説明

衛生洗浄装置

【課題】 小型化しても十分な風量が得られ、衛生洗浄装置内のレイアウトの制限を小さくすることが可能なファンユニットを備えた衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 内部に空気流路を形成したハウジングと、ハウジングに設けられてハウジング外の空気を吸引する吸気口と、吸気口から空気を吸引するファンモータと、吸引した空気をハウジング外へ噴出する噴出口と、を有するファンユニットをケーシング内に備えた衛生洗浄装置において、ハウジングはファンモータの回転軸に対して略鉛直である上面と、上面とファンモータを介して対面する下面とを含み、上面と下面に吸気口をそれぞれ設ける衛生洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンユニットを備える衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衛生洗浄装置としては、水道水等の供給水を内部に取り込んで洗浄水を吐出させることで人体の局部洗浄を行なう洗浄手段を有し、局部洗浄により濡れた人体局部を乾燥させる温風ファン装置や、臭気を脱臭する脱臭ファン装置が組み込まれたものが知られている。これらファン装置は、内部に空気流路を形成したハウジングと、ハウジングに設けられてハウジング外の空気を吸引する吸気口と、吸気口から空気を吸引するファンモータと、吸引した空気を噴出する噴出口と、を有するファンユニットを含むものである。吸気口はハウジングの上面あるいは下面等の1面にのみ設けられ、吸気口から吸引した空気を加熱あるいは脱臭して噴出口から噴出させる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−049474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、省スペース化や取り回しの向上のために衛生洗浄装置の小型化が要求されている。一方で、衛生洗浄装置の小型化に伴ってファンユニットを小型化する際、吸気口の大きさも小さくなるので吸気量が低下してしまい、十分な風量が得られないという問題があった。また、装置の部品は、互いの熱による劣化や振動による損傷を防ぐために、一定の間隔を開けて配置する必要がある。さらに、ファンユニットは、十分な吸気風量を得るために、吸気口を設けた面の周囲には、他部品との間隔だけでなく、吸気のためのより大きな一定の空間が必要であった。そのため、衛生洗浄装置の小型化の際に装置内部の部品レイアウトにおける制限が大きいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、小型化しても十分な風量が得られ、衛生洗浄装置内部のレイアウトの制限を小さくすることが可能なファンユニットを備えた衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
内部に空気流路を形成したハウジングと、ハウジングに設けられてハウジング外の空気を吸引する吸気口と、吸気口から空気を吸引するファンモータと、吸引した空気をハウジング外へ噴出する噴出口と、を有するファンユニット、をケーシング内に備えた衛生洗浄装置において、ハウジングはファンモータの回転軸に対して略鉛直である上面と、上面とファンモータを介して対面する下面とを有し、上面と下面に吸気口をそれぞれ設けるそれぞれ設けるそれぞれ設けることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、ハウジングの上面と下面とにそれぞれ吸気口を設けることで、上面あるいは下面等の1面にのみ吸気口が設けられた場合よりも吸気風量を多く確保でき、それにより、ファンユニットを小型化しても噴出風量が保たれる。また、ハウジングの1面にのみ吸気口を設けた場合、吸気口が設けられていない面周囲の空間は他部品との間隔を開けるためだけのものとしてしか機能しない。それに対して本発明は、ハウジングの上面と下面とにそれぞれ吸気口を設けることで、上面及び下面周囲の空間をともに、吸気のための空間及び他部品との間隔として利用することができる。十分な吸気風量を得るために必要な一定の空間を、上面周囲の空間と下面周囲の空間とに分割できるため、上面と下面それぞれに必要な空間は他部品との間に必要な間隔と同程度となる。そのため、ファンユニットが必要とする周囲の空間の総量が少なくなり、装置内部の空間を効率的に利用することができるので、部品レイアウトにおける制限を小さくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の衛生洗浄装置によれば、ファンユニットのハウジングの上面と下面とにそれぞれ吸気口を設けることで、上面あるいは下面等の1面にのみ吸気口が設けられた場合よりも吸気風量を多く確保でき、それにより、ファンモータを小型化しても噴出風量が保たれる。また、衛生洗浄装置内部の部品レイアウトの制限が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による衛生洗浄装置を示す外観斜視図
【図2】本発明の一実施形態による衛生洗浄装置内部を示す平面図
【図3】本発明の一実施形態による温風ファン装置を示す外観斜視図
【図4】(a)本発明の一実施形態によるファンモータを示す平面図(b)本発明の一実施形態によるファンモータを示す(a)のA−A断面図
【図5】(a)従来の温風ファン装置の周囲空間を示す模式図(b)本発明の一実施形態による温風ファン装置の周囲空間を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による衛生洗浄装置について説明する。
図1は本発明の一実施形態における衛生洗浄装置の外観斜視図、図2は本発明の一実施形態における衛生洗浄装置内部を示す平面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態による衛生洗浄装置1は、水洗大便器(図示せず)上に設けられ、ケーシング2と、ケーシング2に上下方向へ開閉自在に取付けられた便蓋4と、便蓋4と同様にケーシング2に上下方向へ開閉自在に取付けられ使用者が着座する便座6と、使用者の着座を検知する着座検知手段(図示せず)と、ケーシング2内に進出自在に収納され人体局部に向けて洗浄水を吐出させる洗浄手段8とを備えている。
【0011】
さらに、図2に示すように、洗浄水は、外部から衛生洗浄装置1に接続され内部に水を取り込む給水管(図示せず)から、洗浄手段8へと、流路を開閉する電磁弁10及び水を加熱することが可能な水加熱部12を介して供給されるものである。また、衛生洗浄装置1はケーシング2内に、換気ファン装置14と、脱臭ファン装置16と、温風ファン装置18とを備えている。換気ファン装置14は、ケーシング2外の空気を吸引してケーシング2内に噴出させ換気を行う。脱臭ファン装置16はケーシング2下方の臭気を吸引して脱臭を行う。温風ファン装置18は、ファンユニット20によりケーシング2内から空気を吸引し加熱して人体局部を乾燥させる。使用者による局部洗浄の開始、脱臭ファン装置及び温風ファン装置の作動や温風の温度の変更等は操作部(図示せず)により操作が可能で、洗浄水の温度や洗浄手段8の作動及び各ファン装置14、16、18の駆動はケーシング2内に配置された制御部22によって制御される。
【0012】
次に、図3は本発明の一実施形態による温風ファン装置を示す外観斜視図、図4(a)は本発明の一実施形態によるファンユニットを示す平面図、図4(b)は(a)のA−A断面図である。図3、図4(a)、及び、(b)にて本発明の一実施形態におけるファンユニットについて説明する。図3に示すように、温風ファン装置18は、ダクト24と、空気を吸引してダクト24内に向けて噴出するファンユニット20と、ファンユニット20から噴出した空気を加熱する空気加熱部26と、加熱された空気を人体局部に向けて噴出させる温風噴出口28と、を備える。空気加熱部26はダクト24内の上面から下面に亘って設けられている。
【0013】
図4(a)及び(b)に示すように、ファンユニット20は、内部に空気流路20aを形成したハウジング20bと、ハウジング20bに設けられてハウジング20b外の空気を吸引する吸気口20c、20dと、吸気口20c、20dから空気を吸引するファンモータ20eと、吸引した空気をハウジング20b外に噴出する噴出口20fと、を有している。ハウジング20bはファンモータの回転軸20gに略鉛直な上面20hと、上面20hに対面する下面20jとを有している。吸気口20cはハウジング20bの上面20hに設けられており、ハウジング20bの上方の空間から空気を吸引する。一方、吸気口20dはハウジング20bの下面20jに設けられており、ハウジング20cの下方の空間から空気を吸引する。
【0014】
以下、一実施形態である衛生洗浄装置の動作について説明する。
使用者が便座6に着座した際、図示しない着座検知手段により使用者の着座を検知する。その後、使用者が洗浄開始操作を行うと、外部から電磁弁10及び水加熱部12を介して供給された洗浄水を洗浄手段8により吐出させ、使用者の局部を洗浄する。また、使用者が温風ファン装置18の作動操作を行うと、ファンユニット20が作動しケーシング2内の空気を吸引し始める。ファンユニット20は、ファンモータ20eを駆動させることで吸気口20c、20dによりハウジング20bの上方及び下方空間から空気を吸引し、噴出口20fから噴出させる。噴出された空気は温風ファン装置18のダクト24内の空気加熱部26により所定の温度に加熱され、温風噴出口28から人体局部に向けて噴出される。所定の温度は使用者が図示しない操作部により設定する任意の値である。温風噴出口28から噴出する温風を設定された温度に保つために、ファンユニット20のハウジング20b内に設けられた図示しない温度検知手段により温風の温度を検知し、検知温度と設定温度との差に基づいて空気加熱部26を制御している。使用者が温風ファン装置18の停止操作を行うと、ファンユニット20は停止する。
【0015】
ファンユニット20が作動しケーシング2内の空気を吸引する際、ファンユニット20のハウジング20bの上面20hと下面20jとにそれぞれ吸気口20c、20dが設けられているため、ハウジングの上面あるいは下面等の1面にのみ吸気口が設けられている場合に比べて、より多くの吸気風量を確保することができる。それにより、ファンユニットを小型化しても噴出風量が保たれる。さらに、より多くの吸気風量を確保することができるため、ファンユニット20のファンモータ20eの回転数を低減させても、十分な吸気風量が確保できる。そのため、ハウジングの1面にのみ吸気口が設けられた場合に比べて、ファンモータの回転数を低減し、騒音レベルを略3dB低下させることが可能である。
【0016】
(a)従来の温風ファン装置の周囲空間を示す模式図、(b)本発明の一実施形態による温風ファン装置の周囲空間を示す模式図である。図5(a)及び(b)により、本発明の吸気のための空間について説明する。図5(a)に示すように、ハウジングの1面、例えば下面20jにのみ吸気口20dが設けられた場合、十分な吸気風量を得るためには、下面20j周囲にケーシング2下面との間隔及び吸気のための高さ略9mmの空間が必要なる。また、上面20h周囲にはケーシング2内の部品30との略4mmの間隔が必要となる。それに対して、本実施形態では、図5(b)に示すように、ハウジングの上面20hと下面20jとにそれぞれ吸気口20c、20dを設けることで、十分な吸気風量を得るために必要な空間を、上面周囲の空間と下面周囲の空間とに分割できる。そのため、上面20h及び下面20j周囲に、ケーシング2内の部品30及びケーシング2下面との間隔及び吸気のための高さ略5mmの空間をそれぞれ確保することで十分な吸気風量が得られ、ハウジングの1面にのみ吸気口が設けられた場合に比べて、ファンユニットが周囲に必要とする空間の総量を少なくでき、ケーシング2内の空間を効率的に利用することが可能となる。
【0017】
ファンユニット20から噴出した空気をダクト24内の空気加熱部26で加熱する際、ファンユニット20のハウジング20bの上面20hと下面20jとにそれぞれ吸気口20c、20dが設けられているため、ハウジングの1面に吸気口を設けた場合に比べ、ダクト24内の上面から下面に亘って設けられた空気加熱部26にムラなく当たりやすい。そのため、温風温度を設定温度に保ちやすい。
【符号の説明】
【0018】
1…衛生洗浄装置
2…ケーシング
4…便蓋
6…便座
8…洗浄手段
10…電磁弁
12…水加熱部
14…換気ファン装置
16…脱臭ファン装置
18…温風ファン装置
20…ファンユニット
20a…空気流路
20b…ハウジング
20c、20d…吸気口
20e…ファンモータ
20f…噴出口
20g…ファンモータの回転軸
20h…ハウジングの上面
20j…ハウジングの下面
22…制御部
24…ダクト
26…空気加熱部
28…温風噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気流路を形成したハウジングと、前記ハウジングに設けられて前記ハウジング外の空気を吸引する吸気口と、前記吸気口から空気を吸引するファンモータと、吸引した空気を前記ハウジング外に噴出する噴出口と、を有するファンユニット、をケーシング内に備えた衛生洗浄装置において、
前記ハウジングは前記ファンモータの回転軸に対して略鉛直である上面と、前記上面と前記ファンモータを介して対面する下面とを含み、前記上面と前記下面に前記吸気口をそれぞれ設けることを特徴とする衛生洗浄装置。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96068(P2013−96068A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236780(P2011−236780)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】