの番号を示し、当該ブロック番号に対応付けて、アドレス、ECM−Kcの有無およびタイムスタンプが格納される。そして、コンテンツに対応するECM−Kc格納位置テーブルが完成すると、当該ECM−Kc格納位置テーブルは蓄積装置4におけるECM−Kc格納位置テーブル蓄積部17に出力され、蓄積される。また、TSブロックは、TS出力部46からストリーム蓄積部12に出力され、書込みアドレス管理部42によって指定されたアドレスに蓄積される。
【0031】
上述のようにして、当該受信装置101によって受信されたコンテンツの蓄積、当該コンテンツに対応するECM−Kc格納位置テーブルの作成ならびに蓄積、および当該コンテンツのデスクランブルに使用するスクランブル鍵Ksを得るために必要なECM(Kc・E(Km’))の蓄積が行なわれる。
【0032】
次に、当該記録再生装置において、蓄積装置4に記録されたコンテンツを要約再生する場合について説明する。当該記録再生装置において、ユーザにより要約再生を行なう旨の操作が行なわれると、図示しない制御部からECM−Kc読み出し制御部18に要約再生を行なう旨の信号が入力される。
【0033】
ECM−Kc読み出し制御部18は、ECM−Kc格納位置テーブル蓄積部17からECM−Kc格納位置テーブルを読み出し、ECM−Kcが含まれるTSブロックを特定する。そして、ストリーム蓄積部12に対して、特定したTSブロックを出力するように指示する。
【0034】
ECM−Kc読み出し制御部18の指示に基づいて、ストリーム蓄積部12から出力されたTSブロックは再生用バッファ13によって保持される。当該再生用バッファ13は図示しない制御部の制御によって、TSブロックを構成するTSを順次、TS情報ヘッダ削除部19に出力する。TS情報ヘッダ削除部19は、入力されたTSから、前記TS情報ヘッダ付加部15によって付加されたヘッダを削除して、限定再生用ECM−Kc分離部14に出力する。
【0035】
限定再生用ECM−Kc分離部14は、入力されたTSにECM−Kcが含まれる場合には、当該ECM−Kcを分離させて、限定受信用ECM−Kc処理部9に出力する。また、ECM−Kcを分離したストリームをデスクランブラ3に出力する。
【0036】
限定受信用ECM−Kc処理部9は、要約再生するコンテンツに対応するECM(Kc・E(Km’))を前記Kc伝送用ECM蓄積部10から読み出して、記憶している固有鍵Km’によりKc・E(Km’)を復号してコンテンツ鍵Kcを得る。そして、当該コンテンツ鍵Kcによって、限定再生用ECM−Kc分離部14から入力されたECM−Kcが有するKs・E(Kc)を復号してスクランブル鍵Ksを得る。そして、当該スクランブル鍵Ksをデスクランブラ3に出力する。なお、図9は、限定受信用ECM−Kc処理部9においてスクランブル鍵Ksを得るまでの復号を模式的に示した模式図である。
【0037】
デスクランブラ3は、限定受信用ECM−Kc処理部9から入力されたスクランブル鍵Ksを使用して、限定再生用ECM−Kc分離部14から入力されたストリームをデスクランブルする。そして、デスクランブルしたストリームをIピクチャ抽出部21に出力する。
【0038】
Iピクチャ抽出部21は、入力されたストリームからIピクチャを抽出し、倍速制御部22によって指定された再生速度(要約率)に応じて、Iピクチャをデコーダ23に出力する。そして、デコーダ23は、入力されたIピクチャをデコードして図示しない表示部に出力する。以上の動作により、当該記録再生装置によって要約再生が行なわれる。
【0039】
また、非特許文献1に記載のサーバ型放送においては、セグメントメタデータを使用して、コンテンツの所定の位置からの相対時刻で再生開始位置を指定して要約再生を行なう場合についても規定されているが、実施の形態1における記録再生装置においては、ECM−Kc読み出し制御部18が、ECM−Kc格納位置テーブルに格納されたタイプスタンプを参照することにより、セグメントメタデータによって指定された再生位置を迅速にサーチして必要なECM−Kcにアクセスできるため、迅速なランダムアクセスを実現して滑らかな要約再生を実現することができる。
【0040】
以上の説明のように、実施の形態1における記録再生装置によれば、当該記録再生装置に設ける受信装置101によって、ECM−Kc格納位置テーブルを生成することができるため、要約再生時において蓄積装置に格納された全てのTSをデスクランブルしなくてもよい。
【0041】
具体的に説明すると、従来の装置においては、ストリームをデスクランブルする際に必要なスクランブル鍵Ksを有するECM−Kcを管理することなく、蓄積装置に蓄積していたため、当該ECM−Kcをサーチするため、蓄積装置に蓄積されたTSをTSブロック毎に全て読み出す必要があった。したがって、ECM−Kcを含まないTSブロックまでも読み出していた。すなわち、サーチの時間に無駄があり、また、蓄積装置等に対しても無駄な負荷をかけ、無駄に電力を消費する。
【0042】
しかしながら、実施の形態1における記録再生装置においては、ECM−Kc格納位置テーブルを参照し、予めECM−Kcを含むTSブロックを特定して読み出すことができる。そのため、サーチに要する時間を削減し、滑らかな要約再生を実現することができる。また、蓄積装置等に対する負荷、および消費電力を削減することができる。
【0043】
なお、実施の形態1においては、TSブロック毎にECM−Kcの有無をECM−Kc格納位置テーブルに格納する場合について説明したが、TSブロックを構成する各TSにECM−Kcが含まれるか否かを当該ECM−Kc格納位置テーブルに格納するようにしてもよい。
【0044】
また、実施の形態1において、TS情報ヘッダ削除部19は、TSに付加されたヘッダを削除するのみであったが、当該TS情報ヘッダ削除部19において、入力されたTSにECM−Kcが含まれるか否かを当該TSに付加されたヘッダを参照して判断し、ECM−Kcを含むTSのみを限定再生用ECM−Kc分離部14に出力するようにしてもよい。
【0045】
実施の形態2.
図10は、実施の形態2における記録再生装置の構成を示すブロック図である。なお、図10において実施の形態1において説明した構成と同一の構成については同一の符号を付記し、説明を省略する。
【0046】
限定再生用情報分離部6は、ECM(Kc・E(kw))を分離した後のTSを第2のデスクランブラ25に出力する。第2のデスクランブラ25は、入力されたTSをデスクランブラして第1のIピクチャ検出部26に出力する。なお、前記第2のデスクランブラ25においてデスクランブルを行なうに際して必要なスクランブル鍵Ksは、受信したTSに対応するコンテンツを受信と同時に再生する場合と同様に、限定受信用ECM処理部8によって復号され、当該第2のデスクランブラ25に入力される。
【0047】
第1のIピクチャ検出部26は、入力されたTSにIピクチャがあるか否かを検出し、検出結果をTS情報ヘッダ付加部15に出力する。TS情報ヘッダ付加部15は、Iピクチャ検出部26から入力されたIピクチャの有無、ECM−Kcの有無(限定受信再生用ECM−Kc検出部16の出力)およびタイムカウンタによって出力されたタイムスタンプを含むヘッダを限定受信再生用ECM−Kc検出部16から出力されたTSに付加して記録用バッファ11に出力する。そして、記録用バッファ11に保持されたTSはブロック毎にテーブル生成部50に出力される。
【0048】
図11は、実施の形態2におけるテーブル生成部50の構成を示すブロック図である。図11において、第2のIピクチャ検出部52は、入力されたTSブロックにおけるIピクチャを前記ヘッダに基づいて検出して、当該検出結果をIピクチャ格納位置テーブル生成部53に出力する。また、当該Iピクチャ格納位置テーブル生成部53には、タイムスタンプ検出部44および書込みアドレス管理部42から、実施の形態1と同様に、タイムスタンプおよびアドレスが入力される。
【0049】
そして、Iピクチャ格納位置テーブル生成部53は、図12に示すようなIピクチャ格納位置テーブルを生成して、アドレス、Iピクチャの有無およびタイムスタンプを格納し、当該Iピクチャ格納位置テーブルを蓄積装置4におけるIピクチャ格納位置テーブル蓄積部28に出力する。なお、ECM−Kc格納位置テーブルは、実施の形態1と同様にECM−Kc格納位置テーブル生成部41において生成され、ECM−Kc格納位置テーブル蓄積部17に出力される。以上の説明のようにして、当該受信装置102においては2つのテーブルが生成され、当該2つのテーブルは、ストリームとともに蓄積装置4に記録される。
【0050】
次に、要約再生を行なう場合について説明する。当該記録再生装置において、ユーザにより要約再生を行なう旨の操作が行なわれると、図示しない制御部からECM−Kc読み出し制御部18およびIピクチャ読み出し制御部29に要約再生を行なう旨の信号が入力される。
【0051】
ECM−Kc読み出し制御部18は、ECM−Kc格納位置テーブルを参照して、ECM−Kcの格納位置(アドレス)を特定して、当該ECM−Kcを含むTSをストリーム蓄積部12から再生用バッファ13に出力させる。一方、Iピクチャ読み出し制御部29は、Iピクチャ格納位置テーブルを参照して、ECM−Kc読み出し制御部18によって特定されたECM−Kcの格納位置(アドレス)以降で当該格納位置に最も近いIピクチャの格納位置(アドレス)を特定し、当該Iピクチャを含むTSをストリーム蓄積部12から出力させる。なお、Iピクチャ読み出し制御部29によって特定されるIピクチャの個数は、倍速制御部22によって指定される再生速度(要約率)に応じて設定される。
【0052】
Iピクチャ読み出し制御部29によって特定されたIピクチャを含むTSは、TS情報ヘッダ削除部19および限定再生用ECM−Kc分離部14を介して第1のデスクランブラ3に入力される。そして、当該TSは、前記実施の形態1と同様にして限定再生用ECM−Kc処理部9によって復号されたスクランブル鍵Ksを使用してデスクランブルされデコーダ部23に出力される。
【0053】
以上の説明のように、実施の形態2における記録再生装置によれば、受信装置102において、ECM−Kc格納位置テーブルを生成し、さらにIピクチャ格納位置テーブルを生成するため、Iピクチャの検出をより容易かつ迅速に行なうことが可能となる。
【0054】
なお、実施の形態2における記録再生装置においても、セグメントメタデータを使用して迅速にIピクチャにアクセスして滑らかな要約再生を実現することができる。
【0055】
実施の形態3.
図13は、実施の形態3における記録再生装置の構成を示すブロック図である。なお、図10において実施の形態1または実施の形態2において説明した構成と同一の構成については同一の符号を付記し、説明を省略する。
【0056】
Iピクチャ位置情報抽出部30は、送信機において予めTSに付加されたIピクチャ位置情報を、入力されたTSから、メタデータまたはファイルとして抽出して、蓄積装置4におけるIピクチャ位置情報テーブル蓄積部31に出力する。そして、Iピクチャ位置情報は、Iピクチャ位置情報テーブル蓄積部31に蓄積される。なお、Iピクチャ位置情報とは、例えば、コンテンツの先頭からの時刻等、コンテンツにおける所定のポイントからの相対時刻情報と、Iピクチャ番号とを対応付けてテーブル化したものである。
【0057】
次に、要約再生を行なう場合について説明する。当該記録再生装置において、ユーザにより要約再生を行なう旨の操作が行なわれると、図示しない制御部からECM−Kc読み出し制御部18およびIピクチャ読み出し制御部29に要約再生を行なう旨の信号が入力される。
【0058】
Iピクチャ読み出し制御部29は、Iピクチャ位置情報テーブルを参照して、コンテンツにおけるIピクチャの位置をコンテンツ先頭からの時刻情報によって特定する。また、ECM−Kc読み出し制御部18は、ECM−Kc格納位置テーブル(具体的にはECM−Kc格納位置テーブルにおけるタイムスタンプ)を参照して、Iピクチャの位置に対応する前記時刻情報の直前に格納されているECM−Kcの格納位置を特定する。そして、特定したECM−Kcに基づいて、実施の形態1または実施の形態2において説明したようにして、スクランブル鍵Ksが得られる。
【0059】
次に、Iピクチャ読み出し制御部29は、Iピクチャを読み出すため、ECM−Kc格納位置テーブルを参照して、Iピクチャ位置情報テーブルから読み出したIピクチャの相対時刻情報から、当該相対時刻の直前に格納されたブロックの格納位置(アドレス)を特定し、該当ブロックを蓄積装置4におけるストリーム蓄積部12から出力させる。そして、ストリーム蓄積部12から出力されたブロックはデスクランブラ3においてデスクランブルされデコーダ23に出力される。
【0060】
以上の説明のように、実施の形態3における記録再生装置によれば、受信装置103において、ECM−Kc格納位置テーブルを生成し、さらにIピクチャ位置情報を抽出して記録装置に蓄積することにより、要約生成時にIピクチャの検出をより容易かつ迅速に行なうことが可能となる。
【0061】
なお、実施の形態3における記録再生装置においても、セグメントメタデータを使用して迅速にIピクチャにアクセスして滑らかな要約再生を実現することができる。
【0062】
なお、実施の形態1または2において、蓄積装置4に蓄積されたコンテンツの先頭から要約再生を行なう場合には、ECM−Kc格納位置テーブルを参照して、当該コンテンツの先頭に最も近い位置にあるECM−Kcを特定して要約再生を行なえばよいが、当該コンテンツを再生している途中に要約再生を行なう場合には、現在再生しているTS上の位置に最も近いIピクチャを再生できるように、ECM−Kcを特定する必要がある。
【0063】
例えば、ARIB規格においてはストリームにおけるIピクチャの間隔が0.5秒と規定されている。したがって、例えば実施の形態2の場合、Iピクチャの間隔が0.5秒の場合に、コンテンツを再生している途中から要約再生を行なう際には、まず次のIピクチャをIピクチャ位置情報テーブルより特定し、時間的にその直前の位置に対応するECM−KcをECM−Kc格納位置テーブルにより特定し、当該ECM−Kcを含むTSブロックをストリーム蓄積部12から出力させる。
【0064】
次に、Iピクチャ位置情報テーブルより特定しておいたIピクチャを含むTSブロックを、ストリーム蓄積部12から出力させる。以降のIピクチャアクセスについては、前回ストリーム蓄積部12から出力したIピクチャ先頭位置から0.5×N秒先の位置の時間的に直前の位置に対応するECM−KcをECM−Kc格納位置テーブルにより特定し、当該ECM−Kcを含むTSブロックをストリーム蓄積部12から出力させ、次に前回ストリーム蓄積部12から出力したIピクチャ先頭位置から0.5×N秒先のIピクチャを含むTSブロックを出力するようにする。
【0065】
そうすると、現在再生しているTS上の位置から0.5×N秒先の位置にIピクチャが位置する場合に、当該Iピクチャを途中から再生してしまうことを回避することができる。ここでNは、倍速制御部22からの倍速指示により設定される値である。
【0066】
また、ECM−KcとIピクチャとが対応付けられている場合、実施の形態1ないし3における記録再生装置によれば、ECM−Kc格納位置テーブルを参照してECM−Kcを蓄積装置から読み出すことで、Iピクチャを容易かつ迅速にサーチして、さらに滑らかな要約再生を行なうことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 デマルチプレクサ、 2 セキュリティモジュール、 3,25 デスクランブラ、 4 蓄積装置、 5 限定受信関連情報分離部、 6 限定再生用情報分離部、 7 EMM処理部、 8 限定受信用ECM処理部、 9 限定再生用ECM−Kc処理部、 10 Kc伝送用ECM蓄積部、 11 記録用バッファ、 12 ストリーム蓄積部、 13 再生用バッファ、 14 限定再生用ECM−Kc分離部、 15 TS情報ヘッダ付加部、 17 ECM−Kc格納位置テーブル蓄積部、 18 ECM−Kc読み出し制御部、 19 TS情報ヘッダ削除部、 20 タイムカウンタ、 21 Iピクチャ抽出部、 22 倍速制御部、 23 デコーダ、 24 再生時刻指定部、 26 Iピクチャ検出部、 28 Iピクチャ格納位置テーブル蓄積部、 29 Iピクチャ読み出し制御部、 30 Iピクチャ位置情報抽出部、 31 Iピクチャ位置情報テーブル蓄積部、 41 ECM−Kc格納位置テーブル生成部、 42 書き込みアドレス管理部、 43,51 蓄積装置インタフェース部、 44 タイムスタンプ検出部、 45 ECM−Kc検出部、 46 TS出力部、 40,50 テーブル生成部、 52 Iピクチャ検出部、 53 Iピクチャ格納位置テーブル生成部、 101、102、103 受信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データまたは音声データを含んで構成されるコンテンツをスクランブル処理して得られたデータが格納された第1のパケット、および、前記スクランブル処理が施された前記コンテンツをデスクランブル処理するためのデータであって、所定の暗号鍵によって暗号化処理がなされたデータが格納された第2のパケット、が多重化された入力データを蓄積する蓄積手段を備える蓄積再生装置であって、
前記入力データが入力される入力部と、
前記蓄積手段における、前記入力部に入力された前記第2のパケットを格納する位置を示す格納位置情報を生成する格納位置情報生成手段と、
前記格納位置情報生成手段によって生成された前記格納位置情報を管理する管理手段と、
前記格納位置情報に基づいて前記蓄積手段に蓄積された前記入力データを前記所定の暗号鍵によってデスクランブル処理することにより、前記コンテンツを再生する再生手段と、を備えること
を特徴とする蓄積再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−124928(P2012−124928A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13905(P2012−13905)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【分割の表示】特願2011−75001(P2011−75001)の分割
【原出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】