説明

調光操作器および照明装置

【課題】小型化が可能な面操作式の操作入力部を有する調光操作器およびこの調光操作器によりグループ化された照明器具による照明シーンが制御される照明装置を提供する。
【解決手段】調光操作器1は、仕込みモード時、手動操作された所望の特定の操作スイッチ15aと、調光レベル生成部4で生成された照明器具の各グループの調光レベルの組み合わせとを対応づけて記憶部6に記憶させ、再生モード時、記憶部6から操作された特定の操作スイッチ15aに対応付けられた照明器具の各グループの調光レベルの組み合わせを読み出して照明器具を制御する制御部8と、複数個の静電容量スイッチ15の一部を特定の操作スイッ15aであることを視認させる表示手段を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舞台、スタジオ、ロビーやアトリウム等の建物の共用空間用照明に利用される調光操作器および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスタジオや劇場等の照明装置では、従来、照明器具のグループ(チャンネル)を複数備え、各グループ毎に設けた調光器にフェーダ等の調光レベル設定手段で設定したレベル信号を入力し、設定レベルの調光状態を実現している。また、各グループのそれぞれの調光状態の組み合わせを照明シーンとして、この照明シーンに対応するデータを記憶部に記憶させる仕込モードと、当該記憶部に記憶している照明シーンのデータの一つを選択し、そのデータに応じて各グループの調光器を制御して、そのデータに対応した照明シーンを再現する再現モードとにより、照明シーンの選択を実現しているものがある。この照明シーンを選択する照明装置では、照明器具の各グループに対応したチャンネル選択スイッチと、複数の照明シーンに対応した照明シーン選択スイッチとを具備している。
【0003】
そして、チャンネル選択スイッチと、照明シーン選択スイッチとを兼用する照明システムの調光制御装置が提案されている(例えば特許文献1参照。)。この従来技術の調光制御装置は、操作盤にキースイッチが設けられ、このキースイッチが再生モードのときに照明シーン選択スイッチの機能を果たし、仕込モードのときにチャンネル選択スイッチの機能を果たすものである。再生モードおよび仕込モードは、モードスイッチで選択される。また、調光レベルの設定は、それぞれ操作盤に設けられたアップスイッチ、ダウンスイッチおよびストップスイッチにより行うものである。
【0004】
そして、近年、調光レベルの設定を面操作式の操作スイッチを複数直線状に並べて構成した操作入力部で行う調光操作器が提案されている(例えば特許文献2参照。)。この従来技術の調光操作器は、前記操作入力部を有するので、フェーダのレバーやスイッチの釦などが操作面から突出せず、小型な可搬型に好適であるとともに、操作面が樹脂コーティングなどにより覆われているので、ゴミや埃が侵入しにくく、長寿命化を図ることが可能というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−176387号公報(第2頁、第2図)
【特許文献2】特開2008−103126号公報(第3、5頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の調光操作器は、操作入力部に対し指などで触れるという感覚的な操作により調光が可能という利便性を有するものであるが、通常、複数の操作入力部が照明器具の各グループにそれぞれ対応して設けられている。また、特許文献1の調光制御装置のように、照明シーン選択スイッチおよびチャンネル選択スイッチの少なくとも一方を有している。このため、調光操作器の小型化が難しかった。特に、近年、調光操作器を壁に据え付けることが行われており、更なる小型化が求められている。
【0007】
本発明は、小型化が可能な面操作式の操作入力部を有する調光操作器およびこの調光操作器によりグループ化された照明器具による照明シーンが制御される照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の調光操作器は、操作器本体と;この操作器本体の表面側に線状に操作される複数個の静電容量スイッチを有して構成され、一つ又は複数の照明器具を1グループとする各グループにそれぞれ対応付けて設けられた複数の操作入力部と;この操作入力部での静電容量スイッチに対する操作入力数および操作方向に応じて前記各グループの調光レベルを生成する調光レベル生成部と;前記調光レベルを調光信号で前記各グループ側に送信する送信部と;前記操作入力部ごとに前記複数個の静電容量スイッチに設定された特定の操作スイッチと、前記各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせとをそれぞれ対応付けて記憶している記憶部と;再生モードおよび仕込みモードのいずれか一方に切り替えるモード切替スイッチと;仕込みモード時、手動操作された所望の前記特定の操作スイッチと、前記調光レベル生成部で生成された前記各グループの調光レベルの組み合わせとを対応づけて前記記憶部に記憶させ、再生モード時、前記記憶部から手動操作された前記特定の操作スイッチに対応づけられた前記各グループの調光レベルの組み合わせを読み出して前記各グループの照明器具を制御する制御部と;前記静電容量スイッチの一部を前記特定の操作スイッチであることを視認させる表示手段と;を具備していることを特徴とする。
【0009】
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0010】
操作スイッチは、複数個の静電容量スイッチに設定されたものであり、静電容量スイッチを兼用するものである。操作スイッチは、複数個の静電容量スイッチのうちの1個であってもよく、複数個であってもよい。
【0011】
静電容量スイッチは、指などにより操作面に触れるタッチ操作が必要なスイッチの他、指などを近接することで静電容量等を変化させるスイッチも包含する。静電容量スイッチの下側などには、LCDなどの表示部を設けてもよい。
【0012】
「操作入力数」とは、例えばオンされた静電容量スイッチの数量である。ここで、静電容量スイッチは、オンが連続していることが好ましいが、不連続になっていてもよい。また、「操作方向」とは、複数個の静電容量スイッチにおける順に操作入力された方向を示す。
【0013】
一つ又は複数の照明器具を1グループとする各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせは、照明シーンを意味する。
【0014】
調光信号の出力は、有線または無線のいずれによってもよい。
【0015】
表示手段は、文字や図柄など、特定の操作スイッチの位置を容易に特定できるものであればよい。また、表示手段は、特定の操作スイッチ上または特定の操作スイッチの近傍に設けることが好ましいが、その形成位置は特に問わない。
【0016】
本発明によれば、操作入力部の複数個の静電容量スイッチのうちの特定の操作スイッチが照明シーン選択スイッチの機能を有することになるので、この分、操作器本体の操作面でのスイッチが削減される。そして、特定のスイッチは、表示手段により視認されるので、照明シーンの仕込み時および照明シーンの再生時における特定の操作スイッチの操作が容易に行える。
【0017】
請求項2に記載の調光操作器の発明は、請求項1に記載の調光操作器の発明において、前記操作入力部は、前記モード切替スイッチを再生モードに切り替えているときに、少なくとも前記特定の操作スイッチを除く静電容量スイッチ部分が着脱可能な遮蔽物で覆われていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、複数個の静電容量スイッチのうち、特定の操作スイッチが操作器本体の表面側が露出することになるので、特定の操作スイッチがより容易に視認される。
【0019】
請求項3に記載の照明装置の発明は、請求項1または2記載の調光操作器と;この調光操作器から送信された調光信号に応じて前記各グループの照明器具の点灯状態を制御する調光器と;この調光器によって制御される照明負荷を配設している照明器具と;を具備していることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、小型化が可能な面操作式の操作入力部を有する調光操作器により、複数の照明シーンのうちから一の照明シーンが選択される照明装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、各操作入力部の複数個の静電容量スイッチのうちの特定の操作スイッチは、一つ又は複数の照明器具を1グループとする各グループの調光レベルの組み合わせを選択する選択スイッチとして機能するので、操作器本体の表面側での選択スイッチを削減することができ、これにより、調光操作器を小型化することができるとともに、特定の操作スイッチは、表示手段により複数個の静電容量スイッチのうちから視認されるので、特定の操作スイッチをミス無く迅速に操作することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、特定の操作スイッチを除く複数個の静電容量スイッチ部分が着脱可能な遮蔽物で覆われるので、特定の操作スイッチをより容易に視認して迅速に操作することができ、これにより、照明シーンの再生を迅速に行うことができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、複数個の静電容量スイッチに特定の操作スイッチを設けることにより、面操作式の操作入力部を有する調光操作器が小型化されるので、調光操作器の設置スペースを小さくすることができ、例えば壁面に容易に据え付けられる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1を示す調光操作器の概略上面図。
【図2】同じく、調光操作器の概略ブロック図。
【図3】同じく、照明装置の概略ブロック図。
【図4】本発明の実施例2を示す調光操作器の概略上面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
本発明の調光操作器は、線状に操作される複数個の静電容量スイッチを有して構成された操作入力部を複数有し、各操作入力部において、複数個の静電容量スイッチのうちに特定の操作スイッチを設けたものである。各操作入力部の特定の操作スイッチは、一つ又は複数の照明器具を1グループとする各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせ(照明シーン)に対応付けられ、この照明シーンを記憶部に記憶させる仕込みモード時に各照明シーンにそれぞれ設定され、照明シーンを記憶部から読み出す再生モード時に各シーンを選択するものである。そして、複数個の静電容量スイッチのうちから特定の操作スイッチが視認されるように表示手段が設けられたものである。
【実施例1】
【0027】
図1ないし図3は、本発明の実施例1を示し、図1は調光操作器の概略上面図、図2は調光操作器の概略ブロック図、図3は照明装置の概略ブロック図である。
【0028】
図1および図2において、調光操作器1は、操作器本体2、複数の操作入力部3、調光レベル生成部4、送信部5、記憶部6、モード切替スイッチ7、制御部8、表示手段としての表示9、表示部10、オンオフスイッチ11および電源部12を有して構成されている。
【0029】
操作器本体2は、高さが比較的低い略長方形状の箱状に形成されている。その表面(操作面)2a側には、図1に示すように、複数の操作入力部3、モード切替スイッチ7、表示部10、オンオフスイッチ11、表示灯13a,13bおよび表示灯14a,14bが配設されている。これらは、表面(操作面)2a側からほぼ突出することなく、略同一面状となるように配設されている。
【0030】
操作入力部3は、面操作式の静電容量スイッチ15をプリント配線板16(図2に示す。)上に複数配設している。複数の操作入力部3は、操作器本体2の表面2a側に並設されており、一つ又は複数の照明器具を1グループとする各グループにそれぞれ対応付けられている。そして、操作器本体2の表面2aに、操作入力部3を指定する番号CH1〜CH8が印字されている。すなわち、複数の操作入力部3には、それぞれ負荷回路のチャンネル(アドレス)が割り付けられている。
【0031】
静電容量スイッチ15は、手動操作部17で直線状に配設され、図示しない透光性の樹脂シートで覆われている。静電容量スイッチ15は、樹脂シートを介して例えば指先が接触されると、静電容量が変化する。この静電容量の変化に基づいて操作情報が出力される。
【0032】
また、操作入力部3は、図2に示すように、プリント配線板16に設けた検出回路18を有している。この検出回路18に静電容量スイッチ15の出力が送出されている。検出回路18は、静電容量スイッチ15における静電容量の変化に基づき、静電容量スイッチ15のオン・オフを検出し、検出信号を操作判定回路19に送出する。複数個の静電容量スイッチ15は、それぞれア
ドレスが付与されており、どの静電容量スイッチ15がオン・オフされたかが操作判定回路19で判別される。
【0033】
操作判定回路19は、検出回路18から送出される検出信号に基づいて操作位置、操作入力数および操作方向を演算し、これらの情報を調光レベル生成部4に送出する。ここで、操作方向の情報とは、図2中、静電容量スイッチ15が静電容量スイッチ15i側から静電容量スイッチ15a側に向かって操作されたか、または、静電容量スイッチ15a側から静電容量スイッチ15i側に向かって操作されたかを示す情報である。また、1個の静電容量スイッチ15が単発操作された単発操作情報も操作入力数の情報として送出される。
【0034】
調光レベル生成部4は、各操作入力部3での静電容量スイッチ15に対する操作入力数および操作方向に応じて照明器具の各グループの調光レベルを生成するように形成されている。すなわち、操作入力数の情報に基づいて、増減する調光レベルを演算し、操作方向の情報に基づいて、現在の調光レベルから演算した調光レベルを増減させる。なお、調光レベル生成部4は、操作入力部3にそれぞれ設けてもよく、制御部8に設けてもよい。
【0035】
送信部5は、制御部8の制御により、調光レベル生成部4において生成した各調光レベルを調光信号であるDMX信号にデータ変換して送信部5から伝送線20に送信させるように構成されている。ここで、DMX信号は、米国劇場技術協会(USITT)が規格した演出分野などで用いられるDMX512を指している。DMX信号には、操作入力部3のアドレスが付与される。
【0036】
図3は、本発明の照明装置21を示す概略ブロック図である。調光操作器1から伝送線20に送信された調光信号は、調光盤22に配設されている制御装置23に入力される。
【0037】
制御装置23は、伝送線24により各調光器25に接続されている。各調光器25は、照明器具26に接続されている。ここで、照明器具26は、一つ又は複数の照明器具26を1グループとして表現している。照明器具26は、グループ化され、各グループの照明器具26が各調光器25に対応付けられている。そして、各調光器25および各グループの照明器具26は、調光操作器1の操作入力部3にそれぞれ対応付けられている。
【0038】
制御装置23は、調光操作器1から送信された調光信号を入力し、当該調光信号に付与されたアドレスに対応する調光器25に調光レベルデータを送信する。調光器25は、調光レベルデータに基づいてグループ化された照明器具26の点灯状態を制御する。すなわち、照明器具26には、図示しない照明負荷が配設されており、この照明負荷が調光器25によって制御される。
【0039】
調光器25は、例えば、照明負荷が発光ダイオード(LED)であるときには、調光レベルデータに応じて発光ダイオードに流れる電流を調整し、照明負荷が電球や蛍光ランプであるときには、調光レベルデータに応じて入力電力を位相制御し、電球や蛍光ランプに供給する電力量を調整する。また、照明負荷が高周波点灯用の蛍光ランプであるときには、PWM調光信号のデューテイーを制御し、蛍光ランプの電力量を調整する。
【0040】
このように、調光器25によって制御される照明負荷を配設している照明器具26は、グループ化され、各調光器25は、それぞれ対応付けられた各グループの照明器具26の点灯状態を調光操作器1から送信された調光信号に応じて制御するものである。そして、各グループの照明器具26の出力光により、照明シーンが形成される。そして、各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせに応じて複数の照明シーンが形成される。以下、当該各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせを照明シーンということもある。
【0041】
図2において、記憶部6は、不揮発性のメモリからなる記憶部である。そして、各操作入力部3と、照明器具26の各グループの対応付け、すなわち調光器25との対応付けをアドレスにて記憶している。また、操作入力部3ごとに複数個の静電容量スイッチ15に設定された特定の操作スイッチ15aと、複数の照明器具26の負荷回路からなる各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせ(照明シーン)とをそれぞれ対応付けて記憶しているものである。すなわち、特定の操作スイッチ15aに対する照明器具26の各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせが記憶されている。
【0042】
モード切替スイッチ7は、再生モードおよび仕込みモードのいずれか一方に切替えるものである。ここで、仕込みモードとは、前記特定の操作スイッチ15aと、照明器具26の各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせとをそれぞれ対応付けて記憶部6に記憶させることを意味し、再生モードとは、前記特定の操作スイッチ15aの手動操作に応じて、記憶部6から当該特定の操作スイッチ15aに対応している照明器具26の各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせを読み出して、各グループの照明器具26がそれぞれの調光レベルで点灯制御されることを意味する。
【0043】
そして、モード切替スイッチ7を仕込みモード側に切り替えているときには、制御部8の制御により、仕込み表示灯13aが点灯される。また、モード切替スイッチ7を再生モード側に切り替えているときには、制御部8の制御により、再生表示灯13bが点灯される。仕込み表示灯13aおよび再生表示灯13bの点灯状態を視認することにより、仕込みモード時であるか、再生モード時であるかが確認される。
【0044】
制御部8は、演算などを行うCPU(中央処理装置)、プログラムが格納されているROMおよび各種データが格納されているRAMを有して構成されている。そして、制御部8は、モード切替スイッチ7を仕込みモードに切り替えている仕込モード時、手動操作された所望の特定の操作スイッチ15aと、各操作入力部3の静電容量スイッチ15の手動操作に応じて調光レベル生成部4で生成された照明器具26の各グループの調光レベルの組み合わせとを対応づけるとともに、当該対応付けを記憶部6に記憶させるように形成されている。そして、制御部8は、手動操作された所望の特定の操作スイッチ15aを仕込んだ照明シーンのチャンネル(番号)とし、照明シーンを選択する選択スイッチとするものである。これにより、照明シーンの仕込みが行われる。
【0045】
また、制御部8は、モード切替スイッチ7を再生モードに切り替えている再生モード時、特定の操作スイッチ15aの手動操作に応じて記憶部6から当該特定の操作スイッチ15aに対応づけられた照明器具26の各グループの調光レベルの組み合わせを読み出して、当該調光レベルを調光信号で送信部5から送信させるように制御するように形成されている。これにより、照明シーンの再生が行われる。
【0046】
表示手段としての表示9は、図1に示すように、例えば二重丸であり、特定の操作スイッチ15a上の樹脂シート上に印刷や刻印等により形成されている。特定の操作スイッチ15aは、各操作入力部3に設けられ、複数個の静電容量スイッチ15のうちから一端側に位置するものが選択されたものである。一端側に位置する静電容量スイッチ15は、比較的視認されやすい。しかしながら、特定の操作スイッチ15aは、複数個の静電容量スイッチ15のうちのいずれに設定してもよく、また、1個に限らず複数個であってもよい。
【0047】
そして、特定の操作スイッチ15a上に表示9が形成されていることにより、特定の操作スイッチ15aは、複数個の静電容量スイッチ15のうちから容易に視認される。なお、表示9は、二重丸に限らず、星印や三角印や×印などの他の図柄や#などの文字等、容易に視認されるものであればよい。
【0048】
表示部10は、仕込みモード時には、操作入力部3の静電容量スイッチ15の操作に応じて調光生成部4が演算生成した調光レベルを操作入力部3の番号(チャンネル)とともに表示するものである。また、再生モード時には、「再生中」などの文字が表示される。
【0049】
オンオフスイッチ11は、全ての照明器具26を全光点灯または消灯させるものである。制御部8は、点灯操作されると、全ての照明器具26を全光(100%)で点灯させるとともに、全点灯表示灯14aを点灯させる。また、消灯操作されると、全ての照明器具26を消灯させるとともに、全消灯表示灯14bを点灯させる。
【0050】
電源部12は、例えば商用交流電源に接続され、交流電圧を整流平滑して、制御部8などに直流電源を供給するものである。
【0051】
次に、本発明の実施例1の作用について述べる。
【0052】
調光操作器1において、照明シーンの仕込みを行うには、まず、モード切替スイッチ7を仕込みモード側に切り替えるとともに、オンオフスイッチ11を操作して全ての照明器具26を全光(100%)点灯させる。そして、照明器具26のグループごとに所望の調光レベルを定め、当該各グループに対応付けられている調光操作器1の操作入力部3において、順次、静電容量スイッチ15を手動操作する。当該手動操作において、表示部10に表示されている調光レベルが所望の調光レベルとなったときに静電容量スイッチ15の手動操作を停止する。そして、所望の特定の操作スイッチ15a、例えばチャンネルCH1の操作入力部3の特定の操作スイッチ15aを指定して、この特定の操作スイッチ15aを手動操作する。これにより、チャンネルCH1の操作入力部3の特定の操作スイッチ15aと、照明器具26の各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせが対応付けられて、例えば照明シーン1として記憶部6に記憶される。
【0053】
そして、照明器具26のグループごとに別の所望の調光レベルを定め、上記同様にして、例えばチャンネルCH2の操作入力部3の特定の操作スイッチ15aと、照明器具26の各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせを対応付けて、例えば照明シーン2として記憶部6に記憶させる。以下、順次、所望の特定の操作スイッチ15aと、照明器具26の各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせを対応付けて、異なる照明シーンを形成し、記憶部6に記憶させる。
【0054】
なお、特定の操作スイッチ15aの単発操作を照明シーンの選択スイッチとして用いることを確定させるために、静電容量スイッチ15の操作入力の所定時間後に当該単発操作をするようにして、調光レベルを設定するための単発操作と区別させるとよい。
【0055】
そして、照明シーンの再生を行うには、モード切替スイッチ7を再生モード側に切り替えるとともに、オンオフスイッチ11を操作して全ての照明器具26を消灯させる。
【0056】
そして、照明器具26の各グループに対する所望の照明シーンを定め、その照明シーンに対応付けられた特定の操作スイッチ15aを手動操作する。制御部8は、特定の操作スイッチ15aの手動操作に応じて、当該特定の操作スイッチ15aに対応づけられた照明器具26の各グループの調光レベルの組み合わせを記憶部6から読み出して、当該各グループの調光レベルを調光信号で送信部5から送信させるように制御する。調光盤22に配設されている調光器25は、各グループの照明器具26に対し、各グループの調光レベルで照明負荷を点灯させる。これにより、所望の照明シーンの再生で、照明器具26が点灯される。
【0057】
上述したように、各操作入力部3の複数個の静電容量スイッチ15のうちの特定の操作スイッチ15aは、照明器具26の各グループの調光レベルの組み合わせを選択する選択スイッチとして機能するので、操作器本体2の表面2a側での選択スイッチを削減することができて、面操作式の操作入力部を有する調光操作器1を小型化することができる。また、特定の操作スイッチ15aは、表示9により複数個の静電容量スイッチ15のうちから容易に視認されるので、特定の操作スイッチ15aをミス無く迅速に操作することができる。
【0058】
そして、調光操作器1が小型化されることにより、調光操作器1の設置スペースを小さくすることができ、例えば壁面に容
易に据え付けられる照明装置21を提供することができる。
【実施例2】
【0059】
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0060】
図4は、本発明の実施例2を示す調光操作器の概略上面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0061】
図4に示す調光操作器1Aは、図1に示す調光操作器1において、モード切替スイッチ7が再生モードに切り替えている再生モード時、各操作入力部3の特定の操作スイッチ15aを除く静電容量スイッチ15部分およびモード切替スイッチ7が着脱可能な遮蔽物29で覆われているものである。遮蔽物29は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などの絶縁性を有する樹脂により形成され、操作器本体2の両側面側を挟持するカバーである。
【0062】
各操作入力部3の静電容量スイッチ15は、特定の操作スイッチ15aを除いて着脱可能な遮蔽物29で覆われているので、操作器本体2の表面2a側に特定の操作スイッチ15aが露出し、これにより、特定の操作スイッチ15aをより容易に視認して迅速に操作することができる。この結果、調光操作器1Aにおいて、照明シーンの再生を迅速に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の調光操作器1,1Aおよび照明装置21は、舞台、スタジオ、ロビーやアトリウム等の建物の共用空間用照明に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1,1A…調光操作器 2…操作器本体 3…操作入力部 4…調光レベル生成部 5…送信部 6…記憶部 7…モード切替スイッチ 8…制御部 9…表示手段としての表示 15a…特定の操作スイッチ 21…照明装置 25…調光器 26…照明器具 29…遮蔽物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作器本体と; この操作器本体の表面側に線状に操作される複数個の静電容量スイッチを有して構成され、一つ又は複数の照明器具を1グループとする各グループにそれぞれ対応付けて設けられた複数の操作入力部と; この操作入力部での静電容量スイッチに対する操作入力数および操作方向に応じて前記各グループの調光レベルを生成する調光レベル生成部と; 前記調光レベルを調光信号で前記各グループ側に送信する送信部と; 前記操作入力部ごとに前記複数個の静電容量スイッチに設定された特定の操作スイッチと、前記各グループのそれぞれの調光レベルの組み合わせとをそれぞれ対応付けて記憶している記憶部と; 再生モードおよび仕込みモードのいずれか一方に切り替えるモード切替スイッチと; 仕込みモード時、手動操作された所望の前記特定の操作スイッチと、前記調光レベル生成部で生成された前記各グループの調光レベルの組み合わせとを対応づけて前記記憶部に記憶させ、再生モード時、前記記憶部から手動操作された前記特定の操作スイッチに対応づけられた前記各グループの調光レベルの組み合わせを読み出して前記各グループの照明器具を制御する制御部と; 前記静電容量スイッチの一部を前記特定の操作スイッチであることを視認させる表示手段と;を具備していることを特徴とする調光操作器。
【請求項2】
前記操作入力部は、前記モード切替スイッチを再生モードに切り替えているときに、少なくとも前記特定の操作スイッチを除く静電容量スイッチ部分が着脱可能な遮蔽物で覆われていることを特徴とする請求項1記載の調光操作器。
【請求項3】
請求項1または2記載の調光操作器と; この調光操作器から送信された調光信号に応じて前記各グループの照明器具の点灯状態を制御する調光器と; この調光器によって制御される照明負荷を配設している照明器具と;を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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