説明

車両用スライドドア装置

【課題】 車体に対するカバーの取付け精度をより高めることで、車両の外観性をより高めること。
【解決手段】 車両用スライドドア装置20は、車体11の側部に形成された車体前後方向に長い凹部21と、この凹部内で車体の側部に取付けた車体前後方向に長いスライドドア案内用レール30と、凹部内でスライドドア案内用レールに沿うように連続して延びて車体の側部に直接に取付けたカバー支持部材40と、これらのスライドドア案内用レール及びカバー支持部材の各外側を覆ったカバー70と、このカバー70の内面を位置決めするべくカバー支持部材に一体に形成した第1・第2位置決め部51・・・,61・・・とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の側部に設けられたレールによって、スライドドアを前後に開閉可能に案内するとともに、レールの外側をカバーで覆うようにした、車両用スライドドア装置の改良技術に関する。
【0002】
自動車等の車両には、車体の側部にスライドドアを前後に開閉可能に備えた車種がある。車体の外面に備えたレールによって、スライドドアを開閉可能に案内することができる。近年、このような車種において、レールをカバーにて覆うことで、車両の外観性を高めるようにした技術の開発が進められている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−12034公報(図1−2、図4)
【0003】
特許文献1に示す従来の車両用スライドドア装置の概要を、次の図11に基づいて説明する。図11(a),(b)は従来の車両用スライドドア装置の概要図であり、(a)は車両用スライドドア装置100の分解した構成を示し、(b)は(a)のb−b線断面構成を示す。
【0004】
従来の車両用スライドドア装置100は、車体101の側部に車体前後方向に長い凹部102を形成し、凹部102内で車体101の側部に車体前後方向に長いスライドドア案内用レール103を取付け、レール103の外側をカバー104で覆ったというものである。レール103は、ドアブラケット105を介して、スライドドア106を前後スライド可能に案内することができる。カバー104の前端部は、レール103の前部ブラケット107にクリップ108にて取付け、カバー104の後端部は、車体101にビス109,109にて取付けたものである。
【0005】
レール103は、長手途中における上端面に複数の中間ブラケット111・・・を取付けたものである。中間ブラケット111・・・は、略コ字状のカバー支持部材である。レール103と中間ブラケット111・・・との間に、複数の筒状の孔112・・・(図11(b)参照)を形成することができる。一方、カバー104は、長手途中における内面に複数の取付け金具113・・・を取付けたものである。
取付け金具113・・・にリテーナ114・・・を取付け、筒状の孔112・・・にリテーナ114・・・を後方から挿入して取付けることで、車体101にレール103を介してカバー104の長手途中の位置を取付けることができる。
【0006】
車両の外観性を高めるには、車体101の側面101aに対してカバー104の外面104aを一致させることが好ましい。
しかしながら、車体101に対するレール103の取付け位置には、固有のレール取付け精度を有する。車体101にレール103を取付け、このレール103に中間ブラケット111・・・を介してカバー104の長手途中を取付けるので、カバー104の取付け位置は、レール取付け精度の影響を受けざるを得ない。
また、複数の中間ブラケット111・・・は、レール103の長手途中に取付けたものである。当然のことながら、レール103に対する各中間ブラケット111・・・の取付け精度には、バラツキがある。カバー104の取付け位置は、各レール取付け精度のバラツキの影響を受けざるを得ない。
このようなことから、車体101に対するカバー104の取付け精度を、より高めるには改良の余地がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車体に対するカバーの取付け精度をより高めることで、車両の外観性をより高めることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体の側部に形成された車体前後方向に長い凹部と、この凹部内で車体の側部に取付けた車体前後方向に長いスライドドア案内用レールと、凹部内でスライドドア案内用レールに沿うように連続して延びて車体の側部に直接に取付けたカバー支持部材と、これらのスライドドア案内用レール及びカバー支持部材の各外側を覆ったカバーと、このカバーの内面を位置決めするべくカバー支持部材に一体に形成した位置決め部とを備えた車両用スライドドア装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、位置決め部がカバー支持部材の長手方向に複数個有ることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、位置決め部が、カバーに係合する係合手段を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、カバーの少なくとも一部を、車体の側部にも直接に取付けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、位置決め部が、カバーの長手方向の端部を上下に位置決めする上下位置決め部を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、位置決め部が、カバーを車幅方向に位置決めする車幅位置決め部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、車体の側部に形成された凹部内において、スライドドア案内用レールとは別部材からなるカバー支持部材を、車体の側部に直接に取付けたので、車体に対するカバー支持部材の取付け精度が、スライドドア案内用レールの取付け精度の影響を受けることはない。このようなカバー支持部材に一体に形成された位置決め部に、カバーの内面を位置決めしたので、車体に対するカバーの取付け位置を正確に設定することができる。
さらには、スライドドア案内用レールに沿って連続して延びたカバー支持部材に、カバーの内面を位置決めしたので、カバーの長手方向での位置決め精度のバラツキを低減することができる。
このようなことから、車体に対するカバーの取付け精度をより高めることができる。取付け精度が高まるので、車体の側面に対してカバーの外面を容易に一致させることができる。この結果、車両の外観性をより高めることができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、カバー支持部材の長手方向に複数個の位置決め部を有した構成なので、カバー支持部材の長手方向に連続した1つの位置決め部を有する場合に比べて、位置決め部にカバーの長手途中を複数箇所で位置決めするのに、微小の取付け精度のバラツキを吸収しつつ正確に位置決めすることができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、位置決め部が、カバーに係合する係合手段を有しているので、位置決め部に係合手段にてカバーを係合させることにより、カバー支持部材に対して、カバーを更に正確に位置決めするとともに強固に取付けることができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、カバーの少なくとも一部を車体の側部にも直接に取付けたので、車体に対するカバーの取付け精度をより一層高めることができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、位置決め部が、カバーの長手方向の端部を上下に位置決めする上下位置決め部を有しているので、カバー支持部材に対して、長尺材からなるカバーの端部における上下の位置決めをより一層確実に行うことができるとともに、カバーが上下方向へ回ることを防止することができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、位置決め部が、カバーを車幅方向に位置決めする車幅位置決め部を有しているので、カバー支持部材に対して、カバーの車幅方向取付け位置を、より一層正確に設定することができる。この結果、車体に対するカバーの取付け位置をより一層正確に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側、CLは車体中心(車幅中心)を示す。
【0021】
図1は本発明に係る車両を左側方から見た斜視図である。車両10は、車体11に左右のフロントドア12(左のみを示す。以下同じ。)及び左右のリヤドア13を備えた自動車である。車体11の側部に設けられたリヤドア13は、実線にて示す閉位置と想像線にて示す開位置とに、前後に開閉可能なスライドドアである。以下、リヤドア13のことを適宜「スライドドア13」と言い換えて説明する。スライドドア13は、車体11に車両用スライドドア装置20にてスライド可能に支持された構成である。
図中、14はルーフ、15フロントガラス、16はフード、17はヘッドランプ、18はテールランプである。
【0022】
図2は本発明に係る車両用スライドドア装置においてカバー支持部材及びカバーを分解した分解図である。図3は本発明に係る車両用スライドドア装置においてカバーを分解した分解図である。
図2及び図3に示すように、車両用スライドドア装置20は、車体11の側部に形成した車体前後方向に長い凹部21と、凹部21内で車体11の側部に取付けたスライドドア案内用レール30並びにカバー支持部材40と、これらのスライドドア案内用レール30及びカバー支持部材40の各外側を覆ったカバー70とを備える。
【0023】
図4は本発明に係る車両用スライドドア装置においてカバー支持部材及びカバーを分解した構成の要部を拡大した分解拡大図であり、図2に対応させて示す。
図2及び図4に示すように、凹部21は、車体11の側部において車幅方向外側へ開口するように、鋼板製の車体パネル22に形成されたものであって、スライドドア用開口23からテールランプ装着部24にわたって細長い、水平な溝である。
さらに凹部21は、底面25のうち、スライドドア案内用レール30(以下、単に「レール30」と言う。)の上方に複数の支持部材取付部26・・・を備える。これらの支持部材取付部26・・・は、レール30に沿って一定のピッチで配列したものである。さらに詳しくは、図4に示すように支持部材取付部26は、凹部21の底面25から開口側へ膨出した膨出部分からなり、その膨出した先端面を平坦で略鉛直な取付け面27とし、取付け面27に貫通した取付け孔28を有する。
【0024】
図2及び図4に示すようにレール30は、車体前後方向に長い平面視略L字状の水平な部材であって、凹部21の底面25にボルト止め等によって取付けたものである。
このようなレール30は、図4に示すように略C形状断面体であって、凹部21の底面25に取付ける縦板状のウエブ31と、ウエブ31の下端から凹部21の開口側へ延びる下部フランジ32と、ウエブ31の上端から凹部21の開口側へ延びる上部フランジ33と、上部フランジ33の先端から下方へ延びる垂下部34とからなる、鋼材の一体成形品である。
【0025】
図3及び図4に示すように、カバー支持部材40は、レール30の上方で且つレール30に沿うように連続して延びた、車体前後方向に細長い水平な部材であって、樹脂材の一体成形品からなる。
【0026】
図5は本発明に係るカバー支持部材の斜視図である。図4及び図5に示すように、カバー支持部材40は、支持部材取付部26に取付ける複数個の被取付部41・・・と、複数個の複数個の第1位置決め部51・・・と、複数個の第2位置決め部61・・・とを、一体に形成することによって備える。
【0027】
これらの被取付部41・・・、第1位置決め部51・・・及び第2位置決め部61・・・はカバー支持部材40の長手方向に配列したものである。例えば、図5に示すように、カバー支持部材40に対して車体前側から後方へ被取付部41、第2位置決め部61、第1位置決め部51、第2位置決め部61、被取付部41、第1位置決め部51、第2位置決め部61、被取付部41、第1位置決め部51、被取付部41、第2位置決め部61の順に並列する。このようにして、カバー支持部材40の前端部及び後端部に被取付部41,41を有する。そして図2に示すように、複数の支持部材取付部26・・・に被取付部41・・・を取付けることができる。
【0028】
図2及び図4に示すように、カバー70は、車体前後方向に細長い水平な部材であって、車幅方向外側のアウタパネル71と車幅方向内側のインナパネル72とステー73,74とからなる。アウタパネル71、インナパネル72及びステー73,74は鋼板のプレス成形品である。
このようなカバー70は、少なくとも一部を、車体11の側部にも直接に取付けたことを特徴とする。具体的には、カバー70の前端及び後端において、インナパネル72は凹部21側に延びたステー73,74を備える。レール30のブラケット75に前のステー73をタッピングスクリュー等の締結部材76にて取付けることで、車体11にレール30を介してカバー70の前端部を取付けることができる。また、凹部21後端のブラケット77に後のステー74をボルト等の締結部材78にて取付けることで、カバー70の後端部を車体11に直接に取付けることができる。
【0029】
さらにインナパネル72は、複数の第1係合孔81・・・と、複数の膨出部82・・・(図4参照)と、複数の第2係合孔83・・・とを有する。
図4に示すように第1係合孔81は、第1位置決め部51に対応する位置に開けられた鉤孔状の貫通孔であり、幅広の第1挿入孔部81aと、第1挿入孔部81aの横に連なる幅狭の第1係合孔部81bとからなる。第1挿入孔部81aの幅はH11であり、第1係合孔部81bの幅はH12である。
【0030】
膨出部82は、第2位置決め部61に対応する位置に膨出した凸部である。第2係合孔83は、膨出部82において、第2位置決め部61に対応する位置に開けられた鉤孔状の貫通孔であり、幅広の第2挿入孔部83aと、第2挿入孔部83aの横に連なる幅狭の第2係合孔部83bとからなる。第2挿入孔部83aの幅はH21であり、第2係合孔部83bの幅はH22である。
【0031】
図6は図4の6−6線断面図である。図4及び図6に示すように、カバー支持部材40の取付け構造は、被取付部41の貫通孔45にクリップ42を通してタッピングスクリュー44にて取付け、取付け面27にクリップ42を介して車幅方向外側から被取付部41を重ね、さらに、取付け孔28にクリップ42を弾性を有した嵌合(スナップフィット)にて取付けることで、支持部材取付部26にクリップ42及びタッピングスクリュー44を介して被取付部41を取付けた構成である。この結果、凹部21内で車体11の側部にカバー支持部材40を直接に取付けることができる。
【0032】
図7は図4の7−7線断面図であり、第1位置決め部51周りの断面構造を示す。図8(a),(b)は第1位置決め部及びカバー周りの構成図であり、(a)は分解した構成を示し、(b)は組み合わせた構成を示す。
図7に示すようにカバー70は、凹部21の開口において、車体11の側部に対して略面一となるように配置することで、スライドドア案内用レール30及びカバー支持部材40の各外側を覆うとともに、凹部21の下部については露出させるようにしたものである。
【0033】
スライドドア13は、凹部21側へ延びたブラケット91及びブラケット91の先端に回転可能に取付けたローラ92,93を備える。レール30は、ローラ92,93を回転可能に支持することによって、スライドドア13を車体前後方向(図7の表裏方向)に案内することができる。なお、ブラケット91は、凹部21の下部とカバー70の下端との間の隙間を貫通して内外に延びる。
【0034】
図4及び図8(a)に示すように、第1位置決め部51は、カバー支持部材40から車幅方向外側へ膨出した膨出部からなり、係合手段52を有する。係合手段52は上下位置決め部53及び車幅位置決め部54からなる。
【0035】
図8(a)に示すように、第1位置決め部51は、車幅方向外側へ膨出した先端面を平坦な当て面55とし、この当て面55の中央から車幅方向外側へ四角形状の上下位置決め部53を突出し、上下位置決め部53の先端に係合フランジ56を形成した構成である。
当て面55から係合フランジ56の裏面までの間隔はδ11であり、インナパネル72の板厚thよりも若干大きい。当て面55の幅はW11である。上下位置決め部53の幅はW12であり、第1係合孔部81bの幅H12よりも若干大きい。係合フランジ56の幅はW13であり、上下位置決め部53の幅W12よりも大きく且つ図4に示す第1挿入孔部81aの幅H11よりも小さい。すなわち、係合フランジ56の寸法は、図4に示す第1挿入孔部81aを通過可能な大きさである。
インナパネル72の裏面72a(すなわち、カバー70の内面72a)は平坦な面である。
【0036】
図4に示すように、第1挿入孔部81aに係合フランジ56を通した後に、カバー70を矢印X方向へ移動させることにより、図7及び図8(b)に示すように、第1係合孔部81bに上下位置決め部53を掛け止めることができる。
この結果、上下位置決め部53に第1係合孔部81bを嵌合させることによって、カバー支持部材40に対してカバー70を上下に位置決めすることができる。このため、カバー支持部材40を固定した車体11に対してカバー70を上下に位置決めすることができる。このように上下位置決め部53は、カバー70を上下に位置決めする役割を果たす。
【0037】
さらには、当て面55と係合フランジ56とでインナパネル72の表裏面を挟み込むことによって、カバー支持部材40に対してカバー70を車幅方向に位置決めすることができる。このため、カバー支持部材40を固定した車体11に対してカバー70を車幅方向に位置決めすることができる。当て面55と係合フランジ56との組合せ構造は、カバー70を車幅方向に位置決めする車幅位置決め部54をなす。
【0038】
図9は図4の9−9線断面図であり、第2位置決め部61周りの断面構造を示す。図10(a),(b)は第2位置決め部及びカバー周りの構成図であり、(a)は分解した構成を示し、(b)は組み合わせた構成を示す。
図4及び図10(a)に示すように、第2位置決め部61は、カバー支持部材40から車幅方向外側へ膨出した突出した上下位置決め部63を有する。
【0039】
図10(a)に示すように、第2位置決め部61は、車幅方向外側に臨む平坦な当て面62を有し、この当て面62の中央から車幅方向外側へ四角形状の上下位置決め部63を突出し、上下位置決め部63の先端に係合フランジ64を形成した構成である。
当て面62から係合フランジ64の裏面までの間隔はδ12であり、インナパネル72の板厚thよりも若干大きい。当て面62の幅はW21である。上下位置決め部63の幅はW22であり、第2係合孔部83bの幅H22よりも若干大きい。係合フランジ64の幅はW23であり、上下位置決め部63の幅W22よりも大きく且つ図4に示す第2挿入孔部83aの幅H21よりも小さい。すなわち、係合フランジ64の寸法は、図4に示す第2挿入孔部83aを通過可能な大きさである。
インナパネル72における膨出部82の裏面82aは略鉛直で平坦な面である。
【0040】
図4に示すように、第2挿入孔部83aに係合フランジ64を通した後に、カバー70を矢印X方向へ移動させることにより、図9及び図10(b)に示すように、第2係合孔部83bに上下位置決め部63を掛け止めることができる。
この結果、上下位置決め部63に第2係合孔部83bを嵌合させることによって、カバー支持部材40に対してカバー70を上下に位置決めすることができる。このため、カバー支持部材40を固定した車体11に対してカバー70を上下に位置決めすることができる。このように上下位置決め部63は、カバー70を上下に位置決めする役割を果たす。
さらには、当て面62と係合フランジ64とでインナパネル72の表裏面を挟み込むことによって、カバー支持部材40に対してカバー70を車幅方向に位置決めすることができる。
【0041】
以上の構成からなる車両用スライドドア装置20の作用について説明する。
図2、図7及び図9に示すように、車両用スライドドア装置20は、車体11の側部に形成された車体前後方向に長い凹部21と、この凹部21内で車体11の側部に取付けた車体前後方向に長いスライドドア案内用レール30と、凹部21内でレール30に沿うように連続して延びて車体11の側部に直接に取付けたカバー支持部材40と、これらのレール30及びカバー支持部材40の各外側を覆ったカバー70と、このカバー70の内面72a,82a(図7、図9参照)を位置決めするべくカバー支持部材40に一体に形成した第1・第2位置決め部51・・・,61・・・とを備えたことを特徴とする。
【0042】
このように、凹部21内において、レール30とは別部材からなるカバー支持部材40を、車体11の側部に直接に取付けたので、車体11に対するカバー支持部材40の取付け精度が、レール30の取付け精度の影響を受けることはない。このようなカバー支持部材40に一体に形成された第1・第2位置決め部51・・・,61・・・に、カバー70の内面72aを位置決めしたので、車体11に対するカバー70の取付け位置を正確に設定することができる。
【0043】
さらには、レール30に沿って連続して延びたカバー支持部材40に、カバー70の内面72aを位置決めしたので、カバー70の長手方向での位置決め精度のバラツキを低減することができる。
【0044】
このようなことから、車体11に対するカバー70の取付け精度をより高めることができる。取付け精度が高まるので、車体11の側面11aに対してアウタパネル71の外面71a(すなわち、カバー70の外面71a)を容易に一致させることができる。この結果、車両10の外観性をより高めることができる。
【0045】
さらに車両用スライドドア装置20は、カバー支持部材40の長手方向に複数個の第1・第2位置決め部51・・・,61・・・を有した構成なので、カバー支持部材40の長手方向に連続した1つの位置決め部を有する場合に比べて、第1・第2位置決め部51・・・,61・・・にカバー70の長手途中を複数箇所で位置決めするのに、微小の取付け精度のバラツキを吸収しつつ正確に位置決めすることができる。
【0046】
さらに図5及び図7に示すように、車両用スライドドア装置20は、第1位置決め部51・・・が、カバー70に係合する係合手段52・・・を有しているので、第1位置決め部51・・・に係合手段52・・・にてカバー70を係合させることにより、カバー支持部材40に対して、カバー70を更に正確に位置決めするとともに強固に取付けることができる。
【0047】
さらに図3に示すように、車両用スライドドア装置20は、カバー70の少なくとも一部を車体11の側部にも直接に取付けたので、車体11に対するカバー70の取付け精度をより一層高めることができる。
【0048】
さらに図5及び図9に示すように、車両用スライドドア装置20は、第2位置決め部61・・・が、カバー70の長手方向の端部を上下に位置決めする上下位置決め部63・・・を有しているので、カバー支持部材40に対して、長尺材からなるカバー70の端部における上下の位置決めをより一層確実に行うことができるとともに、カバー70が上下方向へ回ることを防止することができる。
【0049】
さらに図5及び図7に示すように、車両用スライドドア装置20は、第1位置決め部51・・・が、カバー70を車幅方向に位置決めする車幅位置決め部54・・・を有しているので、カバー支持部材40に対して、カバー70の車幅方向取付け位置を、より一層正確に設定することができる。この結果、車体11に対するカバー70の取付け位置をより一層正確に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の車両用スライドドア装置20は、車体11の側部に設けられたスライドドア案内用レール30によって、スライドドア13を前後に開閉可能に案内するとともに、レール30の外側をカバー70で覆うようにした、乗用車等の車両に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る車両を左側方から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用スライドドア装置においてカバー支持部材及びカバーを分解した分解図である。
【図3】本発明に係る車両用スライドドア装置においてカバーを分解した分解図である。
【図4】本発明に係る車両用スライドドア装置においてカバー支持部材及びカバーを分解した構成の要部を拡大した分解拡大図である。
【図5】本発明に係るカバー支持部材の斜視図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図4の7−7線断面図である。
【図8】第1位置決め部及びカバー周りの構成図である。
【図9】図4の9−9線断面図である。
【図10】第2位置決め部及びカバー周りの構成図である。
【図11】従来の車両用スライドドア装置の概要図である。
【符号の説明】
【0052】
10…車両、11…車体、11a…車体の側面、20…車両用スライドドア装置、21…凹部、30…スライドドア案内用レール、40…カバー支持部材、51,61…位置決め部、52…係合手段、53,63…上下位置決め部、54…車幅位置決め部、70…カバー、71a…カバーの外面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側部に形成された車体前後方向に長い凹部と、この凹部内で車体の側部に取付けた車体前後方向に長いスライドドア案内用レールと、前記凹部内で前記スライドドア案内用レールに沿うように連続して延びて前記車体の側部に直接に取付けたカバー支持部材と、これらのスライドドア案内用レール及びカバー支持部材の各外側を覆ったカバーと、このカバーの内面を位置決めするべく前記カバー支持部材に一体に形成した位置決め部とを備えた車両用スライドドア装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記カバー支持部材の長手方向に複数個有ることを特徴とした請求項1記載の車両用スライドドア装置。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記カバーに係合する係合手段を有していることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の車両用スライドドア装置。
【請求項4】
前記カバーの少なくとも一部は、前記車体の側部にも直接に取付けたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両用スライドドア装置。
【請求項5】
前記位置決め部は、前記カバーの長手方向の端部を上下に位置決めする上下位置決め部を有していることを特徴とした請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の車両用スライドドア装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記カバーを車幅方向に位置決めする車幅位置決め部を有していることを特徴とした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載の車両用スライドドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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