説明

補正板の保持枠、それを備えた干渉計及び補正板の保持方法

【課題】補正板の歪みを防止した上で、補正板を容易に保持することができるとともに、装置の薄型化を図ることができる補正板の保持枠、それを備えた干渉計及び補正板の保持方法を提供する。
【解決手段】干渉計によるピックアップレンズの収差測定に用いる補正板24の保持枠であって、補正板24の下面24aを略水平に載置して保持する保持部22と、保持部22に保持された補正板24の上面24bに対して、3個以上の突起部26を当接させて補正板24を保持部22との間で挟持する撓み変形可能な押え部材25と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正板の保持枠、それを備えた干渉計及び補正板の保持方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光情報記録の技術の発展が著しく、情報記録密度が飛躍的に高まっている。これらの読み取りに用いられるレンズとして、例えば光ピックアップ用対物レンズ(レンズ)においては、光ディスクの基板内部に形成される記録層に光を集光させたいために、光ディスクの樹脂でできた保護層の影響を含めて、光ピックアップの光源波長を設計波長として無収差になるようにレンズ設計されている。そのため、光ピックアップ用対物レンズの性能を干渉計で測定する際には、前記設計波長と干渉計の光源波長との差を補正することも必要になる。よって、光ピックアップ用対物レンズを干渉計で測定する場合、前記保護層の影響と干渉計の光源波長と設計波長の差を補正するための補正板が用いられている。この補正板にあっては、補正板の精度が測定結果の誤差となってしまうため、補正板は高精度なガラス板で製作されるのが一般的である。
【0003】
そして、上述の補正板に利用されるような、薄くて高精度なガラス板を歪ませないように保持する保持枠及び保持方法が提案されている。
例えば特許文献1には、光学部品ホルダ内に光学部品を載置した後、光学部品ホルダの側面に形成した孔より、直径が0.5mmに形成されたピンを差し込むことで、光学部品が保持されるものが記載されている。
【特許文献1】特開2004−13103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、光学部品ホルダに載置される光学部品を、ピンを用いて保持させるため、光学部品個々に対して位置を調整する必要があり、組み付け工数が多く、作業時間がかかるという問題がある。そのため、大量生産品の製造には不向きであった。
【0005】
さらに、近年、光ピックアップ用対物レンズ等の光学レンズの高NA化、小径化が進み、焦点距離が非常に短くなっている。したがって、可能な限り光学部品ホルダを薄く形成して、補正板と光学レンズとの間の距離を確保し、光学レンズの交換を容易に行えることが要請されている。このような要請に対して、上述の光学部品ホルダにあっては、光学部品ホルダの側面にピンを挿入させるための孔を設けているため、光学部品ホルダを薄く形成するには限界があった。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、補正板の歪みを防止した上で、補正板を容易に保持することができるとともに、補正板を用いた装置の薄型化を図ることができる補正板の保持枠、それを備えた干渉計及び補正板の保持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の補正板の保持枠は、干渉計によるレンズの収差測定に用いる補正板の保持枠であって、前記補正板の下面を略水平に載置して保持する保持部と、前記保持部に保持された前記補正板の上面に対して、3個以上の突起部を当接させて前記補正板を前記保持部との間で挟持する撓み変形可能な押え部材と、を備えていることを特徴とする。
本発明の補正板の保持枠によれば、押え部材に突起部が形成されているため、突起部と補正板との間に発生する摩擦力及び押え部材の自重によって補正板を保持することができる。つまり、押え部材と補正板とを、押え部材に形成された突起部により当接させて保持させるため、例えば押え部材と補正板とを接着した場合に比べて、補正板に作用する歪みを確実に低減することができる。また、押え部材が撓み変形可能に構成されているため、補正板が歪むような強い力が作用することを防ぐことができる。
また、従来のようにピンにより補正板を保持する場合と比べて、補正板を容易に保持することができ、製造効率を向上させることができるとともに、装置を薄型化することができる。
【0008】
また、本発明の補正板の保持枠は、前記押え部材は、箔状の部材であることを特徴とする。
この構成によれば、押え部材を箔状の部材で構成することで、押え部材を薄く形成することが可能となり、その結果、装置の薄型化を図ることができる。したがって、補正板と周辺部材との間の距離を確保し、周辺部材を近接させて配置することができるとともに、周辺部材の交換を容易に行えることができる。また、保持部と押え部材との間に挟持された補正板に対して、補正板が歪むような強い力が作用することを防ぐことができる。したがって、補正板を歪ませることなく保持することができる。
【0009】
また、本発明の補正板の保持枠は、前記突起部は、接着剤により形成されていることを特徴とする。
本発明の干渉計によれば、突起部を接着剤により形成することで、突起部を容易に形成することが可能となり、製造時間及び製造コストを削減することができる。
【0010】
一方、本発明の干渉計は、上記本発明の保持枠を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上述したような保持枠を備えているため、レンズの収差測定を高精度に行える干渉計を提供することができる。
【0011】
一方、本発明の補正板の保持方法は、干渉計によるレンズの収差測定に用いる補正板の保持方法であって、撓み変形可能な押え部材における前記補正板の上面との当接面に、3個以上の突起部を形成する突起部形成工程と、補正板の下面を保持部に略水平に載置して位置決めする位置決め工程と、前記保持部に保持された前記補正板の上面に対して、前記補正板を前記保持部と前記突起部との間で挟持するように前記押え部材を配置する配置工程と、を有することを特徴とする。
本発明の補正板の保持方法によれば、撓み変形可能な押え部材に突起部が形成されているため、突起部と補正板との間に発生する摩擦力及び押え部材の自重によって補正板を保持することができる。つまり、押え部材と補正板とを、押え部材に形成された突起部により当接させて保持させるため、例えば押え部材と補正板とを接着した場合に比べて、補正板に作用する歪みを確実に低減することができる。また、押え部材が撓み変形可能に構成されているため、補正板が歪むような強い力が作用することを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の補正板の保持方法は、前記突起部形成工程では、前記押え部材の前記補正板との当接面に接着剤を塗布する塗布工程と、前記接着剤が硬化する前に、前記接着剤の高さを調整する調整工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、突起部を接着剤により形成し、接着剤の硬化前に高さを調整することで、補正板のサイズ等に応じて、突起部の高さの設定を容易に行うことができる。これにより、設計の自由度を向上させることができるとともに、製造時間及び製造コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の補正板の保持枠によれば、押え部材に突起部が形成されているため、突起部と補正板との間に発生する摩擦力及び押え部材の自重によって補正板を保持することができる。つまり、押え部材と補正板とを、押え部材に形成された突起部により当接させて保持させるため、例えば押え部材と補正板とを接着した場合に比べて、補正板に作用する歪みを確実に低減することができる。また、押え部材が撓み変形可能に構成されているため、補正板が歪むような強い力が作用することを防ぐことができる。
また、従来のようにピンにより補正板を保持する場合と比べて、補正板を容易に保持することができ、製造効率を向上させることができるとともに、装置を薄型化することができる。
【0014】
また、本発明の干渉計によれば、レンズの収差測定を高精度に行える干渉計を提供することができる。
【0015】
また、本発明の補正板の保持方法によれば、撓み変形可能な押え部材に突起部が形成されているため、突起部と補正板との間に発生する摩擦力及び押え部材の自重によって補正板を保持することができる。つまり、押え部材と補正板とを、押え部材に形成された突起部により当接させて保持させるため、例えば押え部材と補正板とを接着した場合に比べて、補正板に作用する歪みを確実に低減することができる。また、押え部材が撓み変形可能に構成されているため、補正板が歪むような強い力が作用することを防ぐことができる。
また、従来のようにピンにより補正板を保持する場合と比べて、補正板を容易に保持することができ、製造効率を向上させることができるとともに、装置を薄型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の干渉計1を示す模式図であり、図2は図1のA部を拡大した詳細図である。
図1に示すように、干渉計1は、検査光B1を発生する第1光源2と、検査光B1とは異なる波長を有するアライメント光B2を発生する第2光源3と、検査光B1をそれぞれ後述する第2参照光と第2被検光とに、又はアライメント光B2をそれぞれ後述する第1参照光と第1被検光とに分割するメインビームスプリッタ4と、各参照光を反射する平面ミラー5と、各被検光を反射する球面ミラー6と、反射された各被検光及び各参照光を撮像する撮像装置7と、撮像装置7に接続されたパソコン8及びモニタ等からなる表示部9とを備えて構成されている。
【0017】
第1光源2及び第2光源3は、レーザダイオード等の公知の光源で構成され、各光源から射出された検査光B1及びアライメント光B2は、各光源とメインビームスプリッタ4との間の光路上に設けられたビームスプリッタ10によって第1光軸X1を通ってメインビームスプリッタ4に導入される。
【0018】
各光源2、3とビームスプリッタ10との間には、第1シャッター11及び第2シャッター12と、検査光B1及びアライメント光B2を平行光に調整するコリメータレンズ13A及び13Bとがそれぞれ配置されている。第1及び第2シャッター11、12は図示しない駆動機構によって、それぞれ検査光B1及びアライメント光B2の光軸から退避可能に構成されている。
【0019】
図2に示すように、メインビームスプリッタ4(図1参照)と球面ミラー6との間には、平面部16を備えたピックアップレンズ15を支持するように、開口が円形状のステージ14が設けられている。具体的に、ステージ14の上端開口部には、開口部周縁を覆うようにカラー21が挿入されており、ここに測定対象であるピックアップレンズ(レンズ)15の平面部16が設置可能に構成されている。ステージ14は図示しない駆動機構と接続されており、この駆動機構によりステージ14は、ステージ14に設置されたピックアップレンズ15の平面部16の傾きを、第1光軸X1に対して直交するように調整可能に構成されている。ステージ14と球面ミラー6との間には、補正板24を含む補正板保持部17が設けられている。
【0020】
球面ミラー6は、補正板保持部17の上方に配置された筒状のミラーホルダ20内の一端側に保持されており、その反射面6Aとピックアップレンズ15とが補正板24を介して対向するように配置されている。ミラーホルダ20は、その一端側の外径が縮径して挿入部23が形成されており、この挿入部23が後述する保持枠30の中央部に穿設された保持部22の内側に挿入されて収容されるように構成されている。
【0021】
図1に示すように、平面ミラー5及び球面ミラー6は、平面ミラー5で反射された第1又は/及び第2参照光の光軸である第2光軸X2と、球面ミラー6で反射された第1又は/及び第2被検光の光軸である第1光軸X1とが、メインビームスプリッタ4の反射面(第1反射面)4Aにおいて直交し、かつ第1光軸X1及び第2光軸X2上における反射面4Aから平面ミラー5の反射面(第3反射面)5A及び球面ミラー6の反射面(第2反射面)6Aまでのそれぞれの光学的距離が同一となるように配置される。
【0022】
また、メインビームスプリッタ4と撮像装置7との間には、被検光及び参照光から干渉縞を含む観察像を結像する結像レンズ18が配置されている。観察像はパソコン8を介して表示部9に表示される。
パソコン8は、第1及び第2シャッター11,12、及びステージ14とも接続されており、これらの機構はパソコン8を介して操作可能に構成されている。
【0023】
第1光源2から射出される検査光B1の波長は、測定対象となるピックアップレンズ15の設計波長と同一に設定され、第2光源3から射出されるアライメント光B2の波長は、検査光B1の波長と異なる波長に設定される。アライメント光B2の波長は検査光B1の波長より長くても短くてもいずれでもよいが、後述するように、ピックアップレンズ15の色収差による干渉縞が、観察像の中央部のみに現れるように設定されるのが好ましい。本実施形態においては、検査光B1の波長が405nm、アライメント光B2の波長が650nmにそれぞれ設定されているが、各光の波長はこれには限定されず、測定対象となるピックアップレンズ15の設計波長によって適宜決定される。
【0024】
次に、上述した補正板保持部17について、より詳述に説明する。図3は、図2の要部の拡大図である。
図2,3に示すように、補正板保持部17は、補正板24と、この補正板24を保持する保持枠30とで構成されている。
補正板24は、ピックアップレンズ15が実際に使用される場合のディスクの保護層に相当するものであって、ガラスからなる円盤状の薄板(ガラス板)であり、例えば直径bが8mm、厚さが0.09mm程度で形成されている。なお、補正板はポリカーボネート等により構成することも可能である。
【0025】
保持枠30は、その中央部に穿設されて、補正板24の下面24aを略水平に載置して保持する保持部22と、保持部22に保持された補正板24の上面24bに対して、突起部26を当接させて、補正板24を保持部22と突起部26との間で挟持する撓み変形可能な押え部材25と、を備えている。
保持部22は、筒状の側面と底面(下面)とを有し、その側面である内周面は一端側から他端側に向かうにつれ、段々と内径が拡大した複数の段差部22a〜22dが形成されている。保持部22の一端側(下端)は、貫通孔になっている。保持部22の段差部22aの内側には、補正板24が配置されている。補正板24は、その下面24aの外周部分が、段差部22aの下面に当接した状態で、略水平となるように配置されている。なお、保持部22の一端側の開口部の直径aは、補正板24の下面24a側の外周部分を当接させるため、補正板24の直径bより小さい例えば6mm程度の直径で形成されている。
【0026】
また、段差部22aの側面(内周面)の直径b’は、段差部22aの側面と補正板24の側面(外周面)とが当接することがないようにするため、補正板24の直径bよりも大きく形成されている。段差部22aの側面と補正板24の側面との間に隙間を設けるのは、両者が当接することにより補正板24に発生する歪を防止するためである。
【0027】
保持枠30の外周面には、保持枠30と上述したミラーホルダ20とを連結する図示しない連結機構が設けられている。そして、保持枠30における保持部22の段差部22dの内側には、上述したミラーホルダ20の挿入部23が挿入されて、収容された状態で保持されている。なお、連結機構には、図示しない駆動手段が設けられており、この駆動手段によって、ミラーホルダ20と保持部22との距離、つまり補正板24と球面ミラー6との距離が接近離間するように移動可能に構成されている。
【0028】
一方、補正板24を挟んで保持部22の反対側、つまり補正板24の上面24bには、押え部材25が設けられている。この押え部材25は、例えばSUS等の金属材料からなり、厚さが例えば0.01mm程度に形成された箔状の部材である。押え部材25は、保持部22の開口部(直径aの開口部)より大径の開口部を有する環状に形成されており、その軸方向に沿って撓み変形可能に構成されている。また押え部材25は、その外周部分が保持部22の段差部22bに嵌合され、そして該段差部22bの側面に接着剤を介して接着されている。なお、接着剤は2液性のエポキシ等が用いられており、押え部材25の周方向に沿って例えば8箇所で点接着されている。また、押え部材25の外径cは、例えば16mm程度に形成されている。また、本実施形態における箔状とは、上述した金属材料が弾性力を有さない程度に薄く形成されていることを示している。
【0029】
ここで、押え部材25の下面25aには、押え部材25の開口部の内周縁部分の周方向に沿って等間隔に例えば4つの突起部26が形成されている(図3,4参照)。この突起部26は、上述した接着剤と同様の材質からなる断面視略台形状のものであり、高さhが例えば0.04mm程度に形成されている。そして、押え部材25と補正板24とは、この突起部26を介して当接されている。つまり、補正板24は、保持部22の段差部22aの下面と押え部材25に形成された突起部26との間で、突起部26と補正板24との間に発生する摩擦力及び押え部材25の自重により挟持された状態で保持されている。なお、補正板24の厚さと突起部26の高さhとの和は、段差部22aの高さ(深さ)と等しくなっている。
【0030】
次に、本実施形態に係る補正板24の保持方法について説明する。
まず、補正板24の位置決めを行う(位置決め工程)。具体的には、補正板24の下面24a側が保持部22の段差部22aの下面に略水平になるように、また、補正板24の側面が段差部22aの側面に当接しないように配置する。
次に、押え部材25を配置する(配置工程)。具体的には、保持部22に保持された補正板24の上面24bに対して、突起部26が形成された押え部材25を突起部26が補正板24の上面24bに当接するように配置する。そして、押え部材25の外周縁と保持部22の段差部22bとの間に接着剤を塗布することで、押え部材25が固定される。これにより、補正板24は、その下面24a側が保持部22の段差部22aの下面に当接するとともに、上面24b側が押え部材25の自重及び突起部26と補正板24の上面24bとの間の摩擦力により保持された状態となっている。
【0031】
この時、押え部材25は、その軸方向に沿って撓み変形可能な箔状の部材で形成されているため、補正板24の厚さや形状に倣って補正板24に当接する。つまり、押え部材25の外周縁部分を固定しても、補正板24には補正板24が歪むような強い力が作用しないように構成されている。また、押え部材25と補正板24とは、押え部材25の内周縁側に形成された突起部26を介して点接触されているため、単位面積当たりの押圧が大きくなり、押え部材25と補正板24とを接着することなく補正板24を確実に保持することができる。
【0032】
ここで、押え部材における突起部の形成方法について説明する。図5,6は突起部の形成方法を示す工程図である。
図5(a)に示すように、まず平坦なベース27上に押え部材25を載置する。次に、押え部材25の下面25a上に接着剤を塗布していく(図5(a)中符号26a参照:塗布工程)。具体的には、下面25aの内周縁部分に、その周方向に沿って等間隔に例えば4箇所塗布する。そして、接着剤が硬化する前に、押え部材25を覆うように高さ調整部材28を配置する(調整工程)。
【0033】
図5(b),6に示すように、高さ調整部材28は、中央部に凹部29を有する円板状の部材であり、この凹部29内に接着剤が塗布された押え部材25を収容するように構成されている。そして、接着剤の先端が凹部29の底面に当接した状態で、接着剤を硬化させる。これにより、凹部29の高さ(深さ)と同じ高さの突起部26が形成される。つまり、凹部29の高さ(深さ)によって、突起部26の高さhを規定することができるため、凹部29の高さを適宜変更することで、突起部26の高さhを調整することができる。なお、高さ調整部材28は、少なくとも凹部29内に接着剤が付着しない材料、すなわちフッ素樹脂等で構成されている。
接着剤が硬化した後、高さ調整部材28を取り外すことで、突起部26が形成された押え部材25が完成する。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、押え部材25に突起部26が形成されているため、突起部26と補正板24との間に発生する摩擦力及び押え部材25の自重によって補正板24を保持することができる。つまり、押え部材25と補正板24とを、押え部材25に形成された突起部26により当接させて保持させるため、例えば押え部材25と補正板24とを接着した場合に比べて、補正板24に作用する歪みを確実に低減することができる。
また、押え部材25が撓み変形可能に構成されているため、押え部材25は補正板24の厚さや形状に倣って当接する。これにより、補正板24が歪むような強い力が作用することを防ぐことができ、補正板24を歪ませることなく保持することができる。
また、従来のようにピンにより補正板24を保持する場合と比べて、補正板24を容易に保持することができ、量産時の製造効率を向上させることができるとともに、保持枠30の薄型化を図ることができる。
【0035】
さらに、押え部材25を箔状の部材で構成することで、押え部材25を薄く形成することが可能となり、その結果、保持部22の薄型化を図ることができる。したがって、補正板24とピックアップレンズ15等の周辺部材との間の距離を確保し、周辺部材を近接させて配置することができるとともに、周辺部材の交換を容易に行えることができる。また、押え部材25の軽量化を図ることができるため、保持部22と押え部材25との間に挟持された補正板24に対して、補正板24が歪むような強い力が作用することを防ぐことができる。したがって、補正板24を歪ませることなく保持することができる。
また、突起部26を接着剤により形成することで、突起部26を容易に形成することが可能となり、製造時間及び製造コストを削減することができる。
【0036】
また、本実施形態の補正板24の保持方法によれば、突起部26を接着剤により形成し、接着剤の硬化前に高さ調整部材28により突起部26の高さを調整することで、補正板24のサイズ(直径又は厚さ)等に応じて、突起部26の高さの設定を容易に行うことができる。これにより、設計の自由度を向上させることができるとともに、製造時間及び製造コストを削減することができる。
そして、本実施形態の干渉計1によれば、上述したような補正板24の保持枠30を備えているため、ピックアップレンズ15の収差測定を高精度に行える干渉計1を提供することができる。
【0037】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、本実施形態において、補正板を、ピックアップレンズの収差を測定する干渉計に用いる場合について説明したが、これに限らず種々の光学レンズに対して用いることが可能である。
【0038】
また、押え部材の構成材料としては、接着剤との密着性が良好、軽い、薄い、劣化しない等の条件を満たせば、上述したSUS以外の材料で形成することも可能である。
さらに、本実施形態においては、突起部を4箇所形成する場合について説明したが、突起部は少なくとも3箇所以上形成されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態の干渉計の構成を示す模式図である。
【図2】図1のA部を拡大した詳細図である。
【図3】本発明の実施形態における補正板保持部の断面図である。
【図4】本発明の実施形態における押え部材の平面図である。
【図5】本発明の実施形態における押え部材の形成方法を示す工程図である。
【図6】本発明の実施形態における押え部材の形成方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0040】
1…干渉計 15…ピックアップレンズ 22…保持部 24…補正板 24a…補正板の下面 24b…補正板の上面 25…押え部材 26…突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉計によるレンズの収差測定に用いる補正板の保持枠であって、
前記補正板の下面を略水平に載置して保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記補正板の上面に対して、3個以上の突起部を当接させて前記補正板を前記保持部との間で挟持する撓み変形可能な押え部材と、を備えていることを特徴とする補正板の保持枠。
【請求項2】
前記押え部材は、箔状の部材であることを特徴とする請求項1記載の補正板の保持枠。
【請求項3】
前記突起部は、接着剤により形成されていることを特徴とする請求項1記載の補正板の保持枠。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の保持枠を備えていることを特徴とする干渉計。
【請求項5】
干渉計によるレンズの収差測定に用いる補正板の保持方法であって、
撓み変形可能な押え部材における前記補正板の上面との当接面に、3個以上の突起部を形成する突起部形成工程と、
補正板の下面を保持部に略水平に載置して位置決めする位置決め工程と、
前記保持部に保持された前記補正板の上面に対して、前記補正板を前記保持部と前記突起部との間で挟持するように前記押え部材を配置する配置工程と、を有することを特徴とする補正板の保持方法。
【請求項6】
前記突起部形成工程では、
前記押え部材の前記補正板との当接面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記接着剤が硬化する前に、前記接着剤の高さを調整する調整工程と、を有することを特徴とする請求項5記載の補正板の保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−121956(P2009−121956A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296407(P2007−296407)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】