説明

負極活物質、その製造方法、該活物質を含む電極及び該電極を採用したリチウム電池

【課題】負極活物質、その製造方法、該活物質を含む電極及び該電極を採用したリチウム電池を提供する。
【解決手段】シリコン酸化物、炭化シリコン及び炭素を含むマトリックス内にシリコン粒子が分散した複合体と、複合体の表面上に形成された炭素コーティング層と、を含み、X線回折スペクトルで、Siピークに対するSiCのピークの強度比が1以上である負極活物質、その製造方法、該負極活物質それを含む負極及び該電極を採用したリチウム電池である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極活物質、その製造方法、該活物質を含む電極及び該電極を採用したリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用電子機器、通信機器などが発展するにつれ、高エネルギー密度のリチウム電池開発への必要性が高まっている。
【0003】
前記リチウム電池の負極活物質として、バナジウム、シリコン、ビスマス、ジルコニウムなどの金属酸化物が利用される。
【0004】
前記負極活物質としてシリコン酸化物を使う場合、高容量の電極を得ることができるが、寿命特性及び伝導度特性において、満足すべきレベルに逹していない。
【0005】
前記シリコン酸化物の表面に、炭素コーティング層を形成する方法が提案されたが、この方法によって得られた負極活物質の伝導度及び寿命特性が十分ではなく、改善の余地が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面は、容量及び寿命特性にすぐれる負極活物質を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の側面は、前記負極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明のさらに他の側面は、前記負極活物質を採用した負極を提供することを目的とする。
【0009】
本発明のさらに他の側面は、前記電極を採用したリチウム電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によって、シリコン酸化物、炭化シリコン及び炭素を含むマトリックス内にシリコン粒子が分散した複合体と、前記複合体の表面上に形成された炭素コーティング層と、を含み、X線回折スペクトルで、Siピークに対するSiCのピークの強度比が1以上である負極活物質が提供される。
【0011】
本発明の他の側面によって、サンプル注入部がある炭素ロッドに、シリコン及びシリコン酸化物を供給してアーク放電用負極を製造する段階と、前記アーク放電用負極及びアーク放電用正極をアーク放電させ、シリコン酸化物、炭化シリコン及び炭素を含むマトリックス内にシリコンが分散した複合体と、前記複合体の表面上に形成された炭素コーティング層とを含み、Siピークに対するSiCのピークの強度比が1以上である負極活物質の製造方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の側面によって、負極活物質を含む負極が提供される。
【0013】
本発明のさらに他の側面によって、負極活物質を含む負極を含むリチウム電池が提供される。
【0014】
前記リチウム電池の充放電を実施した後、負極活物質のX線回折測定で、Siピークに対するSiCのピークの強度比が1ないし10である。
【発明の効果】
【0015】
本発明による負極活物質を含むことによって、放電容量及び寿命特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一具現例による負極活物質の構造を概略的に示した図面である。
【図2A】一具現例による炭素ロッドの構造を示した側面図である。
【図2B】一具現例による炭素ロッドの構造を示した正面図である。
【図3】一具現例によるアーク放電装置を概略的に示した図面である。
【図4】一具現例によるリチウム電池の概路図である。
【図5】実施例1ないし4による負極活物質のX線回折分析スペクトルである。
【図6A】実施例1ないし4による負極活物質のX線蛍光分析スペクトルである。
【図6B】実施例1ないし4による負極活物質のX線蛍光分析スペクトルである。
【図7A】実施例1による負極活物質の電子走査顕微鏡写真を示したイメージである。
【図7B】実施例4による負極活物質の電子走査顕微鏡写真を示したイメージである。
【図8】実施例4による負極活物質のEDS(electron dispersion spectroscope)分析グラフである。
【図9】製作例1ないし4によるリチウム電池の充放電実験結果を示したグラフである。
【図10】製作例1によるリチウム電池の50回充放電サイクルを繰り返した後の負極活物質のX線回折分析スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、例示的な一具現例による負極活物質、その製造方法及び前記負極活物質を含む電極、前記電極を採用したリチウム電池について詳細に説明する。
【0018】
一具現例による負極活物質は、シリコン酸化物、炭化シリコン及び炭素を含むマトリックスにシリコン粒子が分散した複合体と、前記複合体の表面に形成された炭素コーティング層と、を具備する。
【0019】
図1は、本発明の一具現例による負極活物質の構造を概略的に示したものであり、これを参照しつつ、負極活物質の構造について具体的に説明する。
【0020】
負極活物質10は、炭化シリコン、シリコン酸化物及び炭素を含むマトリックス11、例えば、SiO(x=0.1〜1.2、y=0.01〜0.2)に、シリコン粒子12が分散した構造を有している複合体、そして前記複合体の表面に、炭素コーティング膜13が形成される。
【0021】
前記負極活物質の複合体は、シリコン粒子12が、炭化シリコン、シリコン酸化物及び炭素を含むマトリックス11、例えば、SiO(x=0.1〜1.2、y=0.01〜0.2)マトリックスに等しく分散された堅固な構造を有する。かような構造を有することにより、充放電反復時に、リチウムを大量に吸蔵、放出するとき、大きい体積変化が伴い、これによって粒子の破壊が起き、リチウムの吸蔵によって、導電性の微小なシリコン及びシリコン酸化物が体積膨脹することによって、導電性が低下し、リチウムイオンの電極内での移動が妨害されることをあらかじめ予防することができる。また、SiCの存在により、酸化リチウム(LiO)による初期非可逆容量を減らすことができ、導電性が改善される。
【0022】
前記複合体表面には、炭素コーティング層を具備し、導電性が付与される。
【0023】
前記負極活物質で、シリコン粒子は、リチウムを吸蔵及び放出させるとき、大きい膨脹及び収縮を示す。かような変化による応力を緩和させるために、シリコン粒子を、炭化シリコン、シリコン酸化物及び炭素を含むマトリックス内に均一に分散させる。
【0024】
前記マトリックス内に含有された炭化シリコンは、その含量がシリコン粒子100重量部を基準にして、50ないし90重量部である。
【0025】
前記炭化シリコンは、非晶質または結晶質であり、かような炭化シリコンは、シリコン酸化物及び炭素とともにマトリックスを形成し、シリコン粒子を取り囲んだり、あるいは保有する方式で、均一にシリコン活性粒子を分散させる。
【0026】
前記炭化シリコンの含量が前記範囲であるとき、導電性にすぐれる負極活物質を得ることができる。
【0027】
前記シリコン酸化物の含量は、前記シリコン粒子100重量部を基準にして、10ないし30重量部である。
【0028】
前記シリコン酸化物の含量が前記範囲であるとき、伝導度及び寿命の低下なしに、容量特性にすぐれる負極活物質を得ることができる。
【0029】
前記複合体で炭素の総含量は、シリコン粒子100重量部を基準にして、0.5ないし50重量部である。ここで、炭素の含量が前記範囲であるとき、伝導度の低下なしに、容量特性にすぐれる負極活物質を得ることができる。
【0030】
前記シリコン粒子の平均粒径は、1ないし300nmであり、例えば、2ないし50nmである。
【0031】
前記シリコン粒子の平均粒径が前記範囲であるとき、負極活物質の充放電容量の低下なしに、サイクル効率にすぐれる電池を製造することができる。
【0032】
前記シリコン粒子の平均粒径は、X線回折分析(XRD)を利用して測定する。
【0033】
Si結晶粒サイズは、Si主ピーク(main peak)の半値幅として、下記数式1のシェーラー式(Scherrer’s formula)を利用して決める。
【数1】

【0034】
前記複合体で、シリコン酸化物は、非晶質または結晶質であり、例えば、シリコン酸化物は、炭化シリコンと共にシリコンと結合され、シリコンを取り囲んだり、あるいは保有する方式で、均一にマトリックスに分散される。
【0035】
前記複合体では炭素として、黒鉛、硬質炭素、軟質炭素、無定形炭素及びアセチレンブラックのうち選択された一つ以上を使う。例えば、前記炭素では、カーボンブラックを使う。
【0036】
前記炭素コーティング層で炭素の含量は、複合体100重量部を基準にして、0.1ないし20重量部、例えば、1ないし5重量部である。炭素の含量が前記範囲であるとき、サイクル特性及び充放電容量が低下することなしに、導電性にすぐれる負極活物質を得ることができる。
【0037】
前記負極活物質でSiCを含むマトリックスに、シリコン粒子の分散した構造というのは、X線回折スペクトル(X−ray diffraction spectrum)で得られるピークで確認される。
【0038】
例えば、前記負極活物質は、X線回折スペクトルで、SiCに対するピークが、ブラッグ2θ角34ないし37゜、例えば、35.5ないし36.5゜で示される。
【0039】
前記SiCに係わるピークは、半値幅が0.1ないし1、例えば、0.3ないし0.5である。このように、半値幅が前記範囲である場合には、SiCが結晶質であり、優秀な容量及び導電性を有するということが分かる。
【0040】
前記X線回折スペクトルで、Si(111)面に係わるピークは、ブラッグ2θ角27ないし29゜、例えば、27.5ないし28.5゜で現れる。
【0041】
前記負極活物質のX線回折スペクトルで、Siピークに対するSiCのピークの強度比が1以上、例えば、1ないし10、具体的には、1.8ないし5.5である。
【0042】
前記Siピークに対するSiCのピークの強度比が前記範囲であるとき、容量特性にすぐれる負極活物質を得ることができる。
【0043】
前記負極活物質は、約2270mAh/g以上の単位重量当たり放電容量、及び1130mAh/cc以上の単位体積当たり放電容量を提供することができる。そして電気伝導度は、50S/m以下、例えば、20ないし40S/mである。ここで、前記電気伝導度は、2cm径の円筒状ホルダに負極活物質を充填し、圧力を4kN〜20kNで加え、4プローブで抵抗を測定して伝導度を求める。
【0044】
前記負極活物質は、X線蛍光分析を介して、各成分のピーク強度から、シリコン、酸素及び炭素の総含量を求めることができる。
【0045】
前記負極活物質のX線蛍光分析装置(X-ray fluorescence analyzer)を利用した分析を実施し、シリコン、酸素及び炭素の含量を把握することができる。
【0046】
前記負極活物質を利用すれば、容量及び寿命特性にすぐれ、初期効率が改善された電極及びリチウム電池を製作することができる。
【0047】
以下、前記負極活物質の製造方法について説明する。
【0048】
チャンバ圧力が2×10−1torrまでポンピングした後、HeまたはArを充填する。
【0049】
約300A、40Vほどの電流及び電圧を電極に印加し、負極・正極間のアーク放電を起こしてパウダを合成する。
【0050】
まず、図2Aに図示されているように、アーク放電用炭素ロッド(carbon rod)20に、サンプル注入部21を形成した後、このサンプル注入部21に、シリコン粒子及びシリコン酸化物を供給し、アーク放電用負極を製造する。
【0051】
前記シリコン粒子及びシリコン酸化物をサンプル注入部21に供給する方式は、特別に制限されるわけではない。例えば、炭素ロッドのサンプル注入部に、シリコン酸化物及びシリコン粒子を順次に付加したり、あるいはシリコン酸化物とシリコン粒子とを混合した後、この混合物を同時に付加するということも可能である。
【0052】
一具現例によれば、前記サンプル注入部21には、炭素ロッドに、シリコン粒子及びシリコン酸化物を供給する以前に、炭素系物質をさらに供給したりする。この炭素系物質をサンプル注入部に供給する場合には、図2Aに図示されているように、炭素系物質を炭素ロッドのサンプル注入部に先に付加する過程を経る。このように、炭素系物質を炭素ロッドのサンプル注入部に先に付加してこそ、複合体表面に炭素コーティング層が形成される。
【0053】
ここで、シリコン酸化物及びシリコン粒子を順次に付加したり、あるいはシリコン酸化物とシリコン粒子との混合物を同時に付加する方式に従ってもよい。
【0054】
前記炭素系物質としては、カーボンブラック、炭素ナノチューブ(CNT)などを使う。
【0055】
図2Bは、図2Aのアーク放電用炭素ロッドを上端から見た図面を示したものであり、サンプル注入部21の直径は、15ないし30mm、例えば、約22mmであり、炭素ロッドの直径は、20ないし35mm、例えば、約25mmである。
【0056】
前記炭素ロッド20の長さは、150ないし500mm、例えば、約300mmであり、サンプル注入部の高さa(図2A)は、150ないし300mm、例えば、約200mmである。
【0057】
炭素ロッド20の長さ並びに直径、及びサンプル注入部21の直径並びに高さが前記範囲であるとき、放電容量、伝導度特性にすぐれる負極活物質を得ることができる。
【0058】
前記炭素ロッド20は、例えば、伝導性にすぐれる黒鉛ロッド(graphite rod)を使う。このように、黒鉛ロッドを使えば、炭素ロッド20のサンプル注入部21に炭素系物質を充填しなくても、本発明の一具現例による負極活物質を得ることができる。
【0059】
図3は、本発明の一具現例によるアルゴン放電装置を概略的に示したのである。図3を参照し、炭素ロッド31を、アーク放電用負極32としてアーク放電器に装着した後、これをアーク放電用正極33と定位置にセッティングする。
【0060】
アーク放電用正極としては、Mo、Cu、Taなどからなる電極を使う。
【0061】
次に、前記アーク放電用負極32とアーク放電用正極33との間に一定距離を維持させ、アーク放電を実施し、シリコン酸化物、炭化シリコン及び炭素を含むマトリックス内に、シリコンが分散した複合体と、前記複合体の表面上に形成された炭素コーティング層とを含む負極活物質を得る。
【0062】
前記アーク放電時の電流は、200ないし400A、例えば、300Aの電流、20ないし50Vの電圧、例えば、約40Vの直流電圧である。アーク放電が、前記範囲の電流及び電圧条件で遂行されれば、金属粒子が非常に高温のアークプラズマによって、前記正極から放出され、チャンバ上側の捕集器(図示せず)ですぐ蒸発されて蒸着される。このとき、炭素ロッドから炭素粒子も共に放出され、ナノサイズの炭素粒子も蒸着される。前記正極33の表面にたまった金属、炭素粒子、炭化シリコンは、捕集器(図示せず)で収集されて負極活物質として使われる。
【0063】
前述の製造方法を利用すれば、複合体形成過程と、複合体表面への炭素コーティング層の形成過程とを同時に遂行することができるので、製造工程が非常に容易であって単純化される。
【0064】
前記負極活物質は、前述の電極材料以外に、他の一般的な負極活物質を追加して含んでもよい。前記一般的な負極活物質は、当該技術分野で、リチウム電池の負極活物質として使われるものであるならば、いずれも可能である。例えば、前記一般的な負極活物質は、リチウム金属、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素系材料からなる群から選択された一つ以上を含んでもよい。
【0065】
例えば、前記リチウムと合金可能な金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などであってもよい。前記Si−Y合金及びSn−Y合金の元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Poまたはそれらの化合物を使う。
【0066】
例えば、前記遷移金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などであってもよい。
【0067】
例えば、前記非遷移金属酸化物は、SnO、SiO(0<x<2)などであってもよい。
【0068】
前記炭素系材料としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物であってもよい。前記結晶質炭素は、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛であってもよく、前記非晶質炭素は、ソフト炭素(soft carbon:低温焼成炭素)またはハード炭素(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどであってもよい。
【0069】
例えば、前記負極は、次のように製造されもする。
【0070】
前記負極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒を混合して負極活物質組成物を製造し、これを銅集電体に直接コーティングして負極極板を製造することができる。代案としては、前記負極活物質組成物を別途の支持体上にキャスティングし、この支持体から剥離させた負極活物質フィルムを銅集電体にラミネーションさせて負極極板を製造することができる。
【0071】
負極活物質組成物で、導電剤、結合剤及び溶媒は、正極の場合と同一のものを使うことができる。場合によっては、前記負極活物質組成物に可塑剤をさらに付加し、電極板内部に気孔を形成するということも可能である。
【0072】
前記負極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使うレベルである。リチウム電池の用途及び構成によって、前記導電剤、結合剤及び溶媒のうち一つ以上が省略されもする。
【0073】
また、前記負極は、リチウム電池以外に、スーパーキャパシタなど、他の電気化学電池(electrochemical cell)に使われるために、製造方法、電極組成、電極構造などが適切に変更されもする。
【0074】
例えば、キャパシタ用電極は、伝導性基板上に金属構造体を配置し、前記金属構造体上に、前述の負極活物質組成物をコーティングして製造することができる。代案としては、前記伝導性基板上に、前述の負極活物質組成物を直接コーティングして製造することができる。
【0075】
正極活物質を含む正極は、下記方法によって製造される。
【0076】
正極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒を混合し、正極活物質組成物を準備する。前記正極活物質組成物を集電体上に直接コーティング及び乾燥させ、正極活物質層が形成された正極を製造することができる。この代案としては、前記正極活物質組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して得たフィルムを、前記アルミニウム集電体上にラミネートし、正極活物質層が形成された正極極板を製造することができる。
【0077】
また、前記正極活物質は、前述の正極活物質以外に、他の一般的な負極活物質を追加して含んでもよい。前記一般的な正極活物質としては、リチウム含有金属酸化物として、当業界で一般的に使われるものであるならば、制限なしにいずれも使われてもよい。例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組み合わせから選択される金属と、リチウムとの複合酸化物のうち1種以上のものを使うことができ、その具体的な例としては、Li1−b(前記式で、0.90≦a≦1.8、及び0≦b≦0.5である);Li1−b2−c(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2−b4−c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1−b−cCoα(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1−b−cCo2−αα(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cCo2−α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cMnα(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1−b−cMn2−αα(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cMn2−α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である。);LiNiCoMnGeO(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である。);LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である。);LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である。);LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式で、0.
90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;LiV;LiIO;LiNiVO;Li3−f(PO(0≦f≦2);Li3−fFe(PO(0≦f≦2);LiFePOのうちいずれか一つを挙げることができる。
【0078】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mnまたはそれらの組み合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、Pまたはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mnまたはそれらの組み合わせであり、Fは、F、S、Pまたはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、Vまたはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mnまたはそれらの組み合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Yまたはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cuまたはそれらの組み合わせである。
【0079】
例えば、LiCoO、LiMn2x(x=1または2)、LiNi1−xMnO2(0<x<1)、Ni1−x−yCoMn(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFePOなどである。
【0080】
もちろん、前記化合物表面にコーティング層を有するものも使うことができ、または、前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使うこともできる。このコーティング層は、コーティング元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、オキシカーボネートまたはヒドロキシカーボネートを含んでもよい。それらコーティング層を成す化合物は、非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはそれらの混合物を使うことができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にかような元素を使い、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングが可能であれば、いかなるコーティング方法を使っても差し支えなく、ここについては、当該分野に携わる当業者に周知であるので、詳しい説明は省略する。
【0081】
前記導電剤としては、炭素ブラック、黒鉛微粒子、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素ファイバ、炭素ナノチューブのような炭素系材料;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属ファイバまたは金属チューブ;ポリフェニレン誘導体のような伝導性高分子などが使われてもよいが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で導電材として使われるものであるならば、いずれも可能である。
【0082】
結合剤としては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、前述の高分子の混合物、スチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使われ、溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水などが使われてもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、技術分野で使われるものであるならば、いずれも可能である。
【0083】
前記正極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使うレベルである。
【0084】
さらに他の一具現例によるリチウム電池は、前述の負極を採用する。前記リチウム電池は、例えば、次のように製造される。
【0085】
まず、前述のように、一具現例による正極及び負極を製造する。
【0086】
次に、前記正極と負極との間に挿入されるセパレータを設ける。前記セパレータは、リチウム電池で一般的に使われるものであるならば、いずれも使用可能である。電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、電解液含湿能にすぐれるのが使われる。例えば、ガラスファイバ、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの化合物ののうち選択されたものであり、不織布形態または織布形態いずれでもよい。例えば、リチウムイオン電池には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのような巻き取り可能なセパレータが使われ、リチウムイオンポリマー電池には、有機電解液含浸能にすぐれるセパレータが使われてもよい。例えば、前記セパレータは、下記方法によって製造されもする。
【0087】
高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合し、セパレータ組成物を設ける。前記セパレータ組成物が電極上部に直接コーティング及び乾燥され、セパレータが形成される。または、前記セパレータ組成物を支持体上にキャスティング及び乾燥させた後、前記支持体から剥離させたセパレータフィルムが電極上部にラミネーションされてセパレータが形成されもする。
【0088】
前記セパレータ製造に使われる高分子樹脂は、特別に限定されるものではなく、電極板の結合材に使われる物質がいずれも使われてもよい。例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオルプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートまたはそれらの混合物などが使われてもよい。
【0089】
次に、電解質を設ける。
【0090】
例えば、前記電解質は、有機電解液であってもよい。また、前記電解質は、固体であってもよい。例えば、ボロン酸化物、リチウム酸窒化物などであってもよいが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で、固体電解質として使われるものであるならば、いずれも使用可能である。前記固体電解質は、スパッタリングなどの方法で、前記負極上に形成されもする。
【0091】
例えば、有機電解液を準備する。有機電解液は、有機溶媒にリチウム塩が溶解されて製造されもする。
【0092】
前記有機溶媒は、当該技術分野で有機溶媒として使われるものであるならば、いずれも使われる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジクルロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルまたはそれらの混合物などである。
【0093】
前記リチウム塩も、当該技術分野でリチウム塩として使われるものであるならば、いずれも使用される。例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、LiAlO、LiAlCl、LiN(CxF2x+1SO)(CyF2y+1SO)(ただし、x、yは自然数)、LiCl、LiIまたはそれらの混合物などである。
【0094】
本発明の一具現例によるリチウム電池は、充放電実施した後、負極活物質のX線回折測定で、Siピークに対するSiCの強度比が0.5ないし0.7、例えば、0.6である。このように強度比を有するということは、充放電後にシリコン粒子が壊れつつ現れるのである。
【0095】
図4を参照し、リチウム電池40は、正極43、負極42及びセパレータ44を含む。前述の正極43、負極42及びセパレータ44が巻き取られたり折り畳まれて電池ケース45に収容される。次に、前記電池ケース45に有機電解液が注入され、キャップ(cap)アセンブリ46に密封され、リチウム二次電池40が完成される。前記電池ケース45は、円筒状、角形、薄膜型などであってもよい。例えば、前記リチウム電池40は、大型薄膜型電池でもある。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池でもある。
【0096】
前記正極及び負極の間にセパレータが配置され、電池構造体が形成される。前記電池構造体がバイセル構造に積層された後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がポーチに収容されて密封されれば、リチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0097】
また、前記電池構造体は、複数個積層されて電池パックを形成し、かような電池パックが高容量及び高出力が要求されるすべての機器に使われる。例えば、ノート型パソコン、スマートホン、電気自動車などに使われる。
【0098】
また、前記リチウム電池は、高温で保存安定性、寿命特性及び高率特性にすぐれるので、電気自動車(EV:electric vehicle)に使われてもよい。例えば、プラグインハイブリッド車両(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)などのハイブリッド車にも使われる。
【0099】
前記リチウム電池は、負極活物質単位重量当たり800mAh/g以上の放電容量を提供することができる。また、前記リチウム電池は、負極活物質単位体積当たり1000mAh/cc以上の放電容量を提供することができる。
【0100】
前記電解液に使われる溶媒は、アセトニトリル、ジメチルケトン及びプロピレンカーボネートからなる群から選択された一つ以上の溶媒であってもよい。
【0101】
前記電解液は、前記溶媒に対する溶解度が0.01モル/L以上であり、前記キャパシタの作動電圧範囲で、電気的に不活性であるアルカリ金属塩を含む。例えば、過塩素酸リチウム、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムヘキサフルオロポスペートなどである。前記電解液は、キャパシタの物性を向上させるための追加的な添加剤を含んでもよい。例えば、安定剤、増粘剤などである。
【0102】
以下の実施例及び比較例を介して、例示的な具現例についてさらに詳細に説明する。ただし、実施例は、技術的思想を例示するためのものであり、それらのみによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0103】
実施例1:負極活物質の製造
直径約25mm、長さ約300mmの黒鉛ロッドに、直径が約22mm、高さ約200mmのサンプル注入部を形成し、前記サンプル注入部に、カーボンブラック30g、SiO 60g及びSi 100gを順次に充填してアーク放電用負極を製造した。
【0104】
これと別途に、アーク放電用正極としては、モリブデン(Mo)電極を使った。
【0105】
前記負極及び正極を、約300mmほどの間隔を置いて、アーク放電器に配置した後、チャンバ圧力が約2×10−1torrまでポンピングした後、アルゴンガスを充填して入れた。次に、約300Aの電流、約40Vの直流電圧を印加してアーク放電を実施し、負極活物質を製造した。
【0106】
実施例2:負極活物質の製造
アーク放電用負極製造の時、カーボンブラックの含量が20gに変わったことを除き、実施例1と同一の方法によって実施し、負極活物質を製造した。
【0107】
実施例3:負極活物質の製造
アーク放電用負極製造の時、カーボンブラックの含量が10gに変わったことを除き、実施例1と同一の方法によって実施し、負極活物質を製造した。
【0108】
実施例4:負極活物質の製造
アーク放電用負極製造の時、カーボンブラックが使われていないことを除き、実施例1と同一の方法によって実施し、負極活物質を製造した。
【0109】
製作例1:負極及びリチウム二次電池の製造
前記実施例1で製造された負極活物質、70mg、炭素導電剤(Super−P、Timcal Inc.)15mg及びバインダ(ポリアミド/イミド(PAI))15mgを15mLのN−メチルピロリドン(NMP)と共に、メノウ乳鉢で混合してスラリを製造した。前記スラリを、ドクターブレードを使って銅集電体上に約50μm厚に塗布し、常温で2時間乾燥させた後、真空、200°の条件で2時間、さらに1回乾燥させて負極を製造した。
【0110】
前記負極を使い、リチウム金属を相対電極にし、セパレータとしてポリプロピレン隔離膜(Cellgard 3510)を使い、1.3M LiPFが、エチレンカーボネート(EC)+ジエチルカーボネート(DEC)(3:7重量比)に溶解されている溶液を電解質として使い、CR−2016規格のコインセルを製造した。
【0111】
製作例2ないし4
前記実施例1で製造された負極酸化物の代わりに、実施例2ないし4によって製造された負極酸化物を使ったことを除き、前記製作例1と同一の方法で製造した。
【0112】
評価例1:X線回折分析
前記実施例1ないし4で製造された負極活物質に対して、X線回折(X−ray diffraction)分析を行い、その結果を図5に示した。図5には、実施例1ないし4による負極活物質のXRDピークとの比較のために、Si(111)面のピークと、SiC(111)面のピークとをレファレンスとして共に示した。
【0113】
前記X線回折分析時、CuKアルファ特性X線波長1.541Åを使用し、X線回折分析器としては、XPERT−PRO(フィリップス)を使った。
【0114】
図5に表示されるX線回折スペクトル(X−ray diffraction spectrum)で、Si(111)面に係わるピークが、ブラッグ2θ角約28゜で現れ、SiC(111)面に係わるピークが、ブラッグ2θ角約36θ゜で現れた。そして、ブラッグ2θ角約47゜で現れるピークは、Siに該当し、ブラッグ2θ角約56゜で現れるピークは、Siに該当し、ブラッグ2θ角約60゜で現れるピークは、SiCに該当する。
【0115】
前記実施例1ないし4の負極活物質で、Si(111)面のピークに対するSiC(111)面のピークの強度比及びSiC(111)面ピークの半値幅は、下記表1の通りである。
【表1】

【0116】
評価例2:蛍光X線分析(XRF)
前記実施例1ないし4で製造された負極活物質に対して、X線蛍光分析実験を行い、その結果を、図6A及び図6Bに示した。図6Aは、シリコンに係わるものであり、図6Bは、酸素に係わるものである。
【0117】
前記X線蛍光分析実験時使われる機器は、WD−XRF(Philips PW2400)である。
【0118】
前記図6A及び図6Bに図示された各グラフのシリコン及び酸素に該当するピークの強度比を利用してスタンダードサンプルに対する検量線(calibration curve)を利用し、シリコン、酸素及び炭素の含量を把握することができる。実施例1ないし4による負極活物質で、シリコン、酸素及び炭素の含量を示せば、表2の通りである。
【表2】

【0119】
評価例3:電子走査顕微鏡分析
前記実施例1及び4による負極活物質の電子走査顕微鏡写真を、それぞれ図7A及び図7Bに示した。図7S及び図7Bは、それぞれ約30,000倍拡大したものである。
【0120】
評価例4:EDS(energy dispersion spectroscope)分析
前記実施例1による負極活物質のEDS分析を実施し、その結果を図8に示した。
【0121】
図8を参照すれば、Si、O、Cの存在及び含量を確認することができ、前記Cは、複合体の内部及び複合体の表面に存在する炭素コーティング層の炭素であると判断された。
【0122】
評価例5:充放電実験
前記製作例1ないし4によって製造されたリチウム電池に対して、負極活物質1g当たり100mAの電流で、電圧が0.001V(vs.Li)に至るまで充電し、再び同一の電流で、電圧が3V(vs.Li)に至るまで放電した。次に、同一の電流区間及び電圧区間で、充電及び放電を50回繰り返した。
【0123】
製作例1ないし4のリチウム電池に対する最初のサイクルでの充放電結果を図9に示した。
【0124】
前記実施例1ないし4によるリチウム電池の最初のサイクルでの放電容量、初期充放電効率及び容量維持率を、下記表3に示した。容量維持率は、下記式2で定義され、初期充放電効率は、下記式3で定義される。
【0125】
[数2]
容量維持率[%]=[50回目のサイクル放電容量/2回目のサイクル放電容量]×100
[数3]
初期充放電効率[%]=[最初のサイクル放電容量/最初のサイクル充電容量]×100
【表3】

【0126】
前記図9及び表3から分かるように、製作例1ないし4のリチウム電池は、放電容量、初期効率及び容量維持率が非常にすぐれている。
【0127】
評価例6:充放電の後、X線回折実験
前記製作例1によって製造されたリチウム電池に対して、負極活物質1g当たり100mAの電流で、電圧が0.001V(vs.Li)に至るまで充電し、さらに同一の電流で、電圧が3V(vs.Li)に至るまで放電した。次に、同一の電流区間及び電圧区間で、充電及び放電を50回繰り返した。
【0128】
前記コインセルを解体し、負極活物質のみを収集してXRD分析を実施し、その結果を図10に示した。
【0129】
図10を参照すれば、充放電の後にもSiCピークが観察され、Siピークに対するSiCのピークの強度比が、約0.6であるということが分かった。
【0130】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、それらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲内で、さまざまに変形して実施することが可能であり、それらも本発明の範囲に属するということは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明の負極活物質、その製造方法、該活物質を含む電極及び該電極を採用したリチウム電池は、例えば、電源関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0132】
10 負極活物質
11 マトリックス
12 シリコン粒子
13 炭素コーティング膜
20 炭素ロッド
21 サンプル注入部
31 炭素ロッド
32 アーク放電用負極
33 アーク放電用正極
40 リチウム電池
42 負極
43 正極
44 セパレータ
45 電池ケース
46 キャップアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン酸化物、炭化シリコン及び炭素を含むマトリックス内にシリコン粒子が分散した複合体と、
前記複合体の表面上に形成された炭素コーティング層と、を含み、
X線回折スペクトルで、Siピークに対するSiCのピークの強度比が1以上である負極活物質。
【請求項2】
前記負極活物質のX線回折スペクトルで、SiCピークの半値幅が、0.1ないし1゜であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項3】
前記負極活物質のX線回折スペクトルで、SiCのピークが、
ブラッグ2θ角34ないし37゜で現れることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項4】
前記負極活物質のX線回折スペクトルで、Siピークに対するSiCピークの強度比が、
1ないし10であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項5】
前記負極活物質のX線蛍光分析で、
シリコンの含量は、45ないし65重量%であり、
酸素の含量は、10ないし23重量%であり、
炭素の含量は、12ないし45重量%であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項6】
前記負極活物質でシリコン酸化物の含量は、
シリコン粒子100重量部を基準にして、10ないし30重量部であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項7】
前記負極活物質で炭化シリコンの含量は、
シリコン粒子100重量部を基準にして、50ないし90重量部であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項8】
前記負極活物質の炭素コーティング層で炭素の含量は、
複合体100重量部を基準にして、0.1ないし20重量部であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項9】
前記シリコン粒子の平均粒径が、
1ないし300nmであることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
【請求項10】
炭素ロッドに、シリコン粒子及びシリコン酸化物を供給してアーク放電用負極を製造する段階と、
前記アーク放電用負極及びアーク放電用正極をアーク放電させる段階と、を含み、
シリコン酸化物、炭化シリコン及び炭素を含むマトリックス内にシリコン粒子が分散した複合体と、前記複合体の表面上に形成された炭素コーティング層と、を含み、
X線回折スペクトルで、Siピークに対するSiCのピークの強度比が1以上である負極活物質を得る負極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記炭素ロッドに、シリコン粒子及びシリコン酸化物を供給する以前に、炭素系物質をさらに供給することを特徴とする請求項10に記載の負極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記炭素系物質の含量は、
前記シリコン粒子100重量部を基準にして、0.5ないし50重量部であることを特徴とする請求項11に記載の負極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記アーク放電は、
カーボンロッド、負極及び正極の中から選択された一つ以上に、20ないし50Vの直流電圧を印加して実施することを特徴とする請求項10に記載の負極活物質の製造方法。
【請求項14】
前記炭化シリコンの含量は、
前記シリコン粒子100重量部を基準にして、50ないし90重量部であることを特徴とする請求項10に記載の負極活物質の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の負極活物質を含む負極。
【請求項16】
請求項15に記載の負極活物質を含む負極を含むリチウム電池。
【請求項17】
前記リチウム電池の充放電を実施した後、負極活物質のX線回折測定で、Siピークに対するSiCの強度比が0.5ないし0.7であることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2013−101931(P2013−101931A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244511(P2012−244511)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【氏名又は名称原語表記】Samsung SDI Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】428−5,Gongse−dong,Giheung−gu,Yongin−si,Gyeonggi−do 446−577 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】