説明

調湿パネル

【課題】調湿材を効率よく収容できる調湿パネルを提供する。
【解決手段】調湿パネル1は、送風手段4と、パネル内空間の裏面側に沿うように設けられた第1送風路(5)と、前記パネル内空間の表面側に沿うように設けられた第2送風路(6)と、前記パネルの一端に設けられいずれかの送風路と連通する吸気口2と、前記パネルの他端に設けられいずれかの送風路と連通する排気口3と、前記第1送風路と前記第2送風路の間に設けられ両送風路の送風方向に多段に区画された多数の収容セル11に調湿材12を収容するとともに、一方の送風路から他方の送風路へと空気が通じるように構成された前記調湿材保持層10と、前記吸気口から導入した空気を前記調湿材保持層を介して両送風路を交互に流れるように蛇行させ、前記排気口と連通した送風路へ導出するように構成された気流変更手段(14,15)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住居の内装建材などとして使用される調湿パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、住居の高断熱化及び高気密化が進んだことによって、これに起因する結露やカビ、ダニなどの発生が問題となっており、住居内の湿度調節が次なる課題となっている。
そこで、従来から住居の内装建材などに使用される調湿機能を有した調湿パネルが提案されている。
例えば、下記特許文献1では、仕切板で仕切った仕切の中に炭等を詰め、その表裏面に通気性のある被覆シートを貼着したパネルが提案されている。
一方、下記特許文献2では、建築物の通気内壁材と、壁面断熱部材の内面との間に、通気層を設け、この通気層に吸着剤を内蔵等させた壁構造が提案されている。このものでは、屋根裏部の壁面に排気用ファンを付設し、この排気用ファンによって、基礎または室内に設けた開口部を介して外気または室内空気を通気層に通気させるとともに、屋根裏を通過させて外部に排気する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−8633号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2001−140368号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような従来の調湿パネルは、室内空間の空気の自然対流を利用して吸放湿する構成であり、効率的かつ積極的に室内空間の空気を調湿することは困難であった。
また、上記特許文献2に記載されたものでは、排気用ファン等を利用して通気層に積極的に空気を取り込む構成とされているが、建築物の構造全体に関わるもので、建築物の構造全体が複雑化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、室内空間の空気を効率的に調湿し得る調湿パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る調湿パネルは、パネル内空間の裏面側に沿うように設けられた第1送風路と、前記パネル内空間の表面側に沿うように設けられた第2送風路と、前記パネルの一端に設けられいずれかの前記送風路と連通する吸気口と、前記パネルの他端に設けられいずれかの前記送風路と連通する排気口と、送風手段と、前記第1送風路と前記第2送風路との間に設けられ両送風路の送風方向に多段に区画された多数の収容セルに調湿材を収容するとともに、一方の送風路から他方の送風路へと空気が通じるように構成された前記調湿材保持層と、前記吸気口から導入された空気を前記調湿材保持層を介して両送風路を交互に流れるように蛇行させ、前記排気口と連通した送風路へ導出するように構成された気流変更手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
このような構成とすることで、送風手段によって強制的に吸気口から取り込んだ室内の空気は、吸気口と連通した送風路(第1送風路或いは第2送風路)を経て気流変更手段によって調湿材保持層を介して両送風路を交互に流れるように蛇行し、排気口と連通した送風路へと導出される。このとき、室内の空気は一方の送風路から他方の送風路へと空気が通じるように構成された調湿材保持層を通じる際に調湿(除湿または加湿)され、排気口からは調湿された空気が排気される。よって、例えば、パネル内空間の表面側及び裏面側のいずれか一方にのみ送風路を設け、他方に調湿材保持層を設けたような場合と比べて、空気を調湿材に効率的に接触させることができ、吸放湿性を効率的に向上させることができる。
また調湿材が収容セルに収容されているので、調湿材を調湿材保持層に効率的に収容できる。
すなわち調湿材が送風路の送風方向に多段に区画された収容セル内に収容されているので、調湿パネル内が一空間に構成されている場合と比べて送風路の上流側から下流側に亘って調湿材を効率よく収容することができる。
また収容セルに区画されて調湿材を収容することができるので、収容セル毎に調湿材の収容量の調整することが可能になる。
【0008】
本発明において気流変更手段は、前記第1送風路及び前記第2送風路の途中に互い違いに複数設けられた送風路遮断部で構成されているものとしてもよい。
このようにした場合は、送風路遮断部が第1送風路及び前記第2送風路の途中に互い違いに設けられているので、例えば第1送風路を流れる空気の流れが送風路遮断部によって遮られて調湿材保持層を介して第2送風路へと流れ、また第2送風路を流れる空気の流れが送風路遮断部によって遮られて再び調湿材保持層を介して第1送風路へと流れる。といったように両送風路を交互に流れ気流を蛇行させることが簡易な構成で実現可能となる。
【0009】
また本発明において調湿材は、各前記収容セルの上方に空隙が形成されるように収容されているものとしてもよい。
このように、各収容セルの上方に空隙が形成されるように調湿材を収容するものとすれば、調湿材保持層を通過する空気が区画して形成された収容セルの上方を通じ易くなり圧力損失を低減することができるので、調湿材保持層の通気性を向上させることができる。
ここで形成される空隙は、収容セルに充填された粒状の調湿材同士の間に形成される空隙ではなく、各収容セル空間の上方に形成される空隙をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る調湿パネルは、上述のような構成としたことで、室内空間の空気を効率的に調湿することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る調湿パネルの一実施形態を模式的に示す概略縦断面図である。
【図2】同調湿パネルの変形例を模式的に示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る調湿パネル1を示しており、本実施形態では、調湿パネル1を、吸気口2を下端側に、排気口3を上端側にして、壁面60に鉛直に立てて設置される縦型の壁パネルに適用した例を示している。
【0013】
この調湿パネル1は、上下に長い中間部を構成するパネル本体9、並びにこのパネル本体9の上下にそれぞれ接続された上側外郭部30及び下側外郭部20を備えている。パネル本体9は、パネル表面側の前板部9a、パネル裏面側の背板部9b、及びこれらの左右をそれぞれ連結する一対の側板部9c,9c(図では、一方のみを示している)により構成された中空の四角筒状体とされている。
このパネル本体9の内方空間における裏面側には、背板部9bに沿うように第1送風路を構成する裏面側送風路5が設けられ、また、パネル本体9の内方空間における表面側には、前板部9aに沿うように第2送風路を構成する表面側送風路6が設けられている。
また、これら裏面側送風路5と、表面側送風路6との間には、パネル本体9の内方空間の上下方向及び幅方向の全体に亘って板状の調湿材保持層10が設けられている。
つまり、パネル本体9の内方空間は、その厚さ方向略中層部に調湿材保持層10が設けられ、その表面側空間が表面側送風路6を構成し、裏面側空間が裏面側送風路5を構成している。
【0014】
この調湿パネル1の大きさは、設置箇所等に応じて、適宜、設定可能であるが、本実施形態のように、壁パネルとして設置される縦型パネルとした場合は、長さ(高さ)が1500mm〜2000mm程度、幅が200mm〜500mm程度、厚さが30mm〜60mm程度とされた縦長で扁平矩形状のものとしてもよい。本実施形態では、当該調湿パネル1の大きさを、長さ(高さ)が1800mm程度、幅が300mm程度、厚さが45mm程度としている。
【0015】
これら前板部9a、背板部9b、及び一対の側板部9c,9cからなるパネル本体9は、鋼板等により一体的に形成するようにしてもよく、適宜の板材を接合してパネル本体9を構成するようにしてもよい。
また、このパネル本体9の外周面の室内空間に露出する部位となる前板部9aの表面には、化粧シートや壁紙、突板等の表面化粧材を貼着するようにしてもよい。
更にこれら表面側送風路6、調湿材保持層10及び裏面側送風路5の厚さ寸法(当該調湿パネル1の厚さ方向に沿う厚さ寸法)の比率は、1:2:1〜1:3:1程度としてもよい。
【0016】
調湿材保持層10は、当該調湿パネル1の厚さ方向両側に開口し、パネル本体9の上下方向(両送風路5,6の送風方向と同方向)及び幅方向に多段に区画された多数の中空筒状の収容セル11の集合体からなるコア材を芯材としており、その外周の上部及び下部、両側部がパネル本体9の天板部や底板部、両側板部9c,9c等に固定されている。
この収容セル11には、吸放湿性を有した調湿材12が収容されている。
また、この収容セル11を形成するコア材の表面側及び裏面側は開口している。
図中11aは収容セル11の開口11aを示しており、該開口11aには、通気性及び透湿性を有した通気膜13,13がそれぞれ貼り付けられている。
【0017】
収容セル11を形成するコア材としては、段ボール原紙やクラフト紙質等の紙材を接着剤で重積接着して形成するようにしてもよい。また、このような紙材に、エポキシ樹脂等の補強用の樹脂を更に含浸させたものとしてもよい。その他、アルミ材等の金属系材料や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂系材料から製されたものとしてもよい。
【0018】
また、収容セル11のセル形状は、蜂の巣状のハニカム形状、方形状、菱形状、JIS A6931に規定されているような円筒形状や、リブを平行に連続させたリブ形状、「く」字状のような折り紙形状を連続させた折り紙形状等としてもよい。
また、収容セル11のセルサイズ(セルの幅)は、10mm程度〜30mm程度としてもよい。本実施形態では、厚さが0.3mm程度の通気性の少ない、または、通気性のない板紙(難通気性材料)により、セルサイズが20mm程度とされたハニカム形状の収容セル11としている。
【0019】
収容セル11に収容される調湿材12としては、粉粒体状のもので、木炭、竹炭などの炭類、タルク、ゼオライト、珪藻土、シリカゲル(好ましくはB形)、モンモリロナイト、セピオライトなどの粘土鉱物、アルミナ、シリカなどの無機物等が挙げられる。或いは、可逆的な吸湿機能、放湿機能を有する高分子吸放湿材としてもよい。本実施形態では、調湿材12としてシリカゲルを採用している。
この調湿材12の粒径は、調湿性及び通気性の観点から1.0mm程度〜6.0mm程度としてもよい。この調湿材12の粒径が小さくなるほど、単位体積当たりに収容される調湿材の表面積が大きくなり調湿性は向上するが、調湿材間の隙間が小さくなり通気性が阻害される傾向がある一方、粒径が大きくなるほど、通気性は向上するが調湿性が阻害される傾向がある。本実施形態では、平均粒径が2.0mm程度の調湿材12を採用している。
尚、上記各種の調湿材12は、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、粉粒体状の調湿材に限られず、薄片状や短繊維片状のものとしてもよい。
【0020】
上記コア材の表面側及び裏面側、すなわち開口11aは上述したように通気膜13,13で覆われており、該通気膜13,13は、通気性及び透湿性を有した布状部材や紙材としてもよい。または、合成樹脂系材料や金属系材料を、通気孔を形成するようにメッシュ状に加工した網状部材、若しくは多数の通気孔を形成したシート部材としてもよい。
布状部材としては、繊維を平織したクロスシートや種々の織態様により編み込み形成されたものとしてもよく、或いは不織布としてもよい。
このような通気膜13は、上記した調湿材12の粒径に応じて、調湿材12を通過させずに保持し得る構成とすればよい。
【0021】
上記構成とされた調湿材保持層10は、例えば、上記コア材の一方面側に、通気膜13を貼り付けた後、該コア材の他方面側から各収容セル11に調湿材12を収容し、その他方面側に通気膜13を貼り付けて、板状に形成するようにしてもよい。本実施形態では、調湿材保持層10の長さ(高さ)を1700mm程度、幅を290mm程度、厚さを25mm程度とし、全体で6.0kg程度の調湿材12を各収容セル11内に空隙が形成されないよう比較的、密に充填している。
このような多数の収容セル11を有したものとすることで、調湿材保持層10に調湿材12を効率的に収容できる。特に、本実施形態のように、当該調湿パネル1を、吸気口2及び排気口3が上下に位置するように設置される縦型の壁パネルとして適用する場合には、調湿パネル内が一空間に構成されている場合と比べて送風路5,6の上流側から下流側に亘って調湿材を効率よく収容することができ、調湿材12の自重によって調湿パネル1の下方側ばかりに調湿材12が充填されてしまうといった上下方向の偏りを低減できる。
【0022】
パネル本体9の下方側に接続された下側外郭部20は、送風手段を構成するクロスフローファン4を収容するケーシング状とされ、その表面側には、複数のスリット状の吸気口2を形成する複数本の格子部材21が設けられている。
この下側外郭部20の天板部の裏面側寄りには、導入口7が形成されており、吸気口2とパネル本体9の裏面側送風路5とを連通させている。
クロスフローファン4のON/OFF操作や風量調整等をするための操作部は、上記したパネル本体9の前板部9aの適所等に設けるようにしてもよい。また、吸気口2の裏面側には、塵埃等を捕捉するフィルタ等を配設するようにしてもよい。
【0023】
パネル本体9の上方側に接続された上側外郭部30は、その表面側に排気口3を有している。この排気口3には、複数の羽板状のルーバー31が設けられている。
この上側外郭部30の底板部の裏面側寄りには、導出口8が形成されており、パネル本体9の裏面側送風路5と排気口3とを連通させている。
この上側外郭部30の内方空間に、クロスフローファン4や、その操作部と電気的に接続された制御部を配設するようにしてもよい。また、これらクロスフローファン4、制御部及び操作部等への給電は、適宜部位の裏面側に引出した図示しない電源コード等を介してなされるようにしてもよい。また、導出口8から排気口3に向けて送風される空気の気流方向を変更するガイド部材を設けるようにしてもよい。
【0024】
裏面側送風路5及び表面側送風路6におけるそれぞれの経路の途中には、間隔を空けて気流変更手段を構成する送風路遮断部14,15が設けられている。送風路遮断部14,15は発泡ポリスチレンなどからなる板体で構成され、その設置枚数は特に限定されるものではないが、本実施形態では、裏面側送風路5の2箇所に計2枚の送風路遮断部14を設け、表面側送風路6の3箇所に計3枚送風路遮断部15が設けられた例を示している。
これら送風路遮断部14,15の幅寸法(パネル厚さ方向に沿う寸法)は、両送風路5,6の風路幅と同じ程度とし、送風路遮断部14,15は、調湿材保持層10に流れ込む空気の流れを邪魔しないように収容セル11と収容セル11の間に配置する。そして送風路遮断部14,15は図1に示すように断面視したときに配置位置が重複しないように互い違いになるように設けられ、これによりパネル本体9内を通じる空気が両送風路5,6を交互に流れるように構成される。
これら各送風路遮断部14,15は、調湿材保持層10の表面側及び裏面側に接着剤等により固定するようにしてもよく、パネル本体9の両側板部9c,9c等に固定するようにしてもよい。
【0025】
次に図1の矢印40〜矢印48を参照しながら、空気の流れについて説明する。
上記のように構成された調湿パネル1では、操作部をしてクロスフローファン4を起動させると、吸気口2から室内の空気が取り込まれる(矢印40参照)。
この取り込まれた空気は、裏面側送風路5と連通する導入口7を通じて裏面側送風路5に導入され(矢印41参照)、クロスフローファン4によって上方に向けて送風される(矢印42参照)。調湿材保持層10を通過して表面側送風路6へと流れた空気は(矢印43参照)、調湿材12と通気膜13を通過して接触し、このときに空気が調湿される。
また上方へ流れ送風路遮断部14に接触した空気は、送風路遮断部14で遮られ上方への行き場を失くし、強制的に調湿材保持層10を介して表面側送風路6へと流れる(矢印44参照)。
そして表面側送風路6を通じて上方へ流れ送風路遮断部15に接触した空気は、送風路遮断部15で遮られ上方への行き場を失くし、再び強制的に調湿材保持層10を介して裏面側送風路5へと流れる(矢印45参照)。
このように両送風路5,6に間隔を空けて設けられた送風路遮断部14,15によって、吸気口2から取り込んだ空気が前記調湿材保持層を介して両送風路を交互に行き交うように流れ、蛇行させている間に空気を効率的に調湿材12と接触させることができる。
そして最終的には排気口3に近い下流側に設けられた送風路遮断部15によって、表面側送風路6を通じた空気は排気口3と連通する裏面側送風路5へと導出される(矢印46参照)。そして導出口8を通じて裏面側送風路5から排気口3へと流れ(矢印47参照)、排気口3から室内空間に向けて十分に調湿された空気が排気される。
尚、ここでは説明しないが、クロスフローファン4をOFFした場合でも両送風路5、6に流れ込んだ空気が調湿材保持層10を通過し調湿がなされることはいうまでもない。
【0026】
以上のように、本実施形態に係る調湿パネル1によれば、上述のように室内の空気を強制的に循環させることにより、その空気を効率的に調湿することができる。特に、本実施形態のように、吸気口2を下端側に、排気口3を上端側にして、壁面や室内空間に鉛直に立てて設置するようにすれば、室内の床面付近に位置される下側の吸気口2から吸気した空気を、室内の天井付近に位置される上側の排気口3から排出させることができるので、室内の空気をより効率的に循環させることができ、その空気をより効率的に調湿することができる。
【0027】
また、クロスフローファン4によって強制的に吸気口から取り込んだ室内の空気は、吸気口2と連通した送風路(ここでは裏面側送風路5)を経て送風路遮蔽板14,15によって調湿材保持層10を介して両送風路5,6を交互に蛇行し、排気口3と連通した送風路(ここでは裏面側送風路5)へと導出することができる。よって例えば、パネル内空間の表面側及び裏面側のいずれか一方にのみ送風路を設け、他方に調湿材保持層を設けたような場合と比べて、空気を調湿材12に効率的に接触させることができ、吸放湿性を効率的に向上させることができる。
【0028】
続いて図2を参照しながら、上記実施形態に係る調湿パネル1の変形例について説明する。
尚、上記実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
図2に示す調湿パネル1は、上記実施形態とは各収容セル11への調湿材12の収容率が異なるものである。図1に示す上記実施形態では各収容セル11内に空隙が形成されないよう調湿材12を比較的密に収容した例を説明したが、図2に示すように各収容セル11の上方空間に10%〜50%程度の空隙が形成されるように収容するようにしてもよい。
このように、各収容セル11の上方に空隙が形成されるように収容するものとすれば、収容セル11の上方に空間が形成され、そこを空気が通じるので(矢印50参照)、調湿材12調湿材保持層10を通過する空気の圧力損失を低減することができ、調湿材保持層10の通気性を向上させることができる。
【0029】
尚、既設の壁面60に取り付けられた調湿パネル1について説明したが、これに限定されるものではなく、他の壁面材や他の調湿パネルの表面と面一状となるように、一部を壁内部に埋め込ませるようにして取り付けるようにしてもよく、または、間仕切りパネルとして、下端部等に適宜の支持部材等を設けて、室内空間に設置するようにしてもよい。
また上記実施形態では、下側外郭部の天板部の裏面側寄りに、吸気口とパネル本体の裏面側送風路とを連通させる導入口が形成された例を説明したが、表面側寄りに導入口を形成し、吸気口とパネル本体の表面側送風路とが連通するように構成してもよい。同様に上記実施形態では上側外郭部の底板部の裏面側寄りに、パネル本体の裏面側送風路と排気口とを連通させる導出口が形成された例を説明したが、表面側寄りに導出口を形成し、パネル本体の表面側送風路と排気口とが連通するように構成してもよい。
さらに気流変更手段を構成する送風路遮断部の設置位置も図例に限定されるものではなく、要は空気の流れを邪魔するのではなく、吸気口から取り込んだ空気が収容セルを介して両送風路間を蛇行しながら流れ、排気口と連通した送風路へと流れるように設けられていればよい。
【0030】
上記実施形態では、調湿パネルとして、縦長扁平矩形状の縦型パネルを例示したが、横長扁平矩形状のものとしてもよく、また、排気口及び吸気口のそれぞれを図例とは逆側に設けるようにしてもよい。
また調湿パネルの表面に開口させた一対の通気開口部を構成する吸気口と排気口とを上下に離間させて形成した態様を例示しているが、左右に離間させて形成するようにしてもよい。すなわち、当該調湿パネルを横型パネルとして横置きにして設置するような態様にしてもよい。
【0031】
さらに上記実施形態では、空気を送風するための送風手段として、クロスフローファンを下側外郭部に設けた例を示しているが、上側外郭部に設けるようにしてもよく、或いは、少なくともいずれか一方の送風路の途中部位に設けるようにしてもよい。
そしてクロスフローファンに限られず、シロッコファンや軸流ファン等を送風手段として設けるようにしてもよい。
【0032】
上記実施形態に係る調湿パネルの表面側送風路、調湿材保持層及び裏面側送風路、並びに上下の外郭部等を、パネル幅方向において分割する仕切板を設けるとともに、それぞれに独立駆動可能な送風手段を設け、一方を上記同様の下側吸気、上側排気とし、他方を上側吸気、下側排気とするような態様としてもよい。これによれば、室内空間の温度分布の状況に応じて、いずれかの送風手段を駆動させることで、室内空間の温度差を効率的に減少させることができる。
また上記実施形態では、調湿材保持層を、パネル本体の上下方向及び幅方向に区画された多数の中空筒状の収容セルを有したものとし、この収容セルに調湿材を収容した例を示しているが、上下方向(各送風路の送風方向と同方向)にのみ区画された多数の収容セルからなるものとしてもよい。或いは、このような多数の収容セルを設けずに、板状の調湿材保持層を構成する態様としてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 調湿パネル
2 吸気口
3 排気口
4 送風手段
5 裏面側送風路(第1送風路)
6 表面側送風路(第2送風路)
10 調湿材保持層
11a 開口
12 調湿材
13 通気膜
14,15 送風路遮蔽板(気流変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風手段と、パネル内空間の裏面側に沿うように設けられた第1送風路と、前記パネル内空間の表面側に沿うように設けられた第2送風路と、前記パネルの一端に設けられいずれかの送風路と連通する吸気口と、前記パネルの他端に設けられいずれかの送風路と連通する排気口と、前記第1送風路と前記第2送風路の間に設けられ両送風路の送風方向に多段に区画された多数の収容セルに調湿材を収容するとともに、一方の送風路から他方の送風路へと空気が通じるように構成された前記調湿材保持層と、前記吸気口から導入した空気を前記調湿材保持層を介して両送風路を交互に流れるように蛇行させ、前記排気口と連通した送風路へ導出するように構成された気流変更手段とを備えていることを特徴とする調湿パネル。
【請求項2】
請求項1において、
前記気流変更手段は、前記第1送風路及び前記第2送風路の途中に互い違いに複数設けられた送風路遮断部で構成されていることを特徴とする調湿パネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記調湿材は、各前記収容セルの上方に空隙が形成されるように収容されていることを特徴とする調湿パネル。

【図1】
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【図2】
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