説明

設置用部材及びアンテナ装置

【課題】用途に応じて、載置式の設置用部材を用意したり、結合式の設置用部材を用意するというように、用途に応じて別々の設置用部材を用意する煩わしさを解消する。
【解決手段】設置用部材1は、被設置物体2に接合する被設置物体接合部4と、当該被設置物体接合部4を支持する脚部5とを有する。脚部5には、被設置物体2の設置場所に脚部5を載置する載置式固定用部材7と、被設置物体2の設置場所に結合して脚部5を固定する結合式固定用部材8とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被設置物体を設置させるための設置用部材及び当該設置用部材を備えたアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8には、設置用部材の一例が実線により模式的に示されている(例えば特許文献1参照)。この図8に示される設置用部材50は、点線に示される被設置物体であるアンテナ51を設置させるためのものである。当該設置用部材50は、三脚の形態を有し、持ち運びが容易な構成を有している。すなわち、当該設置用部材50は、アンテナ51に接合するアンテナ接合部52と、当該アンテナ接合部52を共通に支持する3本の脚部53(図8では3本の脚部53のうちの1本は他の脚部53やアンテナ接合部52に隠れて見えない状態)とを有して構成されている。各脚部53は、それぞれ、アンテナ接合部52側の端部の回転中心部Oを中心にして図8の矢印Aの方向に回転自在な構成と成している。設置用部材50は、各脚部53が図8の実線に示すような開脚状態にあるときにアンテナ51を設定の設置場所に設置可能である。また、設置用部材50は、各脚部53が鎖線に示すような閉脚状態にあるときには3本の脚部53がまとまって持ち運び易くなるものである。
【0003】
前記各脚部53の先端側には、それぞれ、支持部54が設けられている。当該支持部54は、脚部53に当該脚部53の長手方向に直交する方向に貫通して設けられる脚部支持部材55と、脚部支持部材55の先端に設けられる載置部材56とを有している。載置部材56は、アンテナ51の設置場所に載置されて脚部支持部材55を介して脚部53を設置場所に支持固定するものである。脚部支持部材55は、脚部53に対して貫通方向に相対的に変位自在に脚部53に設けられており、当該脚部支持部材55の上記変位によって脚部53と載置部材56との間の間隔を可変できる構成となっている。この構成によって、設置場所に対する各脚部53の高さ位置をそれぞれ調整できる。このため、アンテナ51の設置場所が水平である場合も、傾斜していても、各脚部53の高さ位置をそれぞれ各脚部53の支持部54によって調整することにより、アンテナ51を要求に応じた姿勢で設置させることが容易となる。
【0004】
この図8に示される設置用部材50は、アンテナ51を一時的に設置する(仮設する)場合を想定した部材であり、設置場所に載置しただけでアンテナ51を設置するものである。このため、載置しただけでアンテナ51を安定的に設置できるように、各脚部53の成す角度が180°となるような状態にまで3本の脚部53を開脚させてアンテナ51の設置高さを低くし、かつ、脚部53の長さを、持ち運び易さを妨げない程度に長くして、耐転倒性を高めている。
【0005】
上記のような設置用部材50に対して、図9の実線に示されるような設置用部材58がある(例えば特許文献2参照)。この図9の設置用部材58は、被設置物体であるアンテナ51を長期的に設置する(常設する)ことを想定したものである。当該設置用部材58は、アンテナ51を常設するので、アンテナ51を設置するのに必要なアンテナ設置用の占有面積を広く取ることが好まれないことや、周囲の手すり等の無線通信障害物の悪影響を避けるためにアンテナ51の設置高さを高くできること等が考慮されて構成されている。すなわち、当該設置用部材58は、ポール59と、当該ポール59の一端側に設けられたフランジ60とを有して構成されている。ポール59は、フランジ60が設けられている端部の反対側の端部にアンテナ51が接合される。フランジ60には、当該フランジ60の表面側から裏面側に貫通するボルト挿通用孔部(図示せず)が形成されている。アンテナ51を常設する場所には、例えば基礎(架台)が設けられている。フランジ60の上記ボルト挿通用孔部にボルト61が挿通され当該ボルト61が上記基礎(架台)に螺合締結することによって、ポール59がアンテナ51の設置場所(常設場所)に固定される。これにより、設置用部材58は、広い面積を占有することなく、アンテナ51を、無線通信への手すり等の悪影響を受け難い高さ位置に安定的に設置することができる。
【0006】
【特許文献1】特開平7−202542号公報(例えば、[0014]、図1等)
【特許文献2】特開平8−51311号公報(例えば、[0007]、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した設置用部材50は、載置しただけでアンテナ51を安定的に設置することができるように、アンテナ51の設置の高さ位置を低くし、かつ、設置するための面積を広く取ってアンテナ51の耐転倒性を高める構成を有している。これに対して、設置用部材58は、広い設置用の面積を占有することなくアンテナ51を安定的に設置したい等の要求に応じて、ボルト等によって設置場所に結合することで設置面積を広く占有することなくアンテナ51を設置する構成と成している。このため、仮に、設置用部材58を、設置用部材50のように載置しただけでアンテナ51を設置する部材として使用すると、設置用部材58を設置場所にボルト等によって結合しないので、アンテナ51は転倒し易くなって、アンテナ51を安定的に設置することはできない。また、仮に、設置用部材50を設置用部材58の如く使用すると(例えば、設置用部材50の載置部材56を設置場所に結合させて使用すると)、設置のための占有面積が広く必要であり、設置用部材58に対して要求された事項(占有面積を広く取らないという要求事項)を満たすことができない。このように、設置用部材50,58はそれぞれ用途に応じた構成を持ち、互いに異なる構成である。この構成の差異によって、設置用部材50は設置用部材58に対する要求事項を満たして設置用部材58の使用形態で使用することができず、また、設置用部材58は設置用部材50の使用形態で使用することは難しい。このために、アンテナ51を設置する際には、用途に応じて別々の設置用部材50,58を用意する必要があった。
【0008】
これら設置用部材50,58のように、設置用部材には、同様な被設置物体を設置するための部材でありながら、設置場所に載置するだけの載置式のものと、設置場所にねじ等によって結合する結合式のものとの用途に応じた種類がある場合がある。この場合の設置用部材は、その種類毎にそれぞれ互いに異なる構成を持つ。この構成の差異によって、被設置物体を設置する場合に、用途に適した種類の設置用部材を用意する必要があり、煩わしかった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、用途によって、載置式の設置用部材を用意したり、結合式の設置用部材を用意するというような用途に応じた設置用部材を用意しなければならないという煩わしさを解消できる設置用部材及びアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明は次に示すような構成を有している。
【0011】
すなわち、この発明の設置用部材は、被設置物体に接合する被設置物体接合部と、当該被設置物体接合部を支持する脚部とを有し、前記脚部には、前記被設置物体の設置場所に前記脚部を載置する載置式固定用部材と、前記被設置物体の設置場所に結合して前記脚部を固定する結合式固定用部材とが設けられている。また、この発明のアンテナ装置は、前記被設置物体であるアンテナと、本発明における上記構成を有する設置用部材とを有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設置用部材の脚部には、載置式固定用部材と、結合式固定用部材とが設けられているので、載置式固定用部材を用いて被設置物体を設置場所に載置することもできるし、結合式固定用部材を用いて被設置物体を設置場所に結合させて固定することもできる。つまり、本発明における設置用部材があれば、被設置物体を設置場所に載置固定させることも、結合固定させることもできる。このため、用途によって、載置式の設置用部材を用意したり、結合式の設置用部材を用意するというように用途に応じて別々の設置用部材を用意しなければならないという煩わしさを解消できる。
【0013】
また、本発明における設置用部材を備えたアンテナ装置にあっては、本発明における前記設置用部材が設けられているので、当該アンテナ装置を設置場所に載置することも結合固定することができ、利便性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1には本発明における設置用部材の一実施形態が被設置物体と共に模式的に示されている。この実施形態の設置用部材1は、被設置物体であるアンテナ2を設置するためのものである。当該設置用部材1は、アンテナ2を設置場所に載置固定することも結合固定することも可能な構成を有している。すなわち、この実施形態の設置用部材1は、被設置物体接合部であるアンテナ接合部4と、3本の脚部5(図1の例では、3本の脚部5のうちの一本は他の脚部5等の影に隠れて見えない状態である)と、連接手段6と、載置式固定用部材7と、結合式固定用部材8とを有して構成されている。なお、この実施形態の設置用部材1は、アンテナ2に一体的に接合されアンテナ2と共にアンテナ装置を構成する場合と、アンテナ2とは別個独立したものと成す場合とがある。
【0016】
前記アンテナ接合部4は、この実施形態では、アンテナ取付ポール3を介してアンテナ2に接合する構成を備えている。なお、図1に示される例では、アンテナ2は、衛星通信用のアンテナであるが、この実施形態の設置用部材1によって設置されるアンテナ2は、衛星通信用以外のアンテナでもよい。衛星通信用のアンテナおよび衛星通信用以外のアンテナには様々な構成があり、この実施形態では、アンテナ2は、それら構成のうちの何れの構成を有していてもよく、ここでは、アンテナ2の構成の説明は省略する。
【0017】
前記各脚部5はそれぞれ柱状(内部に空間部を有する例えば中空の柱状も含む)である。当該各脚部5の一端側は、連接手段6によって、図1に示される回転中心軸Oを中心にして矢印αに示す方向に回転自在にアンテナ接合部4に連接されている。この構成によって、3本の脚部5は、図1の実線に示されるような開脚状態から図2に示されるような閉脚状態に、またその逆に前記閉脚状態から前記開脚状態に変化することが可能になっている。この実施形態では、3本の脚部5が前記開脚状態、つまり、3本の脚部5の互いに成す角度(開脚角度)が180°である状態が載置式固定用開脚状態となっている。当該開脚状態のときに、後述する載置式固定用部材7を利用して3本の脚部5がアンテナ2の設置場所に載置され、これにより、アンテナ2が3本の脚部5を介して設置場所に支持固定される。また、3本の脚部5が前記閉脚状態のときに、当該3本の脚部5は、前記図9に示す設置用部材58のポール59と同様に機能し、後述する結合式固定用部材8を利用してアンテナ2の設置場所に例えばボルト等によって結合固定される。これにより、アンテナ2が3本の脚部5を介して設置場所に支持固定される。3本の脚部5は、前記閉脚状態のときに互いに間隔を介して並設される状態となるようにアンテナ接合部4に連接されている。この構成により、アンテナ2の支持のための剛性を確保し易くなる。
【0018】
この実施形態では、上述したように、3本の脚部5は、開脚状態でも閉脚状態でもアンテナ2を支持する。このため、開脚状態と閉脚状態の何れの状態でもアンテナ2を安定的に支持すること等を考慮して、その構成材料や太さ等が設計される。また、3本の脚部5は、開脚状態でのアンテナ2の支持の安定性や閉脚状態のときの可搬性等を考慮して、その長さ等が設計されている。
【0019】
載置式固定用部材7は、脚部5が前記載置式固定用開脚状態のときにアンテナ2の設置場所に載置して脚部5を固定する構成を有するものである。当該載置式固定用部材7の構成には様々な構成があるが、その一例が図1に図示されている。図1に示す載置式固定用部材7は、前記図8に示す設置用部材50の支持部54と同様な構成を有するものである。つまり、当該載置式固定用部材7は、脚部5の先端側に設けられ、脚部支持部材10と、載置部材11とを有して構成されている。脚部支持部材10は、例えば棒状と成し、脚部5に、当該脚部5の長手方向に交差する方向(図1の例では直交する方向)に貫通した状態で、かつ、その貫通方向に脚部5に対して相対的に変位自在な状態で取り付けられている。図1の例では、脚部支持部材10には、当該脚部支持部材10を変位させるための操作部13が設けられている。
【0020】
載置部材11は、脚部5が載置式固定用開脚状態のときに下端となる脚部支持部材10の端部に設けられており、アンテナ2の設置場所に面でもって載置される部位12を有する。
【0021】
この実施形態では、上記したように、脚部支持部材10が脚部5に対して変位自在に取り付けられているので、載置式固定用部材7は、載置式固定用開脚状態のときの設置場所に対する各脚部5の高さ位置を調整できる。また、図2の下側から設置用部材1を見た図である図3に示されるように、載置式固定用部材7は、脚部5を閉脚状態にしたときに各脚部5の載置式固定用部材7が干渉しないように脚部支持部材10および載置部材11の位置を変位させることもできる。
【0022】
結合式固定用部材8は例えば板状と成し、当該結合式固定用部材8は、各脚部5の先端部(アンテナ接合部4に連接される側の端部(基端部)の反対側の端部)にそれぞれ設けられている。当該結合式固定用部材8は、脚部5の長手方向に直交する方向に張り出すフランジ部14を有する。このフランジ部14には、表面側から裏面側に貫通する貫通孔15が形成されている。この貫通孔15にボルト等を挿通させてアンテナ2の設置場所(例えば常設用の基礎や架台)にそのボルト等を螺合締結させる。これにより、結合式固定用部材8のフランジ部14がボルト等によって前記設置場所に結合され脚部5が固定される。
【0023】
この実施形態の設置用部材1、及び、当該設置用部材1とアンテナ2を有するアンテナ装置は上記のように構成されている。前記設置用部材1の脚部5には載置式固定用部材7と結合式固定用部材8との両方が設けられているので、当該設置用部材1を用いることによって、アンテナ2を設置場所に載置しただけで設置することも、ボルト等によって結合して設置することも可能になる。これにより、設置用部材の利便性を高めることができる。
【0024】
なお、この発明はこの実施形態の形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、この実施形態では、被設置物体はアンテナ2であったが、被設置物体はアンテナ2に限定されるものではなく、アンテナ2以外の例えばカメラ等の物体であってもよい。この場合には、設置用部材1は、アンテナ接合部4に代えて、アンテナ2以外のカメラ等の被設置物体を接合するための被設置物体接合部が設けられることになる。その被設置物体接合部の構成は、被設置物体の構成に応じたものであり、様々な構成があり、被設置物体の構成に基づいた適宜な構成が採用されるものである。ここでは、当該被設置物体接合部の構成の説明は省略する。
【0025】
また、脚部5は、長さの調整ができないものであったが、脚部5は、伸縮自在で長さ調整が可能な構成を有していてもよい。伸縮自在な脚部の構成には様々なものがあり、何れの構成を用いてもよいが、その一例として次のようなものがある。例えば、図4(a)のモデル図に示されるように、脚部5’は、基部となる筒状脚部171と、この筒状脚部171よりも径が小さくて当該筒状脚部171の筒内に嵌合挿入可能な筒状脚部172とを有するという如く、互いに径の異なる複数の筒状脚部171,172,・・・を有する。それら複数の筒状脚部171,172,・・・は径の大きさ順に連接される。脚部5’は、図4(b)に示すように、径の大きい例えば筒状脚部171の筒内に、それよりも径の小さい隣の筒状脚部172が嵌合挿入することによって、短くなり、反対に、筒状脚部171から筒状脚部172を引き出すことによって、長くなる、つまり、伸縮自在な構成を有する。このような伸縮自在な脚部を用いることによって、可搬性(持ち運び易さ)を考慮した短さと、脚部を開脚状態にして被設置物体を載置固定する場合の被設置物体の安定性を考慮した長さとを共に得ることが容易になる。なお、脚部5が長さ調整可能な構成を有する場合には、脚部5には、長さ調整後の状態を維持させるための長さ維持固定手段(図示せず)が設けられることとなる。
【0026】
さらに、脚部5は、折り曲げ自在な構成を有していてもよい。例えば、脚部5は、図5の鎖線に示す脚部5''のような直線状の形態にも、実線に示す脚部5''のような折り曲がった形態にもなることが可能な構成を有していてもよい。このような構成を有する場合には、例えば、脚部5''は、図5の実線に示すように開脚されると共に、先端側が設置場所の設置面に対して立設するように折り曲げられた状態で、結合式固定用部材8を利用して設置場所に結合固定されてもよい。あるいは、脚部5''は、図5の鎖線に示されるような閉脚状態で結合式固定用部材8を利用して設置場所に結合固定されてもよい。上記脚部5''のように脚部5が開脚した状態で設置場所に結合固定される場合には、脚部5が閉脚状態である場合よりも被設置物体の設置の高さ位置を低くすることができる。また、上記脚部5''のように脚部5が開脚した状態で設置場所に結合固定されることが可能な構成である場合には、脚部5の開脚角度の調整を可能にすることによって、結合固定する場合の被設置物体の設置の高さ位置を調整することが可能になる。さらに、脚部5が閉脚状態である場合よりも被設置物体の設置の安定性を高めることができ、耐転倒性を向上させることができる。なお、上記のように、脚部5が折り曲げ自在な構成を有する場合には、脚部5には折り曲げ状態を維持するための折り曲げ状態維持手段(図示せず)が設けられる。
【0027】
さらに、脚部5は、前記したような伸縮自在な構成と、折り曲げ自在な構成とを両方ともに有する構成としてもよい。この場合には、設置用部材1の使用形態のバリエーションをより増加させることができる。
【0028】
さらに、この実施形態では、脚部5の載置式固定用部材7は、設置場所に対する脚部5の高さ位置を調整可能な構成を備えていた。これに対して、例えば、被設置物体に姿勢調整手段等が設けられている等の理由によって、設置場所に対する脚部5の高さ位置を調整しなくて済む場合には、載置式固定用部材7は、設置場所に対する脚部5の高さ位置を調整する構成を備えていなくてもよい。この場合には、載置式固定用部材7の構成を簡略化することができる。また、そのように設置場所に対する脚部5の高さ位置を調整しなくて済む場合には、設置用部材は、例えば、図6(a)、(b)に示される設置用部材1''のような構成をも採り得る。つまり、図6(a)、(b)に示される設置用部材1''の構成では、脚部5は前述したような折り曲げ自在な構成を有し、また、脚部5の折り曲げ状態を維持するための手段が設けられ、さらに、前記載置式固定用部材7が省略されている。設置用部材1''は、例えば、脚部5が図6(a)に示されるようにまっすぐで閉脚状態のときに結合式固定用部材8を利用して設置場所に例えばボルト等によって結合固定される。また、設置用部材1''は、例えば、脚部5が図6(b)に示されるような載置式固定用開脚状態であると共に脚部5の先端側が設置場所の設置面に対して立設するように脚部5が折り曲げられた状態で結合式固定用部材8を設置場所に載置し載置式固定用部材として機能させて設置場所に固定される。このように、設置用部材1''の構成では、結合式固定用部材8が載置式固定用部材としても機能するので、結合式固定用部材8とは別の載置式固定用部材を設けなくて済む。
【0029】
さらに、この実施形態では、3本の脚部5が設けられていたが、脚部5は、後述するように1本でもよいし、2本あるいは4本以上でもよく、脚部5の数は、例えば、被設置物体の支持のための剛性等を考慮して適宜設定されるものである。脚部5の数が多くなるに従って、脚部5を開脚状態にして被設置物体を設置する際の安定性を高めることが容易になる。また、各脚部5の載置式固定用部材7が脚部5の高さを調整するための構成を有して被設置物体の姿勢調整が可能となっている場合には、その被設置物体の姿勢調整が容易になるし、また、微調整が容易になる。
【0030】
図7(a)、(b)には、脚部5が1本の場合の設置用部材の一例が示されている。その設置用部材19の構成では、脚部5は、前述したような伸縮自在な構成を有する。当該脚部5の一端側に被設置物体接合部(アンテナ結合部4)が設けられ、脚部5の他端側には結合式固定用部材8が設けられている。また、脚部5には次に示すような載置式固定用部材20が設けられている。当該載置式固定用部材20は、脚部5に複数設けられている。当該載置式固定用部材20は、脚部支持部材21と、載置部材22とを有している。脚部支持部材21は、一端側が脚部5に回転自在に取り付けられ、他端側に載置部材22が設けられている。脚部5には、載置式固定用部材20を収容するための収容凹部が設けられている。載置式固定用部材20は、可搬性等を考慮して、図7(a)に示されるようにその収容凹部に収納可能になっている。
【0031】
設置用部材19は、例えば、図7(a)に示されるような状態のときに結合式固定用部材8を利用して設置場所に例えばボルト等によって結合固定される。また、設置用部材19は、例えば、図7(b)に示されるように、載置式固定用部材20を脚部5から引き出し、また、脚部5は縮めた状態とし、結合式固定用部材8および載置式固定用部材20の載置部材22を設置場所に載置することにより、載置固定される。この場合には、結合式固定用部材8は載置式固定用部材としても機能する。上記設置用部材19のように、脚部5が1本である場合にも、設置用部材は載置式固定用部材と結合式固定用部材を備えることによって、設置場所に載置固定することも結合固定することも可能になり、利便性を高めることができる。
【0032】
さらに、図1に示される例では、載置式固定用開脚状態は、各脚部5の成す角度が180°であったが、被設置物体の設置の安定性や設置高さ等を考慮して、各脚部5の成す角度が0°よりも大きい180°以外の角度であってもよく、180°に限定されるものではない。さらに、脚部5が結合固定する際の状態は、図2に示すような各脚部5が並設されている閉脚状態に限定されるものではなく、例えば、脚部5の構成によっては前述した図5に示されるような開脚した状態であってもよい。
【0033】
さらに、図1に示される例では、設置用部材1のアンテナ接合部4は、アンテナ取付ポール3を介してアンテナ2に接合されていた。これに対して、例えば、アンテナ2にアンテナ取付ポール同様の部材が一体的に備えられている場合には、アンテナ2と、設置用部材1のアンテナ接合部4とは、別部品のアンテナ取付ポール3を介さずに直接的に接合してよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る設置用部材の一実施形態を被設置物体と共に表したモデル図である。
【図2】図1に示される設置用部材の脚部を閉脚状態にした場合の設置用部材の形態例を模式的に表したモデル図である。
【図3】図2の設置用部材を図2の下方側から見た場合の設置用部材の形態例を模式的に表したモデル図である。
【図4】設置用部材を構成する脚部のその他の形態例を説明するためのモデル図である。
【図5】設置用部材を構成する脚部のさらに別の形態例を説明するためのモデル図である。
【図6】さらにまた、設置用部材を構成する脚部の別の形態例を説明するためのモデル図である。
【図7】その他の実施形態を説明するためのモデル図である。
【図8】アンテナを設置場所に載置するための設置用部材の一形態例を説明するための図である。
【図9】アンテナを設置場所に結合固定するための設置用部材の一形態例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0035】
1 設置用部材
2 アンテナ(被設置物体)
4 アンテナ接合部(被設置物体接合部)
5 脚部
7 載置式固定用部材
8 結合式固定用部材
10 脚部支持部材
11 載置部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被設置物体に接合する被設置物体接合部と、当該被設置物体接合部を支持する脚部とを有し、前記脚部には、前記被設置物体の設置場所に前記脚部を載置する載置式固定用部材と、前記被設置物体の設置場所に結合して前記脚部を固定する結合式固定用部材とが設けられていることを特徴とする設置用部材。
【請求項2】
前記脚部は複数設けられ、当該複数の脚部は前記被設置物体接合部を共通に支持する構成と成しており、前記載置式固定用部材、及び、前記結合式固定用部材は前記各脚部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載の設置用部材。
【請求項3】
前記載置式固定用部材は、前記脚部に取り付けられる脚部支持部材と、当該脚部支持部材の先端に設けられ前記被設置物体の設置場所に載置される載置部材と、当該載置部材と前記脚部との間の間隔を可変する高さ調整手段とを有することを特徴とする請求項2記載の設置用部材。
【請求項4】
前記各脚部は、それぞれ前記被設置物体接合部側の端部を中心にして回転自在に前記被設置物体接合部に連接され、かつ、前記複数の脚部は、閉脚状態のときに互いに間隔を介して並設していることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の設置用部材。
【請求項5】
前記脚部は折り曲げ自在な構成を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3又は請求項4記載の設置用部材。
【請求項6】
前記脚部には、複数の載置式固定用部材が設けられており、当該各載置式固定用部材は、一端側が前記脚部に取り付けられる脚部支持部材と、当該脚部支持部材の他端側に設けられ前記被設置物体の設置場所に載置される載置部材とを有して構成されていることを特徴とする請求項1記載の設置用部材。
【請求項7】
前記脚部は、伸縮自在な構成を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の設置用部材。
【請求項8】
前記被設置物体であるアンテナと、請求項1乃至請求項7の何れか一つに記載の設置用部材とを有することを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−284365(P2009−284365A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136169(P2008−136169)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】