説明

車両ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ

【課題】全体的な寸法を変更することなく信頼性を高めたブレーキ用機械式作動装置カートリッジを提供すること。
【解決手段】カートリッジは、本体24と、並進運動でプッシュ板を駆動する回転制御板と、プッシュ板を制御板の方へ圧迫する弾性手段と、弾性手段を保持する保持器40とを含む。本体24は、保持器40の軸方向垂れ部44に形成されている取付け口46と協働する、保持器40を取り付ける突出部42を含む。保持器40は、取付け口46が突出部42と協働する取付け位置と、保持器40が本体24に取り付けられていない解除位置との間で回転運動をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ブレーキ装置に関し、特に、機械式ハンドブレーキ作動装置を含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなブレーキ装置は、従来の方法では、車両の車輪から独立して回転することができないブレーキディスクにブレーキパッドをしっかり押し付けることが意図されている水撃ポンプを含む。水撃ポンプは、ラムシリンダと、シリンダ内を滑動することができるラムピストンとを含む。
【0003】
通常、ラムピストンの並進運動は、これら回転制御手段の回転運動をピストンの並進運動に変換する手段を介して、回転制御手段により引き起こされる。これら変換手段は、ブレーキ用機械式作動装置カートリッジにより支持されており、そのカートリッジは、ラムシリンダ内の回転制御手段とピストンとの間に配置されることが意図されている。
【0004】
このように、先行技術、特にITTO20010681(A1)は、
−シリンダから独立して回転することができない、軸を中心とする回転の対称性を示す全体形状を有するカートリッジ本体と、
−カートリッジ本体内に収容されており、一方では、回転制御板から独立して回転することができず、他方では、回転制御手段と1つのものとして回転することが意図されている、制御主軸と、
−カートリッジ本体内に収容されており、一方では、制御板の回転運動をプッシュ板の並進運動に変換する手段を介して制御板と協働し、他方で、ラムピストンと協働して、このラムピストンの並進運動を駆動することが意図されている、プッシュ板(push plate)と、
−プッシュ板を制御板の方へ圧迫する弾性手段と、
−弾性手段を保持する保持器であり、弾性手段は、保持器により担持されている第1の座部とプッシュ板により担持されている第2の座部との間に延在する、保持器と
を含み、
−カートリッジ本体は、保持器を本体に取り付ける少なくとも1つの突出部を含み、保持器は、取付け突出部と協働してこの保持器をカートリッジ本体に取り付けることができる取付け口を含む少なくとも1つの軸方向垂れ部を含み、
−保持器は、取付け口が取付け突出部と協働する取付け位置と、保持器が本体から解放されている解除位置との間で、カートリッジ本体の軸を中心とする回転運動が可能であり、
−カートリッジ本体は、保持器の回転を制限する少なくとも1つの第1の外周限界停止部(limit stop)を含み、保持器がその解除位置にある場合、保持器の軸方向垂れ部は、第1の限界停止部と協働することができる
種類のカートリッジを開示している。
【0005】
カートリッジがシリンダ内に格納されているかまたは装備されている場合、弾性圧迫手段は、保持器によりカートリッジ内に保持されており、保持器は、カートリッジ本体に取り付けられている。
【0006】
カートリッジがシリンダ内に挿入された場合、保持器は、本体へのその取付け位置からこの本体から解放されている位置へ回転する。この位置変化の間に、軸方向垂れ部は、持ち上がって取付け突出部に当接して載る際に、若干の径方向移動により変形する。
【0007】
この軸方向垂れ部には、通常、例えばラムシリンダ内に形成されている周囲溝穴部などの開口部と協働することが意図されている鉤状部が設けられている。したがって、軸方向垂れ部が取付け突出部に当接して載っている場合、鉤状部は、保持器がシリンダに取り付けられるように、対応する開口部と協働する。
【0008】
保持器がシリンダに取り付けられた場合、垂れ部は、小さい寸法の取付け突出部で構成されている表面積の減少した表面に当接して載ることが分かるであろう。したがって、垂れ部が外れるかまたは変形し、早期の保持器の損耗につながる危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ITTO20010681(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
寸法がカートリッジの環境により決定されるので、カートリッジの全体的な寸法を変更することなく、そのようなカートリッジの信頼性を高めることが、本発明の注目すべき目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明の1つの主題は、保持器が解除位置にある場合に軸方向垂れ部が取付け突出部および傾斜部の両方に当接して径方向に担持するように、カートリッジ本体が第1の限界停止部に隣接する傾斜形成突出部を含む、前述の種類のブレーキ用機械式作動装置カートリッジである。
【0012】
この傾斜形成突出部のおかげで、軸方向垂れ部は、保持器がその解除位置にある場合の1つだけではなく、2つの軸受面(取付け突出部および傾斜部)に当接して載る。したがって、この解除位置では、軸方向垂れ部はより安定しており、カートリッジがこのシリンダ内に挿入された場合に過失によりシリンダから外れる危険性がない。
【0013】
さらに、この突出部が第1の限界停止部に隣接しているため、突出部は、この第1の限界停止部を補強し、第1の限界停止部が従来のカートリッジの限界停止部より大きな荷重に耐えることを可能にする。
【0014】
本発明によるブレーキ用機械式作動装置カートリッジが、以下の特徴の内の1つまたは複数をさらに含んでいてもよい。
【0015】
−カートリッジ本体は、その取付け位置に向かう保持器の回転を制限する少なくとも第2の外周限界停止部を含む。そのような限界停止部は、保持器がその解除位置に向かう回転と逆方向に回転するのを防止する。
【0016】
−カートリッジ本体は、第1の外周限界停止部および第2の外周限界停止部により周方向に範囲を定められた少なくとも1つの径方向突出部を含む。
【0017】
−カートリッジ本体の径方向突出部は、カートリッジ本体とプッシュ板とが互いに独立して回転することができないように、プッシュ板に属する相補的軸方向レリーフと協働することを意図されている軸方向切欠きを含む。
【0018】
−軸方向切欠きが第1の壁および第2の壁により周方向に範囲を定められている状態で、第1の壁と第1の限界停止部との間の円周距離が第2の壁と第2の限界停止部との間の円周距離より小さい。したがって、第2の限界停止部は、荷重に耐えるように特に十分に補強されている。
【0019】
−カートリッジ本体は鍛造されている。
【0020】
−取付け突出部は、一方では、この保持器がその解除位置の方へ角度的に動かされると保持器の軸方向垂れ部と協働する傾斜部により、他方では、その解除位置へ向かう角運動と逆の角運動を防止するために軸方向垂れ部と協働することが意図されている、限界停止部を形成している段部により、周方向に範囲を定められている。
【0021】
−制御板の回転運動をプッシュ板の並進運動に変換する手段は、外周傾斜部を形成している、制御板に形成されている第1の外周溝部と、プッシュ板に形成されている第2の外周溝部と、第1の外周溝部と第2の外周溝部との間に収容されている少なくとも1つの玉とを含む。
【0022】
本発明の別の主題は、
−ラムシリンダとラムピストンとを含む自動車ブレーキ水撃ポンプと、
−本明細書前段に記載されている機械式作動装置カートリッジと
を含む種類の自動車ブレーキ装置であり、
カートリッジは、カートリッジ本体がシリンダから独立して回転運動をすることができないように、かつ、プッシュ板がこのラムピストンの並進運動を駆動することができるような方法でラムピストンと協働するように、シリンダ内に収容されている、自動車ブレーキ装置である。
【0023】
作動装置カートリッジの保持器の軸方向垂れ部は、保持器が解除位置にある場合に保持器をシリンダ上に保持するために、ラムシリンダに形成されている開口部と協働することができる鉤状部を含むことが好ましい。
【0024】
また、プッシュ板は、ラムピストンに固定されている、ねじを形成する相補的第2の連結部材と協働することが意図されている、ナットを形成する第1の連結部材に固定されていることが好ましい。
【0025】
本発明は、単に例として与えられており、かつ、添付図面を参照して作成されている、以下に続く記載を読むことにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一例示的実施形態によるブレーキ装置の軸方向断面図である。
【図2】図1のブレーキ装置に装備されているカートリッジ本体の斜視図である。
【図3】図1のブレーキ装置に装備されているカートリッジ本体の横断面図である。
【図4】保持器が取り付けられた状態にある、図2および図3のカートリッジ本体ならびにカートリッジ保持器の斜視図である。
【図5】保持器が解放された状態にある、図2および図3のカートリッジ本体ならびにカートリッジ保持器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一例示的実施形態による自動車ブレーキ装置10を示す。
【0028】
ブレーキ装置10は、車両の車輪から独立して回転することができないブレーキディスクにブレーキパッドを押し付けることが意図されている水撃ポンプ12を含む。水撃ポンプ12は、ラムシリンダ14と、シリンダ14内で滑動することが意図されているラムピストン16とを含み、これらは、全体的に、軸Xを中心とする回転の対称性を示す。
【0029】
ラムピストン16は、回転制御手段18により、これら制御手段18の回転運動をピストン16の並進運動に変換する手段20により、並進運動をもたらすように作製される。これら変換手段20は、ラムシリンダ14内に回転制御手段18とピストン16との間に配置されている、ブレーキの機械式作動装置カートリッジ22により支持されている。
【0030】
カートリッジ22は、軸Xを中心とする回転の全体的な対称性を有するカートリッジ本体24を含む。このカートリッジ本体24は、鍛造により製造されることが好ましい。
【0031】
この本体24は、カートリッジ22がシリンダ14内に挿入された場合に本体24をシリンダ14に固定するために、シリンダ14に形成されている相補口26と協働することが意図されている少なくとも1つの植込みボルト25を含む。
【0032】
また、カートリッジ22は、カートリッジ本体24内に部分的に収容されている回転制御手段18と1つのものとして回転することが意図されている制御主軸27を含む。また、この制御主軸27は、本体24内に収容されている回転制御板28と1つのものとして回転する。例えば、制御主軸27と回転制御板28とは、一体として形成される。
【0033】
カートリッジ22は、ピストン16から独立して軸Xに沿った並進運動ができないプッシュ板30をさらに含む。
【0034】
プッシュ板30は、ブレーキパッドの損耗を補償する手段31によりピストン16に連結されていることが好ましい。これら損耗補償手段31は、例えばプッシュ板30と一体として形成されている、プッシュ板30に固定されている、細長いナットを形成する第1の部材31Aと、ピストン16に固定されている、ナット31Aと協働する、ねじを形成する第2の部材31Bとを含む。したがって、損耗補償手段31は、ねじ31Bがナット31A内にねじ込まれる程度に従って変化し得る長さを有し、したがって、ブレーキパッドの損耗の程度に基づいてプッシュ板30とピストン16との間の距離を長くすることを可能にする。
【0035】
軸Xの方向に並進運動で駆動されるように、プッシュ板30は、制御板28の回転運動をプッシュ板30の並進運動に変換する手段20を介して制御板28と協働する。
【0036】
変換手段20は、制御板28に形成されている第1の外周溝部32と、第1の外周溝部32に対向している、プッシュ板30に形成されている第2の外周溝部34とを含む。変換手段20はまた、少なくとも1つの、好ましくは複数の、第1の外周溝部32と第2の外周溝部34との間に収容されている玉軸受36を含む。
【0037】
第1の外周溝部32および第2の外周溝部34の少なくとも1つが、外周傾斜部を形成する。外周傾斜部のため、回転制御手段18により駆動された制御板28が回転し始めると、プッシュ板30が軸Xの方向に並進運動で移動させられるように、各玉36は、外周傾斜部に沿って第1の溝部32および第2の溝部34内を転がる。
【0038】
各玉36を第1の溝部32と第2の溝部34との間に維持するために、カートリッジ22は、プッシュ板30を制御板28の方へ圧迫する弾性手段38を含み、これら手段は、例えば圧縮ばねを含む。
【0039】
これら弾性手段38は、これら弾性手段38を保持する保持器40により、カートリッジ22内に保持されている。したがって、弾性手段38は、保持器40により担持されている第1の座部38Aとプッシュ板30により担持されている第2の座部38Bとの間に延在している。
【0040】
カートリッジ本体24と保持器40とは、図2から図5により詳細に示されている。
【0041】
カートリッジ本体24は、保持器40を本体24に取り付ける少なくとも1つ、好ましくは3つの取付け突出部42を含む。保持器40は、対応する取付け突出部42と協働して図4に示されていた通りこの保持器40をカートリッジ本体24に取り付けることが意図されている取付け口46を含む、少なくとも1つ、好ましくは3つの軸方向垂れ部44を含む。各垂れ部44は、径方向に弾性的に変形可能である。
【0042】
図2および図3に示された通り、各取付け突出部42は、一方では傾斜部42Aにより、他方では段部42Bにより、周方向に範囲を定められている。
【0043】
このように、各取付け突出部42は、保持器40が第1の方向に回転することを可能にし、第1の方向では、対応する軸方向垂れ部44は傾斜部42Aと協働し、第1の方向と逆の第2の方向に保持器40が回転するのを防止し、第2の方向では、段部42Bは限界停止部を形成し、軸方向垂れ部44と協働する。
【0044】
具体的には、保持器40は、各取付け口46が対応する取付け突出部42と協働する取付け位置(図4に示されている)と、保持器40が本体24に取り付けられていない解除位置(図5に示されている)との間で、軸Xを中心に回転することができる。
【0045】
カートリッジ本体24は、保持器40の回転を制限する第1の外周限界停止部50および第2の外周限界停止部52により周方向に範囲を定められている少なくとも1つ、好ましくは3つの径方向突出部48を含むことが分かるであろう。
【0046】
保持器40の各軸方向垂れ部44は、保持器40が解除位置にある場合には対応する第1の限界停止部50と、保持器がその取付け位置にある場合には対応する第2の限界停止部52と協働することができる。したがって、第2の限界停止部52は、対応する軸方向垂れ部44と協働して、保持器40の解除位置へ向かう回転と逆の回転を防止することが意図されている。
【0047】
本体24の各径方向突出部48は、このカートリッジ本体24がこのプッシュ板30から独立して回転することができないようにするために、プッシュ板30の相補的軸方向レリーフと協働することが意図されている軸方向切欠き54を含むことが分かるであろう。
【0048】
軸方向切欠き54は、第1の壁56と第2の壁58とにより周方向に範囲を定められており、第1の壁56と第1の限界停止部50との間の円周距離は、第2の壁58と第2の限界停止部52との間の円周距離より小さい。換言すれば、第2の限界停止部52は、第1の限界停止部50より一層強化されており、したがって、より大きな荷重に耐えることができる。
【0049】
カートリッジ本体24はまた、第1の限界停止部50に隣接する少なくとも1つ、好ましくは3つの傾斜形成突出部60を含む。第1の限界停止部50を強化することに加えて、この傾斜部60は、保持器40が解除位置にある場合に対応する軸方向垂れ部44のための径方向支持体を形成する。
【0050】
したがって、保持器40のこの解除位置では、各軸方向垂れ部44は、図5に示されていた通り、対応する取付け突出部42および対応する傾斜部60の両方に当接して径方向に載る。したがって、2つの軸受面に当接して径方向に載っているこの軸方向垂れ部44は、取付け突出部42のみに当接して載っている場合より安定している。
【0051】
各軸方向垂れ部44には、保持器がその解除位置にある場合に保持器40をシリンダ14上に保持するために、ポンプ12のシリンダ14上に形成されている開口部64、例えば周囲溝穴部、と協働することが意図されている鉤状部62が備え付けられていることが分かるであろう。
【0052】
具体的には、保持器40がその解除位置にある場合、各垂れ部44は、対応する取付け突出部42および対応する傾斜部60に径方向に当接して載り、したがって、保持器40が取付け位置にある場合に垂れ部が占有する位置に対して径方向にずれている。鉤状部62が対応する開口部64と協働するのは、この垂れ部44がこのように径方向にずれている時である。
【0053】
格納または取付け中、保持器40は、取付け突出部42によりカートリッジ本体24上に保持されている。カートリッジ22がラムシリンダ14内に挿入されると、保持器40は、その解除位置のなるべく遠くに回転させられ、その位置では、保持器40は、もはやカートリッジ本体24に取り付けられていないが、シリンダ14に取り付けられている。
【0054】
このように、解除位置では、弾性手段38により生成される弾性力が、最初に鉤状部62を経由し、次にプッシュ板30と制御板28とカートリッジ本体24とで構成されている積層を経由して、シリンダ14へ伝達される。
【0055】
したがって、カートリッジ22は、簡単で、信頼できる、効果的な方法でシリンダ14に取り付けられたままである。
【0056】
最後に、本発明は、本明細書前段に記載されている実施形態に限定されないこと、および本特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく修正され得ることが分かるであろう。
【符号の説明】
【0057】
10 ブレーキ装置
12 水撃ポンプ
14 ラムシリンダ
16 ラムピストン
18 回転制御手段
20 変換手段
22 機械式作動装置カートリッジ
24 カートリッジ本体
25 植込みボルト
26 相補口
27 制御主軸
28 回転制御板
30 プッシュ板
31 損耗補償手段
31A 第1の連結部材、ナット
31B 第2の連結部材、ねじ
32 第1の外周溝部
34 第2の外周溝部
36 玉軸受
38 弾性手段
38A 第1の座部
38B 第2の座部
40 保持器
42 取付け突出部
42A 傾斜部
42B 段部
44 軸方向垂れ部
46 取付け口
48 径方向突出部
50 第1の限界停止部
52 第2の限界停止部
54 軸方向切欠き
56 第1の壁
58 第2の壁
60 傾斜形成突出部、傾斜部
62 鉤状部
64 開口部、溝穴部
X 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)であって、
軸(X)を中心とする回転の対称性を示す全体形状を有するカートリッジ本体(24)と、
前記カートリッジ本体(24)内に収容された回転制御板(28)と、
プッシュ板(30)であって、前記カートリッジ本体(24)内に収容され、前記制御板(28)の回転運動を前記プッシュ板(30)の並進運動に変換する手段(20)を介して前記制御板(28)と協働する、プッシュ板(30)と、
前記プッシュ板(30)を前記制御板(28)の方へ圧迫する弾性手段(38)と、
前記弾性手段(38)を保持するための保持器(40)であって、前記弾性手段(38)は、前記保持器(40)により担持されている第1の座部(38A)と前記プッシュ板(30)により担持されている第2の座部(38B)との間に延在している、保持器(40)とを含み、
前記カートリッジ本体(24)は、前記保持器(40)を前記本体(24)に取り付ける少なくとも1つの突出部(42)を含み、前記保持器(40)は、前記取付け突出部(42)と協働してこの保持器(40)を前記カートリッジ本体(24)に取り付けることができる取付け口(46)を含む少なくとも1つの軸方向垂れ部(44)を含み、
前記保持器(40)は、前記取付け口(46)が前記取付け突出部(42)と協働する取付け位置と、前記保持器(40)が前記本体(24)から解放されている解除位置との間で、前記カートリッジ本体(24)の前記軸(X)を中心とする回転運動をすることができ、
前記カートリッジ本体(24)は、前記保持器(40)の前記回転を制限するための少なくとも1つの第1の外周限界停止部(50)を含み、前記保持器(40)がその解除位置にある場合に前記保持器(40)の前記軸方向垂れ部(44)は、前記第1の限界停止部(50)と協働することができる種類の、機械式作動装置カートリッジ(22)において、
前記カートリッジ本体(24)は、前記保持器(40)が前記解除位置にある場合に、前記軸方向垂れ部(44)が、前記取付け突出部(42)および傾斜形成突出部(60)の両方に当接して径方向に載るように、前記第1の限界停止部(50)に隣接する前記傾斜形成突出部(60)を含むことを特徴とする、機械式作動装置カートリッジ(22)。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)において、
前記カートリッジ本体(24)は、前記第1の外周限界停止部(50)により周方向に範囲を定められており、かつ、前記保持器(40)のその取付け位置へ向かう前記回転を制限する第2の外周限界停止部(52)により範囲を定められている少なくとも1つの径方向突出部(48)を含む、ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)において、
前記カートリッジ本体(24)の前記径方向突出部(48)は、前記カートリッジ本体(24)と前記プッシュ板(30)とが互いに独立して回転することができないように、前記プッシュ板(30)に属する相補的軸方向レリーフと協働することが意図された軸方向切欠き(54)を含む、ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)において、
前記軸方向切欠き(54)は第1の壁(56)と第2の壁(58)とにより周方向に範囲を定められている状態で、前記第1の壁(56)と前記第1の限界停止部(50)との間の円周距離は、前記第2の壁(58)と前記第2の限界停止部(52)との間の円周距離より小さい、ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)において、
前記カートリッジ本体(24)は鍛造された、ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)において、
前記取付け突出部(42)は、一方では、前記保持器(40)がその解除位置に向かって回転している場合に前記保持器(40)の前記軸方向垂れ部(44)と協働する傾斜部(42A)により、他方では、前記保持器(40)の前記解除位置へ向かう前記回転と逆の回転を防止するために、前記軸方向垂れ部(44)と協働することが意図された限界停止部を形成する段部(42B)により、周方向に範囲を定められた、ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)において、
前記制御板(28)の前記回転運動を前記プッシュ板(30)の前記並進運動に変換する前記手段(20)は、前記制御板(28)に形成されている第1の外周溝部(32)と、前記第1の外周溝部(32)と対向する、前記プッシュ板(30)に形成されている第2の外周溝部(34)と、前記第1の外周溝部(32)と前記第2の外周溝部(34)との間に収容された少なくとも1つの玉(36)とを含み、前記第1の外周溝部(32)および前記第2の外周溝部(34)の少なくとも1つが、外周傾斜部を形成する、ブレーキ用機械式作動装置カートリッジ(22)。
【請求項8】
自動車ブレーキ装置(10)において、
ラムシリンダ(14)とラムピストン(16)とを含む自動車ブレーキ水撃ポンプ(12)と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の機械式作動装置カートリッジ(22)とを含み、
前記カートリッジ(22)は、前記シリンダ(14)から独立して前記カートリッジ本体(24)が回転運動をすることができないように、かつ、前記プッシュ板(30)がラムピストン(16)の前記並進運動を駆動できるようなに前記ラムピストン(16)と協働するように、前記シリンダ(14)内に収容されている、自動車ブレーキ装置(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の自動車ブレーキ装置(10)において、
前記作動装置カートリッジ(22)の前記保持器(40)の前記軸方向垂れ部(44)は、前記保持器(40)がその解除位置にある場合に前記保持器(40)を前記シリンダ(14)に保持するために、前記ラムシリンダ(14)に形成された開口部(64)と協働することができる鉤状部(62)を含む、自動車ブレーキ装置(10)。
【請求項10】
請求項8または9に記載の自動車ブレーキ装置(10)において、
前記プッシュ板(30)は、前記ラムピストン(16)に固定されたねじ(31B)を形成する相補的な第2の連結部材と協働するように意図されたナット(31A)を形成する第1の連結部材に固定された、自動車ブレーキ装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−42049(P2012−42049A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−140103(P2011−140103)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】