説明

誤挿入防止型ケルビン検査用治具

【課題】ソケット90へのプローブ60の誤挿入を未然に防止可能で、しかもプランジャ頂点P間の距離の短縮を図ることができ、被検査電子部品の小寸法の端子(電極パッド)にも対応可能とする。
【解決手段】導電性チューブ61と導電性プランジャ70とを有するプローブ60が平行に設けられていて、プランジャ70が貫通するプランジャ貫通孔101を有する絶縁性ソケット90を備え、対をなしたプローブ60のプランジャ70は、チューブ61の軸方向の中心に対してプランジャ同士の相互間隔が狭くなる方向に偏心した位置に形成されていて、プランジャ貫通孔101に対し周回できずかつ180度の反転挿入ができない状態で貫通している。また、プランジャ相互の対向部はチューブ61の外周面との間に段差のない曲面となっていて、プランジャ先端側本体部72は前記対向部側からその反対側に向かって突出高さが小さくなる形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査電子部品に設けられた各端子(電極パッド)にそれぞれ2本のプローブを接触させて、ケルビン法によって被検査電子部品の電子回路等を検査するための誤挿入防止型ケルビン検査用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体集積回路等の被検査電子部品の電子回路等の検査を行う方法として、ケルビン法が知られている。このケルビン法による検査では、被検査電子部品の各端子にそれぞれ2本のプローブを接触させ、一方のプローブは電流供給用として、他方のプローブは電圧監視用として用いる。
【0003】
図10は従来のケルビン検査用治具の1例であって、図11(A),(B),(C)はこれに用いるプローブを示す。プローブ10は、導電性金属製の円筒状チューブ11と、その先端側に設けられていて軸方向に摺動、突出自在でチューブ11から外れないように保持された導電性金属製のプランジャ20と、チューブ後端側に設けられていて軸方向に摺動、突出自在でチューブ10から外れないように保持された導電性金属製の当接部材30と、チューブ内部に設けられていて、プランジャ20及び当接部材30のチューブ内側の端面に弾接してプランジャ20及び当接部材30をチューブから突出する方向に付勢するコイルスプリング31とを有している。
【0004】
プランジャ20は円筒状チューブ11と同軸(同心)でチューブ先端より摺動、突出自在な軸部21とその先端側の先端側本体部22とを有している。
【0005】
図11(B)は先端側本体部22の平面図であり、先端側本体部22の両側面23はチューブ11及びプランジャ20の軸方向に平行な2平面であり、また先端側本体部22の先端面は、図10及び図11(B),(C)からも判るように、前記2平面(側面23)の中間位置を通りかつ前記軸方向に対して傾斜した稜線24を持つ山形形状である。すなわち、先端側本体部22の先端面は、前記軸方向に対し傾斜しかつ側面23に垂直な仮想平面α(稜線24が位置している)を規定したとき、仮想平面α上の稜線24を通り、それぞれ仮想平面αに対して逆向に傾斜した傾斜面25,26からなっている。図11(B)から判るように、前記軸方向からみた先端側本体部22の平面形状はチューブ中心Oに対して点対称(180度回転しても平面形状が同じ)である。
【0006】
図10のように、被検査電子部品の端子としての電極パッドの1個当たり1対のプローブ10が接触するように各プローブ10は絶縁材からなるソケット40に配設される。プランジャ20の先端側本体部22を貫通させるソケット40側のプランジャ貫通孔50は、図11(B)の先端側本体部22の平面図に示した形状と同様形状であり、チューブ中心Oに対し点対称である。
【0007】
1対のプローブ10を互いに平行となるようにソケット40に配設するが、この場合、被検査電子部品の小寸法の電極パッドにも対応可能なようにプランジャ20の先端側本体部22の頂点P(稜線24の最も高い位置で電極パッドに対する接触点となる)同士が最接近する配置とする。
【0008】
ケルビン検査用治具の公知例としては、例えば下記特許文献1や特許文献2が知られている。
【0009】
【特許文献1】特開2008−45986号公報
【特許文献2】特開2005−62100号公報 特許文献1は電流供給用プローブと電圧監視用プローブとを用途に適した別構造にしたものである。また、特許文献2は金属線状体の細く形成した部分をニードル部として、軽量のケルビン検査用、とくにフライング測定機用のプローブを実現したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図10のケルビン検査用治具では、ソケット40にプローブ10を挿入する組立時、又は使用期間中でのプローブ交換時において、ソケット40のプランジャ貫通孔50に対して、仮想線Fのようにプランジャ20を左右反転状態(180度回転した状態)で誤挿入してしまう危険性がある。このような誤挿入があると、プランジャの先端側本体部22の頂点Pが被検査対象の電極パッドから外れて検査できなくなる。
【0011】
また、チューブ11に対してプランジャ20が同心的に配置される場合、構造上プランジャ20の頂点同士の間隔を狭くするのが困難になり、近年の被検査電子部品の電極パッドの小形化に対応するのが困難となる。
【0012】
上記特許文献1の場合もプローブの誤挿入対策はとくになく、組立時又は交換時にプローブのソケットに対する誤挿入の問題が発生すると考えられる。また、特許文献2も、組立時において、ニードル部が先端側本体部に形成された金属線状体を筒体内へ挿入する際に、誤挿入の可能性がある。
【0013】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、ソケットへのプローブの誤挿入を未然に防止可能で、対をなすプローブにおけるプランジャ頂点間の距離の短縮を図ることができ、ひいては被検査電子部品の小寸法の端子(電極パッド)にも対応可能な誤挿入防止型ケルビン検査用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明のある態様の誤挿入防止型ケルビン検査用治具は、 導電性チューブとその一端側に設けられた導電性プランジャとを有する、対をなしたプローブと、
前記対をなしたプローブが平行に設けられていて、前記プランジャの先端側本体部が貫通するプランジャ貫通孔を有する絶縁性ソケットとを備え、
前記対をなしたプローブにおけるプランジャの先端側本体部は、前記チューブの軸方向の中心に対して先端側本体部同士の相互間隔が狭くなる方向に偏心した位置に形成されていて、前記プランジャ貫通孔に対し周回できずかつ180度の反転挿入ができない状態で貫通しており、
前記プランジャ相互の対向部は前記チューブの外周面の延長面に合致する同一曲率の曲面となっており、
前記先端側本体部は前記対向部側からその反対側に向かって突出高さが小さくなる形状であることを特徴としている。
【0015】
前記態様において、前記プランジャは、前記チューブに挿入固定される内側挿入部と、前記内側挿入部の先端側のフランジ部と、前記フランジ部の先端側の前記先端側本体部とを一体に形成したものであり、前記プランジャ相互の対向部は前記チューブの外周面との間に段差のない曲面となっていてもよい。
【0016】
前記態様において、前記プランジャは、前記チューブの内周面に対し摺動自在な内側摺動部と、前記内側摺動部の先端側に軸部を介して設けられた前記先端側本体部とを一体に形成したものであり、前記先端側本体部の対向部が前記チューブの外周面の延長面に合致する同一曲率の曲面となっていてもよい。
【0017】
前記態様において、前記先端側本体部は前記軸方向に平行な2平面を有し、前記対向部をなす曲面が前記2平面を連絡している構成でもよい。
【0018】
前記態様において、前記先端側本体部は、前記対向部の反対側の面が、前記対向部の曲面とは曲率の異なる曲面又は平面であってもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る誤挿入防止型ケルビン検査用治具によれば、対をなしたプローブのプランジャは、各プローブのチューブの軸方向中心に対してプランジャ同士の相互間隔が狭くなる方向に偏心した位置に形成されているため、ソケット側のプランジャ貫通孔に対し180度の反転挿入ができない状態で貫通することになり、ソケットにプローブを設ける組立時又は交換時におけるプローブの誤挿入(左右を反転させた挿入)を未然に防止できる。
【0021】
また、前記プランジャ相互の対向部を、前記チューブの外周面の延長面に合致する同一曲率の曲面とし、前記プランジャの先端側本体部を前記対向部側からその反対側に向かって突出高さが小さくなる形状とすることで、プランジャ頂点同士の距離を短縮して、被検査電子部品の小寸法の端子(電極パッド)にも対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
図1乃至図7を用いて本発明に係る誤挿入防止型ケルビン検査用治具の第1の実施の形態を説明する。
【0024】
誤挿入防止型ケルビン検査用治具は、被検査電子部品の1つの端子(電極パッド)当たり1対のプローブ60を絶縁材からなるソケット90に設けている。
【0025】
プローブ60は、導電性金属製の円筒状チューブ61と、チューブ先端側に固定の導電性金属製のプランジャ70と、チューブ後端側に設けられていてチューブ61の軸方向に摺動、突出自在でチューブ61から抜け出ないように保持された導電性金属製の当接部材80と、図3のようにチューブ内部に設けられていて、プランジャ70及び当接部材80のチューブ内側の端面に弾接して当接部材80をチューブ61から突出する方向に付勢するコイルスプリング81とを有している。
【0026】
図4(A)の拡大断面図に示すように、プランジャ70はチューブ61の先端側本体部内側に挿入される内側挿入部77と、この先端側に形成されるフランジ部78と、フランジ部78の先端側に形成される先端側本体部72とを一体に有している(導電性金属にて一体に形成される)。
【0027】
内側挿入部77の中間位置には小径のくびれ部77aが形成されており、内側挿入部77をチューブ61に嵌入した後、内側挿入部77に対応したチューブ61の外周部分をかしめ加工等で小径に加工し、チューブ61の内周側に凸部62を形成することで、凸部62がくびれ部77aに係合してプランジャ70がチューブ61から脱落しないようにチューブ61に固定、保持される。
【0028】
フランジ部78はチューブ61先端側本体部の外周面と一致する外周面を有し、チューブ61の外周が円筒形であれば、同径の円板であり、チューブ61と同心に配置される。
【0029】
フランジ部78上に立設される先端側本体部72はチューブ61の軸方向の中心Oから偏心して形成され、図4(B)のように先端側本体部72の両側面73はチューブ61の軸方向に平行な2平面であり、この2平面(側面73)を連絡する残りの2面は一方が円弧面79、他方が平面85となっている。円弧面79はフランジ部78と同一曲率半径であって、フランジ部78の外周面と段差なく連続した曲面である。この結果、チューブ61上端部の外周面、プランジャ70のフランジ部78の外周面及び先端側本体部72の円弧面79にわたり段差の無い曲面が形成されている。
【0030】
また、プランジャ70の先端側本体部72の先端面は、図2及び図4(A)(B)(C)からも判るように、前記2平面(側面73)の中間位置を通りかつ前記軸方向に対して傾斜した稜線74を持つ山形形状である。すなわち、先端側本体部72の先端面は、前記軸方向に対し傾斜しかつ側面73に垂直な仮想平面β(稜線74が位置している)を規定したとき、仮想平面β上の稜線74を通り、それぞれ仮想平面βに対して逆向に傾斜した傾斜面75,76からなっている。先端側本体部72の頂点Pは稜線74が円弧面79に到達した点であり、先端側本体部72は反対側の平面85に向かって突出高さが低くなる形状である。図4(B)から判るように、前記軸方向からみた先端側本体部72の平面形状はチューブ中心Oに対して偏心位置にあり(頂点Pの方向にオフセットしている)、非点対称(180度回転したときに平面形状が同じにはならない)である。
【0031】
図1に示すように、絶縁材からなるソケット90は、リテーナ100、ピンブロック110及びピンプレート120が積層一体化された構造を有し、中間のピンブロック110にはプローブ60、すなわちそのチューブ61を挿通させるチューブ貫通孔111が形成され、ここにプローブ60がその軸方向に摺動自在に挿通されている。ピンブロック110に対して後端側に積層されたピンプレート120にはチューブ貫通孔111が形成されると共に、この後端部位置には当接部材80を外方に突出させるとともにチューブ61の後端側が後端方向に抜け出ないように、小径部122が形成されている。チューブ61はチューブ貫通孔111よりも短く形成されるため、チューブ貫通孔111にはチューブ61の軸方向の摺動範囲を規定する空間部121が形成される。リテーナ100にはチューブ貫通孔111が形成されると共に先端側にプランジャ70の先端側本体部72を貫通させるプランジャ貫通孔101が形成されている。
【0032】
なお、当接部材80が電極に当接していない状態では、実際にはプローブ60はチューブ貫通孔111の下部に位置し、空間部121は上方に形成されることになるが、説明の便宜上図1ではプローブ60はチューブ貫通孔111の上部に位置するように図示してある。
【0033】
図5(A)は対をなすプランジャ70の先端側本体部72が貫通するリテーナ100側のプランジャ貫通孔101の配置を示し、対をなす先端側本体部72の円弧面79が対向部となって相互に対向するようになっている。このとき、先端側本体部22の頂点Pの間隔が最短距離となる。
【0034】
図5(B)は加工誤差によって先端側本体部72とプランジャ貫通孔101間のクリアランスが最大値となった場合でも、先端側本体部72が周回してしまわないことを示す。
【0035】
図5(C)は加工誤差によって先端側本体部72とプランジャ貫通孔101間のクリアランスが最大値となった場合でも、先端側本体部72を180度反転させた状態(反対向き)で誤挿入することができないことを示す。図中斜線部が干渉エリアとなり、反対向きには入らない。
【0036】
図6は組立時又はプローブ交換時における、ソケット側リテーナ100に対するプローブ60の挿入の様子を示す。プランジャ70をリテーナ100に形成したプランジャ貫通孔101に挿入する際、まずプランジャ70の頂点P付近の円弧面79をプランジャ貫通孔101の内周に押し付けて、その状態を保ったまま矢印方向に移動する。これにより、挿入時にプローブ60が不要な回転をしないように安定させて挿入される。この際、チューブ貫通孔111とプランジャ貫通孔101との境界は同一か又はプランジャ貫通孔101がチューブ貫通孔111よりも外方に突出しているため、プランジャ70は境界に引っ掛かることなくスムーズに挿入することができる。
【0037】
図7は第1の実施の形態に係る誤挿入防止型ケルビン検査用治具を用いて被検査電子部品を検査する状態を示す。
【0038】
ソケット90の後端側に底部基板130が配置され、基板130上の電極131,132に対をなすプローブ60の当接部材80が弾接している。また、被検査電子部品200がソケット90の被検査物載置面91上に押し当てられている。このとき、プローブ60内部のコイルスプリング81が圧縮されて当接部材80の突出量が減じることで、対をなしたプランジャ70の先端側本体部72が被検査電子部品200が有する同一の端子(電極パッド)201に弾接して電気的に接続する。例えば、基板130の一方の電極131が電流供給電極であれば、これに接続するプローブ60が電流供給用プローブとして機能し、他方の電極132が電圧監視用電極であれば、これに接続するプローブ60が電圧監視用プローブとして機能する。
【0039】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0040】
(1) 対をなしたプローブ60のプランジャ70は、各プローブ60のチューブ61の軸方向中心に対してプランジャ同士の相互間隔が狭くなる方向に偏心した位置に形成されているため、ソケット側のプランジャ貫通孔101に対し180度の反転挿入ができない状態で貫通することになり、ソケット90にプローブ60を設ける組立時又は交換時におけるプローブ60の誤挿入(左右を反転させた挿入)を未然に防止できる。
【0041】
(2) プランジャ70相互の対向部を、チューブ上部の外周面との間に段差のない円弧面79とし、プランジャ70の先端側本体部72を前記対向部となる円弧面79からその反対側の平面85に向かって突出高さが低くなる形状とすることで、プランジャ頂点P同士の距離を短縮して、被検査電子部品の小寸法の端子(電極パッド)にも対応可能である。
【0042】
(3) プランジャ70は内側挿入部77とフランジ部78と先端側本体部72とを一体に有し、チューブ61に内側挿入部77を固定する構造であり、チューブ61に対してプランジャ70を摺動自在に設ける構造に比べて構成の簡素化を図り得る。
【0043】
(4) ソケット90にはチューブ貫通孔111からプランジャ貫通孔101が段差無く(厳密には若干の段差はあるが)形成されており、図6に示すようにプローブ60をプランジャ貫通孔101にセットする際に引っ掛かることなくスムーズに挿入することができる。なお、段差が生じたとしても図5に示すようにプランジャ貫通孔101がチューブ貫通孔111よりも外周に突出することになり、挿入に対して影響が出ない方向の段差である。
【0044】
図8及び図9を用いて本発明に係る誤挿入防止型ケルビン検査用治具の第2の実施の形態を説明する。
【0045】
この第2の実施の形態においては、従来の図10及び図11に示したプローブ10のプランジャ先端側本体部の形状を第1の実施の形態と同様にチューブの軸方向中心に対し偏心した形状としている。すなわち、プローブ140は、導電性金属製の円筒状チューブ11と、その先端側に設けられていて軸方向に摺動、突出自在でチューブ11から抜け出ないように保持された導電性金属製のプランジャ150と、チューブ後端側に設けられていて軸方向に摺動、突出自在でチューブ11から抜け出ないように保持された導電性金属製の当接部材30と、チューブ11内部に設けられていて、プランジャ150及び当接部材30のチューブ11内側の端面に弾接してプランジャ150及び当接部材30をチューブ11から突出する方向に付勢するコイルスプリング31とを有している。
【0046】
プランジャ150は、図9(A)のように円筒状チューブ11の内周面に対し摺動自在な内側摺動部158と、チューブ11と同軸(同心)でチューブ先端より突出自在な軸部151とその先端側の先端側本体部152とを有している。先端側本体部152はチューブ11の軸方向の中心Oから偏心して形成され、先端側本体部152の両側面153は図9(B)のようにチューブ11の軸方向に平行な2平面であり、この2平面(側面153)を連絡する残りの2面は一方が円弧面159、他方が平面165となっている。円弧面159はチューブ11の外周面と同一曲率半径であって、チューブ11の外周面の延長面に合致している。先端側本体部152の先端面の形状や頂点Pの位置は第1の実施の形態と同様である。
【0047】
対をなすプローブ140は絶縁材からなるリテーナ170、ピンブロック110及びピンプレート180が積層一体化されたソケット90に第1の実施の形態と同様に配設される。但し、プランジャ150がチューブ11に対して摺動して突出量を減じることが可能であるから、ピンブロック110に対しプローブ140のチューブ11は固定される。
【0048】
この第2の実施の形態の場合も、プランジャ150の先端側本体部152とソケット90側のプランジャ貫通孔101との関係は図5と同様となり、ソケット90にプローブ140を設ける組立時又は交換時におけるプローブ140の誤挿入(左右を反転させた挿入)を未然に防止できる。
【0049】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0050】
対をなすプローブにおけるプランジャ先端側本体部の対向部以外の面形状は適宜変更可能である。例えば、第1の実施の形態では対向部となる曲面が円弧面79、反対側が平面85となっているが、平面の代わりに円弧面79とは曲率が異なる曲面で形成してもよい。
【0051】
各実施の形態の説明では、説明の便宜上、ソケットに対して1対のプローブが配設された場合を図示したが、ソケットに対して複数対のプローブが配設されいるのが普通である。
【0052】
各実施の形態では、対をなすプローブは同一形状のものを対称配置としたが、電流供給用プローブを大径(例えばチューブ径:0.58mm)、電圧監視用プローブを小径(例えばチューブ径:0.3mm)としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る誤挿入防止型ケルビン検査用治具の第1の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施の形態の主要部分の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態で用いるプローブの縦断面図である。
【図4】前記プローブの要部拡大であって、(A)は縦断面図、(B)は平面図、(C)はプランジャの先端側本体部の部分右側面図である。
【図5】第1の実施の形態におけるソケット側のプランジャ貫通孔とプランジャ先端側本体部との関係であり、(A)は1対のプランジャ貫通孔に正しく配置されたプランジャ先端側本体部を示す平断面図、(B)はクリアランスの最大値であってもプランジャ先端側本体部が周回しないことを示す平断面図、(C)はクリアランスの最大値であってもプランジャ先端側本体部を反対向きに誤挿入することがないことを示す説明図である。
【図6】第1の実施の形態において、ソケット側のプランジャ貫通孔へのプローブ側のプランジャの挿入動作を説明する要部拡大断面図である。
【図7】第1の実施の形態において、被検査電子部品を検査する場合の縦断面図である。
【図8】本発明に係る誤挿入防止型ケルビン検査用治具の第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図9】第2の実施の形態で用いるプローブであって、(A)は縦断面図、(B)は平面図、(C)はプランジャの先端側本体部の部分右側面図である。
【図10】従来のケルビン検査用治具の主要部分の斜視図である。
【図11】図10のケルビン検査用治具で用いるプローブであって、(A)は縦断面図、(B)はプランジャ先端側本体部の平面図、(C)はプランジャの先端側本体部の部分右側面図である。
【符号の説明】
【0054】
10,60,140 プローブ
11,61 チューブ
20,70,150 プランジャ
21,151 軸部
22,72,152 先端側本体部
23,73,153 側面
24,74 稜線
25,26,75,76 傾斜面
30,80 当接部材
40,90 ソケット
50,101 プランジャ貫通孔
77 内側挿入部
78 フランジ部
79,159 円弧面
85 平面
200 被検査電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性チューブとその一端側に設けられた導電性プランジャとを有する、対をなしたプローブと、
前記対をなしたプローブが平行に設けられていて、前記プランジャの先端側本体部が貫通するプランジャ貫通孔を有する絶縁性ソケットとを備え、
前記対をなしたプローブにおけるプランジャの先端側本体部は、前記チューブの軸方向の中心に対して先端側本体部同士の相互間隔が狭くなる方向に偏心した位置に形成されていて、前記プランジャ貫通孔に対し周回できずかつ180度の反転挿入ができない状態で貫通しており、
前記プランジャ相互の対向部は前記チューブの外周面の延長面に合致する同一曲率の曲面となっており、
前記先端側本体部は前記対向部側からその反対側に向かって突出高さが小さくなる形状である、誤挿入防止型ケルビン検査用治具。
【請求項2】
請求項1に記載の誤挿入防止型ケルビン検査用治具において、前記プランジャは、前記チューブに挿入固定される内側挿入部と、前記内側挿入部の先端側のフランジ部と、前記フランジ部の先端側の前記先端側本体部とを一体に形成したものであり、前記プランジャ相互の対向部は前記チューブの外周面との間に段差のない曲面となっている、誤挿入防止型ケルビン検査用治具。
【請求項3】
請求項1に記載の誤挿入防止型ケルビン検査用治具において、前記プランジャは、前記チューブの内周面に対し摺動自在な内側摺動部と、前記内側摺動部の先端側に軸部を介して設けられた前記先端側本体部とを一体に形成したものであり、前記先端側本体部の対向部が前記チューブの外周面の延長面に合致する同一曲率の曲面となっている、誤挿入防止型ケルビン検査用治具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の誤挿入防止型ケルビン検査用治具において、前記先端側本体部は前記軸方向に平行な2平面を有し、前記対向部をなす曲面が前記2平面を連絡している、誤挿入防止型ケルビン検査用治具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の誤挿入防止型ケルビン検査用治具において、前記先端側本体部は、前記対向部の反対側の面が、前記対向部の曲面とは曲率の異なる曲面又は平面である、誤挿入防止型ケルビン検査用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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