説明

蔓巻き防止用シートおよびその設置方法

【課題】蔓植物がフェンスを越えてフェンス内側の敷地に侵入するのを適切に防止するとともに耐久性が高い蔓巻き防止用シートの提供。
【解決手段】蔓植物がフェンスに登ることを防止するために当該フェンスに装着される蔓巻き防止用シートであって、地面から立ち上がるように上記フェンスに装着される非腐食性の遮光性シートと、上記遮光性シートの上端部に連結され、上記遮光性シートよりも上方で上記フェンスに装着される透光性シートとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草や蔓植物が変電所等を取り囲むフェンスや鉄柵等に登るのを防止するための、蔓巻き防止用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無線鉄塔、変電所、配電所、送電所、未整地の敷地、コンクリート劣化損傷の敷地の周囲には安全のためにネットフェンス、メッシュフェンス、格子フェンス等が設けられている。このようなフェンスの周辺に蔓植物や雑草が繁茂してフェンスを覆っている光景は良く目にする。
【0003】
特に蔓植物には光の方向へと茎を伸ばす性質があるため、繁茂した蔓植物が、フェンスを覆ってしまい、美観を妨げることがある。また、繁茂の程度がひどい場合には、繁茂した蔓植物が、フェンスを乗り越えて、電線、アンテナ、変電所や配電塔の電気系統に絡み付き、電気不良を発生させることがある。
【0004】
そこで、従来、無線鉄塔等を囲むフェンスの周囲に蔓植物が繁茂して蔓植物がフェンスを登るのを防止するために、フェンスの外側の面にナイロン等の柔軟性に富む素材からなる透光性シートを装着する方法がある。この方法によれば、蔓植物は透光性シートに沿って上方に伸びようとするものの、蔓植物は透光性シートに絡み付くことができない。よって、蔓植物がフェンスを乗り越えてフェンス内の敷地に侵入するのを防止することができる。また、柔軟性に富む素材からなるシートは、ロール状に巻回した状態で持ち運びすることができる上、ロールを展開しながらフェンスに装着していくことができるので、運搬および設置が容易である。
【0005】
しかしながら、ナイロンからなる透光性シートは、地面に接触すると土中のバクテリアによって早期に腐食してしまう。このため、ナイロンからなる透光性シートは、下端部が地面から離れた状態で、フェンスに装着されることが多い。この場合、透光性シートと地面の間の隙間から蔓植物が侵入し、敷地内に蔓植物が繁茂してしまうという問題があった。また、ナイロンからなる透光性シートを地面に接触させた状態でフェンスに装着すると、透光性シートの下端部が早期に腐食してしまい、結局、その腐食した箇所から蔓植物が侵入してしまうという問題があった。
【0006】
なお、特許文献1には、植物が路面に生い茂るのを防止するための防草シートが開示されている。しかしながら、この防草シートはフェンスに蔓植物が登るのを防止するためのシートではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−61555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、蔓植物がフェンスを越えてフェンス内側の敷地に侵入するのを適切に防止するとともに耐久性が高い蔓巻き防止用シート、および、当該蔓巻き防止用シートの設置方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、
蔓植物がフェンスに登ることを防止するために当該フェンスに装着される蔓巻き防止用シートであって、
地面から立ち上がるように上記フェンスに装着される非腐食性の遮光性シートと、
上記遮光性シートの上端部に連結され、上記遮光性シートよりも上方で上記フェンスに装着される透光性シートと、を備えた蔓巻き防止用シートである。
【0010】
第1の発明によれば、遮光性シートは地面から立ち上がるようにフェンスに装着されるので、遮光性シートと地面の間に隙間が生じない。よって、遮光性シートと地面の間から蔓植物が侵入するのを防止することができる。また、遮光性シートは非腐食性であるので、地面に接触してもバクテリアによって分解されず、腐食しない。また、遮光性シートの上端部に透光性シートが連結されており、透光性シートが遮光性シートよりも上方でフェンスに装着される。よって、明るい方向に伸びる習性のある蔓植物は、地面から立ち上がった後、透光性シートが存在する上方向に伸びるが、遮光性シートおよび透光性シートが蔓植物のフェンスへの絡み付きを阻止する。蔓植物は、ある程度の高さ(例えば80cm程度)まで立ち上がると自立することができずに後方へ反り返る。よって、蔓植物が透光性シートおよびフェンスを乗り越えるのを防止することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、
上記遮光性シートおよび上記透光性シートは、共に、柔軟性素材で構成されて巻回可能であることを特徴とする。
【0012】
第2の発明によれば、遮光性シートおよび透光性シートは、共に、柔軟性素材で構成されて巻回可能である。よって、ユーザは蔓巻き防止用シートをロール状に巻回した状態で持ち運びすることができる上、ロールを展開しながらフェンスに装着していくことができるので、運搬および設置が容易である。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、
上記遮光性シートは、ポリエステル系繊維からなる不織布で構成されることを特徴とする。
【0014】
第3の発明によれば、ポリエステル系繊維は強度が高い上にバクテリアによって分解されず、腐食しにくい。また、不織布は柔軟性に優れている。よって、第3の発明によれば、非腐食性および柔軟性に優れた蔓巻き防止用シートを提供することができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、
上記不織布は、ペットボトルのリサイクル製品であることを特徴とする。
【0016】
第4の発明によれば、不織布がペットボトルのリサイクル製品であるので、リサイクル製品を材料として蔓巻き防止用シートを製造することができる。よって、蔓巻き防止用シートを地球に優しいエコロジー製品とすることができる。
【0017】
第5の発明は、第1の発明において、
少なくとも上記透光性シートには、当該透光性シートを補強する帯状の補強シートが取り付けられ、
上記補強シートには、上記透光性シートを上記フェンスに装着するための貫通孔が形成され、
上記貫通孔と上記フェンスの網目が連結具で連結されることにより、上記蔓巻き防止用シートが上記フェンスに装着されることを特徴とする。
【0018】
第5の発明によれば、透光性シートには帯状の補強シートが取り付けられているので、透光性シートの耐久性を向上させることができる。また、補強シートの貫通孔とフェンスの網目を連結具で連結することで、透光性シートをフェンスに装着するので、容易かつ確実に透光性シートをフェンスに装着することができる。連結具は、例えば針金である。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、
上記貫通孔の内周縁には、当該内周縁を補強する補強リングが取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
第6の発明によれば、補強シートの貫通孔の内周縁に補強リングが取り付けられているので、貫通孔の内周縁が連結具(例えば針金)に当たって切れてしまうなどの不都合を防止することができる。
【0021】
第7の発明は、第1の発明において、
上記透光性シートは、メッシュ状シートであることを特徴とする。
【0022】
第7の発明によれば、透光性シートがメッシュ状シートなので、透光性シートが風を受けたときに、メッシュの網目から風を逃がすことができる。よって、透光性シートが破れたり、或いは、透光性シートが受けた風圧によってフェンスが倒れたりする不都合を防止することができる。
【0023】
第8の発明は、第1の発明において、
上記遮光性シートの下端部は、複数の貫通孔が形成されたシート端末押え用部材で上から押えられた状態で、上記貫通孔および上記地面に固定杭が打ち込まれることで、地面に固定されることを特徴とする。
【0024】
第8の発明によれば、遮光性シートの下端部は、シート端末押え用部材で上から押えられ、シート端末押え用部材および固定杭によって地面に固定される。よって、遮光性シートと地面の間に隙間が生じるのを防止することができ、その隙間から蔓植物が侵入するのを確実に防止することができる。なお、第8の発明における「地面」は、土の地面、コンクリートの地面の双方を含む。
【0025】
第9の発明は、第8の発明において、
上記固定杭は、コンクリート地面に用いるコンクリート用固定杭、又は土の地面に用いる土用固定杭のいずれかであることを特徴とする。
【0026】
第9の発明によれば、コンクリート用固定杭を用いる場合には、遮光性シートをコンクリートの地面に固定することができ、土用固定杭を用いる場合には、遮光性シートを土の地面に固定することができる。
【0027】
第10の発明は、
第1の発明に係る蔓巻き防止用シートの設置方法であって、
少なくとも上記透光性シートには、当該透光性シートを補強する帯状の補強シートが取り付けられ、
上記補強シートには、上記透光性シートを上記フェンスに装着するための貫通孔が形成されており、
上記蔓巻き防止用シートの設置方法は、
上記遮光性シートの下端部を複数の貫通孔が形成されたシート端末押え用部材で上から押えた状態で、上記貫通孔から地面に固定杭を打ち込むことで、上記遮光性シートを上記地面に固定するステップと、
上記貫通孔と上記フェンスの網目を連結具で連結することにより、上記透光性シートを上記フェンスに装着するステップと、を備えた蔓巻き防止用シートの設置方法である。
【0028】
第10の発明によれば、蔓植物がフェンスを越えてフェンス内側の敷地に侵入し或いはフェンスと地面の間の隙間からフェンス内側の敷地に侵入するのを適切に防止し且つ耐久性が高い蔓巻き防止用シートを確実に設置することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、蔓植物がフェンスを越えてフェンス内側の敷地に侵入するのを適切に防止するとともに耐久性が高い蔓巻き防止用シート、および、当該蔓巻き防止用シートの設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る蔓巻き防止用シートの外観を示す図であり、(a)は蔓巻き防止シートをフェンスに装着した状態を示す正面図、(b)は蔓巻き防止シートをフェンスに装着した状態を示す側面図、(c)は(a)の矢印Aで示した領域を拡大して示す背面図、(d)は(c)で示した蔓巻き防止シートの側面図、(e)は(a)の矢印Bで示した領域を拡大して示す背面図、(f)は(e)で示した蔓巻き防止シートの側面図
【図2】遮光性シートの下端部を地面に固定するための部品を示す図であり、(a)はシート端末押え用部材を示す平面図、側面図、および端面図、(b)はコンクリート用固定杭を示す図、(c)は土用固定杭を示す図
【図3】蔓巻き防止用シート同士を横方向に連結しつつ、蔓巻き防止用シートをフェンスに装着した状態を示す正面図
【図4】図3の矢印Cで示した領域を拡大して示す図であり、(a)は当該領域を上方向から見た図、(b)は当該領域を正面から見た図
【図5】第2実施形態に係る蔓巻き防止用シートをフェンスに装着した状態で示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る蔓巻き防止用シートについて、図面を参照しながら説明を行う。図1は、第1実施形態に係る蔓巻き防止用シートの外観を示す図であり、(a)は蔓巻き防止シートをフェンスに装着した状態で示す正面図、(b)は蔓巻き防止シートをフェンスに装着した状態で示す側面図、(c)は(a)の矢印Aで示した領域を拡大して示す背面図、(d)は(c)で示した蔓巻き防止シートの側面図、(e)は(a)の矢印Bで示した領域を拡大して示す背面図、(f)は(e)で示した蔓巻き防止シートの側面図である。なお、図1(b)においては左側がフェンス外側の敷地、右側がフェンス内側の敷地である。
【0032】
第1実施形態に係る蔓巻き防止用シート10は、蔓植物がフェンス11に登ることを防止するために当該フェンス11に装着されるシートである。
【0033】
なお、蔓巻き防止用シート10が装着されるフェンス11には、例えば、未整地の敷地、コンクリート劣化損傷の敷地、無線鉄塔、変電所、配電所、送電所、等の周囲に設けられたネットフェンス、アルミ・ステンレスフェンス、格子フェンス、メッシュフェンス等がある。
【0034】
蔓巻き防止用シート10は、遮光性シート10bと、透光性シート10aとを備えている。
【0035】
遮光性シート10bは、地面から立ち上がるようにフェンス11に装着される非腐食性のシートである。遮光性シート10bは、柔軟性素材で構成されて巻回可能である。遮光性シート10bの素材は柔軟性を有していれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル系繊維からなる不織布で構成することができる。遮光性シート10bをポリエステル系繊維からなる不織布で構成する場合、不織布はペットボトルのリサイクル製品であることが好ましい。また、遮光性シート10bの表面は、蔓植物が絡み付くことができないような平坦性を有している。
【0036】
遮光性シート10bを不織布で構成する場合について詳しく説明する。遮光性シート10bは、例えば使用済みのペットボトルのリサイクル繊維であるポリエステル繊維を100%使用したものであり、1平方メートルで700gの繊維使用量と、特殊焼き付け加工を施こした高強度シートであり、いわゆる「地球に優しい」製品である。
【0037】
遮光性シート10bは、ペットボトルのリサイクルにおいて、回収した廃ペットボトルを粉砕・洗浄し金属などの異物を取り除いた後、フレークやペレットの状態にしてポリエチレンテレフタレート素材を得て、このポリエチレンテレフタレート素材をポリエステル繊維として再製品化することで得られる。このように、蔓巻き防止用シート10に用いる遮光性シート10bはポリエステルで構成されているために、土中からのバクテリアによる腐食被害を防止でき、耐久性を高く保つことができる。
【0038】
また、遮光性シート10bは、透水性に優れているため、雨水は自然排水される。
【0039】
さらに、遮光性シート10bは密度をより細かく編みこんでいるために耐候性、耐久性に優れている(例えば1平方メートルでペットボトル15本分のリサイクル繊維を使用、耐用年数10年以上)。また、遮光性シート10bは、耐薬品性にも優れ、ガソリン、軽油等の薬品にも化学変化を起こすことは無い。またさらに、遮光性シート10bはポリエステルで構成されているために、家庭用ゴミとして処理することができ、燃やしてもダイオキシン等、環境公害の心配は不要である。
【0040】
遮光性シート10bは、横方向に伸びる帯状に構成されており、設置前の高さ(帯幅)が例えば約1000mmである。なお、設置時には、遮光性シート10bは、少なくとも下端部が地面に接地し且つ中途部から上方に立ち上がるように屈曲した状態でフェンス11に取り付けられる。よって、設置時には、例えば、500mmの幅分が接地し、500mmの幅分が立ち上がった状態となる(図1(b)参照)。
【0041】
遮光性シート10bの背面(フェンス11に対向する側の面)には、遮光性シート10bを補強する帯状の補強シート10cが取り付けられている。補強シート10cは、横方向に伸びており、遮光性シート10bの高さ方向中途部に1本または複数本設けられている。図1に示される例では1本である。補強シート10cは、その上側が遮光性シート10bの背面に縫い付けられており、下側は縫い付けられていない。補強シート10cの下端部には、遮光性シート10bをフェンス11に装着するための貫通孔12が形成されている。貫通孔12の内周縁には、当該内周縁を補強する補強リング(図示せず)が取り付けられている。また、遮光性シート10bにおいては、図1(a)に示されるように、その左側端部および右側端部に貫通孔12が形成される。貫通孔12の内周縁には、当該内周縁を補強する補強リング(図示せず)が取り付けられている。貫通孔12とフェンス11の網目が連結具で連結されることにより、遮光性シート10bがフェンス11に装着される。連結具の種類は特に限定されないが、例えば針金である。
【0042】
図2は、遮光性シート10bの下端部を地面に固定するための部品を示す図であり、(a)はシート端末押え用部材を示す平面図、側面図、および端面図、(b)はコンクリート用固定杭を示す図、(c)は土用固定杭を示す図である。
【0043】
遮光性シート10bの下端部は、図1(b)に示されるように、複数の貫通孔13a(図2(a)参照)が形成されたシート端末押え用部材13で上から押えられた状態で、貫通孔13aから地面に固定杭14が打ち込まれることで、地面に固定される。固定杭14は、コンクリート地面17に用いられるコンクリート用固定杭14a、または土の地面18に用いられる土用固定杭14bのいずれかである。コンクリート用固定杭14aは、土用固定杭14bに比べて強度が高くて短い。
【0044】
図1に示されるように、透光性シート10aは、遮光性シート10bの上端部に連結され、遮光性シート10bよりも上方でフェンス11に装着されるシートである。透光性シート10aの下端部は、遮光性シート10bの上端部とラップしており、そのラップ状態で相互に縫い付けられている。透光性シート10aは、柔軟性素材で構成されて巻回可能である。遮光性シート10bの表面は、蔓植物が絡み付くことができないような平坦性を有している。透光性シート10aの素材は柔軟性を有していれば特に限定されるものではないが、例えば、ナイロン或いはポリ塩化ビニルから構成することができる。ナイロン或いはポリ塩化ビニルからなる透光性シート10aは、自己潤滑性を有しているため、蔓植物の絡み付きがより一層防止される。透光性シート10aは、横方向に伸びる帯状に構成されており、例えば、高さ(帯幅)が約1000mmである。
【0045】
透光性シート10aの背面(フェンス11に対向する側の面)には、透光性シート10aを補強する帯状の補強シート10cが取り付けられている(図1(e),(f)参照)。補強シート10cは、横方向に伸びており、透光性シート10aの高さ方向中途部に1本または複数本設けられている。図1(a)に示される例では1本である。補強シート10cは、図1(f)に示されるように、その上側が遮光性シート10bの背面に接着剤で固定されており、下側は固定されていない。図1(f)は、補強シート10cの下側が固定されていないことを示すために、便宜上、補強シート10cの下側を透光性シート10aから離した状態で示している。透光性シート10aに取り付けられる補強シート10cは、遮光性シート10bに取り付けられる補強シート10cと同様のものである。貫通孔12とフェンス11の網目が連結具で連結されることにより、透光性シート10aがフェンス11に装着される。連結具の種類は特に限定されないが、例えば針金である。
【0046】
透光性シート10aにおいては、図1(a)に示されるように、その上端部、左側端部、および右側端部に直接、貫通孔12が形成される。図1(c),(d)に示される例では、透光性シート10aの上端部、左側端部、および右側端部で透光性シート10aが折り返されており、その折り返し片が対向部分と縫い付けられている。よって、その折り返し片によって透光性シート10aの上端部、左側端部、および右側端部が補強された状態になっている。その補強された上端部、左側端部、および右側端部に貫通孔12が形成されている。貫通孔12の内周縁には、当該内周縁を補強する補強リング(図示せず)が取り付けられている。貫通孔12とフェンス11の網目が連結具で連結されることにより、遮光性シート10bがフェンス11に装着される。連結具の種類は特に限定されないが、例えば針金である。
【0047】
図3は、蔓巻き防止用シート10同士を横方向に連結しつつ、蔓巻き防止用シート10をフェンス11に装着した状態を示す図である。図4は、図3の矢印Cで示した領域を拡大して示す図であり、(a)は当該領域を上方向から見た図、(b)は当該領域を正面から見た図である。
【0048】
蔓巻き防止用シート10同士を横方向に連結しつつ、蔓巻き防止用シート10をフェンス11に連結するために、連結具15が使用される。連結具15は、例えば合成樹脂板をその両側からアルミ板でサンドイッチした構造の2枚の複合板15aと、これら2枚の複合板15aを連結するボルトおよびナット15bとを含む。連結具15aは、軽量かつ高剛性の帯状部材であり、ボルト15bを挿通させる貫通孔を有している。連結具15は、その長さ方向が縦方向となるように配置される。貫通孔の位置は、透光性シート10aの左側端部および右側端部、遮光性シート10bの左側端部および右側端部に設けられた貫通孔12の位置に対応している。
【0049】
図4(a)に示されるように、隣り合う蔓巻き防止用シート10同士が重なった部分において、蔓巻き防止用シート10とフェンス11を両側から挟むように2枚の複合板15aを配置する。その際、各蔓巻き防止用シート10の貫通孔12と各複合板15aの貫通孔を位置合わせした状態にする。そして、2枚の複合板15aで蔓巻き防止用シート10とフェンス11を締め付けるように2枚の複合板15aをボルトおよびナット15bで連結する。これにより、蔓巻き防止用シート10同士を横方向に連結しつつ、蔓巻き防止用シート10をフェンス11に装着することができる。なお、複合板15aの帯幅は例えば50mmであり、透光性シート10a同士のラップ幅は、例えば200〜500mmである(図4(b)参照)。
【0050】
また、ボルト15bは、例えばM8ボルトである。複合板15aには、予め貫通孔を形成しておいてもよいが、現地で穴加工をすることで貫通孔を形成してもよい。複合板15aと遮光性シート10bとが重なり合う領域には専用プライマを塗布することにより、複合板15aと遮光性シート10bを接着する。また、この専用プライマは、金属べらで充分伸ばし、上下両面に接着する必要がある。
【0051】
次に、蔓巻き防止用シート10のフェンス11への装着手順について説明を行う。
最初に、作業者は、変電所等を囲んでいるフェンス11周辺が未整地である場合には、蔓巻き防止用シート10の設置範囲で除草を行う。
【0052】
除草後、作業者は地面になるべく凹凸が生じないように整地を行う。なお、転圧作業を行うと蔓巻き防止用シート10の施工後の出来上がりが良くなる。また、地面がコンクリートの場合には、コンクリートの表面をケレンし、遮光性シート10bとの接着面を確保することが有効となる。
【0053】
次いで、作業者は、上述したように、シート端末押え金具13及び固定杭14を用いて土地面18やコンクリート地面17に蔓巻き防止用シート10の下端側を固定する。すなわち、遮光性シート10bの下端部をシート端末押え金具13で上から押えた状態で、シート端末押え用部材13の貫通孔13から遮光性シート10bおよび地面(土地面18またはコンクリート地面17)に対して固定杭14を垂直に打ち込む。コンクリート地面に蔓巻き防止用シート10の下端側を固定する場合には、コンクリート用固定杭14aを打ち込む前に、コンクリート地面と遮光性シート10bを専用プライマにて接着しておくことにより、遮光性シート10bをコンクリート地面により強固に固定することができる。
【0054】
次に、作業者は、蔓巻き防止用シート10の貫通孔12に針金等の連結具を通してフェンス11の線材に蔓巻き防止用シート10を装着する。また、蔓巻き防止用シート10を横方向に連結しつつ、蔓巻き防止用シート10をフェンス11に装着する場合には、連結具15を用いて装着作業を行う。
以上により、作業者は蔓巻き防止用シート10をフェンス11に強固に固定することができる。
【0055】
以上説明したように、蔓巻き防止用シート10によれば、遮光性シート10bは地面から立ち上がるようにフェンス11に装着されるので、遮光性シート10bと地面の間に隙間が生じない。よって、遮光性シート10bと地面の間から蔓植物が侵入するのを防止することができる。また、遮光性シート10bは非腐食性であるので、地面に接触してもバクテリアによって分解されず、腐食しない。また、遮光性シート10bの上端部には透光性シート10aが連結されており、透光性シート10aは遮光性シート透光性シート10bよりも上方でフェンスに11に装着される。よって、明るい方向に伸びる習性のある蔓植物は、地面から立ち上がった後、透光性シート10aが存在する上方向に伸びるが、遮光性シート10bおよび透光性シート10aが蔓植物のフェンス11への絡み付きを阻止する。蔓植物は、ある程度の高さ(例えば80cm程度)まで立ち上がると自立することができずに後方へ反り返る。よって、蔓植物が透光性シート10aおよびフェンス11を乗り越えて敷地内に侵入するのを防止することができる。
【0056】
また、蔓巻き防止用シート10によれば、遮光性シート10bおよび透光性シート10aは、共に、柔軟性素材で構成されて巻回可能である。よって、ユーザは蔓巻き防止用シート10をロール状に巻回した状態で持ち運びすることができる上、ロールを展開しながらフェンスに装着していくことができるので、運搬および設置が容易である。
【0057】
また、蔓巻き防止用シート10によれば、ポリエステル系繊維は強度が高い上にバクテリアによって分解されず、腐食しにくい。不織布は柔軟性に優れている。よって、蔓巻き防止用シート10によれば、非腐食性および柔軟性に優れた蔓巻き防止用シート10を提供することができる。
【0058】
また、蔓巻き防止用シート10によれば、不織布がペットボトルのリサイクル製品であるので、リサイクル製品を材料として蔓巻き防止用シート10を製造することができる。よって、蔓巻き防止用シート10を地球に優しいエコロジー製品とすることができる。
【0059】
また、蔓巻き防止用シート10によれば、透光性シート10aには帯状の補強シート10cが取り付けられているので、透光性シート10aの耐久性を向上させることができる。また、補強シート10cの貫通孔12とフェンス11の網目を連結具(例えば針金)で連結することで、透光性シート10aをフェンス11に装着するので、容易かつ確実に透光性シート10aをフェンス11に装着することができる。
【0060】
また、蔓巻き防止用シート10によれば、補強シート10cの貫通孔12の内周縁に補強リングが取り付けられているので、貫通孔12の内周縁が連結具(例えば針金)に当たって切れてしまうなどの不都合を防止することができる。
【0061】
また、蔓巻き防止用シート10によれば、遮光性シート10bの下端部は、シート端末押え用部材13で上から押えられ、シート端末押え用部材13および固定杭14によって地面に固定される。よって、遮光性シート10bと地面の間に隙間が生じるのを防止することができ、その隙間から蔓植物が侵入するのを確実に防止することができる。
【0062】
また、蔓巻き防止用シート10によれば、コンクリート用固定杭14bを用いる場合には、遮光性シート10bをコンクリートの地面17に固定することができ、土用固定杭14bを用いる場合には、遮光性シート10bを土の地面18に固定することができる。
【0063】
なお、蔓巻き防止用シート10の色彩は、例えば、グレーやグリーン等の色彩とすることができ、蔓巻き防止用シート10の寸法は、例えば2m×40m(高さ×全長)や1m×40m(高さ×全長)等、フェンス11の大きさに合わせて変更することができる。
【0064】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る蔓巻き防止用シートに関して図面を参照しながら説明を行う。図5は、第2実施形態に係る蔓巻き防止用シートを示す正面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0065】
第2実施形態に係る蔓巻き防止用シート50は、メッシュ状の透光性シート50aを用いたことを特徴とする。透光性シート50は、メッシュの網目で光を透過する。
【0066】
蔓巻き防止用シート50は、遮光性シート50bの上端部にメッシュ状の透光性シート50aが縫い合わされたものである。この透光性シート50aの材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルである。
【0067】
また、透光性シート50aにおいてメッシュの占める実面積の割合を表す充填率(ここで充填率とは網の実面積/網の外郭面積の比率)は、約0.3〜0.9等、蔓巻き防止用シート50が使用される環境に合わせて様々に設定することができる。また、この充填率により蔓巻き防止用シート50の風力係数が決定される。また、透光性シート50aは焼却時にダイオキシンの発生要因となるハロゲン含有物質を使用していないために安全に使用することができる。なお、メッシュの充填率は、蔓植物が絡み付くことができない平坦性を確保するように設定される。
【0068】
以上のように、蔓巻き防止用シート50は、メッシュシート50aを用いることで、蔓巻き防止用シート50が受ける風圧を低減できると共に、蔓巻き防止用シート50の軽量化を図ることが可能となる。よって、フェンス11への装着作業が楽になり、フェンス11への重量負荷を軽減することもできる。
【0069】
なお、図面には各部材の寸法を記載しているが、この寸法は一例であって、限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、無線鉄塔、変電所、配電所、送電所等を囲むフェンスを越えて、蔓植物が無線鉄塔等の敷地内に侵入するのを防止する蔓巻き防止用シート等に用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
10,50 蔓巻き防止用シート
10a 透光性シート
10b,50b 遮光性シート
11 フェンス
12 蔓巻き防止用シートの貫通孔
13 シート端末押え用部材
14 固定杭
14a コンクリート用固定杭
14b 土用固定杭
15 連結具
15a 複合板
15b ボルトおよびナット
17 コンクリート地面
18 土地面
50a メッシュ状の透光性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔓植物がフェンスに登ることを防止するために当該フェンスに装着される蔓巻き防止用シートであって、
地面から立ち上がるように前記フェンスに装着される非腐食性の遮光性シートと、
前記遮光性シートの上端部に連結され、前記遮光性シートよりも上方で前記フェンスに装着される透光性シートと、を備えた蔓巻き防止用シート。
【請求項2】
前記遮光性シートおよび前記透光性シートは、共に、柔軟性素材で構成されて巻回可能であることを特徴とする請求項1に記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項3】
前記遮光性シートは、ポリエステル系繊維からなる不織布で構成されることを特徴とする請求項2記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項4】
前記不織布は、ペットボトルのリサイクル製品であることを特徴とする請求項3記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項5】
少なくとも前記透光性シートには、当該透光性シートを補強する帯状の補強シートが取り付けられ、
前記補強シートには、前記透光性シートを前記フェンスに装着するための貫通孔が形成され、
前記貫通孔と前記フェンスの網目が連結具で連結されることにより、前記蔓巻き防止用シートが前記フェンスに装着されることを特徴とする請求項1に記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項6】
前記貫通孔の内周縁には、当該内周縁を補強する補強リングが取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項7】
前記透光性シートは、メッシュ状シートであることを特徴とする請求項1に記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項8】
前記遮光性シートの下端部は、複数の貫通孔が形成されたシート端末押え用部材で上から押えられた状態で、前記貫通孔および地面に固定杭が打ち込まれることで、前記地面に固定されることを特徴とする請求項1記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項9】
前記固定杭は、コンクリート地面に用いるコンクリート用固定杭、又は土の地面に用いる土用固定杭のいずれかであることを特徴とする請求項8記載の蔓巻き防止用シート。
【請求項10】
請求項1に記載の蔓巻き防止用シートの設置方法であって、
少なくとも前記透光性シートには、当該透光性シートを補強する帯状の補強シートが取り付けられ、
前記補強シートには、前記透光性シートを前記フェンスに装着するための貫通孔が形成されており、
前記蔓巻き防止用シートの設置方法は、
前記遮光性シートの下端部を複数の貫通孔が形成されたシート端末押え用部材で上から押えた状態で、前記貫通孔から地面に固定杭を打ち込むことで、前記遮光性シートを前記地面に固定するステップと、
前記貫通孔と前記フェンスの網目を連結具で連結することにより、前記透光性シートを前記フェンスに装着するステップと、を備えた蔓巻き防止用シートの設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−24483(P2011−24483A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173404(P2009−173404)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【特許番号】特許第4438021号(P4438021)
【特許公報発行日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(502225442)株式会社クキ・イーアンドティー (7)
【Fターム(参考)】