説明

蓄電素子

【課題】電気的絶縁材料にて形成された絶縁部材で蓄電要素を覆う場合において、蓄電要素を覆う作業を簡便に行えるようにする。
【解決手段】正極板及び負極板を積層して形成された蓄電要素が筐体BC内に配置され、前記筐体BCの内壁面と前記蓄電要素との間に、電気的絶縁材料にて形成された絶縁部材22,23が配置された蓄電素子において、別体に形成された一対の前記絶縁部材22,23が、前記蓄電要素を挟む状態で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極板及び負極板を積層して形成された蓄電要素が筐体内に配置され、前記筐体の内壁面と前記蓄電要素との間に、電気的絶縁材料にて形成された絶縁部材が配置された蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる蓄電素子は、蓄電要素を収納する筐体として、金属等の導電部材にて形成される場合が多く、その場合、蓄電要素の表面と筐体の内壁面との間の電気的な絶縁を確保する必要がある。
このための手法として、従来から、電気的絶縁材料にて形成される部材を蓄電要素と筐体の内壁面との間に配置している。
この電気的な絶縁のための部材の配置形態としては、シート状の電気的絶縁材料を袋状に形成して、その袋の中に蓄電要素を収納する形態や、下記特許文献1や下記特許文献2に記載のように、シート状の電気的絶縁材料を折り曲げて、蓄電要素を囲い込む形態が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−115729号公報
【特許文献2】特開2009−170137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シート状の電気的絶縁材料を袋状に形成して、その袋に蓄電要素を収納する形態では、筐体内のスペースを有効活用する観点から、蓄電要素とそれを収納する袋との間の寸法余裕を極力小さく設定するので、その袋に蓄電要素を収納する作業が行い辛いものとなってしまう。
又、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載のような、シート状の電気的絶縁材料を折り曲げて蓄電要素を囲い込む形態では、袋状に形成する場合に比べれば、蓄電要素を覆う作業を行い易いものであるが、それでもシート状部材を複雑に折り曲げる作業が必要であり、その作業が手間のかかるものとなってしまう。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電気的絶縁材料にて形成された絶縁部材で蓄電要素を覆う場合において、蓄電要素を覆う作業を簡便に行えるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、正極板及び負極板を積層して形成された蓄電要素が筐体内に配置され、前記筐体の内壁面と前記蓄電要素との間に、電気的絶縁材料にて形成された絶縁部材が配置された蓄電素子において、別体に形成された一対の前記絶縁部材が、前記蓄電要素を挟む状態で配置されている。
すなわち、電気的絶縁材料にて形成される絶縁部材にて蓄電要素を覆う形態として、別体に形成された一対の絶縁部材で蓄電要素を挟み込む。
従って、蓄電要素を絶縁部材で覆う作業としては、一対の絶縁部材にて蓄電要素を挟み込むだけの作業となる。
【0006】
本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記蓄電要素と前記筐体とが扁平形状に形成され、一対の前記絶縁部材は、前記蓄電要素の扁平面に直交する方向において、前記蓄電要素を両側から挟む状態で配置され、一対の前記絶縁部材は、夫々、前記蓄電要素の扁平面に沿う平坦部と、その平坦部の端縁から起立する立ち上がり部とを備えて構成されている。
すなわち、電気的絶縁材料にて形成した一対の絶縁部材を、蓄電要素と筐体が扁平形状であることに対応させて、上記平坦部と上記立ち上がり部とを備える形状として、その形状の一対の絶縁部材にて蓄電要素を両側から挟み込むことで、蓄電要素の扁平面は絶縁部材の平坦部が覆い、蓄電要素の厚さ方向に沿う側面は絶縁部材の立ち上がり部が覆う。
従って、蓄電要素を絶縁部材で覆う作業としては、一対の絶縁部材にて蓄電要素を挟み込むだけの作業としながら、的確に蓄電要素を覆うことができる。
【0007】
又、本出願の第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、前記筐体は、扁平面と直交する1側面が開放した扁平な直方体形状に形成された缶体と、その缶体の開放面を覆う姿勢で配置される蓋部とを備えて構成され、前記立ち上がり部は、前記絶縁部材における、少なくとも前記缶体の底面側の端縁から起立する状態で形成され、前記缶体の底面側における、前記平坦部と前記立ち上がり部との接続部分が、前記缶体の内壁面側に凸の湾曲形状に形成されている。
【0008】
すなわち、蓄電素子の筐体が、扁平な直方体形状の缶体と、その缶体の開放面を覆う蓋部とを備えて構成される関係で、幅の狭い缶体の開放面から蓄電要素と絶縁部材とを挿入して、蓄電要素等を筐体内に収納する。
蓄電要素を覆う絶縁部材の形状は、この挿入方向の先端側が、缶体の内壁面側に凸の湾曲形状となっており、蓄電要素等の缶体への挿入作業が行い易いものとなっている。
更に、缶底の隅部分は角を丸めた形状とする場合が多いが、絶縁部材における平坦部と立ち上がり部との接続箇所が直角に屈曲形成されている場合では、平坦部と立ち上がり部との接続箇所が缶底の隅のコーナー部と干渉して、絶縁部材の収納姿勢を多少なりとも変動させてしまう可能性もあるが、平坦部と立ち上がり部との接続部分を湾曲形状とすることで、そのようなこともない。
【0009】
又、本出願の第4の発明は、上記第2又は第3の発明の構成に加えて、一対の前記絶縁部材の夫々における前記立ち上がり部は、前記蓄電要素の扁平面に直交する方向における、前記蓄電要素の存在幅の中間位置に延出し、延出端部同士が互いに重なり合う状態で配置されて構成されている。
すなわち、絶縁部材の立ち上がり部で蓄電要素の厚さ方向に沿う側面を覆う手法としては、一対の絶縁部材の夫々における立ち上がり部が、それらの先端同士を突き合わせる状態で配置する構成とすることも考えられる。
これに対して、一対の絶縁部材の夫々における立ち上がり部において、それらの先端部同士が重なり合う状態とすることで、蓄電要素の厚さ(扁平面に直交する方向での長さ)が異なる蓄電要素に対しても、重なり合う部分の幅を変更するだけで対応できる。
【0010】
又、本出願の第5の発明は、上記第2〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、一対の前記絶縁部材は、前記平坦部の端縁に沿って前記立ち上がり部が切れ目なく一連に連なる状態で形成されている。
すなわち、立ち上がり部が一連に連なる状態で成型されているので、一対の絶縁部材で蓄電要素を覆う作業を行う際の、一対の絶縁部材の取り扱いが容易となる。
【0011】
又、本出願の第6の発明は、上記第2〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、一対の前記絶縁部材は、前記平坦部の端縁に沿って前記立ち上がり部が不連続に形成されている。
従って、絶縁部材の立ち上がり部を形成するについて、平面のシートを折り曲げることによって形成できる。
【発明の効果】
【0012】
上記第1の発明によれば、一対の絶縁部材にて蓄電要素を挟み込む作業だけで、蓄電要素を絶縁部材で覆うことができるので、電気的絶縁材料にて形成された絶縁部材で蓄電要素を覆う場合において、蓄電要素を覆う作業を簡便に行えるものとなった。
又、上記第2の発明によれば、蓄電要素を絶縁部材で覆う作業としては、一対の絶縁部材にて蓄電要素を挟み込むだけの作業としながら、的確に蓄電要素を覆うことができる。
又、上記第3の発明によれば、蓄電要素等の缶体への挿入作業が行い易いものとなり、蓄電素子の組み立て作業性を向上させることができる。
【0013】
又、上記第4の発明によれば、蓄電要素の厚さが異なる蓄電要素に対しても、重なり合う部分の幅を変更するだけで対応できるので、絶縁部材に汎用性を持たせて、製造コストの低減を図れる。
又、上記第5の発明によれば、一対の絶縁部材の取り扱いが容易となって、絶縁部材にて蓄電要素を覆う作業を一層簡単化することができる。
又、上記第6の発明によれば、絶縁部材の立ち上がり部を形成するについて、平面のシートを折り曲げることによって形成できるので、立ち上がり部を有する絶縁部材を簡便に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態にかかる蓄電素子の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態にかかる蓄電素子の内部構成を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態にかかる蓄電素子の内部構成を示す正面図
【図4】本発明の実施の形態にかかる蓄電素子の組み立て作業を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態にかかる蓄電素子の組み立て作業を示す斜視図
【図6】本発明の別実施形態にかかる絶縁部材の組み立てを示す図
【図7】本発明の別実施形態にかかる蓄電素子の組み立て作業を示す斜視図
【図8】本発明の別実施形態にかかる蓄電素子の組み立て作業を示す斜視図
【図9】本発明の別実施形態にかかる蓄電素子の組み立て作業を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電池の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、蓄電素子として、電池、より具体的には、二次電池の1例である非水電解液二次電池(より具体的にはリチウムイオン電池)を例示して説明する。
【0016】
〔非水電解液二次電池RBの構成〕
図1及び図2の斜視図並びに図3の正面図に示すように、本実施の形態の非水電解液二次電池RBは、金属製の缶体1と金属製の蓋部2とを備える筐体BCを有している。
缶体1は、図5に示すように、扁平な有底筒状(より具体的には有底矩形筒状)に形成され、それの扁平面と直交する1側面を開放面としている。
蓋部2は、略平板状で短冊状の長方形に形成されており、缶体1の開放面を覆う姿勢で配置されて、缶体1と溶接されている。
扁平な有底矩形筒状の缶体1と缶体1の開放面を覆う短冊形状の蓋部2とによって、筐体BCは全体として扁平な直方体形状を有している。尚、図2は、完成した二次電池RB(図1に示すもの)から缶体1や後述する絶縁カバー等を除いて筐体BC内部の構成を図示している。又、図3においても絶縁カバーの記載を省略すると共に、缶体1及び後述の蓄電要素3を2点鎖線で示して、筐体BCの内部を透視した形態で示している。
【0017】
筐体BCの内部には、図2及び図3に示す蓄電要素3と集電体4,6とが電解液に浸される状態で収納配置されている。
蓄電要素3は、蓄電素子として二次電池RBを例示する本実施の形態では、いわゆる発電要素と称されるものであり、以下において、蓄電要素3を「発電要素3」と称する。
発電要素3は、長尺帯状の箔状正極板と長尺帯状の箔状負極板とを長尺帯状のセパレータを挟んで巻芯周りに扁平形状に巻回することで、箔状正極板と箔状負極板とを積層したもので、箔状正極板と箔状負極板とからなる一対の電極板の夫々に活物質を表裏両面に塗布して構成されている。
箔状正極板及び箔状負極板には、幅方向の一端側に活物質を塗布しない未塗工部3a,3bを形成しており、その未塗工部3a,3bにおいて集電体4,6と接合して電気的に接続している。
【0018】
集電体4,6は、蓋部2に沿う部分と、缶体1の縦壁(扁平面と直交する縦壁)に沿う部分とに略L字状に屈曲形成されており、缶体1の縦壁に沿う部分においては、更に起立姿勢に屈曲形成された接続部4a,6aが備えられている。
集電体4,6は、この接続部4a,6aにおいて、発電要素3の未塗工部3a,3bと接合される。集電体4,6が、正面視で筐体BCの左右両端部に分かれて配置されている関係で、箔状正極板の未塗工部3aと箔状負極板の未塗工部3bとは、幅方向で逆側に位置している。
正極側の集電体4の接続部4aが、側面視で渦巻き状に巻回されている未塗工部3aの存在空間に入り込み、負極側の集電体6の接続部6aが、側面視で渦巻き状に巻回されている未塗工部3bの存在空間に入り込んで、束ねられた未塗工部3a,3bが、夫々、接続部4a,6aと接合されている。
【0019】
金属製の蓋部2には、正極側の集電体4及びその集電体4に接続されている正極の電極端子である端子ボルト5と、負極側の集電体6及びその集電体6に接続されている負極の電極端子である端子ボルト7とが取り付けられ、集電体4,6は、これらの筐体BC外方側に配置される端子ボルト5,7と発電要素3とを電気的に接続している。
端子ボルト5,7には、頭部側にリベット5a,7aが一体形成されており、集電体4,6を挟んだ状態でリベット5a,7aをかしめて、集電体4,6を蓋部2に固定すると共に、端子ボルト5,7と集電体4,6とを電気的に接続する。
より詳細には、正極側では、上部ガスケット9,蓋部2,下部ガスケット10及び集電体4に対してリベット5aを貫通させ、そのリベット5aの筐体BC内方側端部をかしめることで、集電体4の蓋部2への固定と、端子ボルト5に対する電気配線とを行う(図3参照)。上部ガスケット9及び下部ガスケット10は、リベット5a及び集電体4と蓋部2との間の電気的な絶縁と気密シールを確保するためのものである。
負極側の構成も同様であり、上部ガスケット11,蓋部2,下部ガスケット12及び集電体6に対してリベット7aを貫通させ、そのリベット7aの筐体BC内方側端部をかしめることで、集電体6の蓋部2への固定と、端子ボルト7に対する電気配線とを行う(図3参照)。上部ガスケット11及び下部ガスケット12は、上部ガスケット9及び下部ガスケット10と同様に、リベット7a及び集電体6と蓋部2との間の電気的な絶縁と気密シールを確保するためのものである。
端子ボルト5,7や集電体4,6を含む負極側の電極構造と正極側の電極構造とは同一構造のものが対称に配置されている関係にあり、金属部材の材料のみが異なる。
正極側の金属部材はアルミニウムにて構成し、負極側の金属部材は銅にて構成している。
【0020】
〔二次電池RBの製造工程〕
次に、二次電池RBの製造工程について概略的に説明する。
先ず、発電要素3の組み立てについて説明する。
発電要素3を構成する長尺帯状の箔状正極板としてアルミニウム箔を使用し、アルミニウム箔の表裏両面に、幅方向一端側の未塗工部3aとなる部分を残して、正極用の活物質を塗布して活物質層を形成する。
又、長尺帯状の箔状負極板として銅箔を使用し、銅箔の表裏両面に、幅方向一端側の未塗工部3bとなる部分を残して、負極用の活物質を塗布して活物質層を形成する。
これら箔状正極板及び箔状負極板を巻芯に巻回する際には、箔状正極板と箔状負極板との間に長尺帯状のセパレータを挟んで重ね合わせる。この際、活物質を塗布していない未塗工部3a,3bは、幅方向の逆側に突出するように配置する。
この箔状正極板、セパレータ及び箔状負極板を重ね合わせたものを、図2に概略的に示すように、扁平形状に巻回する。
【0021】
箔状正極板等が巻回された発電要素3は、蓋部2や集電体4,6に組み付けて、蓋部2側の組品とした状態で、缶体1に収納する。
蓋部2側の組品の組み立ては、先ず、上述のように、端子ボルト5,7のリベット5a,7aを、上部ガスケット9,11、蓋部2、下部ガスケット10,12及び集電体4,6を貫通する状態で配置し、リベット5a,7aの筐体BC内方側端部をかしめて固定する。
次に、集電体4,6の接続部4a,6a間に発電要素3を配置し、未塗工部3a,3bを束ねる状態で、超音波溶接等によって接続部4a,6aと接合する。
この際の発電要素3の配置姿勢は、発電要素3を缶体1に収納したときに、発電要素3の扁平面と缶体1の扁平面とが平行となる姿勢であり、図2に示すように、発電要素3の厚さ方向(扁平面に直交する方向)が蓋部2の短辺の向きと一致するように配置している。更に、発電要素3における箔状正極板等の巻回軸芯方向が蓋部2の長辺の向きと一致するように配置して、未塗工部3a,3bと接続部4a,6aとが夫々重なり合うようにしている。
【0022】
このようにして作製した蓋部2側の組品を缶体1に収納するにあたっては、図5に示すように、発電要素3及び集電体4,6の略全体を絶縁カバー21にて予め覆う。
絶縁カバー21は、缶体1が金属製であり、導電材料にて形成されていることから、発電要素3等と缶体1との電気的な絶縁を確保するためのものである。
絶縁カバー21は、図4に示すように、別体に形成された一対の絶縁部材22,23にて構成されており、図4に発電要素3の存在位置を2点鎖線で示すように、一対の絶縁部材22,23で、発電要素3の厚さ方向(発電要素3の扁平面に直交する方向)において、発電要素3を両側から挟み込むようにして覆う。
【0023】
一対の絶縁部材22,23は、何れも、シート状の電気的絶縁材料にて形成されており、両者は、寸法がわずかに相違するだけで略同一形状に形成している。
絶縁部材22,23の構成材料は、例えば、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),PETあるいはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂を用いれば良い。又、一対の絶縁部材22,23の寸法に関しては、図4において手前側に位置する絶縁部材23が奥側に位置する絶縁部材22に対して、横幅寸法で絶縁部材22,23の2枚分の厚さだけ小さく、又、縦方向の寸法で絶縁部材22,23の1枚分の厚さだけ小さく設定されている。
【0024】
発電要素3を一対の絶縁部材22,23で構成される絶縁カバー21で覆うことで、缶体1に収納した状態では、筐体BCの内壁面と発電要素3との間に、絶縁部材22,23が配置されて、発電要素3と筐体BCの内壁面との間の電気的な絶縁を確保する。
各絶縁部材22,23は、発電要素3の扁平面に沿う矩形の平坦部22a,23aと、その平坦部22a,23aにおける、缶体1の開放面側となる辺を除く3辺の端縁から直角に起立する立ち上がり部22b,23bとを有している。
立ち上がり部22b,23bの高さは、夫々の絶縁部材22,23において均一な高さとしてあり、射出成型等の技術を用いて成形することで、平坦部22a,23aの端縁に沿って立ち上がり部22b,23bが切れ目なく一連に連なる状態としている。
【0025】
両方の絶縁部材22,23の立ち上がり部22b,23bの高さを足し合わせた長さは、発電要素3の厚さよりも大となっており、一対の絶縁部材22,23にて発電要素3を挟み込んだときに、図5に示すように、一対の絶縁部材22,23の立ち上がり部22b,23bの夫々は、発電要素3の厚さ方向(発電要素3の扁平面に直交する方向)における、発電要素3の存在幅の中間位置に延出し、その延出端部同士が互いに重なり合う状態となっている。
このように一対の絶縁部材22,23にて発電要素3を挟み込む状態で、蓋部2側の組品に絶縁カバー21を取り付け、図5に示すように、缶体1に収納する。尚、作業性の向上のために、立ち上がり部22b,23b同士が重なり合っている箇所を溶着等によって部分的に固定しても良い。
【0026】
上記のようにして蓋部2側の組品を缶体1に収納した後、蓋部2の端縁と缶体1の開放面の端縁とを溶接し、二次電池RBの組み立てが完了する。
組み立てが完了すると、次に、図示を省略する注液口から電解液を筐体BC内に注入し、電解液の注入が完了すると所定の充電条件で二次電池RBの初期充電(予備充電)を行い、更にエージング等を行うことで二次電池RBとして完成する。
絶縁カバー21を、一対の絶縁部材22,23の立ち上がり部22b,23bの先端部分同士が重なり合う構成としているので、その重なり合う部分で電解液が往来して、筐体BC内に電解液が行き渡り易く、電解液の注液時間の短縮にも寄与する。
【0027】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、一対の絶縁部材22,23の形成手法として射出成型技術等を用いて、平坦部22a,23aの端縁に沿って立ち上がり部22b,23bが切れ目なく一連に連なる形状に形成しているが、上記実施の形態と同様の電気的絶縁材料にて形成された平シートを折り曲げて、上記立ち上がり部22b,23bを形成することで、平坦部22a,23aの端縁に沿って立ち上がり部22b,23bが不連続に形成される構成としても良い。
【0028】
より具体的に説明すると、上記材料の平シートを、図6(a)に示すように切断すると共に、図6(a)において1点鎖線Aにて示す位置にプレス加工等によって折り目をつける。その折り目を夫々直角に折って、貼り合わせ部24を超音波溶着あるいは接着によって固定する。
これによって、絶縁部材22,23は、発電要素3の扁平面に沿う矩形の平坦部22a,23aと、その平坦部22a,23aにおける、缶体1の開放面側となる辺を除く3辺の端縁から直角に起立する立ち上がり部22b,23bとを有する形状となる。
【0029】
尚、図6では、一対の絶縁部材22,23のうちの一方のみを図示しているが、上記実施の形態と同様に、両者は略同一形状であるので、他方の記載を省略している。
又、図6(b)では、貼り合わせ部24が内側に位置するように折っているが、立ち上がり部22b,23bの外側に位置するように折っても良い。更には、立ち上がり部22b,23bの重ね合わせ位置において外側に位置する絶縁部材22については、貼り合わせ部24を立ち上がり部22bの外側に位置させ、内側に位置する絶縁部材23については、貼り合わせ部24を立ち上がり部23bの内側に位置させるようにしても良い。
【0030】
(2)上記実施の形態では、一対の絶縁部材22,23の立ち上がり部22b,23bの夫々は、発電要素3の厚さ方向(発電要素3の扁平面に直交する方向)における、発電要素3の存在幅の中間位置に延出し、その延出端部同士が互いに重なり合う状態となっているが、その延出端部同士が重なり合うのではなく、延出端部の先端同士を突き合わせるように配置しても良い。
【0031】
(3)上記実施の形態では、各絶縁部材22,23は、発電要素3の扁平面に沿う矩形の平坦部22a,23aと、その平坦部22a,23aにおける、缶体1の開放面側となる辺を除く3辺の端縁から直角に起立する立ち上がり部22b,23bとを有する構成とする場合を例示しているが、上記立ち上がり部22b,23bの配置形態は適宜に変更可能である。
例えば、上記実施の形態の図4と対応する図7に示すように、平坦部22a,23aにおける、発電要素3の幅方向両端部側(未塗工部3a,3bの存在側)に位置する2辺の端縁から直角に起立する姿勢で立ち上がり部22b,23bを形成しても良い。
更には、上記実施の形態の図4と対応する図8に示すように、平坦部22a,23aにおける、缶体1の底面側に位置する辺の端縁から直角に起立する姿勢で立ち上がり部22b,23bを形成しても良い。
【0032】
(4)上記実施の形態では、各絶縁部材22,23は、発電要素3の扁平面に沿う矩形の平坦部22a,23aと、その平坦部22a,23aにおける、缶体1の開放面側となる辺を除く3辺の端縁から直角に起立する立ち上がり部22b,23bとを有する形状に形成する場合を例示しているが、図4と対応する図9に示すように、缶体1の底面側の端縁から起立する立ち上がり部22b,23bについては、平坦部22a,23aと立ち上がり部22b,23bとの接続部分(図9において、矢印Bにて指し示す部分)が、缶体1の内壁面側に凸の湾曲形状となるように形成しても良い。
このような形状に形成することによって、一対の絶縁部材22,23で挟み込んだ状態の発電要素3等を円滑に缶体1へ挿入することができる。
【符号の説明】
【0033】
BC 筐体
3 蓄電要素
22,23 絶縁部材
22a,23a 平坦部
22b,23b 立ち上がり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板及び負極板を積層して形成された蓄電要素が筐体内に配置され、前記筐体の内壁面と前記蓄電要素との間に、電気的絶縁材料にて形成された絶縁部材が配置された蓄電素子であって、
別体に形成された一対の前記絶縁部材が、前記蓄電要素を挟む状態で配置されている蓄電素子。
【請求項2】
前記蓄電要素と前記筐体とが扁平形状に形成され、
一対の前記絶縁部材は、前記蓄電要素の扁平面に直交する方向において、前記蓄電要素を両側から挟む状態で配置され、
一対の前記絶縁部材は、夫々、前記蓄電要素の扁平面に沿う平坦部と、その平坦部の端縁から起立する立ち上がり部とを備えて構成されている請求項1記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記筐体は、扁平面と直交する1側面が開放した扁平な直方体形状に形成された缶体と、その缶体の開放面を覆う姿勢で配置される蓋部とを備えて構成され、
前記立ち上がり部は、前記絶縁部材における、少なくとも前記缶体の底面側の端縁から起立する状態で形成され、
前記缶体の底面側における、前記平坦部と前記立ち上がり部との接続部分が、前記缶体の内壁面側に凸の湾曲形状に形成されている請求項2記載の蓄電素子。
【請求項4】
一対の前記絶縁部材の夫々における前記立ち上がり部は、前記蓄電要素の扁平面に直交する方向における、前記蓄電要素の存在幅の中間位置に延出し、延出端部同士が互いに重なり合う状態で配置されて構成されている請求項2又は3記載の蓄電素子。
【請求項5】
一対の前記絶縁部材は、前記平坦部の端縁に沿って前記立ち上がり部が切れ目なく一連に連なる状態で形成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
一対の前記絶縁部材は、前記平坦部の端縁に沿って前記立ち上がり部が不連続に形成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の蓄電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54914(P2013−54914A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192297(P2011−192297)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】