説明

識別情報登録装置

【課題】 MDに記録されたトラックに、各カテゴリのネームをきわめて容易に登録することができるMD装置を提供すること。
【解決手段】 MD装置1は、複数のトラックを記録可能なMDに、各トラックまたはMDを識別する一または複数のネームを登録する登録手段と、ネームをカテゴリ毎に記憶するカテゴリ記憶領域を有するRAM14と、登録手段がMDにネームを登録する際に、登録するネームのカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域にネームをに書き込む書込手段とを備える。ユーザからコピー指示が入力された場合に、登録するネームのカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域からネームを読み出して、MDに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録されたコンテンツデータに対して、コンテンツデータのネームを登録する識別情報登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ミニディスク(以下、MDとする)装置等の記録再生装置は、MDのU−TOC領域に、MDに記録されているトラック(以下、曲とする場合がある)のネーム(トラックネーム、アルバムネーム、アーティストネーム、ディスクネームおよび/またはグループネーム等)を登録することができる。曲を再生している間、MD装置の表示部に、これら各ネームのいずれかを表示して、現在どの曲を再生していのるかをユーザに知らせることができる。MDにこれらのネームを登録するためには、一般的には、ユーザが各トラックに対して各ネームの文字データを入力する必要がある。MDに多数の曲が記録されている場合、ユーザはMDに非常に多くの文字データを入力する必要があり、その操作が非常に煩雑である。また、最近、1GBの容量を有するHi−MD(登録商標、以下同様)や、大容量のハードディスクを使用した記録再生装置が製品化されているが、これらはより多くの曲を記録できる一方で、ネーム入力の操作がさらに煩雑になるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、下記特許文献1に示すMD装置が提案されている。このMD装置は、コピー元のネームをユーザが指定して、指定したネームの文字データをRAMに一旦保存する。その後、ユーザがコピー先のネームを指定すると、RAMに記憶された文字データが読み出され、コピー先のネームとして登録される。このMD装置は、ユーザがコピー元のネームを指定する必要があるので、その操作が煩雑であるという問題がある。つまり、MDに多数の曲が記録されている場合には、ユーザがコピー元の所望のネームを探し出して指定する際に、非常に多くの時間がかかってしまう。
【0004】
【特許文献1】特開平10−199212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、記録媒体に記録された曲に、各カテゴリのネームをきわめて容易に登録することができる識別情報登録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態による識別情報登録装置は、複数のコンテンツデータを記録可能な記録媒体に、該各コンテンツデータまたは該記録媒体を識別する一または複数の識別情報を登録する登録手段と、該識別情報を記憶するための記憶デバイスと、該登録手段が該識別情報を該記録媒体に登録する際に、該登録する識別情報を該記憶デバイスに書き込む書込手段とを備える。複写指示が入力された場合に、該登録手段は、該書込手段によって書き込まれ該記憶デバイスに記憶されている識別情報を読み出して該記録媒体に登録する。
【0007】
記録媒体にコンテンツデータの識別情報を登録する際に、記憶デバイスに識別情報を一時的に記憶させる。別のコンテンツデータに同じ識別情報を登録する際に、ユーザが複写指示を入力すると、記憶デバイスに記憶されている識別情報を読み出して自動的に登録する。そのため、ユーザは、同じ識別情報を登録する際に、識別情報を入力する必要がなくなり、登録操作がきわめて容易になる。しかも、特許文献1と異なり、識別情報を登録する際に自動的に記憶デバイスに識別情報を書き込むので、ユーザはコピー元のコンテンツデータを選択する必要がなく、登録操作がさらに容易になる。
【0008】
さらに、記録媒体自身の識別情報を記録媒体に登録する際に、記憶デバイスに識別情報を一時的に記憶させる。別の記録媒体に同じ識別情報を登録する際に、ユーザが複写指示を入力すると、記憶デバイスに記憶されている識別情報を読み出して自動的に登録することができる。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記各コンテンツデータに対して、複数カテゴリの識別情報を登録可能であり、上記記憶デバイスは、該各カテゴリの識別情報を記憶するための複数のカテゴリ記憶領域を有する。上記書込手段は、上記登録する識別情報のカテゴリに対応する該カテゴリ記憶領域に、該登録する識別情報を書き込む。上記登録手段は、該登録する識別情報のカテゴリに対応する該カテゴリ記憶領域から識別情報を読み出して、該記録媒体に登録する。
【0010】
記録媒体にコンテンツデータの識別情報を登録する際に、登録する識別情報のカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域に識別情報を一時的に記憶させる。別のコンテンツデータに同じ識別情報を登録する際に、ユーザが複写指示を入力すると、登録する識別情報のカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域に記憶されている識別情報を読み出して自動的に登録する。その結果、ユーザは、正しいカテゴリの識別情報を自動的に登録することができる。つまり、複数カテゴリの記憶領域を有していなければ、異なるカテゴリの識別情報が記憶されているにもかかわらず、識別情報が誤って自動的に登録されてしまうが、本実施形態ではそのような問題を解決できる。
【0011】
さらに好ましい実施形態においては、識別情報登録装置は、上記複数のコンテンツデータの中から1つのコンテンツデータを選択するコンテンツ選択手段と、該選択されたコンテンツデータに関する識別情報を表示する表示手段と、該表示手段が表示する識別情報のカテゴリを選択するカテゴリ選択手段とをさらに備える。上記書込手段は、該カテゴリ選択手段が選択したカテゴリに対応する前記カテゴリ記憶領域に、前記識別情報を書き込む。上記登録手段は、該カテゴリ選択手段が選択したカテゴリに対応する該カテゴリ記憶領域から識別情報を読み出して、前記記録媒体に登録する
【0012】
表示手段が表示する識別情報のカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域に識別情報を書き込んだ上で、記録媒体に識別情報を登録する。また、表示手段が表示する識別情報のカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域から識別情報を読み出して、記録媒体に登録する。すなわち、書込手段が識別情報を書き込むカテゴリ記憶領域のカテゴリと、登録手段が識別情報を読み出すカテゴリ記憶領域のカテゴリとは、表示手段が表示する識別情報のカテゴリと同一である。従って、ユーザは登録指示を入力した後、どのカテゴリの識別情報を登録するかを選択する必要がない。従って、ユーザは煩雑な操作を要することなく、きわめて容易に所望のカテゴリの識別情報を登録することができる。さらに、ユーザが予め表示させていたカテゴリの識別情報を登録することができるので、誤ったカテゴリの識別情報を登録してしまうことを防止できる。
【0013】
さらに好ましい実施形態においては、上記記憶デバイスは、上記記録媒体の識別情報を記憶するための記録媒体識別情報記憶領域をさらに有する。上記書込手段は、該記録媒体の識別情報を、該記録媒体識別情報記憶領域に書き込む。上記登録手段は、該記録媒体識別情報記憶領域に記憶されている識別情報を読み出して、他の記録媒体に登録する。
【0014】
記録媒体の識別情報を記録媒体に登録する際に、記録媒体識別情報記憶領域に識別情報を一時的に記憶させる。別の記録媒体に同じ識別情報を登録する際に、ユーザが複写指示を入力すると、記録媒体識別情報記憶領域に記憶されている識別情報を読み出して自動的に登録する。従って、記録媒体の識別情報に、誤ってコンテンツデータの識別情報が登録されることを防止できる。同様に、コンテンツデータの識別情報に、誤って記録媒体の識別情報が登録されることを防止できる。
【0015】
本発明の別の局面においては識別情報登録プログラムが提供され得る。このプログラムは、複数のコンテンツデータを記録可能な記録媒体に、各コンテンツデータまたは該記録媒体を識別する一または複数の識別情報を登録する登録ステップと、該登録ステップにおいて該記録媒体に識別情報を登録する際に、該登録する識別情報を、該識別情報を記憶するための記憶デバイスに書き込む書込ステップとをコンピュータに実行させる。複写指示が入力された場合に、該登録ステップにおいて、該記憶デバイスに記憶されている識別情報を読み出して、該記録媒体に登録する。
【発明の効果】
【0016】
ユーザは、同じ識別情報を登録する際に、識別情報を入力する必要がなくなり、識別情報の登録操作がきわめて容易になる。しかも、識別情報を登録する際に自動的に記憶デバイスに識別情報を保存するので、ユーザはコピー元のコンテンツデータを選択する必要がなく、登録操作がさらに容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0018】
[MD装置の構成]
図1は、本発明の好ましい実施形態による識別情報登録装置をミニディスク(以下、MD)装置を例に挙げて示す概略ブロック図である。MD装置1は、ユーザからの入力に基づいて、MDに記録されたトラック(以下、曲またはコンテンツデータと呼ぶことがある)の識別情報および/またはMD自身の識別情報をMDに登録する。トラックの識別情報は、代表的には、トラックネーム(曲名)、アルバムネーム、アーティストネームおよびグループネーム(詳細は後述する)を含む。また、記録媒体としてのMD自身の識別情報は、代表的にはディスクネームである。なお、アルバムネームおよびアーティストネームはHi−MD規格において新たに追加されたネームである。
【0019】
MD装置1は、制御部2、操作部3および表示部4を備える。制御部2は、MD装置1全体の動作を制御するものであり、代表的にはマイクロコンピュータ(以下、マイコンとする)である。制御部2は、例えば内蔵するROM(図示しない)に格納された各プログラムを実行することにより、各処理(例えば、図2、図5〜図9)を実行する。例えば、制御部2はユーザによって入力された文字データをネームとしてMDに登録する。ここで、MDに識別情報を登録するとは、MDのU−TOC領域にネームを記録して、コンテンツを記録したネームによって管理できる状態にすることを意味し(登録手段または記録手段)、単に新たにネームを記録するだけでなく、既に記録されているネームを変更または削除することも含む。
【0020】
操作部3は、ユーザからの指示が入力され、ユーザの指示に基づく信号を制御部2に与えるものであり、例えば、MD装置1本体に設けられたキー、ボタンおよび/またはリモコン等が採用され得る。ユーザは、操作部3を操作して、MDに各ネームを登録する。
【0021】
表示部(表示手段)4は、選択(または再生)されているトラックに関する各ネームのいずれかを表示するものであり、例えば液晶表示部等である。表示部4は、代表的にはMD装置1のフロントパネルに設けられているので、表示できる文字数が限られる。そのため、ユーザによってカテゴリのネームのみを表示するようにしている。
【0022】
制御部2には、MDにアクセスするためのサーボ回路5が接続されている。サーボ回路5には、ヘッド部6およびRFアンプ7が接続されている。ヘッド部6は、MD(のディスク)を回転させるスピンドル、およびMDに記録されているデータの読み出しおよび書き込みを実行するピックアップ等を有する(図示せず)。サーボ回路5は、制御部2からの指示に基づきヘッド部6を制御する。
【0023】
RFアンプ7は、サーボ回路5を介してヘッド部6から送られる信号を増幅し、アドレスデコーダ8に供給する。アドレスデコーダ8は、ヘッド部6からの信号に基づいて、曲のアドレスをデコードし、信号処理部9に与える。このアドレスは各処理に用いられる。
【0024】
制御部2には、信号処理部9およびメモリ制御回路10が接続されている。信号処理部9は、曲の圧縮符号化および復号化を実行する。信号処理部9には、DAC(Digital Analog Converter)11およびADC(Analog Digital Converter)12が接続されている。DAC11は、信号処理部9からのデジタルデータをアナログデータに変換し、アナログ出力端子に供給する。ADC12は、アナログ入力端子から入力されたアナログデータをデジタルデータに変換し、信号処理部9に供給する。図示しないが、デジタル入力端子も設けられている。
【0025】
メモリ制御回路10は、メモリ13を接続し、制御部2からの指示に基づいてメモリ13を制御する。メモリ13は、例えばDRAMからなり、曲の記録や再生、またはネーム登録の際のバッファメモリとして機能する。
【0026】
制御部2は、内蔵するRAM(記憶デバイス)14内に、MDに登録するネームの文字データを書き込む(保存する)(書込手段または保存手段)。ここで、RAM14に文字データを書き込む(保存する)とは、RAM14に文字データを入力して、RAM14内で一時的に記憶される状態にする動作を意味する。記憶された文字データは、別のトラックに同じネームを登録する際に、RAM14からその文字データを読み出して、自動的に登録される。従って、別のトラックに同じネームを登録する際に、ユーザは同じネームを再度入力する必要がない。
【0027】
RAM14は、図2に示す通り、ネームの各カテゴリに対応して、ネームの文字データを一時的に記憶する複数のカテゴリ記憶領域201〜205を有する。ここで、カテゴリとは、ネームの種別を意味し、本例ではトラックネーム、アルバムネーム、アーティストネーム、グループネームおよびディスクネームがこれに該当する。すなわち、カテゴリ記憶領域は、ディスクネームを記憶するディスクネーム記憶領域201、グループネームを記憶するグループネーム記憶領域202、アーティストネームを記憶するアーティストネーム記憶領域203、アルバムネームを記憶するアルバムネーム記憶領域204およびトラックネームを記憶するトラックネーム記憶領域205を有する。各カテゴリ記憶領域には、対応するカテゴリのネームがMDに登録される際に、その文字データが書き込まれる。そして、MDにネームを登録する際に、ユーザによってネームコピー指示(複写指示)が入力されると、登録するネームのカテゴリに対応したカテゴリ記憶領域から文字データを読み出して、MDにネームとして登録する。
【0028】
[各ネームの文字データの構成]
表1は、各トラックに登録される各ネームを説明するためのテーブルである。各トラック番号に対応して、トラックネーム、アルバムネームおよびアーティストネームが登録される。表2は、各グループに登録されるグループネームを説明するためのテーブルである。グループとは、トラックの管理を容易にするために、同じ属性を有する複数のトラックをひとまとめにしたものである。例えば、グループ番号1のグループはトラック1〜7を含み、グループ番号2のグループはトラック8〜14を含むことを表している。グループネームはトラック毎ではなく、グループ毎に登録される。そのため、グループ内の1つのトラックが選択され、グループネームが登録されると、グループ内の他のトラックについてグループネームを登録する必要はない。なお、表1および表2の文字データは、MDがMD装置に挿入されたときにMDから読み出され、メモリ13に格納される。
【表1】

【表2】

【0029】
[ディスクネーム以外のネーム登録処理(ユーザによる文字入力)]
ユーザが操作部3を使って、ディスクネーム以外のネーム(本例では、アルバムネーム)の文字データを入力して、MDに登録する処理について図3を参照して説明する。MDに記録された複数のトラックの中から1つのトラックを選択して、選択したトラックのアルバムネームを登録する。まず、制御部2は、MDに記録されたトラックの中から、ネームを登録するトラックを1つ選択する(S301)。具体的には、先述の通り、トラックに関する文字データ(表1および表2)がメモリ13に格納されているので、ユーザの入力に応じて、メモリ13から選択されたトラックに関するネームまたはトラック番号が読み出され、表示部4に表示される。本例では、下記表3において、トラック番号1のトラックが選択されたとする。
【表3】

【0030】
制御部2は、ユーザの操作に基づいて、選択されたトラックに関するネームの各カテゴリのうち、表示部4に表示するカテゴリを1つ選択する(S302)。具体的には、トラックネーム、アルバムネーム、アーティストネームおよびグループネームの中から、ユーザの操作部3の操作に応じて、1つのネームを選択し表示部4に表示する。図4に示す通り、表示部4の表示画面は、ユーザが操作部3を操作するたびに、トラックネーム401、アルバムネーム402、アーティストネーム403およびグループネーム404の順番で切り替わる。本例では、ユーザの操作によってアルバムネームが選択される。アルバムネームが選択されると、制御部2は、図示しないアルバムネーム用のフラグをセットする。どのカテゴリが選択されているかを制御部2が判断するためである。本例では、表3の通り、トラック1にはアルバムネームが登録されていないのでアルバムネームが選択されても、アルバムネームは表示されない。
【0031】
ユーザが操作部3を操作してネーム登録指示を入力すると、制御部2は操作部3からネーム登録指示の信号を受けて、ネーム登録状態に直接移行する(S303)。ネーム登録状態に移行するとは、ユーザの操作によって文字データを受付可能な状態になることを意味する。具体的には、制御部2は、S301で選択されたトラックのネームのうち、S302で選択されて表示部4に表示されているカテゴリのネームを登録できるネーム登録状態に移行する。すなわち、本例では、アルバムネームが選択されているので、アルバムネームの登録状態に移行する。また、直接移行するとは、ユーザにどのカテゴリのネームを登録するかを問うことなく、登録状態に移行することを意味する。
【0032】
ユ−ザが操作部3を操作して文字データ(アルバムネーム)を入力すると、制御部2は操作部3から入力された文字データを受け取る(S304)。文字データはRAM14(ここでは、RAM14の各カテゴリ記憶領域ではなく、それ以外の一般領域)内に一旦格納されて、表示部4に入力された文字データを表示する。
【0033】
制御部2は、ユーザからネーム入力終了の指示を受けると、文字データをRAM14内のカテゴリ記憶領域(本例では、アルバムネーム記憶領域204)に書込み、指定されたトラックのアルバムネームをMDに登録する(S305)。ここで、識別情報を書き込むとは、制御部2の指示に基づいて、RAM14内のカテゴリ記憶領域に識別情報が入力されて、RAM14内で記憶される状態にする動作を意味する。
【0034】
図5を用いてS305の詳細を説明する。ここでは、S302で選択されたネームのカテゴリを先述の通りフラグのセット有無に基づいてS501〜S503で判断して、判断したカテゴリのカテゴリ記憶領域に文字データを書き込み、判断したカテゴリのネームを登録する。本例では、アルバムネームが選択されているので、制御部2は、S501およびS502でNOと判断し、S503でアルバムネームが選択されていると判断する(S503:YES)。その結果、制御部2は、文字データ(アルバムネーム)をRAM14内のアルバムネーム記憶領域203に書き込み(S508)、かつ、下記表4に示す通り、指定トラック(トラック番号1)のアルバムネームに文字データを登録する(S509)。具体的には、文字データは一旦メモリ13内にバッファされて表4の通り書き換えられる。その後、例えば、MD取り出し時(あるいは再生状態から停止状態になった時)にメモリ13から読み出されMDに記録される(S509)。従って、MDに登録するとは、限定されないが、一旦メモリに格納されたあとMDに記録されることを意味する。
【表4】

【0035】
なお、グループネームが選択されていれば(S501:YES)、文字データをRAM14内のグループネーム記憶領域202に書き込み(S504)、かつ、指定トラックのグループネームに文字データを登録する(S505)。アーティストネームが選択されている場合(S502:YES)、文字データをRAM14内のアーティストネーム記憶領域203に書き込み(S506)、かつ、指定トラックのアーティストネームに文字データを登録する(S507)。S503でNOと判断された場合、残るトラックネームが選択されていると判断され、文字データをRAM14内のトラックネーム記憶領域203に書き込み(S510)、かつ、指定トラックのトラックネームに文字データを登録する(S511)。
【0036】
以上のように、S302において選択されたカテゴリに基づいて、対応するカテゴリのカテゴリ格納領域に文字データを書き込み、かつ、当該カテゴリのネームとして文字データがMDに登録される。なお、カテゴリ記憶領域に別の文字データが既に記憶されている場合には、記憶されている文字データを削除してユーザによって入力された新たな文字データを書き込む。そのため、直前にユーザによって入力された文字データがカテゴリ記憶領域に記憶されていることになる。カテゴリ記憶領域に記憶されている文字データはMD装置の電源を切断するまで記憶される。
【0037】
[ディスクネーム以外のネーム登録処理(コピー登録処理)]
ユーザが文字データを入力するのではなく、RAM14のカテゴリ記憶領域に記憶されている文字データを読み出して、MDに登録する処理について図6を参照して説明する。なお、トラックの選択(S301)および表示されるネームのカテゴリの選択(S302)は、図3の処理と同一であるので、説明を省略する。但し、本例では、表4においてトラック番号2のトラックが選択されたとする。
【0038】
ユーザがネームコピーの指示(複写指示)を入力すると、制御部2は操作部3からネームコピーの指示を受けて、ネームコピー状態に移行する(つまり、ネームコピーがユーザによって選択されたと判断する)(S601)。その結果、制御部2は、RAM14内のカテゴリ記憶領域に記憶された文字データを読み出して、MDに登録する(S602)。
【0039】
図7を参照してS602の詳細を説明する。ここでは、S302で選択されたネームのカテゴリをフラグのセット有無に基づいてS701〜S703で判断して、判断したカテゴリのカテゴリ記憶領域から文字データを読み出し、読み出した文字データをネームとしてMDに登録する。本例では、アルバムネームが選択されているので、制御部2はS701およびS702でNOと判断し、S703でアルバムネームが選択されていると判断する(S703:YES)。その結果、制御部2はRAM14のアルバムネーム記憶領域204から文字データを読み出して(S708)、下記表5に示す通り、指定トラック(トラック番号2)のアルバムネームに読み出した文字データを登録する(S709)。具体的には、文字データは一旦メモリ13内にバッファされて表5の通り登録される。その後、例えば、MD取り出し時(あるいは再生状態から停止状態になった時)にメモリ13から読み出されMDに記録される(S709)。
【表5】

【0040】
なお、グループネームが選択されていれば(S701:YES)、文字データをRAM14内のグループネーム記憶領域202から読み出して(S704)、指定トラックのグループネームに文字データを登録する(S705)。アーティストネームが選択されている場合(S702:YES)、文字データをRAM14内のアーティストネーム記憶領域203から読み出して(S706)、指定トラックのアーティストネームに文字データを登録する(S707)。S703でNOと判断された場合、残るトラックネームが選択されていると判断されるので、文字データをRAM14内のトラックネーム記憶領域203から読み出して(S710)、指定トラックのトラックネームに文字データを登録する(S711)。
【0041】
以上のように、S302において選択されたネームのカテゴリに基づいて、対応するカテゴリのカテゴリ記憶領域から文字データを読み出して、当該カテゴリのネームとして文字データがMDに登録される。従って、トラック1およびトラック2に同じアルバムネームを登録する場合、トラック1についてのみアルバムネームの文字データを入力すれば、トラック2についてはアルバムネーム記憶領域に記憶されている文字データを読み出して自動的に登録されるので、再び同じアルバムネームを入力する必要がない。なお、S302において選択されたネームのカテゴリ記憶領域に文字データが記憶されていない場合、本例では、文字データの登録が禁止される。
【0042】
[ディスクネーム登録処理(ユーザによる文字入力)]
ユーザの文字入力によってMDにディスクネームを登録する処理について図8を参照して説明する。図2の場合と異なり、トラックが選択されておらず、かつ、MDが停止状態(トラックを再生していない状態)の時に、MDのディスクネームが登録される。すなわち、トラックが選択されておらず、かつ、MDが停止状態の時に、ユーザが操作部3を操作してネーム登録指示を入力すると、制御部2は操作部3からネーム登録指示を受けて、ネーム登録状態に移行する(S801)。
【0043】
ユーザが操作部3を操作して文字データ(ディスクネーム)を入力すると、制御部2は操作部3から文字データを受けて、一旦RAM14内に格納する(S802)。ユーザが全て文字データを入力したあと入力終了の指示を入力すると、制御部2は操作部3から入力終了の指示を受けて、RAM14内に格納されている文字データをRAM14内のディスクネーム記憶領域201に書き込み(S803)、かつ、MDにディスクネームを登録する(S804)。
【0044】
[ディスクネーム登録処理(コピー登録処理)]
ユーザが文字データを入力するのではなく、RAM14のディスクネーム記憶領域に記憶されている文字データを読み出して、MDに自動的に登録する処理について図9を参照して説明する。ユーザがネームコピーの指示を操作部3を介して入力すると、制御部2は操作部3からネームコピーの指示を受けて、ネームコピーがユーザによって選択されたと判断する(S901)。制御部2は、RAM14のディスクネーム記憶領域201に記憶された文字データを読み出して(S902)、MDにディスクネームとして登録する(S903)。
【0045】
以上のように、ディスクネームをMDに登録する際にも、ユーザによってネームコピーの指示が入力されると、ディスクネーム記憶領域に記憶されている文字データを読み出して、MDに登録することができる。
【0046】
以上のように、MDにネームを登録する際に、登録するネームのカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域に文字データが保存される。ネームコピーがユーザによって選択されると、登録するネームのカテゴリに対応するカテゴリ記憶領域から文字データを読み出してMDに登録する。従って、ユーザは別のトラックまたはディスクに同じネームを登録する際に、文字データを入力する必要がなく、登録操作が非常に容易になる。その上、カテゴリ毎にカテゴリ記憶領域が設けられているので、誤ったカテゴリのネームを登録してしまうことが防止される。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。ネームのカテゴリは上記のものに限定されずジャンルネーム等であってもよい。さらに、未だ登録されていないネームを登録する場合を例に説明したが、既に登録されているネームを変更または削除する場合も同様である。さらに、S302において選択されたネームのカテゴリ記憶領域に文字データが記憶されていない場合、既に登録されている文字データを消去してもよい。さらに、ユーザがネームを全て入力後にRAM内のカテゴリ記憶領域に文字データを保存するのではなく、ユーザが1文字を入力するたびにカテゴリ記憶領域に保存することもできる。さらに、制御部は、操作部および表示部を制御するシステム制御部と、それ以外の部分を制御するメカ制御部とを有していてもよい。また、上記の動作をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムという形態で提供することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、コンテンツデータに関してネーム等の識別情報を登録する様々な電子機器(例えば、Hi−MD装置、DVDレコーダ、ハードディスクレコーダ等)に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるMD装置1を示すブロック図である。
【図2】RAM14が有するカテゴリ記憶領域を説明する図である。
【図3】ディスクネーム以外のネーム登録処理(文字入力)を示すフローチャートである。
【図4】表示部4に表示される各ネームの態様を説明する図である。
【図5】文字データ登録・保存処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】ディスクネーム以外のネーム登録処理(コピー)を示すフローチャートである。
【図7】文字データ読み出し・登録処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】ディスクネームのネーム登録処理(文字入力)を示すフローチャートである。
【図9】ディスクネームのネーム登録処理(コピー)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 MD装置(識別情報登録装置)
2 制御部(制御手段、登録手段、書込手段、コンテンツ選択手
段、カテゴリ選択手段)
3 操作部(操作手段)
4 表示部(表示手段)
14 RAM(記憶デバイス、カテゴリ記憶領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツデータを記録可能な記録媒体に、該各コンテンツデータまたは該記録媒体を識別する一または複数の識別情報を登録する登録手段と、
該識別情報を記憶するための記憶デバイスと、
該登録手段が該識別情報を該記録媒体に登録する際に、該登録する識別情報を該記憶デバイスに書き込む書込手段とを備え、
複写指示が入力された場合に、該登録手段が、該書込手段によって書き込まれ該記憶デバイスに記憶されている識別情報を読み出して該記録媒体に登録する、識別情報登録装置。
【請求項2】
前記各コンテンツデータに対して、複数カテゴリの識別情報を登録可能であり、
前記記憶デバイスが、該各カテゴリの識別情報を記憶するための複数のカテゴリ記憶領域を有し、
前記書込手段が、前記登録する識別情報のカテゴリに対応する該カテゴリ記憶領域に、該登録する識別情報を書き込み、
前記登録手段が、該登録する識別情報のカテゴリに対応する該カテゴリ記憶領域から識別情報を読み出して、該記録媒体に登録する、請求項1に記載の識別情報登録装置。
【請求項3】
前記複数のコンテンツデータの中から1つのコンテンツデータを選択するコンテンツ選択手段と、
該選択されたコンテンツデータに関する識別情報を表示する表示手段と、
該表示手段が表示する識別情報のカテゴリを選択するカテゴリ選択手段とをさらに備え、
前記書込手段が、該カテゴリ選択手段が選択したカテゴリに対応する前記カテゴリ記憶領域に、前記識別情報を書き込み、
前記登録手段が、該カテゴリ選択手段が選択したカテゴリに対応する該カテゴリ記憶領域から識別情報を読み出して、前記記録媒体に登録する、請求項2に記載の識別情報登録装置。
【請求項4】
前記記憶デバイスが、前記記録媒体の識別情報を記憶するための記録媒体識別情報記憶領域をさらに有し、
前記書込手段が、該記録媒体の識別情報を、該記録媒体識別情報記憶領域に書き込み、
前記登録手段が、該記録媒体識別情報記憶領域に記憶されている識別情報を読み出して、他の記録媒体に登録する、請求項2または3に記載の識別情報登録装置。
【請求項5】
複数のコンテンツデータを記録可能な記録媒体に、各コンテンツデータまたは該記録媒体を識別する一または複数の識別情報を登録する登録ステップと、
該登録ステップにおいて該記録媒体に識別情報を登録する際に、該登録する識別情報を、該識別情報を記憶するための記憶デバイスに書き込む書込ステップとをコンピュータに実行させ、
複写指示が入力された場合に、該登録ステップにおいて、該記憶デバイスに記憶されている識別情報を読み出して、該記録媒体に登録する、識別情報登録プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−228298(P2006−228298A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38792(P2005−38792)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】