説明

補給用カートリッジ容器、当該カートリッジ容器を用いた現像装置および画像形成装置

【課題】二成分現像剤を用いる現像装置に装着される補給用カートリッジ容器内での長手方向のキャリア比率が均一化される補給用カートリッジ容器を提供する。
【解決手段】トナー及びキャリアを含む補給用現像剤が収容されて、現像装置に装着される補給用カートリッジ容器であって、補給用カートリッジ容器の外壁面上であって、補給用カートリッジ容器に収容された補給用現像剤の液面よりも上方位置においては、補給用カートリッジ容器の長手方向に延在するとともに長手方向に大略同じ強さの磁気吸着力を有するキャリア保持部材が配設されており、補給用現像剤に含まれるキャリアは、キャリア保持部材の磁気吸着力によって一時的に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置の現像装置に装着される補給用カートリッジ容器、当該カートリッジ容器を用いた現像装置および画像形成装置に関する。本発明は、特に、新規の現像剤を少しずつ供給するとともに劣化した現像剤を少しずつ排出するというトリクル方式の現像装置に装着される補給用カートリッジ容器、当該カートリッジ容器を用いた現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像方式として、現像剤の主成分としてトナーを用いる一成分現像方式と、現像剤の主成分としてトナー及びキャリアを用いる二成分現像方式と、が知られている。
【0003】
トナー及びキャリアを用いた二成分現像方式は、トナーとキャリアとを摩擦接触させることによって両者を所定の極性に荷電させるため、一成分現像剤を用いた一成分現像方式よりも、トナーの受けるストレスが少ないという特徴を有している。キャリアの表面積はトナーよりも大きいことから、トナーがキャリア表面に付着することによってキャリアが汚れることも少ない。しかしながら、長期間の使用により、キャリア表面に付着した汚れ(スペント)が増加し、そのためにトナーを帯電する能力が次第に低下する。その結果、かぶりやトナー飛散の問題が発生する。二成分現像装置の長寿命化を図るために、現像装置に収容するキャリアの量を増やすことも考えられるが、これは現像装置の大型化を招くために望ましくない。
【0004】
二成分現像剤に係る上記問題を解消するため、特許文献1には、新規の現像剤を少しずつ現像装置内に補給するとともに、帯電性能の劣化した現像剤を少しずつ現像装置から排出することによって、劣化キャリアの増加を抑制するといういわゆるトリクル方式の現像装置が開示されている。この現像装置は、現像剤の嵩変動を利用して、余剰となった劣化現像剤を排出して現像装置内の現像剤の嵩レベルを大略一定に保つ構成である。このトリクル方式の現像装置によれば、現像装置内の劣化キャリアが少しずつ新規キャリアに置換され、現像装置内のキャリアの帯電性能を大略一定に保つことが可能となる。
【0005】
トリクル方式の現像装置では、現像装置内の現像剤を排出しながら現像剤を補給することを行っているから、補給される現像剤としては、一定の割合で均一に混合されたものが供給されることが要求される。補給される現像剤が不均一であるということは、所定のトナー濃度よりもトナーリッチな現像剤あるいはキャリアリッチな現像剤が現像装置に供給されることを意味する。所定のトナー濃度よりもトナーリッチな現像剤が補給される場合、現像槽内のトナー濃度が上昇し、地肌かぶりやトナー飛散が発生するという問題がある。また、所定のトナー濃度よりもキャリアリッチな現像剤が補給される場合、ほとんど劣化していない新品に近いキャリアが現像槽から排出されてしまうという問題がある。
【0006】
また、トナー補給用カートリッジ容器とキャリア補給用カートリッジ容器とを別々に設けて、トナー及びキャリアの各必要補給量を現像槽に別々に投入する方法も提案されている。しかしながら、このような構成では、二つのカートリッジ容器を必要とし、トナー及びキャリアの各補給量を制御することを必要とするので、装置が大型化・高コスト化するという問題がある。
【0007】
さらにまた、特許文献2には、粉体ポンプの吸引作用によって、補給用現像剤の収納容器が漸次その容積を減容していくことで、収納容器内での攪拌作用を抑制する現像剤収納容器及び画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭59−100471号公報
【特許文献2】特開2007−183348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示された技術には、以下のような問題がある。
【0009】
すなわち、特許文献2の現像剤収納容器においては、現像剤収納容器の容積に対して所定比率の空隙が残存するようにして現像剤が充填される。また、現像剤の充填工程においては、現像剤収納容器内の空気を逃がしたり、少量の現像剤を追加的に充填したりすることにより、キャリアの沈み込み(すなわち、収納容器内でのキャリア比率の不均一化)が起こりにくい空隙量に調整される。しかしながら、特許文献2に開示された現像剤の充填方法を実現するためには、複雑な工程や大掛かりな製造設備を必要とする問題がある。
【0010】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、二成分現像剤を用いる現像装置に装着される補給用カートリッジ容器内での長手方向のキャリア比率が均一化される補給用カートリッジ容器、当該カートリッジ容器を用いた現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および作用・効果】
【0011】
前記技術的課題を解決するために、本発明によれば、
トナー及びキャリアを含む補給用現像剤が収容されて、現像装置に装着される補給用カートリッジ容器であって、
補給用カートリッジ容器の外壁面上であって、補給用カートリッジ容器に収容された補給用現像剤の液面よりも上方位置においては、補給用カートリッジ容器の長手方向に延在するとともに長手方向に大略同じ強さの磁気吸着力を有するキャリア保持部材が配設されており、
補給用現像剤に含まれるキャリアは、キャリア保持部材の磁気吸着力によって一時的に保持されることを特徴とする補給用カートリッジ容器が提供される。
【0012】
上記補給用カートリッジ容器によれば、キャリア保持部材の磁気吸着力により、補給用カートリッジ容器内のキャリアは、補給用カートリッジ容器の内壁面上であり且つ補給用現像剤の液面よりも上方位置において、キャリア層として一時的に保持されている。長手方向に大略同じ強さの磁気吸着力により、当該キャリア層は、長手方向に対して大略同じ量で保持されている。また、トナーは、補給用カートリッジ容器内の下側にトナー層として留まっている。すなわち、補給用カートリッジ容器内では、上方に集められたキャリア層と、下方に集められたトナー層とに分離している。
【0013】
このような二層分離状態において、例えば、キャリア保持部材を補給用カートリッジ容器の長手方向に素早く移動させると、キャリアに作用していた磁気吸着力が弱められるために、キャリア層が補給用カートリッジ容器の内壁面から離脱して、トナー層の上に落下する。このとき、長手方向に大略同じ量で保持されていたキャリア層は、トナー層の上に長手方向に順次落下して、キャリア層の長手方向の量の均一さが維持される。したがって、下方のトナー層の長手方向の量も大略同じであるように構成しておけば、キャリア層の落下によってキャリア層とトナー層とが一体化された補給用現像剤の長手方向のキャリア比率は均一になる。
【0014】
キャリア保持部材は、補給用カートリッジ容器の長手方向に直交する長手直交方向に移動させることにより、キャリア層を補給用カートリッジ容器の内壁面から離脱させることも可能であるが、長手直交方向に移動させるための移動スペースを別途に確保しなければならない。これに対して、キャリア保持部材は、補給用カートリッジ容器の長手方向に着脱自在に構成されていることが好適である。すなわち、補給用カートリッジ容器を現像装置に対して長手方向に沿って装着するように通常構成されているので、上記のような移動スペースを確保する必要がなくなる。
【0015】
磁気吸着力を提供するキャリア保持部材として様々なものが使用可能である。キャリア保持部材として、長手方向に延在する板状体や棒状体等を容易に製造することができる磁性体である。例えば、フェライト系磁石やSm−Co系磁石やNd−Fe−B系磁石等のように燒結によって製造される燒結磁石や、フェライト系磁石粉やSm−Co系磁石粉やNd−Fe−B系磁石粉等の磁石粉末と、ナイロン系樹脂やゴム等のバインダとを混合して成形したボンド磁石である。キャリア保持部材として、成形や製造の自由度の高いボンド磁石が好ましい。
【0016】
ボンド磁石の表面及び裏面に対してS極、N極が交互に並ぶ多極着磁を施す両面多極着磁も使用可能であるが、N極とS極が表面及び裏面にきれいに並びにくいという問題がある。ボンド磁石の表面又は裏面の一方だけにS極とN極が交互に並ぶ片面多極着磁の方が、製造が容易である。したがって、ボンド磁石は、補給用カートリッジ容器に対面する側が着磁している片面多極着磁体である。
【0017】
上述した現像槽内現像剤を現像槽へ補給する補給用カートリッジ容器は、
トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、
該攪拌部材に隣接配置されて、攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、を備える現像装置に装着して使用される。
【0018】
現像装置は、現像槽に設けられて、現像槽内の現像槽内現像剤の量が所定量を上回ったときに、上回った現像槽内現像剤を現像槽外に排出する排出機構をさらに備えるいわゆるトリクル方式のものである。トリクル方式の排出機構を有する現像装置では、現像槽内現像剤が現像槽外に少しずつ排出される一方で補給用現像剤により現像剤が少しずつ補給される。補給用現像剤のトナー濃度がばらついていると現像槽内のトナー濃度がばらつくために、補給用現像剤のトナー濃度が均一であることが要求される。
【0019】
キャリア保持部材を移動させてキャリア層をトナー層の上に落下させるが、いくらキャリア層の厚みが長手方向に均一であってもトナー層の長手方向の分布量が偏在していると補給用現像剤における長手方向のキャリア濃度分布の均一性が損なわれる。そこで、キャリア層を落下させる前に補給用カートリッジ容器を予備回転させて補給用カートリッジ容器内のトナー層の液面がフラットであることが好ましい。このような液面のフラット化を自動的に実行するために、補給用カートリッジ容器は、その内部に螺旋状の溝が形成された大略円筒体であり、駆動装置によって回転駆動されるように構成されている。
【0020】
上述した現像装置は、周面に静電潜像を担持する回転可能な静電潜像担持体を備えるこ画像形成装置に組み込んで使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置1及び現像装置34では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0022】
図1乃至3を参照しながら、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1及び当該装置に使用される現像装置34について説明する。
【0023】
〔画像形成装置〕
図1は、本発明に係る電子写真式画像形成装置1の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電装置26、露光装置28、現像装置34、転写装置36、およびクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。
【0024】
帯電装置26は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28は、帯電された感光体12の外周面に向けて、画像光30を出射する。露光装置28を通過した感光体12の外周面には、画像光30が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分とからなる静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像装置34は、後述する現像槽内現像剤3を用いて静電潜像を可視像化する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写装置36は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどの用紙38に転写する。図1に示した実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして図示されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニング装置40は、転写装置36で用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして図示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
【0025】
このような構成を備えた画像形成装置1が画像形成を行うとき、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて例えば反時計周り方向に回転する。このとき、帯電装置26を通過する感光体12の外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体12の外周部分は、露光装置28で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像装置34のところまで搬送され、現像装置34によって可視像化される。可視像化されたトナー像は、感光体12の回転と共に転写装置36のところまで搬送され、転写装置36により用紙38に転写される。トナー像が転写された用紙38は定着装置20のところまで搬送され、用紙38にトナー像が固定される。転写装置36を通過した感光体12の外周部分はクリーニング装置40のところまで搬送され、用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残存するトナーが感光体12から掻き取られる。
【0026】
〔現像装置〕
現像装置34は、非磁性トナー(以下、単にトナーという。)及び磁性キャリア(以下、単にキャリアという。)を含む2成分現像剤と、種々の部材を収容する現像槽66と、を備えている。現像槽66は感光体12に向けて開放された開口部を備えており、この開口部の近傍に形成された空間に現像ローラ48が設けられている。現像剤担持体としての現像ローラ48は、円筒状の部材であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップを介して、回転可能に枢支されている。
【0027】
現像ローラ48は、回転不能に固定された磁石体48aと、磁石体48aの周囲を回転可能に支持された円筒状のスリーブ48b(第一の回転円筒体)と、を有するいわゆるマグネットローラである。現像ローラ48のスリーブ48bの上方には、現像槽66に固定され、現像ローラ48のスリーブ48bの中心軸と平行に延在する規制板62が、所定の規制ギャップ63を介して対向配置されている。現像ローラ48の内側にある磁石体48aは、スリーブ48bの回転方向に沿って、N1、S2、N3、N2、S1という5個の磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、感光体12と対向するように配置されている。スリーブ48bの上の現像剤を剥離させるための反発磁界を発生させる同極のN2及びN3は、現像槽66の内部に対向配置されている。現像ローラ48のスリーブ48bは、感光体1の回転方向と逆向きに(カウンター方向に)回転する。
【0028】
図2は、現像装置34を上から見た模式的断面図である。図2に示すように、現像ローラ48の背後には、現像剤攪拌搬送室67が形成されている。現像剤攪拌搬送室67は、現像ローラ48の近傍に形成された第二搬送路70と現像ローラ48から離れた第一搬送路68と、第一搬送路68及び第二搬送路70を間仕切る隔壁76と、を有する。第一搬送路68の搬送方向の上流側の上方には、現像剤補給タンク80が配設されていて、補給口82を介して第一搬送路68と連通している。現像剤補給タンク80には、トナーを主成分としてキャリアを含有する補給用現像剤2が充填されている。補給用現像剤2として、トナーとキャリアとを別々に補給してもよい。補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは5乃至40重量%であり、より好ましくは10乃至30重量%である。また、第二搬送路70の搬送方向の下流側の下方には、現像剤回収タンク90が配設されていて、回収口92を介して第二搬送路70と連通している。
【0029】
現像剤補給タンク80の底部には、制御部100によって駆動制御される現像剤供給ローラが配置されている。現像剤供給ローラが回転駆動されることによって、その駆動時間に応じた量の新規の補給用現像剤2が、流下して、現像槽66の第一搬送路68に供給される。
【0030】
第一搬送路68には、現像槽内現像剤3を攪拌しながら搬送する攪拌部材である第一スクリュー72が回転可能に枢支されている。第二搬送路70には、第一搬送路68からの現像槽内現像剤3を攪拌しながら現像ローラ48に搬送する第二スクリュー74が回転可能に枢支されている。この場合、第一搬送路68と第二搬送路70との両端部に位置する隔壁76の上部が切り欠かれることによって連絡通路が形成されている。第一搬送路68の搬送方向の下流側端部に到達した現像槽内現像剤3が連絡通路を介して第二搬送路70へ送り込まれ、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部に到達した現像槽内現像剤3が連絡通路を介して第一搬送路68に送り込まれる。その結果、図2の矢印方向にしたがって、現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室内を循環する。
【0031】
第一スクリュー72及び第二スクリュー74は、回転シャフトに所定のピッチで螺旋状の羽根が固定されたスパイラルスクリューである。第二スクリュー74は、図2の右側(下流側)に延在して、回収口92の上まで延在している。
【0032】
第二スクリュー74は、シャフト部74aと、正羽根部74bと、正羽根部74bに隣接した逆羽根部77と、逆羽根部77に隣接した排出スクリュー部79と、を有し、ステンレス等の金属材料やPCやABS等の樹脂材料からなる高剛性材料から作製されている。
【0033】
シャフト部74aは、搬送方向(図2においては右向きの矢印)の上流側端部(図2の左端部)から下流側端部(図2の右端部)まで搬送向に延在する円柱形状の棒状体である。
【0034】
第二搬送路70に配設される正羽根部74bは、現像槽内現像剤3を搬送方向の順方向(以下、搬送方向の順方向とは、第二搬送路70における搬送方向のことを言う。)に搬送するように構成された螺旋状の正羽根である。正羽根部74bは、搬送方向の上流側端部(図2の左端部)から下流側の連絡通路の手前まで軸方向に延在している。
【0035】
第二搬送路70から第一搬送路68に向かう連絡通路及び第一搬送路68の下流側側端部に対応する位置に配設される逆羽根部77は、現像槽内現像剤3を搬送方向の逆方向(以下、搬送方向の逆方向とは、第二搬送路70における搬送方向と逆方向のことを言う。)に搬送するように構成された螺旋状の逆羽根である。
【0036】
また、第二スクリュー74の正羽根部74bのピッチは、排出スクリュー部79の正羽根部79bのピッチと比べて大きくなっている。さらに、正羽根部74bにより搬送方向の順方向に現像槽内現像剤3を搬送するのに対して、現像槽内現像剤3を逆方向に搬送する逆羽根部77が設けられている。したがって、第二スクリュー74が回転すると、第二スクリュー74の搬送方向の下流側端部(右端部)での現像槽内現像剤3の高さが他の部分に比べて高くなる。すなわち、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)において、現像槽内現像剤3の盛り上がりが形成される。
【0037】
ここで、現像装置34は、いわゆるトリクル方式を採用したものであるから、余剰の現像槽内現像剤3を流出させるための流出口75を有している。すなわち、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に位置する側壁の上部が部分的に切り欠かれた切欠75を設けることによって、流出口75が形成されている。第二スクリュー74によって搬送される現像剤は、通常の状態では逆羽根部77の排出阻止力によってせき止められることにより、図2の実線矢印のように、第二搬送路70から第一搬送路68へと搬送される。現像槽内における現像槽内現像剤3が増えて現像槽66内の液面が上昇すると、逆羽根部77のせき止め作用に抗して側壁の上部に設けられた流出口75を現像槽内現像剤3が乗り越えて、隣接する回収室に溢出する。回収室に溢出した余剰の現像槽内現像剤3は、排出スクリュー部79により回収口92まで搬送され、回収口92を介して現像剤回収タンク90に回収(廃棄)される。
【0038】
現像剤攪拌搬送室67には、現像剤攪拌搬送室67内での現トナー濃度を検出するトナー濃度検出センサ78が設けられている。トナー濃度検出センサ78は、例えば、コイルのインダクタンスの変化から、現像剤攪拌搬送室67内を搬送される現像槽内現像剤3の透磁率を検出する。トナー濃度検出センサ78により検出された透磁率から、現像槽内現像剤3に対するトナーの比率が求められる。例えば、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が少ない場合は、トナー比率が高いと検出される。一方、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が多い場合は、トナー比率が低いと検出される。そして、このトナー濃度検出センサ78から出力された電圧信号は、制御部100に入力され、この検出信号に基づいて、必要な補給量が算出されるとともに、補給用カートリッジ容器110に充填された補給用現像剤2が現像剤補給タンク80にいったん貯蔵されたあと、現像剤補給タンク80の現像剤補給ローラが駆動され、所定量の補給用現像剤2が現像槽66内に補給される。
【0039】
現像装置34において、印字動作により、現像槽内現像剤3のトナー濃度が低下すると、トナーと少量のキャリアとを含有する補給用現像剤2が現像剤補給タンク80から補給される。補給用現像剤2の補給量は、トナー濃度検出センサ78によって検出された現像槽内現像剤3の現トナー濃度と、画像形成時の印字率(ドットカウンタ)と、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比と、に基づいて決定される。現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比は、現像装置34内でのキャリアの劣化を抑制するとともに、コストアップを招かない程度に調整される。トナーの補給動作に伴って、キャリアが少しずつ供給される。
【0040】
補給された補給用現像剤2は、すでに存在する現像槽内現像剤3と混合・攪拌されながら、上記現像剤攪拌搬送室67の第一搬送路68及び第二搬送路70に沿って搬送される。基本的には、トナーは感光体12で消費されるのに対して、キャリアは現像装置34内に蓄積されるが、キャリアの帯電性能は次第に低下する。補給用現像剤2にはトナーよりも嵩高いキャリアが少量含まれているので、補給用現像剤2の補給に伴って、現像装置34内での現像槽内現像剤3の量が徐々に増加する。そして、嵩の増えた現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室67を循環する。現像剤攪拌搬送室67を循環しきれない余剰の現像槽内現像剤3は、逆羽根部77を乗り越えて、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に設けられた流出口75から流出して、回収口92を介して現像剤回収タンク90に回収される。
【0041】
図3は、画像形成装置1の現像装置34に係る制御ブロック図を示している。
【0042】
制御手段としての制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)106等から構成される。ROM104内に格納されている各種処理プログラムやテーブルに従って、CPU102は画像形成装置1での各種動作を集中的に制御する。ROM104には、例えば、トナー濃度検出センサ78で検出された電圧から現像槽内現像剤3の現トナー濃度に変換・算出するためのトナー濃度算出テーブルや、現像槽内現像剤3の現トナー濃度と基準トナー濃度との間のトナー濃度差から補給すべき現像剤量を算出するための現像剤補給用テーブルが格納されている。
【0043】
制御部100のCPU102には、画像形成に係る種々の装置やデバイスやセンサが接続されている。すなわち、現像装置34や現像剤補給タンク80やカウンタ108等が制御部100のCPU102に接続されている。現像装置34を構成する現像剤攪拌部材72,74、トナー濃度検出センサ78、現像ローラ48、補給用カートリッジ容器110の動作が、それぞれ、制御部100のCPU102によって制御される。すなわち、CPU102は、現像動作や補給動作や画像形成動作やスキャナ(画像読取部)のスキャン動作や補給用カートリッジ容器110の容器本体112の回転駆動等を制御する制御手段としての機能を有している。
【0044】
また、RAM106には、制御部100により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するためのワークエリアが形成されている。
【0045】
そして、上述したセンサやデバイスから得られた各種情報、すなわち、現像槽66内のトナー濃度や、印刷出力枚数や、現像ローラ48の回転数や、補給用カートリッジ容器110内での補給用現像剤2に対するキャリアの比率や、画像濃度や、画像形成時の印字率(画像情報)等は、RAM106に一時的に記憶されている。
【0046】
〔現像剤〕
2成分現像剤は、トナーと、トナーを帯電させるためのキャリアと、を含んでいる。本発明においては、画像形成装置1において従来から一般的に使用されている公知のトナーが使用可能である。トナーの粒径は、例えば約3乃至15μmである。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナーや、荷電制御剤や離型剤を含有するトナーや、表面に添加剤を保持するトナーも使用可能である。
【0047】
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造される。
【0048】
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80乃至160℃の範囲であり、ガラス転移点が約50乃至75℃の範囲であることが好ましい。
【0049】
着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2乃至20重量部であることが好ましい。
【0050】
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0051】
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0052】
さらに、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコンオイル等で疎水化した材料を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1乃至5重量部の割合で添加することが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は、9乃至100nmであることが好ましい。
【0053】
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15乃至100μmであることが好ましい。
【0054】
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、表面に正極性または負極性に帯電する微粒子又はコーティング層を有するものが使用できる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御できる。
【0055】
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
【0056】
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。キャリアの形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50乃至90重量%の量で添加することが適切である。
【0057】
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂をキャリア表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、キャリアの電荷付与能力を向上できる。
【0058】
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与えることにより微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むことで行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部が磁性樹脂キャリア表面から突出するように固定される。帯電性微粒子には、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的に、有機系の絶縁性材料としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子がある。電荷付与能力および帯電極性は、帯電性微粒子の素材、重合触媒、表面処理等に調整できる。無機系の絶縁性材料としては、シリカ、二酸化チタン等の負極性に帯電する無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正極性に帯電する無機微粒子が用いられる。
【0059】
コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子を樹脂で被覆したキャリアであり、バインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正極性または負極性に帯電する帯電性微粒子を固着することができる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の選択により調整できる。コーティング樹脂は、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
【0060】
現像槽内現像剤3のトナー及びキャリアの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるように調整される。現像槽内現像剤3のトナー比は、トナー及びキャリアの合計量に対して、好ましくは3乃至20重量%であり、より好ましくは4乃至15重量%である。また、現像剤補給タンク80に充填されている補給用現像剤2は、トナー及び少量のキャリアを含有したものであり、補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは1乃至50重量%であり、より好ましくは5乃至30重量%である。
【0061】
このように構成された現像装置34の基本動作を説明する。
【0062】
画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48のスリーブ48bは矢印方向(反時計回り)に回転する。第一スクリュー72の回転及び第二スクリュー74の回転により、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3は、第一搬送路68と第二搬送路70とを循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアとが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。本発明に用いるトナー及びキャリアの帯電性は、このような組み合わせに限定されるものでない。キャリアの外形寸法は、トナーに比べて相当大きい。そのため、正極性に帯電したキャリアの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
【0063】
帯電された現像槽内現像剤3は、第二スクリュー74によって第二搬送路70に搬送される過程で現像ローラ48に供給される。この現像剤は、現像ローラ48内部の磁石体48aの磁力によってスリーブ48bの表面側に保持され、スリーブ48bと共に反時計周り方向に回転移動して、現像ローラ48に対向して設けられた規制板62で通過量を規制された後、感光体12と対向する現像領域へと搬送される。そして、現像領域において、磁石体48aの主磁極N1の磁力によって穂立ち(磁気ブラシ)が形成される。現像領域では、感光体12上の静電潜像と現像バイアスの印加された現像ローラ48との間に形成された電界(直流に交流が重畳された電界)がトナーに与える力により、トナーが感光体12上の静電潜像側へと移動して、この静電潜像が顕像へと現像される。現像領域でトナーを消費した現像剤は、現像槽66に向けて搬送され、現像槽66の第二搬送路70に対向して設けられた磁石体48aのN3,N2の反発磁界によって現像ローラ48上から剥離され、現像槽66内へと回収される。回収された現像剤は、第二搬送路70を搬送されている現像槽内現像剤3と混合される。
【0064】
このような画像形成によって現像槽内現像剤3の中からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像槽内現像剤3に補給される。そのために、現像装置34は、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3に対するトナーの比を測定するトナー濃度検出センサ78を備えている。また、第一搬送路68の上方には現像剤補給タンク80が設けられている。
【0065】
上述した現像装置34の現像剤補給タンク80に対して、補給用カートリッジ容器110が着脱自在に装着されている。図4乃至8を参照しながら、本発明の一実施形態に係る補給用カートリッジ容器110及びその使用形態について説明する。
【0066】
補給用カートリッジ容器110は、補給用現像剤2が充填される容器本体112と、容器本体112の開口部を閉止するキャップ114とから構成されている。
【0067】
容器本体112は、大略円筒形状をした樹脂製容器であり、現像装置34の装着穴130において回転可能に支持されるように構成されている。容器本体112の内部には螺旋状の送り溝116が形成されている。
【0068】
キャップ114は、大略円筒形状をした樹脂製蓋であり、容器本体112の開口部側の端部に対して回転可能に嵌合する。キャップ114の下側面には、補給用現像剤2を現像装置34の現像剤補給タンク80に補給するための排出口118が配設されている。排出口118が下側に位置した状態で、キャップ114は現像装置34の装着穴130に取り付けられる。
【0069】
不図示の回転機構を用いて、補給用現像剤2の充填されている容器本体112を正回転させると、螺旋状の送り溝116により、補給用現像剤2が容器本体112の内部で攪拌されながらキャップ114の排出口118まで搬送される。
【0070】
なお、上記のように、容器本体112が必ずしも大略円筒形状であり且つ容器本体112自身が回転する構成である必要はない。螺旋状の送り溝116を配設する代わりに、例えば、長手方向に延在する攪拌・搬送スクリューを補給用カートリッジ容器110の内部に配設した構成であってもよい。この場合、補給用カートリッジ容器110の下側部分を半円筒形状にしておけば、下側の半円筒部分に溜まっている補給用現像剤2を十分に攪拌しながら排出口118まで搬送することができる。
【0071】
また、本発明を限定しない例として、容器本体112の長さが約40cm、キャップ114の長さが約10cm、補給用カートリッジ容器110の全長が約50cm、補給用カートリッジ容器110の外径が約6cmである。
【0072】
図4乃至7に示すように、容器本体112の長手方向の側面には、キャリア保持部材120が一時的に取り付けられている(すなわち仮固定されている)。
【0073】
キャリア保持部材120は、キャリアを磁気吸着力によって一時的に保持するキャリア保持部122と、キャリア保持部122に対して約90度の角度で折り曲げ可能に連結された把持部124と、から構成されている。
【0074】
キャリア保持部122は、容器本体112の長手方向に延在する細長い棒形状又は板状形状をした磁性体である。キャリア保持部122は、長手方向に大略同じ強さの磁気吸着力を有する。容器本体112は上記のように例えば長さが約40cmの長尺物であるから、キャリア保持部122も少なくとも約40cmの長尺形状をしている。このような長尺の棒形状又は板状形状をした磁性体としては、例えば、フェライト系磁石やSm−Co系磁石やNd−Fe−B系磁石等のように燒結によって製造される燒結磁石や、フェライト系磁石粉やSm−Co系磁石粉やNd−Fe−B系磁石粉等の磁石粉末と、ナイロン系樹脂やゴム等のバインダとを混合して成形したボンド磁石が使用可能である。キャリア保持部122として、コスト面や製造の容易さの面から、ボンド磁石が好ましい。
【0075】
上述した本発明を限定しない例として例示した補給用カートリッジ容器110に対して、本発明を限定しない例として、400g程度の補給用現像剤2が収容される。キャリア比率を15%程度とすると、60g程度のキャリア及び340g程度のトナーが補給用カートリッジ容器110に収容される。
【0076】
充填されるキャリアの重量に応じて、キャリア保持部122としてどの程度の磁気吸着力を有する磁石を用いるかが決定されるが、100gや200g程度のキャリアを磁気吸着するのであれば、ボンド磁石で十分である。補給用現像剤2に含まれるほとんど全てのキャリアが、キャリア保持部122の磁気吸着力によってキャリア層2bとして容器本体112の内壁面上に一時的に保持される。
【0077】
ボンド磁石の表面及び裏面に対してS極、N極が交互に並ぶ多極着磁を施す両面多極着磁も使用可能であるが、N極とS極が表面及び裏面にきれいに並びにくいという問題がある。ボンド磁石の表面又は裏面の一方だけにS極とN極が交互に並ぶ片面多極着磁の方が、製造が容易である。したがって、ボンド磁石は、補給用カートリッジ容器110に対面する側が着磁している片面多極着磁体であることが好適である。
【0078】
なお、把持部124は、現像装置34の装着穴130に装着された補給用カートリッジ容器110を外方に引き出すための把持手段として機能するとともに、補給用カートリッジ容器110を立設させたときに補強的に支持する支持脚として機能するが、キャリア保持部材120における必須の構成要素ではない。
【0079】
キャリア保持部材120は、補給用カートリッジ容器110に収容された補給用現像剤2の液面よりも上方位置において、容器本体112の長手方向の外壁面に対して密着状態で仮固定されている。補給用カートリッジ容器110への補給用現像剤2の充填後から現像装置34への補給用カートリッジ容器110の装着前までの間はキャリア保持部材120の位置ズレが起こらないものの、現像装置34への補給用カートリッジ容器110の装着後は容易に取り外すことのできるように、以下に示すような種々の方法で、キャリア保持部材120は容器本体112の長手方向の外壁面に仮固定される。
【0080】
例えば、キャリア保持部材120と容器本体112の外壁面との間に、着脱可能な粘着性を有する両面テープや粘着剤のような粘着物を介在させることができる。あるいは、キャリア保持部材120の密着している容器本体112を樹脂製結束バンドやゴムバンド等で束ねてもよい。
【0081】
次に、補給用カートリッジ容器110の使用形態について説明する。
【0082】
上述した仮固定方法の少なくとも一つを用いることにより、キャリア保持部材120を容器本体112の外壁面に一体的に密着固定する。キャップ114を外した後に容器本体112を立設させ、把持部124を折り曲げることにより把持部124を支持脚として使用する。まず、補給用現像剤2の一部として、所定量のキャリアが、容器本体112の開口部から充填され、充填された全てのキャリアは、キャリア層2bとして、キャリア保持部122により側面の長手方向に磁気吸着される。その後、補給用現像剤2の残部として、所定量のトナーが、容器本体112の開口部から充填される。そして、キャップ114により、キャリア及びトナーの充填された容器本体112の開口部が閉止される。補給用現像剤2の充填を終えると、図4に示すように、容器本体112内の補給用現像剤2は、容器本体112の下部に溜まったトナー層2aと、キャリア保持部122により側面の長手方向に磁気吸着されたキャリア層2bと、に分離されている。このとき、キャリア保持部122が長手方向に大略同じ強さの磁気吸着力を有するので、キャリア層2bは長手方向に大略同じ厚みで保持されている。そして、補給用現像剤2の充填された補給用カートリッジ容器110は、このような状態で梱包されるとともに使用者のもとに出荷される。あるいは、まずキャリアを充填したあとにトナーを充填するという別々充填方法の代わりに、キャリアがトナーに対して所定割合で混合された所定量の補給用現像剤2を容器本体112に充填する方法であってもよい。この場合も、充填時や運搬時での補給用カートリッジ容器110の攪拌作用により、図4に示すように、容器本体112内の補給用現像剤2は、容器本体112の下部に溜まったトナー層2aと、キャリア保持部122により側面の長手方向に磁気吸着されたキャリア層2bと、に分離される。
【0083】
上記形態で梱包されたキャリア保持部材120付きの補給用カートリッジ容器110は使用者のもとで適宜開梱されるが、補給用カートリッジ容器110は、極端な場合、図5に示すように、トナー層2aの分布量が長手方向にばらついている(図5に示した場合では、トナー層2aが底面側に片寄って分布している)ことがある。このような状態で、キャリア保持部材120を容器本体112から引き離しても、補給用現像剤2における長手方向のキャリア比率が均一になることはない。
【0084】
そこで、分布量が長手方向にばらついているトナー層2aの液面をフラット化するための液面フラット化操作が行われる。
【0085】
現像装置34には、キャリア保持部材120付きの補給用カートリッジ容器110を受け入れる装着穴130が設けられている。すなわち、図7の模式的断面図に示すように、装着穴130は、大略円筒状の補給用カートリッジ容器110を受け入れる断面が丸穴の容器本体収容部132と、角板状のキャリア保持部材120を受け入れる断面が角穴のキャリア保持部材収容部134と、を備えている。装着穴130のキャリア保持部材収容部134は、補給用カートリッジ容器110の装着時の位置決めを行う際のガイド穴として機能している。
【0086】
現像装置34の装着穴130は、補給用カートリッジ容器110の装着を検出するセンサを備えている。そして、現像装置34は、補給用カートリッジ容器110の装着を当該センサにより検出したあとに、容器本体112を正方向又は逆方向に自動的に回転駆動する駆動装置を備えている。
【0087】
トナー層2aの液面をフラット化するために、駆動装置を用いて容器本体112を予備回転させることが行われる。
【0088】
キャリア保持部材120による仮固定方法として粘着物を介在させる方法を採用した場合、容器本体112を回転させたとき、キャリア保持部材収容部134に受け入れられたキャリア保持部材120はその収容状態をそのまま維持するが、容器本体収容部132に受け入れられた容器本体112は回転しようとするので、粘着力が回転力に負けて、キャリア保持部材120と容器本体112との間に介在する粘着物が引き剥がされてしまう。したがって、粘着物の剥離後は、容器本体112は容器本体収容部132内で自由に回転することができる。
【0089】
また、キャリア保持部材120による仮固定方法として樹脂製結束バンドやゴムバンド等で束ねる方法を採用した場合、装着時又は回転時にそれらを切断するための切断刃物や熱的熔断手段等が装着穴130内で設けられている。また、切断された樹脂製結束バンドやゴムバンド等を回収するための回収部が容器本体収容部132の下部に設けられている。したがって、樹脂製結束バンドやゴムバンド等の切断後は、容器本体112は容器本体収容部132内で自由に回転することができる。
【0090】
容器本体112を正方向に回転させると、例えば容器本体112の底面側に片寄って分布しているトナー層2aがキャップ114の側に搬送され、容器本体112の底面側に偏在していたトナー層2aの山が崩れる。そして、容器本体112を逆方向に回転させると、キャップ114の側に片寄って分布しているトナー層2aが容器本体112の底面側に搬送される。このような正方向の回転と逆方向の回転とを交互に繰り返すことにより、図6に示すように、長手方向にばらついていたトナー層2aの液面がフラット化される。
【0091】
トナー層2aの液面がフラット化された状態で、使用者がキャリア保持部材120の把持部124を長手方向の外側に引っ張って、容器本体112からキャリア保持部材120を長手方向に離脱させると、キャリアに作用していた磁気吸着力が弱められるために、図8に示すように、容器本体112の上部において長手方向に大略同じ厚みで保持されていたキャリア層2bは、フラット化されたトナー層2aの上に順次落下する。
【0092】
長手方向に大略同じ厚みを持ったキャリア層2bが、フラット化されたトナー層2aの上に落下することで、補給用現像剤2は、容器本体112の長手方向に対して大略均一なキャリア比率を有することができる。容器本体112の正方向の回転により、大略均一なキャリア比率を持った補給用現像剤2が、現像剤補給タンク80を介して現像槽66に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の現像装置を上から見た模式的断面図である。
【図3】図2に示した画像形成装置の現像装置に係るブロック図である。
【図4】本発明の補給用カートリッジ容器を縦にしたときの図である。
【図5】図4に示した補給用カートリッジ容器を横にしたときの図である。
【図6】本発明の補給用カートリッジ容器を現像装置に装着したときの模式的断面図である。
【図7】図6に示した補給用カートリッジ容器を横から見たときの図である。
【図8】図6に示した補給用カートリッジ容器からキャリア保持部材を長手方向に離脱させているときの図である。
【符号の説明】
【0094】
1:画像形成装置
2:補給用現像剤
2a:補給用トナー
2b:補給用キャリア
3:現像槽内現像剤
12:感光体
20:定着装置
22:定着ローラ
26:帯電装置
28:露光装置
30:画像光
34:現像装置
36:転写装置
38:用紙
40:クリーニング装置
48:現像ローラ(現像剤担持体)
48a:磁石体
48b:スリーブ
62:規制板
63:規制ギャップ
66:現像槽
67:現像剤攪拌搬送室
68:第一搬送路
70:第二搬送路
72:第一スクリュー(攪拌部材)
74:第二スクリュー(攪拌部材)
74a:シャフト部
74b:正羽根部
75:切欠(流出口)
76:隔壁
77:逆羽根部
78:トナー濃度検出センサ
79:排出スクリュー部
80:現像剤補給タンク
82:補給口
90:現像剤回収タンク
92:回収口
100:制御部
102:中央演算処理装置(CPU)
104:読み出し専用メモリ(ROM)
106:読み書き可能メモリ(RAM)
108:カウンタ
110:補給用カートリッジ容器
112:容器本体
114:キャップ
116:送り溝
118:排出口
120:キャリア保持部材
122:キャリア保持部
124:把持部
130:装着穴
132:容器本体収容部
134:キャリア保持部材収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及びキャリアを含む補給用現像剤が収容されて、現像装置に装着される補給用カートリッジ容器であって、
補給用カートリッジ容器の外壁面上であって、補給用カートリッジ容器に収容された補給用現像剤の液面よりも上方位置においては、補給用カートリッジ容器の長手方向に延在するとともに長手方向に大略同じ強さの磁気吸着力を有するキャリア保持部材が配設されており、
補給用現像剤に含まれるキャリアは、キャリア保持部材の磁気吸着力によって一時的に保持されることを特徴とする補給用カートリッジ容器。
【請求項2】
前記キャリア保持部材は、補給用カートリッジ容器の長手方向に着脱自在に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の補給用カートリッジ容器。
【請求項3】
前記キャリア保持部材は、ボンド磁石であることを特徴とする、請求項1に記載の補給用カートリッジ容器。
【請求項4】
前記ボンド磁石は、補給用カートリッジ容器に対面する側が着磁している片面多極着磁体であることを特徴とする、請求項3に記載の補給用カートリッジ容器。
【請求項5】
トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、
該攪拌部材に隣接配置されて、攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、
現像槽内現像剤を現像槽へ補給する請求項1乃至4のいずれかに記載された補給用カートリッジ容器と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
前記現像槽に設けられて、現像槽内の現像槽内現像剤の量が所定量を上回ったときに、上回った現像槽内現像剤を現像槽外に排出する排出機構をさらに備えることを特徴とする、請求項5記載の現像装置。
【請求項7】
前記補給用カートリッジ容器は、その内部に螺旋状の溝が形成された大略円筒体であり、駆動装置によって回転駆動されるように構成されていることを特徴とする、請求項5記載の現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置と、周面に静電潜像を担持する回転可能な静電潜像担持体と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−26292(P2010−26292A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188318(P2008−188318)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】