説明

車両用シート

【課題】クッションパッドに、ロック機構と係合する掛ワイヤーを、より短い長さで抜け防止した状態に結合できるようにする。
【解決手段】掛ワイヤー10は、クッションパッド3Aの外部に露出してロック機構に係合される係合部11と、クッションパッド3Aに発泡成形時にインサートされて一体的に埋設された状態に形成される埋設部12と、を有した形状とされている。埋設部12は、係合部11をクッションパッド3A内に差し込む方向に延びるストレート部12Aと、ストレート部12Aの延びた先の端部から垂直な方向に屈曲して延びる屈曲部12Bと、を有する。屈曲部12Bに、クッションパッド3Aに対する引き抜き方向の結合力を高める抜け防止構造(潰れ板部12B1)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。詳しくは、クッションパッドに、クッションパッドの外部に設けられたロック機構と係合する掛ワイヤーが一体的に設けられた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートにおいて、シートクッションがフロア上に設けられたロック機構にロックされて固定されているものがある(特許文献1)。具体的には、上記シートクッションには、枠状の掛ワイヤーが一体的に結合されており、この掛ワイヤーをロック機構に掛けてロックすることで、シートクッションがフロア上に固定されている。上記掛ワイヤーは、シートクッションのクッションパッド内に埋設された形状出し用の保持ワイヤーに掛着された状態で設けられることで、シートクッションに対して抜け防止された状態として設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−214986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の従来技術では、掛ワイヤーを保持ワイヤーに掛着させられる長さにしなければならない。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、掛ワイヤーを、より短い長さでクッションパッドに抜け防止した状態に結合できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートは次の手段をとる。
第1の発明は、クッションパッドに、クッションパッドの外部に設けられたロック機構と係合する掛ワイヤーが一体的に設けられた車両用シートである。掛ワイヤーは、クッションパッドの外部に露出してロック機構に係合される係合部と、クッションパッドに発泡成形時にインサートされて一体的に埋設された状態に形成される埋設部と、を有した形状とされている。埋設部は、係合部をクッションパッド内に差し込む方向に延びるストレート部と、ストレート部の延びた先の端部から垂直な方向に屈曲して延びる屈曲部と、を有する。屈曲部に、クッションパッドに対する引き抜き方向の結合力を高める抜け防止構造が設けられている。
【0006】
この第1の発明によれば、掛ワイヤーの屈曲部に抜け防止構造を設けたことにより、ストレート部の長さを長くとらなくても、クッションパッドに対する抜け止め力を効果的に得ることができる。したがって、掛ワイヤーを、より短い長さでクッションパッドに抜け防止した状態に結合することができる。
【0007】
第2の発明は、上述した第1の発明において、掛ワイヤーを中空断面のパイプ材により形成し、屈曲部の断面を引き抜き方向に面を向けるように板状に潰して抜け防止構造を構成したものである。
【0008】
この第2の発明によれば、屈曲部の断面を板状に潰して抜け防止構造を形成することにより、強固な抜け止め力を発揮可能な構成を簡易に形成することができる。
【0009】
第3の発明は、上述した第1の発明において、掛ワイヤーを中空断面のパイプ材により形成し、屈曲部の周壁部に貫通孔を設けてクッションパッドの発泡成形時にその発泡原料を屈曲部の中空内部に流入させて一体的に硬化させて抜け防止構造を構成したものである。
【0010】
この第3の発明によれば、屈曲部の周壁部に貫通孔を形成し、クッションパッドの発泡成形時にその中空内部に発泡原料を流入させて一体的に硬化させることで抜け防止構造を形成することにより、強固な抜け止め力を発揮可能な構成を簡易に形成することができる。詳しくは、屈曲部の中空内部にクッションパッドの発泡原料が充填されることで、屈曲部の構造強度が高められるため、抜け止め力を効果的に発揮可能な構造強度の高い構成を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の車両用シートの概略を示した斜視図である。
【図2】クッションパッドを後方側から見た斜視図である。
【図3】掛ワイヤーとロック機構との係合構造を示した斜視図である。
【図4】掛ワイヤーがロック機構にロックする前の状態を示した内部断面図である。
【図5】掛ワイヤーがロック機構にロックした状態を示した内部断面図である。
【図6】実施例2の車両用シートの構成を示した斜視図である。
【図7】掛ワイヤー内にウレタン樹脂が流入して硬化した状態を示した断面図である。
【図8】実施例3の車両用シートの構成を示した斜視図である。
【図9】掛ワイヤー内にウレタン樹脂が流入して硬化した状態を示した断面図である。
【図10】実施例4の車両用シートの構成を示した斜視図である。
【図11】掛ワイヤー内にウレタン樹脂が流入して硬化した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
始めに、実施例1の車両用シート1の構成について、図1〜図5を用いて説明する。本実施例の車両用シート1は、図1に示すように、車両の最後列目に配される3人掛け用の座席用シートとして構成されている。この車両用シート1は、着座乗員の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭部の支えとなるヘッドレスト4,4と、を備える。
【0014】
上記シートクッション3は、その内部のフレーム構造(図示省略)に、ウレタン樹脂を発泡成形したクッションパッド3Aが上面側から被せ付けられて組み付けられており、更にその表面部には、シートクッション3の外表面全体を覆うように布製の表皮材3Bが上面側から被せ付けられて組み付けられている。また、図2に示すように、上記シートクッション3の後ろ側の幅方向中央の面部には、フロア上に設けられたロック機構20(図1参照)に係合してロックされるU字状の掛ワイヤー10が一体的に設けられている。この掛ワイヤー10は、一本の中空断面の鋼棒(パイプ材)を所々に折り曲げてU字状に形作ったものから成り、クッションパッド3Aからシート後方側に露出するU字状の係合部11と、このU字の両脚部から延出してクッションパッド3A内に埋設されて一体的に結合される埋設部12と、を有する構成となっている。
【0015】
詳しくは、上記掛ワイヤー10は、クッションパッド3Aの発泡成形時に成形型内にセット(インサート)されて、埋設部12がクッションパッド3A内に一体的に結合された状態に埋設された構成となっている。ここで、上記掛ワイヤー10の埋設部12は、係合部11の両脚部からクッションパッド3A内に向かって真っ直ぐに延びるストレート部12Aと、各ストレート部12Aの延びた先の端部から互いに内向する側に向かって垂直に屈曲して延びる屈曲部12Bと、を有する形に形成されている。そして、各屈曲部12Bの屈曲した先の端部には、掛ワイヤー10をクッションパッド3Aから外れにくくするための抜け防止構造となる潰れ板部12B1が形成されている。
【0016】
上記各潰れ板部12B1は、各屈曲部12Bの円環状の中空断面を、クッションパッド3Aに対する引き抜き方向(係合部11と対面する方向)に面を向けるように板状に潰して形成されている。この潰れ板部12B1により、クッションパッド3A内で、上記引き抜き方向に真っ直ぐに面を向けた面部が形成されており、強固な抜け止め力が発揮されるようになっている。このように、屈曲部12Bの一部を潰して潰れ板部12B1を形成した簡素な構成により、ストレート部12Aの長さを長くとらなくても、クッションパッド3Aに対する抜け止め力を効果的に得ることができる。したがって、掛ワイヤー10を、より短い長さでシートクッション3に抜け防止した状態に結合することができる。
【0017】
次に、ロック機構20の構成について説明する。ロック機構20は、図3〜図5に示すように、ベース板21と、フック22と、ポール23と、引張ばね24と、操作アーム25と、を有して構成されている。ベース板21は、フロアに一体的に固定されており、掛ワイヤー10を上方側から受け入れ可能な凹部21Aを有する。フック22は、第1の連結軸22Aによってベース板21に回転可能に軸支されており、ポール23は、第2の連結軸23Aによって、操作アーム25と一体的となってベース板21に対して回転可能に軸支されている。引張ばね24は、フック22とポール23との間に掛着され、これらフック22の掛着部とポール23の掛着部とを互いに引き寄せる方向に附勢力をかける構成となっている。
【0018】
上記フック22は、図4に示すように、常時は、上記引張ばね24によって図示時計回り方向に回転附勢された状態として、ベース板21の係止板部21Bに当たって係止される位置(初期位置)にて保持された状態とされている。この初期状態では、フック22は、そのアーム状に延び出す形とされた上腕部22Bが、ベース板21の凹部21A内に張り出した状態とされている。このとき、ポール23は、上記引張ばね24の附勢力によって図示反時計回り方向に回転附勢された状態として、上記フック22の上腕部22Bに突き当てられて係止された状態として保持されている。
【0019】
上記フック22は、掛ワイヤー10がベース板21の凹部21A内に押し込まれてくる動きによって、上腕部22Bが掛ワイヤー10によって下側へ押される格好で回転し、その外周部上にもうひとつアーム状に延び出す形に形成された下腕部22Cを、掛ワイヤー10の背後側(図示上側)に回し込んで凹部21Aを閉鎖した状態となる(図5参照)。そして、この下腕部22Cが凹部21Aを閉鎖した状態となる回転位置状態のときに、ポール23が、その部分的に突出形成された角部23Bを、引張ばね24の附勢力によって、フック22の上腕部22Bの段差下に潜り込ませる格好で回転し、フック22の図示時計回り方向への戻り回転を規制した状態(ロック状態)となる。これにより、掛ワイヤー10が、フック22の下腕部22Cによって閉鎖された凹部21Aの空間内に拘束された状態(ロック状態)とされて保持される。
【0020】
上記フック22のロック状態は、ポール23に一体的とされている操作アーム25が、車体壁部上に設置された図示しない操作部材の操作によってワイヤー25Aを介して図示左方側に押し回されることにより解除される。具体的には、上記操作アーム25が左方側に押されて図示時計回り方向に回されると、ポール23の角部23Bがフック22の上腕部22Bとの係合状態(段差下に潜り込んだ状態)から外されて、フック22の戻り回転の規制状態が解かれる。これにより、図4に示すように、フック22が引張ばね24の附勢力によって、掛ワイヤー10を凹部21Aの外側へ押し出す格好で図示時計回り方向に回転して、掛ワイヤー10をロックしていた状態を解除する。以上が、ロック機構20の構成となっている。
【0021】
このように、本実施例の車両用シート1の構成によれば、掛ワイヤー10の屈曲部12Bに抜け防止構造(潰れ板部12B1)を設けたことにより、ストレート部12Aの長さを長くとらなくても、クッションパッド3Aに対する強固な抜け止め力を発揮可能な構成を効果的かつ簡素に得ることができる。
【実施例2】
【0022】
続いて、実施例2の車両用シート1の構成について、図6〜図7を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1で示した各構成と実質的に同じ構成となっている箇所には、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について異なる符合を付して詳しく説明することとする。本実施例の掛ワイヤー10は、実施例1で示した構成と同じ、円環状の中空断面の構成となっているが、各屈曲部12Bの屈曲した先の端部が、開口部12B2として外部に開口した形となっている。これにより、掛ワイヤー10は、クッションパッド3Aの発泡成形時に、各開口部12B2から発泡原料を各屈曲部12Bの中空内部に流入させて、各屈曲部12Bの内部においても発泡原料を一体的に硬化させた状態に結合させられるようになっている。この結合により、各屈曲部12Bがクッションパッド3Aに対して強固に抜け止めされた状態に結合され、掛ワイヤー10をクッションパッド3Aから外れないように強固に保持することのできる抜け防止構造が構成されている。
【0023】
このように、掛ワイヤー10を中空断面のパイプ材により形成し、屈曲部12Bの屈曲した先の端部を開口端(開口部12B2)にして、クッションパッド3Aの発泡成形時にその中空内部に発泡原料を流入させて一体的に硬化させて抜け防止構造を形成したことにより、強固な抜け止め力を発揮可能な構成を簡易に形成することができる。また、屈曲部12Bの中空内部にクッションパッド3Aの発泡原料が充填されることで、屈曲部12Bの構造強度が高められるため、抜け止め力を効果的に発揮可能な構造強度の高い構成を得ることができる。
【実施例3】
【0024】
続いて、実施例3の車両用シート1の構成について、図8〜図9を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1,2で示した各構成と実質的に同じ構成となっている箇所には、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について異なる符合を付して詳しく説明することとする。本実施例の掛ワイヤー10は、実施例2で示した構成と同じ、円環状の中空断面の構成となっており、各屈曲部12Bの屈曲した先の端部が、開口部12B2として外部に開口した形となっている。更に、本実施例の掛ワイヤー10は、各屈曲部12Bの周壁部に、それぞれ2個ずつの貫通孔12B3が設けられており、クッションパッド3Aの発泡成形時に、その発泡原料を各屈曲部12Bの開口端(開口部12B2)と各貫通孔12B3とから、それぞれ中空内部に流入させて、各屈曲部12Bの内部においても発泡原料を一体的に硬化させた状態に結合させられるようになっている。詳しくは、各貫通孔12B3は、各屈曲部12Bの外周部を一方側の周壁面から他方側の周壁面まで貫通して貫通孔12B3同士が一直線上に対面して貫通した形となって形成されている。
【0025】
このように、掛ワイヤー10を中空断面のパイプ材により形成し、各屈曲部12Bの屈曲した先の端部をそれぞれ開口端(開口部12B2)にすることに加えて、各屈曲部12Bの外周部に貫通孔12B3を2個ずつ形成して、クッションパッド3Aの発泡成形時に、各屈曲部12Bの中空内部に発泡原料を流入させやすくしたことで、各屈曲部12Bの中空内部に発泡原料をより適切に充填させて一体的に硬化させた状態に結合することができる。したがって、強固な抜け防止構造を良好に得ることができる。
【実施例4】
【0026】
続いて、実施例4の車両用シート1の構成について、図10〜図11を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1〜3で示した各構成と実質的に同じ構成となっている箇所には、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について異なる符合を付して詳しく説明することとする。本実施例の掛ワイヤー10は、実施例3で示した構成と同じ、円環状の中空断面の構成となっており、各屈曲部12Bの屈曲した先の端部が開口部12B2として外部に開口した形となっていると共に、各屈曲部12Bの外周部に貫通孔12B4が2個ずつ形成された構成となっている。詳しくは、上記各2個ずつの貫通孔12B4は、各屈曲部12Bの外周部におけるそれぞれの形成位置が、互いに屈曲部12Bの延びる方向にずれて配置されており、各屈曲部12Bの周方向に横並びとならない関係となって配置されている。これにより、クッションパッド3Aの発泡成形時に、各貫通孔12B4から流入する発泡原料の流れが、互いに干渉し合わず、各屈曲部12Bの中空内部にスムーズに発泡原料が流入されていくようになっている。
【0027】
このように、掛ワイヤー10を中空断面のパイプ材により形成し、屈曲部12Bの屈曲した先の端部をそれぞれ開口端(開口部12B2)にすることに加え、屈曲部12Bの外周部に貫通孔12B4をそれぞれ2個ずつ互いにずれた配置となるように形成して、クッションパッド3Aの発泡成形時に、各屈曲部12Bの中空内部に発泡原料を流入させやすくしたことにより、各屈曲部12Bの内部に発泡原料をより適切に充填させて一体的に硬化させた状態に結合することができる。したがって、強固な抜け防止構造を良好に得ることができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態を4つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、上記各実施例では、掛ワイヤー10が設けられるクッションパッド3Aとして、シートクッション3のクッションパッド3Aを例示したが、シートバックのクッションパッドに適用されていてもよい。また、ロック機構が設けられる「クッションパッドの外部」としては、フロアの他、クッションパッドに隣接して配される車体壁部や他のシート構造部などの何らかの構造部材であればよく、特に限定されるものではない。また、掛ワイヤーの抜け防止構造として、実施例1で示した屈曲部12Bの端部を潰して潰れ板部12B1を形成する構成と、実施例2,3で示した屈曲部の外周部に貫通孔12B3(12B4)を形成する構成と、を組み合わせた構成としたものであってもよい。また、掛ワイヤーの屈曲部に形成する潰れ板部を、屈曲部の中間部に形成して、端部を開口させた形にすることで、潰れ板部と開口部とを組み合わせた抜け防止構造を得ることができる。また、掛ワイヤーの抜け防止構造は、屈曲部の屈曲した先の端部が開口しておらず、単に屈曲部の外周部に貫通孔を形成して、その中空内部にクッションパッドの発泡原料を流入させやすくした構成であってもよい。
【0029】
また、掛ワイヤーは、その係合部が、クッションパッドのどこの部位面から露出した状態で設けられるものであってもよい。すなわち、掛ワイヤーは、クッションパッドをロックさせるべき対象物が配設された箇所に向けて露出するように配されるものだからである。また、掛ワイヤーの係合部の形状は、その係合するロック機構の構成に合わせて適宜形状に形成されていればよく、有端状に設けられるものや、段差状の形に折れ曲がって延びるように設けられるものなど、種々の形態のものを適用することができる。この場合において、埋設部が上記各実施例で示したような2本足の形態とならずに、1本足の形態でクッションパッド内に埋設されて結合される構成となっていても構わないが、その結合強度は弱くなる。また、屈曲部の折れ曲がる方向は、埋設部のストレート部に対して垂直な方向となっていればどの方向であっても構わず、また、その折れ曲がる角度も、垂直な角度まで至らない角度、又は垂直な角度を越えた角度まで折り曲げられる形態のものであっても構わない。
【0030】
また、上記各実施例では、掛ワイヤー10の両屈曲部12Bの折れ曲がる方向が、互いに内向する方向とされたものを示したが、互いに相反する外方向や上下方向に折り曲げられるものであっても構わない。また、各屈曲部の折れ曲がる方向は、互いに相異なる方向に折り曲げられるものであってもよい。これにより、屈曲部の折れ曲がる方向に何らかの障害物がある場合にも、屈曲部を障害物と干渉しない態様で屈曲させて、クッションパッドからの抜け防止構造を適切に設定することができる。また、掛ワイヤーは、角パイプ等の他の中空断面を持つ部材により形成されていてもよい。また、抜け防止構造を、屈曲部を波状や渦巻状に曲げ返した形状にして、クッションパッドに対する引き抜き方向の結合力を高めた構成としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 車両用シート
2 シートバック
3 シートクッション
3A クッションパッド
3B 表皮材
4 ヘッドレスト
10 掛ワイヤー
11 係合部
12 埋設部
12A ストレート部
12B 屈曲部
12B1 潰れ板部(抜け防止構造)
12B2 開口部(抜け防止構造)
12B3 貫通孔(抜け防止構造)
12B4 貫通孔(抜け防止構造)
20 ロック機構
21 ベース板
21A 凹部
21B 係止板部
22 フック
22A 第1の連結軸
22B 上腕部
22C 下腕部
23 ポール
23A 第2の連結軸
23B 角部
24 引張ばね
25 操作アーム
25A ワイヤー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションパッドに、該クッションパッドの外部に設けられたロック機構と係合する掛ワイヤーが一体的に設けられた車両用シートであって、
前記掛ワイヤーは、前記クッションパッドの外部に露出して前記ロック機構に係合される係合部と、前記クッションパッドに発泡成形時にインサートされて一体的に埋設された状態で形成される埋設部と、を有した形状とされ、
前記埋設部は、前記係合部を前記クッションパッド内に差し込む方向に延びるストレート部と、該ストレート部の延びた先の端部から垂直な方向に屈曲して延びる屈曲部と、を有し、該屈曲部に、前記クッションパッドに対する引き抜き方向の結合力を高める抜け防止構造が設けられていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記掛ワイヤーを中空断面のパイプ材により形成し、前記屈曲部の断面を前記引き抜き方向に面を向けるように板状に潰して前記抜け防止構造を構成したことを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記掛ワイヤーを中空断面のパイプ材により形成し、前記屈曲部の周壁部に貫通孔を設けて前記クッションパッドの発泡成形時にその発泡原料を前記屈曲部の中空内部に流入させて一体的に硬化させて前記抜け防止構造を構成したことを特徴とする車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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