説明

設備監視装置、情報処理装置及びプログラム

【課題】電子画面に複数のグラフを表示し、グラフを操作可能とした情報処理装置では、複数のグラフを容易に変更できなかった。
【解決手段】情報処理装置の電子画面上のグラフリンク領域(56a、56b、56c)にグラフ連動ボタンを設け、グラフ連動ボタンと指定時間領域(56a、53b、53c)の情報と関連付ける。グラフ連動ボタンが有効である指定時間領域の情報が変更された場合に、グラフ連動ボタンが有効である他のグラフの指定時間領域の情報も同時に変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模管理システムの運転状況を表示する設備監視装置に関するものである。また、設備監視装置に用いられる情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場やビルなどに用いられる大規模空調システムでは、空調に多くのエネルギーが使用されており、使用されるエネルギー量の削減に取組んでいる。そのエネルギー量の削減方法の一例としては、ビルマネージメントシステム(BEMS)と銘打って、ビル全体のエネルギーの流れを把握し、効率良くエネルギーを使用することによって、エネルギー量の削減を可能とする方法が知られている。そして、ビルエネルギーマネージメントシステムの手法として、水冷や電気などを利用する空調機器(エアコン)で使用されるエネルギーを効率化し、エネルギー量の削減を行なっている。ビル以外の工場などについても、ビルと同様に空調機器の効率化を図る為、多くの手法が取られている。
【0003】
空調機器の効率の良い運転には、空調エリア内の快適性を保ちつつエネルギーを削減する為に、温度や湿度などの様々な要素を勘案する必要がある。この様々な要素をふまえた上での最も良い設定を模索することが、エネルギー削減に対する大きな課題となっている。これら、前述した課題を解決する為、様々な発明や考案がなされており、その一例としては、特許文献1が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、コンピュータを用いて、設備の運転状況をデータとして保存し、過去及び現在の運転状況を表示画面に表示することで、効率良く空気調整を行なえる空調システムの表示装置が開示されている。開示されている空調システムの詳細は、表示画面に運転状況を示すグラフを複数表示し、グラフによって得られる情報を加味して、空調機器の設定を行なえる様にしている。
【0005】
特許文献1に記載された空調システムの表示装置や同様のシステムでは、表示装置に表示されるグラフを作成し操作する方法として、GUI(Graphical User Interface)を用いることが多い。ここでGUIとは、単に使用者に画面を表示する表示方法を指すだけではなく、表示された画面を見て入力手段を操作する操作方法を指し、更に操作方法を実現する機能の意味も含む。このGUIを用いたシステムの一例としては、特許文献2が挙げられる。
【0006】
特許文献2にはGUIを備えた装置が開示されており、前記装置を含むシステムから取得したデータを利用して複数のグラフやランチャーを構築し、更に操作可能としている。
【0007】
そして、このようなGUIを使用して複数のグラフを操作する空調システムでは、少しでも効率よく空調機器を動作させる為に、複数のグラフの対比・検討と、多くのグラフ変更操作とが行なわれている。
【0008】
【特許文献1】特開2006−292279号公報
【特許文献2】特開2005−160069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された空調システムの表示装置の様に、複数のグラフを表示し、効率良く空気調整を行なえることは、エネルギーを削減する方法として非常に有効である。
【0010】
しかしながら、引用文献1に記載された画面の表示例は、一つの表示期間で画面に表示される複数のグラフを表示しているに過ぎない。また、グラフ毎に異なった表示期間で表示することができない。
【0011】
グラフごとに表示期間を変更可能とした場合には、グラフ毎に表示期間を操作する必要があり、グラフを変更する操作量(回数)が増え、操作者に大変な負担を強いることになる。即ち、引用文献1は、グラフ毎に異なる表示期間のグラフを対比して表示する必然性及び手段について考慮されていない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、効率良く空調システムを運用させる為に、電子画面に表示されるグラフを容易に所望のグラフに変更できる設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供することにある。
【0013】
別の本発明の目的は、情報処理装置に表示された複数のグラフを、容易な操作で変更できる設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供することにある。
【0014】
更に別の本発明の目的は、表示装置に表示される複数のグラフから任意のグラフを選択し、関連させ、グラフの指定時間を一括して操作可能とする設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供することにある。
【0015】
更に別の本発明の目的は、表示装置に表示される複数のグラフから任意のグラフを選択し、関連させ、操作することで、任意のグラフと別の任意のグラフとを比較することを容易とする設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供することにある。
【0016】
更に別の本発明の目的は、表示装置に表示される複数のグラフから任意のグラフを選択し、関連させ、操作することで、任意のグラフと理想のグラフとを比較することを容易とする設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明のプログラムは、表示部を備えたグラフ表示装置の制御部に、複数のグラフと任意に選択したグラフを同時的に切換え可能とするグラフ連動ボタンとを表示部に表示させる手段を機能させることを特徴とする。
【0018】
本願発明のプログラムは、表示部を備えたグラフ表示装置の制御部に、グラフを作成するグラフ作成手段と、前記グラフの作成条件を指定する条件指定手段と、前記条件指定手段を操作可能とし、複数のグラフの作成条件を同時的に変更可能とするグラフ操作手段と、を機能させることを特徴とするプログラム。
【0019】
本願発明の設備監視装置は、大規模管理システムに備えられ、多くの設備の運転状況をデータとして保存し、過去及び現在の運転状況を適時表示可能とする設備監視装置において、 設置される設備機器の様々な状況を示すデータが保存されるデータベースと、設備機器の状況をGUI(Graphical User Interface)を用いて表示し操作可能とする情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置の制御部は、前記データベースにアクセスし、前記設備機器の状況が記された状況データを取得し、取得した前記状況データをグラフとして作成すると共に、作成されたグラフを、所望のグラフに変更可能とするグラフ変更手段と、複数のグラフのグラフ変更手段を同時的に機能させる複数グラフ操作手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
本願発明の情報処理装置は、上記設備監視装置で使用される情報処理装置であって、前記情報処理装置の制御部は、前記グラフ変更手段によって所望のグラフに変更された場合に、前記複数グラフ操作手段によって同時的に複数のグラフを変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電子画面に表示されるグラフを容易に所望のグラフに変更できる設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の一形態を示す概略図である。図1に示す通り、本実施の一形態の大規模空調システム1の構成は、設備監視装置2とデータベースシステム500とがネットワーク700によって接続されている。また、データベースシステム500には、通信線網750を介して、多くの設備機器(510〜5nn)が接続されている。
【0024】
設備機器(510〜5nn)は、ビルや工場などに点在する各種設備であって、説明が容易なように設備1〜設備3に分けている。この分け方には特に意味は無く、各設備が直接データベースシステム500と繋がっていると考えても問題ない。
【0025】
設備監視装置2は、表示装置300と情報処理装置200で構成されている。表示装置300は、情報処理装置200と接続されており、様々な画面を表示可能としている。情報処理装置200は、一般的なコンピュータであって、様々な情報処理を行える。また、ネットワーク700を介して、データベースシステム500や、他にも様々な情報処理装置(図示せず)と通信可能である。詳しくは図2を用いて後述する。
【0026】
データベースシステム500は、情報処理機能と情報保持機能とを備えており、多くの情報を保存できる。またネットワーク700を介して、情報処理端末200や、他の情報処理端末(図示せず)とも通信可能である。そして、インタフェース機能を備えており、通信線網750を介して各種設備と通信可能である。インタフェース機能とは、各種設備ごとに異なっている信号の電圧や周波数等を情報処理器機が読込めるよう変換する機能である。通信線網750を介して、このインタフェース機能を用いて、各種設備から送られてくる信号を情報処理器機が読込めるよう変換したり、各種設備に情報を読みに行き情報処理器機が読込める情報に変換したりする。つまり、所謂データベースサーバやネットワークHDDにインタフェース機能を付加したシステムである。
【0027】
設備機器(510〜5nn)は、例示として多数記載してある。よって、数台を説明し、全台の説明は省略する。空調機器511は会議室などに設置される冷暖房機器である。空調機器511は、リモートコントローラ(図示せず)などにより、温度設定等を可能とする。そして、現在の機器状態や周辺環境などを自らが備えた計測器でデータ化し、通信線網750を介してデータベースシステム500に送信する。室温計測器512は、室温を計測する。そして、現在の周辺温度などをデータ化し、通信線網750を介してデータベースシステム500に送信する。照明器具524は、廊下などのフロア用ライトであってスイッチにより消灯・点灯する。そして、現在の状態などをデータ化し、通信線網750を介してデータベースシステム500に送信する。他の設備機器もデータベースシステム500に現在の状況や周辺データ(以下、状況データと略す)を送信する。上記説明では、各種設備機器がデータを送信するとしたが、状況データを内蔵する記憶部に記憶しておき、データベースシステム500が記憶したデータを取得するのを待つ様にしても良い。
【0028】
図2は、実施の一形態において用いられる設備監視装置2のシステム構成を示すブロック図である。設備監視装置2は前述の通り、一般的なコンピュータである。つまり、各種情報処理を行う制御部210、情報を一時記憶するRAM220、基本制御プログラムが格納されているROM230、使用者によって情報を入力される入力部240、受信したデータ等を出力する出力部250、記憶装置としてHDD260、ネットワーク700を介しデータベースシステム500など外部装置との通信を行うためのネットワーク制御部270がバスによって接続されている。
【0029】
入力部240には、キーボードやマウスが接続され、制御部210に対して、使用者の操作を入力する。出力部250には、表示装置300やプリンタ(図示せず)が接続され、制御部210からの出力信号を外部に出力する。本実施の一形態では表示装置300が接続され、表示装置300の画面を利用し、入力部240に接続されたマウスやキーボードを操作する。また、スピーカなども出力部250に接続される。HDD260には、様々なプログラムやデータが記憶されている。また、OS(Operating System)も格納されている。制御部210はこのOSの指示に基づいて動作する。HDD260には、OSの他にもブラウザやオフィスソフトなどが格納されており、必要に応じてRAM220に展開されて使用される。更に、ネットワーク700を介して送受信するデータの一時保存や、ファイルの格納なども行なう。
【0030】
また、HDD260には、グラフ表示手段、条件指定手段及びグラフ操作手段を機能させる専用プログラムが格納されている。専用プログラムは、制御部210などのハードウェアを使用し、グラフ作成機能、条件指定機能、グラフ操作機能を実現し、グラフを作成表示し、更に操作可能とするプログラムである。
【0031】
図3は、専用プログラムが有するグラフ作成機能を使用し、作成されるグラフの作成例である。
【0032】
作成例(a)には、グラフ表示領域a01、グラフ操作領域a02、グラフリンク領域a06が構築されている。グラフ操作領域a02は、日付や月などグラフの一軸(表示例では横軸)を示す指定時間領域a03、指定時間領域a03を操作する操作ボタンa04、a05によって構成されている。操作ボタンa04、a05は、それぞれ指定時間領域a03のプラス操作とマイナス操作を受け持ち、ユーザがGUIを用いて操作するときに使用する。
【0033】
作成例(b)及び作成例(c)も作成例(a)のと同様の構成となっている。(a)と(b)及び(c)との異なる点は、グラフ表示領域(a01、b01、c01)に描かれているグラフにある。また、グラフ操作領域(a02、b02、c02)の指定時間領域(a03、b03、c03)が示す時間(日付)が異なる。同じく、グラフリンク領域(a06、b06、c06)が有効と無効とで異なる。グラフ表示領域(a01、b01、c01)に描かれるグラフは、図に示したグラフ以外にも散布図やレーダチャート、円グラフ、面グラフなどが可能である。また3Dグラフも可能である。
【0034】
条件指定機能は、前述のグラフ表示機能と連携して動作し、グラフ操作領域(a02、b02、c02)に示された条件をグラフ表示機能に通知する。グラフ表示機能は、条件指定機能から通知された情報を利用し、グラフを作成する。本実施の一形態では、グラフ操作領域(a02、b02、c02)で指定された時間データを指定する。尚、データベースシステム500からデータを取得する機能は、グラフ表示機能が行なう。ただし、グラフ表示機能に限定するわけではない。
【0035】
グラフ操作機能は、後述するメモリテーブルを利用し、前述した条件指定機能を操作する。グラフ操作機能には、グラフリンク領域(a06、b06、c06)の状態が有効/無効を認識する機能が備わっている。更に、条件指定機能のグラフ操作領域(a02、b02、c02)に示される条件を変更する機能が備わっている。同じく、グラフリンク領域が有効であるグラフの作成条件をほぼ同時に変更する機能が備わっている。詳細はメモリテーブルを使用し後述する。
【0036】
図4は、情報処理装置のRAM220に展開されている記憶内容を模式的に表したメモリテーブルである。メモリテーブルは、グラフNo領域401、グラフ横軸情報領域402、グラフ縦軸情報領域403及びグラフ連動状態領域404によって構成されており、必要に応じて拡張される。
【0037】
グラフNo領域401には、グラフ表示機能によってグラフ表示領域に表示されるグラフの番号がナンバリングされて記録される。設備監視装置2の使用者が、所望のグラフ表示数を設定すると、この領域に設定された表示数分の情報が記録される。
【0038】
グラフ横軸情報領域402には、グラフ表示領域に表示されるグラフの横軸データを示す情報が記録される。この情報は、使用者がグラフ操作領域を操作し、設定する。
【0039】
グラフ縦軸情報領域403には、グラフの縦軸データを示す情報が記録される。この情報は、使用者が設定するが、予め決まった情報でも良い。また、この情報を元に、情報処理装置200は、データベースシステム500からデータを取得し、グラフを作成する。
【0040】
グラフ連動状態領域404には、グラフリンク領域(a06、b06、c06)の有効/無効の状態が記憶される。この領域情報は、使用者がグラフリンク領域(a06、b06、c06)を操作するごとに、有効と無効が切り替り記録される。このグラフリンク領域を用いてグラフ連動機能を実現する。
【0041】
本実施の一形態で用いられる専用プログラムは、どの様な形式のプログラムでも良い、例えばC言語等のインタプリタ型言語や、アセンブラ型言語、コンパイラ型でも良い。また、スプリクト言語を用いても良く、機能を実現できればそれで良い。
【0042】
本実施の一形態のグラフ表示機能と条件指定機能は、多くのアプリケーションソフトで実現されている為、詳細は省く。尚、本一形態では、専用プログラムに、プラグインとしてグラフ作成アプリケーションソフトを導入しても、機能を実現可能としている。
【0043】
グラフ操作機能は、上記グラフ表示機能と条件指定機能と同様に、プラグインを利用しても、実現可能である。つまり、当発明はGUIを用いて操作するため、例えばC言語を用いて、構築する電子画面上にグラフリンク領域を設け、グラフリンク領域をボタン化し、当該ボタンの入力によって有効と無効のフラグを発生させ、フラグを認識することで、グラフを連動操作可能とすれば良い。
【0044】
このような構成において、本発明の実施の一形態である大規模空調システム1は、多数の設備からの情報をデータベースシステム500に格納できる。そして、設備監視装置2は、データベースシステム500からデータを取得し、表示装置300の画面にグラフとして表示できる。更に、表示したグラフを操作することにより、電子画面に表示されるグラフを容易に所望のグラフに変更できる設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供できる。
【0045】
以下に大規模空調システム1の動作を説明する為、表示画面例とメモリテーブル例を示し、設備監視装置2の操作を説明する。また、情報処理装置200の動作フローチャートを示し、設備監視装置2の動作を説明する。
【0046】
図5は、設備監視装置2(表示装置300)の画面表示例である。表示画面は、情報処理装置200の制御部210が、HDD260に格納された専用プログラムをRAM220に展開し、展開された専用プログラムに従い動作することで構築される。
【0047】
詳細には、制御部210が、専用プログラムの条件指定機能で指定された、グラフ横軸情報402、グラフ縦軸情報403をRAM220上に展開されたメモリテーブルから取得する。そして、グラフ横軸情報402、グラフ縦軸情報403が示す情報をデータベースシステム500にアクセスし、取得する。そして、グラフ表示機能を用いて、取得したデータからグラフを作成し、更に電子画面として構築する。構築された電子画面は、出力部250を介して表示装置300に送信される。電子画面を受信した表示装置300は、表示画面に電子画面を表示する。
【0048】
図5には、3個のグラフがグラフ表示領域(51a、51b、51c)に表示され、それぞれのグラフにグラフ操作領域(52a、52b、52c)とグラフリンク領域(56a、56b、56c)が設けられている。それぞれの動作は、図3のグラフ作成例を用いて説明と同じである。
【0049】
つまり、グラフ表示領域51aに表示されるグラフは、グラフ操作領域52aの指定時間領域53aの時間データを用いて作成されている。また、操作ボタン54a、55aは、指定時間領域53aのプラス操作とマイナス操作を行なえる。グラフリンク領域56aは、電子画面上でボタン(グラフ連動ボタン)に成っており、GUIを用いて操作可能である。そして、メモリテーブルのグラフ連動状態領域404と連動しており、操作されるごとに有効/無効と変化する。
【0050】
グラフ表示領域51b及びグラフ表示領域51cに表示されるグラフも、グラフ表示領域51aと同様であり、グラフ操作領域(52b、52c)によって操作可能である。また、グラフリンク領域(56b、56c)は、操作によって有効/無効と変化する。
【0051】
図6(a)及び(b)、図7(a)及び(b)は、専用プログラムのグラフ操作機能の動作を説明する為、動作例として示すメモリテーブルである。
【0052】
この動作例は、図5に示した3個のグラフをすべてほぼ同時に更新する場合である。つまり、3個のグラフの指定日付を一括して操作する場合である。
【0053】
メモリテーブルが図6(a)で示される状態のときは、表示画面にグラフが3個表示され、上からグラフ1、グラフ2、グラフ3と表示される。そして、グラフ1は2007/1/29の気温を示すグラフである。またこのグラフのグラフ連動機能は有効に成っている。グラフ1と同様にグラフ2及び3もそれぞれの日付のグラフを表示し、グラフ連動機能は有効に成っている。
【0054】
この状態で、操作者がグラフ1から3を所望の日付である2007/1/30に一括変更したいと考えたとき、操作者は入力部240を用いて、グラフ1の指定時間領域53aに2007/1/30を直接入力するか、または操作ボタン54aを選択する。このことは、別の表現で記載すると、専用プログラムが備えた、条件指定機能を用いて、グラフ1の日付情報(作成条件)を操作(指定)することに当たる。
【0055】
情報処理装置200の制御部210は、入力部240を用いて当該領域が操作されたことを認識し、メモリテーブルのグラフ1のグラフ横軸情報領域402の日付情報を2007/1/30に上書き記録する。そして、グラフ横軸情報領域402が上書き記録されたことを認識し、グラフ1を2007/1/30の情報に書き換える。このことは、別の表現で記載すると、専用プログラムが備えた、グラフ作成機能を用いて、グラフ1を再作成することに当たる。
【0056】
情報処理装置200の制御部210は、メモリテーブルのグラフ連動状態領域404が有効か無効かを判断し、無効ならば、処理を終了し、有効ならばグラフ2のグラフ連動状態領域404の状態が有効か無効かを判断する。グラフ2のグラフ連動状態領域404は有効であるので、グラフ2のグラフ横軸情報領域402に、グラフ1と同じ日付を上書き記録する。そして、制御部210は、グラフ横軸情報領域402が上書き記録されたことを認識し、グラフ2を2007/1/30の情報に再作成する。このことは、別の表現で記載すると、専用プログラムが備えた、グラフ操作機能が、グラフ2の条件指定機能を操作し、グラフ作成機能を用いて、グラフ2を再作成したことに当たる。
【0057】
グラフ2を再作成した後、グラフ3のグラフ連動状態領域404の状態を有効か無効か判断する。グラフ3のグラフ連動状態領域404は有効であるので、グラフ3のグラフ横軸情報領域402に、グラフ1と同じ日付を上書き記録する。そして、制御部210は、グラフ横軸情報領域402が上書き記録されたことを認識し、グラフ3を2007/1/30の情報に再作成する。このことは、別の表現で記載すると、専用プログラムが備えた、グラフ操作機能が、グラフ3の条件指定機能を操作し、グラフ作成機能を用いて、グラフ3を再作成したことに当たる。
【0058】
この様にして、3個のグラフを全て、ほぼ同時に同じ指定日付に更新する。また、別の表現で記載すると、複数のグラフの作成条件をほぼ同時に操作するといえる。図6(b)は、一括して操作した後のメモリテーブルである。(a)と(b)を比較すると、グラフ1ないし3のグラフ横軸情報領域402の情報が全て2007/1/30に変化していることがわかる。
【0059】
本動作例ではグラフが3個であるので、グラフ3を再作成した後は、終了する。もしも、表示するグラフが5個であったなら、グラフ5まで同じ動作を繰り返す。
【0060】
次に、別の動作例を示し、グラフ連動状態領域404に無効があった場合を説明する。
【0061】
使用者がグラフ1とグラフ3を連動させて操作させるとき、グラフ2のグラフリンク領域56bを操作し、有効から無効に変更する。
【0062】
図7(a)はグラフ2のグラフリンク領域56bが無効になったときのメモリテーブルである。図7(a)は図6(a)に示したメモリテーブルとほぼ同じであるが、グラフ2のグラフ連動状態領域404が無効に成っている点で異なる。つまり、グラフ1とグラフ3のグラフ連動機能は有効であり、グラフ2のグラフ連動機能が無効である。
【0063】
この場合の動作は、次の様になる。操作者が入力部240を用いてグラフ1の操作を行い、日付情報を2007/1/30に変更すると、情報処理装置200の制御部210は、メモリテーブルのグラフ1のグラフ横軸情報領域402の日付情報を2007/1/30に上書きする。そして、制御部210は、グラフ横軸情報領域402が上書きされたことを認識し、グラフ1を2007/1/30の情報に書き換える。
【0064】
情報処理装置200の制御部210は、メモリテーブルのグラフ1のグラフ連動状態領域404が有効か無効かを判断する。そして、有効であるので、グラフ2のグラフ連動状態領域404の状態を有効か無効か判断する。グラフ2のグラフ連動状態領域404は無効であるので、何もせず、次のグラフであるグラフ3のグラフ連動状態領域404の状態を判断する。
【0065】
グラフ3のグラフ連動状態領域404は有効であるので、グラフ横軸情報領域402に、グラフ1と同じ日付を上書き記録する。そして、制御部210は、グラフ横軸情報領域402が上書き記録されたことを認識し、グラフ3を2007/1/30の情報に再作成する。つまり、グラフ連動状態領域404が無効なグラフは変更せず、有効なグラフは変更する。
【0066】
この様にして、使用者がグラフ1とグラフ3を連動させて操作したいとき、グラフ1とグラフ3を連動させて操作できる。また、別の表現では、任意のグラフを選択し、関連させることで、グラフをほぼ同時に操作可能にできる。
【0067】
図7(b)は、一括して操作した後のメモリテーブルである。(a)と(b)を比較すると、グラフ1と3のグラフ横軸情報領域402の情報が2007/1/30に変化しており、グラフ2の情報には変化が無いことがわかる。
【0068】
次に本実施の一形態において実行される専用プログラムの動作を示すフローチャートを用いて、グラフ操作機能の説明を行なう。
【0069】
図8は、グラフ操作機能の動作の流れを示したフローチャートである。
【0070】
尚、グラフ操作機能が有する、グラフ連動状態領域に示されるグラフ連動ボタンの操作により、グラフ連動状態が有効/無効と変化する動作のフローチャートによる説明は、省略する。
【0071】
情報処理装置200の制御部210は、使用者によって、標示装置300の電子画面上に表示されたグラフ操作領域の指定時間領域(日付情報:時間情報)を変更されたかを常時確認する。変更されたことを認識した場合には次ステップに進む(ステップS801)。
【0072】
制御部210は、メモリテーブルの操作されたグラフ番号が示す横軸情報領域402を変更された日付情報に上書きする(ステップS802)。
【0073】
制御部210は、メモリテーブルのグラフ縦軸情報領域403と横軸情報領域402とが示すデータをデータベースシステム500から取得する(ステップS803)。
【0074】
制御部210は、取得したデータとグラフ作成機能を用いてグラフを作成し、表示する(ステップS804)。
【0075】
制御部210は、グラフNo領域401からグラフの総数を認識し、他のグラフがある場合にグラフ操作機能を使用する。他にグラフが無い場合には終了する(ステップS805)。
【0076】
制御部210は、変更されたグラフのグラフ連動状態領域404を参照し、グラフ連動機能が有効か判断する。有効の場合には次ステップに進み、無効の場合には終了する(ステップS806)。
【0077】
制御部210は、次グラフのグラフ連動状態領域404を参照し、グラフ連動機能が有効か判断する。有効の場合には次ステップに進み、無効の場合にはステップS811に進む(ステップS807)。
【0078】
制御部210は、メモリテーブルの次グラフの横軸情報領域402をステップS801で入力された時間情報に上書きする(ステップS808)。
【0079】
制御部210は、メモリテーブルのグラフ縦軸情報領域403と横軸情報領域402とが示すデータをデータベースシステム500から取得する(ステップS809)。
【0080】
制御部210は、取得したデータとグラフ作成機能を用いてグラフを作成し、表示する(ステップS810)。
【0081】
制御部210は、グラフNo領域401で認識したグラフの総数をと、グラフ連動状態領域404を参照したグラフ数とを比較し、全てのグラフについてグラフ連動操作の処理が終了した場合は終了する。まだ未処理のグラフがある場合には、ステップS807に戻り、グラフ連動操作の処理を続ける(ステップS811)。
【0082】
このようにして、グラフ操作機能は、グラフをグラフ連動操作できる。
【0083】
さらに、グラフ操作機能を備えた専用プログラムは、複数のグラフから任意のグラフを選択し、関連させ、グラフの指定時間をほぼ同時に操作できる。つまり、複数のグラフを、容易な操作で変更できる。
【0084】
同じく、前述の専用プログラムを備えた情報処理装置は、表示装置に表示される複数のグラフから任意のグラフを選択し、関連させ、グラフの指定時間を一括して操作可能とできる。つまり、情報処理装置に表示された複数のグラフを、容易な操作で変更できる。
【0085】
同じく、前述の専用プログラムを備えた情報処理装置を用いることで、特定日の気温グラフと消費電力グラフを比較することも容易にできる。このときは、気温グラフと消費電力グラフとをグラフ1とグラフ2に設定し、両グラフのグラフ連動ボタンを有効にし、グラフ1又はグラフ2の日付情報に特定日を入力すれば良い。換言すれば、表示装置に表示される複数のグラフから任意のグラフを選択し、関連させ、操作することで、任意のグラフと別の任意のグラフとを比較することが容易にできると言える。
【0086】
また、メモリテーブルのグラフ横軸領域情報402は日付情報に限定する必要は無い。日付情報以外の動作例としては、予め理想的な情報をデータベース500に登録し、その理想データを示す値(例えば、『理想グラフ』の文字列)を割振る。この様にした後、グラフ横軸領域情報402に、『理想グラフ』を入力し、グラフ連動ボタンを無効にすれば、複数の情報を理想データと比較できる。換言すれば、表示装置に表示される複数のグラフから任意のグラフを選択し、関連させ、操作することで、任意のグラフと理想のグラフとを比較することを容易とできると言える。
【0087】
尚、上述した複数の例は、全てグラフの横軸を連動させる例である。しかし、本発明は横軸に限定するものではない。縦軸を連動させても良いし、グラフを3Dグラフとすれば奥行き軸を連動させても良い。そのときは適時メモリテーブルの連動させたい軸の情報を用いて操作すれば良い。
【0088】
また、上述した複数の例は、全てメモリテーブルの特定の領域を一括して上書可能とする例である。しかし、本発明はメモリテーブルの上書に限定するものではない。例えばグラフ操作機能に、特定の領域情報をインクリメントやデクリメントする機能を付加しても良い。この場合を図4のメモリテーブルを用いて説明すると、グラフ横軸領域情報402を操作可能とするインクリメント機能とデクリメント機能を表示画面上に表示させる。そして、インクリメント機能が操作された場合には、グラフ操作機能がグラフ連動状態領域404を判断し、グラフ横軸領域情報402の情報をインクリメントすれば良い。同じく、デクリメント機能が操作された場合には、グラフ操作機能がグラフ連動状態領域404を判断し、グラフ横軸領域情報402の情報をデクリメントすれば良い。他の例としては、+7(1週間分)や直接MM(月)情報、YY(年)情報を書換え可能とする機能を付加しても良い。つまり、グラフ操作機能は、特定の領域情報を連動して変更可能とできればそれで良く、上述の例に限定されるものではない。
【0089】
以上説明したように、本発明によれば、電子画面に表示されるグラフを容易に所望のグラフに変更できる設備監視装置、情報処理装置及びプログラムを提供できる。
【0090】
尚、図1において例示した設備は、電気設備に限ることは無い。エネルギーを温水や冷水、温風などを利用して伝達する設備であっても良い。更に言えば、情報収集可能であればどの様な設備でも良い。また、データベースシステム500も、情報処理装置200の機能を利用して実現しても良い。この場合は、情報処理装置200が有するHDD260に様々な情報を蓄積することとすればそれで良い。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施の一形態を示す概略図である。
【図2】設備監視装置2のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】グラフ作成機能によって作成されるグラフの作成例である。
【図4】記憶内容を模式的に表したメモリテーブルである。
【図5】実施の一形態の画面表示例である。
【図6】動作例として示すメモリテーブルである。
【図7】動作例として示すメモリテーブルである。
【図8】グラフ操作機能の動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1 大規模空調システム
2 設備監視装置
200 情報処理装置
300 表示装置
500 データベースシステム
510〜5nn 設備機器
700 ネットワーク
750 通信線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備えたグラフ表示装置の制御部に、
複数のグラフと任意に選択したグラフを同時的に切換え可能とするグラフ連動ボタンとを表示部に表示させる手段を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
表示部を備えたグラフ表示装置の制御部に、
グラフを作成するグラフ作成手段と、
前記グラフの作成条件を指定する条件指定手段と、
前記条件指定手段を操作可能とし、複数のグラフの作成条件を同時的に変更可能とするグラフ操作手段と、
を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
大規模管理システムに備えられ、多くの設備の運転状況をデータとして保存し、過去及び現在の運転状況を適時表示可能とする設備監視装置において、
設置される設備機器の様々な状況を示すデータが保存されるデータベースと、
設備機器の状況をGUI(Graphical User Interface)を用いて表示し操作可能とする情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置の制御部は、
前記データベースにアクセスし、前記設備機器の状況が記された状況データを取得し、取得した前記状況データをグラフとして作成すると共に、
作成されたグラフを、所望のグラフに変更可能とするグラフ変更手段と、
複数のグラフのグラフ変更手段を同時的に機能させる複数グラフ操作手段と、
を有することを特徴とする設備監視装置。
【請求項4】
請求項3記載の情報処理装置であって、
前記情報処理装置の制御部は、
前記グラフ変更手段によって所望のグラフに変更された場合に、
前記複数グラフ操作手段によって同時的に複数のグラフを変更する
ことを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−282221(P2008−282221A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125873(P2007−125873)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(390018706)ジョンソンコントロールズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】