説明

調光装置

【課題】 段階調光に際して、現在の調光率に関わらず、調光する人が白熱灯の明るさの変化を認識することができる調光装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 調光装置が段階調光制御を行なう際、現在の調光率PLと調光ダウンする方向で一番近い段階調光率レベル50パーセントとの差が、予め決められた設定調光率差(例えば5パーセント)未満の場合は一段階飛ばした段階調光率レベル25パーセントに調光制御する。これにより、現在の調光率に関わらず、調光する人は、白熱灯の明るさの変化を認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室等に取り付けられた白熱灯を調光するための調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室等に取り付けられた白熱灯を調光するための調光装置は、調光操作するための押しボタンスイッチの個数を少なくするために、押しボタンスイッチを押操作する時間の長さに応じて段階調光か無段階調光かを選択するように構成されたものがある。この調光装置によれば、押しボタンスイッチを押操作する時間が短くて段階調光が選択された場合、押しボタンスイッチの1回の押操作で段階調光率レベルを1段階変化させるように制御される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−329586号公報(〔0005〕欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の調光装置によれば、段階調光が選択された場合、現在の調光率に関わらず、現在の調光率に一番近い段階調光率レベルに調光制御される。即ち、現在の調光率が例えば51パーセントである場合、白熱灯を減光操作する押しボタンスイッチを押操作すると、50パーセントの段階調光率レベルに調光制御される。これにより、白熱灯を減光操作する押しボタンスイッチを押操作しても調光率が1パーセントしか変化しないため、調光する人は調光率の変化、即ち、白熱灯の明るさの変化を認識することができない。
【0004】
そこで本発明では、段階調光に際して、現在の調光率に関わらず、調光する人が白熱灯の明るさの変化を認識することができる調光装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、特許請求の範囲の欄に記載した調光装置により解決することができる。
請求項1及び請求項2に記載の調光装置は、段階調光制御を行なう際、現在の調光率と調光する方向で一番近い段階調光率レベルとの差が、予め決められた設定調光率差以上の場合は一番近い段階調光率レベルに調光する一方、設定調光率差未満の場合は一段階飛ばした段階調光率レベルに調光する。これにより、調光する人は、現在の調光率に関わらず、白熱灯の明るさの変化を認識することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、段階調光に際して、現在の調光率に関わらず、調光する人は、白熱灯の明るさの変化を認識することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、浴室に取り付けられた白熱灯2a,2bを調光する調光装置1の全体的な構成を示した斜視図である。
図1に示すように、浴室に燐設されている洗面室に取り付けられている電源スイッチ3がオンされると、AC100V電源が、浴室の上部外側に設置されている調光照明制御ボックス4に供給されるように電気配線されている。尚、浴室の壁面に調光スイッチ5が取り付けられており、調光スイッチ5は調光照明制御ボックス4に接続されている。また、上記白熱灯2a,2bも調光照明制御ボックス4に接続されている。
【0008】
図2は、調光スイッチ5の正面外観図である。
図2に示すように、調光スイッチ5には、調光率アップ時に押操作されるスイッチ5aと、調光率ダウン時に押操作されるスイッチ5bと、現在の調光率のレベルを示す調光レベル表示器5cとが設けられている。
【0009】
図3は、調光装置1の電気的な構成を示した制御系統図である。
図3において、白熱灯2a,2bは前述のように浴室に取り付けられたものであり、調光スイッチ5は、前述のように浴室の壁面に取り付けられたものである。また、マイクロコンピュータ7と調光回路8は前述の調光照明制御ボックス4に内蔵されている。尚、調光照明制御ボックス4には電源回路9が設けられており、マイクロコンピュータ7と調光回路8とに必要な電源電圧を供給する。
【0010】
上記マイクロコンピュータ7は、調光スイッチ5のスイッチ5a,5bが押操作された場合の操作信号を入力し、それぞれの操作時間に応じて段階調光制御もしくは無段階調光制御を行なうためのソフトウエアを有している。また、マイクロコンピュータ7は、調光スイッチ5に設けられている調光レベル表示器5cに対して、現在の調光率レベルを表示させる表示信号を出力するためのソフトウエアを有している。
尚、マイクロコンピュータ7による段階調光制御及び無段階調光制御については後で詳しく説明する。
【0011】
上記調光回路8は、マイクロコンピュータ7から出力された調光制御信号に基づいてAC100V電圧の位相制御を行なうことにより、白熱灯2a,2bに印加される電圧を調整し、調光率を変化させるように構成されている。
【0012】
次に、調光装置1の調光制御について説明する。図4は、調光装置1の基本的な調光制御作用を示したタイミングチャートである。
図4において、タイミングチャート(A)は、調光スイッチ5のスイッチ5b(調光率ダウン用)の操作タイミングチャート、タイミングチャート(B)は、調光スイッチ5のスイッチ5a(調光率アップ用)の操作タイミングチャート、タイミングチャート(C)は、スイッチ5b,5aの操作時間に対応したマイクロコンピュータ7による調光制御タイミングチャートである。尚、この場合、段階調光制御の段階調光率レベルは、100パーセント、62パーセント、及び25パーセントの3段階としている。
【0013】
図4において、浴室使用者が、前記白熱灯2a,2bの調光率を100パーセントからダウンさせるためにスイッチ5bをオンし、そのオン操作が0.5秒を超えると、マイクロコンピュータ7は調光率を20%/秒のレートで無段階にダウンさせる。調光率がXパーセントまでダウンしたとき、浴室使用者はスイッチ5bをオフしている。そのあと、スイッチ5bが0.5秒未満の間、オンされると、マイクロコンピュータ7は段階調光制御を選択し、25パーセントの調光率までダウンさせる。
【0014】
調光率が25パーセントまでダウンされた状態で、浴室使用者が白熱灯2a,2bの調光率をアップさせるためにスイッチ5aを0.5秒以上、オンすると、マイクロコンピュータ7は調光率を20%/秒のレートで無段階にアップさせる。調光率がZパーセントまでアップしたとき、浴室使用者はスイッチ5aをオフしている。そのあと、スイッチ5aが0.5秒未満の間、オンされると、マイクロコンピュータ7は段階調光制御を選択し、調光率を段階的にアップさせる。
【0015】
次に、調光装置1の調光制御の特徴を、図5を参照して具体的に説明する。
図5は、前記調光スイッチ5の調光率ダウン用スイッチ5b、もしくは調光率アップ用スイッチ5aのオン時間が0.5秒未満であるため、マイクロコンピュータ7が段階調光制御を選択した場合の作用説明図である。尚、この段階調光制御では、段階調光率レベルを、100パーセント、75パーセント、50パーセント、及び25パーセントの4段階としている。また、ギリシャ文字αは、特許請求の範囲の欄に記載した設定調光率差を示す。尚、設定調光率差を3〜10パーセントの範囲に設定するが、この場合、設定調光率差を5パーセントとする。
【0016】
浴室使用者が前記白熱灯2a,2bを減光させるために調光スイッチ5の調光率ダウン用スイッチ5bを0.5秒未満オンすると、マイクロコンピュータ7は段階調光制御を選択する。図5に示すように、現在の調光率PLが52パーセントである場合、調光率ダウン方向での一番近い段階調光率レベルは50パーセントであるため、現在の調光率PLとの差は2パーセントである。しかるに設定調光率差は5パーセントに設定されているため、マイクロコンピュータ7は、調光率ダウン方向での一番近い段階調光率レベルの50パーセントを飛ばして段階調光率レベル25パーセントまで調光率を下げる。これにより、浴室使用者は、白熱灯が明らかに調光されたことを認識することができる。
【0017】
次に、浴室使用者が白熱灯2a,2bを明るくするために調光スイッチ5の調光率アップ用スイッチ5aを短時間、オンした場合、マイクロコンピュータ7により段階調光制御が行なわれる。現在の調光率PL(52パーセント)から調光率アップ方向での一番近い段階調光率レベルは75パーセントである。そのため、現在の調光率PLとの差は23パーセントであり、設定調光率差(5パーセント)を超えているため、マイクロコンピュータ7は、現在の調光率PL(52パーセント)から調光率アップ方向での一番近い段階調光率レベル75パーセントまで調光率を上げる。これにより、浴室使用者は、白熱灯が明らかに調光されたことを認識することができる。
【0018】
以上説明したような特徴を有する調光装置1では、調光スイッチ5が上記のようにスイッチ5a(調光率アップ用),5b(調光率ダウン用)の二つを有しているが、これに限らず、一つのスイッチで、現在の調光率から例えば最大調光率レベルの方向に操作指示し、最大調光率レベルまで調光制御されると、今度は最小調光レベルの方向に操作指示されるようにすれば、調光スイッチ5を一つのスイッチにすることができる。この場合でも、図5に示したような調光装置1の調光制御の特徴は同じである。
【0019】
また、以上の実施の形態では、調光装置1を浴室に適用した例を説明したが、浴室に限らず、洗面室、トイレット、ベッドルームなどで、白熱灯を調光する場合にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】浴室に使用された調光装置の全体的な構成を示した斜視図である。
【図2】調光スイッチの正面外観図である。
【図3】調光装置の電気的な構成を示した制御系統図である。
【図4】調光装置の基本的な調光制御作用を示したタイミングチャートである。
【図5】調光装置の調光制御の特徴を示した作用説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 調光装置
2a,2b 白熱灯
3 電源スイッチ
4 調光照明制御ボックス
5 調光スイッチ
7 マイクロコンピュータ
8 調光回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白熱灯を調光制御する調光制御手段と、前記白熱灯の調光を指示する調光操作手段とを有し、前記調光操作手段の操作時間に対応して予め設定された段階調光レベルに調光する段階調光制御と任意の調光レベルに調光する無段階調光制御とを選択する調光装置において、前記段階調光制御を行なう際、現在の調光率と調光する方向で一番近い段階調光率レベルとの差が、予め決められた設定調光率差以上の場合、一番近い段階調光率レベルに調光する一方、前記設定調光率差未満の場合は一段階飛ばした段階調光率レベルに調光制御することを特徴とする調光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の調光装置であって、前記設定調光率差は、段階調光率レベルの最大値を100パーセントとした場合の3〜10パーセントとすることを特徴とする調光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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