説明

衣服用カギホック取付け装置における下座金供給装置

【課題】下座金を隣接させて連続的に打込み位置まで搬送する装置を提供する。
【解決手段】衣服用カギホック取付け装置における下座金供給装置である。前記搬送路6は、前記下座金12を複数枚隣接させて配置するものであり、前記下座金12を前記搬送路上で1枚分ずつ前進させるものである。前記搬送路6は前方側搬送路62と後方側搬送路63に分断され、前記前方側搬送路62は前記後方側搬送路63に対して上下動が可能である。前記かしめ工程直前に、前記前後搬送路の境目に位置する2枚の下座金12を上下動可能なピン81,82と係合させることにより位置固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の開口部を開閉するための雌雄カギホックをこの開口部に取付ける取付け装置に関し、特にカギホックの下座金を供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雌雄カギホックは、下座金に布生地を介して雌体及び雄体を取付けることで構成されている。本願明細書に添付の図1は雄カギホック1を示し、図2は雌カギホック1Aを示している。雄カギホック1は、雄体11と下座金12が、雄体の脚部14によりかしめられ、雌カギホック1Aは、雌体11Aと下座金12Aが、雌体の脚部14Aによりかしめられる。
【0003】
雌雄カギホックを衣服の開口部に取付ける取付け装置としては、例えば実公平7−54254号、特開平7−90708号の技術が公知である。また、下座金を打込み機のホルダに装填する作業を効率のよいものとするために、特開2010−90510の技術が公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記各従来技術において説明されているように、下座金は筒状の第1のホルダから、雌体/雄体は皿状の第2のホルダから別々に供給され、取付け装置の前面中央部で布生地と共に打付けられて、強固に結合される。下座金は、第1のホルダから1枚ずつ取り出され、座金押し棒により、打込み位置まで搬送される。
【0005】
この方法では、座金押し棒はホルダ取出し位置から打込み位置までの間を往復動作することになるが、動作に時間がかかると共に非経済的であり、位置決めが不正確になりやすい。
【0006】
本発明は、下座金を1枚ずつホルダから取り出すようなやり方を止め、下座金を連続的に打込み位置まで搬送する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、衣服用カギホック取付け装置における下座金供給装置であって、雄体又は雌体のいずれかを収容する雄体又は雌体ホルダと、前記雄体又は雌体のいずれかを打込み用の作業台に搬送させる搬送シュートと、下座金を収容する下座金ホルダと、前記下座金を作業台に搬送させる搬送路と、前記雄体又は雌体のいずれかと前記下座金をかしめるハンマーとを有するものにおいて、前記搬送路は、前記下座金を複数枚隣接させて配置するものであり、前記下座金を前記搬送路上で1枚分ずつ前進させること、前記搬送路を前方側搬送路と後方側搬送路に分断して、前記前方側搬送路は前記後方側搬送路に対して上下動が可能であること、前記かしめ工程直前に、前記搬送路の境目に位置する2枚の下座金を上下動可能なピンにより位置固定することを特徴とする(請求項1)。
【0008】
前記下座金が雄カギホック用のものであるとき、前記ピンは前記下座金の中央孔に挿入されることにより、位置固定される(請求項2)。
【0009】
前記下座金が雌カギホック用のものであるとき、前記ピンは下座金の肩コーナースペース部に挿入されることにより、位置固定される(請求項3)。
【0010】
前記前方側搬送路は、前記作業台と一体化して同じ上下動をするものであることが好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下座金は、複数枚のものが隣接して順次搬送路に送られるので、長いストロークを有する押し棒が不要となり、動作に無駄がなく、経済的である。また、かしめ工程直前に、搬送路の境目に位置する2枚の下座金を上下動可能なピンにより位置固定されるので、かしめ作業が正確なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】雄カギホックの、(a)取付け前、(b)取付け後の斜視図である。
【図2】雌カギホックの、(a)取付け前、(b)取付け後の斜視図である。
【図3】雄カギホック取り付け装置の正面図である。
【図4】雄カギホック取り付け装置の平面図である。
【図5】雄カギホック取り付け装置の左側面図である。
【図6】雄カギホック取り付け装置における下座金の搬送路の平面図である。
【図7】(a)〜(c)は、雄カギホック取り付け装置における下座金の搬送路に取り付けられた下座金の位置決め機構の各段階を示す側面図である。
【図8】雄カギホック下座金の孔にパイロットピンが挿入され、位置固定されている状態を示す斜視図である。
【図9】雌カギホック取り付け装置の正面図である。
【図10】雌カギホック取り付け装置の平面図である。
【図11】雌カギホック取り付け装置の左側面図である。
【図12】雌カギホック取り付け装置における下座金の搬送路の平面図である。
【図13】(a)〜(c)は、雌カギホック取り付け装置における下座金の搬送路に取り付けられた下座金の位置決め機構の各段階を示す側面図である。
【図14】雌カギホックの下座金の肩コーナースペースにパイロットピンが挿入され、位置固定されている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
雄カギホック取り付け装置を示す図3〜8において、雄体ホルダ2に収容された雄体11(図1参照)は、雄体搬送シュート3を経て打込み用の作業台4に搬送される。この機構は、本実施例においても従来技術と同様であり、詳細はたとえば実公平7−54254に記載されている。
【0015】
一方、下座金ホルダ5に収容された下座金12(図1参照)は、最下部から1枚ずつ取り出されて装置上面の搬送路6に乗せられる。下座金ホルダ5も、従来技術と同様であり、その詳細はたとえば特開2010−90510に記載されている。
【0016】
下座金搬送路6は、図4,図6の平面図に示すように、浅い溝61が長手方向に形成されている。下座金12は、下座金ホルダ5最下部から作業台4の打込み位置まで15枚整列して1枚ずつ駆動装置により、押し出される。駆動装置は例えばエアシリンダ65であり、最後尾の下座金1215を1枚幅ずつ前方へ押しやる。
【0017】
搬送路6は、下座金の先端側から数えて7枚目12と8枚目12の間の位置で分断されている。先端側搬送路62及び作業台4は一体化しており、後端側搬送路63に対して上下動が可能である。先端側搬送路62及び作業台4はカギホックの打込み時に打込み圧力により下降し、その圧力がなくなれば下部バネ7により元の高さに復元する。
【0018】
図7は、雄カギホック取り付け装置における下座金12の搬送路6に取り付けられた下座金の位置決め機構を示しており、下座金の先端側から7枚目12と8枚目12の間の位置の側面図である。下座金の位置決めは、搬送路底面に取り付けられたパイロットピン81,82の出没により行われる。
【0019】
図7(a)が初期状態である。搬送路6は水平であって、下座金12は障害なく進行する。先頭の下座金12が作業台4の中央に位置し、雄体11も打込み位置にあり、布地Fが所定位置にセットされたとき(すなわち、準備が完了したとき)、作業員によりフットスイッチ(図示せず)が入れられる。すると、7枚目と8枚目の下座金に対して、パイロットピン81,82が駆動装置(例えばエアシリンダ83,84)の押し上げにより上昇し、図7(b)及び図8に示すように、下座金12の中央孔13(図1参照)に挿入されて、下座金12の位置が一時的に固定される。
【0020】
この状態において、作業台4上部のハンマー9が下降し、雄体11と下座金12を加圧してかしめる。このとき、先端側搬送路62及び作業台4は、ハンマー9のよる加圧圧力を緩衝するため、図7(c)に示すように、後端側搬送路63に対して下降する。下座金12はそれぞれ位置固定されたままであるため、位置がずれることはない。
【0021】
かしめ作業が終わると、先端側搬送路62及び作業台4は、バネ7により元の位置に復帰する。先端側搬送路62の末端にはストッパー64が設けられていて、このストッパー64が後端側搬送路63と係合するため、前後搬送路62,63は水平位置でとどまる。
【0022】
前後搬送路62,63が水平状態になると、パイロットピン81,82がエアシリンダ83,84の引き下げにより下降し、図7(a)の初期状態となる。以降、この作業の繰り返しである。
【実施例2】
【0023】
雌カギホック取り付け装置は図9〜14に示されている。雌体ホルダ2Aに収容された雌体11Aは、雌体搬送シュート3Aを経て打込み用の作業台4Aに搬送され、作業台4Aでかしめられることは、雄カギホック取り付け装置とほぼ同様である。従って、同様の部品には実施例1の部品番号と同じ数字に「A」を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
雌カギホック取り付け装置が雄カギホック取り付け装置と異なるのは、雌カギホック1Aの下座金12Aは、図2に示すように、Oリング状であって、パイロットピン81A,82Aをその中央に挿入できないことである。そのため、下座金の位置決めのためには、パイロットピンは、図14に示すように、下座金肩コーナー部にある小さなスペース15において、上下動させる。
【0025】
またこの実施例では、搬送路を分断しているのは、下座金の先端側から数えて6枚目12Aと7枚目12Aの間である。このように分断する個所や整列させる下座金の数は、絶対的なものではなく、機械の大きさに合わせて適宜設定されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】実公平7−54254号
【特許文献2】特開平7−90708号
【特許文献3】特開2010−90510
【符号の説明】
【0027】
1 雄カギホック
11 雄体
12 下座金
13 中央孔
14 脚部
1A 雌カギホック
11A 雄体
12A 下座金
14A 脚部
15 肩コーナースペース
2 雄体ホルダ
2A 雌体ホルダ
3 雄体搬送シュート
3A 雌体搬送シュート
4,4A 作業台
5,5A 下座金ホルダ
6,6A 下座金搬送路
61,61A 溝
62,62A 先端側搬送路
63 ,63A 後端側搬送路
64 ,64A ストッパー
7,7A 下部バネ
81,82,81A,82A パイロットピン
83,84 ,83A,83A エアシリンダ
9,9A ハンマー
F 布地


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服用カギホック取付け装置における下座金供給装置であって、
雄体(1)又は雌体(1A)のいずれかを収容する雄体ホルダ(3)又は雌体ホルダ(3A)と、
前記雄体又は雌体のいずれかを打込み用の作業台(4,4A)に搬送させる搬送シュート(3,3A)と、
下座金(12,12A)を収容する下座金ホルダ(5,5A)と、
前記下座金(12,12A)を作業台(4,4A)に搬送させる搬送路(6,6A)と、
前記雄体又は雌体のいずれか(1,1A)と前記下座金(12,12A)をかしめるハンマー(9,9A)とを有するものにおいて、
前記搬送路(6,6A)は、前記下座金(12,12A)を複数枚隣接させて配置するものであり、前記下座金(12,12A)を前記搬送路上で1枚分ずつ前進させること、
前記搬送路(6,6A)を前方側搬送路(62,62A)と後方側搬送路(63,63A)に分断して、前記前方側搬送路(62,62A)は前記後方側搬送路(63,63A)に対して上下動が可能であること、
前記かしめ工程直前に、前記前後搬送路の境目に位置する2枚の下座金(12,12A)を上下動可能なピン(81,82)と係合させることにより位置固定すること、
を特徴とする衣服用カギホック取付け装置における下座金供給装置。
【請求項2】
前記下座金(12)が雄カギホック用のものであり、前記ピン(81,82)は前記下座金の中央孔(13)に挿入されることにより、位置固定されるものである請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記下座金(12A)が雌カギホック用のものであり、前記ピン(81,82)は下座金の肩コーナースペース部(15)に挿入されることにより、位置固定されるものである請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記前方側搬送路(62,62A)が、前記作業台(4,4A)と一体化して同じ上下動をする請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−184532(P2012−184532A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50111(P2011−50111)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【出願人】(000206381)大石金属工業株式会社 (5)