説明

複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置及び予圧推定装置付複列転がり軸受ユニット

【課題】車輪支持用複列転がり軸受ユニット1に作用するアキシアル荷重を求める事なく、各転動体7、7に付与されている予圧を推定できる構造を実現する。
【解決手段】外輪3とハブ4との列間ラジアル変位である列間上下変位を測定する列間ラジアル変位測定手段と、この列間ラジアル変位測定手段が測定した列間上下変位に基づいて前記予圧を推定する予圧推定手段とを設ける。この予圧推定手段は、例えば、前記列間上下変位の最小値の移動平均値の変化に基づいて前記予圧を推定する様に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複列転がり軸受ユニットを構成する各転動体に付与されている予圧を推定する為に利用する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の転がり軸受ユニット、マシニングセンタ等の各種工作機械の主軸等を回転自在に支持する為の転がり軸受ユニット、印刷機や圧延機等の各種産業機械のドラム等を回転自在に支持する為の転がり軸受ユニット等、支持剛性を必要とする各種回転部分に組み込まれる転がり軸受ユニットとして、複列転がり軸受ユニットが広く使用されている。この様な複列転がり軸受ユニットにとって、各転動体に付与されている予圧の大きさは、寿命や性能に大きな影響をもたらす重要な因子である。即ち、この予圧が不足すると、軸受剛性が不足し、運転時に振動が発生し易くなる。これに対して、前記予圧が過大になると、転がり接触部の面圧が過大になり、動トルクが大きくなるだけでなく、転がり疲れ寿命が低下する。従って、前記複列転がり軸受ユニットに関しては、前記予圧の大きさを適正範囲に収めた状態で使用する事が重要となる。
【0003】
但し、前記予圧は、前記複列転がり軸受ユニットを構成する各部材が経年変形する事より緩徐に低下する。そして、この様に予圧が低下する事によって、この予圧が不足した状態になると、上述した様な不具合が発生する。従って、この様な不具合の発生に対する改善措置をできるだけ早期に実行できる様にする為に、前記予圧の低下状況を確認できる様にする事が好ましい。
【0004】
又、特許文献1〜4等に記載されて従来から知られている、複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置に関しては、上述した様な理由に加えて、荷重、変位量等の物理量測定の信頼性を確保する面からも、前記予圧の低下状況を確認できる様にする事が好ましい。この点に就いての具体的な説明を行う為に、先ず、前記複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の構造及び作用に就いて、幾つかの具体例を挙げて説明する。
【0005】
図7〜9は、従来から知られている複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第1例として、特許文献1に記載されたものを示している。この第1例の構造は、車輪支持用複列転がり軸受ユニット1と、物理量測定装置2とを備える。
このうちの車輪支持用複列転がり軸受ユニット1は、使用時に懸架装置に結合固定された状態で回転しない、外径側軌道輪部材であって静止側軌道輪部材である外輪3と、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転する、内径側軌道輪部材であって回転側軌道輪部材であるハブ4と、前記外輪3の内周面に設けた複列の外輪軌道5、5と前記ハブ4の外周面に設けた複列の内輪軌道6、6との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体7、7とを備える。これら両列の各転動体7、7には、互いに逆向き(背面接触型)の接触角と共に、予圧が付与されている。
【0006】
又、前記物理量測定装置2は、前記ハブ4の軸方向中間部で両列同士の間に挟まれた部分に外嵌固定されたエンコーダ8と、前記外輪3の軸方向中間部で両列に配置された前記各転動体7、7同士の間に挟まれた部分に支持固定された2個のセンサ9、9と、図示しない演算器とを備える。このうちのエンコーダ8は、軟鋼板等の磁性金属板により全体を円筒状に造られると共に、軸方向中間部に、それぞれが軸方向に長いスリット状の透孔10、10と柱部11、11とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に形成している。従って、前記エンコーダ8の被検出面である外周面の磁気特性は、円周方向に関して交互に且つ等間隔に変化している。尚、円周方向に隣り合う前記各透孔10、10と前記各柱部11、11との境界は、それぞれ軸方向に対して平行である。又、前記両センサ9、9はそれぞれ、永久磁石と、検出部を構成するホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子とから成る。そして、これら両センサ9、9の検出部を、前記被検出面の水平方向両側で径方向反対側となる2箇所位置に、径方向に近接対向させている。尚、図7の上下方向は、自動車への組み付け状態での水平方向を表している。
【0007】
上述の様に構成する複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第1例の場合、外輪3とハブ4との間に上下方向(図7の表裏方向、図9の上下方向)のラジアル荷重が作用する事により、これら外輪3とハブ4とが上下方向に相対変位すると、これに伴って、前記両センサ9、9の出力信号同士の間に存在する位相差比(=位相差/1周期)が変化する。この位相差比は、前記ラジアル荷重の作用方向及び大きさ(前記相対変位の方向及び大きさ)に見合った値をとる。従って、この位相差比に基づいて、前記ラジアル荷重の作用方向及び大きさ(前記相対変位の方向及び大きさ)を求める事ができる。尚、これらを求める処理は、図示しない演算器により行う。この為、この演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、前記位相差比と、前記ラジアル方向の相対変位又は荷重との関係を表す、式やマップを記憶させておく。
【0008】
図10〜11は、複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第2例として、特許文献2に記載されたものを示している。この第2例の構造の場合、ハブ4の軸方向中間部で両列同士の間に挟まれた部分に外嵌固定された、物理量測定装置2aを構成するエンコーダ8aは、円輪部12を有する。そして、この円輪部12に透孔10a、10aと柱部11a、11aとを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔10a、10aはそれぞれ、軸方向から見た形状を台形として、それぞれの円周方向に関する長さを、径方向に関して漸次変化させている。そして、外輪3の軸方向中間部で両列同士の間に挟まれた部分に支持固定された、前記物理量測定装置2aを構成する1個のセンサ9の検出部を、被検出面である、前記エンコーダ8aを構成する円輪部12の上端部の側面(図10の右側面)に、軸方向に近接対向させている。この様な第2例の構造の場合には、前記センサ9の出力信号のデューティ比(高電位継続時間/1周期)に基づいて、前記外輪3と前記ハブ4との間に上下方向(図10の上下方向)に作用するラジアル荷重、及び、これら外輪3とハブ4との上下方向の相対変位を求められる。
【0009】
図12〜14は、複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第3例として、特許文献3に記載されたものを示している。この第3例の場合には、物理量測定装置2bを構成するエンコーダ8bを、ハブ4の軸方向内端部に外嵌固定している。そして、このエンコーダ8bの円筒部13に、それぞれが「く」字形である透孔10b、10bと柱部11b、11bとを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に形成している。従って、前記円筒部13の被検出面である外周面の磁気特性は、円周方向に関して交互に且つ等間隔に変化するが、変化する位相は、この被検出面の軸方向に関して漸次変化している。又、前記物理量測定装置2bを構成する6個のセンサ9a1、9a2、9b1、9b2、9c1、9c2を、外輪3の軸方向内端開口部に被着されたカバー14に支持固定している。そして、このうちの3個のセンサ9a1、9b1、9c1の検出部を、前記被検出面の軸方向外半部である第一特性変化部15の円周方向等間隔の3箇所位置(θ=0度、120度、240度の位置)に、残り3個のセンサ9a2、9b2、9c2の検出部を、前記被検出面の軸方向内半部である第二特性変化部16の円周方向等間隔の3箇所位置(θ=0度、120度、240度の位置)に、それぞれ対向させている。
【0010】
上述の様に構成する複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第3例の場合、車輪を介して車輪支持用複列転がり軸受ユニット1に外力が作用する事に伴い、前記外輪3(前記各センサ9a1、9a2、9b1、9b2、9c1、9c2の検出部)と前記ハブ4(前記エンコーダ8bの被検出面)との間の位置関係がずれると、これに伴って、前記各センサ9a1、9a2、9b1、9b2、9c1、9c2の出力信号の位相にずれが生じる。これら各ずれの方向及び大きさは、前記外輪3と前記ハブ4との間に作用する外力の方向及び大きさに対応したものとなる。そこで、前記各出力信号同士の間の位相差比に基づく、前記特許文献3に記載された様な演算処理により、前記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の軸方向であるy軸方向の変位yと、この車輪支持用複列転がり軸受ユニット1を組み付けた自動車の前後方向であるx軸方向の変位xと、同じく上下方向であるz軸方向の変位zと、x軸と平行な軸を中心とする傾きφxと、z軸と平行な軸を中心とする傾きφzとを、それぞれ求める。
【0011】
又、これら5方向の変位(変位x、y、z及び傾きφx、φz)と、これらに対応する、前記外輪3と前記ハブ4との間に作用する5方向の外力(x軸方向の荷重Fx、y軸方向の荷重Fy、z軸方向の荷重Fz、x軸回りのモーメントMx、z軸回りのモーメントMz)との間には、前記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の剛性等により定まる、所定の関係がある。そこで、図示しない演算器のメモリ中に記憶させた、この所定の関係を表した式或いはマップに基づいて、前記5方向の変位(変位x、y、z及び傾きφx、φz)から前記5方向の外力(荷重Fx、Fy、Fz及びモーメントMx、Mz)を求める。
【0012】
図15は、複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第4例を示している。この第4例の場合も、物理量測定装置2cを構成するエンコーダ8cを、ハブ4の軸方向内端部に外嵌固定している。そして、このエンコーダ8cの円筒部13aの軸方向2箇所位置に、それぞれ透孔10c、10と柱部11c、11とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に形成している。又、前記軸方向2箇所位置のうちの一方(図15の左方)の位置に形成した前記各透孔10c、10cと柱部11c、11cとの境界を、それぞれ軸方向に対して同方向に同角度だけ傾斜させている。これに対して、前記軸方向2箇所位置のうちの他方(図15の右方)の位置に形成した前記各透孔10、10と柱部11、11との境界は、それぞれ軸方向に対して平行にしている。従って、第一、第二の被検出面17、18である、前記軸方向2箇所位置の外周面の磁気特性は、それぞれ円周方向に関して交互に且つ等間隔に変化するが、このうちの第一の被検出面17の磁気特性が変化する位相は、軸方向に関して漸次変化している。又、前記物理量測定装置2cを構成する4個のセンサ9a、9a、9b、9bを、外輪3の軸方向内端開口部に被着されたカバー14に支持固定している。そして、このうちの2個のセンサ9a、9aの検出部を、前記第一の被検出面17の上下方向両側で径方向反対側となる2箇所位置に、径方向に近接対向させている。これに対して、残り2個のセンサ9b、9bの検出部を、前記第二の被検出面18の水平方向両側で径方向反対側となる2箇所位置に、径方向に近接対向させている。
【0013】
上述の様に構成する複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第4例の場合、前記外輪3と前記ハブ4との間に、x軸(図15の表裏方向軸)と平行な軸周りのモーメントMxが作用する事により、これら外輪3とハブ4との中心軸同士が傾くと、このモーメントMxの作用方向及び大きさ(これら両中心軸同士の傾きφxの方向及び大きさ)に応じた分だけ、前記第一の被検出面17に近接対向させた前記両センサ9a、9aの出力信号同士の間の位相差比が変化する。この為、この位相差比に基づいて、前記モーメントMxの作用方向及び大きさ(前記傾きφxの方向及び大きさ)を求められる。又、前述の図7〜9に示した第1例の構造の場合と同様の原理で、前記第二の被検出面18に近接対向させた前記両センサ9b、9bの出力信号同士の間の位相差比に基づいて、車輪支持用転がり軸受ユニット1の軸方向内端部に於ける、前記外輪3と前記ハブ4との上下方向の相対変位の方向及び大きさを求められる。
【0014】
尚、前述の図7〜9に示した第1例、及び、前述の図10〜11に示した第2例の場合には、何れも、前記車輪支持用転がり軸受ユニット1の列間上下変位zb{軸方向に関して両列同士の間に挟まれた所定の位置での、前記外輪3と前記ハブ4との上下方向の相対変位(列間ラジアル変位)}を、直接求める事ができる。これに対し、前述の図12〜14に示した第3例、及び、上述の図15に示した第4例の構造の場合には、何れも、前記車輪支持用転がり軸受ユニット1の列間上下変位zbを直接求める事はできないが、この車輪支持用転がり軸受ユニット1の軸端上下変位ze{軸方向端部での、前記外輪3と前記ハブ4との上下方向の相対変位(軸端ラジアル変位)}と、前記外輪3と前記ハブ4との中心軸同士の傾きφxとを、直接求める事ができる。この為、これら軸端上下変位zeと傾きφxとに基づいて、前記列間上下変位zbを算出する事ができる。即ち、図16に示す様に、前記軸端上下変位zeを求めた部分から、前記列間上下変位zbを求める部分までの軸方向距離をLとすると、「列間上下変位zb=軸端上下変位ze−L・sinφx」なる式が成立する。この為、この式を利用して、前記列間上下変位zbを算出する事ができる。尚、前述の図12〜14に示した第3例の構造に関して、エンコーダ8b及びセンサ9a1、9a2、9b1、9b2、9c1、9c2の配置箇所を列間に変更すれば、前記列間上下変位zbを直接求める事ができる様になる。
【0015】
上述した様な各複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の場合には、前記各転動体7、7に付与されている予圧が低下すると、センサ情報(位相差比、デューティ比)から外力(荷重、モーメント)を算出する際に利用する、所定の関係に関するゲイン特性が変化し、この外力の測定精度が低下する。従って、この様な測定精度の低下が実用上問題となる程度にまで進行する事に対する改善措置(前記演算器のメモリ中に記憶させた、前記所定の関係を表す式やマップの補正等)をできるだけ早期に実行できる様にする為に、前記予圧の低下状況を確認できる様にする事が好ましい。
【0016】
これに対して、特許文献4には、複列転がり軸受ユニットを構成する各転動体に付与されている予圧を推定可能な予圧推定装置に関する発明が記載されている。この予圧推定装置は、次の様な原理に基づいて、前記予圧を推定する。即ち、例えば、車輪支持用複列転がり軸受ユニットに外力が作用する事によって生じる、アキシアル方向変位(変位y)と傾斜角度(傾きφx)との比y/φxは、各転動体に付与されている予圧の大きさによって変化する他、タイヤの接地面から前記車輪支持用複列転がり軸受ユニットに入力されるアキシアル荷重(荷重Fy)が変化する事によっても変化する。従って、これら比y/φxと予圧とアキシアル荷重Fyとの間に成立する関係を予め求めておけば、このうちの比y/φxとアキシアル荷重Fyとを測定する事に基づいて、残りの予圧を推定する事ができる。
【0017】
ところが、この様な予圧推定装置の場合、前記アキシアル方向変位yと前記傾きφxとは、それぞれ前記予圧の変化に伴って変化するのに対し、前記アキシアル荷重Fyを算出する為に利用する式或いはマップは、前記予圧の変化に伴って変化しない(この予圧が変化する前の状態で求められたものである)。この為、前記予圧の推定精度を十分に確保できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2007−225106号公報
【特許文献2】特開2006−317420号公報
【特許文献3】特開2008−64731号公報
【特許文献4】特開2007−132918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、複列転がり軸受ユニットに作用するアキシアル荷重を求める事なく、この複列転がり軸受ユニットを構成する各転動体に付与されている予圧を推定できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置及び予圧推定装置付複列転がり軸受ユニットのうち、請求項1に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置は、内周面に複列の外輪軌道を有する外径側軌道輪部材と、外周面に複列の内輪軌道を有する内径側軌道輪部材と、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間に、両列同士の間で互いに逆向きの接触角を付与された状態で、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備えた複列転がり軸受ユニット(主として、使用時に、ラジアル荷重と、前記両軌道輪部材の中心軸に対して径方向にずれた位置から入力されるアキシアル荷重とが作用するもの)を対象として、これら各転動体に付与されている予圧を推定する為に使用する。
特に、請求項1に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置の場合には、列間ラジアル変位測定手段と、予圧推定手段とを備える。このうちの列間ラジアル変位測定手段は、軸方向に関して前記両列同士の間に挟まれた所定の位置での前記外径側軌道輪部材と前記内径側軌道輪部材との径方向の相対変位である、列間ラジアル変位を測定する。又、前記予圧推定手段は、前記列間ラジアル変位測定手段が測定した前記列間ラジアル変位に基づいて、前記各転動体に付与されている予圧を推定する。
【0021】
この様な請求項1に記載した発明を実施する場合には、例えば、請求項2に記載した発明の構成を採用できる。この請求項2に記載した発明の場合、前記予圧推定手段は、前記列間ラジアル変位測定手段による前記列間ラジアル変位の測定データにノイズを低減する為のフィルタ処理(例えば、1秒以下の移動平均処理)を施して取得される処理データであって、所定期間に取得されるものの最小値を、繰り返し訪れるこの所定期間が経過する度に記録し、且つ、この様に記録した最小値の所定個数分の移動平均値の変化に基づいて、前記予圧を推定する。
この様な請求項2に記載した発明を実施する場合には、例えば、請求項3に記載した発明の様に、前記複列転がり軸受ユニットを、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の車輪支持用複列転がり軸受ユニットとし、前記所定期間を、前記自動車のイグニッションスイッチがONになってからOFFになるまでの期間とする。尚、この場合に、前記最小値の移動平均値を求める際のデータ数(前記所定個数)を、例えば300〜500個程度とする。
【0022】
上述の様な請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した発明の構成を採用する。この請求項4に記載した発明の場合、前記列間ラジアル変位測定手段は、エンコーダと、センサとを備える。このうちのエンコーダは、その特性を円周方向に関して交互に変化させた被検出面を有しており、前記外径側軌道輪部材と前記内径側軌道輪部材とのうちの一方の軌道輪部材で、使用時に回転する回転側軌道輪部材の一部に、前記被検出面をこの回転側軌道輪部材と同心に配置した状態で支持固定される。又、前記センサは、前記外径側軌道輪部材と前記内径側軌道輪部材とのうちの他方の軌道輪部材で、使用時にも回転しない静止側軌道輪部材の一部に支持された状態で、その検出部を前記エンコーダの被検出面に対向させる。そして、前記列間ラジアル変位測定手段は、前記センサの出力信号を利用して、前記列間ラジアル変位を求める。
【0023】
又、請求項5に記載した予圧推定装置付複列転がり軸受ユニットは、内周面に複列の外輪軌道を有する外径側軌道輪部材と、外周面に複列の内輪軌道を有する内径側軌道輪部材と、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間に、両列同士の間で互いに逆向きの接触角を付与された状態で、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備えた複列転がり軸受ユニット(主として、使用時に、ラジアル荷重と、前記両軌道輪部材の中心軸に対して径方向にずれた位置から入力されるアキシアル荷重とが作用するもの)と、上述した請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置とを備える。
【発明の効果】
【0024】
上述の様な構成を有する、本発明の複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置及び予圧推定装置付複列転がり軸受ユニットによれば、複列転がり軸受ユニットに作用するアキシアル荷重を測定する事なく、この複列転がり軸受ユニットの列間ラジアル変位を測定する事によって、この複列転がり軸受ユニットを構成する各転動体に付与されている予圧を推定する事ができる。この点に就いて、図1〜4を参照しつつ説明する。
【0025】
例えば、図1に示す様な、自動車の車輪支持用複列転がり軸受ユニット1に就いて考える。自動車の走行中に、この車輪支持用複列転がり軸受ユニット1には、タイヤ19と路面20との接触部である接地面を介して、ラジアル荷重Fz(上下方向軸であるz軸方向の荷重)とアキシアル荷重Fy(左右方向軸であるy軸方向の荷重)とが作用する。このうちのラジアル荷重Fzは、車体に作用する重力等に基づいて作用し、前記アキシアル荷重Fyは、旋回走行時に発生する遠心力に基づいて作用する。従って、このアキシアル荷重Fyの方向及び大きさは、旋回走行時に発生する遠心力の向き及び大きさによって変化するが、これに伴い、前記ラジアル荷重Fzの大きさも、例えば図2に示す様に変化する。この理由は、旋回走行に伴って車体重心が旋回軌道の外周側に移動する事により、各車輪が支承する車体重量に変化が生じる為である。又、前記接地面は、外輪3及びハブ4の中心軸に対して下方にオフセットした(径方向にずれた)位置に存在する。この為、前記アキシアル荷重Fyは、前記外輪3と前記ハブ4とをy軸方向に相対変位させる(純)アキシアル荷重Fyとして作用する他、前記外輪3と前記ハブ4との中心軸同士を傾斜させる(前後方向軸であるx軸と平行な軸を中心として、傾きφxを生じさせる)モーメントMxとして作用する。
【0026】
従って、前記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の列間上下変位zb{軸方向に関して両列同士の間に挟まれた所定の位置での、前記外輪3と前記ハブ4との上下方向(径方向)の相対変位(列間ラジアル変位)}は、前記ラジアル荷重Fzによって生じた列間上下変位と、前記アキシアル荷重Fyによって生じた(前記モーメントMxによって生じた傾きφxに基づく)列間上下変位とが、足し合わされたものとなる。又、この様な列間上下変位zbは、前記各荷重Fz、Fyの方向及び大きさによって変化するだけでなく、各転動体7、7に付与されている予圧の大きさによっても変化する。この理由は、この予圧が大きく(又は小さく)なると、前記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の剛性が高く(又は低く)なって、前記列間上下変位zbが生じにくく(又は生じ易く)なる為である。
【0027】
図3は、前記列間上下変位zbと前記アキシアル荷重Fyと前記予圧との関係を示している。この図3に示す様に、前記列間上下変位zbは、前記アキシアル荷重Fy=0付近で最小値をとる。又、この列間上下変位zbの最小値は、同図及び図4に示す様に、前記予圧が大きくなる程小さくなり、この予圧が小さくなる程大きくなる。従って、前記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1を組み付けた自動車の出荷時やメンテナンス時等に、前記列間上下変位zbの最小値の測定を行えば、予め用意しておいた図3〜4の関係を利用して、前記予圧を推定する事ができる。
【0028】
尚、自動車の運転時には、この自動車の走行状態が、「左旋回」⇔「直進」⇔「右旋回」と言った様に適宜切り換わる為、これに伴って、前記アキシアル荷重Fyの値も、「Fy<0」⇔「Fy=0」⇔「Fy>0」と言った様に変化する。従って、自動車の運転時に、前記列間上下変位zbを監視測定(モニタリング)すれば、この列間上下変位zbの最小値(「Fy=0」付近での値)を検知する事ができる。尚、この様にして列間上下変位zbの最小値を検知する為には、自動車の運転時に、この自動車の走行状態が、少なくとも1回、「直進」(「Fy=0」)を跨ぐ様に変化する必要がある。そして、この様な変化が実際に行われたか否かは、自動車に搭載された操舵角センサやヨーレートセンサ等の既存設備の情報に基づいて確認する事ができる。
【0029】
尚、図3〜4に示した様な列間上下変位zbの最小値と予圧との関係は、前記アキシアル荷重Fyが零(Fy=0)の状態に於ける前記ラジアル荷重Fzの大きさによって変化する。一方、かかる状態に於けるラジアル荷重Fzの大きさは、車両積載量(搭乗者及び荷物の総重量)の変化や旋回以外の車両運動状態(加減速、路面のうねりや段差による上下運動等)の変化が生じる事によって変化する。従って、上述した様な予圧推定作業は、車両積載量の変化や旋回以外の車両運動状態の変化が生じない様にしながら行う必要がある。
以上の様に、本発明によれば、前記アキシアル荷重Fyを測定する事なく、前記列間ラジアル変位測定手段により前記列間上下変位zb(の最小値)を測定する事によって、前記予圧推定手段により前記予圧を推定する事ができる。
【0030】
又、請求項2〜3に記載した発明の場合には、車両積載量の変化や旋回以外の車両運動状態の変化が生じる様な状況下、即ち、前記アキシアル荷重Fyが零(Fy=0)の状態に於ける前記ラジアル荷重Fzの大きさが変化する様な状況下でも、十分に実用性のある予圧推定を行える。この点に就いて、上述した図1〜4に加えて、図5〜6を参照しつつ説明する。
【0031】
以上の説明からも分かる様に、前記列間上下変位zbの最小値は、前記予圧の大きさによって変化する他、車両積載量の変化や旋回以外の車両運動状態の変化が生じる事によっても変化する。このうちの予圧は、前記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1を構成する各部材が経年変形する事に基づいて低下し、その低下の仕方は、緩徐であると共に、自動車の走行距離に応じて大きくなる。これに対して、車両積載量の変化や旋回以外の車両運動状態の変化は、不規則なものとなる。この為、前記列間上下変位zbの最小値の変化の仕方も、車両積載量の変化や旋回以外の車両運動状態の変化の仕方に起因して、不規則なものとなる。但し、この様な列間上下変位zbの最小値の変化の仕方は、短期的に見れば、全く不規則になるが、長期的に見れば、或る程度規則正しくなる。
【0032】
即ち、上述した様に、車両積載量の変化や旋回以外の車両運動状態の変化は、不規則なものとなる。この為、例えば、自動車のイグニッションスイッチがONになってからOFFになるまでの間(所定期間)の列間上下変位zbの最小値(下記の※1参照)を測定し、その測定結果を当該所定期間が経過する度に1つずつ記録すると、その記録結果は、短期的に見ると、図5に示す様に、全く不規則になる。[※1:図5に示した前記列間上下変位zbの最小値の各測定結果は、前記列間ラジアル変位測定手段による測定データそのものではなく、この測定データにノイズを低減する為のフィルタ処理(例えば、1秒以下の移動平均処理)を施して取得された処理データを表している。前記測定データではなく、この様な処理データを使用する理由は、前記所定期間内での突発的なデータの影響を極力排除できる様にする為である。次述する図6に就いても同じ。]
【0033】
但し、車両積載量や旋回以外の車両運動状態の変化の仕方は、各ユーザーの日常生活に於ける自動車の利用パターンが決まっている為、ほぼ一定になる。即ち、各ユーザー毎に、日常生活に於ける自動車の利用率(例えば、1日に平均2、3回)、利用経路(例えば、通勤経路、買い物経路)、運転の仕方等が決まっている為、車両積載量や旋回以外の車両運動状態の変化の仕方は、ほぼ一定になる。この為、前記所定期間毎に測定した列間上下変位zbの最小値の記録結果は、長期的に見ると、図6に示す様に、ばらつき幅をほぼ一定に保ちつつ、直線的に右肩上がりになる。この様に直線的に右肩上がりになる理由は、前記予圧の低下に伴って、前記列間上下変位zbの最小値の平均値が、自動車の走行距離に応じて緩徐に大きくなる為である。
【0034】
従って、図6に示した各測定結果の所定個数(例えば300〜500個程度)分の移動平均値を求めると、この移動平均値は、同図に実線αで示す様に、右肩上がりに変化する。この実線αで表した移動平均値の変化は、前記予圧の変化度合いを示すものである。従って、この実線αで表した移動平均値の変化に基づいて、前記予圧を推定する事ができる。具体的には、これら移動平均値の変化量と予圧の変化量との関係を事前に調べておく。そして、この関係を利用して、前記移動平均値の変化量から、前記予圧の変化量を求める。そして、この予圧の変化量を、事前に調べておいた予圧の初期値(工場出荷時の値)から差し引く事により、その時点での予圧を推定できる。
【0035】
尚、図6に示す様に、実線αで表した移動平均値は、前記所定個数(例えば300〜500個程度)分の測定結果が得られるまでの間(P点以前)は取得できない。但し、その間の予圧低下量は僅少であるから、実用上問題とはならない。因みに、前記実線αは、ほぼ比例直線となる為、演算器による演算処理によって、使用開始時点を含むP点以前の区間の移動平均値(に相当する値)を事後的に求める事はできる。即ち、一応は、使用開始時点から予圧推定を行う時点までの間の移動平均値の変化量を求める事ができる。
上述の様に請求項2〜3に記載した発明は、列間上下変位zbの最小値の移動平均値の変化に基づいて予圧の推定を行う為、前記ラジアル荷重Fzが比較的大きく変化する様な状況下でも、十分に実用性のある予圧推定を行える。
【0036】
又、請求項4に記載した発明の場合には、前記列間ラジアル変位測定手段を備えた複列転がり軸受ユニットとして、前述の特許文献1〜4等に記載された、複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置を使用する事ができる。そして、前記予圧推定手段により推定した予圧に基づいて、センサ情報から荷重等の物理量を算出する際に利用する、所定の関係を表す式やマップの補正を行う事ができる。この結果、予圧の低下に拘らず、物理量測定の信頼性を長期間維持できる物理量測定装置を実現する事ができる。尚、推定した予圧に基づいて前記式やマップの補正を行う方法に就いては、前記特許文献4等に具体的に記載されており、本発明の特徴とも関係しないから、詳しい説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施状況を説明する為の、車輪支持用複列転がり軸受ユニットの組み付け状況の1例を示す略断面図。
【図2】車輪支持用複列転がり軸受ユニットに作用するラジアル荷重Fzとアキシアル荷重Fyとの関係を示す線図。
【図3】アキシアル荷重Fyと列間上下変位zbと予圧との関係を示す線図。
【図4】予圧と列間上下変位zbとの関係を示す線図。
【図5】列間上下変位zbに関する短期間分の測定記録結果を示すグラフ。
【図6】同じく長期間分の測定記録結果を示すグラフ。
【図7】複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第1例を示す断面図。
【図8】この第1例に組み込むエンコーダの斜視図。
【図9】要部を取り出して示す、図7のA−A断面図。
【図10】複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第2例を示す断面図。
【図11】この第2例に組み込むエンコーダの円輪部を軸方向から見た図。
【図12】複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第3例を示す断面図。
【図13】この第3例に組み込むエンコーダの一部を径方向から見た図。
【図14】この第3例の模式図。
【図15】複列転がり軸受ユニットの物理量測定装置の第4例を示す断面図。
【図16】軸端上下変位zeと傾きφxとに基づいて列間上下変位zbを算出できる原理を説明する為の、複列転がり軸受ユニットの半部断面を示す略図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の特徴は、列間ラジアル変位測定手段により測定した列間ラジアル変位に基づいて、予圧推定手段が、前述の[発明の効果]の欄で説明した様にして、複列転がり軸受ユニットを構成する各転動体に付与されている予圧を推定する点にある。本発明を実施する場合に必要となる、列間ラジアル変位測定手段を備えた複列転がり軸受ユニットとしては、例えば、前述の図7〜15に示したもの等、従来から知られている、各種物理量測定装置付転がり軸受ユニットを使用する事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、自動車の車輪支持用の複列転がり軸受ユニットに限らず、各種用途で使用される複列転がり軸受ユニットに適用して実施する事ができる。
又、複列転がり軸受ユニットを構成する転動体は、アキシアル方向に力を加える事により予圧を付与されるものであれば、玉に限らず、円筒ころ、円すいころ、球面ころであっても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 車輪支持用複列転がり軸受ユニット
2、2a、2b、2c 物理量測定装置
3 外輪
4 ハブ
5 外輪軌道
6 内輪軌道
7 転動体
8、8a、8b、8c エンコーダ
9、9a1、9a2、9b1、9b2、9c1、9c2、9a、9b センサ
10、10a、10b、10c 透孔
11、11a、11b、11c 柱部
12 円輪部
13、13a 円筒部
14 カバー
15 第一特性変化部
16 第二特性変化部
17 第一の被検出面
18 第二の被検出面
19 タイヤ
20 路面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に複列の外輪軌道を有する外径側軌道輪部材と、外周面に複列の内輪軌道を有する内径側軌道輪部材と、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間に、両列同士の間で互いに逆向きの接触角を付与された状態で、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備えた複列転がり軸受ユニットを対象として、これら各転動体に付与されている予圧を推定する為に使用する複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置であって、軸方向に関して前記両列同士の間に挟まれた所定の位置での前記外径側軌道輪部材と前記内径側軌道輪部材との径方向の相対変位である列間ラジアル変位を測定する列間ラジアル変位測定手段と、この列間ラジアル変位測定手段が測定した前記列間ラジアル変位に基づいて前記各転動体に付与されている予圧を推定する予圧推定手段とを備えている事を特徴とする複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置。
【請求項2】
前記予圧推定手段は、前記列間ラジアル変位測定手段による前記列間ラジアル変位の測定データにノイズを低減する為のフィルタ処理を施して取得される処理データであって、所定期間に取得されるものの最小値を、繰り返し訪れるこの所定期間が経過する度に記録し、且つ、この様に記録した最小値の所定個数分の移動平均値の変化に基づいて、前記予圧を推定するものである、請求項1に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置。
【請求項3】
前記複列転がり軸受ユニットが、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の車輪支持用複列転がり軸受ユニットであり、前記所定期間が、前記自動車のイグニッションスイッチがONになってからOFFになるまでの期間である、請求項2に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置。
【請求項4】
前記列間ラジアル変位測定手段は、前記外径側軌道輪部材と前記内径側軌道輪部材とのうちの一方の軌道輪部材で、使用時に回転する回転側軌道輪部材の一部に支持固定された、この回転側軌道輪部材と同心でその特性を円周方向に関して交互に変化させた被検出面を有するエンコーダと、前記外径側軌道輪部材と前記内径側軌道輪部材とのうちの他方の軌道輪部材で、使用時にも回転しない静止側軌道輪部材の一部に支持された、その検出部を前記エンコーダの被検出面に対向させたセンサとを備えると共に、このセンサの出力信号を利用して前記列間ラジアル変位を求めるものである、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置。
【請求項5】
内周面に複列の外輪軌道を有する外径側軌道輪部材と、外周面に複列の内輪軌道を有する内径側軌道輪部材と、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間に、両列同士の間で互いに逆向きの接触角を付与された状態で、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備えた複列転がり軸受ユニットと、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧推定装置とを備えた、予圧推定装置付複列転がり軸受ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−107661(P2012−107661A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255471(P2010−255471)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】