説明

貼り合わされた板の剥離方法

【課題】粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板をこれらに破損や割れを生じさせることなく剥離することができる、板の剥離方法の提供。
【解決手段】粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板5,6を剥離する方法であって、前記2枚の板を相対的に平行移動させることで、前記2枚の板の少なくとも一方が薄厚で柔軟性に乏しい板であっても、その板に破損や割れに至る大きな歪み(変形)が生じるような力(負荷)が実質的に加わることなく、前記粘着シート又は硬化性樹脂層に破断に至るせん断応力を生じせしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板をこれらに破損や割れを生じさせることなく、再利用可能に剥離することができる、板の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイでは、何らかの衝撃が加わった場合に、その衝撃が表示パネルに伝わらないように、表示パネルと、この表示パネルを保護するアクリル板やガラス板等の透明板を含む保護パネルとは、一定の間隙を介して設けられている。
【0003】
しかしながら、通常、この間隙は、空気層であるため、上記の表示パネルや保護パネルを構成する材料とこの空気層との屈折率の差に起因する光の反射損失が大きく、良好な視認性が得られないという問題点を有している。
【0004】
そこで、例えば、液晶ディスプレイにおいて、液晶パネルと保護パネルの隙間(空気層)を無くすために、アクリル系粘着剤からなる透明粘着シート(例えば、アクリル酸エステル共重合体をエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系あるいは金属化合物系の架橋剤で架橋させたものや紫外線硬化型のアクリル系粘着剤等をシート状に加工したもの)を介して液晶パネルと保護用の透明板を貼り合わせる技術が知られている(特許文献1)。また、同様の目的で、特定の可塑度を有するポリオルガノシロキサン組成物からなる粘着剤(シリコーン系粘着剤)をシート状に加工したものを使用することも提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、上記のように、液晶ディスプレイにおける液晶パネルに透明粘着シートを介して保護透明板を貼り合わせる場合、液晶パネルと保護透明板を、位置ズレがなく、しかも、液晶パネル及び保護透明板と両面粘着シートとの間にディスプレイの視認性を低下させる光の反射損失の原因となる気泡を存在させることなく貼り合わせることは容易でなく、このような不具合を完全に無くすことはできない。また、貼り合わせの際に肉眼で気泡を巻き込むことなく貼り合わすことができても、粘着シートに内包されていた微小な気泡成分が経時的に粘着シートと表示パネル又は保護透明板との境界に移行して、光の反射損失の原因となる気泡になり、ディスプレイの視認性を低下させてしまう場合もある。したがって、シリコーン系やアクリル系の透明粘着シートは保護透明板や液晶パネルに一旦接着すると剥離が困難であるため、上記のような不具合が生じると、高価な表示パネル及び保護透明板を廃棄しなければならない。そこで、本願の出願人は、このような問題点に鑑みて、貼り合わせのやり直しができる再剥離性に優れる透明粘着シートとして、ポリオキシアルキレン系粘着シートを提案した(特許文献3)。ところが、携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、カーナビゲーションシステム等の可搬型表示機能付機器は、近年、目覚ましいスピードで薄型化が進んでおり、それに搭載される液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの厚みもより薄くすることが必要になってきている。このため、例えば、かかる可搬型表示機能付機器に組み込まれるフラットパネルディスプレイの表示パネルはより一層薄く設計され、また、表示パネルの保護用透明板も、例えば、ガラス板の場合は1.0mmよりもさらに薄い厚みの板が検討されている。しかし、このような薄厚の表示パネルとその保護用透明板を上述のポリオキシアルキレン系粘着シートを介して貼り合わせた場合は、表示パネル及び保護用透明板は柔軟性に乏しいため、これらに破損や割れを生じさせることなく再剥離することができない。また、可搬型表示機能付機器に搭載するフラットパネルディスプレイにおいては、その表示パネルにタッチパネルが付設されることがあるが、タッチパネルの操作板である透明電極付きガラス板に透明両面粘着シートを介して保護用透明板を貼り合わせることも検討されているが、この場合も、透明電極付きガラス板と保護用透明板をこれらに破損や割れを生じさせることなく再剥離することができない(再利用可能に剥離することができない)という問題が生じている。また、近時において、熱や紫外線で硬化するアクリル系、ウレタンアクリレート系、シリコーン系等の高透明性の硬化性樹脂層を表示パネルと保護用透明板の間に充填形成して両者間を接着一体化することも提案されているが、このような熱や紫外線で硬化するアクリル系、ウレタンアクリレート系、シリコーン系の硬化性樹脂層も表示パネルと保護用透明板に対して比較的高い接着力で固着するため、表示パネルと薄い厚みの保護用透明板の接着(貼り合わせ)のやり直しが必要になったときに、破損や割れを生じさせることなく保護用透明板を再剥離することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-348546号公報
【特許文献2】特開2004-212521号公報
【特許文献3】特開2008-266473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板をこれらに破損や割れを生じさせることなく剥離することができる、板の剥離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討した結果、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を相対的に平行移動させることにより、粘着シート又は硬化性樹脂層に破断に至るせん断応力が発生し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を剥離する方法であって、前記2枚の板を相対的に平行移動させることで、前記粘着シート又は硬化性樹脂層に破断に至るせん断応力を生じせしめることを特徴とする、板の剥離方法、
(2)粘着シート又は硬化性樹脂層における一方の板への接着面内と他方の板への接着面内に特定した互い平行な仮想直線がねじれ位置の関係となるように、2枚の板の少なくとも一方を移動させる、上記(1)の方法、
(3)粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板のいずれか一方の板を固定し、いずれか他方の板の外面に操作板の一部を固着させ、該操作板の固着部付近を軸として該操作板とともに前記他方の板を前記粘着シート又は硬化性樹脂層の厚み方向と直交する平面内にて回転移動させることにより、前記粘着シート又は硬化性樹脂層を破断せしめる、上記(1)の方法、
(4)粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板をそれぞれ可動可能に保持し、少なくとも一方の板を前記粘着シート又は硬化性樹脂層の厚み方向と直交する平面内にて回転移動させることにより、前記粘着シート又は硬化性樹脂層を破断せしめる、上記(1)の方法、
(5)2枚の板が光学板であり、粘着シートが透明粘着シートである、上記(1)〜(4)のいずれかの方法、
(6)2枚の光学板の一方がフラットパネルディスプレイの表示パネルであり、他方が前記表示パネルを保護する保護用透明板である、上記(5)の方法、
(7)2枚の光学板の一方がフラットパネルディスプレイの表示パネルであり、他方がタッチパネルの透明電極付きガラス板である、上記(5)の方法、及び
(8)上記(1)〜(4)のいずれかの方法によって、その両主面に接着された2枚の板の剥離が成され得る、粘着シート、に関する。
【0010】
本明細書において、フラットパネルディスプレイにおける、表示パネル、該表示パネルに隣接して配置される保護透明板、該表示パネルと該保護透明板との間に挿入されるタッチパネル及び該タッチパネルの構成部材等のフラットパネルディスプレイの表示面側に配設される板状光学部材を総称して「光学板」と呼ぶこととする。また、本明細書中、「フラットパネルディスプレイ」とは、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機又は無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、表面電解ディスプレイ(SED)等を含む概念である。
【0011】
本発明の板の剥離方法によれば、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を相対的に平行移動させるだけで、2枚の板を剥離することができるので、2枚の板の少なくとも一方が薄厚で柔軟性に乏しい板であっても、その板に破損や割れに至る大きな歪み(変形)が生じるような力(負荷)が実質的に加わることなく、2枚の板を剥離することができる。
【0012】
従って、例えば、フラットパネルディスプレイの表示面側に配設される、透明粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の光学板(例えば、表示パネルと保護透明板、表示パネルとタッチパネルの透明電極付きガラス板、タッチパネルの透明電極付きガラス板と保護透明板等)は薄厚で柔軟性に乏しい板状部材であるが、本発明方法によって、それら2枚の光学板を破損や割れを生じさせることなく剥離することができる。従って、透明粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の光学板の貼り合わせのやり直しが必要なときに、2枚の光学板を剥離して貼り合わせのやり直しが行なえるので、フラットパネルディスプレイを搭載する表示機能付機器の製造コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を、その2枚の板の少なくとも一方が薄厚で柔軟性に乏しい板であっても、その板に破損や割れに至る大きな歪み(変形)が生じるような力(負荷)が実質的に加わることなく、剥離することができる。特に、フラットパネルディスプレイの表示面側に配設される、透明粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の光学板(例えば、表示パネルと保護透明板、表示パネルとタッチパネルの透明電極付きガラス板、タッチパネルの透明電極付きガラス板と保護透明板等)は薄厚で柔軟性に乏しいが、本発明方法を採用すればそれら2枚の光学板を破損や割れを生じさせることなく剥離することができる。従って、本発明はフラットパネルディスプレイやそれを搭載する表示機能付機器の分野において、特に有利に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一例の板の剥離方法において、貼付積板が固定台に固定された状態を模式的に示した平面図(図(a))と断面図(図(b))である。
【図2】本発明の一例の板の剥離方法において、貼付積板に操作板が固定される状態を模式的に示した平面図(図(a))と貼付積板に操作板が固定された状態を模式的に示した断面図(図(b))である。
【図3】本発明の一例の板の剥離方法において、貼付積板に操作板が固定された状態を模式的に示した平面図である。
【図4】本発明の一例の板の剥離方法において、貼付積板に固定した操作板をその貼付積板との固着部付近を軸とする回転方向へ移動させている状態を模式的に示した平面図である。
【図5】本発明の一例の板の剥離方法において、貼付積板から2枚の板が剥離された直後の、一方の板が固着した固定板の状態を模式的に示した平面図(図(a))と断面図(図(b))、他方の板が固着した操作板の状態を模式的に示した平面図(図(c))である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
本発明の板の剥離方法(以下、「本発明方法」とも略称する。)は、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を相対的に平行移動させて、粘着シート又は硬化性樹脂層に破断に至るせん断応力を生じせしめることが特徴である。
【0016】
ここで、2枚の板を相対的に平行移動させるとは、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板の対向する面の離間距離を実質的に一定に保ったまま、2枚の板の少なくとも一方を移動させることであり、特に、粘着シート又は硬化性樹脂層における一方の板への接着面内と他方の板への接着面内に特定した互い平行な仮想直線がねじれ位置の関係となるように、2枚の板の少なくとも一方を移動させることにより、容易に、粘着シート又は硬化性樹脂層に破断に至るせん断応力を生じせしめることができる。
【0017】
通常、粘着シートはそれをその厚み方向に変形させる力(負荷)が加わっても簡単に破断せず、また、粘着シートをその厚み方向と直交する方向に直線点に引っ張って引張応力を発生させても簡単に破断しない。しかし、本発明者等は、粘着シートの一方の主面側と他方の主面側がねじれるように、すなわち、粘着シートにおける一方の板への接着面内と他方の板への接着面内に特定した互い平行な仮想直線がねじれ位置の関係となるように、2枚の板を相対的に平行移動させると、容易に粘着シートに破断せん断応力が発生して、粘着シートがその厚み方向において2つに分断し、2枚の板が剥離されることを見出したものである。また、アクリル系やウレタンアクリレート系、シリコーン系の硬化性樹脂層においても、これらよって貼り合わされた2枚の板を相対的に平行移動させると、硬化性樹脂層も容易に破断し得ることを見出した。
【0018】
本発明方法では、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を相対的に平行移動させるだけで、粘着シート又は硬化性樹脂層が破断して、2枚の板が剥離されるので、2枚の板に対して板の厚み方向に大きな変形(歪み)が生じるような力(負荷)が実質的に加わることなく、板が薄厚で比較的剛性が高く、外力を受けることで割れや破損が生じやすい板であっても、割れや破損を生じさせることなく、板を剥離することができる。
【0019】
図1〜4は本発明の一例の板の剥離方法を模式的に示した図である。かかる一例の方法では、先ず、図1(a)、(b)に示されるように、粘着シート3を介して2枚の板1、2が貼り合わされた貼付積板(剥離対象物)10を固定台5上に熱剥離性両面粘着シート4を介して固着した後(すなわち、固定台5に貼付積板10の一方の板2を熱剥離性両面粘着シート4を介して固定台5上に固着した後)、貼付積板10の固定台5側とは反対側の板(他方の板)1に操作板6の一端側の一部を熱剥離性両面粘着シート7を介して固着させる(図2(a)、(b))。図3はかかる貼付積板10の板1に操作板6を固着させた状態の平面図である。この後、図4に示すように、操作板6の貼付積板10との固着部付近を一方の手で押圧し、操作板6の貼付積板10との固着部とは反対側(他方の端部側)に他方の手を沿えて、操作板6の貼付積板10との固着部付近(手による押圧部)を軸とする回転方向(図中の矢印方向)に操作板6を移動させると、粘着シート3は一方の主面側と他方の主面側がねじれるように変形してせん断応力を発生し、操作板6の移動角度(回転角度)が一定角度を超えると(すなわち、粘着シート3の一方の板2への接着面内と他方の板1への接着面内に特定した互い平行な仮想直線のねじれ角度が一定の角度を超えると)、粘着シート3が破断して、固定台5上に貼付積板10の一方の板2が固着し(図5(a)、(b))、操作板6の裏面6aに他方の板1が固着した状態(図5(c))に2枚の板が剥離される。この後、2枚の板1、2に貼付されている熱剥離性両面粘着シート4、7をそれぞれ加熱することで板から剥離し、板1、2に付着した粘着シート3の残存物3’を溶剤で洗浄除去することで、2枚の板1、2が再使用可能に再生される。
【0020】
このように当該一例の方法では、固定台に粘着シートを介して貼り合わされた2枚の板のいずれか一方の板を固定し、いずれか他方の板に操作板を固着することで、人間の手による操作板の操作(操作板の固着部付近を軸として操作板とともに他方の板を粘着シートの主面と平行な平面内で回転移動させる操作)によって、簡単に粘着シートに破断に至るせん断応力を生じせしめることができ、板を再利用可能に剥離することができる。
【0021】
上記の貼付積板10の固定台5及び操作板6への固定(固着)に使用した熱剥離性両面粘着シート4、7は、支持基材の両面に、加圧により接着し、接着後に熱を加えることで再剥離性が発現する剥離性感圧接着剤による感圧接着層を形成した両面粘着シートであり、かかる熱剥離性両面粘着シートは公知のものを制限なく使用することができる。好適なものとして、例えば、特開平5-043851号公報、特開平2-305878号公報、特開昭63-33487号公報等に記載のものをあげることができる。なお、熱剥離性両面粘着シートの破断せん断応力が貼付積板10中の粘着シート3の破断せん断応力よりも小さい場合、先に熱剥離性両面粘着シート4、7が破断してしまうので、熱剥離性両面粘着シート4、7には貼付積板10中の粘着シート3の破断せん断応力よりも大きいものを選択することが必要である。通常、熱剥離性両面粘着シートは支持基材を有するので、その破断せん断応力は貼付積板10中の粘着シート3の破断せん断応力よりも大きい。
【0022】
図1〜4に示す一例の方法では、貼付積板10の固定台5及び操作板6への固定(固着)に熱剥離性両面粘着シート4、7を使用したが、熱剥離性両面粘着シート4の代わりに吸着機構を備えた固定台を使用し、貼付積板10を固定台5に吸着により固定することもできる。また、操作板6を使用せず、吸着盤を備えたチャッキング装置等によって貼付積板10の固定台5側とは反対側の板1を直接吸着して可動可能に保持し、粘着シート3にせん断応力が発生するように板1を回転移動させるようにしてもよい。また、熱剥離性両面粘着シート4、7に代えて、加圧により接着し、接着後、紫外線照射によって硬化して再剥離性が発現する剥離性感圧接着剤(アクリル系、ウレタン系等の接着剤)による感圧接着層を支持基材の両面に形成した紫外線硬化型剥離性両面粘着シートや、摩擦抵抗の高いゴムシート等を使用することもでき、本発明方法において、板の剥離作業を行なう際の貼付積板(剥離対象物)を固定(固着)する手段は特に限定されない。
【0023】
さらに、工業的に本発明方法を実施する場合、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を、それぞれ、吸着盤を備えた、回転運動可能なチャッキング装置等によって可動可能に保持して、2枚の板の少なくとも一方の板を前記粘着シートの厚み方向と直交する平面内にて回転移動させることにより、前記粘着シートを破断せしめるようにしてもよい。かかる実施態様であれば、板の剥離作業を高速かつ連続的に行なうことができる。
【0024】
本発明方法における剥離対象物である、2枚の板としては、ガラス板、金属板、プラスチック板等の種々の材料からなる板(板状物)が挙げられ、特に限定されない。しかし、柔軟性に富む板は、そもそも、本発明方法を適用しなくても、割れや破損を生じることなく剥離でき、また、本発明方法において剥離対象である板が変形すると、粘着シートが破断し得るせん断応力を発生させることができなくなる。よって、プラスチック板の場合、通常、ヤング率が概ね1.5GPa以上の比較的剛性の高いプラスチック材料からなる板が対象である。また、板の厚みが薄くなると、比較的剛性の高いプラスチック板は割れや破損を生じやすくなるので、厚みが5mm以下のプラスチック板である場合、本発明方法は特に有効である。金属板は通常厚みが薄くても割れや破損を生じにくいが、本発明方法は簡単な操作で両面粘着シートから板を剥離できるので、剥離対象の板が金属板である場合も有効な方法である。一方、ガラス板は柔軟性に乏しく、厚みが薄くなると割れや破損を生じやすくなるので、本発明方法は剥離対象の板がガラス板である場合に特に有効であり、後述の実施例に示されるように、厚みが1mm以下のガラス板であっても、割れや破損が生じることなく、粘着シートからガラス板を剥離することができる。なお、例えば、液晶ディスプレイの液晶パネルは、通常、偏光板(偏光フィルタ)/透明板(ガラス板、プラスチック板)/透明電極に挟まれた液晶材料/透明板(ガラス板、プラスチック板)/偏光板(偏光フィルタ)の順に積層されたパネル体であり、タッチパネルは透明電極を有するガラス板/接着層/透明電極の順に積層されたパネル体であり、液晶パネルを保護する保護透明板は、組み立てられた液晶パネルの偏光板(偏光フィルタ)に対して透明粘着シートを介して貼り合わせられるか、液晶パネルを組み立てる前の偏光板(偏光フィルタ)に対して透明粘着シートを介して貼り合わせられ、また、タッチパネルを保護する保護透明板は、組み立てられたタッチパネルの透明電極を有するガラス板に対して透明粘着シートを介して貼り合わせられるか、タッチパネルを組み立てる前の透明電極を有するガラス板に対して透明粘着シートを介して貼り合わせられる。
【0025】
本発明において、「粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板(貼付積板)」とは、板/粘着シート/板の積層構成からなる積層物品だけでなく、機器や装置における板/粘着シート/板の積層構成からなる積層構造部も含む概念である。すなわち、機器や装置における板/粘着シート/板の積層構成からなる積層構造部の一方の板が露出した状態にあれば、本発明方法を実施することができる。この場合、例えば、露出した一方の板に操作板を固定(固着)するか、或いは、露出した一方の板を吸着盤を備えたチャッキング装置で直接吸着保持し、該一方の板を粘着シートの厚み方向と直交する平面内にて移動させることにより、2枚の板を割れや破損を生じさせることなく剥離することができる。
【0026】
前述の背景技術の欄で説明したように、近時、携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、カーナビゲーションシステム等の可搬型表示機能付機器に搭載される液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの厚みはより薄くすることが必要になり、フラットパネルディスプレイの表示パネルはより一層薄く設計され、表示パネルを保護する保護用透明板、表示パネルと保護用透明板との間に挿入されるタッチパネル等もより薄厚になってきている。そして、このようなフラットパネルディスプレイの表示面側に配設される光学板には、ガラス板や比較的剛性が高い透明プラスチック板が使用され、隣接する2枚の光学板が透明粘着シートを介して貼り合わされる。また、近時において、熱や紫外線で硬化するアクリル系やシリコーン系の高透明性の硬化性樹脂層を表示パネルと保護用透明板の間に充填形成して両者間を接着一体化することも提案されているが、このような熱や紫外線で硬化するアクリル系、ウレタンアクリレート系、シリコーン系等の硬化性樹脂層も表示パネルと保護透明板に対して比較的高い接着力で固着するため、表示パネルと薄い厚みの保護用透明板の接着(貼り合わせ)のやり直しが必要になったとき、破損や割れを生じさせることなく保護用透明板を再剥離することは困難である。従って、本発明方法は、このような透明粘着シート又は高透明性の硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の光学板を剥離する場合に特に有効である。すなわち、透明粘着シート又は高透明性の硬化性樹脂層を(熱や紫外線で硬化するアクリル系、ウレタンアクリレート系、シリコーン系等の硬化性樹脂層)を介して貼り合わされた2枚の光学板(例えば、表示パネルと保護用透明板、表示パネルとタッチパネルの透明電極付きガラス板、タッチパネルの透明電極付きガラス板と保護用透明板等)において、透明粘着シート又は高い透明性の硬化性樹脂層と光学板の位置ズレや、透明粘着シート又は高透明性の硬化性樹脂層と光学板の境界に気泡が生じ、貼り合わせのやり直しが必要になったときに、2枚の光学板を割れや破損を生じさせることなく、透明粘着シート又は高透明性の硬化性樹脂層から剥離することができ、高価な光学板を再利用することが可能になる。
【0027】
本発明方法での剥離対象であるフラットパネルディスプレイにおける保護用透明板としては、ガラス板、透明プラスチック板が挙げられるが、透明プラスチック板としては、(メタ)アクリル樹脂(例えば、PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック板が挙げられ、その厚みは0.01〜5mm程度である。また、ガラス板にはソーダガラス板、ホウケイ酸ガラス板、無アルカリガラス板等が挙げられ、厚みは0.01〜5mm程度である。
【0028】
また、タッチパネルの透明電極を有するガラス板には、ソーダガラス板、ホウケイ酸ガラス板、無アルカリガラス板等が挙げられ、厚みは0.01〜5mm程度である。
【0029】
本発明において、「粘着シート」とは、種々の分野の装置や機器において、金属板、プラスチック板等の貼り合わせに使用されているアクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の公知の感圧性粘着剤によるシート状物である。厚みは特に限定されないが、概ね10〜1000μmである。
【0030】
また、本発明において、「透明粘着シート」とは、透明性が高い粘着剤組成物からなる両面粘着シートであり、特に2枚の光学板の貼り合わせに使用されるものである。2枚の光学板間の接着強度及びフラットパネルディスプレイの薄型化の点から、通常、20〜250μm程度の厚みで使用される。
【0031】
当該透明粘着シートとしては、光学用途に使用される公知の透明粘着シートを挙げることができ、特に好ましいものとして、アクリル系、シリコーン系等の透明粘着シートや、本願の出願人が特開2008-266473号公報にて提案したポリオキシアルキレン系透明粘着シートが挙げられる。
【0032】
[アクリル系透明粘着シート]
アクリル系透明粘着シートとしては、具体的には、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤からなる粘着シートが挙げられる(ここで、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。)。
【0033】
アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度のものであり、アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独または組み合わせて使用される。中でもアルキル基の炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートが好ましいものである。
【0034】
アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、1種類以上の各種モノマーが共重合により導入される。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。また、窒素含有ビニルモノマーが挙げられ、例えば、マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド;N−アクリロイルモルホリン;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマーなどが挙げられる。
【0035】
さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども挙げられる。
【0036】
これらの中でも、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合に、イソシアネート基との反応性が良好である点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好適である。また、液晶パネルや保護透明板への接着性、接着耐久性の点から、アクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーが好適であり、特に好ましくはアクリル酸である。
【0037】
アクリル系ポリマー中の共重合モノマーの割合は、重量比率において、0.1〜10重量%程度であるのが好ましい。
【0038】
アクリル系ポリマーの平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量は、一般に30万〜250万程度である。
【0039】
アクリル系ポリマーは各種公知の手法により製造され、たとえば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用できる。反応温度は通常50〜80℃程度、反応時間は1〜8時間とされる。
【0040】
アクリル系粘着剤にはベースポリマーに加えて架橋剤を含有することができ、架橋剤により、光学板との密着性や耐久性を向上でき、また高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持を図ることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、過酸化物系、金属キレート系、オキサゾリン系などの公知の架橋剤を適宜に使用可能である。これら架橋剤は1種を、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.02〜3重量部である。架橋剤の使用割合が、10重量部を超えると架橋が進みすぎて接着性が低下するおそれがある点で好ましくない。
【0041】
前記粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を適宜に使用することもできる。
【0042】
粘着シートの製造方法は、特に制限されず、例えば、ベースポリマーの主骨格用モノマーと共重合用モノマーにラジカル重合開始剤、架橋剤等を配合してなる光重合性組成物を、離型シートの剥離処理面上に所定厚みの塗膜となるように塗布し、その上に離型シートの剥離処理面を貼り合わせ、これに紫外線を照射して重合反応を進行させることにより粘着シートを形成する方法が挙げられる。
【0043】
[シリコーン系透明粘着シート]
シリコーン系透明粘着シートとしては、特に限定されず、例えば、特開2004-212521号公報などに記載されているポリオルガノシロキサン組成物等による公知のシリコーン系透明粘着シートが挙げられる。
【0044】
[ポリオキシアルキレン系透明粘着シート]
ポリオキシアルキレン系透明粘着シートとしては、下記A〜C成分を含む組成物を硬化せしめた硬化物よりなる透明粘着シートが挙げられる。
【0045】
A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を含有する化合物
C:ヒドロシリル化触媒
【0046】
主体成分であるA成分の「1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体」は、好適には、重合体の主鎖が、下記の一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものである。
【0047】
一般式(1):−R−O−
(式中、Rはアルキレン基である。)
【0048】
は、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましい。
【0049】
一般式(1)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CHO−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH(C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。重合体の主鎖にはオキシアルキレン基(一般式(1)で示される繰り返し単位)以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中のオキシアルキレン単位の総和は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
【0050】
A成分の重合体は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、それらの混合物であってもよいが、良好な粘着性を得るために、直鎖状の重合体を50重量%以上含有していることが好ましい。
【0051】
A成分の重合体の分子量としては、数平均分子量で500〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましい。また、A成分の重合体は、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.6以下である分子量の分布が比較的狭いものが好ましく、Mw/Mnが1.6以下である重合体は、組成物の粘度が低くなり、作業性が向上する。Mw/Mnは、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.4以下である。ここでいう、Mw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求められる値のことである。
【0052】
A成分の重合体(1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)において、アルケニル基は特に制限はないが、下記の一般式(2)で示されるアルケニル基が好適である。
【0053】
一般式(2):HC=C(R)−
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
【0054】
アルケニル基のポリオキシアルキレン系重合体への結合様式は、特に制限はないが、例えば、アルケニル基の直接結合、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
【0055】
当該A成分の重合体の具体例としては、
一般式(3):{HC=C(R3a)−R4a−O}a5a
(式中、R3aは水素原子又はメチル基、R4aは炭素数1〜20の2価の炭化水素基であって、1個以上のエーテル基が含まれていてもよい、R5aはポリオキシアルキレン系重合体残基であり、aは正の整数である。)
で示される重合体が挙げられる。式中のR4aは、具体的には、−CH−、−CH
−、−CHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCHCH−,−CHCHOCHCH−、または−CHCHOCHCHCH−などを挙げることができるが、合成の容易さからは−CH−が好ましい。
【0056】
また、一般式(4):{HC=C(R3b)−R4b−OCO}a5b
(式中、R3b、R4b、R5b及びaは、それぞれR3a、R4a、R5a、aと同義である。)
で示されるエステル結合を有する重合体が挙げられる。
【0057】
また、一般式(5):{HC=C(R3c)}a5c
(式中、R3c、R5c及びaは、それぞれR3a、R5a、aと同義である。)
で示される重合体も挙げられる。
【0058】
さらに、一般式(6):{HC=C(R3d)−R4d−O(CO)O}a5d
(式中、R3d、R4d、R5d及びaは、それぞれR3a、R4a、R5a及びaと同義である。)
で示されるカーボネート結合を有する重合体も挙げられる。
【0059】
アルケニル基は、A成分の重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜5個、より好ましくは、1.5〜3個存在するのがよい。A成分の重合体1分子中に含まれるアルケニル基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また5個より多くなると網目構造があまりに密となるため、良好な粘着特性を示さなくなる場合がある。なお、A成分の重合体は、特開2003-292926号公報に記載の方法に従って、合成することができ、また、市販されているものについては、市販品をそのまま使用することができる。
【0060】
B成分である「1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を含有する化合物」は、ヒドロシリル基(Si−H結合を有する基)を有するものであれば特に制限無く使用できるが、原材料の入手の容易さやA成分への相溶性の面から、特に有機成分で変性されたオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。上記有機成分で変性されたポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子中に平均して2〜8個のヒドロシリル基を有するものがより好ましい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの構造を具体的に示すと、例えば、
【0061】
【化1】

【0062】
(式中、2≦m+n≦50、2≦m、0≦nである。R6aは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。)、
【0063】
【化2】

【0064】
(式中、0≦m+n≦50、0≦m、0≦nである。R6bは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。)、
又は、
【0065】
【化3】

【0066】
(式中、3≦m+n≦20、2≦m≦19、0≦n<18である。R6cは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい)等で示される鎖状又は環状のものや、これらのユニットを2個以上有する、以下の
【0067】
【化4】

【0068】
(式中、1≦m+n≦50、1≦m、0≦nである。R6dは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦bである。R8aは2〜4価の有機基であり、R7aは2価の有機基である。ただし、R7aは、R8aの構造によってはなくても構わない。)、
【0069】
【化5】

【0070】
(式中、0≦m+n≦50、0≦m、0≦nである。R6eは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦bである。R8bは2〜4価の有機基であり、R7bは2価の有機基である。ただし、R7bは、R8bの構造によってはなくても構わない。)、又は
【0071】
【化6】

【0072】
(式中、3≦m+n≦50、1≦m、0≦nである。R6fは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦bである。R8cは2〜4価の有機基であり、R7cは2価の有機基である。ただし、R7cは、R8cの構造によってはなくても構わない。)
等で示されるものが挙げられる。
【0073】
B成分は、A成分及びC成分との相溶性、又は、系中での分散安定性が良好なものが好ましい。特に系全体の粘度が低い場合には、B成分として上記各成分との相溶性の低いものを使用すると、相分離が起こり硬化不良を引き起こすことがある。
【0074】
A成分及びC成分との相溶性、又は、分散安定性が比較的良好なB成分を具体的に示すと、以下のものが挙げられる。
【0075】
【化7】

【0076】
(式中、nは4以上10以下の整数である。)
【0077】
【化8】

【0078】
(式中、2≦m≦10、0≦n≦5であり、R6gは炭素数8以上の炭化水素基である。)
【0079】
当該B成分の好ましい具体例としては、ポリメチルハイドロジェンシロキサンが挙げられ、また、A成分との相溶性確保と、Si−H量の調整のために、α−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、アリルアルキルエーテル、アリルアルキルエステル、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルエステル等により変性した化合物が例示され、一例として、以下の構造があげられる。
【0080】
【化9】

【0081】
(式中、2≦m≦20、1≦n≦20である。)
【0082】
B成分は、公知の方法により合成することができ、市販されているものについては、市販品をそのまま使用することができる。
【0083】
C成分の「ヒドロシリル化触媒」は特に限定されず、任意のものを使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸;白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt〔(MeViSiO)等};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh、Pt(PBu等};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)、Pt〔P(OBu)等};Pt(acac);Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号に記載された白金−炭化水素複合体;Lamoreauxらの米国特許第3220972号に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。(上記式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基、acacはアセチルアセトナトを表し、n、mは整数を表す。)
【0084】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−ホスフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)等が好ましい。
【0085】
C成分の配合量は、特に制限はないが、組成物のポットライフの確保及びシートの透明性の観点から、A成分中のアルケニル基1モルに対して一般に1×10−1モル以下、好ましくは5.3×10−2モル以下であるが、特にシートの透明性の観点から、より好ましくは3.5×10−2モル以下、とりわけ好ましくは1.4×10−3モル以下である。A成分中のアルケニル基1モルに対して1×10−1モルを超えると、最終的に得られるシートが黄変しやすく、シートの透明性が損なわれる傾向となる。なお、C成分の配合量が少なすぎる場合、組成物の硬化速度が遅く、また硬化性が不安定になる傾向となるため、C成分の配合量はA成分中のアルケニル基1モルに対して8.9×10−5モル以上が好ましく、1.8×10−4モル以上がより好ましい。
【0086】
以上説明のA〜C成分を含む組成物は、粘着付与樹脂を無添加または少量添加であっても、粘着特性(他の物体への接着機能)を発現できるという特徴を有する。
【0087】
当該組成物においては、B成分(化合物B)のヒドロシリル基が、A成分(化合物A)のアルケニル基に対して官能基比が0.3以上、2未満となるように含有(配合)されることが好ましく、より好ましくは0.4以上、1.8未満の範囲であり、さらに一層好ましくは0.5以上、1.5未満の範囲である。前記官能基比が2を超えるように含有されると、架橋密度が高くなり、粘着付与樹脂を無添加または少量添加において粘着特性を得ることはできなくなる場合がある。また、官能基比が0.3未満になると、架橋が緩くなりすぎて、再剥離時の糊残りの発生や高温で特性保持が低下する場合がある。このようにA成分とB成分の配合比率を特定の範囲で選択することで、粘着付与樹脂を配合しなくとも良好な粘着特性が発現し得、しかも、実用上充分に速いライン速度にて硬化させることができる。
【0088】
なお、かかる組成物には保存安定性を改良する目的で、保存安定性改良剤を配合してもよい。この保存安定性改良剤としては、上記B成分の保存安定剤として知られている公知の化合物を制限なく使用できる。例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルホリニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
また、必要に応じて、光学板への粘着性(接着性)を向上させるための接着付与剤を添加することができる。接着付与剤の例としては、各種シランカップリング剤やエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、エポキシ基、メタクリロイル基、ビニル基等の官能基を有するシランカップリング剤は、硬化性に及ぼす影響も小さく、接着性の発現にも効果が大きいため、好ましいものである。また、シランカップリング剤やエポキシ樹脂と併用して、シリル基やエポキシ基を反応させるための触媒を添加することができる。なお、これらの使用にあたっては、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。また、各種充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤、シリコン化合物を適宜添加してもよい。充填剤の具体例としては、シリカ微粉末、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、亜鉛華、ケイソウ土、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの充填剤の中では、特にシリカ微粉末、とりわけ粒子径が50〜70nm(BET比表面積が50〜380m/g)程度の微粉末シリカが好ましく、その中でも表面処理を施した疎水性シリカが、強度を好ましい方向に改善する働きが大きいので特に好ましい。さらに、タック等の特性を上げるため、必要に応じて粘着付与樹脂を添加してもよく、粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、ロジンエステル等が例示され、用途に合わせて自由に選択することができる。
【0090】
また、特性改善の面から、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等の樹脂類を添加することが可能である。また、アクリル粘着剤、スチレンブロック系粘着剤、オレフィン系粘着剤等の粘着剤成分を同様の目的から添加することが可能である。
【0091】
また、当該透明粘着シートはITO、TO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)、CTO(酸化錫カドミウム)等の透明導電性材料と接触しても該透明導電性材料を腐食させない、優れた非透明導電性材料腐食性(特に非ITO腐食性)を有するので、保護透明板とタッチパネルの透明電極を有するガラス板との貼り合わせにより有利に作用する。
【0092】
かかる透明粘着シートは、例えば、次の方法で製造される。
ポリオキシアルキレン系重合体を主体成分とする組成物(上記A〜C成分を含む組成物)を、必要に応じて有機溶剤とともに、真空機能を備えた攪拌装置に仕込み、真空状態(真空下)で攪拌することで脱泡を行い、該真空脱泡後の流動物を各種の支持体上に塗布(流延)し、熱処理してシート化する。熱処理によって組成物は加熱硬化され、硬化物によるシートが得られる。支持体上への塗布は、例えば、グラビア、キス、コンマ等のロールコーター、スロット、ファンテン等のダイコーター、スクイズコーター、カーテンコーター等の公知の塗布装置によって行うことができる。この際の熱処理条件としては50〜200℃(好ましくは100〜160℃)で、0.01〜24時間(好ましくは0.05〜4時間)程度加熱するのが好ましい。なお、上記の真空機能を備えた攪拌装置としては、公知の真空装置付攪拌装置を使用すればよく、具体的には、遊星式(公転/自転方式)攪拌脱泡装置やディスパー付脱泡装置等が挙げられる。また、真空脱泡を行う際の減圧の程度としては、10kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましい。また、攪拌時間は攪拌装置や流動物の処理量によっても異なるが、概ね、0.5〜2時間程度が好ましい。脱泡処理により、シート内には実質的に気泡(ボイド)が存在せず、優れた光学的特性(透明性)を示す。例えば、後述の試験方法で測定されるシートのヘイズ値が好ましくは1.2%以下、より好ましくは0.9%以下を示す。
【0093】
かかる透明粘着シートを、特に、携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、カーナビゲーションシステム等の可搬型表示機能付機器に搭載するフラットパネルディスプレイの表示面側に配設される2枚の光学板の貼り合せに使用する場合、小面積サイズのシートに加工する必要があるが、量産性(生産効率)を考慮した場合、例えば、第1の支持体(ベースセパレーター)/上記A〜C成分を含む組成物の硬化物層(透明粘着シート)/第2の支持体(カバーセパレーター)の積層構成からなるロールを調製し、該ロールを展開しつつ、打抜き加工を施して製造するのが好ましい。
【0094】
上記ロールは、例えば、第1の支持体に離型処理剤を塗布して離型処理を行う一方、上記A〜C成分を含む組成物の攪拌、真空脱泡を行い、該真空脱泡後の流動物を第1の支持体上に塗布(流延)し、熱処理してシート化し、その上に離型処理を施した第2の支持体を貼り合せた後、ロール状に巻き取ることで作製される。
【0095】
第1及び第2の支持体の具体例としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、エチレン−メタクリル酸コポリマーの分子間を金属イオン(Na、Zn2+等)で架橋したアイオノマー樹脂、EVA(エチレン・酢酸ビニルコポリマー)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EEA(エチレン・エチルアクリレートコポリマー)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ポリアミド、ポリブチラール、ポリスチレンなどの熱可塑樹脂;ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、塩ビ系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、塩素化ポリエチレン系、ポリノルボルネン系、ポリスチレン・ポリオレフィン共重合体系、(水添)ポリスチレン・ブタジエン共重合体系、ポリスチレン・ビニルポリイソプレン共重合体系などのゴム弾性を示す種々の熱可塑性エラストマー;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに熱可塑エラストマーをブレンドしたもの等からなる単層のフィルム(シート)や、ポリオレフィン(ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)等)/熱可塑性樹脂(例えば、EVA)/ポリオレフィン、ポリオレフィン(PP又はPE)+熱可塑性エラストマー/ポリオレフィン(PP又はPE)、PP/PE/PPなどの多層(積層)、ポリオレフィン+熱可塑性エラストマーのブレンド比を変えた複合系の多層(積層)等の多層(積層)のフィルム(シート)等が挙げられる。また、含浸紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、布、アセテート布、不織布、ガラス布等が挙げられる。
【0096】
第1及び第2の支持体に使用する離型処理剤としては、例えば、シリコーン系型離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型処理剤等を挙げることができ、中でも、シリコーン系離型処理剤が好ましく、硬化方法としては、紫外線照射や電子線照射等の硬化方法を用いるのが好ましい。さらに、シリコーン系離型処理剤の中でもカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系離型処理剤が好ましい。カチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系離型処理剤は、カチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)とオニウム塩系光開始剤を含む混合物であるが、オニウム塩系光開始剤がホウ素系光開始剤からなるものが特に好ましく、このようなオニウム塩系光開始剤がホウ素系光開始剤からなるカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系離型処理剤を使用することで特に良好な剥離性(離型性)が得られる。カチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能基を有するものであって、直鎖状のもの、分岐鎖状のものまたはこれらの混合物であってもよい。ポリオルガノシロキサンに含有されるエポキシ官能基の種類は特に制限されないが、オニウム塩系光開始剤によって開環カチオン重合が進行するものであればよい。具体的には、γ−グリシジルオキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、β−(4−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などが例示できる。かかるカチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)は上市されており、市販品を使用することができる。例えば、東芝シリコーン社製のUV9315、UV9430、UV9300、TPR6500、TPR6501等、信越化学工業社製のX−62−7622、X−62−7629、X−62−7655、X−62−7660,X−62−7634A等、荒川化学社製のPoly200、Poly201、RCA200、RCA250、RCA251等を挙げることができる。
【0097】
カチオン重合性のシリコーンの中でも下記の構造単位(A)〜(C)からなるポリオルガノシロキサンが特に好ましい。
【0098】
【化10】

【0099】
また、かかる構造単位(A)〜(C)からなるポリオルガノシロキサンにおいては、構造単位(A)〜(C)の組成比((A):(B):(C))が50〜95:2〜30:1〜30(mol%)であるものが特に好ましく、50〜90:2〜20:2〜20(mol%)であるものがとりわけ好ましい。なお、かかる構造単位(A)〜(C)からなるポリオルガノシロキサンはPoly200、Poly201、RCA200、X−62−7622、X−62−7629、X−62−7660として市販品を入手できる。
【0100】
一方、オニウム塩系光開始剤としては、公知のものを特に制限無く使用できる。具体例としては、例えば、(R、ArN、又は(R、(これらの式中、Rはアルキル基および/またはアリール基を、Arはアリール基を、Xは[B(C]、[B(C]、[B(CCF]、[(CBF]、[CBF]、[B(C]、BF、PF、AsF、HSO、またはClO等を示す。)で表される化合物が挙げられるが、これらの中でも、式中のXが[B(C]、[B(C]、[B(CCF]、[(CBF]、[CBF]、[B(C]又はBFである化合物(ホウ素系光開始剤)が好ましく、特に好ましくは(R[B(C](式中、Rは置換又は非置換のフェニル基を示す)で表わされる化合物(アルキルヨードニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)である。なお、オニウム塩系光開始剤として、従来からアンチモン(Sb)系開始剤が知られているが、アンチモン(Sb)系開始剤を使用した場合、重剥離化が起こり、透明粘着シートをセパレーターから剥離しにくい傾向となる。
【0101】
オニウム塩系光開始剤の使用量は特に制限されるものではないが、カチオン重合型のシリコーン(ポリオルガノシロキサン)100重量部に対して、0.1〜10重量部程度とするのが望ましい。使用量が0.1重量部より少ないと、シリコーン剥離層の硬化が不十分となるおそれがある。また使用量が10重量部より多いと、コスト面において実用的ではない。なお、カチオン重合型のシリコーン(ポリオルガノシロキサン)とオニウム塩系光開始剤を混合する際、オニウム塩系開始剤を有機溶剤に溶解または分散させてポリオルガノシロキサンに混合してもよい。有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル等のエステル系溶剤などが挙げられる。
【0102】
離型処理剤の塗布は、例えば、ロールコーター法、リバースコーター法、ドクターブレード法等の一般的な塗工装置を用いて行うことができる。離型処理剤の塗布量(固形分量)は特に限定はされないが、一般に0.05〜6mg/cm程度である。
【0103】
本発明方法で剥離した板に付着する粘着シートの残存物や硬化性樹脂層の残存物は溶剤で洗浄除去するが、溶剤は粘着シートの種類及び板の材質等に応じて適当なものが選択される。例えば、アクリル系粘着シートの場合、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好適であり、その他、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル系(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、グリコールジアセテート等)も使用できる。ポリオキシアルキレン系透明粘着シートの場合、例えば、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好適であり、その他、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル系(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、グリコールジアセテート等)なども使用できる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例および比較例を示して、本発明をより具体的に説明する。
なお、以下で部、%とあるのはいずれも重量基準である。
【0105】
実施例1
[ポリオキシアルキレン系透明粘着シートの作製]
前述の明細書本文中の(A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体(数平均分子量:約20,000)に、(B)成分であるヒドロシリル化合物(そのヒドロシリル基量が(A)成分のポリオキシアルキレン系重合体のアルケニル基量に対して官能基比(モル比)で0.75となる量)および(C)成分であるヒドロシリル化触媒(A成分中のアルケニル基1モルに対して0.9×10−3モル)を含む組成物(株式会社カネカ製)を真空装置付攪拌装置(シーテック社製ミニダッポー)に投入し、真空状態(100Pa)で1時間攪拌して脱泡を行った。次いで、真空脱泡した組成物を室温下でロールコーターを用い、離型処理が施されたポリエステルフィルム(厚さ100μm)からなるベースセパレーター(支持体)上に、組成物の厚みが200μmになるように塗布(流延)した。加熱オーブンで130℃で10分間加熱することで硬化させ、こうして得られた硬化シートに、同様に離型処理が施されたポリエステルフィルム(厚さ100μm)からなるカバーセパレーター(剥離ライナー)を貼り合せることによって透明粘着シート(厚み:200μm)を得た。
【0106】
かかる透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力(N/25mm)を測定したところ、4N/25mmであった。該接着力は、上記透明粘着シートの一方の表面に離型処理を施していない厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せ、幅25mm、長さ100mmの試料片を切り取り、これをソーダガラス板(厚み0.7mm)に2kgローラーで1往復の貼り合せ条件にて圧着後、オートクレーブ処理(0.6MPa、60℃、30分)を行ない、さらに常温(23℃)で1週間静置して測定用サンプルを作製し、該測定用サンプルについて、JIS Z 0237に準拠して、引張速度300mm/minで180°剥離試験を行って、その剥離力(N/25mm)をガラス接着力とした。
【0107】
[試料作製]
厚み1.0mm、縦100mm、横50mmの矩形のソーダガラス板と、厚み0.7mm、縦100mm、横50mmの矩形のソーダガラス板を用意した。上記で作製した透明粘着シート(厚み:200μm)をこれらソーダガラス板と同形、同面積の矩形状にカットして、一方のソーダガラス板(厚み1.0mm)に貼り合わせ、その上に他方のソーダガラス板(厚み0.7mm)を貼り合わせて、オートクレーブ処理(0.6MPa、60℃、30分)をし、さらに常温(23℃)で1週間静置して、ソーダガラス板(厚み1.0mm)/透明粘着シート(厚み0.2mm)/ソーダガラス板(厚み0.7mm)の貼付積板からなる試料を作製した。
該試料はタッチパネルの透明電極付きガラス板と保護用透明板が透明粘着シートを介して貼り合わされた貼付積板を想定した。
【0108】
[剥離作業]
(ソーダガラス板(厚み1.0mm)/透明粘着シート(厚み200μm)/ソーダガラス板(厚み0.7mm))の一方のソーダガラス板(厚み1.0mm)に、該試料と同一面積の矩形にカットした、厚み0.3mmの熱剥離型両面粘着シート(「リバアルファ」(商品名)、日東電工(株)製)の一方の面を貼り付けた後、該熱剥離型両面粘着シートの他方の面をPMMA(ポリメタクリル酸メチル)製の固定台に貼り付けた。次に、このようにして固定台上に固定された試料の他方のソーダガラス板(厚0.7mm)に該試料と同一面積の矩形にカットした、厚み0.3mmの熱剥離型両面粘着シート(「リバアルファ」(商品名)、日東電工(株)製)の一方の面を貼り付けた後、該熱剥離型両面粘着シートの他方の面に、縦250mm、横70mm、厚み1.0mmのステンレス板の長手方向の一端側を貼り付けた後、図4に示す操作を行なって、ステンレス板を回転角度が10°以上となるように移動させたところ、2枚のソーダガラス板は剥離した。そして、剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0109】
実施例2
オートクレーブ処理後の静置処理を50℃で1週間に変更した以外は実施例1と同様にして、ソーダガラスに対する接着力測定用サンプルと試料(貼付積板)を作製した。そして、実施例1と同様にして透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力を求めるとともに、板の剥離作業を行った。透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力は5N/25mmであった。また、2枚のソーダガラス板は剥離することができた。剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0110】
実施例3
オートクレーブ処理後の静置処理を−40℃で1週間に変更した以外は実施例1と同様にして、ソーダガラスに対する接着力測定用サンプルと試料(貼付積板)を作製した。そして、実施例1と同様にして透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力を求めたところ、接着力は8N/25mmであった。また、試料(ソーダガラス板(厚み1.0mm)/透明粘着シート(厚み200μm)/ソーダガラス板(厚み0.7mm))の一方のソーダガラス板(厚み1.0mm)に、該試料と同一面積の矩形にカットした、厚み0.3mmの熱剥離型両面粘着シート(「リバアルファ」(商品名)、日東電工(株)製)の一方の面を貼り付けた後、該熱剥離型両面粘着シートの他方の面をステンレス製の操作板(縦250mm、横70mm、厚み1.0mm)に貼り付け、さらに試料の他方のソーダガラス板(厚0.7mm)に該試料と同一面積の矩形にカットした、厚み0.3mmの熱剥離型両面粘着シート(「リバアルファ」(商品名)、日東電工(株)製)の一方の面を貼り付けた後、該熱剥離型両面粘着シートの他方の面に、縦250mm、横70mm、厚み1.0mmのステンレス板の長手方向の一端側を貼り付けた後、両方の操作板を貼付積板(透明粘着シート)の厚み方向と直交する平面内にて互いに反対の方向へ回転移動させ、両方のステンレス板間の移動角度(相対角)が10°以上となるように移動させたところ、2枚のソーダガラス板は剥離した。剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0111】
実施例4
2−エチルヘキシルアクリレート99部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.12部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.12部を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率10%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。
この部分重合物100部に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)0.10部を添加した後、これらを均一に混合して光重合性組成物を調製した。
片面をシリコーンで剥離処理した厚み75μmのポリエステルフィルムの剥離処理面に、上記光重合性組成物を厚み150μmになるように塗布し、その上に片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面を貼り合わせ、厚み38μmのポリエステルフィルム面上からランプ直下での照射面の照度が5mW/cmになるようにランプ高さを調整したブラックライトにより紫外線を照射した。約3600mJ/cmの照射光量となるまで重合を行って、アクリル系透明粘着シート(厚み:150μm)を作製した。
【0112】
透明粘着シートに上記のアクリル系透明粘着シートを使用した以外は実施例1と同様にして、透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力測定、試料作製、及び板の剥離作業を行った。透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力は8N/25mmであった。また、2枚のソーダガラス板は剥離することができた。剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0113】
実施例5
オートクレーブ処理後の静置処理を−40℃で1週間に変更した以外は実施例4と同様にしてソーダガラスに対する接着力測定用サンプルと試料(貼付積板)を作製した。そして、実施例4と同様にして透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力を求めるとともに、板の剥離作業を行った。透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力は10N/25mmであった。また、2枚のソーダガラス板は剥離することができた。剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0114】
実施例6
2−エチルヘキシルアクリレート85部、4−ヒドロキシブチルアクリレート15部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.12部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.12部を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率10%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。
この部分重合物100部に、トリメチロールプロパントリアクリレート0.2部を添加した後、これらを均一に混合して光重合性組成物を調製した。
片面をシリコーンで剥離処理した厚み75μmのポリエステルフィルムの剥離処理面に、上記光重合性組成物を厚み200μmになるように塗布し、その上に片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面を貼り合わせ、厚み38μmのポリエステルフィルム面上からランプ直下での照射面の照度が30mW/cmになるようにランプ高さを調整したメタルハライドランプにより紫外線を照射した。約7200mJ/cmの照射光量となるまで重合を行って、アクリル系透明粘着シート(厚み:200μm)を作製した。
【0115】
透明粘着シートに上記のアクリル系透明粘着シートを使用した以外は実施例1と同様にして透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力測定、試料作製及び板の剥離作業を行った。透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力は10N/25mmであった。また、2枚のソーダガラス板は剥離することができた。剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0116】
実施例7
オートクレーブ処理後の静置処理を−40℃で1週間に変更した以外は実施例6と同様にしてソーダガラスに対する接着力測定用サンプルと試料(貼付積板)を作製した。そして、実施例6と同様にして透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力を求めるとともに、板の剥離作業を行った。透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力は11N/25mmであった。また、2枚のソーダガラス板は剥離することができた。剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0117】
実施例8
イソノニルアクリレート90部、アクリル酸10部、2,2−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.12部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.12部を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率10%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。この部分重合物100部に、トリメチロールプロパントリアクリレート0.2部を添加した後、これらを均一に混合して光重合性組成物を調製した。
シリコーンで剥離処理した厚み75μmのポリエステルフィルムの剥離処理面に、上記光重合性組成物を厚み175μmになるように塗布し、その上に片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面を貼り合わせ、厚み38μmのポリエステルフィルム面上からランプ直下での照射面の照度が30mW/cmになるようにランプ高さを調整したメタルハライドランプにより紫外線を照射した。約7200mJ/cmの照射光量となるまで重合を行って、アクリル系透明粘着シート(厚み:175μm)を作製した。
【0118】
透明粘着シートに上記のアクリル系透明粘着シートを使用し、ソーダガラスに対する接着力測定用サンプル及び試料(貼付積板)作製でのオートクレーブ処理後の静置処理を−40℃で1週間に変更した以外は実施例1と同様にして、透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力測定、試料作製及び板の剥離作業を行った。透明粘着シートのソーダガラスに対する接着力は3N/25mmであった。また、2枚のソーダガラス板は剥離することができた。剥離された2枚のガラス板の表面をイソプロピルアルコールで洗浄して残存付着していた粘着成分を除去し、表面をキーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHF-100Fで観察したところ、2枚のソーダガラス板ともに割れや破損及びキズは発生していなかった。
【0119】
本発明によれば、粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を、その2枚の板の少なくとも一方が薄厚で柔軟性に乏しい板であっても、その板に破損や割れに至る大きな歪み(変形)が生じるような力(負荷)が実質的に加わることなく、剥離することができる。特に、フラットパネルディスプレイの表示面側に配設される、透明粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の光学板(例えば、表示パネルと保護透明板、表示パネルとタッチパネルの透明電極付きガラス板、タッチパネルの透明電極付きガラス板と保護透明板等)は薄厚で柔軟性に乏しいが、本発明方法を採用すればそれら2枚の光学板を破損や割れを生じさせることなく剥離することができる。従って、本発明はフラットパネルディスプレイやそれを搭載する表示機能付機器の分野において、特に有利に実施することができる。
【符号の説明】
【0120】
1、2 板
3 粘着シート
4、7 熱剥離性両面粘着シート
5 固定台
6 操作板
10 貼付積板(剥離対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板を剥離する方法であって、前記2枚の板を相対的に平行移動させることで、前記粘着シート又は硬化性樹脂層に破断に至るせん断応力を生じせしめることを特徴とする、板の剥離方法。
【請求項2】
粘着シート又は硬化性樹脂層における一方の板への接着面内と他方の板への接着面内に特定した互い平行な仮想直線がねじれ位置の関係となるように、2枚の板の少なくとも一方を移動させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板のいずれか一方の板を固定し、いずれか他方の板の外面に操作板の一部を固着させ、該操作板の固着部付近を軸として該操作板とともに前記他方の板を前記粘着シート又は硬化性樹脂層の厚み方向と直交する平面内にて回転移動させることにより、前記粘着シート又は硬化性樹脂層を破断せしめる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
粘着シート又は硬化性樹脂層を介して貼り合わされた2枚の板をそれぞれ可動可能に保持し、少なくとも一方の板を前記粘着シート又は硬化性樹脂層の厚み方向と直交する平面内にて回転移動させることにより、前記粘着シート又は硬化性樹脂層を破断せしめる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
2枚の板が光学板であり、粘着シートが透明粘着シートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
2枚の光学板の一方がフラットパネルディスプレイの表示パネルであり、他方が前記表示パネルを保護する保護用透明板である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
2枚の光学板の一方がフラットパネルディスプレイの表示パネルであり、他方がタッチパネルの透明電極付きガラス板である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって、その両主面に接着された2枚の板の剥離が成され得る、粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−121134(P2010−121134A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264775(P2009−264775)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】