解体方法
【課題】コンクリート構造物を効率的に解体する解体方法を提供する。
【解決手段】本発明の解体方法は、コンクリート構造物である柱1を外面から穿孔し、柱1を分断する分断部3で、柱1の外面から内部へと向かって孔部11、孔部12を形成する工程と、孔部11、孔部12に、線状爆薬13を配置する工程と、線状爆薬13による発破を行い、柱1のコンクリート5を分断部3で分断する工程と、を具備する。分断部3で、分断方向に沿った分断面の外周部に軸方向鉄筋7や帯筋9の鉄筋が配置されているとき、孔部11、孔部12は、分断部3で、分断面の外周部の鉄筋の内側近傍部分14と、分断面の内部に設けることができる。
【解決手段】本発明の解体方法は、コンクリート構造物である柱1を外面から穿孔し、柱1を分断する分断部3で、柱1の外面から内部へと向かって孔部11、孔部12を形成する工程と、孔部11、孔部12に、線状爆薬13を配置する工程と、線状爆薬13による発破を行い、柱1のコンクリート5を分断部3で分断する工程と、を具備する。分断部3で、分断方向に沿った分断面の外周部に軸方向鉄筋7や帯筋9の鉄筋が配置されているとき、孔部11、孔部12は、分断部3で、分断面の外周部の鉄筋の内側近傍部分14と、分断面の内部に設けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は解体方法に関する。より詳しくは、爆薬を用いて構造物を解体する解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば鉄筋コンクリートなど、コンクリート構造物を解体する方法には、大型ブレーカーやコンクリート圧砕機を用いた解体方法がある。これにより、比較的効率よく鉄筋コンクリートをガラ状に砕き、コンクリートを鉄筋と分別して解体できる。
【0003】
さらに、円盤ブレード(ウォールソー)やワイヤーソーなどのダイヤモンド切断工法も用いられ、圧砕機が噛み砕けない大断面の部材をブロック状に切断することができ、コンクリート片の飛散を抑制できる。また、低騒音・低水使用の工法も開発されている。
【0004】
一方、構造物に穿孔して爆薬を装てんし、発破することによりコンクリート構造物を破砕する発破工法が知られている。
【0005】
海外では、建築物全体をダイナマイトなどの爆薬を用いて一気に倒壊させる工法が採用されており、国内においても数例の実績がある。
【0006】
これに対し、ミニブラスティングあるいは制御発破と称する、部材単位で破砕する工法もあり、特許文献1〜3にその例が記載されている。これは、柱や梁などの部材において、破砕したい箇所に1〜数箇所の孔を開け、爆薬を装薬して発破し、当該箇所でコンクリートを破砕し解体する工法である。
【0007】
さらに微小量の爆薬を用いた発破を行うことも試みられており、弱雷管を無筋モルタル試験体の中央部に1箇所埋め込み、マイクロ波照射による起爆発破を試みた実験結果が、非特許文献1で報告されている。
【0008】
また、非特許文献2や特許文献4に、爆薬を線状に配置して部材を切断する方法として、ノイマン効果を利用した成形爆薬を利用する例があり、床スラブ等への適用について言及されている。
【0009】
その他の解体方法として、鉄筋を電気加熱するものや、プラズマやレーザー、マイクロ波等を用いるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−307038号公報
【特許文献2】特開2004−293260号公報
【特許文献3】特開2005−179924号公報
【特許文献4】特開2007−16432号公報
【非特許文献1】緒方雄二、久保田士郎、和田有司、橋爪清、“微小爆源による破壊制御技術の検討”、資源・素材学会春季大会講演集、2005、p.95〜p.96
【非特許文献2】緒方雄二、丁佑鎮、久保田士郎、和田有司、“コンクリート切断用の成形爆薬の開発とモルタル供試体の切断実験”、土木学会第59回年次学術講演会講演概要集、2004、p.617〜p.618
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、大型ブレーカーやコンクリート圧砕機を用いた解体方法では、騒音や粉塵、振動が発生する。また、基礎梁、フーチング、耐圧版など大断面の部材を噛み切れないときは、大型ブレーカーで大割する必要があるが、大きな騒音と振動が発生し、近隣等に迷惑を生じる恐れもある。さらに、重機が動き回るためのスペースが必要になる。狭い工事や地下解体では大型重機が入れないことがあり、効率が極端に落ちる。
【0012】
また、円盤ブレード(ウォールソー)やワイヤーソーなどのダイヤモンド切断工法は、非常に高コストとなる。また、切断工具のセッティング、切断のための事前作業(例えばワイヤーソーの場合、地下壁や基礎梁ではワイヤーを通すためのコアボーリングが必要になる)や切断に時間がかかる問題もある。さらに、大断面の部材を円盤ブレードで切断する場合には、大型のブレードを用いる必要があるが、機械セッティングの手間がかかるうえに切り残し部分も多くなるため、作業の効率が落ちる。
【0013】
また、鉄筋コンクリート構造物には通常外周部に多くの鉄筋が配置されており、発破工法を用いてこれを破砕する際には鉄筋による抵抗を受ける。
【0014】
また、構造物全体を一回の発破によって倒壊させる工法は、大きな発破音や振動、爆風が発生するとともに粉塵や破片の飛散等への対策も必要で、特に都心等の密集地ではほとんど実施不可能である。
【0015】
ミニブラスティング(制御発破)による部材発破は、一般に30〜50mm程度の径の穿孔が必要であり、穿孔時には、鉄筋等に干渉する可能性が高くなる。また、削岩機やクローラドリルなどの油圧機械が必要な場合もありコストが高くなる。さらに騒音の問題もある。
【0016】
また、発破の際には大きな爆音や振動、爆風が発生し近隣への騒音等の影響が大きくなる。また、飛散防止のため発破部分に施す養生措置が、防爆シートの上に金属性メッシュ養生を重ねる等大掛かりになることなどがコスト等の問題となる。
【0017】
さらに、通常この方法では、1つの部材あたりの装薬箇所が1〜数箇所と少なく、しかも部材断面寸法に対して装薬される爆薬の長さが短いため、事実上爆源は点状に配置されることになり、爆源から部材の最小抵抗線方向に円錐状に部材(コンクリート部分)が破砕される発破形態とならざるを得ない。
【0018】
しかし、そもそもコンクリート部材を分断するためには、コンクリートの一部を破片状に粉砕する必要はなく、コンクリートの一断面に亀裂を貫通させれば十分である。従って、上述の従来技術では部材分断のために無駄なエネルギーを消費していることになり、非効率的である。
【0019】
さらに、発破の際には、爆薬として一定量の爆薬が爆薬包に装填された工場生産品(加工品)を用いるが、爆薬量が固定されるので、コンクリート強度や鉄筋量などの断面性状や装薬位置により発破に必要なエネルギー量が異なる場合でも爆薬量の微調整ができない。この点でも非効率的な発破となり、無駄な爆薬消費が生じているという問題がある。
【0020】
また、非特許文献1に示されるような微小爆薬を用いた実験では、弱雷管を無筋モルタル試験体の中心部にセットし、モルタル試験体を粉砕することが確認されているが、より大きな破壊エネルギーを必要とする鉄筋コンクリート部材の切断や破砕への応用のための手法については明らかにされていない。
【0021】
また、非特許文献2に示されるような成形爆薬を用いた方法では、成形爆薬を床スラブなどの部材表面に設置するため、爆源が大気中に露出しており、大きな爆音や爆風が空気中を直接伝播する点が問題である。また、成形爆薬によって鉄骨構造物は切断できるが、床スラブなどのコンクリート構造物に成形爆薬を表面設置して発破を試みても、クレータ状の表層破砕が生じるだけで切断には至らない。
【0022】
また、鉄筋電気加熱や、プラズマ、レーザー、マイクロ波等を用いたその他の方法は、いずれも設備が大掛かりとなり現場内での実用性に劣り、非経済的であるという問題がある。
【0023】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、コンクリート構造物を効率的に解体する解体方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前述した目的を達するために第1の発明は、コンクリート構造物を解体する解体方法であって、前記コンクリート構造物を外面から穿孔し、前記コンクリート構造物を分断する分断部で、前記外面から内部へと向かって孔部を複数形成する工程と、前記孔部に、線状に爆薬を配置する工程と、前記爆薬による発破を行い、前記コンクリート構造物のコンクリートを前記分断部で分断する工程と、を具備することを特徴とする解体方法である。
【0025】
また、前記分断部で、分断方向に沿った分断面の外周部には鉄筋が配置され、前記孔部は、前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍と、前記分断面の内部に、それぞれ設けられ、前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記分断面の外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕するとともに、前記分断部の内部のコンクリートに亀裂を貫通させるようにすることができる。
【0026】
このとき、前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍の孔部に設けられる爆薬の量は、前記分断面の内部の孔部に設けられる爆薬の量よりも大きくすることができる。
【0027】
また、前記孔部のそれぞれに配置する前記爆薬の量は、50g以下とすることが望ましい。
【0028】
さらに、前記孔部の断面の大きさは、その直径が20mm以下となるようにすることができる。
【0029】
また、前記爆薬は、前記孔部において、前記外面から所定距離離れた位置より奥の位置に配置し、前記孔部において前記外面から前記所定距離には、込物を配置することが望ましい。
【0030】
さらに、前記孔部は、前記分断部で、分断方向に沿った分断面の辺の方向に設け、前記孔部の深さは、前記孔部の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または前記辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0031】
また、前記爆薬は、電気雷管と導爆線により作成される線状爆薬とすることができる。
【0032】
加えて、前記コンクリート構造物で、前記分断部より部材外側には鉄筋が配置され、前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記鉄筋より部材内側で、前記分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるようにしてもよい。
【0033】
このとき、前記孔部は、前記鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することが好ましい。
【0034】
また、前記孔部を形成する際は、分断方向に沿った分断面の外周部に鉄筋が配置される第1の分断部と、部材外側に鉄筋が配置される第2の分断部で、孔部を複数形成し、前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記第1の分断部、第2の分断部で発破を行い、前記第2の分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるとともに前記第1の分断部の分断面の内部のコンクリートに亀裂を貫通させ、分断されたコンクリートを前記コンクリート構造物の外面の方向に押し出すこともできる。
【0035】
上記の構成により、分断部で線状の爆薬を複数に均等に分散して配置することができる。この際、例えば爆薬を配置する孔部の深さを、孔部の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。また、分断面の外周部に鉄筋が配置されている場合には、外周部の鉄筋の内側近傍と、分断面の内部に爆薬を配置し、前記分断面の外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕するとともに、前記分断部の内部のコンクリートに亀裂を貫通させることができる。この際、外周部の鉄筋の内側近傍で内部よりも多くの爆薬量を配置するようにすることができる。また、コンクリート構造物で、鉄筋より部材内側に分断部を設定し、爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、鉄筋より部材内側で、分断部のコンクリートに亀裂を貫通させることもできる。この際、孔部は、鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することができる。さらに、孔部を形成する際は、分断方向に沿った分断面の外周部に鉄筋が配置される第1の分断部と、部材外側に鉄筋が配置される第2の分断部で、孔部を複数形成し、爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、第1の分断部、第2の分断部で発破を行い、第2の分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるとともに第1の分断部の分断面の内部のコンクリートに亀裂を貫通させ、分断されたコンクリートをコンクリート構造物の外面の方向に押し出すこともできる。
【0036】
このように、分断部で線状の爆薬を複数適切に配置することで、爆薬の持つエネルギーがコンクリートの亀裂発生と破砕に無駄なく使用され、最小限の爆薬量の使用で、例えば各孔部で50g以下の使用量で、部材を効率的に分断することができる。また、孔部には線状の爆薬を少量配置するので、孔部の断面の大きさも小さくでき、例えばその直径を20mm以下とすることができる。このため、大がかりな機械が不要で、騒音や振動、粉塵が少なくなる。また、穿孔の際に鉄筋と干渉する可能性も小さくなる。また、孔部を鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することにより、鉄筋の位置が分かるので鉄筋と干渉する可能性が更に少なくなる。これにより、穿孔コストも少なくてすむ。加えて、粉塵や飛石の飛散が抑制されるので、発破時の養生も防爆シート等をかぶせるだけでよく、作業性も向上する。さらに、使用する爆薬を電気雷管と導爆線により作成される線状爆薬とすることで、コンクリート強度等の部材断面性状に応じて、導爆線の長さを調節して爆薬量の微調整を容易に行うことが可能になり、過剰な爆薬量で発破を行うことがなくなる。従って、従来のミニブラスティング(制御発破)による部材発破に比べ、より効率的にコンクリート構造物の解体を行うことができる。
また、大型ブレーカー使用時に比べ狭いスペースでの作業が可能で、騒音や振動を小さくすることができ、騒音や振動の発生も一瞬だけに抑制することができる。さらに、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べ、所要時間やコストも抑えられる。また、小径の孔部に爆薬を配置したのち、込物で孔部を封じることにより、部材内部での発破となり、成形爆薬等を部材表面に配置する場合に比べ、騒音や振動、粉塵、爆風の発生を大幅に抑制することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、コンクリート構造物を効率的に解体する解体方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図2】第1の実施形態の解体方法を示す図
【図3】第1の実施形態の解体方法を示す図
【図4】線状爆薬の例を示す図
【図5】第1の実施形態の解体方法を示す図
【図6】第2の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図7】第2の実施形態の解体方法を示す図
【図8】第2の実施形態の解体方法を示す図
【図9】第3の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図10】第3の実施形態の解体方法を示す図
【図11】第3の実施形態の解体方法を示す図
【図12】第3の実施形態の解体方法を示す図
【図13】第4の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図14】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図15】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図16】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図17】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図18】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図19】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図20】第4の実施形態の解体方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下図面を用いて、本発明の解体方法の実施形態について説明する。
【0040】
まず、図1から図5を用いて、本発明の解体方法の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図1に示すような鉄筋コンクリート構造の柱を解体する場合を例にとり説明する。
【0041】
即ち、本実施形態の解体方法では、図1(a)に示す柱1の、部材を分断したい任意の分断部3において、爆薬を複数線状に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕して、水平方向に分断する。
【0042】
図1(b)は、爆薬を装填する分断部3で、分断方向(水平方向)に沿った分断面を図1(a)の矢印Aの方向に見た断面図である。柱1は、コンクリート5と、柱軸方向に設けられる軸方向鉄筋7と、軸方向鉄筋7を柱軸方向と直交する水平方向の断面(分断部3の分断面)において囲むように設けられる帯筋9とにより構成されるものとする。
【0043】
本実施形態の解体方法では、まず、図2(a)に分断部3の分断面を、図2(b)に分断部3の内部をそれぞれ示すように、ハンマードリル等を用いて柱1を分断部3で柱1の外面から穿孔し、柱1の外面から柱1の内部へと向かう孔部11、孔部12を分断部3に形成する。孔部11や孔部12は、軸方向鉄筋7や帯筋9に干渉しないように設ける。
【0044】
孔部11、孔部12はそれぞれ分断部3の分断面の直交する2辺の方向に向かって設けられる。孔部11は、図2(a)の縦方向で示す分断面の縦方向に向かって設けられる。孔部12は図2(a)の横方向で示す分断面の横方向に向かって設けられる。
【0045】
図2に示すように、孔部11は、分断面の横方向に沿って、分断面の横方向の長さ等に応じて、適切な間隔をあけて複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0046】
横方向の両端部の孔部11は、分断面の外周部に設けられた鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍で縦方向に向かって設けられる。その間に設けられる孔部11は、分断面の内部で適切な間隔で縦方向に向かって設けられる。
【0047】
孔部12は、分断面の縦方向の両端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍で横方向に向かって設けられる。なお、孔部12は孔部11に干渉しないように、柱軸方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0048】
後述するが、各孔部には爆薬を線状に少量配置するので、その断面を小径化することができる。本実施形態では、孔部11、孔部12の断面の大きさは、直径が20mm以下となるようにすることができる。また、孔部11、孔部12の深さは、分断面において、孔部11、孔部12の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0049】
続いて、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置等に応じて必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、図3(a)に分断部3の分断面を、図3(b)に分断部3の内部をそれぞれ示すように、線状爆薬13を孔部11、孔部12にセットする。線状爆薬13は、各孔部で柱1の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットする。
【0050】
線状爆薬13は、図4に示すように、脚線が接続する電気雷管15を導爆線17にテープ等で固定するなどして、電気雷管15と導爆線17により作成される。爆薬量は、導爆線17の長さを調節することにより自由に調整できる。爆薬は、予め火薬工場等で製作することもできるし、現場での発破結果を確認しながら現場内の火工所でも容易に作成できるので、爆薬量を容易にコントロールし、各孔部に配置する爆薬量を必要最小限とすることができる。なお、部材の断面が小さい場合には、電気雷管15のみとする場合もある。
【0051】
本実施形態において、孔部11、孔部12で分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍部分14では、それ以外の、分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば2倍程度の爆薬量を装填する。また、孔部11、孔部12に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0052】
また、孔部11、孔部12で、柱1の外面から所定距離、例えば外面から200mm程度の位置には、砂等の込物19を詰め、柱1の外面の孔部11、孔部12の開口部でタンピングを行う。なお、結線のため、電気雷管15の脚線は各孔部の外に出しておく。
【0053】
その後、電気雷管15を母線等を介して発破器に結線し、防爆シート等で発破箇所を覆って養生し、発破を行う。発破を行った後の、柱1の分断部3の近傍の状態の例を図5(a)に斜視図で、図5(b)に側面図で示す。
【0054】
発破時に発生する衝撃波の反射引張波と後ガスの膨張力によってコンクリート5に引張応力が連続して作用することにより、発破によって生じるエネルギーが分散することなく、分断部3内に集中的に作用し、最小量の爆薬でコンクリート5に亀裂21を貫通させることができる。
【0055】
また、分断面の外周部に配筋された鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍に、分断面の内部よりも相対的に大きい量の爆薬を線状に装薬、発破することによって、発破時の衝撃波およびガス圧によって線状爆源から最小抵抗線方向(鉄筋のコンクリートかぶり方向)に圧縮応力波が伝播、作用し、爆源から自由面(柱1の外面)までの部分のコンクリート5、即ち外周部の鉄筋周囲のコンクリート5を破砕、除去し、外周部の鉄筋が露出される。これにより、外周部の鉄筋を切断するための空間を形成し、鉄筋の切断作業が可能になる。
【0056】
これにより、分断部3においてコンクリート5が完全に分断しつつも、外周部の鉄筋(軸方向鉄筋7)を介してのみ柱1の部材がつながっている状態を作ることができる。
【0057】
次に、発破後に残った、部材をつなぐ鉄筋(軸方向鉄筋7)を、ガス溶断等により切断し、柱1の部材を分断する。この際、鉄筋周囲のコンクリート破片で、鉄筋の切断に支障になるものがあれば、ハンマー等で除去する。但し、爆薬を適正量セットすれば、コンクリートの破砕は最小限に収まるので、ほとんどこの作業は不要になる。
【0058】
その後、図5(c)に示すように、分断された部材をクレーン、油圧ショベル等により除去する。なお、図5(a)、図5(b)に示す状態で、通常の圧砕機でコンクリート5を噛み砕くこともできる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の解体方法によれば、部材を小割するように、発破による切断面を形成する。
【0060】
従って、大型ブレーカー使用時に比べ小さいスペースでの作業が可能で、騒音や振動を小さくすることができ、騒音や振動の発生も一瞬だけに抑制することができる。
【0061】
また、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べて、低コストかつ工期の短縮を図ることができる。発破解体の実験結果に基づいて、断面1.0m×1.0mのRC梁を、作業員2名で切断する場合のコストを試算したところ、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べ、断面切断の所要時間を約50%、材料コストを約70%削減できるという結果が得られた。
【0062】
また、本実施形態の解体方法では、複数設けた孔部のそれぞれに、爆薬を線状に少量配置するので、従来のミニブラスティング(制御発破)に比べて、穿孔径を小さくすることができ、例えば孔部の断面の大きさを直径20mm以下とできる。このため、大掛かりな機械が不要になり、騒音や振動、粉塵が少なくなる。また、穿孔の際に鉄筋と干渉する可能性も小さく、たとえ干渉したとしても径が小さいので逃げやすくなる。これにより、穿孔コストが少なくて済む。
【0063】
発破の際には、線状の爆薬を複数適切に配置し、最小量の爆薬の使用で、対象とする部材を最も効率的に破断することが可能である。即ち、必要最小限の爆薬を分断部の分断面でほぼ均等に分散して配置することができるので、発破エネルギーがコンクリートの亀裂発生と破砕に無駄なく使われ、爆薬使用量の最小化を図ることができ、例えば各孔部で50g以下、好ましくは30g以下の使用量とできる。このことは、騒音、振動、粉塵などの抑制、飛石の飛散抑制につながる効果があるばかりでなく、発破部の養生も防爆シート等をかぶせるだけで済むという効果が得られる。これらを含めて、解体工程全体で作業性の向上とコスト低減が可能である。
【0064】
さらに、使用する爆薬は爆薬量が一定の工場生産品(加工品)の場合と異なり、コンクリート強度や鉄筋量などの部材の断面性状に応じて、導爆線の使用長さを調整するだけで爆薬使用量を自由に微調整することができるので、必要以上の過剰な爆薬量で発破することがなくなる。
【0065】
また、本実施形態の解体方法では、小径の孔部に導爆線を装薬した後、砂等の込物で孔部を封じるため、部材内部での発破となり、成形爆薬等を部材表面に設置する場合に比べ、騒音や振動、粉塵、爆風等の発生を大幅に抑制することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の解体方法によれば、コンクリート構造物を効率的に解体することができる。
【0067】
続いて、本発明の解体方法の第2の実施形態について図6から図8を用いて説明する。第2の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図6に示すような鉄筋コンクリート構造の梁を解体する場合を例にとり説明する。
【0068】
即ち、本実施形態の解体方法では、図6(a)に示す梁30の、部材を切断したい任意の分断部31において、爆薬を複数線状に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕して、垂直方向に分断する。
【0069】
図6(b)は、爆薬を装填する分断部31で、分断方向(垂直方向)に沿った分断面を図6(a)の矢印Bの方向に見た断面図である。梁30は、コンクリート32と、梁軸方向に設けられる軸方向鉄筋33と、軸方向鉄筋33を梁軸方向と直交する垂直方向の断面(分断部31の分断面)において囲むように設けられる帯筋35とにより構成されるものとする。
【0070】
第2の実施形態の解体方法においても、まず、図7(a)に分断部31の分断面を、図7(b)に分断部31の内部をそれぞれ示すように、ハンマードリル等を用いて梁30を分断部31で梁30の外面から穿孔し、梁30の外面から梁30の内部へ向かう孔部37、孔部39を分断部31に形成する。孔部37や孔部39は、軸方向鉄筋33や帯筋35に干渉しないように設ける。
【0071】
孔部37、孔部39はそれぞれ分断部31の分断面の直交する2辺の方向に向かって設けられる。図7に示すように、孔部37は、分断面の高さ方向(図7(a)では縦方向)に向かって設けられる。孔部39は分断面の奥行き方向(図7(a)では横方向)に向かって設けられる。
【0072】
図7に示すように、孔部37は、分断面の奥行き方向に沿って、分断面の奥行き長さ等に応じて、適切な間隔をあけて複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0073】
奥行き方向の両端部の孔部37は、分断面の外周部に設けられた鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍で高さ方向に向かって設けられる。その間に設けられる孔部37は、分断面の内部で適切な間隔で高さ方向に向かって設けられる。
【0074】
孔部39は、分断面の高さ方向の両端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍で奥行き方向に向かって設けられる。なお、孔部39は孔部37に干渉しないように、梁軸方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0075】
第1の実施形態と同様、孔部37、孔部39の断面の大きさは、直径が20mm以下と小径となるようにすることができる。また、孔部37、孔部39の深さは、分断面において、孔部37、孔部39の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0076】
さらに、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置に応じて、必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、線状爆薬41を孔部37、孔部39にセットする。線状爆薬41は、各孔部で梁30の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットする。
【0077】
線状爆薬41は、第1の実施形態と同様、図4に示したような電気雷管と導爆線により作成されたものを使用することができる。爆薬量は導爆線の長さを調節することで自由に調整できる。爆薬は、予め火薬工場等で製作することもでき、また現場での発破結果を確認しながら現場内の火工所でも容易に作成でき、その爆薬量を容易にコントロールし、各孔部に配置する爆薬量を必要最小限とすることができる。なお、部材の断面が小さい場合には、電気雷管15のみとする場合もある。
【0078】
本実施形態でも、孔部37、孔部39で分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍部分45では、それ以外の、分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば2倍程度の爆薬量を装填する。また、孔部37、孔部39に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0079】
また、第1の実施形態と同様、孔部37、孔部39で、梁30の外面から所定距離、例えば外面から200mm程度の位置には、砂等の込物43を詰め、梁30の外面の孔部37、孔部39の開口部でタンピングを行う。第1の実施形態と同様、電気雷管の脚線は各孔部の外に出しておく。
【0080】
その後、電気雷管の脚線を母線等を介して発破器に結線し、防爆シート等で発破箇所を覆って養生し、発破を行う。発破を行った後の、梁30の分断部31の近傍の状態の例を図8(a)に斜視図で、図8(b)に側面図で示す。
【0081】
本実施形態でも、発破時に発生する衝撃波の反射引張波と後ガスの膨張力によってコンクリート32に引張応力が連続して作用することにより、発破によって生じるエネルギーが分散することなく、分断部31内に集中的に作用し、最小量の爆薬でコンクリート32に亀裂47を貫通させることができる。
【0082】
また、分断面の外周部に配筋された鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍に、分断面の内部よりも相対的に大きい量の爆薬を線状に装薬、発破することによって、発破時の衝撃波およびガス圧によって線状爆源から最小抵抗線方向(鉄筋のコンクリートかぶり方向)に圧縮応力波が伝播、作用し、爆源から自由面(梁30の外面)までの部分のコンクリート32、即ち外周部の鉄筋周囲のコンクリート32を破砕、除去し、外周部の鉄筋が露出される。これにより、外周部の鉄筋を切断するための空間を形成し、鉄筋の切断作業が可能になる。
【0083】
これにより、分断部31においてコンクリート32が完全に分断しつつも、外周部の鉄筋(軸方向鉄筋33)を介してのみ梁30の部材がつながっている状態を作ることができる。
【0084】
次に、発破後に残った、部材をつなぐ鉄筋(軸方向鉄筋33)を、ガス溶断等により切断し、梁30の部材を分断する。この際、鉄筋周囲のコンクリート破片で、鉄筋の切断に支障になるものがあれば、ハンマー等で除去する。第1の実施形態と同様、爆薬を適正量セットすれば、コンクリートの破砕は最小限に収まるので、ほとんどこの作業は不要になる。
【0085】
その後、図8(c)に示すように、分断された部材をクレーン、油圧ショベル等により除去する。なお、図8(a)や図8(b)に示す状態で、通常の圧砕機でコンクリート32を噛み砕くこともできる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の解体方法でも、分断部31に線状の爆薬を複数適切に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬でコンクリート構造物の部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕することができる。これにより、前述の実施形態と同様の効果が得られ、コンクリート構造物を効率的に解体することができる。
【0087】
次に、本発明の第3の実施形態について、図9から図12を用いて説明する。第3の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図9に示すような鉄筋コンクリート構造の大断面の部材50を解体する場合を例にとり説明する。
【0088】
即ち、本実施形態の解体方法では、図9(a)に示す大断面の部材50の、部材を切断したい任意の分断部である垂直方向の分断部53、水平方向の分断部55において、爆薬を複数線状に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕し、部材を垂直方向、水平方向にそれぞれ分断する。本実施形態では、分断部53、分断部55で発破により部材50を分断させ、部材50の左上部の部材51を切り出し解体する。
【0089】
図9(b)は、爆薬を装填する分断部53で、分断方向(垂直方向)に沿った分断面を図9(a)の矢印Cの方向に見た断面図である。図9(c)は、爆薬を装填する分断部55で、分断方向(水平方向)に沿った分断面を図9(a)の矢印Dの方向に見た断面図である。部材50は、コンクリート56と、水平方向に設けられる水平方向鉄筋57と、水平方向鉄筋57を垂直(高さ)方向の断面において囲むように設けられる帯筋59とにより構成されるものとする。
【0090】
なお、分断部53と分断部55は端部を共有し(図9(a)で分断部53の下端部と分断部55の右端部)、分断部55は、高さ方向において、水平方向鉄筋57の間にあるものとする。
【0091】
第3の実施形態の解体方法においても、図10(a)に分断部53の分断面を、図10(b)に分断部53の内部をそれぞれ示すように、ハンマードリル等を用いて部材50を分断部53で部材50の外面から穿孔し、部材50の外面から部材50の内部へ向かう孔部61、孔部63を分断部53に形成する。また、図11(a)に分断部55の分断面を、図11(b)に分断部55の内部をそれぞれ示すように、分断部55でも、部材50の外面から部材50の内部へ向かう孔部65、孔部67を形成する。孔部61、孔部63、孔部65、孔部67は、水平方向鉄筋57や帯筋59に干渉しないように設けられる。
【0092】
孔部61、孔部63はそれぞれ分断部53の分断面の直交する2辺の方向に向かって設けられる。図10に示すように、孔部61は、分断面の高さ方向(図10(a)では縦方向)に向かって設けられる。孔部63は、分断面の奥行き方向(図10(a)では横方向)に向かって設けられる。
【0093】
図10に示すように、孔部61は、分断面の奥行き方向に沿って、分断面の奥行き長さ等に応じて、適切な間隔をあけて複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0094】
奥行き方向の両端部の孔部61は、分断面の外周部に設けられた鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍で高さ方向に向かって設けられる。その間に設けられる孔部61は、分断面の内部で適切な間隔で高さ方向に向かって設けられる。
【0095】
孔部63は、分断面の高さ方向の上端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍で奥行き方向に向かって設けられる。なお、孔部63は孔部61に干渉しないように、部材50の横幅方向(図9(a)の横方向)に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0096】
孔部65、孔部67は、それぞれ分断部55の分断面の直交する2辺の方向に設けられる。図11に示すように、孔部65は、分断面の奥行き方向(図11(a)では縦方向)に向かって設けられる。孔部67は、分断面の横幅方向(図11(a)では横方向)に向かって設けられる。
【0097】
図11に示すように、孔部65は、分断面の横幅方向に沿って、分断面の横幅等に応じて、適切な間隔をあけて分断面の内部に複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0098】
孔部67は、分断面の奥行き方向の両端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(帯筋59)の内側近傍で横幅方向に向かって設けられる。なお、孔部67は孔部65に干渉しないように、高さ方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0099】
第1、第2の実施形態と同様、本実施形態では、孔部61、孔部63、孔部65、孔部67の断面の大きさは、直径が20mm以下と小径となるようにすることができる。また、孔部61、孔部63の深さは、分断部53の分断面において、孔部61、孔部63の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。孔部65、孔部67についても同様、その深さは、分断部55の分断面において、孔部65、孔部67の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0100】
さらに、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置に応じて、必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、図10、図11に示すように、線状爆薬69を孔部61、孔部63、孔部65、孔部67にセットする。線状爆薬69は、各孔部で部材50の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットする。
【0101】
線状爆薬69は、第1、第2の実施形態と同様、図4に示したような電気雷管と導爆線により作成されたものを使用することができる。爆薬量は導爆線の長さを調節することで自由に調整できる。爆薬は、予め火薬工場等で製作することもでき、また現場での発破結果を確認しながら現場内の火工所でも容易に作成でき、その爆薬量を容易にコントロールし、各孔部に配置する爆薬量を必要最小限とすることができる。
【0102】
本実施形態でも、分断部53においては、孔部61、孔部63で分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍部分73で、それ以外の、分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば、2倍程度の爆薬量を装填する。同様に、分断部55においても、(孔部67で)分断面の外周部の鉄筋(帯筋59)の内側近傍部分75で、それ以外の、(孔部65で)分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば、2倍程度の爆薬量を装填する。また、孔部61、孔部63、孔部65、孔部67に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0103】
また、第1、第2の実施形態と同様、孔部61、孔部63、孔部65、孔部67で、部材50の外面から所定距離、例えば外面から200mm程度の位置には、砂等の込物71を詰め、部材50の外面の孔部61、孔部63、孔部65、孔部67の開口部でタンピングを行う。第1、第2の実施形態と同様、電気雷管の脚線は各孔部の外に出しておく。
【0104】
その後、電気雷管の脚線を母線等を介して発破器に結線し、防爆シート等で発破箇所を覆って養生し、発破を行う。発破を行った後の、部材50の分断部53、分断部55の近傍の状態の例を図12(a)に斜視図で示す。
【0105】
本実施形態でも、発破時に発生する衝撃波の反射引張波と後ガスの膨張力によってコンクリート56に引張応力が連続して作用することにより、発破によって生じるエネルギーが分散することなく、分断部53、分断部55内に集中的に作用し、最小量の爆薬でコンクリート56に、分断部53では亀裂73を、分断部55では亀裂75を、それぞれ貫通させることができる。
【0106】
また、分断部53の分断面、分断部55の分断面のそれぞれで、外周部に配筋された鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍に、内部よりも相対的に大きい量の爆薬を線状に装薬、発破することによって、発破時の衝撃波およびガス圧によって線状爆源から最小抵抗線方向(鉄筋のコンクリートかぶり方向)に圧縮応力波が伝播、作用し、爆源から自由面(部材50の外面)までの部分のコンクリート56、即ち外周部の鉄筋周囲のコンクリート56を破砕、除去し、外周部の鉄筋が露出される。これにより、外周部の鉄筋を切断するための空間を形成し、鉄筋の切断作業が可能になる。
【0107】
これにより、分断部53、分断部55においてコンクリート56が完全に分断しつつも、外周部の鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)を介してのみ部材50がつながっている状態を作ることができる。
【0108】
このようにして発破を行った後、残った水平方向鉄筋57、帯筋59等の鉄筋を、ガス溶断等により切断し、部材51を部材50から分断する。この際、鉄筋周囲のコンクリート破片で、鉄筋の切断に支障になるものがあれば、ハンマー等で除去する。第1、第2の実施形態と同様、爆薬を適正量セットすれば、コンクリートの破砕は最小限に収まるので、ほとんどこの作業は不要になる。
【0109】
その後、図12(b)に示すように、分断された部材51をクレーン、油圧ショベル等により除去する。なお、図12(a)に示す状態で、通常の圧砕機でコンクリートを噛み砕くこともできる。
【0110】
以上説明したように、本実施形態の解体方法でも、分断部53、分断部55に線状の爆薬を複数適切に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で、コンクリート構造物の部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋周囲のコンクリートを破砕することができる。これにより、前述の実施形態と同様の効果が得られ、コンクリート構造物を効率的に解体することができる。
【0111】
次に、本発明の第4の実施形態について、図13から図20を用いて説明する。
第4の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図13に示すような鉄筋コンクリート構造の基礎梁80を解体する場合を例にとり説明する。
【0112】
図13(a)は基礎梁80を上面から見た図、図13(b)は基礎梁80の線A−A’における断面図である。基礎梁80は、コンクリート83と、梁軸方向に設けられる軸方向鉄筋84と、軸方向鉄筋84を梁軸方向と直交する垂直方向の断面において囲むように設けられる帯筋85により構成される。
【0113】
本実施形態の解体方法では、基礎梁80を数回に分けて解体する。即ち、基礎梁80を、図13(a)に示す部材80a、80b、80c、80d、80eに分けて解体する。この際、梁軸方向に沿って、基礎梁80の中央部から端部へと順に解体を行う。
【0114】
本実施形態の解体方法では、まず第2の実施形態と同様に分断部81aで爆薬を線状に装填して発破を行い基礎梁80を垂直方向に分断し、部材80aを除去する。この際、分断部81aは平面上梁軸方向に対して斜めに設定し分断面をテーパー面とし、発破後の部材80aの平面を台形とする。そして、発破後残った鉄筋を切断し、分断された部材80aを台形の底辺側に取り出して除去する。部材80aを除去した後の基礎梁80を図14(a)に示す。
【0115】
次に、分断部81bで発破を行い、基礎梁80を垂直方向に分断し、部材80bを除去する。図14(b)は図14(a)の線B−B’における基礎梁80の断面図である。本実施形態では、第2の実施形態と同様に分断部81bで爆薬を線状に装填して発破を行うとともに、基礎梁80の部材外側の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)の内側で梁軸方向に分断部82bを設定し、当該分断部82bでも爆薬を線状に装填して発破を行い、コンクリート83を分断する。
【0116】
図15は爆薬を装填した部材80bの内部の様子を斜視図で示す図である。分断部81bは図15で左端部に当たる。図15に示すように、分断部81bでは、第2の実施形態と同様に孔部を設ける。即ち、孔部87、89を基礎梁80の分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)の内側近傍、および分断面の内部に設ける。
【0117】
さらに、本実施形態では、前述の分断部82bでも線状爆薬を更に配置し、コンクリート83の分断を行う。図16は孔部91、93に爆薬を装填した部材80bの分断部82bを示す図であり、図16(a)は図14(a)の線B−B’における断面図、図16(b)は部材80bの分断部82bを上面から見た図、図16(c)は部材80bの分断部82bを側面から見た図である。
【0118】
即ち、ハンマードリル等を用いて基礎梁80を外面から穿孔し、外面から基礎梁80の内部へ向かう孔部91、93を、基礎梁80の垂直方向の断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)より部材内側で、当該断面の直交する2辺の方向(断面の高さ方向(図16(a)の縦方向)と奥行き方向(図16(a)の横方向))に向かって設ける。高さ方向の孔部91と、奥行き方向の孔部93は、互いに干渉しないように梁軸方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。また、孔部91、93の大きさは、第1〜第3の実施形態と同様、直径が20mm以下と小径となるようにし、孔部91、93の深さは、各孔部の方向に対応する部材80bの辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間とすることができる。孔部91、93を梁軸方向に設ける間隔は、軸方向鉄筋84や帯筋85の密度等に応じて適宜定めることができる。
【0119】
図15、図16は、基礎梁80の側面から穿孔して孔部を形成した例であるが、図17、図18に示すように、部材80aを除去し形成され、鉄筋の少なくとも一部が露出される、梁軸方向に直交する部材80bの自由面100(外面)より梁軸方向に穿孔して、部材80bの垂直方向の断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)より部材内側で、部材80bの梁軸方向に向かって孔部99を設けることもできる。図17は孔部99に爆薬を装填した部材80bの内部の様子を斜視図で示す図である。図18は孔部99に爆薬を装填した部材80bの分断部82bを示す図であり、図18(a)は図14(a)の線B−B’における断面図、図18(b)は部材80bの分断部82bを上面から見た図、図18(c)は部材80bの分断部82bを側面から見た図である。
【0120】
孔部99の大きさは、孔部91、93と同様、直径が20mm以下と小径となるようにし、孔部99の深さは、孔部91、93と同様、孔部99の方向に対応する部材80bの辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間とすることができる。孔部99を基礎梁80の垂直方向の断面の直交する2辺の方向(断面の高さ方向(図18(a)の縦方向)と奥行き方向(図18(a)の横方向))に設ける間隔も、軸方向鉄筋84や帯筋85の密度等に応じて適宜定めることができる。自由面より梁軸方向に穿孔する場合、断面における外周部の鉄筋の位置がわかるので、穿孔位置を容易に定めることができる。
【0121】
そして、第1〜第3の実施形態と同様、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置に応じて、必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、電気雷管と導爆線により作成された線状爆薬95を分断部81bの孔部87、89を含め、孔部91、93または孔部99にもセットする。線状爆薬95は、各孔部で基礎梁80の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットし、各孔部で外面から所定の深さの位置には込物97を配置する。孔部87、89と孔部91、93または孔部99に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0122】
上記のように爆薬を配置し、分断部82bと分断部81bの発破を第1〜第3の実施形態と同様に行う。すると、図19に示すように、分断部82bより部材外側のコンクリート等が部材外側へ押し出され、基礎梁80の分断部82bにおいて、コンクリート83に亀裂101が貫通するとともに、分断部81bにおいても、発破により分断面の内部のコンクリート83に第2の実施形態と同様亀裂が発生する。これにより内部のコンクリート103が梁軸方向の断面において略コ字状に分断される。更に、当該コンクリート103は、分断部81bの発破により部材80aを除去し形成した自由面(外面)の方向に押し出される。
【0123】
その後分断部82bの部材外側、および分断部81bにおいて残った鉄筋を切断し、基礎梁80の垂直方向の断面の外周部の鉄筋およびコンクリートを除去し、内部のコンクリート103を取り除く等すれば、部材80bが除去される。
【0124】
以下、同様にして部材80dの除去を行う。梁軸方向に沿って部材80b、80dの反対側についても、端部に向かって順に部材80c、80eと、同様に発破を行い除去、解体を行う。このようにして、基礎梁80が図20に示すように解体される。
【0125】
また、部材80aを除去した後の基礎梁80の発破、解体は、複数の部材について一度に行うこともできる。即ち、分断部81b〜81eに第2の実施形態と同様に爆薬を線状に配置するとともに、部材80b〜80eでも上記した分断部82bと同様に垂直方向の断面の外周部の鉄筋より部材内側の分断部82b〜82eに上記したように爆薬を線状に配置する。この際、部材80b、80cについては図17のように部材80aを除去した自由面より孔部を穿孔しても、図15のように基礎梁80の側面より孔部を穿孔してもよいが、部材80d、80eについては基礎梁80の側面より穿孔することになる。
【0126】
そして各分断部で一度に発破を行う。すると、分断部82b〜82eでコンクリートに亀裂が発生するとともに、分断部81b〜81eでも分断面の内部のコンクリートに亀裂が発生する。そして、このようにして分断された部材内部のコンクリートは分断部81b〜81eの発破により自由面の方向に押し出される。
【0127】
なお、発破時に火薬量が多くなる場合は、段発雷管を使用して微小な時間差を設けて各部材を連続発破し、騒音、振動を平準化することも可能である。この際の発破順は、例えば、部材の垂直方向の断面の外周部の鉄筋より内側の分断部(82b等)を当該部材を垂直方向に分断する分断部(81b等)より先に発破しつつ、部材を垂直方向に分断する分断部を中央部の自由面から端に向かう方向へと順に(例えば81b、81dおよび81c、81eの順に)発破するとよい。この場合も、分断部82b〜82eでコンクリートに亀裂が発生するとともに、分断部81b〜81eの内部でもコンクリートに亀裂が発生する。そして、分断された部材内部のコンクリートが分断部81b〜81eの発破により自由面の方向に押し出される。
【0128】
本実施形態の解体方法によっても、第1〜第3の実施形態の解体方法と同様の効果が得られる。即ち、大型ブレーカー使用時に比べ小さいスペースでの作業が可能で、騒音や振動を小さくすることができ、騒音や振動の発生も一瞬だけに抑制することができる。また、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べて、低コストかつ工期の短縮を図ることもできる。さらに、穿孔径を小さくするので、大掛かりな機械が不要になり、騒音や振動、粉塵が少なくなる。また、穿孔の際に鉄筋と干渉する可能性も小さく、たとえ干渉したとしても径が小さいので逃げやすくなる。また、孔部を鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成する場合には、鉄筋の位置が分かるので鉄筋と干渉する可能性が更に少なくなる。これにより、穿孔コストが少なくて済む。
【0129】
発破の際には、線状の爆薬を複数適切に配置し、最小量の爆薬の使用で、対象とする部材を最も効率的に破断することが可能である。即ち、必要最小限の爆薬を分断部でほぼ均等に分散して配置することができるので、発破エネルギーがコンクリートの亀裂発生と破砕に無駄なく使われ、爆薬使用量の最小化を図ることができ、例えば各孔部で50g以下、好ましくは30g以下の使用量とできる。このことは、騒音、振動、粉塵などの抑制、飛石の飛散抑制につながる効果があるばかりでなく、発破部の養生も防爆シート等をかぶせるだけで済むという効果が得られる。これらを含めて、解体工程全体で作業性の向上とコスト低減が可能である。
【0130】
さらに、電気雷管と導爆線により作成された線状爆薬を使用するので、導爆線の使用長さを調整するだけで爆薬使用量を自由に微調整することができ、必要以上の過剰な爆薬量で発破することがなくなる。また、小径の孔部に導爆線を装薬した後、砂等の込物で孔部を封じるため、部材内部での発破となり、成形爆薬等を部材表面に設置する場合に比べ、騒音や振動、粉塵、爆風等の発生を大幅に抑制することができる。
【0131】
なお、第4の実施形態で説明した解体方法は、上記した基礎梁80に限らず、様々な部材に適用することができる。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る解体方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本発明の解体方法では、線状の爆薬を複数適切に配置することにより、発破エネルギーを効率良く用いてコンクリートを分断できればよく、その限りにおいて、上記に示した線状爆薬の配置に限られることはない。例えば、鉄筋等の配置によって異なる場合もある。
また、本発明の解体方法は、鉄骨鉄筋コンクリート構造物や鋼管コンクリート構造物、無筋コンクリート構造物等にも適用することができる。例えば鉄骨鉄筋コンクリート構造物では、上記したものと同様、線状に複数の爆薬を設け、外周部の鉄筋の内側近傍で、内部よりも多くの爆薬量を配置して発破しコンクリート部を分断することなどができる。また、鋼管コンクリート構造物や無筋コンクリート構造物については、分断面の内部に線状の爆薬を複数配置して、その他は同様の方法にて発破を行い、コンクリート部の分断を行うことなどができる。
【符号の説明】
【0133】
1………柱
3、31、53、55、81a〜81e、82b………分断部
5、32、56、83………コンクリート
7、33、84………軸方向鉄筋
9、35、59、85………帯筋
11、12、37、39、61、63、65、67、87、89、91、93、99………孔部
13、41、69、95………線状爆薬
15………電気雷管
17………導爆線
19、43、71、97………込物
30………梁
50、51、80a〜80e………部材
57………水平方向鉄筋
80………基礎梁
【技術分野】
【0001】
本発明は解体方法に関する。より詳しくは、爆薬を用いて構造物を解体する解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば鉄筋コンクリートなど、コンクリート構造物を解体する方法には、大型ブレーカーやコンクリート圧砕機を用いた解体方法がある。これにより、比較的効率よく鉄筋コンクリートをガラ状に砕き、コンクリートを鉄筋と分別して解体できる。
【0003】
さらに、円盤ブレード(ウォールソー)やワイヤーソーなどのダイヤモンド切断工法も用いられ、圧砕機が噛み砕けない大断面の部材をブロック状に切断することができ、コンクリート片の飛散を抑制できる。また、低騒音・低水使用の工法も開発されている。
【0004】
一方、構造物に穿孔して爆薬を装てんし、発破することによりコンクリート構造物を破砕する発破工法が知られている。
【0005】
海外では、建築物全体をダイナマイトなどの爆薬を用いて一気に倒壊させる工法が採用されており、国内においても数例の実績がある。
【0006】
これに対し、ミニブラスティングあるいは制御発破と称する、部材単位で破砕する工法もあり、特許文献1〜3にその例が記載されている。これは、柱や梁などの部材において、破砕したい箇所に1〜数箇所の孔を開け、爆薬を装薬して発破し、当該箇所でコンクリートを破砕し解体する工法である。
【0007】
さらに微小量の爆薬を用いた発破を行うことも試みられており、弱雷管を無筋モルタル試験体の中央部に1箇所埋め込み、マイクロ波照射による起爆発破を試みた実験結果が、非特許文献1で報告されている。
【0008】
また、非特許文献2や特許文献4に、爆薬を線状に配置して部材を切断する方法として、ノイマン効果を利用した成形爆薬を利用する例があり、床スラブ等への適用について言及されている。
【0009】
その他の解体方法として、鉄筋を電気加熱するものや、プラズマやレーザー、マイクロ波等を用いるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−307038号公報
【特許文献2】特開2004−293260号公報
【特許文献3】特開2005−179924号公報
【特許文献4】特開2007−16432号公報
【非特許文献1】緒方雄二、久保田士郎、和田有司、橋爪清、“微小爆源による破壊制御技術の検討”、資源・素材学会春季大会講演集、2005、p.95〜p.96
【非特許文献2】緒方雄二、丁佑鎮、久保田士郎、和田有司、“コンクリート切断用の成形爆薬の開発とモルタル供試体の切断実験”、土木学会第59回年次学術講演会講演概要集、2004、p.617〜p.618
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、大型ブレーカーやコンクリート圧砕機を用いた解体方法では、騒音や粉塵、振動が発生する。また、基礎梁、フーチング、耐圧版など大断面の部材を噛み切れないときは、大型ブレーカーで大割する必要があるが、大きな騒音と振動が発生し、近隣等に迷惑を生じる恐れもある。さらに、重機が動き回るためのスペースが必要になる。狭い工事や地下解体では大型重機が入れないことがあり、効率が極端に落ちる。
【0012】
また、円盤ブレード(ウォールソー)やワイヤーソーなどのダイヤモンド切断工法は、非常に高コストとなる。また、切断工具のセッティング、切断のための事前作業(例えばワイヤーソーの場合、地下壁や基礎梁ではワイヤーを通すためのコアボーリングが必要になる)や切断に時間がかかる問題もある。さらに、大断面の部材を円盤ブレードで切断する場合には、大型のブレードを用いる必要があるが、機械セッティングの手間がかかるうえに切り残し部分も多くなるため、作業の効率が落ちる。
【0013】
また、鉄筋コンクリート構造物には通常外周部に多くの鉄筋が配置されており、発破工法を用いてこれを破砕する際には鉄筋による抵抗を受ける。
【0014】
また、構造物全体を一回の発破によって倒壊させる工法は、大きな発破音や振動、爆風が発生するとともに粉塵や破片の飛散等への対策も必要で、特に都心等の密集地ではほとんど実施不可能である。
【0015】
ミニブラスティング(制御発破)による部材発破は、一般に30〜50mm程度の径の穿孔が必要であり、穿孔時には、鉄筋等に干渉する可能性が高くなる。また、削岩機やクローラドリルなどの油圧機械が必要な場合もありコストが高くなる。さらに騒音の問題もある。
【0016】
また、発破の際には大きな爆音や振動、爆風が発生し近隣への騒音等の影響が大きくなる。また、飛散防止のため発破部分に施す養生措置が、防爆シートの上に金属性メッシュ養生を重ねる等大掛かりになることなどがコスト等の問題となる。
【0017】
さらに、通常この方法では、1つの部材あたりの装薬箇所が1〜数箇所と少なく、しかも部材断面寸法に対して装薬される爆薬の長さが短いため、事実上爆源は点状に配置されることになり、爆源から部材の最小抵抗線方向に円錐状に部材(コンクリート部分)が破砕される発破形態とならざるを得ない。
【0018】
しかし、そもそもコンクリート部材を分断するためには、コンクリートの一部を破片状に粉砕する必要はなく、コンクリートの一断面に亀裂を貫通させれば十分である。従って、上述の従来技術では部材分断のために無駄なエネルギーを消費していることになり、非効率的である。
【0019】
さらに、発破の際には、爆薬として一定量の爆薬が爆薬包に装填された工場生産品(加工品)を用いるが、爆薬量が固定されるので、コンクリート強度や鉄筋量などの断面性状や装薬位置により発破に必要なエネルギー量が異なる場合でも爆薬量の微調整ができない。この点でも非効率的な発破となり、無駄な爆薬消費が生じているという問題がある。
【0020】
また、非特許文献1に示されるような微小爆薬を用いた実験では、弱雷管を無筋モルタル試験体の中心部にセットし、モルタル試験体を粉砕することが確認されているが、より大きな破壊エネルギーを必要とする鉄筋コンクリート部材の切断や破砕への応用のための手法については明らかにされていない。
【0021】
また、非特許文献2に示されるような成形爆薬を用いた方法では、成形爆薬を床スラブなどの部材表面に設置するため、爆源が大気中に露出しており、大きな爆音や爆風が空気中を直接伝播する点が問題である。また、成形爆薬によって鉄骨構造物は切断できるが、床スラブなどのコンクリート構造物に成形爆薬を表面設置して発破を試みても、クレータ状の表層破砕が生じるだけで切断には至らない。
【0022】
また、鉄筋電気加熱や、プラズマ、レーザー、マイクロ波等を用いたその他の方法は、いずれも設備が大掛かりとなり現場内での実用性に劣り、非経済的であるという問題がある。
【0023】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、コンクリート構造物を効率的に解体する解体方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前述した目的を達するために第1の発明は、コンクリート構造物を解体する解体方法であって、前記コンクリート構造物を外面から穿孔し、前記コンクリート構造物を分断する分断部で、前記外面から内部へと向かって孔部を複数形成する工程と、前記孔部に、線状に爆薬を配置する工程と、前記爆薬による発破を行い、前記コンクリート構造物のコンクリートを前記分断部で分断する工程と、を具備することを特徴とする解体方法である。
【0025】
また、前記分断部で、分断方向に沿った分断面の外周部には鉄筋が配置され、前記孔部は、前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍と、前記分断面の内部に、それぞれ設けられ、前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記分断面の外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕するとともに、前記分断部の内部のコンクリートに亀裂を貫通させるようにすることができる。
【0026】
このとき、前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍の孔部に設けられる爆薬の量は、前記分断面の内部の孔部に設けられる爆薬の量よりも大きくすることができる。
【0027】
また、前記孔部のそれぞれに配置する前記爆薬の量は、50g以下とすることが望ましい。
【0028】
さらに、前記孔部の断面の大きさは、その直径が20mm以下となるようにすることができる。
【0029】
また、前記爆薬は、前記孔部において、前記外面から所定距離離れた位置より奥の位置に配置し、前記孔部において前記外面から前記所定距離には、込物を配置することが望ましい。
【0030】
さらに、前記孔部は、前記分断部で、分断方向に沿った分断面の辺の方向に設け、前記孔部の深さは、前記孔部の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または前記辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0031】
また、前記爆薬は、電気雷管と導爆線により作成される線状爆薬とすることができる。
【0032】
加えて、前記コンクリート構造物で、前記分断部より部材外側には鉄筋が配置され、前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記鉄筋より部材内側で、前記分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるようにしてもよい。
【0033】
このとき、前記孔部は、前記鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することが好ましい。
【0034】
また、前記孔部を形成する際は、分断方向に沿った分断面の外周部に鉄筋が配置される第1の分断部と、部材外側に鉄筋が配置される第2の分断部で、孔部を複数形成し、前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記第1の分断部、第2の分断部で発破を行い、前記第2の分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるとともに前記第1の分断部の分断面の内部のコンクリートに亀裂を貫通させ、分断されたコンクリートを前記コンクリート構造物の外面の方向に押し出すこともできる。
【0035】
上記の構成により、分断部で線状の爆薬を複数に均等に分散して配置することができる。この際、例えば爆薬を配置する孔部の深さを、孔部の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。また、分断面の外周部に鉄筋が配置されている場合には、外周部の鉄筋の内側近傍と、分断面の内部に爆薬を配置し、前記分断面の外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕するとともに、前記分断部の内部のコンクリートに亀裂を貫通させることができる。この際、外周部の鉄筋の内側近傍で内部よりも多くの爆薬量を配置するようにすることができる。また、コンクリート構造物で、鉄筋より部材内側に分断部を設定し、爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、鉄筋より部材内側で、分断部のコンクリートに亀裂を貫通させることもできる。この際、孔部は、鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することができる。さらに、孔部を形成する際は、分断方向に沿った分断面の外周部に鉄筋が配置される第1の分断部と、部材外側に鉄筋が配置される第2の分断部で、孔部を複数形成し、爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、第1の分断部、第2の分断部で発破を行い、第2の分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるとともに第1の分断部の分断面の内部のコンクリートに亀裂を貫通させ、分断されたコンクリートをコンクリート構造物の外面の方向に押し出すこともできる。
【0036】
このように、分断部で線状の爆薬を複数適切に配置することで、爆薬の持つエネルギーがコンクリートの亀裂発生と破砕に無駄なく使用され、最小限の爆薬量の使用で、例えば各孔部で50g以下の使用量で、部材を効率的に分断することができる。また、孔部には線状の爆薬を少量配置するので、孔部の断面の大きさも小さくでき、例えばその直径を20mm以下とすることができる。このため、大がかりな機械が不要で、騒音や振動、粉塵が少なくなる。また、穿孔の際に鉄筋と干渉する可能性も小さくなる。また、孔部を鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することにより、鉄筋の位置が分かるので鉄筋と干渉する可能性が更に少なくなる。これにより、穿孔コストも少なくてすむ。加えて、粉塵や飛石の飛散が抑制されるので、発破時の養生も防爆シート等をかぶせるだけでよく、作業性も向上する。さらに、使用する爆薬を電気雷管と導爆線により作成される線状爆薬とすることで、コンクリート強度等の部材断面性状に応じて、導爆線の長さを調節して爆薬量の微調整を容易に行うことが可能になり、過剰な爆薬量で発破を行うことがなくなる。従って、従来のミニブラスティング(制御発破)による部材発破に比べ、より効率的にコンクリート構造物の解体を行うことができる。
また、大型ブレーカー使用時に比べ狭いスペースでの作業が可能で、騒音や振動を小さくすることができ、騒音や振動の発生も一瞬だけに抑制することができる。さらに、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べ、所要時間やコストも抑えられる。また、小径の孔部に爆薬を配置したのち、込物で孔部を封じることにより、部材内部での発破となり、成形爆薬等を部材表面に配置する場合に比べ、騒音や振動、粉塵、爆風の発生を大幅に抑制することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、コンクリート構造物を効率的に解体する解体方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図2】第1の実施形態の解体方法を示す図
【図3】第1の実施形態の解体方法を示す図
【図4】線状爆薬の例を示す図
【図5】第1の実施形態の解体方法を示す図
【図6】第2の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図7】第2の実施形態の解体方法を示す図
【図8】第2の実施形態の解体方法を示す図
【図9】第3の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図10】第3の実施形態の解体方法を示す図
【図11】第3の実施形態の解体方法を示す図
【図12】第3の実施形態の解体方法を示す図
【図13】第4の実施形態の解体方法で解体するコンクリート構造物を示す図
【図14】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図15】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図16】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図17】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図18】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図19】第4の実施形態の解体方法を示す図
【図20】第4の実施形態の解体方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下図面を用いて、本発明の解体方法の実施形態について説明する。
【0040】
まず、図1から図5を用いて、本発明の解体方法の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図1に示すような鉄筋コンクリート構造の柱を解体する場合を例にとり説明する。
【0041】
即ち、本実施形態の解体方法では、図1(a)に示す柱1の、部材を分断したい任意の分断部3において、爆薬を複数線状に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕して、水平方向に分断する。
【0042】
図1(b)は、爆薬を装填する分断部3で、分断方向(水平方向)に沿った分断面を図1(a)の矢印Aの方向に見た断面図である。柱1は、コンクリート5と、柱軸方向に設けられる軸方向鉄筋7と、軸方向鉄筋7を柱軸方向と直交する水平方向の断面(分断部3の分断面)において囲むように設けられる帯筋9とにより構成されるものとする。
【0043】
本実施形態の解体方法では、まず、図2(a)に分断部3の分断面を、図2(b)に分断部3の内部をそれぞれ示すように、ハンマードリル等を用いて柱1を分断部3で柱1の外面から穿孔し、柱1の外面から柱1の内部へと向かう孔部11、孔部12を分断部3に形成する。孔部11や孔部12は、軸方向鉄筋7や帯筋9に干渉しないように設ける。
【0044】
孔部11、孔部12はそれぞれ分断部3の分断面の直交する2辺の方向に向かって設けられる。孔部11は、図2(a)の縦方向で示す分断面の縦方向に向かって設けられる。孔部12は図2(a)の横方向で示す分断面の横方向に向かって設けられる。
【0045】
図2に示すように、孔部11は、分断面の横方向に沿って、分断面の横方向の長さ等に応じて、適切な間隔をあけて複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0046】
横方向の両端部の孔部11は、分断面の外周部に設けられた鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍で縦方向に向かって設けられる。その間に設けられる孔部11は、分断面の内部で適切な間隔で縦方向に向かって設けられる。
【0047】
孔部12は、分断面の縦方向の両端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍で横方向に向かって設けられる。なお、孔部12は孔部11に干渉しないように、柱軸方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0048】
後述するが、各孔部には爆薬を線状に少量配置するので、その断面を小径化することができる。本実施形態では、孔部11、孔部12の断面の大きさは、直径が20mm以下となるようにすることができる。また、孔部11、孔部12の深さは、分断面において、孔部11、孔部12の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0049】
続いて、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置等に応じて必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、図3(a)に分断部3の分断面を、図3(b)に分断部3の内部をそれぞれ示すように、線状爆薬13を孔部11、孔部12にセットする。線状爆薬13は、各孔部で柱1の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットする。
【0050】
線状爆薬13は、図4に示すように、脚線が接続する電気雷管15を導爆線17にテープ等で固定するなどして、電気雷管15と導爆線17により作成される。爆薬量は、導爆線17の長さを調節することにより自由に調整できる。爆薬は、予め火薬工場等で製作することもできるし、現場での発破結果を確認しながら現場内の火工所でも容易に作成できるので、爆薬量を容易にコントロールし、各孔部に配置する爆薬量を必要最小限とすることができる。なお、部材の断面が小さい場合には、電気雷管15のみとする場合もある。
【0051】
本実施形態において、孔部11、孔部12で分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍部分14では、それ以外の、分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば2倍程度の爆薬量を装填する。また、孔部11、孔部12に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0052】
また、孔部11、孔部12で、柱1の外面から所定距離、例えば外面から200mm程度の位置には、砂等の込物19を詰め、柱1の外面の孔部11、孔部12の開口部でタンピングを行う。なお、結線のため、電気雷管15の脚線は各孔部の外に出しておく。
【0053】
その後、電気雷管15を母線等を介して発破器に結線し、防爆シート等で発破箇所を覆って養生し、発破を行う。発破を行った後の、柱1の分断部3の近傍の状態の例を図5(a)に斜視図で、図5(b)に側面図で示す。
【0054】
発破時に発生する衝撃波の反射引張波と後ガスの膨張力によってコンクリート5に引張応力が連続して作用することにより、発破によって生じるエネルギーが分散することなく、分断部3内に集中的に作用し、最小量の爆薬でコンクリート5に亀裂21を貫通させることができる。
【0055】
また、分断面の外周部に配筋された鉄筋(軸方向鉄筋7、帯筋9)の内側近傍に、分断面の内部よりも相対的に大きい量の爆薬を線状に装薬、発破することによって、発破時の衝撃波およびガス圧によって線状爆源から最小抵抗線方向(鉄筋のコンクリートかぶり方向)に圧縮応力波が伝播、作用し、爆源から自由面(柱1の外面)までの部分のコンクリート5、即ち外周部の鉄筋周囲のコンクリート5を破砕、除去し、外周部の鉄筋が露出される。これにより、外周部の鉄筋を切断するための空間を形成し、鉄筋の切断作業が可能になる。
【0056】
これにより、分断部3においてコンクリート5が完全に分断しつつも、外周部の鉄筋(軸方向鉄筋7)を介してのみ柱1の部材がつながっている状態を作ることができる。
【0057】
次に、発破後に残った、部材をつなぐ鉄筋(軸方向鉄筋7)を、ガス溶断等により切断し、柱1の部材を分断する。この際、鉄筋周囲のコンクリート破片で、鉄筋の切断に支障になるものがあれば、ハンマー等で除去する。但し、爆薬を適正量セットすれば、コンクリートの破砕は最小限に収まるので、ほとんどこの作業は不要になる。
【0058】
その後、図5(c)に示すように、分断された部材をクレーン、油圧ショベル等により除去する。なお、図5(a)、図5(b)に示す状態で、通常の圧砕機でコンクリート5を噛み砕くこともできる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の解体方法によれば、部材を小割するように、発破による切断面を形成する。
【0060】
従って、大型ブレーカー使用時に比べ小さいスペースでの作業が可能で、騒音や振動を小さくすることができ、騒音や振動の発生も一瞬だけに抑制することができる。
【0061】
また、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べて、低コストかつ工期の短縮を図ることができる。発破解体の実験結果に基づいて、断面1.0m×1.0mのRC梁を、作業員2名で切断する場合のコストを試算したところ、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べ、断面切断の所要時間を約50%、材料コストを約70%削減できるという結果が得られた。
【0062】
また、本実施形態の解体方法では、複数設けた孔部のそれぞれに、爆薬を線状に少量配置するので、従来のミニブラスティング(制御発破)に比べて、穿孔径を小さくすることができ、例えば孔部の断面の大きさを直径20mm以下とできる。このため、大掛かりな機械が不要になり、騒音や振動、粉塵が少なくなる。また、穿孔の際に鉄筋と干渉する可能性も小さく、たとえ干渉したとしても径が小さいので逃げやすくなる。これにより、穿孔コストが少なくて済む。
【0063】
発破の際には、線状の爆薬を複数適切に配置し、最小量の爆薬の使用で、対象とする部材を最も効率的に破断することが可能である。即ち、必要最小限の爆薬を分断部の分断面でほぼ均等に分散して配置することができるので、発破エネルギーがコンクリートの亀裂発生と破砕に無駄なく使われ、爆薬使用量の最小化を図ることができ、例えば各孔部で50g以下、好ましくは30g以下の使用量とできる。このことは、騒音、振動、粉塵などの抑制、飛石の飛散抑制につながる効果があるばかりでなく、発破部の養生も防爆シート等をかぶせるだけで済むという効果が得られる。これらを含めて、解体工程全体で作業性の向上とコスト低減が可能である。
【0064】
さらに、使用する爆薬は爆薬量が一定の工場生産品(加工品)の場合と異なり、コンクリート強度や鉄筋量などの部材の断面性状に応じて、導爆線の使用長さを調整するだけで爆薬使用量を自由に微調整することができるので、必要以上の過剰な爆薬量で発破することがなくなる。
【0065】
また、本実施形態の解体方法では、小径の孔部に導爆線を装薬した後、砂等の込物で孔部を封じるため、部材内部での発破となり、成形爆薬等を部材表面に設置する場合に比べ、騒音や振動、粉塵、爆風等の発生を大幅に抑制することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の解体方法によれば、コンクリート構造物を効率的に解体することができる。
【0067】
続いて、本発明の解体方法の第2の実施形態について図6から図8を用いて説明する。第2の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図6に示すような鉄筋コンクリート構造の梁を解体する場合を例にとり説明する。
【0068】
即ち、本実施形態の解体方法では、図6(a)に示す梁30の、部材を切断したい任意の分断部31において、爆薬を複数線状に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕して、垂直方向に分断する。
【0069】
図6(b)は、爆薬を装填する分断部31で、分断方向(垂直方向)に沿った分断面を図6(a)の矢印Bの方向に見た断面図である。梁30は、コンクリート32と、梁軸方向に設けられる軸方向鉄筋33と、軸方向鉄筋33を梁軸方向と直交する垂直方向の断面(分断部31の分断面)において囲むように設けられる帯筋35とにより構成されるものとする。
【0070】
第2の実施形態の解体方法においても、まず、図7(a)に分断部31の分断面を、図7(b)に分断部31の内部をそれぞれ示すように、ハンマードリル等を用いて梁30を分断部31で梁30の外面から穿孔し、梁30の外面から梁30の内部へ向かう孔部37、孔部39を分断部31に形成する。孔部37や孔部39は、軸方向鉄筋33や帯筋35に干渉しないように設ける。
【0071】
孔部37、孔部39はそれぞれ分断部31の分断面の直交する2辺の方向に向かって設けられる。図7に示すように、孔部37は、分断面の高さ方向(図7(a)では縦方向)に向かって設けられる。孔部39は分断面の奥行き方向(図7(a)では横方向)に向かって設けられる。
【0072】
図7に示すように、孔部37は、分断面の奥行き方向に沿って、分断面の奥行き長さ等に応じて、適切な間隔をあけて複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0073】
奥行き方向の両端部の孔部37は、分断面の外周部に設けられた鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍で高さ方向に向かって設けられる。その間に設けられる孔部37は、分断面の内部で適切な間隔で高さ方向に向かって設けられる。
【0074】
孔部39は、分断面の高さ方向の両端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍で奥行き方向に向かって設けられる。なお、孔部39は孔部37に干渉しないように、梁軸方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0075】
第1の実施形態と同様、孔部37、孔部39の断面の大きさは、直径が20mm以下と小径となるようにすることができる。また、孔部37、孔部39の深さは、分断面において、孔部37、孔部39の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0076】
さらに、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置に応じて、必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、線状爆薬41を孔部37、孔部39にセットする。線状爆薬41は、各孔部で梁30の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットする。
【0077】
線状爆薬41は、第1の実施形態と同様、図4に示したような電気雷管と導爆線により作成されたものを使用することができる。爆薬量は導爆線の長さを調節することで自由に調整できる。爆薬は、予め火薬工場等で製作することもでき、また現場での発破結果を確認しながら現場内の火工所でも容易に作成でき、その爆薬量を容易にコントロールし、各孔部に配置する爆薬量を必要最小限とすることができる。なお、部材の断面が小さい場合には、電気雷管15のみとする場合もある。
【0078】
本実施形態でも、孔部37、孔部39で分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍部分45では、それ以外の、分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば2倍程度の爆薬量を装填する。また、孔部37、孔部39に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0079】
また、第1の実施形態と同様、孔部37、孔部39で、梁30の外面から所定距離、例えば外面から200mm程度の位置には、砂等の込物43を詰め、梁30の外面の孔部37、孔部39の開口部でタンピングを行う。第1の実施形態と同様、電気雷管の脚線は各孔部の外に出しておく。
【0080】
その後、電気雷管の脚線を母線等を介して発破器に結線し、防爆シート等で発破箇所を覆って養生し、発破を行う。発破を行った後の、梁30の分断部31の近傍の状態の例を図8(a)に斜視図で、図8(b)に側面図で示す。
【0081】
本実施形態でも、発破時に発生する衝撃波の反射引張波と後ガスの膨張力によってコンクリート32に引張応力が連続して作用することにより、発破によって生じるエネルギーが分散することなく、分断部31内に集中的に作用し、最小量の爆薬でコンクリート32に亀裂47を貫通させることができる。
【0082】
また、分断面の外周部に配筋された鉄筋(軸方向鉄筋33、帯筋35)の内側近傍に、分断面の内部よりも相対的に大きい量の爆薬を線状に装薬、発破することによって、発破時の衝撃波およびガス圧によって線状爆源から最小抵抗線方向(鉄筋のコンクリートかぶり方向)に圧縮応力波が伝播、作用し、爆源から自由面(梁30の外面)までの部分のコンクリート32、即ち外周部の鉄筋周囲のコンクリート32を破砕、除去し、外周部の鉄筋が露出される。これにより、外周部の鉄筋を切断するための空間を形成し、鉄筋の切断作業が可能になる。
【0083】
これにより、分断部31においてコンクリート32が完全に分断しつつも、外周部の鉄筋(軸方向鉄筋33)を介してのみ梁30の部材がつながっている状態を作ることができる。
【0084】
次に、発破後に残った、部材をつなぐ鉄筋(軸方向鉄筋33)を、ガス溶断等により切断し、梁30の部材を分断する。この際、鉄筋周囲のコンクリート破片で、鉄筋の切断に支障になるものがあれば、ハンマー等で除去する。第1の実施形態と同様、爆薬を適正量セットすれば、コンクリートの破砕は最小限に収まるので、ほとんどこの作業は不要になる。
【0085】
その後、図8(c)に示すように、分断された部材をクレーン、油圧ショベル等により除去する。なお、図8(a)や図8(b)に示す状態で、通常の圧砕機でコンクリート32を噛み砕くこともできる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の解体方法でも、分断部31に線状の爆薬を複数適切に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬でコンクリート構造物の部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕することができる。これにより、前述の実施形態と同様の効果が得られ、コンクリート構造物を効率的に解体することができる。
【0087】
次に、本発明の第3の実施形態について、図9から図12を用いて説明する。第3の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図9に示すような鉄筋コンクリート構造の大断面の部材50を解体する場合を例にとり説明する。
【0088】
即ち、本実施形態の解体方法では、図9(a)に示す大断面の部材50の、部材を切断したい任意の分断部である垂直方向の分断部53、水平方向の分断部55において、爆薬を複数線状に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕し、部材を垂直方向、水平方向にそれぞれ分断する。本実施形態では、分断部53、分断部55で発破により部材50を分断させ、部材50の左上部の部材51を切り出し解体する。
【0089】
図9(b)は、爆薬を装填する分断部53で、分断方向(垂直方向)に沿った分断面を図9(a)の矢印Cの方向に見た断面図である。図9(c)は、爆薬を装填する分断部55で、分断方向(水平方向)に沿った分断面を図9(a)の矢印Dの方向に見た断面図である。部材50は、コンクリート56と、水平方向に設けられる水平方向鉄筋57と、水平方向鉄筋57を垂直(高さ)方向の断面において囲むように設けられる帯筋59とにより構成されるものとする。
【0090】
なお、分断部53と分断部55は端部を共有し(図9(a)で分断部53の下端部と分断部55の右端部)、分断部55は、高さ方向において、水平方向鉄筋57の間にあるものとする。
【0091】
第3の実施形態の解体方法においても、図10(a)に分断部53の分断面を、図10(b)に分断部53の内部をそれぞれ示すように、ハンマードリル等を用いて部材50を分断部53で部材50の外面から穿孔し、部材50の外面から部材50の内部へ向かう孔部61、孔部63を分断部53に形成する。また、図11(a)に分断部55の分断面を、図11(b)に分断部55の内部をそれぞれ示すように、分断部55でも、部材50の外面から部材50の内部へ向かう孔部65、孔部67を形成する。孔部61、孔部63、孔部65、孔部67は、水平方向鉄筋57や帯筋59に干渉しないように設けられる。
【0092】
孔部61、孔部63はそれぞれ分断部53の分断面の直交する2辺の方向に向かって設けられる。図10に示すように、孔部61は、分断面の高さ方向(図10(a)では縦方向)に向かって設けられる。孔部63は、分断面の奥行き方向(図10(a)では横方向)に向かって設けられる。
【0093】
図10に示すように、孔部61は、分断面の奥行き方向に沿って、分断面の奥行き長さ等に応じて、適切な間隔をあけて複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0094】
奥行き方向の両端部の孔部61は、分断面の外周部に設けられた鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍で高さ方向に向かって設けられる。その間に設けられる孔部61は、分断面の内部で適切な間隔で高さ方向に向かって設けられる。
【0095】
孔部63は、分断面の高さ方向の上端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍で奥行き方向に向かって設けられる。なお、孔部63は孔部61に干渉しないように、部材50の横幅方向(図9(a)の横方向)に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0096】
孔部65、孔部67は、それぞれ分断部55の分断面の直交する2辺の方向に設けられる。図11に示すように、孔部65は、分断面の奥行き方向(図11(a)では縦方向)に向かって設けられる。孔部67は、分断面の横幅方向(図11(a)では横方向)に向かって設けられる。
【0097】
図11に示すように、孔部65は、分断面の横幅方向に沿って、分断面の横幅等に応じて、適切な間隔をあけて分断面の内部に複数設けられる。その間隔は、例えば150mm〜200mm程度とできる。
【0098】
孔部67は、分断面の奥行き方向の両端部に設けられ、分断面の外周部の鉄筋(帯筋59)の内側近傍で横幅方向に向かって設けられる。なお、孔部67は孔部65に干渉しないように、高さ方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。
【0099】
第1、第2の実施形態と同様、本実施形態では、孔部61、孔部63、孔部65、孔部67の断面の大きさは、直径が20mm以下と小径となるようにすることができる。また、孔部61、孔部63の深さは、分断部53の分断面において、孔部61、孔部63の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。孔部65、孔部67についても同様、その深さは、分断部55の分断面において、孔部65、孔部67の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることができる。
【0100】
さらに、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置に応じて、必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、図10、図11に示すように、線状爆薬69を孔部61、孔部63、孔部65、孔部67にセットする。線状爆薬69は、各孔部で部材50の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットする。
【0101】
線状爆薬69は、第1、第2の実施形態と同様、図4に示したような電気雷管と導爆線により作成されたものを使用することができる。爆薬量は導爆線の長さを調節することで自由に調整できる。爆薬は、予め火薬工場等で製作することもでき、また現場での発破結果を確認しながら現場内の火工所でも容易に作成でき、その爆薬量を容易にコントロールし、各孔部に配置する爆薬量を必要最小限とすることができる。
【0102】
本実施形態でも、分断部53においては、孔部61、孔部63で分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍部分73で、それ以外の、分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば、2倍程度の爆薬量を装填する。同様に、分断部55においても、(孔部67で)分断面の外周部の鉄筋(帯筋59)の内側近傍部分75で、それ以外の、(孔部65で)分断面の内部よりも多くの爆薬量を装填する。例えば、2倍程度の爆薬量を装填する。また、孔部61、孔部63、孔部65、孔部67に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0103】
また、第1、第2の実施形態と同様、孔部61、孔部63、孔部65、孔部67で、部材50の外面から所定距離、例えば外面から200mm程度の位置には、砂等の込物71を詰め、部材50の外面の孔部61、孔部63、孔部65、孔部67の開口部でタンピングを行う。第1、第2の実施形態と同様、電気雷管の脚線は各孔部の外に出しておく。
【0104】
その後、電気雷管の脚線を母線等を介して発破器に結線し、防爆シート等で発破箇所を覆って養生し、発破を行う。発破を行った後の、部材50の分断部53、分断部55の近傍の状態の例を図12(a)に斜視図で示す。
【0105】
本実施形態でも、発破時に発生する衝撃波の反射引張波と後ガスの膨張力によってコンクリート56に引張応力が連続して作用することにより、発破によって生じるエネルギーが分散することなく、分断部53、分断部55内に集中的に作用し、最小量の爆薬でコンクリート56に、分断部53では亀裂73を、分断部55では亀裂75を、それぞれ貫通させることができる。
【0106】
また、分断部53の分断面、分断部55の分断面のそれぞれで、外周部に配筋された鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)の内側近傍に、内部よりも相対的に大きい量の爆薬を線状に装薬、発破することによって、発破時の衝撃波およびガス圧によって線状爆源から最小抵抗線方向(鉄筋のコンクリートかぶり方向)に圧縮応力波が伝播、作用し、爆源から自由面(部材50の外面)までの部分のコンクリート56、即ち外周部の鉄筋周囲のコンクリート56を破砕、除去し、外周部の鉄筋が露出される。これにより、外周部の鉄筋を切断するための空間を形成し、鉄筋の切断作業が可能になる。
【0107】
これにより、分断部53、分断部55においてコンクリート56が完全に分断しつつも、外周部の鉄筋(水平方向鉄筋57、帯筋59)を介してのみ部材50がつながっている状態を作ることができる。
【0108】
このようにして発破を行った後、残った水平方向鉄筋57、帯筋59等の鉄筋を、ガス溶断等により切断し、部材51を部材50から分断する。この際、鉄筋周囲のコンクリート破片で、鉄筋の切断に支障になるものがあれば、ハンマー等で除去する。第1、第2の実施形態と同様、爆薬を適正量セットすれば、コンクリートの破砕は最小限に収まるので、ほとんどこの作業は不要になる。
【0109】
その後、図12(b)に示すように、分断された部材51をクレーン、油圧ショベル等により除去する。なお、図12(a)に示す状態で、通常の圧砕機でコンクリートを噛み砕くこともできる。
【0110】
以上説明したように、本実施形態の解体方法でも、分断部53、分断部55に線状の爆薬を複数適切に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で、コンクリート構造物の部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋周囲のコンクリートを破砕することができる。これにより、前述の実施形態と同様の効果が得られ、コンクリート構造物を効率的に解体することができる。
【0111】
次に、本発明の第4の実施形態について、図13から図20を用いて説明する。
第4の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図13に示すような鉄筋コンクリート構造の基礎梁80を解体する場合を例にとり説明する。
【0112】
図13(a)は基礎梁80を上面から見た図、図13(b)は基礎梁80の線A−A’における断面図である。基礎梁80は、コンクリート83と、梁軸方向に設けられる軸方向鉄筋84と、軸方向鉄筋84を梁軸方向と直交する垂直方向の断面において囲むように設けられる帯筋85により構成される。
【0113】
本実施形態の解体方法では、基礎梁80を数回に分けて解体する。即ち、基礎梁80を、図13(a)に示す部材80a、80b、80c、80d、80eに分けて解体する。この際、梁軸方向に沿って、基礎梁80の中央部から端部へと順に解体を行う。
【0114】
本実施形態の解体方法では、まず第2の実施形態と同様に分断部81aで爆薬を線状に装填して発破を行い基礎梁80を垂直方向に分断し、部材80aを除去する。この際、分断部81aは平面上梁軸方向に対して斜めに設定し分断面をテーパー面とし、発破後の部材80aの平面を台形とする。そして、発破後残った鉄筋を切断し、分断された部材80aを台形の底辺側に取り出して除去する。部材80aを除去した後の基礎梁80を図14(a)に示す。
【0115】
次に、分断部81bで発破を行い、基礎梁80を垂直方向に分断し、部材80bを除去する。図14(b)は図14(a)の線B−B’における基礎梁80の断面図である。本実施形態では、第2の実施形態と同様に分断部81bで爆薬を線状に装填して発破を行うとともに、基礎梁80の部材外側の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)の内側で梁軸方向に分断部82bを設定し、当該分断部82bでも爆薬を線状に装填して発破を行い、コンクリート83を分断する。
【0116】
図15は爆薬を装填した部材80bの内部の様子を斜視図で示す図である。分断部81bは図15で左端部に当たる。図15に示すように、分断部81bでは、第2の実施形態と同様に孔部を設ける。即ち、孔部87、89を基礎梁80の分断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)の内側近傍、および分断面の内部に設ける。
【0117】
さらに、本実施形態では、前述の分断部82bでも線状爆薬を更に配置し、コンクリート83の分断を行う。図16は孔部91、93に爆薬を装填した部材80bの分断部82bを示す図であり、図16(a)は図14(a)の線B−B’における断面図、図16(b)は部材80bの分断部82bを上面から見た図、図16(c)は部材80bの分断部82bを側面から見た図である。
【0118】
即ち、ハンマードリル等を用いて基礎梁80を外面から穿孔し、外面から基礎梁80の内部へ向かう孔部91、93を、基礎梁80の垂直方向の断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)より部材内側で、当該断面の直交する2辺の方向(断面の高さ方向(図16(a)の縦方向)と奥行き方向(図16(a)の横方向))に向かって設ける。高さ方向の孔部91と、奥行き方向の孔部93は、互いに干渉しないように梁軸方向に位置をずらして設けられ、クリアランスがとられる。また、孔部91、93の大きさは、第1〜第3の実施形態と同様、直径が20mm以下と小径となるようにし、孔部91、93の深さは、各孔部の方向に対応する部材80bの辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間とすることができる。孔部91、93を梁軸方向に設ける間隔は、軸方向鉄筋84や帯筋85の密度等に応じて適宜定めることができる。
【0119】
図15、図16は、基礎梁80の側面から穿孔して孔部を形成した例であるが、図17、図18に示すように、部材80aを除去し形成され、鉄筋の少なくとも一部が露出される、梁軸方向に直交する部材80bの自由面100(外面)より梁軸方向に穿孔して、部材80bの垂直方向の断面の外周部の鉄筋(軸方向鉄筋84、帯筋85)より部材内側で、部材80bの梁軸方向に向かって孔部99を設けることもできる。図17は孔部99に爆薬を装填した部材80bの内部の様子を斜視図で示す図である。図18は孔部99に爆薬を装填した部材80bの分断部82bを示す図であり、図18(a)は図14(a)の線B−B’における断面図、図18(b)は部材80bの分断部82bを上面から見た図、図18(c)は部材80bの分断部82bを側面から見た図である。
【0120】
孔部99の大きさは、孔部91、93と同様、直径が20mm以下と小径となるようにし、孔部99の深さは、孔部91、93と同様、孔部99の方向に対応する部材80bの辺の長さの2/3程度、または当該辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間とすることができる。孔部99を基礎梁80の垂直方向の断面の直交する2辺の方向(断面の高さ方向(図18(a)の縦方向)と奥行き方向(図18(a)の横方向))に設ける間隔も、軸方向鉄筋84や帯筋85の密度等に応じて適宜定めることができる。自由面より梁軸方向に穿孔する場合、断面における外周部の鉄筋の位置がわかるので、穿孔位置を容易に定めることができる。
【0121】
そして、第1〜第3の実施形態と同様、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置に応じて、必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、電気雷管と導爆線により作成された線状爆薬95を分断部81bの孔部87、89を含め、孔部91、93または孔部99にもセットする。線状爆薬95は、各孔部で基礎梁80の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットし、各孔部で外面から所定の深さの位置には込物97を配置する。孔部87、89と孔部91、93または孔部99に装填される爆薬量はそれぞれ50g以下、好ましくは30g以下の微小量とすることができる。
【0122】
上記のように爆薬を配置し、分断部82bと分断部81bの発破を第1〜第3の実施形態と同様に行う。すると、図19に示すように、分断部82bより部材外側のコンクリート等が部材外側へ押し出され、基礎梁80の分断部82bにおいて、コンクリート83に亀裂101が貫通するとともに、分断部81bにおいても、発破により分断面の内部のコンクリート83に第2の実施形態と同様亀裂が発生する。これにより内部のコンクリート103が梁軸方向の断面において略コ字状に分断される。更に、当該コンクリート103は、分断部81bの発破により部材80aを除去し形成した自由面(外面)の方向に押し出される。
【0123】
その後分断部82bの部材外側、および分断部81bにおいて残った鉄筋を切断し、基礎梁80の垂直方向の断面の外周部の鉄筋およびコンクリートを除去し、内部のコンクリート103を取り除く等すれば、部材80bが除去される。
【0124】
以下、同様にして部材80dの除去を行う。梁軸方向に沿って部材80b、80dの反対側についても、端部に向かって順に部材80c、80eと、同様に発破を行い除去、解体を行う。このようにして、基礎梁80が図20に示すように解体される。
【0125】
また、部材80aを除去した後の基礎梁80の発破、解体は、複数の部材について一度に行うこともできる。即ち、分断部81b〜81eに第2の実施形態と同様に爆薬を線状に配置するとともに、部材80b〜80eでも上記した分断部82bと同様に垂直方向の断面の外周部の鉄筋より部材内側の分断部82b〜82eに上記したように爆薬を線状に配置する。この際、部材80b、80cについては図17のように部材80aを除去した自由面より孔部を穿孔しても、図15のように基礎梁80の側面より孔部を穿孔してもよいが、部材80d、80eについては基礎梁80の側面より穿孔することになる。
【0126】
そして各分断部で一度に発破を行う。すると、分断部82b〜82eでコンクリートに亀裂が発生するとともに、分断部81b〜81eでも分断面の内部のコンクリートに亀裂が発生する。そして、このようにして分断された部材内部のコンクリートは分断部81b〜81eの発破により自由面の方向に押し出される。
【0127】
なお、発破時に火薬量が多くなる場合は、段発雷管を使用して微小な時間差を設けて各部材を連続発破し、騒音、振動を平準化することも可能である。この際の発破順は、例えば、部材の垂直方向の断面の外周部の鉄筋より内側の分断部(82b等)を当該部材を垂直方向に分断する分断部(81b等)より先に発破しつつ、部材を垂直方向に分断する分断部を中央部の自由面から端に向かう方向へと順に(例えば81b、81dおよび81c、81eの順に)発破するとよい。この場合も、分断部82b〜82eでコンクリートに亀裂が発生するとともに、分断部81b〜81eの内部でもコンクリートに亀裂が発生する。そして、分断された部材内部のコンクリートが分断部81b〜81eの発破により自由面の方向に押し出される。
【0128】
本実施形態の解体方法によっても、第1〜第3の実施形態の解体方法と同様の効果が得られる。即ち、大型ブレーカー使用時に比べ小さいスペースでの作業が可能で、騒音や振動を小さくすることができ、騒音や振動の発生も一瞬だけに抑制することができる。また、ワイヤーソーやウォールソーを使用して切断する場合に比べて、低コストかつ工期の短縮を図ることもできる。さらに、穿孔径を小さくするので、大掛かりな機械が不要になり、騒音や振動、粉塵が少なくなる。また、穿孔の際に鉄筋と干渉する可能性も小さく、たとえ干渉したとしても径が小さいので逃げやすくなる。また、孔部を鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成する場合には、鉄筋の位置が分かるので鉄筋と干渉する可能性が更に少なくなる。これにより、穿孔コストが少なくて済む。
【0129】
発破の際には、線状の爆薬を複数適切に配置し、最小量の爆薬の使用で、対象とする部材を最も効率的に破断することが可能である。即ち、必要最小限の爆薬を分断部でほぼ均等に分散して配置することができるので、発破エネルギーがコンクリートの亀裂発生と破砕に無駄なく使われ、爆薬使用量の最小化を図ることができ、例えば各孔部で50g以下、好ましくは30g以下の使用量とできる。このことは、騒音、振動、粉塵などの抑制、飛石の飛散抑制につながる効果があるばかりでなく、発破部の養生も防爆シート等をかぶせるだけで済むという効果が得られる。これらを含めて、解体工程全体で作業性の向上とコスト低減が可能である。
【0130】
さらに、電気雷管と導爆線により作成された線状爆薬を使用するので、導爆線の使用長さを調整するだけで爆薬使用量を自由に微調整することができ、必要以上の過剰な爆薬量で発破することがなくなる。また、小径の孔部に導爆線を装薬した後、砂等の込物で孔部を封じるため、部材内部での発破となり、成形爆薬等を部材表面に設置する場合に比べ、騒音や振動、粉塵、爆風等の発生を大幅に抑制することができる。
【0131】
なお、第4の実施形態で説明した解体方法は、上記した基礎梁80に限らず、様々な部材に適用することができる。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る解体方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本発明の解体方法では、線状の爆薬を複数適切に配置することにより、発破エネルギーを効率良く用いてコンクリートを分断できればよく、その限りにおいて、上記に示した線状爆薬の配置に限られることはない。例えば、鉄筋等の配置によって異なる場合もある。
また、本発明の解体方法は、鉄骨鉄筋コンクリート構造物や鋼管コンクリート構造物、無筋コンクリート構造物等にも適用することができる。例えば鉄骨鉄筋コンクリート構造物では、上記したものと同様、線状に複数の爆薬を設け、外周部の鉄筋の内側近傍で、内部よりも多くの爆薬量を配置して発破しコンクリート部を分断することなどができる。また、鋼管コンクリート構造物や無筋コンクリート構造物については、分断面の内部に線状の爆薬を複数配置して、その他は同様の方法にて発破を行い、コンクリート部の分断を行うことなどができる。
【符号の説明】
【0133】
1………柱
3、31、53、55、81a〜81e、82b………分断部
5、32、56、83………コンクリート
7、33、84………軸方向鉄筋
9、35、59、85………帯筋
11、12、37、39、61、63、65、67、87、89、91、93、99………孔部
13、41、69、95………線状爆薬
15………電気雷管
17………導爆線
19、43、71、97………込物
30………梁
50、51、80a〜80e………部材
57………水平方向鉄筋
80………基礎梁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物を解体する解体方法であって、
前記コンクリート構造物を外面から穿孔し、前記コンクリート構造物を分断する分断部で、前記外面から内部へと向かって孔部を複数形成する工程と、
前記孔部に、線状に爆薬を配置する工程と、
前記爆薬による発破を行い、前記コンクリート構造物のコンクリートを前記分断部で分断する工程と、
を具備することを特徴とする解体方法。
【請求項2】
前記分断部で、分断方向に沿った分断面の外周部には鉄筋が配置され、
前記孔部は、前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍と、前記分断面の内部に、それぞれ設けられ、
前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記分断面の外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕するとともに、前記分断部の内部のコンクリートに亀裂を貫通させることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項3】
前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍の孔部に設けられる爆薬の量は、前記分断面の内部の孔部に設けられる爆薬の量よりも大きくすることを特徴とする請求項2に記載の解体方法。
【請求項4】
前記孔部のそれぞれに配置する爆薬の量は、50g以下とすることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項5】
前記孔部の断面の大きさは、その直径が20mm以下となるようにすることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項6】
前記爆薬は、前記孔部において、前記外面から所定距離離れた位置より奥の位置に配置し、
前記孔部において前記外面から前記所定距離には、込物を配置することを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項7】
前記孔部は、前記分断部で、分断方向に沿った分断面の辺の方向に設け、
前記孔部の深さは、前記孔部の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または前記辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項8】
前記爆薬は、電気雷管と導爆線により作成される線状爆薬であることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項9】
前記コンクリート構造物で、前記分断部より部材外側には鉄筋が配置され、
前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記鉄筋より部材内側で、前記分断部のコンクリートに亀裂を貫通させることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項10】
前記孔部は、前記鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することを特徴とする請求項9記載の解体方法。
【請求項11】
前記孔部を形成する際は、分断方向に沿った分断面の外周部に鉄筋が配置される第1の分断部と、部材外側に鉄筋が配置される第2の分断部で、孔部を複数形成し、
前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記第1の分断部、第2の分断部で発破を行い、前記第2の分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるとともに前記第1の分断部の分断面の内部のコンクリートに亀裂を貫通させ、分断されたコンクリートを前記コンクリート構造物の外面の方向に押し出すことを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項1】
コンクリート構造物を解体する解体方法であって、
前記コンクリート構造物を外面から穿孔し、前記コンクリート構造物を分断する分断部で、前記外面から内部へと向かって孔部を複数形成する工程と、
前記孔部に、線状に爆薬を配置する工程と、
前記爆薬による発破を行い、前記コンクリート構造物のコンクリートを前記分断部で分断する工程と、
を具備することを特徴とする解体方法。
【請求項2】
前記分断部で、分断方向に沿った分断面の外周部には鉄筋が配置され、
前記孔部は、前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍と、前記分断面の内部に、それぞれ設けられ、
前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記分断面の外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕するとともに、前記分断部の内部のコンクリートに亀裂を貫通させることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項3】
前記分断部で、前記分断面の外周部の鉄筋の内側近傍の孔部に設けられる爆薬の量は、前記分断面の内部の孔部に設けられる爆薬の量よりも大きくすることを特徴とする請求項2に記載の解体方法。
【請求項4】
前記孔部のそれぞれに配置する爆薬の量は、50g以下とすることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項5】
前記孔部の断面の大きさは、その直径が20mm以下となるようにすることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項6】
前記爆薬は、前記孔部において、前記外面から所定距離離れた位置より奥の位置に配置し、
前記孔部において前記外面から前記所定距離には、込物を配置することを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項7】
前記孔部は、前記分断部で、分断方向に沿った分断面の辺の方向に設け、
前記孔部の深さは、前記孔部の方向に対応する辺の長さの2/3程度、または前記辺の長さより200mm程度短い長さ、またはその中間の長さとすることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項8】
前記爆薬は、電気雷管と導爆線により作成される線状爆薬であることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項9】
前記コンクリート構造物で、前記分断部より部材外側には鉄筋が配置され、
前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記鉄筋より部材内側で、前記分断部のコンクリートに亀裂を貫通させることを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【請求項10】
前記孔部は、前記鉄筋の少なくとも一部が露出した外面から穿孔して形成することを特徴とする請求項9記載の解体方法。
【請求項11】
前記孔部を形成する際は、分断方向に沿った分断面の外周部に鉄筋が配置される第1の分断部と、部材外側に鉄筋が配置される第2の分断部で、孔部を複数形成し、
前記爆薬による発破を行いコンクリートを分断する際は、前記第1の分断部、第2の分断部で発破を行い、前記第2の分断部のコンクリートに亀裂を貫通させるとともに前記第1の分断部の分断面の内部のコンクリートに亀裂を貫通させ、分断されたコンクリートを前記コンクリート構造物の外面の方向に押し出すことを特徴とする請求項1記載の解体方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−157807(P2011−157807A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97536(P2010−97536)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(308010365)カヤク・ジャパン株式会社 (10)
【出願人】(510007676)株式会社構造安全研究所 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(308010365)カヤク・ジャパン株式会社 (10)
【出願人】(510007676)株式会社構造安全研究所 (1)
【Fターム(参考)】
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