説明

表示装置

【課題】表示すべき数値を適切な表示状態で表示できるデジタルパネルメータを提供する。
【解決手段】従来のフルドットマトリクス方式を採用した48×96クラスのデジタルパネルメータは、フォントの関係から表示桁数が限定されるため、その用途が限られ、電圧値計測用途と限りなく数値が多くなり桁数が増えるカウンタを共用するには無理があった。本発明はユーザの設定に応じて、あるいは自動的に計測内容によって表示桁数が不足する場合には、フォントサイズを小さくしたり、或は表示行数を増やして、桁数の多い数値を高い視認性で表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
より詳しくは、アナログ信号及び/又はパルス信号等をデジタル処理した後、その数値を表示する、デジタルパネルメータに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の製造現場や、各種計測の現場では、DIN規格に準拠したデジタルパネルメータが多用されている。一般的なデジタルパネルメータの先行技術文献として、特許文献1を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−116063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでの48mm×96mm級のデジタルパネルメータは、7セグメントのLEDや、液晶を用いたものでも、固定桁数表示のものであり、そのフォントは一定であったために表示の意味を多様に表現することができないものばかりであった。このため、多種多様な入力信号の状態に対して適切な表示を行うことが難しかった。
例えば、二つの入力信号があり、一方の信号は電圧であり、もう一方の信号は計数値であったとする。電圧の信号は精度の関係から小数点を含めて多大な桁数を考慮する必要はないが、計数を目的とする信号は小数点以下の数値を表示する必要はないが、桁数は際限なく必要である。このような信号の組み合わせの場合、表示しなければならない数値の桁数が大幅に異なることが起こり得る。それだけではなく、計数用途の場合に、目的刑数値を超えたときの表示に対して、その表示色を変えるだけでなく、フォントを自在に変更して注意を促すような、多様な表現ができなかった。
【0005】
単に桁数にだけ着目しても、固定桁数の場合にはデジタルパネルメータの製品仕様を少ない表示桁数に合わせると、表示桁数の多い数を正しく表示できない、という不具合を生じる。
逆に、デジタルパネルメータの製品仕様を多い表示桁数に合わせると、表示桁数の少ない数を表示する際に、必要桁数が少ない用途に対しても、必要以上に数字が小さくなってしまう、という不具合を生じる。
【0006】
本発明は係る課題を解決し、表示すべき数値を適切な表示状態で表示できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、計装用として制御盤などに装着されるフルドットマトリクス表示器を持った48mm×96mmクラスのパネルメータ表示装置に於いて、表示すべき計測内容に応じ、使用者が自在に変更することを含んで、フォント、桁数、行数およびアナログ的グラフを含めて表現手段を限定しない表示方式を採用した。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明のデジタルパネルメータは、ドットマトリクス形式の表示部と、入力信号を測定して測定データを出力する測定信号インターフェースと、測定データを、表示すべき桁数および行数に応じて適切なフォントを選択して表示する表示制御部とを具備する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明のデジタルパネルメータは、ドットマトリクス形式の表示部と、入力信号を測定して第一の測定データを出力する第一の測定信号インターフェースと、第一の測定データの整数部分の桁数と小数部分の桁数を計数する桁数識別部と、表示部に第一の桁数及び第一の行数を表示可能な第一のフォントと、表示部に第一の桁数より多い第二の桁数及び第一の行数より多い第二の行数を表示可能な第二のフォントとを備えるフォントテーブルと、桁数識別部から整数部分の桁数及び小数部分の桁数の情報を受け、第一のフォントで表示部に第一の測定データの数値を表示できるか計算し、表示可能であれば第一のフォントを選択し、表示不可能であれば第二のフォントを選択するフォント選択部と、フォント選択部で選択されたフォントと用いて第一の測定データを表示部に表示するための表示データを作成する表示内容作成部と、表示内容作成部で作成された表示データを表示部に表示する表示制御部とを具備する。
【0010】
更に、本発明のデジタルパネルメータは、ユーザの設定値を記憶するオプション記憶部を備え、フォント選択部は、オプション記憶部に記憶されている設定値が表示行数を優先する旨の情報である場合に、第一のフォントから第二のフォントにフォントを選択する前に、第一のフォントで表示部に表示する数値の行数を増加させるものである。
【0011】
更に、本発明のデジタルパネルメータは、オプション記憶部に記憶されている設定内容に従って、第一の測定データに所定の単位換算処理を行う単位換算部を備え、表示内容作成部は、オプション記憶部に記憶されている設定内容に従って、単位換算処理に伴う単位を示す表示データを作成する。
【0012】
更に、本発明のデジタルパネルメータの表示制御部は、外部から入力される動画データを前記表示データにオーバーラップさせて表示できる。
【0013】
更に、本発明のデジタルパネルメータは、入力信号を測定して第二の測定データを出力する第二の測定信号インターフェースを備え、表示内容作成部は、表示部を第一の領域と第二の領域に分割し、第一の測定データを第一のフォントを用いて第一の領域に表示するための第一の表示データを作成すると共に、第二の測定データを第二のフォントを用いて第二の領域に表示するための第二の表示データを作成して、第一の表示データ及び第二の表示データを表示制御部に送出する。
【0014】
更に、本発明のデジタルパネルメータの第一のフォントは、数字のフォントは第一の高さを備え、ピリオドのフォントは第一の高さより小さい第二の高さを備え、表示内容作成部は、ピリオドのフォントを隣接する数字のフォント同士の間の空間に描画する。
【0015】
従来の固定フォントに代えて、数値表示に使用するフォントを自由に選ぶことができるように、複数のフォントを搭載した。測定値の表示桁数が不足する場合には、フォントサイズを小さくしたり、或は表示行数を増やして、桁数の多い数値を高い視認性で表示することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、表示すべき数値を適切な表示状態で表示できる表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】デジタルパネルメータ実施例の外観斜視図である。
【図2】デジタルパネルメータ実施例のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】デジタルパネルメータ実施例の機能ブロック図である。
【図4】フォントテーブルを示す図である。
【図5】カラーLCDに表示されるフォントの一例を示す図である。
【図6】カラーLCDに表示されるフォントの一例を示す図である。
【図7】小数点表示とカンマ表示を説明する図である。
【図8】フォント選択部が実行するフォント選択処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【図9】フォント選択部が実行するフォント可変表示処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【図10】小数部の表示フォントを小さくした場合の、カラーLCDの表示状態の一例を示す図である。
【図11】計測値が閾値を超える前と超えた後で、表示状態が異なる様子の例を説明する図である。
【図12】同じ入力データを異なる単位で換算処理して表示する状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1はデジタルパネルメータの外観斜視図である。
デジタルパネルメータ101は、DIN規格に準拠する、縦48mm、横96mmの前面パネル102と、所定の電子回路が収められた筐体103を有する。
前面パネル102は透明のアクリル樹脂で覆われている。この前面パネル102には、下側に11個の数字キー104と、右側に5個の機能キー105が設けられ、これら数字キー104と機能キー105で囲まれている範囲には、表示領域106が設けられている。表示領域106には、カラーLCD(Liquid Cristal Display:液晶表示素子)107が埋め込まれている。
筐体103の背面には、図示しない入力端子が多数設けられている。
【0019】
カラーLCD107は、周知のドットマトリクス形式の液晶表示装置である。従来の7セグメントLED表示管とは異なり、数字を表示する際には、フォントやこれに類する画像データを利用することとなる。
【0020】
図2はデジタルパネルメータ101のハードウェア構成を示すブロック図である。
デジタルパネルメータ101は、周知のマイコンで構成される。マイコンの主要構成要素であるCPU201、EEPROM202、RAM203が内部バス204に接続されている。この内部バス204にはカラーLCD107であるLCD表示部205と、数字キー104及び機能キー105である操作部206も接続されている。
【0021】
CPU201には、この内部バス204とは別にシリアルバス207が別途設けられている。このシリアルバス207は例えば周知のI2C(I-Square C: Inter-Integrated Circuit)である。シリアルバス207には第一入力モジュール208a、第二入力モジュール208b、第三入力モジュール208c、第四入力モジュール208d及び第五入力モジュール208eが接続されている。これら入力モジュールは、様々な入力信号を表示すべき数値データに変換するインターフェースであり、測定信号インターフェースともいえる。
例えば、入力信号がアナログ信号であれば、入力モジュールは内蔵するアンプ或はアッテネータを介してA/D変換して、データをCPU201へ出力する。
例えば、入力信号がパルス信号であれば、入力モジュールは内蔵するカウンタでパルス信号を計数して、データをCPU201へ出力する。
例えば、入力信号が交流信号であって周波数を計測したいのであれば、入力モジュールは内蔵するPLLで周波数を計測して、データをCPU201へ出力する。
【0022】
第一入力モジュール208aを除く、第二入力モジュール208b、第三入力モジュール208c、第四入力モジュール208d及び第五入力モジュール208eは、任意で増設が可能なオプション部品である。本実施形態のデジタルパネルメータ101は、工場出荷時には第一入力モジュール208aだけが装着されており、ユーザは用途及び必要に応じて第二入力モジュール208b乃至第五入力モジュール208eを増設する。
第一入力モジュール208a、第二入力モジュール208b、第三入力モジュール208c、第四入力モジュール208d及び第五入力モジュール208eは、各々が二つの入力端子を備える。したがって、本実施形態のデジタルパネルメータ101は最大10入力を受け付ける。
【0023】
内部バス204には、USBインターフェース209が接続されている。USBインターフェース209は外部の機器から動画像データを受信し、LCD表示部205に計測値の数値表示に動画をオーバーラップさせて表示するために設けられている。例えば、工場のベルトコンベアを撮影する監視カメラの映像を、計測値と共にオーバーラップさせて表示する、等の用途がある。
【0024】
図3はデジタルパネルメータ101の機能ブロック図である。なお、この機能ブロック図では説明を容易にするために、第一入力モジュール208a、第二入力モジュール208b、第三入力モジュール208c、第四入力モジュール208d及び第五入力モジュール208eを省いている。
入力セレクタ301はシリアルバス207に接続されている第一入力モジュール208a乃至第五入力モジュール208eから時分割で順番にデータを受信する。
入力セレクタ301を通じて第一入力モジュール208a乃至第五入力モジュール208eのいずれかから受信したデータは、最初に単位換算部302に入力される。単位換算部302は、入力データに設定されている、オプション記憶部303に記憶されているパラメータに基づいて、入力データに対し、必要に応じて単位換算処理を行う。例えば、入力されたデータがメートルであり、表示したいデータの単位がフィートであれば、入力データに対して「3.281」を乗算する。
なお、オプション記憶部303はEEPROM202の特定領域である。つまり、オプション記憶部303はユーザが設定する設定値を記憶するための不揮発性ストレージである。
【0025】
単位換算部302が出力するデータは、丸め処理部304に入力される。丸め処理部304は、入力データに設定されている、オプション記憶部303に記憶されているパラメータに基づいて、入力データに対し、必要に応じて数値の桁数を減じる丸め処理を行う。例えば、入力されたデータの整数部が4桁で、小数部が6桁であり、LCD表示部205で表示可能な桁数が7桁であれば、小数部の下3桁に対して四捨五入、切り捨て或は切り上げを行う。
【0026】
丸め処理部304が出力するデータは、桁数識別部305と表示内容作成部306に入力される。桁数識別部305は、入力データの整数部及び小数部の桁数を数えて、桁数データを出力する。
桁数識別部305が出力する桁数データは、フォント選択部307に入力される。フォント選択部307は、桁数データを基にフォントテーブル308に記述されている情報を参照して、最適なフォントを選び出し、選択したフォントの情報を表示内容作成部306に出力する。フォント選択部307は、表示内容作成部306から見ると複数のフォントから一つのフォントを選択する、切り替えスイッチの役割を果たす。
【0027】
表示内容作成部306は、フォント選択部307が出力するフォントの情報に基づき、入力データを当該フォントで描画する。またこのとき、小数点の付加、及び三桁毎に付加するカンマの描画も、オプション記憶部303の中の設定値に基づいて、描画を実行する。表示内容作成部306による描画の結果、数値を表現するビットマップデータが作成される。
【0028】
表示内容作成部306が出力するビットマップデータは、表示制御部309に入力される。表示制御部309は、オプション記憶部303に記憶されているパラメータに基づいて、所定の色の付加や、USBインターフェース209を通じて入力される動画像データをデコードして、動画とのオーバーラップ表示等を実行する。
こうして表示制御部309で作成された表示画面データは、LCD表示部205で表示される。
【0029】
なお、オプション記憶部303に記憶されている設定値を変更するために、操作部206の操作情報を動作モード制御部310が受け付ける。動作モード制御部310は、表示制御部309を制御して、通常表示状態からオプション設定画面への切り替えを実行すると共に、操作部206の操作情報に基づいて、オプション記憶部303内の設定値を変更する。
【0030】
図4はフォントテーブル308を示す図である。
フォントテーブル308は、「フォントサイズ」フィールド、「表示可能桁数」フィールド、「10値表示」フィールド、「4値表示」フィールド、「2値表示」フィールド及び「小数表示フォント」フィールドと、図示しないフォントデータフィールドを備える。
【0031】
「フォントサイズ」フィールドはフォントの名称である。これは後述する「小数表示フォント」フィールドと同じ値を持つ。
「表示可能桁数」フィールドは当該フォントが表示可能な桁数及び行数である。
「10値表示」フィールドは、入力データの数を10個表示できるか否かを示すフラグフィールドである。本実施形態の場合、「16*8」フォントしか、10値表示ができない。
「4値表示」フィールドは、入力データの数を4個表示できるか否かを示すフラグフィールドである。本実施形態の場合、「16*8」フォントのみ、10値表示を許可している。
「2値表示」フィールドは、入力データの数を2個表示できるか否かを示すフラグフィールドである。本実施形態の場合、「16*8」フォントから「104*52」フォントまで、2値表示を許可している。
「小数表示フォント」フィールドは、後述する小数部で表示させるフォントを整数部で表示させるフォントよりも小さいフォントで表示させる場合に用いるフォントの名称が記述されている。
【0032】
なお、フォントの名称の「16*8」という表記は、フォントを構成するドットの数を表す。「16*8」であれば、縦16ドット、横8ドットである。
また、フォントを構成するドットと、LCD表示部205を構成するピクセルは、必ずしも一致するものではない。高詳細表示が可能なLCDであれば、フォントを構成する一つのドットを複数のピクセルで表現することが可能である。
【0033】
フォントデータフィールドには、フォントの実データが格納される。本実施形態の場合、数字とアルファベット、マイナス、ピリオド及びカンマのビットマップデータである。
なお、フォントデータフィールドを設ける代わりに、各々のフォントを独立したファイルで用意する形態であってもよい。また、フォントは必ずしもビットマップフォントである必要はなく、ベクトルフォントであってもよい。
【0034】
本実施形態のデジタルパネルメータ101は、カラーLCD107に計測値を表示させるモードとして、1値表示モード、2値表示モード、4値表示モード、そして10値表示モードの、四つの表示モードを備える。
1値表示モードは、カラーLCD107に一つの計測値のみを表示するモードである。
2値表示モードは、カラーLCD107を上下に二分割して、二つの計測値を表示するモードである。
4値表示モードは、カラーLCD107を上下に四分割して、四つの計測値を表示するモードである。
10値表示モードは、カラーLCD107を上下に十分割して、十個の計測値を表示するモードである。
これら表示モードのうち、1値表示モードと2値表示モードは、計測値の桁数に応じてフォントサイズを変更できる表示モードである。逆に、4値表示モードと10値表示モードは、使用するフォントを最小フォントサイズの「16*8」フォントで固定する表示モードである。
【0035】
図5(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)、及び図6(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)及び(o)はカラーLCD107に表示されるフォントの一例を示す図である。
図5(a)は「16*8」フォントの表示状態を示す図である。
図5(a)で示されるように、最大39桁10行の表示が可能なフォントである。本実施形態のデジタルパネルメータ101では、この「16*8」フォントだけが、全ての表示モードで使用可能なフォントである。
図5(b)は「24*12」フォントの表示状態を示す図である。図5(b)で示されるように、最大27桁7行の表示が可能なフォントである。
図5(c)は「32*16」フォントの表示状態を示す図である。図5(c)で示されるように、最大21桁5行の表示が可能なフォントである。
図5(d)は「40*20」フォントの表示状態を示す図である。図5(d)で示されるように、最大16桁4行の表示が可能なフォントである。
図5(e)は「48*24」フォントの表示状態を示す図である。図5(e)で示されるように、最大14桁3行の表示が可能なフォントである。
図5(f)は「64*32」フォントの表示状態を示す図である。図5(f)で示されるように、最大10桁3行の表示が可能なフォントである。
図5(g)は「72*36」フォントの表示状態を示す図である。図5(g)で示されるように、最大9桁2行の表示が可能なフォントである。
図6(h)は「80*40」フォントの表示状態を示す図である。図6(h)で示されるように、最大8桁2行の表示が可能なフォントである。
図6(i)は「88*44」フォントの表示状態を示す図である。図6(i)で示されるように、最大8桁2行の表示が可能なフォントである。
図6(j)は「96*48」フォントの表示状態を示す図である。図6(j)で示されるように、最大7桁2行の表示が可能なフォントである。
図6(k)は「104*52」フォントの表示状態を示す図である。図5(k)で示されるように、最大7桁2行の表示が可能なフォントである。
図6(l)は「120*60」フォントの表示状態を示す図である。図5(l)で示されるように、最大6桁1行の表示が可能なフォントである。
図6(m)は「136*68」フォントの表示状態を示す図である。図5(m)で示されるように、最大5桁1行の表示が可能なフォントである。
図6(n)は「152*76」フォントの表示状態を示す図である。図5(n)で示されるように、最大5桁1行の表示が可能なフォントである。
図6(o)は「176*88」フォントの表示状態を示す図である。図5(o)で示されるように、最大4桁1行の表示が可能なフォントである。
【0036】
図7は、小数点表示とカンマ表示を説明する図である。
数字表示領域701の上には、カンマのみ表示する専用のカンマ表示領域702が設けられ、三桁毎に表示するカンマはこのカンマ表示領域702の中で表示される。
数字表示領域701の、数字と数字との間の空間には、ピリオドを表示する専用のピリオド表示領域703が設けられ、小数点を示すピリオドはこのピリオド表示領域703の中で表示される。
これら表示領域は、表示内容作成部306がフォント選択部307によって選択されたフォントに従って作成され、その中に数字やピリオド、そしてカンマが描画される。
【0037】
特に、本実施形態のデジタルパネルメータ101は、一般的なパソコン等で見受けられるフォントの表示方式とは異なり、数字フォント同士が隣接する間にピリオドを表示させるための、専用のピリオド表示領域703を設けている点が大きく異なる。ピリオドは、他の数字やアルファベットとは異なる大きさのフォントとして取り扱われる。このようにフォントを構成することで、限られたカラーLCD107の表示面積を最大限有効に使用することができるのみならず、小数点を含む数値と含まない数値とで同じ桁数として取り扱うことができるので、従来のフォントを使用した数値表示方法に比べて、小数点を含む数値が表示上で不利に取り扱われずに済む。
このことは、後述するフローチャートにおいて小数点を含むか含まないかで桁数を区別する等の配慮を判断ルーチンに含める必要がない、という点で有利である。
【0038】
図8は、フォント選択部307が実行するフォント選択処理の流れを説明するフローチャートである。
処理を開始すると(S801)、フォント選択部307は現在の表示設定が1値のみ或は2値の表示設定であるか否かを、オプション記憶部303に記憶されている設定値を読み出して確認する(S802)。
もし、現在の表示設定が1値のみ或は2値の表示設定であれば(S802のYES)、フォント可変表示処理を実行して(S803)、処理を終了する(S804)。
もし、現在の表示設定が4値のみ或は10値の表示設定であれば(S802のNO)、フォントは「16*8」フォントの一択なので、表示に使用するフォントとしてこれを選択して(S805)、処理を終了する(S804)。
【0039】
図9は、フォント選択部307が実行するフォント可変表示処理の流れを説明するフローチャートである。図8のステップS803の中身に該当する。
処理を開始すると(S901)、フォント選択部307は最初にオプション記憶部303に記憶されている設定値の一つである、最大フォントサイズを取得すると共に、表示行数の初期値として「1」を設定する(S902)。つまり、このステップS902では、数値の表示に使用するフォントの種類と行数の初期値を設定する。
【0040】
これ以降はループ処理である。
フォント選択部307は、桁数識別部305から受け取った桁数データに基づいて、現在のフォントサイズ及び行数でカラーLCD107に表示させるとどうなるか、その表示幅を計算する(S903)。なお、後述する小数部で表示させるフォントを整数部で表示させるフォントよりも小さいフォントで表示させる場合には、整数部の桁数は現在のフォントサイズで計算し、小数部の桁数は現在のフォントサイズを基にフォントテーブル308を参照して、フォントテーブル308の当該フォントのレコードの「小数表示フォント」フィールドに記述されているフォントサイズで計算する。
次に、フォント選択部307はステップS903で算出した表示幅がカラーLCD107の表示幅を超えているか否か、つまり表示できないか否かを検証する(S904)。そのまま表示が可能であれば(S904のNO)、表示に使用するフォントを現在のフォントサイズに決定して(S905)、処理を終了する(S906)。
【0041】
ステップS904で、現在のフォントサイズでは表示できない場合には(S904のYES)、フォント選択部307は次に、オプション記憶部303に記憶されている設定値の一つである、「フォント又は行数優先設定」フラグの値を見る(S907)。
【0042】
ステップS907で、「フォント又は行数優先設定」フラグの値が「フォント優先」に設定されていれば(S907のYES)、フォント選択部307は次に、現在のフォントサイズが最小値であるか否かを確認する(S908)。なお、本実施形態の場合、フォントサイズの最小値は、図4に示す「16*8」フォントが該当する。
現在のフォントサイズが最小値でなければ(S908のNO)、現在のフォントサイズを1ランク下のサイズに変更する(S909)。
現在のフォントサイズが最小値であれば(S908のYES)、フォントサイズをこれ以上小さくすることはできない。そこで、現在の表示行数が最大値でないか否かを確認する(S910)。現在の表示行数が最大値でなければ(S910のYES)、表示行数を一行追加して(S911)、再度表示幅の計算を行う(S903)。
【0043】
ステップS910で、現在の表示行数が最大値であれば(S910のNO)、もはや表示行数を増やすことはできない。そこで、フォント選択部307は次に、オプション記憶部303に記憶されている設定値の一つである、「エラー表示又は指数表示設定」フラグの値を見て、エラー表示か、或は表示桁数の範囲内で指数表示を行う(S912)。そして、処理を終了する(S906)。
【0044】
ステップS907で、「フォント又は行数優先設定」フラグの値が「行数優先」に設定されていれば(S907のNO)、フォント選択部307は次に、現在の行数が現在選択中のフォントにおける最大値であるか否かを確認する(S913)。
現在の行数が最大値でなければ(S913のNO)、現在の行数を1行増加させる(S911)。
現在の行数が最大値であれば(S913のYES)、行数をこれ以上増やすことはできない。そこで、現在のフォントが最小でないか否かを確認する(S914)。現在のフォントが最小でなければ(S914のYES)、フォントサイズを1ランク下のサイズに変更して(S909)、再度表示幅の計算を行う(S903)。
【0045】
ステップS914で、現在のフォントサイズが最小であれば(S914のNO)、もはやフォントサイズを小さくすることはできない。そこで、フォント選択部307は次に、オプション記憶部303に記憶されている設定値の一つである、「エラー表示又は指数表示設定」フラグの値を見て、エラー表示か、或は表示桁数の範囲内で指数表示を行う(S912)。そして、処理を終了する(S906)。
【0046】
これまで説明した、本実施形態のデジタルパネルメータ101には、計測値の表示に関して、各機能ブロックの動作状態を変更する以下のような設定値が設けられ、オプション記憶部303に記憶される。
単位換算部302:単位換算定数、単位表示
丸め処理部304:小数部有効桁数、切り捨て/切り上げ/四捨五入
フォント選択部307:デフォルトフォント、1値表示モード/2値表示モード/4値表示モード/10値表示モード、小数部フォント縮小、
表示内容作成部306:桁繰り上がりカンマ付与、通常表示色、閾値、閾値表示色、フォント種類、フォントデザイン
表示制御部309:動画オーバーラップの有無
【0047】
本実施形態のデジタルパネルメータ101は、上述したフォントサイズ変更処理の他に、様々な表示機能を備える。
(1)前述の通り、表示機能の一つとして、小数部で表示させるフォントを整数部で表示させるフォントよりも小さいフォントで表示させる機能を備える。
図10は、小数部の表示フォントを小さくした場合の、カラーLCD107の表示状態を示す図である。図10では、整数部のフォントは表示可能桁数が6個の「120*60」フォントであるが、小数部のフォントは図4のフォントテーブル308の「小数表示フォント」フィールドにある「80*40」フォントが用いられている。このため、小数部の表示桁数が1個増えている。
【0048】
(2)カラーLCD107であるLCD表示部205の機能を利用して、数値表示の表示色及び背景色を自由に設定することができる。また、単に表示色を設定するに留まらず、予め所定の閾値をオプション記憶部303に記憶させて、計測値が当該閾値を超えた場合に、表示色を変更する事もできる。
図11(a)及び(b)は、計測値が閾値を超える前と超えた後で、表示状態が異なる様子を説明する図である。
図11(a)では、予め設定しておいた閾値「123455」に対して計測値が「123455」と、超えていないので、白地の背景に黒のフォントの表示状態である。
図11(b)では、予め設定しておいた閾値「123455」に対して計測値が「123456」と、超えているので、青地の背景に白のフォントの表示状態である。
このように、本実施形態のデジタルパネルメータ101は、数値の表示のみならず、閾値に対する状態を明確に表すことができる。
【0049】
(3)オプション記憶部303に所定の乗算値と表示させる単位の文字を記憶させておくことで、単位換算部302は、入力データに対して自由且つ適切な換算処理を施して、計測値を表示させることができる。
図12(a)、(b)、(c)及び(d)は、同じ入力データを異なる単位で換算処理して表示する状態を説明する図である。
今、「1」というデータが入力されている場合に、機能キー105を押して「メートル表示の設定」を選択すると、図12(a)に示すように、カラーLCD107には「1.00m」と表示される。
この状態において、機能キー105を押して「フィート表示の設定」を選択すると、図12(b)に示すように、カラーLCD107には「3.281ft」と表示される。
更に、機能キー105を押して「インチ表示の設定」を選択すると、図12(c)に示すように、カラーLCD107には「39.87in」と表示される。
更に、機能キー105を押して「ヤード表示の設定」を選択すると、図12(d)に示すように、カラーLCD107には「1.094yd」と表示される。
これら換算処理は、予めROMに記憶させておいても良いし、任意の換算係数と表示する単位の文字を設定させることもできる。
【0050】
また、本実施形態は以下のような応用例が可能である。
(4)図11(a)及び(b)で、閾値を境にフォント及び背景の表示色を変更するだけでなく、フォントのデザインを変更することも可能である。例えば、閾値を超えたらイタリック体にする、或は太字にする、或は白抜き文字にする等の、フォントの装飾を変更することや、例えばゴシック体から明朝体に変更する等、フォントそのものの種類を変更することも考えられる。
【0051】
(5)多値表示を時分割で実行することも考えられる。例えば、第一の入力データと第二の入力データを、1秒毎に交互にカラーLCD107で表示させる、という手法である。多値表示でありつつ、表示状態は1値表示モードであるので、表示桁数や視認性の点で優れている。この場合、表示する値の種別を区別するために、図11の場合と同様に、背景色やフォントの色、或はフォントのデザインを変更すると望ましい。
【0052】
本実施形態ではデジタルパネルメータを開示した。
従来の7セグメントLED表示管に代えて、カラーLCDを採用した。カラーLCDを採用することで、数値表示に使用するフォントを自由に選ぶことができる。そこで、本実施形態のデジタルパネルメータは、ユーザの設定に応じて表示桁数が不足する場合には、フォントサイズを小さくしたり、或は表示行数を増やして、桁数の多い数値を高い視認性で表示することができる。
【符号の説明】
【0053】
101…デジタルパネルメータ、102…前面パネル、103…筐体、104…数字キー、105…機能キー、106…表示領域、107…カラーLCD、201…CPU、202…EEPROM、203…RAM、204…内部バス、205…LCD表示部、206…操作部、207…シリアルバス、208a…第一入力モジュール、208b…第二入力モジュール、208c…第三入力モジュール、208d…第四入力モジュール、208e…第五入力モジュール、209…USBインターフェース、301…入力セレクタ、302…単位換算部、303…オプション記憶部、304…処理部、305…桁数識別部、306…表示内容作成部、307…フォント選択部、308…フォントテーブル、309…表示制御部、310…動作モード制御部、701…数字表示領域、702…カンマ表示領域、703…ピリオド表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計装用として制御盤などに装着されるフルドットマトリクス表示器を持った48mm×96mmクラスのパネルメータ表示装置に於いて、表示すべき計測内容に応じ、使用者が自在に変更することを含んで、フォント、桁数、行数およびアナログ的グラフを含めて表現手段を限定しない表示方式を採用した表示装置。
【請求項2】
動作中に表示単位を変えた場合、選択された表示単位に対応した換算係数が自動的に選択され、表示数値データも表示単位に対応した値を表示するように出来ることを特長とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
画像データ(静止画像,動画も含めて)も表示出来ることを特長とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
2つ以上の画像を含む表示データを、オーバーラップして表示出来ることを特長とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−145265(P2011−145265A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8491(P2010−8491)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000105501)ココリサーチ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】