説明

車両用アンテナ組立体

【課題】円筒状以外の形状のコイル素子を適切位置に保持する。
【解決手段】車両用アンテナ組立体10は、コイル素子12、ホルダ14,16、リテーナ18,20を備える。コイル素子12は、コイル軸30h,30vに対して垂直にとられた断面において、多角形構造を有していてもよい。ホルダ14,16は、複数のレール80を有していてもよい。リテーナ18,20は、複数のレール80と係合し、コイル素子12に圧縮力をかけてコイル素子12をホルダ14,16に対して固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のアンテナ素子の維持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用アンテナ用のアンテナ素子は、通常、円筒状コイル素子などの、単純な形状である。典型的な円筒状コイル素子は、コイル素子保持構造によって固定されるものである。通常のコイル素子保持構造は、コイル素子の回りにモールド成形された単純なワンピースのプラスチック構造である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
円筒状のコイル素子を使った、標準的なコイル成形工程の間に生じるねじれにより、コイルの外形が拡大または収縮する場合がある。円筒状のコイル素子については、このねじれは、コイル素子保持構造に成形する際に容易に調整することが出来る。しかしながら、コイル素子が円筒状以外の形状の場合、コイルのねじれと寸法のばらつきがあるため、コイル素子を型にセットするのが非常に難しい場合もある。そのため、通常の成形工程を使うことが非常に困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した問題点を克服することができる車両用アンテナ組立体は、コイル素子、ホルダ、リテーナを備える。コイル素子は、コイル軸に対して垂直にとられた断面において多角形構造を有する。ホルダは、複数のレールを有する。リテーナは、複数のレールと係合して、コイル素子に圧縮力をかけて、コイル素子をホルダに対して固定する。
【0005】
上述した問題点を克服することができる、アンテナ素子を保持する組立体の一例は、ホルダとスライディングリテーナとを備える。ホルダは、支持面と、支持面から延出する少なくとも二本のレールを有する。その少なくとも二本のレールは、空間を定義するために第二のレールから離間された第一のレールを含んでいる。スライディングリテーナは、第一のレールと第二のレールとの間に受けられて、対応するアンテナ素子をホルダに対して固定する。
【0006】
上述した問題点を克服することができるアンテナ素子を固定するための方法も開示する。その方法は、コイル素子を複数のレールを有するホルダに位置決めするステップと、スライディングリテーナを複数のレールとコイル素子の内側に挿通するステップとを含む。スライディングリテーナは、コイル素子をホルダに固定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】車両用アンテナ組立体の分解組立図である。
【図2】図1に示す車両用アンテナ組立体の組み立て後の斜視図である。
【図3】車両用アンテナ組立体のコイル素子のコイル軸に垂直にとられた、図2に示すアンテナ組立体の概略断面図である。
【図4】車両用アンテナ組立体のコイル素子のコイル軸に垂直にとられた、図2に示すアンテナ組立体の概略断面図である。
【図5】車両用アンテナ組立体のコイル素子のコイル軸に垂直にとられた、図2に示すアンテナ組立体の概略断面図である。
【図6】アンテナ素子を固定するための方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、車両用アンテナ組立体10は、コイル素子12、第一ホルダ14と第二ホルダ16とを含むホルダ、第一リテーナ18と第二リテーナ20とを含むリテーナを備えている。図1に図示された実施形態においては、ホルダは、第一ホルダ14と第二ホルダ16とを有しており、リテーナは第一リテーナ18と第二リテーナ20とを有しているが、必要に応じて、ホルダやリテーナの数を減らしたり、増やしたりしてもよい。必ずしもそうある必要はないが、ホルダやリテーナは、コイル素子12が捩れることを防ぐと同時に、コイル素子12を適切な位置に保持することができる。既知の円筒状のエレメントとは異なり、コイル12はプラスチックで完全に囲う必要はないため、コイル素子を完全に囲う誘電体はない。それにより、アンテナの感度の向上が実現できる。
【0009】
続けて、図1を参照すると、コイル素子12は、コイル軸に対して垂直にとられた断面において多角形の構成を有する。例示した実施形態において、コイル軸は、略水平な水平部30hと略垂直な垂直部30vとを有するように、屈曲部30bにおいて曲げられている。コイル素子12は、コイル軸の水平部30hに対して垂直にとられた断面において略三角形の構成をしており、コイル軸の垂直部30vに対して垂直にとられた断面において略台形の構成をしている。なお、コイル素子12は、その他の多角形状であってもよい。続けて、例示した実施形態を参照すると、コイル軸30hにおいては、屈曲部30bから最も遠い端部から、屈曲部30bに向かってくるにつれて、コイル素子12の三角形状の構成の大きさが小さくなっている。また、例示した実施形態においては、コイル軸30vにおいて、台形形状の構成の大きさは、屈曲部30bから離れるにつれて大きくなっている。コイル素子12は、金属ワイヤーなどの、導電性材料で形成されている。
【0010】
続けて、例示した実施形態を参照すると、第一ホルダ14は、支持面34を画定するプラットフォーム32を有している。第一ホルダ14は、支持面34に対して垂直で、コイル軸の水平部30hと交わる平面P(図3) について左右対称である。図3により明確に示されているように、支持面34は、略平らな平坦部36と、コイル素子12の複数の屈曲角部44にそれぞれ略合致する、角を丸めた両縁部38を有する。続いて、図3を参照すると、プラットフォーム32は、支持面34から上側に延出し、例示した実施形態において互いに略平行な側壁48を有している。コイル軸30hに対して垂直方向に測った一対の側壁48間の距離は、プラットフォーム32の第一端部54に隣接する位置において、第二端部56よりも長くなっている。戻って、図1、2を参照すると、それぞれの側壁48に形成された複数の段差58は、コイル軸30h方向に向かって、内側に延出しており、それにより、側壁48間の距離が小さくなっていくことになる。したがって、コイル軸30hに対して垂直方向に測った支持面34の幅は、コイル素子12の断面三角形状の構成(の大きさ)が小さくなることに対応させて、短くすることができる。適切な位置に段差58を設けて、コイル素子12のピッチを所望のピッチに保つこともできる。段差58については、以降に詳述する。
【0011】
第一ホルダ14は、また、プラットフォーム32に接続され、プラットフォーム32を支持する支持部60を有している。例示した実施形態において、プラットフォーム32と支持部60は、例えば、ワンピースのプラスチック部などのように、一体として成形され、誘電体材料で作製される。支持部60は、ウェブ66によって相互に接続された足部62(二本の足部が図示されている)を有している。 留め具用開口68が、それぞれの足部62の基部に配置されている。留め具用開口68は、それぞれ、留め具74(図2参照)を受ける。例示した実施形態において、支持部60は、プラットフォーム32に対して略垂直であり、プラットフォームの第一端部54と第二端部56の間の中央に位置している。
【0012】
第一ホルダ14も、複数のレール80を有しており、そのレールの3組のペアが図1に図示されている。複数のレール80の一つ一つは、同様の形状である。図4を参照すると、対称平面Pの片側のレール80は、対称平面Pの逆側のレール80の鏡像である。図3を参照すると、複数のレールのそれぞれのペアは、コイル軸の水平部30hに対して直角で、対称平面Pに対して垂直な方向に、第二レール80bから離間して間隔84を画定する第一レール80aを有している。
【0013】
複数のレール80は、支持面34から上側に向かって延出しており、それぞれのレールは、間隔84の一部を覆うように延出する弾力性のあるカンチレバー部88を有する。図5を参照すると、それぞれのカンチレバー部88は、第一リテーナ18を間隔84内に固定するために、第一リテーナ18と接触する。それぞれの弾性的なカンチレバー部88は、アンテナ素子12に対して圧縮力をかけて、弾性的なカンチレバー部88とプラットフォーム32の支持面34との間に、アンテナ素子12の一部をはさんでいる。それぞれのカンチレバー部88は、下側に延出する突起部92を有している。突起部92は、カンチレバー部88の先端部にそれぞれ形成されている。弾性的なカンチレバー部88は、図5に示すように、第一リテーナ18とコイル素子12の直径を収容するように、(図3−5に示される方向で)垂直方向に間隔を空けられている。
【0014】
戻って、図1を参照すると、第一ホルダ14は、また、支持面34から上側に向かって延出する複数の突起部100を有している。例示した実施形態における突起部100の一つ一つは、概ねブロック形状をしている。複数のレール80と同様に、複数の突起部100は、プラットフォーム32の第一端部54及び第二端部56の間で、ペアに分類される。それぞれの突起部100は、コイル軸30hに平行方向に測った、コイル素子12を構成するワイヤの直径にほぼ等しい距離分だけ、それぞれのレール80から離間されている。例えば、プラットフォーム32の第一端部54に最も近く、対称平面Pについて同じ側の突起部100とレール80は、コイル素子12のワイヤーの直径よりも若干大きい距離分だけ互いに離間されている。これにより、複数の突起部100と複数のレール80は、共同して、コイル素子12の適切なピッチを保っている。図1に示されているように、突起部のペアには、レールの各ペアが提供されているが、レールに対して突起部が配置される側は、各ペアにおいて異なっていてもよい。突起部100の各ペアは、対称平面Pに対して略直角の方向に第二突起部100bから離間されて、第一リテーナ18を挿入可能な間隔102を画定する第一突起部100aを有する。
【0015】
また、上述したように、段差58を設置して、適切なピッチを保つのを補助するようにしてもよい。例えば、(第一端部54と第二端部56について)中央のレール80は、コイル素子12のワイヤの直径を収容できるように、段差58から離間されている。また、第二端部56に最も近い突起部100は、第二端部56に最も近い段差58からコイル素子12のピッチとコイル素子12のワイヤの直径を足した距離分だけオフセットすることができる。
【0016】
第一リテーナ18は、複数のレール80に係合し、コイル素子12に圧縮力をかけて、コイル素子12を第一ホルダ14に対して固定する。例示した実施形態においては、第一リテーナ18は、スライドして第一ホルダ14と係合する。そのため、第一リテーナ18は、スライディングリテーナと称する場合もある。第一リテーナ18は、誘電体材料で作製され、例示した実施形態においては、プラスチックで形成されている。第一リテーナ18は、コイル軸30hと平行な方向に伸長している。したがって、第一リテーナ18は、コイル軸30hと平行な方向に最長寸法を有する。第一ホルダ14と係合するために、第一リテーナ18は、コイル軸30hと平行な方向にスライドする。
【0017】
第一リテーナ18は、第一リテーナの最長寸法に対して垂直な方向の断面において、上下逆の略T字形である。図5を参照すると、第一リテーナは、ベース部110と、ベース部110に対して略垂直に延出するコラム部112を有する。例示した実施形態においては、ベース部110とコラム部112は、互いに一体に成形されている。
【0018】
続いて、図5を参照すると、例示した実施形態におけるベース部110は、第一ホルダ14のプラットフォーム32の支持面34に向かい合う第一表面114(図5における方向については下側)と、支持面34から見て外方向に向く、段差を有する第二表面116とを有している。段差を有する第二表面116(図1により見やすく図示されている)は、第一リテーナ18の第一端部122から第二端部124に向かって下側に傾斜する複数の傾斜面118を有している。複数の傾斜面118は、レール80の弾性的なカンチレバー部88の下側への第一リテーナ18の挿入を容易にする。ベース部110の厚さは、傾斜面118において薄くなるものであり、第一端部122に隣接する位置で最も厚くなっており、第二端部124に隣接する位置で最も薄くなっている。この構成は、第一リテーナ118のレール80への簡単な挿入と、第一リテーナのコイル素子12の内側への挿通を容易にし、コイル素子12を第一ホルダ14に固定するものである。ベース部110の厚さは、プラットフォーム32の第一端部54から第二端部56の間の第一リテーナ14の様々な場所において、(第一リテーナ14が)レール80の弾性的なカンチレバー部88とぴったりと合うように、定められる。
【0019】
突起部92とプラットフォーム32の支持面34との垂直方向の離間距離は、第一リテーナ18が完全に挿入されたときに突起部92と係合するベース部110の部位の厚さとコイル素子12のワイヤの直径の厚さ(の合計)よりも若干短くすることができる。図3を参照すると、突起部92が支持面34から(図3において垂直方向に)オフセットされる距離は、プラットフォーム32の第一端部54に隣接する位置が最も長く、第二端部56に隣接する位置が最も短い。したがって、第一スライディングリテーナ18の第一端部124は、第一端部54に隣接する位置では容易にレール80のカンチレバー部88の下を通過することが出来るが、第一スライディングリテーナ18が第二端部56に向かって押し続けられると、カンチレバー部88は、リテーナ18のベース部110(図5参照)に係合し、ベース部110に対して圧縮力をかけ、それにより、コイル素子12に対して圧縮力をかけるようになっている。
【0020】
戻って、図5を参照すると、コイル軸30hと対称平面Pに対して直角に計測される、第一リテーナ18のコラム部112の厚さは、レール80の弾性的なカンチレバー部88のそれぞれの先端の間の距離よりも若干短い。コラム部112は、第一リテーナ18の第一端部122から、第二端部124に向かって延出している。コラム部112は、第二端部124に隣接する位置において傾斜面が形成されており、それにより、スライディングリテーナ18をレール80とコイル素子12の内側に通過させることを容易にすることができる。
【0021】
戻って、図1を参照すると、第一リテーナ18は、第一端部122に隣接する位置に、第一ホルダ14と係合するための、鉤部130を備えている。例示した実施形態においては、第一リテーナ18は、第一端部122において、ベース部110から(図1における方向において)下側に延出するフランジ132を有している。フランジ132は略L字型であり、鉤部130は、L字型フランジ132の先端に隣接する位置に設けられている。
【0022】
上述したように、ホルダは、第一ホルダ14と第二ホルダ16とを有している。第二ホルダ16は、第一ホルダ14に接続される。第二ホルダ16は、第一ホルダ14が第一リテーナ18と連携するのと同様に、第二リテーナ20と連携している。第一ホルダ14は、コイル素子12の、第一の向きに一致するコイル軸(水平コイル軸30h)を有する部分を保持し、第二ホルダ16は、コイル素子12の、第一の向きに対して(例示した実施形態においては直角に)曲げられた第二の向きに一致するコイル軸(垂直コイル軸30v)を有する部分を保持する。
【0023】
第二ホルダ16は、上述した支持面34と同様の支持面134を有しているが、支持面134は、支持面34に対して略垂直である。支持面134は、コイル素子12の多角形(台形)構成の少なくとも一側面に接触する略平面の部位を有している。第二ホルダ16の支持面134は、第一ホルダ14の支持面34に設けられた、角を丸めた縁部38、42と同様の、角を丸めた縁部を有している。
【0024】
第二ホルダ16は、複数の支持部160を有しており、それぞれの支持部160は、支持部160を貫通して形成された、留め具174(図2参照)を受けるための留め具用開口168aを有している。複数の支持部160に加えて、第二ホルダ16は、ベース支持延長部176を有している。例示した実施形態について、より具体的には、ベース支持延長部176は、水平コイル軸30bと垂直コイル軸30vとによって画定される平面の一側面側に形成されている。第一ホルダ14が第二ホルダ16に接続されると、複数のベース支持部160とベース支持延長部176は、第二ホルダ16と同様に第一ホルダ14も支持する安定したプラットフォームを提供する。
【0025】
第一ホルダ14と同様に、第二ホルダ16は複数のレール180を備えている。レール180の構成は、それぞれのレールが、一組のレールの間に規定された間隔の一部を覆うように延出する弾性的なカンチレバー部を備えているという点において、上述したレール80に非常に類似している。垂直コイル軸30vに対して垂直な、第二ホルダ16の断面は、コイルエレメント12の断面構成が三角形ではなく台形であることを除けば、図3から図5に図示された断面と略同じである。複数のレール180の形、機能、向きは、上述した複数のレール80と同じであるため、第二ホルダ16のレール180に関してこれ以上の説明を省く。
【0026】
第二ホルダ16は、支持面134から延出する突起部200を有する。各突起部200は、上述した突起部100と同様である。したがって、第二ホルダ16の各突起部200は、各レール180から、コイル軸30vに対して平行な方向に測定された、コイル素子12のワイヤの直径と略同等の距離分、離間している。突起部200とレール180は、共同して、コイル素子12の適切なピッチを保っている。複数の突起部200は、2つ一組にグループ化され、第一突起部は、第二突起部から、対称平面Pに対して垂直な方向に計測された距離で、第二リテーナ20を収容する距離分だけ離間している。
【0027】
第二リテーナ16はまた、ベース支持部160に対して反対側の第二ホルダ16の端部(上側端部)に形成されたT字型エレメント202を有している。コネクタエレメント202は、略平面の台座面204から上側に延出している。台座面204とベース160の下側面の間の距離は、支持部60の高さと略同じである。コネクタエレメント202は、プラットフォームの第二端部56に隣接する位置で、第一ホルダ14の台座32の下側面内に形成された、複数の溝部206と組み合わされる。図1では、一つの溝部206のみが視認できる。T字型のコネクタエレメント202は、溝部206にスライドして挿入され、第二ホルダ16を第一ホルダ14に接続する。
【0028】
第二リテーナ20は、複数のレール180と係合し、コイル素子12に圧縮力をかけて、第二ホルダ16に対してコイル素子12を固定する。第一リテーナ18と第一ホルダ14と同様に、例示した実施形態において、第二リテーナ20はスライドして第二ホルダ16に係合する。そのため、第二リテーナ20は、スライディングリテーナと呼ぶ場合もある。また、第二リテーナ20は誘電体材料で形成されている。第二リテーナ20は、コイル軸30vと平行な方向に細長くなっている。第二ホルダ16と係合するために、第二リテーナ20はコイル軸30vと略平行な方向にスライドする。
【0029】
第二リテーナ20は、第二リテーナ20の最長寸法に対して垂直に取られた断面において、略T字型であるという点で、第一リテーナ18とその構成が似ている。第二リテーナ20は、第一リテーナ18に関連して以前に説明したベース部110とコラム部112と同様の、ベース210とコラム部212を備えている。第二リテーナ20は、また、第一端部222に隣接する位置に、鉤部130と同様の係合部230と、上述したL字型のフランジ132と同様のL字型のフランジ232を有している。第二リテーナ20の細長コラム部212もまた、第二端部224に近い位置において、傾斜面が形成されている。第二リテーナ20は、また、第一リテーナ18に設けられた複数の傾斜面120と同様の複数の傾斜面220を有している。
【0030】
アンテナ素子コイル12を保持するための方法を図6のフローチャートに記載する。図6に図示しているように、アンテナ素子コイル12を保持するための方法は、ステップ300において、コイル素子12を、レール80、180を有するホルダ(例えば、第一ホルダ14や第二ホルダ16)上に位置決めするステップを含んでいる。その方法はさらに、ステップ302において、スライディングリテーナ(例えば、第一リテーナ18や第二リテーナ20)をレール80、180及びコイル素子12の内側に通すステップを含んでいる。さらに、その方法は、ステップ304において、各スライディングリテーナ18、20の第一端部122、222に隣接する位置に配置された鉤部130、230を、それぞれホルダ14、16に係合させるステップを含むことが出来る。例示した実施形態において、より具体的には、車両用アンテナ組立体を組み立てるために、コイル素子12は、複数のレール80を備える第一ホルダ14に位置決めされる。第一スライディングリテーナ18は、これら全ての複数のレール80とコイル素子12の内側を通されて、コイル素子12を第一ホルダ14に固定する。コイル素子12は、また、複数のレール180を備える第二ホルダ16に位置決めされる。第二ホルダ16は、前記したステップの前に、第一ホルダ14に取り付けることができる。そして、第二スライディングリテーナ20は、複数のレール180とコイル素子12の内側に挿通されて、コイル素子12を第二ホルダ16に固定することが出来る。スライディングリテーナ18、22を複数のレール80、180にそれぞれ挿通するステップは、複数のレール80、180を曲げて、コイル素子12をそれぞれのホルダに固定するステップを含んでいる。アンテナ素子12を固定する方法は、それぞれのスライディングリテーナ18、20の第一端部122、222に隣接する位置に配置された鉤部130、230を、それぞれのホルダ14、16に係合するステップを含むことができる。
【0031】
車両用アンテナ組立体、アンテナ素子を固定するための組立体、アンテナ素子を固定するための方法を、具体的な実施形態を参照して説明してきた。上述した詳細な説明を読み、理解することにより、当業者は修正例や変形例を考案するであろう。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、添付の請求の範囲及びそれに相当するものによって、幅広く定義されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル軸に対して垂直な断面が多角形構造を有するコイル素子と、
複数のレールを備えるホルダと、
前記複数のレールと係合し、前記コイル素子に圧縮力をかけて、前記ホルダに対して前記コイル素子を固定するリテーナとを備えることを特徴とする車両用アンテナ組立体。
【請求項2】
前記ホルダは、前記コイル素子の前記多角形構造の少なくとも一側面に接触する略平面の平面部を有する支持面を備え、
前記複数のレールは、前記支持面から延出していることを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項3】
前記ホルダは、前記支持面から延出する複数の突起部を有し、
前記複数の突起部のそれぞれは、それぞれのレールから、前記コイル素子のワイヤの直径と略同等の距離分だけ離間していることを特徴とする請求項2に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項4】
前記複数のレールは、コイル軸に直角の方向に第二のレールから離間して空間を画定する第一のレールを含み、
前記リテーナは、前記空間に入ることを特徴とする請求項2に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項5】
前記複数のレールの各レールは、前記空間の一部を覆うように延出する弾性的なカンチレバー部を含んでおり、
前記カンチレバー部はそれぞれ、前記リテーナと接触し、前記リテーナに対して力をかけて、前記リテーナを前記空間内に固定することを特徴とする請求項4に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項6】
前記ホルダは、第一ホルダと第二ホルダとを備え、
前記第一ホルダは、第一の方向に配置された前記コイル軸を有する前記コイル素子を保持し、
前記第二ホルダは、前記第一の方向に対して角度がある第二の方向に配置された前記コイル軸を有する前記コイル素子を保持することを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項7】
前記第一の方向は、前記第二の方向に対して直角であることを特徴とする請求項6に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項8】
前記リテーナは、前記ホルダにスライドして係合することを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項9】
前記リテーナは、前記コイル軸と平行な方向にスライドすることを特徴とする請求項8に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項10】
前記リテーナは、コイル軸と平行な方向に最長寸法を有することを特徴とする請求項8に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項11】
前記リテーナは、コイル軸に対して垂直にとられた断面においてT字型であることを特徴とする請求項10に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項12】
前記リテーナは、端部に隣接する位置に、前記ホルダと係合するための係合部を備えていることを特徴とする請求項8に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項13】
前記ホルダは、第一ホルダと第二ホルダとを有しており、
前記リテーナは、第一リテーナと第二リテーナとを有しており、
前記第一リテーナは、スライドして前記第一ホルダと係合し、
前記第二リテーナは、スライドして前記第二ホルダと係合することを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ組立体。
【請求項14】
支持面と、第二のレールから離間して空間を定義する第一のレールを含む、前記支持面から延出する少なくとも二本のレールとを有するホルダと、
前記第一のレールと前記第二のレールとの間に入って、対応するアンテナ素子を前記ホルダに対して固定するスライディングリテーナとを有することを特徴とするアンテナ素子を保持するための組立体。
【請求項15】
前記複数のレールは、前記対応するアンテナ素子に対して圧縮力をかけて、前記対応するアンテナ素子の一部を弾性部と支持面との間に挟む前記弾性部を有することを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項16】
前記スライディングリテーナは、前記ホルダの前記支持面に向かい合う第一表面を有すると、前記支持面からみて外方向を向く第二の段差表面とを有するベースを備えることを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項17】
複数のレールを有するホルダにコイル素子を位置決めするステップと、
スライディングリテーナを、前記複数のレールとコイル素子の内側に挿通して、前記コイル素子を前記ホルダに固定するステップとを含むことを特徴とするアンテナ素子コイルを保持するための方法。
【請求項18】
前記スライディングリテーナを挿通する前記ステップは、前記複数のレールを曲げて、前記ホルダに向かって前記コイル素子に対して圧縮力を付与するステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記スライディングリテーナの端部に隣接する位置に配置された係合部を、前記ホルダに係合するステップをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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