説明

車両内での感性選曲システム及びその方法

【課題】運転者が選択した曲などを外部環境情報、内部環境情報、走行環境情報、運転者状態情報を基準に分類し、運転者が曲を選曲した場合、当該カテゴリー内の音楽を引き続き自動選曲する車両の感性選曲システム及びその方法を提供する。
【解決手段】車両内での感性選曲システムは、車両の走行情報を収集する車両走行情報収集部100と、車両の外部環境情報を収集する車両外部環境情報収集部200と、車両の内部環境情報を収集する車両内部環境情報収集部300と、運転者の状態情報を収集する運転者状態情報収集部400と、運転者によって選択された曲を上記各収集部から収集された情報とマッチングをとり、運転者の選択する曲ごとにマッチングさせた情報のうち類似の条件別にカテゴリーを分類して選択された曲を保存し、選択された曲が再生されると選択された曲が含まれているカテゴリー内の他の曲を引き続き再生させる制御部500とを含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内での感性選曲システム及びその方法に係り、より詳しくは、車両外部環境情報、車両走行情報、車両内部環境情報、運転者状態情報を全て考慮して音楽を自動選択して提供するもので、運転者が選択した曲などを外部環境情報、内部環境情報、車両走行情報、運転者状態情報を基準に分類し、運転者の選択した曲が、分類されたカテゴリーのうちの一つに属する曲である場合、当該カテゴリー内の音楽を引き続き自動選曲する車両内での感性選曲システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、運転者が車両内で音楽を聞こうとする場合、運転者が望む曲を直接選択して聞かなければならなかった。しかし、運転中に運転者が車両内のマルチメディア端末に保存されている音楽リストを検索して選択しようとすれば、視線が前方から外れ事故の危険があった。従来は、運転者の心臓拍同数を測定して自動選曲する技術(特許文献1参照)、運転者のバイオリズムを介し感性指数を把握して自動選曲する技術(特許文献2参照)、天気状態に基づいた選曲技術(特許文献3参照)などが開発されている。しかし、このような従来技術は、運転者の複合的な状況を考慮せず運転者の心臓拍動数、バイオリズム、天気など一つの状況にのみ合わせて選曲するものであり、選曲された音楽が必ずしも運転者の満足ゆくものではないとの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許公開2006−0069807
【特許文献2】韓国登録特許986,527号
【特許文献3】韓国特許公開10−2009−0122705
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、車両外部環境情報、車両走行情報、車両内部環境情報、運転者状態情報を全て考慮して音楽を自動選択する車両の感性選曲システム及びその方法を提供することにある。本発明の他の目的は、運転者が選択した曲などを外部環境情報、内部環境情報、走行環境情報、運転者状態情報を基準に分類し、運転者が、分類されたカテゴリーのうち一つに属する曲を選曲した場合、当該カテゴリー内の音楽を引き続き自動選曲する車両の感性選曲システム及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両内での感性選曲システムは、車両の走行情報、車両の外部環境情報、車両の内部環境情報及び運転者の状態情報のうち少なくとも一つ以上を収集する情報収集部と、運転者によって選択された曲を前記各収集部から収集された情報とマッチングとり、運転者の選択する曲ごとにマッチングさせた情報のうち類似の条件別にカテゴリーを分類して選択された曲を保存し、選択された曲が再生されると、選択された曲が含まれているカテゴリー内の他の曲を引き続き再生する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0006】
前記カテゴリー別分類された曲を保存する保存部をさらに含むことを特徴とする。
【0007】
前記制御部は、選択された曲を再生中に他の曲が強制選択されると、強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれるかを判断し、同一カテゴリー内に含まれる場合、同一カテゴリー内の音楽を引き続き再生することを特徴とする。
【0008】
前記制御部は、選択された曲を再生中に他の曲が強制選択されると、強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれるかを判断し、強制選択された曲が他のカテゴリー内に含まれる場合、他のカテゴリー内の音楽を引き続き再生することを特徴とする。
【0009】
前記保存部は、収集された情報をバイナリコードに保存することを特徴とする。
【0010】
運転者が同一条件(外部環境情報、内部環境情報、走行情報、運転者状態情報)で同一音楽を繰り返し選択する場合、繰り返し選択された音楽のカテゴリー分類に高い信頼度を与えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る車両内での感性選曲方法は、運転者によって曲が選択されると、車両走行情報、車両外部環境情報、車両内部環境情報及び運転者状態情報のうち少なくとも一つ以上を収集する第1段階と、収集された情報などを利用して選択された曲をカテゴリー別に区分して保存する第2段階と、選択された曲を再生した後、選択された曲が含まれるカテゴリー内の他の曲を引き続き再生する第3段階と、を含むことを特徴とする。
【0012】
選択された曲を再生中に運転者によって他の曲が強制選択されると、強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれているかを判断する第4段階と、強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれている場合、同一カテゴリー内の曲を引き続き再生する第5段階と、強制選択された曲が再生中の曲と異なるカテゴリー内に含まれている場合、他のカテゴリー内の曲を再生する第6段階と、をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
強制選択された曲が保存されていない場合、前記第1段階ないし第3段階を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は外部環境情報、内部環境情報、走行環境情報、運転者状態情報を全て考慮し、運転者に最適の音楽を自動選曲して提供することができるとの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係る車両内での感性選曲システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る車両内での感性選曲方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の感性選曲方法を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両内での感性選曲システム及びその方法を、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る車両内での感性選曲システムの構成を示す図である。本発明の感性選曲システムは、車両走行情報収集部100、車両外部環境情報収集部200、車両内部環境情報収集部300、運転者状態情報収集部400、制御部500、保存部600及び出力部700を備える。車両走行情報収集部100は、車両内の変速部10などから車両の速度、RPM、TPS、その他走行情報などの車両走行環境情報を収集する。車両外部環境情報収集部200は、温度感知部20、湿度感知部30及び天気感知部40などから外気温度、外気湿度、天気情報などの車両外部環境情報を収集する。このとき、天気感知部40は、雨滴センサー(rain sensor)、雪センサー(snow sensor)、風センサー(wind sensor)などを含む。
【0018】
車両内部環境情報収集部300は、温度感知部50、冷暖房部60などから内気温度、エアコン/ヒーター動作状態などの車両内部環境情報を収集する。冷暖房部60は、ヒーター/エアコンなどを含む。運転者状態情報収集部400は、体温感知部70及びカメラ80などから運転者体温情報、居眠り運転可否の情報などの運転者状態情報を収集する。このとき、居眠り運転の可否はカメラ80を利用して運転者の顔を撮影し、瞬きの有無を判断することにより判断するか、もしくは体温の高い場合居眠り運転と判断する。
【0019】
制御部500は、車両走行情報収集部100、車両外部環境情報収集部200、車両内部環境情報収集部300、運転者状態情報収集部400から収集した情報を運転者が選択した曲とマッチングさせて保存する。その際、収集した情報の条件別にカテゴリーを分類して保存する。この時、収集した情報は、「表1」のようにバイナリコードに保存される。
【0020】
【表1】

【0021】
表1に示すように、制御部500は、車速が90km/s以上の場合は高速、90km/s未満の場合は低速に分類し、外気温又は内気温が18℃以上であれば高温、18℃未満であれば低温に分類し、運転者の体温が37℃以上であれば高温、37℃未満であれば常温に分類し、類似の条件で同一曲の選択の反復性が高ければ、信頼度が「高い」に分類する。保存部600は、制御部500により分類されたカテゴリー別音楽などを保存する。出力部700は、運転者により選曲された音楽を再生して出力する。
【0022】
以下、図2を参照して、本発明の実施例に係る車両内での感性選曲方法を説明する。先ず、制御部500は、運転者から曲が選択されたかを判断する(S101)。運転者から曲が選択された場合、各収集部100〜400が車両走行情報、車両外部環境情報、車両内部環境情報、運転者状態情報を収集する(S102)。制御部500は、運転者から選択された曲と収集された情報をマッチングさせ、収集された情報の条件別にカテゴリーを分類して保存する(S103)。
【0023】
例えば、「釜山港へ帰れ」が選択された場合、現在車速度が100km/s、内気温が15℃、外気温が6℃で雨が降っている状況の場合であれば、「釜山港へ帰れ」を「雨降るとき」とのカテゴリーに分類して保存する。すなわち、雨が降る度に運転者の選択した曲などは「雨降るとき」とのカテゴリーに分類されて保存され、雪が降る度に運転者の選択した曲などは「雪降るとき」とのカテゴリーに分類されて保存され、風が吹く度に運転者の選択した曲などは「風吹くとき」とのカテゴリーに分類される。この時、「雨降るとき」、「雪降るとき」、「風吹くとき」のカテゴリーは車両の速度及び内気温、外気温、運転者の眠気の有無、冷暖房機のオンオフなどの状況に従い小分類に再び分類される。さらに、運転者が、雨の降るときに「釜山港へ帰れ」を選択した回数が多い場合、「雨降るとき」とのカテゴリーの「釜山港へ帰れ」の信頼度を高く付与する。
【0024】
カテゴリーは、エアコンがオンされた状態で車両内部が暑い時、車両が高速に走行し良い天気の時、運転者が低速に走行しながら眠気がさす時、雪が降り低速に走行する時など車両走行情報、車両外部環境情報、車両内部環境情報、運転者状態情報の組合せにより多様に分類できる。
【0025】
図3の3次元グラフにおいて、車両走行情報(速度)をZ軸、車両外部環境情報(降雨量)をY軸、車両内部環境情報(内気温度)をX軸に見て、内気温が20℃であり、雨が少し降った状態で速度がAからBに増加した場合、内気温が20℃であり、雨が少し降った状態、速度がA〜Bの間の条件に合うカテゴリーの音楽などを提供することになる。図3では3次元グラフで表現したが、外部環境情報、内部環境情報、車両走行情報、運転者状態情報を全て考慮し、相関(Correlation)をとることにより、運転者に最適の音楽選曲サービスを提供することができる。
【0026】
その後、制御部500は出力部700を介して選択された曲を再生出力し(S104)、運転者が別段の選曲をせずとも選択された曲が含まれているカテゴリー内の他の曲などを引き続き再生する(S105)。一方、再生中に運転者により他の曲が強制選択される場合(S106)、制御部500は強制選択曲が再生中の曲と同一カテゴリーに含まれている曲なのかを判断する(S107)。強制選択曲が、再生中の曲と同一カテゴリーに含まれている場合、制御部500は同一カテゴリー内の曲などを引き続き再生する(S110)。この時、強制選択された曲を先ず再生し、同一カテゴリー内の曲などを引き続き再生する。
【0027】
一方、強制選択曲が再生中の曲と同一カテゴリーに含まれていない場合、制御部500は、強制選択曲が他のカテゴリーに含まれているかを判断し(S108)、他のカテゴリーに含まれている場合は、強制選択曲を再生した後、強制選択曲が含まれているカテゴリーの他の曲などを引き続き再生する(S109)。しかし、強制選択曲が他のカテゴリーにも含まれていない場合、強制選択曲が分類及び保存されていないものと判断し、上記過程S102〜S105に戻って再生する。このように、本発明は車両走行情報、車両外部環境情報、車両内部環境情報、運転者状態情報を全て考慮して音楽が自動選曲されるだけでなく、運転者が曲を選択する度にこれをカテゴリー別にデータベース化し、信頼度を高めることにより、運転者に最適の音楽を自動選曲して提供することができる。
【符号の説明】
【0028】
100 車両走行情報収集部
200 車両外部環境情報収集部
300 車両内部環境情報収集部
400 運転者状態情報収集部
500 制御部
600 保存部
700 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行情報、車両の外部環境情報、車両の内部環境情報及び運転者の状態情報のうち、少なくとも一つ以上を収集する情報収集部と、
運転者によって選択された曲を前記情報収集部から収集された情報とマッチングをとり、運転者の選択する曲ごとにマッチングさせた情報のうち類似の条件別にカテゴリーを分類して選択された曲を保存し、選択された曲が再生されると選択された曲が含まれているカテゴリー内の他の曲を引き続き再生する制御部と、
を含むことを特徴とする車両内での感性選曲システム。

【請求項2】
前記カテゴリー別に分類された曲を保存する保存部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両内での感性選曲システム。

【請求項3】
前記制御部は、
選択された曲を再生中に他の曲が強制選択されると、強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれるかを判断し、同一カテゴリー内に含まれる場合、同一カテゴリー内の音楽を引き続き再生することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両内での感性選曲システム。

【請求項4】
前記制御部は、
選択された曲を再生中に他の曲が強制選択されると、強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれているかを判断し、強制選択された曲が他のカテゴリー内に含まれる場合、他のカテゴリー内の音楽を引き続き再生することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両内での感性選曲システム。

【請求項5】
前記保存部は、
収集された情報をバイナリコードに保存することを特徴とする請求項2に記載の車両内での感性選曲システム。

【請求項6】
前記制御部は、
運転者が同一条件(外部環境情報、内部環境情報、走行情報、運転者状態情報)で同一音楽を繰り返し選択した場合、繰り返し選択された音楽のカテゴリー分類に高い信頼度を付与することを特徴とする請求項1に記載の車両内での感性選曲システム。

【請求項7】
運転者によって曲が選択されると、車両走行情報、車両外部環境情報、車両内部環境情報及び運転者状態情報のうち少なくとも一つ以上を収集する第1段階と、
収集された情報を利用し、選択された曲をカテゴリー別に区分して保存する第2段階と、
選択された曲を再生した後、選択された曲が含まれたカテゴリー内の他の曲を引き続き再生する第3段階と、
を含むことを特徴とする車両内での感性選曲方法。


【請求項8】
選択された曲を再生中に運転者によって他の曲が強制選択されると、強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれているかを判断する第4段階と、
強制選択された曲が再生中の曲と同一カテゴリー内に含まれている場合、同一カテゴリー内の曲を引き続き再生する第5段階と、
強制選択された曲が再生中の曲と別のカテゴリー内に含まれている場合、他のカテゴリー内の曲を再生する第6段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の車両内での感性選曲方法。

【請求項9】
強制選択された曲が保存されていない場合、前記第1段階ないし第3段階を繰り返し行うことを特徴とする請求項8に記載の車両内での感性選曲方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−226729(P2012−226729A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274204(P2011−274204)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】