説明

車両用空気調和装置

【課題】車両の走行中にバッテリの残量が少なくなった場合に除霜運転の実行による電力の消費量を低減することで車両の走行可能距離を延長することのできる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】室外熱交換器23に着霜が生じた場合に、バッテリBの残量が所定残量以下のときには、除霜運転を実行せず、バッテリBが充電中になった場合に除霜運転を開始するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車に適用可能な車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用空気調和装置としては、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられた室内熱交換器と、車室外側に設けられた室外熱交換器と、を備え、圧縮機から吐出した冷媒を室内熱交換器において放熱させ、室外熱交換器において吸熱させることにより車室内の暖房を行うものが知られている。
【0003】
前記車両用空気調和装置では、車室外の温度が低温の環境下において車室内の暖房を行うと、室外熱交換器における冷媒の蒸発温度が低下して、室外熱交換器に着霜を生じるおそれがある。室外熱交換器に着霜が生じた場合には、室外熱交換器において必要な吸熱量を得ることができず暖房能力が低下する。
【0004】
そこで、前記車両用空気調和装置では、室外熱交換器に霜が付着した場合に、室外熱交換器に付着した霜を除去するための除霜運転を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−52636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記車両用空気調和装置を電気自動車に適用した場合において、除霜運転における消費電力は通常の暖房運転の消費電力よりも大きい。このため、車両の走行中に除霜運転を実行すると、車両走行用の電力が除霜運転の実行により消費され、車両の走行可能な距離が短くなる。車両走行用の電力および暖房用の電力を供給するバッテリの残量が少なくなった状態で除霜運転を行うと、バッテリの残りの電力が除霜運転によって消費されて車両が目的地に到着する前に走行不能となるおそれがある。
【0007】
本発明の目的とするところは、車両の走行中にバッテリの残量が少なくなった場合に除霜運転の実行による電力の消費量を低減することで車両の走行可能距離を延長することのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられた室内熱交換器と、車室外側に設けられた室外熱交換器と、を備え、圧縮機から吐出した冷媒を室内熱交換器において放熱させ、室外熱交換器において吸熱させることにより車室内の暖房を行う車両用空気調和装置において、室外熱交換器に着霜が生じたか否かを判定する着霜判定手段と、着霜判定手段によって室外熱交換器に着霜が生じたと判定した場合に、室外熱交換器に付着した霜を除去する除霜運転を実行する除霜手段と、車両走行用の電力および暖房用の電力を供給するバッテリの残量を検出するバッテリ残量検出手段と、バッテリ残量検出手段によって検出されたバッテリの残量が所定残量以下の場合に、除霜手段による除霜運転の実行を制限する除霜制限手段と、バッテリが充電中であるか否かを判定する充電判定手段と、除霜制限手段によって除霜運転の実行が制限されている場合に、充電判定手段によってバッテリが充電中であると判定されると、除霜制限手段による除霜運転の実行の制限を解除する充電時制限解除手段と、を備えている。
【0009】
これにより、バッテリの残量が所定残量以下の場合には除霜運転が実行されず、バッテリの充電中に除霜運転が実行されることから、車両の走行中にバッテリの残量が少なくなった場合に、バッテリの電力が車両の走行用の電力として利用される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の走行中にバッテリの残量が少なくなった場合に、バッテリの電力を車両の走行用の電力として有効に利用することができるので、車両の走行可能距離を延長することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図2】制御系を示すブロック図である。
【図3】冷房運転及び除湿冷房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図4】暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図5】第1除湿暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図6】第2除湿暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図7】除霜運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図8】除霜運転制御処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態の除霜運転制御処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態の除霜運転制御処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態の除霜運転制御処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5実施形態の除霜運転制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図8は、本発明の第1実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の車両用空気調和装置は、電力によって走行する電気自動車に適用されるものであり、車両走行用のバッテリBの電力によって運転される。この車両用空気調和装置は、図1に示すように、車室内に設けられた空調ユニット10と、車室内および車室外に亘って構成された冷媒回路20及び水回路30と、を備えている。
【0014】
空調ユニット10は、車室内に供給する空気を流通させるための空気流通路11を有している。空気流通路11の一端側には、車室外の空気を空気流通路11に流入させるための外気吸入口11aと、車室内の空気を空気流通路11に流入させるための内気吸入口11bと、が設けられている。また、空気流通路11の他端側には、空気流通路11を流通する空気を車室内の搭乗者の足元に向かって吹き出させるフット吹出口11cと、空気流通路11を流通する空気を車室内の搭乗者の上半身に向かって吹き出させるベント吹出口11dと、空気流通路11を流通する空気を車両のフロントガラスの車室内側の面に向かって吹き出させるデフ吹出口11eと、が設けられている。
【0015】
空気流通路11の一端側には、空気を空気流通路11の一端側から他端側に向かって流通させるためのシロッコファン等の室内送風機12が設けられている。この室内送風機12は電動モータ12aによって駆動される。
【0016】
空気流通路11の一端側には、外気吸入口11a及び内気吸入口11bの一方を開放して他方を閉鎖することが可能な吸入口切換えダンパ13が設けられている。この吸入口切換えダンパ13は電動モータ13aによって駆動される。吸入口切換えダンパ13によって内気吸入口11bが閉鎖されて外気吸入口11aが開放されると、外気吸入口11aから空気が空気流通路11に流入する外気供給モードとなる。また、吸入口切換えダンパ13によって外気吸入口11aが閉鎖されて内気吸入口11bが開放されると、内気吸入口11bから空気が空気流通路11に流入する内気循環モードとなる。さらに、吸入口切換えダンパ13が外気吸入口11aと内気吸入口11bとの間に位置し、外気吸入口11aと内気吸入口11bがそれぞれ開放されると、吸入口切換えダンパ13による外気吸入口11a及び内気吸入口11bのそれぞれの開口率に応じた割合で、外気吸入口11aと内気吸入口11bとから空気が空気流通路11に流入する外内気吸入モードとなる。
【0017】
空気流通路11の他端側のフット吹出口11c、ベント吹出口11d及びデフ吹出口11eのそれぞれには、各吹出口11c,11d,11eを開閉するための吹出口切換えダンパ13b,13c,13dが設けられている。この吹出口切換えダンパ13b,13c,13dは、図示しないリンク機構によって連動するように構成され、電動モータ13eによってそれぞれ開閉される。ここで、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11cが開放されてベント吹出口11dが閉鎖され、デフ吹出口11eが僅かに開放されると、空気流通路11を流通する空気の大部分がフット吹出口11cから吹き出されると共に残りの空気がデフ吹出口11eから吹き出されるフットモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びデフ吹出口11eが閉鎖されてベント吹出口11dが開放されると、空気流通路11を流通する空気の全てがベント吹出口11dから吹き出されるベントモードとなる。さらに、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びベント吹出口11dが開放されてデフ吹出口11eが閉鎖されると、空気流通路11を流通する空気がフット吹出口11c及びベント吹出口11dから吹き出されるバイレベルモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びベント吹出口11dが閉鎖されてデフ吹出口11eが開放されると、空気流通路11を流通する空気がデフ吹出口11eから吹き出されるデフモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってベント吹出口11dが閉鎖されてフット吹出口11c及びデフ吹出口11eが開放されると、空気流通路11を流通する空気がフット吹出口11c及びデフ吹出口11eから吹き出されるデフフットモードとなる。尚、バイレベルモードにおいては、フット吹出口11cから吹き出される空気の温度がベント吹出口11dから吹き出される空気の温度よりも高温となる温度差が生じるような、空気流通路11、フット吹出口11c、ベント吹出口11d、後述する吸熱器及び放熱器の互いの位置関係や構造となっている。
【0018】
室内送風機12の空気流通方向下流側の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気を冷却及び除湿するための吸熱器14が設けられている。また、吸熱器14の空気流通方向下流側の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気を加熱するための放熱器15が設けられている。吸熱器14は、冷媒回路20を流通する冷媒と空気流通路11を流通する空気とを熱交換させるためのフィンとチューブとからなる熱交換器である。また、放熱器15は、水回路30を流通する水と空気流通路11を流通する空気とを熱交換させるためのフィンとチューブとからなる熱交換器である。
【0019】
吸熱器14と放熱器15との間の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気の放熱器15において加熱される割合を調整するためのエアミックスダンパ16が設けられている。エアミックスダンパ16は電動モータ16aによって駆動される。エアミックスダンパ16は、空気流通路11の放熱器15の上流側に位置することによって、放熱器15において熱交換する空気の割合が減少し、空気流通路11の放熱器15以外の部分側に移動させることによって、放熱器15において熱交換する空気の割合が増加する。エアミックスダンパ16は、空気流通路11の放熱器15の上流側を閉鎖して放熱器15以外の部分を開放した状態で開度が0%となり、空気流通路11の放熱器15の上流側を開放し、放熱器15以外の部分を閉鎖した状態で開度が100%となる。
【0020】
冷媒回路20は、前記吸熱器14、冷媒を圧縮するための圧縮機21、冷媒と水回路30を流通する水とを熱交換させるための水冷媒熱交換器22、冷媒と車室外の空気とを熱交換するための室外熱交換器23、放熱器15から流出する冷媒と吸熱器14から流出する冷媒とを熱交換させるための内部熱交換器24、冷媒の流路を切換えるための電動の三方弁25、第1〜第4電磁弁26a〜26d、第1〜第2逆止弁27a〜27b、流通する冷媒を減圧するための第1及び第2膨張弁28a,28bを有し、これらは銅管やアルミニウム管によって接続されている。圧縮機21及び室外熱交換器23は、車室外に配置されている。また、圧縮機21は電動モータ21aによって駆動される。室外熱交換器23には、車両の停止時に車室外の空気と冷媒とを熱交換させるための室外送風機29が設けられている。室外送風機29は、電動モータ29aによって駆動される。
【0021】
具体的には、圧縮機21の冷媒吐出側に水冷媒熱交換器22の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20aが設けられている。また、水冷媒熱交換器22の冷媒流出側には、室外熱交換器23の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20bが設けられている。冷媒流通路20bには、三方弁25が設けられ、三方弁25の一方の冷媒流出側と他方の冷媒流出側が互いに並列に室外熱交換器23の冷媒流入側に接続され、それぞれ冷媒流通路20c,20dが設けられている。冷媒流通路20dには、冷媒流通方向の上流側から順に、第1膨張弁28a、第1逆止弁27aが設けられている。室外熱交換器23の冷媒流出側には、圧縮機21の冷媒吸入側と、冷媒流通路20dの三方弁25と第1膨張弁28aとの間と、が互いに並列に接続されることによって、それぞれ冷媒流通路20e,20fが設けられている。冷媒流通路20eには、第1電磁弁26aが設けられている。また、冷媒流通路20fには、冷媒流通方向の上流側から順に、第2電磁弁26b、第2逆止弁27bが設けられている。また、冷媒流通路20dの三方弁25と第1膨張弁28aとの間には、内部熱交換器24の高圧冷媒流入側が接続され、冷媒流通路20gが設けられている。冷媒流通路20gには、第3電磁弁26cが設けられている。内部熱交換器24の高圧冷媒流出側には、吸熱器14の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20hが設けられている。冷媒流通路20hには、第2膨張弁28bが設けられている。吸熱器14の冷媒流出側には、内部熱交換器24の低圧冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20iが設けられている。内部熱交換器24の低圧冷媒流出側には、冷媒流通路20eの第1電磁弁26aと圧縮機21の冷媒吸入側との間が接続されることによって、冷媒流通路20jが設けられている。冷媒流通路20aには、室外熱交換器23の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20kが設けられている。冷媒流通路20kには、第4電磁弁26dが設けられている。
【0022】
水回路30は、前記放熱器15、水冷媒熱交換器22、熱媒体としての水を圧送するためのポンプ31、電力によって水を加熱するための電熱ヒータ等からなる水加熱ヒータ32を有し、これらは銅管やアルミニウム管によって接続されている。具体的には、ポンプ31の水吐出側に水冷媒熱交換器22の水流入側が接続されることによって、水流通路30aが設けられている。また、水冷媒熱交換器22の水流出側には、水加熱ヒータ32の水流入側が接続されることによって、水流通路30bが設けられている。水加熱ヒータ32の水流出側には、放熱器15の水流入側が接続されることによって、水流通路30cが設けられている。放熱器15の水流出側には、ポンプ31の水吸入側が接続されることによって、水流通路30dが設けられている。ポンプ31は電動モータ31aによって駆動される。
【0023】
また、車両用空気調和装置は、車室内の温度及び湿度を設定された温度及び設定された湿度とする制御を行うためのコントローラ40を備えている。
【0024】
コントローラ40は、CPU、ROM,RAMを有している。コントローラ40は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0025】
コントローラ40の入力側には、図2に示すように、車室外の温度Tamを検出するための外気温度センサ41、車室内の温度Trを検出するための内気温度センサ42、空気流通路11に流入する空気の温度Tiを検出するための吸気温度センサ43、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teを検出するための冷却空気温度センサ44、放熱器15において加熱された後の空気の温度Tcを検出するための加熱空気温度センサ45、車室内の湿度Thを検出するための内気湿度センサ46、室外熱交換器23において熱交換した後の冷媒の温度Thexを検出するための冷媒温度センサ47、日射量Tsを検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ48、車両の速度Vを検出するための速度センサ49、目標設定温度Tsetや運転の切換えに関するモードを設定するための操作部50、冷媒回路20の高圧側の圧力Pdを検出するための圧力センサ51、車室外の湿度Rhamを検出するための外気湿度センサ52、が接続されている。
【0026】
コントローラ40の出力側には、図2に示すように、室内送風機12駆動用の電動モータ12a、吸入口切換えダンパ13駆動用の電動モータ13a、吹出口切換えダンパ13b,13c,13d駆動用の電動モータ13e、エアミックスダンパ16駆動用の電動モータ16a、圧縮機21駆動用の電動モータ21a、三方弁25、第1〜第4電磁弁26a,26b,26c,26d、室外送風機29駆動用の電動モータ29a、ポンプ31駆動用の電動モータ31a、水加熱ヒータ32、車両の現在地を測定し目的地への経路を案内するためのナビゲーション装置53が接続されている。ナビゲーション装置53は、目的地までの経路における渋滞の有無などの交通情報を取得することが可能に構成されている。
【0027】
以上のように構成された車両用空気調和装置では、冷房運転、除湿冷房運転、暖房運転、第1除湿暖房運転、第2除湿暖房運転、除霜運転が行われる。以下、それぞれの運転について説明する。
【0028】
冷房運転において、冷媒回路20では、三方弁25の流路を冷媒流通路20c側に設定し、第2及び第3電磁弁26b,26cを開放するとともに、第1及び第4電磁弁26a,26dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。また、水回路30では、ポンプ31の運転を停止の状態とする。
【0029】
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図3に示すように、冷媒流通路20a、水冷媒熱交換器22、冷媒流通路20b,20c、室外熱交換器23、冷媒流通路20f,20d,20g、内部熱交換器24の高圧側、冷媒流通路20h、吸熱器14、冷媒流通路20i、内部熱交換器24の低圧側、冷媒流通路20j,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、室外熱交換器23において放熱し、吸熱器14において吸熱する。冷房運転においては、ポンプ31の運転を停止しているため、水冷媒熱交換器22において冷媒は放熱しない。
【0030】
このとき、冷房運転中の空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却され、車室内の温度を目標設定温度Tsetとするために吹出口11c,11d,11eから吹き出すべき空気の温度である目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0031】
除湿冷房運転において、冷媒回路20では、冷房運転の場合と同様に、三方弁25の流路を冷媒流通路20c側に設定し、第2及び第3電磁弁26b,26cを開放するとともに、第1及び第4電磁弁26a,26dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。また、水回路30では、ポンプ31を運転する。
【0032】
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図3に示すように、冷房運転の場合と同様に流通する。冷媒回路20を流通する冷媒は、水冷媒熱交換器22及び室外熱交換器23において放熱し、吸熱器14において吸熱する。
【0033】
また、ポンプ31から吐出された水は、図3の鎖線で示すように、水冷媒熱交換器22、水加熱ヒータ32、放熱器15の順に流通してポンプ31に吸入される。水回路30を流通する水は、水冷媒熱交換器22において吸熱し、放熱器15において放熱する。
【0034】
このとき、除湿冷房運転中の空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって空気流通路11を流通する空気は、吸熱器14において吸熱する冷媒と熱交換して冷却されることによって除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、放熱器15おいて放熱する水と熱交換して加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0035】
暖房運転において、冷媒回路20では、三方弁25の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第1電磁弁26aを開放するとともに、第2〜第4電磁弁26b〜26dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。また、水回路30では、ポンプ31を運転する。
【0036】
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図4に示すように、冷媒流通路20a、水冷媒熱交換器22、冷媒流通路20b,20d、室外熱交換器23、冷媒流通路22eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、水冷媒熱交換器22において放熱し、室外熱交換器23において吸熱する。
【0037】
また、ポンプ31から吐出された水は、図4に示すように、水冷媒熱交換器22、水加熱ヒータ32、放熱器15の順に流通してポンプ31に吸入される。水回路30を流通する水は、水冷媒熱交換器22において吸熱し、放熱器15において放熱する。
【0038】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換することなく、水冷媒熱交換器22において水と熱交換して加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0039】
第1除湿暖房運転において、冷媒回路20では、三方弁25の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第1及び第3電磁弁26a,26cを開放するとともに、第2及び第4電磁弁26b,26dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。また、水回路30では、ポンプ31を運転する。
【0040】
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図5に示すように、冷媒流通路20a、水冷媒熱交換器22、冷媒流通路20b,20dを順に流通する。冷媒流通路20dを流通する冷媒の一部は、室外熱交換器23、冷媒流通路20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。また、冷媒流通路20dを流通するその他の冷媒は、冷媒流通路20g、内部熱交換器24の高圧側、冷媒流通路20h、吸熱器14、冷媒流通路20i、内部熱交換器24の低圧側、冷媒流通路20j,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、吸熱器14及び室外熱交換器23において吸熱する。
【0041】
また、ポンプ31から吐出された水は、図5に示すように、水冷媒熱交換器22、水加熱ヒータ32、放熱器15の順に流通してポンプ31に吸入される。水回路30を流通する水は、水冷媒熱交換器22において吸熱し、放熱器15において放熱する。
【0042】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却されることにより除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、一部の空気が放熱器15において水と熱交換することによって加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0043】
第2除湿暖房運転において、冷媒回路20では、三方弁25の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第3電磁弁26cを開放するとともに、第1、第2及び第4電磁弁26a,26b,26dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。また、水回路30では、ポンプ31を運転する。
【0044】
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図6に示すように、冷媒流通路20a、水冷媒熱交換器22、冷媒流通路20b,20d,20g、内部熱交換器24の高圧側、冷媒流通路20h、吸熱器14、冷媒流通路20i、内部熱交換器24の低圧側、冷媒流通路20j,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、吸熱器14において吸熱する。
【0045】
また、ポンプ31から吐出された水は、図6に示すように、水冷媒熱交換器22、水加熱ヒータ32、放熱器15の順に流通してポンプ31に吸入される。水回路30を流通する水は、水冷媒熱交換器22において吸熱し、放熱器15において放熱する。
【0046】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、前記第1除湿暖房運転と同様に、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却されることにより除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、一部の空気が放熱器15において水と熱交換することによって加熱され、目標吹出温度TAOとなって車室内に吹き出される。
【0047】
除霜運転において、冷媒回路20では、三方弁25の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第1及び第4電磁弁26a,26dを開放するとともに、第2及び第3電磁弁26b,26cを閉鎖し、圧縮機21を運転する。また、水回路30では、ポンプ31を運転する。
【0048】
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒の一部は、図7に示すように、冷媒流通路20a、水冷媒熱交換器22、冷媒流通路20b,20dを順に流通して室外熱交換器23に流入する。また、圧縮機21から吐出されたその他の冷媒は、冷媒流通路20a,20kを流通して室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23から流出した冷媒は、冷媒流通路20eを流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱するとともに、室外熱交換器23において放熱と同時に吸熱する。
【0049】
また、ポンプ31から吐出された水は、図7に示すように、水冷媒熱交換器22、水加熱ヒータ32、放熱器15の順に流通してポンプ31に吸入される。水回路30を流通する水は、水冷媒熱交換器22において吸熱し、放熱器15において放熱する。
【0050】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換することなく、放熱器15において放熱する水と熱交換することによって加熱され、車室内に吹き出される。
【0051】
コントローラ40は、操作部50のオートエアコンスイッチがオンの状態に設定されている場合に、冷房運転、除湿冷房運転、暖房運転、第1除湿暖房運転、第2除湿暖房運転、除霜運転を車室内外の温度等の環境条件に基づいて切換える運転切換え制御処理を行う。
【0052】
また、コントローラ40は、運転切換え制御処理によって切り換えられる各運転において、目標吹出温度TAOに応じてフットモード、ベントモード、バイレベルモードの切り替えを行う。具体的には、目標吹出温度TAOが例えば40℃以上など、高温となる場合にフットモードに設定する。また、コントローラ40は、目標吹出温度TAOが例えば25℃未満など、低温となる場合にベントモードに設定する。さらに、コントローラ40は、目標吹出温度TAOが、フットモードが設定される目標吹出温度TAOとベントモードが設定される目標吹出温度TAOとの間の温度の場合にバイレベルモードに設定する。
【0053】
また、コントローラ40は、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによって吹出口11c,11d,11eのモードを切換えるとともに、吹出口11c,11d,11eから吹出される空気の温度を目標吹出温度TAOとするために、エアミックスダンパ16の開度を制御する。
【0054】
また、コントローラ40は、例えば、冬期の外気温が低温となる場合に、室外熱交換器23に着霜が生じているか否か、車両の走行状態および車両走行用のバッテリBの残量等に基づいて除霜運転の開始タイミングを制御するための除霜運転制御処理を行う。このときのコントローラ40の動作を図8のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、室外熱交換器23に着霜が生じているか否かを判定する。室外熱交換器23に着霜が生じていると判定した場合にはステップS2に処理を移し、着霜が生じていると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
ここで、室外熱交換器23に着霜が生じているか否かの判定方法について説明する。まず、外気温度センサ41によって検出された外気温度Tamおよび外気湿度センサ52によって検出された外気湿度Rhamに基づいて車室外の空気の露点温度である外気露点温度Tdewを算出する。次に、冷媒温度センサ47によって検出された室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが、外気露点温度Tdewよりも低いか否かを判定し、外気露点温度Tdewよりも冷媒の温度Thexが低い場合には室外熱交換器23に着霜が生じていると判定する。また、この室外熱交換器23に着霜が生じているか否かの判定は、車両が走行しているか否かにかかわらず行われる。
【0056】
(ステップS2)
ステップS1において室外熱交換器23に着霜が生じていると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、推定の霜付着量を算出する。
ここで、推定の霜付着量は、例えば、車室外の温度Tam、室外熱交換器23において熱交換した後の冷媒の温度Thexおよび圧力、車両の速度V、温度Tamや温度Thexの継続時間等を検出することによって算出される。
【0057】
(ステップS3)
ステップS3においてCPUは、バッテリBの残量が所定量以下か否かを判定する。バッテリBの残量が所定量以下と判定した場合にはステップS5に処理を移し、バッテリBの残量が所定量以下と判定しなかった場合にはステップS4に処理を移す。
【0058】
(ステップS4)
ステップS3においてバッテリBの残量が所定量以下と判定しなかった場合に、ステップS4においてCPUは、キーがオフで走行を行わない状態か否かを判定する。キーがオフと判定した場合にはステップS5に処理を移し、キーがオフであると判定しなかった場合(走行している状態)にはステップS7に処理を移す。
【0059】
(ステップS5)
ステップS3においてバッテリBの残量が所定量以下と判定した場合、または、ステップS4においてキーがオフで走行を行わない状態と判定した場合に、ステップS5においてCPUは、バッテリBが充電中か否かを判定する。バッテリBが充電中であると判定した場合にはステップS6に処理を移し、バッテリBが充電中であると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0060】
(ステップS6)
ステップS5においてバッテリBが充電中であると判定した場合に、ステップS6においてCPUは、車室外の温度Tamが所定温度(例えば、0℃)以下か否かを判定する。温度Tamが所定温度以下と判定した場合にはステップS11に処理を移し、温度Tamが所定温度以下と判定しなかった場合にはステップS10に処理を移す。
【0061】
(ステップS7)
ステップS4においてキーがオンで走行を行う状態と判定した場合に、ステップS7においてCPUは、室外熱交換器23の霜付着量が第1所定量以上か否かを判定する。霜付着量が第1所定量以上と判定した場合にはステップS11に処理を移し、霜付着量が第1所定量以上と判定しなかった場合にはステップS8に処理を移す。
【0062】
(ステップS8)
ステップS7において霜付着量が第1所定量以上と判定しなかった場合に、ステップS8においてCPUは、所定時間における車両の平均速度が所定速度(例えば、時速30km)以下か否かを判定する。平均速度が所定速度以下と判定した場合にはステップS11に処理を移し、平均速度が所定速度以下と判定しなかった場合にはステップS9に処理を移す。
ここでは、所定時間における車両の平均速度から道路が渋滞中であるか否かを判定している。道路が渋滞中であるか否かは、ナビゲーション装置53によって交通情報を取得することでも判断可能である。
【0063】
(ステップS9)
ステップS8において車両の平均速度が所定速度以下と判定しなかった場合に、ステップS9においてCPUは、ナビゲーション装置53で取得される交通情報から走行予定の経路中に渋滞が生じているか否かを判定する。走行予定の経路中に渋滞が生じている場合には除霜運転制御処理を終了し、走行予定の経路中に渋滞が生じていると判定しなかった場合にはステップS11に処理を移す。
【0064】
(ステップS10)
ステップS6において車室外の温度Tamが所定温度以下と判定されなかった場合に、ステップS10においてCPUは、室外熱交換器23の霜付着量が第2所定量以上か否かを判定する。霜付着量が第2所定量以上と判定した場合にはステップS11に処理を移し、霜付着量が第2所定量以上と判定しなかった場合にはステップS14に処理を移す。
【0065】
(ステップS11)
ステップS6において車室外の温度Tamが所定温度以下と判定した場合、ステップS7において推定霜付着量が第1所定量以上と判定した場合、ステップS8において車両の平均速度が所定速度以下と判定した場合、ステップS9において走行予定の経路中に渋滞が生じていると判定しなかった場合、または、ステップS10において推定霜付着量が第2所定量以上と判定した場合に、ステップS11においてCPUは、除霜運転を行う。
【0066】
(ステップS12)
ステップS12においてCPUは、ステップS11において除霜運転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合にはステップS13に処理を移し、除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
ここで除霜運転を開始してからの所定時間は、推定の霜付着量、車両の速度V、車室外の湿度Rham、室外送風機29の風量等に基づいて設定される。
【0067】
(ステップS13)
ステップS12において除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS13においてCPUは、除霜運転を停止して除霜運転制御処理を終了する。
【0068】
(ステップS14)
ステップS10において推定霜付着量が第2所定量以上と判定しなかった場合に、ステップS14においてCPUは、室外送風機29を駆動する。
【0069】
(ステップS15)
ステップS15においてCPUは、ステップS14において室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したか否かを判定する。室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したと判定した場合にはステップS16に処理を移し、室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
ここで室外送風機29の駆動を開始してからの所定時間は、推定の霜付着量、車両の速度V、車室外の湿度Rham、室外送風機29の風量等に基づいて設定される。
【0070】
(ステップS16)
ステップS15において室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したと判定した場合に、ステップS16においてCPUは、室外送風機29の駆動を停止して除霜運転制御処理を終了する。
【0071】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、室外熱交換器23に着霜が生じた場合に、バッテリBの残量が所定残量以下のときには、除霜運転を実行せず、バッテリBが充電中になった場合に除霜運転を開始するようにしている。これにより、車両の走行中にバッテリBの残量が少なくなった場合に、バッテリBの電力を車両の走行用の電力として有効に利用することができるので、車両の走行可能距離を延長することが可能となる。
【0072】
また、室外熱交換器23に着霜が生じた場合に、バッテリBの残量が所定残量以下のときには、除霜運転を実行せず、バッテリBが充電中になったときに車室外の温度Tamが0℃以上の場合には、室外送風機29を駆動させている。これにより、霜の融解を促進するとともに、霜が融解した後の水分を室外送風機29によって飛散させることができるので、消費電力の大きい除霜運転を行う必要はない。
【0073】
また、室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過後に室外送風機29を停止している。これにより、必要以上に室外送風機29を駆動させることを防止することで、電力の消費量の増加を防止することが可能となる。
【0074】
また、室外熱交換器23に対する霜の付着量を算出し、算出した霜の付着量に基づいて決定された開始時期に除霜運転を実行している。これにより、霜の付着量が多い場合に直ちに除霜運転を実行することが可能となるので、室外熱交換器23において霜の付着量が多すぎて除霜ができなくなるといった不具合を確実に防止することが可能となる。
【0075】
また、車両の走行速度が所定速度以下の場合に、除霜運転を実行するようにしている。これにより、消費電力の少ない低速走行時に除霜運転を実行することができるので、車両の走行可能距離が除霜運転の実行によって著しく短くなることはない。
【0076】
また、ナビゲーション装置53で取得した情報に基づいて決定された開始時期に除霜運転を実行している。これにより、車両が目的地に近くを走行している場合や走行予定の経路に渋滞がある場合には、車両が停止したとき、または、車両の速度が所定速度以下となったときに除霜運転を実行することができるので、消費電力の多い高速走行時における除霜運転の実行を防止することが可能となる。
【0077】
また、除霜運転の開始から所定時間後に除霜運転を停止するようにしている。これにより、必要以上に除霜運転を行うことを防止することで、電力の消費量の増加を防止することが可能となる。
【0078】
また、車室外の空気の露点温度である外気露点温度Tdewを算出し、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが、外気露点温度Tdewよりも低い場合には室外熱交換器23に着霜が生じていると判定している。これにより、室外熱交換器23に着霜が生じる条件において除霜運転を行うことによって、室外熱交換器23の着霜を確実に防ぐことが可能となる。
【0079】
図9は本発明の第2実施形態を示すものである。なお、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0080】
この車両用空気調和装置のコントローラ40は、図9のフローチャートに示す除霜運転制御処理を行う。第2実施形態の除霜運転制御処理は、第1実施形態の除霜運転制御処理が走行距離の確保を優先しているのに対して、室外熱交換器23の確実な除霜を優先している点で異なる。
【0081】
(ステップS21)
ステップS21においてCPUは、室外熱交換器23に着霜が生じているか否かを判定する。室外熱交換器23に着霜が生じていると判定した場合にはステップS22に処理を移し、着霜が生じていると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0082】
(ステップS22)
ステップS21において室外熱交換器23に着霜が生じていると判定した場合に、ステップS22においてCPUは、推定の霜付着量を算出する。
【0083】
(ステップS23)
ステップS23においてCPUは、室外熱交換器23の霜付着量が第1所定量以上か否かを判定する。霜付着量が第1所定量以上と判定した場合にはステップS31に処理を移し、霜付着量が第1所定量以上と判定しなかった場合にはステップS24に処理を移す。
【0084】
(ステップS24)
ステップS23において霜付着量が第1所定量以上と判定しなかった場合に、ステップS24においてCPUは、バッテリBの残量が所定量以下か否かを判定する。バッテリBの残量が所定量以下と判定した場合にはステップS26に処理を移し、バッテリBの残量が所定量以下と判定しなかった場合にはステップS25に処理を移す。
【0085】
(ステップS25)
ステップS24においてバッテリBの残量が所定量以下と判定しなかった場合に、ステップS25においてCPUは、キーがオフで走行を行わない状態か否かを判定する。キーがオフと判定した場合にはステップS26に処理を移し、キーがオフであると判定しなかった場合(走行している状態)にはステップS28に処理を移す。
【0086】
(ステップS26)
ステップS24においてバッテリBの残量が所定量以下と判定した場合、または、ステップS25においてキーがオフで走行を行わない状態と判定した場合に、ステップS26においてCPUは、バッテリBが充電中か否かを判定する。バッテリBが充電中であると判定した場合にはステップS27に処理を移し、バッテリBが充電中であると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0087】
(ステップS27)
ステップS26においてバッテリBが充電中であると判定した場合に、ステップS27においてCPUは、車室外の温度Tamが所定温度(例えば、0℃)以下か否かを判定する。温度Tamが所定温度以下と判定した場合にはステップS31に処理を移し、温度Tamが所定温度以下と判定しなかった場合にはステップS30に処理を移す。
【0088】
(ステップS28)
ステップS25においてキーがオフで走行を行わない状態と判定しなかった場合に、ステップS28においてCPUは、所定時間における車両の平均速度が所定速度以下か否かを判定する。平均速度が所定速度以下と判定した場合にはステップS31に処理を移し、平均速度が所定速度以下と判定しなかった場合にはステップS29に処理を移す。
【0089】
(ステップS29)
ステップS28において車両の平均速度が所定速度以下と判定しなかった場合に、ステップS29においてCPUは、ナビゲーション装置53で取得される交通情報から走行予定の経路中に渋滞が生じているか否かを判定する。走行予定の経路中に渋滞が生じている場合には除霜運転制御処理を終了し、走行予定の経路中に渋滞が生じていると判定しなかった場合にはステップS31に処理を移す。
【0090】
(ステップS30)
ステップS27において車室外の温度Tamが所定温度以下と判定されなかった場合に、ステップS30においてCPUは、室外熱交換器23の霜付着量が第2所定量以上か否かを判定する。霜付着量が第2所定量以上と判定した場合にはステップS31に処理を移し、霜付着量が第2所定量以上と判定しなかった場合にはステップS34に処理を移す。
【0091】
(ステップS31)
ステップS27において車室外の温度Tamが所定温度以下と判定した場合、ステップS23において推定霜付着量が第1所定量以上と判定した場合、ステップS28において車両の平均速度が所定速度以下と判定した場合、ステップS29において走行予定の経路中に渋滞が生じていると判定しなかった場合、または、ステップS30において推定霜付着量が第2所定量以上と判定した場合に、ステップS31においてCPUは、除霜運転を行う。
【0092】
(ステップS32)
ステップS32においてCPUは、ステップS31において除霜運転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合にはステップS33に処理を移し、除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0093】
(ステップS33)
ステップS31において除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS33においてCPUは、除霜運転を停止して除霜運転制御処理を終了する。
【0094】
(ステップS34)
ステップS30において推定霜付着量が第2所定量以上と判定しなかった場合に、ステップS34においてCPUは、室外送風機29を駆動する。
【0095】
(ステップS35)
ステップS35においてCPUは、ステップS34において室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したか否かを判定する。室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したと判定した場合にはステップS36に処理を移し、室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0096】
(ステップS36)
ステップ34において室外送風機29の駆動を開始してから所定時間経過したと判定した場合に、ステップS36においてCPUは、室外送風機29の駆動を停止して除霜運転制御処理を終了する。
【0097】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、前記第1実施形態と同様に、車両の走行中にバッテリBの残量が少なくなった場合に、バッテリBの電力を車両の走行用の電力として有効に利用することができるので、車両の走行可能距離を延長することが可能となる。
【0098】
図10は本発明の第3実施形態を示すものである。なお、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0099】
この車両用空気調和装置は、除霜運転を開始する時刻を設定可能に構成されている。コントローラ40は、図10のフローチャートに示す除霜運転制御処理を行う。
【0100】
(ステップS41)
ステップS41においてCPUは、室外熱交換器23に着霜が生じているか否かを判定する。室外熱交換器23に着霜が生じていると判定した場合にはステップS42に処理を移し、着霜が生じていると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0101】
(ステップS42)
ステップS41において着霜が生じていると判定した場合に、ステップS42においてCPUは、キーがオフで走行を行わない状態か否かを判定する。キーがオフであると判定した場合にはステップS43に処理を移し、キーがオフであると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0102】
(ステップS43)
ステップS42においてキーがオフであると判定した場合に、ステップS43においてCPUは、設定された除霜運転を開始する時刻であるか否かを判定する。設定された除霜運転を開始する時刻であると判定した場合にはステップS44に処理を移し、設定された除霜運転を開始する時刻であると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0103】
(ステップS44)
ステップS43において設定された除霜運転を開始する時刻であると判定した場合に、ステップS44においてCPUは、除霜運転を行う。
【0104】
(ステップS45)
ステップS45においてCPUは、ステップS44において除霜運転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合にはステップS46に処理を移し、除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0105】
(ステップS46)
ステップS45において除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS46においてCPUは、除霜運転を停止して除霜運転制御処理を終了する。
【0106】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、設定した時刻に除霜運転を実行するようにしている。これにより、例えば、車両を走行させる直前に除霜運転を行うことで、車両が走行しない状態における複数回の除霜運転の実行の必要がなく、除霜運転に要する電力の消費量を低減することが可能となる。
【0107】
図11は本発明の第4実施形態を示すものである。なお、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0108】
この車両用空気調和装置は、過去の所定期間の走行開始時刻を記憶し、記憶された走行開始時刻から走行開始予定時刻が算出可能に構成されている。コントローラ40は、図11のフローチャートに示す除霜運転制御処理を行う。
【0109】
(ステップS51)
ステップS51においてCPUは、室外熱交換器23に着霜が生じているか否かを判定する。室外熱交換器23に着霜が生じていると判定した場合にはステップS52に処理を移し、着霜が生じていると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0110】
(ステップS52)
ステップS51において着霜が生じていると判定した場合に、ステップS52においてCPUは、キーがオフで走行を行わない状態か否かを判定する。キーがオフであると判定した場合にはステップS53に処理を移し、キーがオフであると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0111】
(ステップS53)
ステップS52においてキーがオフであると判定した場合に、ステップS53においてCPUは、過去の所定期間の走行開始時刻から走行開始予定時刻を算出する。ここで、走行開始予定時刻は、例えば、過去の所定期間の実際の走行開始時刻の平均時間から算出される。
【0112】
(ステップS54)
ステップS54においてCPUは、ステップS53において算出された走行開始予定時刻に基づいて除霜運転開始時刻を算出する。ここで、除霜運転開始時刻は、走行開始時刻から除霜運転に要する時間を遡った時刻が算出される。
【0113】
(ステップS55)
ステップ55においてCPUは、ステップS54において算出された除霜運転開始時刻であるか否かを判定する。除霜運転開始時刻であると判定した場合にはステップS56に処理を移し、除霜運転開始時刻であると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0114】
(ステップS56)
ステップS55において設定された除霜運転を開始する時刻であると判定した場合に、ステップS56においてCPUは、除霜運転を行う。
【0115】
(ステップS57)
ステップS57においてCPUは、ステップS56において除霜運転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合にはステップS58に処理を移し、除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0116】
(ステップS58)
ステップS57において除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS58においてCPUは、除霜運転を停止して除霜運転制御処理を終了する。
【0117】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、走行開始予定時刻に除霜運転が終了するようにしている。これにより、例えば、車両を走行させる直前に除霜運転を行うことで、車両が走行しない状態における除霜運転の複数回の実行の必要がなく、除霜運転に要する電力の消費量を低減することが可能となる。
【0118】
図12は本発明の第5実施形態を示すものである。なお、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0119】
この車両用空気調和装置は、室外熱交換器23に着霜が生じているか否かの判定を行うとともに、車室外の温度Tamに応じて除霜運転を開始するか否かの判定を行う。また、室外熱交換器23に着霜が生じていると判定し、除霜運転を開始しないと判定した場合には、圧縮機21を停止して室外熱交換器23の霜を除去する。このとき、コントローラ40は、図12のフローチャートに示す除霜運転制御処理を行う。
【0120】
(ステップS61)
ステップS61においてCPUは、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが算出された外気露点温度Tdewよりも低いか否かを判定する。室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが外気露点温度Tdewよりも低いと判定した場合にはステップS62に処理を移し、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが外気露点温度Tdewよりも低いと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0121】
(ステップS62)
ステップS61において室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが外気露点温度Tdewよりも低いと判定した場合に、ステップS62においてCPUは、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが所定温度(例えば、0℃)以下であるか否かを判定する。室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが所定温度以下であると判定した場合にはステップS63に処理を移し、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが所定温度以下であると判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0122】
(ステップS63)
ステップS62において室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが所定温度以下であると判定した場合に、ステップS63においてCPUは、外気温度センサ41によって検出された車室外の温度Tamが所定温度(例えば0℃)以下か否かを判定する。車室外の温度Tamが所定温度以下と判定した場合にはステップS64に処理を移し、車室外の温度Tamが所定温度以下と判定しなかった場合にはステップS67に処理を移す。
【0123】
(ステップS64)
ステップS63において車室外の温度Tamが所定温度(例えば0℃)以下と判定した場合に、ステップS64においてCPUは、除霜運転を開始する。
【0124】
(ステップS65)
ステップ65においてCPUは、除霜運転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合にはステップS66に処理を移し、除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
【0125】
(ステップS66)
ステップS65において除霜運転を開始してから所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS66においてCPUは、除霜運転を停止して除霜運転制御処理を終了する。
【0126】
(ステップS67)
ステップS63において車室外の温度Tamが所定温度(例えば0℃)以下と判定しなかった場合に、ステップS67においてCPUは、圧縮機21を停止する。
【0127】
(ステップS68)
ステップS68においてCPUは、圧縮機21を停止してから所定時間が経過したか否かを判定する。圧縮機21を停止してから所定時間が経過したと判定した場合にはステップS69に処理を移し、圧縮機21を停止してから所定時間が経過したと判定しなかった場合には除霜運転制御処理を終了する。
ここで圧縮機21を停止してからの所定時間は、車両の走行速度に応じて変更するようにしてもよい。例えば、車両の走行速度が高ければ室外熱交換器23の着霜の除去に必要な時間
【0128】
(ステップS69)
ステップS68において圧縮機21を停止してから所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS69においてCPUは、圧縮機21の運転を再開し除霜運転制御処理を終了する。
【0129】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、車室外の空気の露点温度である外気露点温度Tdewを算出し、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが外気露点温度Tdewよりも低く、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度Thexが所定温度よりも低い場合には室外熱交換器23に着霜が生じていると判定している。これにより、室外熱交換器23に着霜が生じる条件において除霜運転を行うことによって、室外熱交換器23の着霜を確実に防ぐことが可能となる。
【0130】
また、室外熱交換器23に着霜が生じると判定した場合に、車室外の温度Tamに応じて除霜運転を開始するか否かの判定を行い、除霜運転を行わない場合に圧縮機21を停止している。これにより、車室外の温度Tamが所定温度よりも高い場合には圧縮機21を停止することで室外熱交換器23に付着した霜を除去することができるので、エネルギーの消費量を低減することが可能となる。ホットガスデフロストによる除霜運転と比較して、除霜運転中の車室内に吹出す空気の温度の低下が小さいという利点もある。
【0131】
尚、前記実施形態では、除霜運転として図7に示すように、圧縮機21から吐出した冷媒の一部を室外熱交換器23に流入させることによって室外熱交換器23に付着した霜を溶解させるようにしたものを示したが、室外熱交換器23に付着した霜を除去可能であればこれに限られない。例えば、圧縮機21から吐出した冷媒の全てを室外熱交換器23に流入させることによって霜を溶解させるようにしてもよい。また、室外熱交換器23に電熱ヒータを設け、電熱ヒータによって霜を溶解させるようにしてもよい。さらに、室外熱交換器23に着霜が生じた場合に、図6に示す第2除湿暖房に運転を切換えて室外熱交換器23への冷媒の流通を停止し、室外送風機29等で霜を溶解させるようにしてもよい。
【0132】
また、前記実施形態の除霜運転は、暖房運転時に室外熱交換器23に着霜が生じる場合に行うだけでなく、第1及び第2除湿暖房運転時に室外熱交換器23に着霜が生じる場合にも行われる。
【0133】
また、前記第1及び第2実施形態では、バッテリ残量が所定量以下か否かの判定に基づいて除霜運転を行う判定するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、バッテリの残量に基づいて、または、その他の方法によって算出される車両の走行可能距離に基づいて除霜運転を行う判定をするようにしてもよい。
【0134】
また、前記実施形態では、車両が目的地近くであることや走行経路中に渋滞があるといった情報をナビゲーション装置53によって取得するようにしたものを示したが、車両の走行速度が所定速度以下となるということが判定可能であればこれに限られるものではない。
【0135】
また、前記実施形態では、冷媒回路20の放出する熱を、水冷媒熱交換器22を介して水回路30を流通する水に吸熱させるようにしたものを示したが、冷媒と熱交換する熱媒体としては水に限られず、エチレングリコール等が含まれる不凍液等、熱伝達が可能な流体が熱媒体として使用可能である。
【0136】
また、前記実施形態では、冷媒回路20において、冷媒流通路20c,20dを切換えるために三方弁25を用いたものを示したが、三方弁25の代わりに2台の電磁弁の開閉によって冷媒流通路20c,20dを切換えるようにしてもよい。
【0137】
また、前記実施形態では、冷媒回路20の水冷媒熱交換器22において放熱する冷媒と熱交換する水回路30を流通する水を水加熱ヒータ32によって加熱するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、水回路30を有さず、冷媒回路20の冷媒を直接空気流通路11内において放熱させる室内放熱器を備えた車両用空気調和装置において、空気流通路11内の空気を電熱ヒータで直接加熱するようにしても前記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。また、冷媒回路20の冷媒を直接空気流通路11内において放熱させる室内放熱器を備えた車両用空気調和装置において、電熱ヒータによって加熱された熱媒体が流通する熱媒体回路を冷媒回路20と別途設け、電熱ヒータによって加熱された熱媒体を空気流通路11内において放熱させるようにしても前記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0138】
本実施形態において、ステップS1等の室外熱交換器23に着霜が生じたか否かを判定する処理が本発明の着霜判定手段に相当する。
また、本実施形態において、ステップS11等の除霜運転を実行する処理が本発明の除霜手段に相当する。
また、本実施形態において、ステップS3等のバッテリBの残量を検出する処理が本発明のバッテリ残量検出手段に相当する。
また、本実施形態において、ステップS3およびステップS5等のバッテリBの残量が所定以下と判定し、バッテリBが充電中であると判定されなかった場合に除霜運転制御処理を終了する処理が本発明の除霜運転制限手段に相当する。
また、本実施形態において、ステップS5等のバッテリBが充電中であるか否かを判定する処理が本発明の充電判定手段に相当する。
また、本実施形態において、ステップS3、ステップS5およびステップS11等のバッテリBの残量が所定以下と判定し、バッテリBが充電中であると判定した場合に除霜運転を実行する処理が本発明の充電時制限解除手段に相当する。
また、本実施形態において、ステップS6等の車室外の温度Tamが所定温度以上の場合に除霜運転を実行することなく室外送風機29を運転する処理が本発明の送風機制御手段に相当する。
また、本実施形態において、ステップS2等の室外熱交換器23に付着した霜の付着量を算出する処理が本発明の霜付着量算出手段に相当する。
また、本実施形態において、ナビゲーション装置53が本発明の経路設定手段および交通情報取得手段に相当する。
【符号の説明】
【0139】
10…空調ユニット、14…吸熱器、15…放熱器、20…冷媒回路、20a〜20j…冷媒流通路、21…圧縮機、22…水冷媒熱交換器、23…室外熱交換器、25…三方弁、26a〜26d…第1〜第4電磁弁、27a〜27b…第1〜第2逆止弁、28a〜28b…第1〜第2膨張弁、30…水回路、32…水加熱ヒータ、40…コントローラ、41…外気温度センサ、42…内気温度センサ、43…吸気温度センサ、44…冷却空気温度センサ、45…加熱空気温度センサ、46…内気湿度センサ、47…冷媒温度センサ、48…日射センサ、49…速度センサ、50…操作部、51…圧力センサ、52…外気湿度センサ、53…ナビゲーション装置、B…バッテリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
車室内側に設けられた室内熱交換器と、
車室外側に設けられた室外熱交換器と、を備え、
圧縮機から吐出した冷媒を室内熱交換器において放熱させ、室外熱交換器において吸熱させることにより車室内の暖房を行う車両用空気調和装置において、
室外熱交換器に着霜が生じたか否かを判定する着霜判定手段と、
着霜判定手段によって室外熱交換器に着霜が生じたと判定した場合に、室外熱交換器に付着した霜を除去する除霜運転を実行する除霜手段と、
車両走行用の電力および暖房用の電力を供給するバッテリの残量を検出するバッテリ残量検出手段と、
バッテリ残量検出手段によって検出されたバッテリの残量が所定残量以下の場合に、除霜手段による除霜運転の実行を制限する除霜制限手段と、
バッテリが充電中であるか否かを判定する充電判定手段と、
除霜制限手段によって除霜運転の実行が制限されている場合に、充電判定手段によってバッテリが充電中であると判定されると、除霜制限手段による除霜運転の実行の制限を解除する充電時制限解除手段と、を備えた
ことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
室外熱交換器を流通する冷媒と熱交換する空気を流通させる送風機と、
車室外の温度を検出する温度検出手段と、
除霜制限手段によって除霜運転の実行が制限されている場合に、充電判定手段によってバッテリが充電中であると判定され、温度検出手段の検出温度が所定温度以上のときに、除霜制限手段による除霜運転の実行の制限を解除することなく、送風機を駆動する送風機制御手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
送風機制御手段は、送風機の駆動開始から所定時間経過後に送風機を停止する
ことを特徴とする請求項2記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
室外熱交換器に対する霜の付着量を算出する霜付着量算出手段を備え、
除霜手段は、霜付着量算出手段によって算出された霜の付着量に基づいて決定された開始時期に除霜運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
車両の走行速度を検出する速度検出手段を備え、
除霜手段は、速度検出手段によって検出された速度が所定速度以下の場合に、除霜運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】
車両の現在地を測定し、目的地までの走行経路を設定する経路設定手段と、
経路設定手段によって設定された車両の走行経路上の交通情報を取得可能な交通情報取得手段と、
除霜手段は、経路設定手段によって設定された走行経路または交通情報取得手段によって取得された交通情報に基づいて決定された開始時期に除霜運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】
除霜手段は、設定した時刻に除霜運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項8】
所定期間中における車両の走行開始時刻を記憶する記憶手段と、
除霜手段は、記憶手段に記憶された走行開始時刻に基づいて設定された走行開始予定時刻に室外熱交換器の除霜が終了するように除霜運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項9】
除霜手段は、除霜運転の開始から所定時間経過後に除霜運転を停止する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項10】
車室外の空気の露点温度を算出する室外露点温度算出手段と、
室外熱交換器における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段と、を備え、
着霜判定手段は、蒸発温度検出手段の検出温度が室外露点温度算出手段によって算出された露点温度よりも低い場合に着霜が生じたと判定する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項11】
車室外の空気の露点温度を算出する室外露点温度算出手段と、
室外熱交換器における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段と、を備え、
着霜判定手段は、蒸発温度検出手段の検出温度が室外露点温度算出手段によって算出された露点温度よりも低い場合、且つ、蒸発温度検出手段の検出温度が所定温度以下の場合に着霜が生じたと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項12】
車室外の温度を検出する温度検出手段と、
暖房中に、着霜判定手段によって着霜が生じたと判定し、温度検出手段の検出温度が所定温度よりも高い場合に、除霜手段による除霜運転を実行することなく、圧縮機を停止する暖房停止手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項11に記載の車両用空気調和装置。
【請求項13】
暖房停止手段は、圧縮機を停止してから所定時間経過後に圧縮機の運転を再開する
ことを特徴とする請求項12に記載の車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−176660(P2012−176660A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40133(P2011−40133)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】