説明

赤飯用改良剤および、その改良剤を用いた赤飯の製造方法

【課題】 赤飯の色付け時に添加することで、赤飯の色調を鮮やかにする赤飯用改良剤および、その製造方法を提供すること。
【解決手段】 ポリフェノール酸化酵素を含有する赤飯用改良剤、または、当該ポリフェノール酸化酵素を必須成分として、その他の多糖類・繊維質・大豆関連物質・澱粉・糖質・糖アルコール・甘味料・乳製品・タンパク質・油脂・酵素・ビタミン・乳化剤・食品素材・製造用剤・力価調整剤・pH調整剤・香辛料・酸化防止剤・強化剤・膨張剤・着香剤・着色剤・保存料・調味料から選ばれる1種または2種以上の成分とを組み合わせた混合物からなる赤飯用改良剤、および赤飯の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、赤飯の色調を鮮やかにするための赤飯用改良剤および、その赤飯用改良剤を用いた赤飯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
赤飯とは、ささげ豆や小豆から煮出した煮汁で色付けしたもち米やうるち米などの米と、ささげ豆や小豆とを共に蒸し上げた、もしくは、炊き上げたご飯であり、古くから祝い事などの場で食されてきた色鮮やかな料理である。
【0003】
一般的には、ささげ豆もしくは小豆を茹で、煮豆と煮汁に分けた後、浸漬したもち米を煮汁に漬けて色付けを行い、煮豆と共に蒸し上げる調理工程をとる。しかしながら、煮汁のみで色付けされた赤飯はその赤色が不足しがちで、時として消費者からあまり好まれない場合がある。そのため、これまで種々の方法により、その赤味を補う努力がなされてきた。
【0004】
赤飯の赤味を補う方法として、従来から、天然着色料や合成着色料を使用する方法や、重曹やpH調整剤などで煮汁のpHを調節することにより色調を整える方法が用いられている。また、エアーポンプなどにより通気することで色素を酸化させ赤色を増強する方法も用いられている。
【0005】
特開2005−110660号には小豆の加工処理において、浸水用水として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を、渋切り用水として弱酸性の電解生成酸性水を、煮沸用水として弱酸性の電解生成酸性水または弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を使用することで、小豆の吸水効率を向上させ、渋み成分の抽出効率を向上させ、かつ、赤飯の色付けに使用される小豆の煮汁および小豆の着色度合いを良好にする方法が提案されている。
【特許文献1】 特開2005−110660号
【0006】
特開2007−151443号には豆を水で煮る際に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを添加して煮汁を抽出した後、煮豆と煮汁を分離して、煮汁について熱いうちに空気を吹き込み酸化させ、煮汁を有機酸にてpHを調整して、煮汁と煮豆をそれぞれ別に耐熱耐圧袋または容器に密封した赤飯の素の製造方法が提案されている。
【特許文献2】 特開2007−151443号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記の着色料や重曹などを使用する方法では、着色された赤飯の色合いが不自然になってしまう問題や、添加物表示が必要になるため消費者から敬遠されてしまうという問題、重曹などの添加により赤飯の味を変化させてしまう問題がある。
【0008】
また、前記のエアーポンプなどにより通気させる方法では、通気させることで空中に浮遊している細菌を吹き込んでしまい不衛生になってしまう問題や、特殊な設備が必要になってしまうという問題がある。
【0009】
また、前記の特許文献1に提案されている小豆の加工処理に電解生成水を使用する方法では、電解生成水を生成する装置を設置する必要があり、また、用途によって使用する電解生成水の種類を変更しなければならないため作業が複雑になってしまうという問題がある。
【0010】
また、前記の特許文献2に提案されている赤飯の素を使用して赤飯を製造する場合、市販のものを使用することになるため、出来上がった製品が画一的になってしまい、好みの色調や風味を出すことが出来なくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らはさらに鋭意研究を行った結果、赤飯製造時にポリフェノール酸化酵素を使用することで、赤飯に自然で、かつ、非常に鮮やかな色調を付与することができ、また、その工程も特殊な工程や設備が不要であるため、非常に衛生的かつ簡易であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
従って本発明は、下記の赤飯用改良剤、この赤飯用改良剤を使用した赤飯の製造方法、およびこの赤飯改良剤を使用して製造された赤飯を提供することを目的とする。
(1)ポリフェノール酸化酵素を含有することを特徴とする赤飯用改良剤。
(2)ポリフェノール酸化酵素を含有し、さらに多糖類、繊維質、大豆関連物質、デンプン、糖質、糖アルコール、甘味料、乳製品、タンパク質、油脂、酵素、ビタミン、乳化剤、食品素材、製造用剤、pH調整剤、香辛料、酸化防止剤、強化剤、膨張剤、着香剤、着色剤、保存料、および調味料からなる群より選択される1種または2種以上の成分を含有することを特徴とする赤飯用改良剤。
(3)粉末状、液体状、顆粒状、ペースト状、固形状、カプセル状、またはタブレット状であることを特徴とする(1)または、(2)に記載の赤飯用改良剤。
(4)(1)、(2)または(3)に記載の赤飯用改良剤を添加する工程を含むことを特徴とする赤飯の製造方法。
(5)(1)、(2)または(3)に記載の赤飯用改良剤を添加した小豆類の煮汁に原料米を浸漬する工程を含むことを特徴とする赤飯の製造方法。
(6)(1)、(2)または(3)に記載の赤飯用改良剤を添加して製造されたことを特徴とする赤飯。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、これまで困難であった赤飯の色付けに対し、赤飯製造時に添加するだけで赤飯の色調を自然で鮮やかな赤色にすることができる赤飯用改良剤、その赤飯用改良剤を使用した簡便で衛生的な製造工程、およびそれにより製造された赤飯が提供される。本発明の赤飯用改良剤は、含有するポリフェノール酸化酵素の作用により、赤飯の色付けに使用される色素液に含まれるポリフェノールを酸化させることで赤飯の色調を自然で鮮やかな赤色にする。また、必要があれば適宜請求項2の成分を加えることも可能であり、請求項2の成分を加えた場合においても同様の効果が得られる。本発明の赤飯製造工程は、複雑な工程を必要とせず、非常に簡易で衛生的な赤飯の製造が提供できる。また、本発明の赤飯用改良剤の添加量を調節することで好みの色調や風味を引き出すことができる。さらに、本発明により製造された赤飯は味の変化も無く良好な食味を呈する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書において、「ポリフェノール酸化酵素」は、ポリフェノールオキシダーゼ、カテコールオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼなどと称され、狭義のフラボノイド類、アントシアン類、カテキンやロイコアントシアニジンをはじめとするタンニン類、カルコン類、オーロン類などからなるフラボノイド類や、モノフェノール類、ο−ジフェノール類、ρ−ジフェノール類を基質とする酸化還元酵素を意味する。
【0015】
前記ポリフェノール酸化酵素の起源としては、以下のものが挙げられる。植物としては、例えば、リンゴ、ジャガイモ、牛蒡、茄子、桃、ビワ、梨、バナナ、ブルーベリー、梅、葡萄、レタス、小麦、レンコン、ビート、茶、杏、苺、ヤーコン、大根、カケノキ、ヤムノキ、グァバ、オクラ、ヒマワリ、キュウリ、アルファルファ等が挙げられる。微生物としては、例えば、Aspergillus属、Bacillus属、Neurospora属、Podospora属、Botrytis属、Fomes属、Lentinus属、Pleurotus属、Trametes属、Rhizoctonia属、Coprinus属、Psathyrella属、Panaeolus属、MyceliopHthora属、Schytalidium属、Polyporus属、PHlebia属、Coriolus属、Myrothecium属が挙げられる。
【0016】
本発明で使用される植物を起源とするポリフェノール酸化酵素は、前記の植物由来の種子、または果実、葉などから抽出が可能であり、また、それらを粉砕、凍結乾燥粉末などに加工した加工物、あるいは、その植物を生のまま使用することも可能である。微生物を起源とするポリフェノール酸化酵素は、前記の微生物および、その変異株を培養して得られるほか、遺伝子組み替え技術によりポリフェノール酸化酵素遺伝子を導入された微生物を利用して調製することも可能である。市販ポリフェノール酸化酵素剤もまた好適に用いられる。例えば、市販のポリフェノール酸化酵素のラッカーゼダイワY120(大和化成株式会社)である。
【0017】
植物や微生物を起源とした前記ポリフェノール酸化酵素の形状は特に制限されず、天日乾燥、高温乾燥、熱風乾燥、焙乾燥、減圧乾燥、圧力噴霧乾燥、遠心噴霧乾燥、凍結乾燥、高周波または赤外線乾燥などの乾燥法により乾燥された粉末状や顆粒状、塊状等のもの、水等に溶解されたペースト状、液状等にしたもの、これらの粉末や顆粒を打錠形成した錠剤錠などのいかなる形態であってもよい。
【0018】
本発明では多糖類として、天然多糖類および合成多糖類やそれらを加工したり化学修飾したりしたものを広く用いることができる。例えば、アルギン酸・アルギン酸ナトリウム・アルギン酸カリウム・アルギン酸カルシウム・アルギン酸アンモニウム・アルギン酸プロピレングリコールエステル・ヒアルロン酸・ヒアルロン酸プロピレングリコールエステル・カラギーナン・キサンタンガム・ローカストビーンガム・タラガム・グァーガム・グァーガム酵素分解物・タマリンドシードガム・ジェランガム・グルコマナン・ファーセレラン・プルラン・ペクチン・カラヤガム・アラビアガム・アラビノガラクタン・アロエベラ抽出物・ウェランガム・オリゴグルコサミン・カードラン・ガティガム・キダチアロエ抽出物・キチン・キトサン・グルコサミン・酵母細胞壁・サイリウムシードガム・デキストラン・トラガントガム・納豆菌ガム・フクロノリ抽出物・エステルガム・カルボキシメチルセルロースカルシウム・カルボキシメチルセルロースナトリウム・メチルセルロース・水溶性大豆多糖類などの海藻、種子、樹脂および微生物由来の物質またはそれを加工したり化学修飾したりした物質の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる多糖類はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0019】
本発明では繊維質として、難消化性ないし不消化性の炭水化物またはそれを加工したり化学修飾したりした物質を広く用いることができる。例えば、微結晶セルロース・大豆植物繊維・乾燥おから・セルロース・ヘミセルロース・粉末セルロース・微小繊維状セルロース・みかんパルプ・難消化性デキストリンなどの海藻、種子、樹脂および微生物由来の物質またはそれを加工したり化学修飾したりした物質の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる繊維質はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0020】
本発明では大豆関連物質として、大豆から得られる成分やそれを加工したり精製したり化学修飾したりした物質を広く用いることができる。例えば、おから・乾燥おから・大豆たんぱく質・豆乳・豆乳粉末・大豆油脂・大豆レシチン・大豆グロブリン・大豆ペプチド・大豆イソフラボンなどが挙げられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる大豆関連物質はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0021】
本発明ではデンプンとして、通常に食品に使用される天然デンプンやそれらを加工した加工デンプンを広く用いることができる。例えばワキシーコーンスターチ、とうもろこしデンプン、小麦デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、ハイアミロースコーンスターチ、緑豆デンプン・デキストリン・漂白デンプン、可溶性デンプン、架橋デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化架橋デンプン、エーテル化架橋デンプン、α−デンプン、部分α化デンプンが挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができるデンプンはこれらの具体例に限定されるものではない。
【0022】
本発明では糖質として、通常に食品に使用される天然糖類や澱粉から加工した糖類およびそれらをさらに加工したり化学修飾したりした糖類を広く用いることができる。例えば、ブドウ糖・ショ糖・果糖・液糖・オリゴ糖・砂糖混合ブドウ糖果糖液糖・転化糖・麦芽糖・ブドウ糖果糖液糖・はちみつ・水あめ・メープルシュガー・乳糖などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる糖質はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0023】
本発明では糖アルコール類として、還元基を有する糖の還元基を還元してアルコール基としたものが広く用いることができる。例えば、マルチトール・ソルビトール・還元パラチノース・エリスリトール・ラクチトール・還元キシロオリゴ糖などの植物、動物、微生物由来の物質またはそれらを加工したり化学修飾したりした物質の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる糖アルコールはこれらの具体例に限定されるものではない。
【0024】
本発明では甘味料として、上述の糖質をそのまま使用できるほか、通常に食品に使用される天然甘味料や合成甘味料も広く用いることができる。例えば、アスパルテーム・グリチルリチン酸二ナトリウム・サッカリン・サッカリンナトリウム・トレハロース・マンニトール・N−アセチルグルコサミン・L−アラビノース・オリゴ−N−アセチルグルコサミン・カンゾウ抽出物・D−キシロース・クルクリン・α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア・酵素処理カンゾウ・酵素分解カンゾウ・ステビア・L−ソルボース・タウマチン・L−フコース・ミラクルフルーツ抽出物・ラカンカ抽出物・L−ラムノース・D−リボースなどの植物、動物、微生物由来の物質またはそれらを加工したり化学修飾したりした物質の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる甘味料はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0025】
本発明では乳製品として、牛乳などの乳関連製品やそれらを部分的に精製したものやそれらを加工したり化学修飾したりしたものを広く用いることができる。例えば、脱脂粉乳・低脂肪粉乳・全粉乳・ホエーたん白・カゼイン・カゼインナトリウム・酸カゼイン・レンネットカゼイン・ラクトアルブミン・チーズ・生クリーム・バター・練乳などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる乳製品はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0026】
本発明ではタンパク質として、通常に食品に使用されるタンパク質を広く用いることができる。例えば、大豆タンパク質・小麦タンパク質・魚肉タンパク質・スピルリナ・グルテン・活性グルテン・グリアジン・グルテニン・卵白・卵黄・ゼラチン・コラーゲン・プラズマ・血液タンパク質などの植物、動物、微生物由来の物質またはそれらを加工したり化学修飾したりした物質の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができるタンパク質はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0027】
本発明では油脂として、通常に食品に使用される油脂やそれらに水素添加したものおよびそれらを精製したものを広く用いることができる。例えば、粉末油脂・ショートニング・マーガリン・ラード・オリーブ油・カカオ油・硬化油・ごま油・小麦胚芽油・こめ油・さば油・サンフラワー油・大豆油・とうもろこし油・なたね油・パーム油・やし油・落花生油などの植物、動物由来の物質またはそれらを加工したり化学修飾したりした物質の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる油脂はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0028】
本発明では酵素として、通常に食品に使用される天然の酵素や微生物由来の酵素を広く用いることができる。例えば、アスコルビン酸オキダーゼ・アミノペプチダーゼ・α−アミラーゼ・β−アミラーゼ・アルギン酸リアーゼ・アントシアナーゼ・イソアミラーゼ・イソマルトデキストラナーゼ・インベルターゼ・ウレアーゼ・エステラーゼ・カタラーゼ・カルボキシペプチダーゼ・キトサナーゼ・グルカナーゼ・グルカナーゼ・グルコアミラーゼ・グルコースイソメラーゼ・グルコースオキシダーゼ・α−グルコシダーゼ・β−グルコシダーゼ・α−グルコシルトランスフェラーゼ・グルタミナーゼ・酸性ホスファターゼ・セルラーゼ・デキストラナーゼ・トランスグルコシダーゼ・トランスグルタミナーゼ・トリプシン・トレハロースホスホリラーゼ・ナリンジナーゼ・バーオキシダーゼ・パパイン・パンクレアチン・プルラナーゼ・プロテアーゼ・ペクチナーゼ・ペプシン・ペプチダーゼ・ヘミセルラーゼ・ホスホリパーゼ・ラクトパーオキシダーゼ・リゾチーム・リパーゼ・リポキシゲナーゼ・レンネットなどの天然酵素や微生物由来酵素の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる酵素はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0029】
本発明ではビタミンとして、通常に食品に使用される合成されたビタミンやその誘導体を広く用いることができる。例えば、L−アスコルビン酸・L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル・L−アスコルビン酸ナトリウム・L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル・エルゴカルシフェロール・コレカルシフェロール・ジベンゾイルチアミン・ジベンゾイルチアミン塩酸塩・チアミン塩酸塩・チアミン硝酸塩・チアミンセチル硫酸塩・チアミンチオシアン酸塩・チアミンナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩・チアミンラウリル硫酸塩・ニコチン酸アミド・パントテン酸カルシウム・パントテン酸ナトリウム・ビスベンチアミン・ビタミンA・粉末ビタミンA・ビタミンA脂肪酸エステル・ピリドキシン塩酸塩・メチルヘスペリジン・葉酸・リボフラビン・リボフラビン酪酸エステル・リボフラビン5‘−リン酸エステルナトリウムなどの合成ビタミンやその誘導体の1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができるビタミンはこれらの具体例に限定されるものではない。
【0030】
本発明では乳化剤として、通常に食品に使用される天然乳化剤および合成乳化剤やそれらを加工したり化学修飾したりしたものを広く用いることができる。例えば、エンジュサポニン・オオムギ穀皮抽出物・キラヤ抽出物・酵素処理ダイズサポニン・酵素処理レシチン・酵素分解レシチン・スフィンゴ脂質・植物性ステロール・ダイズサポニン・胆汁末・チャ種子サポニン・動物性ステロール・トマト糖脂質・ビートサポニン・ユッカフォーム抽出物・植物レシチン・卵黄レシチン・分別レシチン・グリセリン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ステアロイル乳酸カルシウム・ソルビタン脂肪酸エステル・デンプングリコール酸ナトリウム・デンプンリン酸エステルナトリウム・プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる乳化剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0031】
本発明では食品素材として、通常に食品に使用される天然物で一般的に食品素材と言われている物質を広く用いることができる。また、本発明でいう食品の中には飲料も含まれる。例えば、調味料類・甘味料類・酸味料類・油脂類・香辛料類・乳製品・酒類などとその他の農水畜林産物から得られたすべての食品関連物質の中から1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる食品素材はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0032】
本発明では製造用剤として、通常に食品の製造に使用され、一般的に製造用剤と言われている物質を広く用いることができる。例えば、脂肪酸類・活性炭・カラメル類・キトサン・焼成カルシウム類・シクロデキストリン・生石灰・タンニン類・不溶性鉱物性物質・木炭類・流動パラフィン・カゼインナトリウム・かんすい・グリセリン・コンドロイチン硫酸ナトリウム・酢酸ナトリウム・シリコーン樹脂・炭酸マグネシウム・二酸化ケイ素・微粒二酸化ケイ素・ピロリン酸四カリウム・ピロリン酸二水素二ナトリウム・ピロリン酸四ナトリウム・プロピレングリコール・ポリリン酸カリウム・ポリリン酸ナトリウム・メタリン酸カリウム・メタリン酸ナトリウム・硫酸アンモニウム・硫酸ナトリウム・硫酸マグネシウム・リン酸三カリウム・リン酸水素二アンモニウム・リン酸二水素アンモニウム・リン酸水素二カリウム・リン酸二水素カリウム・リン酸水素二ナトリウム・リン酸二水素ナトリウム・リン酸三ナトリウムなどとその他の農水畜林産物から得られたものおよび合成により得られたすべての食品関連物質の中から1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる製造用剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0033】
本発明では力価調整剤として、上述の繊維質・大豆関連物質・澱粉・糖質・糖アルコール・甘味料・乳製品・たんぱく質・油脂・食品素材・製造用剤のすべての中から1種または2種以上を用いることができる。また、通常に食品に使用されるナトリウム塩・カリウム塩・カルシウム塩・アンモニウム塩どの金属塩類の物質の中からも1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる力価調整剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0034】
本発明ではpH調整剤として、通常に食品に使用される天然由来または微生物発酵法または化学的合成により得られた有機酸やアルカリを広く用いることができる。例えば、イタコン酸・α−ゲトグルタル酸・フィチン酸・メバロン酸・アジピン酸・クエン酸・グルコン酸・コハク酸・氷酢酸・酒石酸・乳酸・塩酸・酢酸・フマル酸・りんご酸・リン酸・酸性ピロリン酸およびそれらのナトリウム塩・カリウム塩・カルシウム塩・アンモニウム塩および炭酸カルシウム・水酸化カルシウム・リン酸カルシウムリン酸一ナトリウム・リン酸二ナトリウム・リン酸三ナトリウム・ピロリン酸ナトリウム・ポリリン酸ナトリウム・トリポリリン酸ナトリウム・ピロリン酸カリウム・ヘキサメタリン酸ナトリウム・メタリン酸ナトリウム・メタリン酸カリウム・フマル酸一ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・炭酸ナトリウム・炭酸水素カリウム・炭酸カリウム・炭酸水素アンモニウム・水酸化ナトリウムなどが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができるpH調整剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0035】
本発明では香辛料として、通常に食品に使用される主に植物由来の物質またはそれを加工したり精製したりした物質を広く用いることができる。例えば、アーモンド・アジョワン・アニス種子・アンゼリカ・うこん粉・オールスパイス・オリガノ・オレオレンジ・カシア・カプシカムペパー・カミツレ・からし・ガラナ・カルダモン・乾燥かんきつ皮・キャラウェイ・クミン種子・クローブ・ケーパー・けし種子・コーラ・コカ・こしょう・ごま・コリアンダー種子・サフラン・さんしょう・しそ・シャロット・しょうが・ジュニパーベリー・シンナモン・スターアニス・スペアミント・セイジ・セイボリー・セロリーシード・タイム・たで・たまねぎ・タラゴン・チコリ・チャービル・チャイブ・抽出粉末香辛料・チリペパー・ディル・ナツメグ・にら・にんにく・ねぎ・バジル・パセリ・はっか葉・パプリカ・ビスタチオ・フェヌグリーク・フェンネル種子・ホースラディッシュ・マージョラン・みつば・みょうが・メース・ゆず・ライム・レッドペパー・レモン・ローズマリー・ローレル・わさびなどが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる香辛料はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0036】
本発明では酸化防止剤として、通常に食品に使用される天然由来の物質またはそれらを加工したり化学修飾したりした物質を広く用いることができる。例えば、チャ抽出物・抽出トコフェロール・没食子酸・ルチン・オリザノール・クエルセチン・コメヌカ抽出物・セージ抽出物・フェルラ酸・ローズマリー抽出物・EDTAカルシウム二ナトリウム・EDTA二ナトリウム・エリソルビン酸・エリソルビン酸ナトリウム・ジブチルヒドロキシトルエン・dl−α−トコフェロール・ブチルヒドロキシアニソール・没食子酸プロピルなどが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる酸化防止剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0037】
本発明では強化剤として、通常に食品に使用される天然由来の物質またはそれらを加工したり化学修飾したりした物質を広く用いることができる。例えば、アミノ酸類・焼成カルシウム類・抽出トコフェロール類・未焼成カルシウム類・有機酸塩類・リン酸塩類・硫酸塩類・カルシウム類などが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる強化剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0038】
本発明では膨張剤として、通常に食品に使用される主に化学的合成で得られた物質を広く用いることができる。例えば、塩化アンモニウム・合成膨張剤・炭酸アンモニウム・炭酸カリウム・炭酸水素アンモニウム・炭酸水素ナトリウム・硫酸アルミニウムアンモニウム・硫酸アルミニウムカリウムなどが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる膨張剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0039】
本発明では着香剤として、通常に食品に使用される天然由来の物質または化学的合成した物質およびそれらを加工したり化学修飾したりした物質を広く用いることができる。例えば、オレンジ油・からし油・ガーリック油・ジンジャー油・スペアミント油・タイム油・たまねぎ油・はっか油・バニラ豆・ペパーミント油・レモン油および酢酸類・フェニル酸類・プロピオン酸類・ヘキサン類・酪酸類・エステル類・エーテル類・ケトン類・脂肪酸類などが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる着香剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0040】
本発明では着色剤として、通常に食品に使用される天然由来および化学的合成で得られる物質を広く使用できる。赤、黄、茶、青、黒、紫などの各色の着色料の中から1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる着色剤はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0041】
本発明では保存料として、通常に食品に使用される天然由来の物質または化学的合成した物質およびそれらを加工したり化学修飾したりした物質を広く使用することができる。例えば、しらこたんぱく抽出物・ポリリシン・亜硫酸ナトリウム・安息香酸ナトリウム・パラオキシ安息香酸類・ソルビン酸・ソルビン酸カリウム・プロピオン酸・プロピオン酸カルシウム・プロピオン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる保存料はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0042】
本発明では調味料として、通常食品に使用される天然由来の物質または化学的合成した物質およびそれらを加工したり化学修飾したりした物質を広く使用できる。例えば、粉末化野菜類・粉末化果実類・アミノ酸類・核酸類・コハク酸類・酒石酸類などが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いることができる調味料はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0043】
本発明の赤飯用改良剤は、ポリフェノール酸化酵素を含有するものであれば、その他の成分の種類や含有量は所期の効果を阻害しない限り特に制限されないが、例えば、ラッカーゼダイワY120(大和化成株式会社)の配合量が当該赤飯用改良剤に対し0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%〜80重量%、より好ましくは0.1重量%〜8重量%である。
【0044】
本発明の赤飯用改良剤の形状は、下記の形状をとることができる。
(1)粉末材料や液体材料の乾燥物あるいは、その両者を混合して得られた粉末状、
(2)(1)を顆粒に調整した顆粒状、
(3)(1)もしくは(2)を打錠形成した錠剤もしくは、タブレット状、
(4)粉末材料を水等に溶解もしくは、液体材料を混合したペースト状や液状
(5)(1)〜(4)をカプセルやマイクロカプセル等に封入したカプセル状
ただし、本発明で用いることができる形状はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0045】
本発明の赤飯製造工程は、赤飯の製造工程の中で、色素液に本発明の赤飯用改良剤を添加することで成しえる。赤飯用改良剤を添加するタイミングは特に制限されないが、好ましくは色素液を調整してから蒸しもしくは炊飯の工程に移るまでの間、より好ましくは米を色素液に浸漬する時である。このときの色素液の温度は、好ましくは90℃以下、より好ましくは70℃以下、例えは5〜60℃である。赤飯用改良剤の添加の仕方としては、色素液に粉もしくは液のまま添加したり、その他の溶媒に溶解したりして使用する。
【0046】
また。本発明の赤飯用改良剤は、赤飯の素のような添加物や調味料などの赤飯製造の材料や原料となるものの製造にも適用できる。
【0047】
本発明における赤飯の製造方法のさらなる利点は、従来の技術と比較して赤飯の色調を自然で鮮やかな赤色にすることである。また、本発明の赤飯製造工程は、複雑な工程を必要とせず、非常に簡易で衛生的な赤飯の製造が提供できるため、製造コストや管理コストが低減化されることである。さらに、本発明の赤飯用改良剤の添加量を調節することで好みの色調や風味を引き出すことができるため、好みに応じた色調の赤飯類を作製することができることや、赤飯の味を変化させることなく良好な食味の赤飯を提供することができることである。
【実施例】
【0048】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、手順、添加量、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。なお、以下の実施例では赤飯用改良剤としてポリフェノール酸化酵素であるラッカーゼダイワY120(大和化成株式会社製)を使用した。
【実施例1】
【0049】
ささげ豆30gを計量し、沸騰した水1Lに投入して8分間煮沸した。8分間煮沸後、ささげ豆(煮豆)と煮汁を分離し、煮汁を流水にて室温まで冷却した。冷却した煮汁にラッカーゼダイワY120を0.5%となるように添加し、時間経過に伴う吸収波長の変化を測定するとともに、その時の色調の変化を観察した。一方、対象としてラッカーゼダイワY120を添加しなかったものについても同様に測定した。その結果、ささげ豆の煮汁にラッカーゼダイワY120を添加することで500nmの吸光度が上昇し、色調が鮮やかになった。
【実施例2】
【0050】
(色付け時間5時間)
ささげ豆30gを計量し、沸騰した水1Lに投入して8分間煮沸した。8分間煮沸後、ささげ豆(煮豆)と煮汁を分離し、煮汁を流水にて室温まで冷却した。ここで得られた煮汁を赤飯の色付け用煮汁とした。水で2時間30分浸漬したもち米300gを作成した煮汁300mlに浸漬し、ラッカーゼダイワY120を0.75mg添加して5時間色付けを行った。色付け後のもち米を煮豆と共に布巾に包み、蒸し器で1時間蒸し上げた。一方、対象としてラッカーゼダイワY120を添加しなかったものについても同様に蒸し器で蒸し上げた。ラッカーゼダイワY120を添加して製造した赤飯は無添加のものと比較して、鮮やかな色調の赤飯に仕上がった。また、赤飯の色調について、無添加のものを対象(0)とし、赤色の色調として適しているものを0から5の6段階で評価して平均点で示した。結果を表1に示す。
【表1】

【実施例3】
【0051】
(色付け時間1時間)
ささげ豆30gを計量し、沸騰した水1Lに投入して8分間煮沸した。8分間煮沸後、ささげ豆(煮豆)と煮汁を分離し、煮汁を流水にて室温まで冷却した。ここで得られた煮汁を赤飯の色付け用煮汁とした。水で2時間30分浸漬したもち米300gを作成した煮汁300mlに浸漬し、ラッカーゼダイワY120を7.5mg添加して1時間色付けを行った。色付け後のもち米を煮豆と共に布巾に包み、蒸し器で1時間蒸し上げた。一方、対象としてラッカーゼダイワY120を添加しなかったものについても同様に蒸し器で蒸し上げた。ラッカーゼダイワY120を添加して製造した赤飯は無添加のものと比較して、鮮やかな色調の赤飯に仕上がった。また、赤飯の色調について、無添加のものを対象(0)とし、赤色の色調として適しているものを0から5の6段階で評価して平均点で示した。結果を表2に示す。
【表2】

【実施例4】
【0052】
ささげ豆30gを計量し、沸騰した水1Lに投入して8分間煮沸した。8分間煮沸後、ささげ豆(煮豆)と煮汁を分離し、煮汁を流水にて室温まで冷却した。水で2時間30分浸漬したもち米300gに、冷却した煮汁300gと煮豆を加え、ラッカーゼダイワY120を3.0mg添加して炊飯器(東芝製、東芝IH保温釜RC−5KX)の早炊きモードで炊飯した。一方、対象としてラッカーゼダイワY120を添加しなかったものについても同様に炊飯した。ラッカーゼダイワY120を添加して製造した赤飯は無添加のものと比較して、鮮やかな色調の赤飯に仕上がった。また、赤飯の色調について、無添加のものを対象(0)とし、赤色の色調として適しているものを0から5の6段階で評価して平均点で示した。結果を表3に示す。
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1の吸収波長の変化を測定した結果を示すチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノール酸化酵素を含有することを特徴とする赤飯用改良剤。
【請求項2】
ポリフェノール酸化酵素を含有し、さらに多糖類、繊維質、大豆関連物質、デンプン、糖質、糖アルコール、甘味料、乳製品、タンパク質、油脂、酵素、ビタミン、乳化剤、食品素材、製造用剤、pH調整剤、香辛料、酸化防止剤、強化剤、膨張剤、着香剤、着色剤、保存料、および調味料からなる群より選択される1種または2種以上の成分を含有することを特徴とする赤飯用改良剤。
【請求項3】
粉末状、液体状、顆粒状、ペースト状、固形状、カプセル状、またはタブレット状であることを特徴とする請求項1または、2に記載の赤飯用改良剤。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の赤飯用改良剤を添加する工程を含むことを特徴とする赤飯の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2または3に記載の赤飯用改良剤を添加した小豆類の煮汁に原料米を浸漬する工程を含むことを特徴とする赤飯の製造方法。
【請求項6】
請求項1、2または3に記載の赤飯用改良剤を添加して製造されたことを特徴とする赤飯。

【図1】
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【公開番号】特開2009−165450(P2009−165450A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28163(P2008−28163)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000206978)大塚薬品工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】