説明

車両用空調装置

【課題】エジェクタ搭載に起因する通風経路での損失を無くし、蒸発器の性能を最大限に引き出すことができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】圧縮機(11)、冷却用熱交換器(12)、減圧手段(13)、エジェクタ(14)、蒸発器(15,18)が環状に接続されて構成される冷凍サイクル(10)と、内部に蒸発器(15,18)を収容し、空調ユニット(3)の外形を形成する空調ケース(31)とを備え、エジェクタ(14)を、空調ケース(31)の外形が凹んで形成された凹み部(71)と、空調ケース(31)の外方に位置する車両側部材(45,65)とに囲まれた領域(A)内に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関するものであり、特に、エジェクタを用いた冷凍サイクルを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エジェクタを用いた冷凍サイクルを備える車両用空調装置が知られている。例えば、特許文献1に記載される冷凍サイクルでは、別体のエジェクタを蒸発器の側面部に搭載するようにしている。
【特許文献1】特開平6−137695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、こうしたエジェクタは、蒸発器と共に空調ユニットの空調ケース内に搭載される。ところが、空調ケース内の通風路内にエジェクタが搭載されることで通風抵抗を生じ、通風系に悪影響を与えるという問題があった。また、その他の形態において、蒸発器のタンク内に完全一体にエジェクタを搭載する場合等、蒸発器のタンクが大きくなり、蒸発器の搭載制約上、蒸発器コア面積(熱交換面積)を低減しなければならないといった問題も生じていた。
【0004】
このように、通風抵抗が増加したり、蒸発器コア面積が縮小したりしてしまうことで、エジェクタ搭載の効果を十分に発揮することができなかった。
【0005】
上記問題に鑑み、本発明は、エジェクタ搭載に起因する通風経路での損失を無くし、蒸発器の性能を最大限に引き出すことができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、圧縮機(11)、冷却用熱交換器(12)、減圧手段(13)、エジェクタ(14)、蒸発器(15,18)が環状に接続されて構成される冷凍サイクル(10)と、内部に蒸発器(15,18)を収容し、空調ユニット(3)の外形を形成する空調ケース(31)と、を備え、エジェクタ(14)は、空調ケース(31)の外形が凹んで形成された凹み部(71)と、空調ケース(31)の外方に位置する車両側部材(45,65)とに囲まれた領域(A)内に配設されたことを特徴とする。
【0008】
空調ケース(31)(空調ユニット(3))は、その周りを、ダッシュパネル61、フロアパネル63、外気吸込み用カウル65、各吹出用ダクト42,45,54,55、リインホースメント67、オーディオ機器類68等の車両側部材により囲まれている。一方で、空調ケース(31)は、蒸発器(15,18)やエアミックスドア(36)等の各種ドアのレイアウトにより成り立っており、各所にケースの凹み部(71)が形成されている。
【0009】
空調ケース(31)の外側の凹み部(71)と車両側部材(45,65)とによって囲まれる領域は、余剰空間として車両内に残っていることが多く、このスペースにエジェクタ(14)を搭載することは、他部品への影響を与えることなく搭載可能であるということができる。また、このスペースは空調ケース(31)の外部であって、通風経路上でないため、通風抵抗が増加することもない。さらに、エジェクタ搭載によって、蒸発器(15,18)のコア部(熱交換面積)を、空調ケース(31)内の搭載制約上低減させる必要も生じない。
【0010】
したがって、本構成によれば、エジェクタ搭載に起因する通風経路での損失を無くし、蒸発器の性能を最大限に引き出すことができる。
【0011】
なお、「外形が凹んで形成された凹み部」とは、空調ケース(31)の外壁面が直線的に、もしくはなだらかに幅(車両上下方向幅、車両前後方向幅含む)が狭くなることで形成される場合を含むものとする。また、蒸発器(15,18)や各種ドアのレイアウトにより必然的に形成されるものの他、特別に形成するものも含むものとする。
【0012】
請求項2に記載の発明では、空調ケース(31)の車両上方部位には、デフロスタ開口部(44)が開口形成され、凹み部(71,74)は、デフロスタ開口部(44)の車両前方部位に形成され、車両側部材(45,65)は、少なくとも、デフロスタ開口部(44)に接続されるデフロスタダクト(45)と、カウルトップ(65)とを含んでいることを特徴とする。
【0013】
本構成によれば、空調ケース(31)の前方部位における凹み部(71,74)と、デフロスタダクト(45)と、カウルトップ(65)とによって囲まれた領域(A,D)にエジェクタ(14)を搭載することで、車両内の余剰空間を好適に活用するとともに、空調ケース(31)内の通風経路における通風抵抗の増大を防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、空調ケース(31)の車両後方部位には、後席側の吹出口に連通するリア用開口部(52)が開口形成され、凹み部(72)は、リア用開口部(52)の車両上方部位に形成され、車両側部材(68)は、少なくとも、リア用開口部(52)の車両上方部位の車室内側に配置されるオーディオ機器類(68)を含んでいることを特徴とする。
【0015】
本構成によれば、空調ケース(31)の後方部位における凹み部(72)と、オーディオ機器類(68)とによって囲まれた領域(B)にエジェクタ(14)を搭載することで、車両内の余剰空間を好適に活用するとともに、空調ケース(31)内の通風経路における通風抵抗の増大を防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、空調ケース(31)内に空気を取り込み、蒸発器(15,18)の長手方向の一端側に配置される送風機(22)を備え、送風機(22)からの空気は、蒸発器(15,18)への流入面(15a)において蒸発器(15,18)の一端側から他端側へ向けて流入するものであって、空調ケース(31)の流入面(15a)と対向する壁面は、蒸発器(15,18)の他端側に対向する下流側壁面(31c)と流入面(15a)との距離が、蒸発器(15,18)の一端側に対向する上流側壁面(31d)と流入面(15a)との距離より狭くなるように構成されており、凹み部(73,76)は、空調ケース(31)の下流側壁面(31c)によって形成され、車両側部材(61、63)は、蒸発器(15,18)の流入面(15a)と対向する位置に配置されるダッシュパネル(61)もしくはフロアパネル(63)であることを特徴とする。
【0017】
一般に、空調ケース(31)(空調ユニット(3))の側方に位置する送風ユニット(2)からの空気が、蒸発器(15,18)の全面に対して、風速分布が均一化された状態で流入するように、空調ケース31の蒸発器(15,18)に対向する壁面は、送風ユニット2から遠ざかるに従い、空調ケース(31)と蒸発器(15,18)との通風路が狭くなるように斜めに形成されている。この通風路が狭く形成される側(蒸発器(15,18)の他端側)の壁面である下流側壁面(31c)によって、凹み部(73,76)が形成される。
【0018】
本構成によれば、例えば、蒸発器(15,18)が略垂直配置であって、送風ユニット(2)からの導風口(33)がダッシュパネル(61)に沿うように形成されている場合には、凹み部(73)とダッシュパネル(61)とによって囲まれた領域(C)にエジェクタ(14)を搭載することができる。また、蒸発器(15,18)が略水平配置であって、送風ユニット(2)からの導風口(33)がフロアパネル(63)に沿うように形成されている場合には、凹み部(76)とフロアパネル(63)とによって囲まれた領域(F)にエジェクタ(14)を搭載することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、空調ケース(31)内に収容され、蒸発器(15,18)の下流側に配置されるヒータコア(32)を備え、凹み部(75)は、蒸発器(15,18)とヒータコア(32)との間に段差部位として形成され、車両側部材(61、63)は、段差部位と対向するダッシュパネル(61)もしくはフロアパネル(63)であることを特徴とする。
【0020】
通常、並設される蒸発器(15,18)とヒータコア(32)の一端部(空調ケース(31)の内壁側の端部)に対向する空調ケース(31)の部位には、空調ケース(31)の内側に凹んだ略三角形状の凹み部(75)が形成される。
【0021】
本構成によれば、例えば、蒸発器(15,18)が略水平配置であって、ダッシュパネル(61)側に凹み部(75)が形成される場合には、凹み部(75)とダッシュパネル(61)とによって囲まれた領域(E)にエジェクタ(14)を搭載することができる。また、蒸発器(15,18)が略垂直配置であって、フロアパネル(63)側に凹み部が形成される場合には、この凹み部とフロアパネル(63)とによって囲まれた領域にエジェクタ(14)を搭載することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明では、蒸発器(15,18)は、車両前端部が水平位置から10度〜30度上方へ傾いた状態に配置されており凹み部(77)は、蒸発器(15,18)の車両後方端部の車両下方部位に形成され、車両側部材(63,55)は、少なくとも、フロアパネル(63)と、リア用ダクト(55)とを含んでいることを特徴とする。
【0023】
本構成によれば、空調ケース(31)の後方かつ下方部位に形成された凹み部(77)と、フロアパネル(63)と、後席側の吹出口に接続するリア用ダクト(55)とによって囲まれた領域(G)にエジェクタ(14)を搭載することができる。
【0024】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1実施形態)
(冷凍サイクルの構成について)
本発明の第1実施形態について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態におけるエジェクタ14を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクル10(以下、単に「冷凍サイクル10」と言う。)を示す模式図である。なお、図1に示す冷凍サイクル10の構成は、以下、第7実施形態まで共通である。本実施形態では、冷媒としてフロン系、炭化水素系等の冷媒のように高圧圧力が臨界圧力を超えない冷媒を用いるものとする。
【0026】
本実施形態の冷凍サイクル10において、冷媒を吸入圧縮する圧縮機11は、電磁クラッチ11a、ベルト(図示略)等を介して車両走行用エンジン(図示略)により回転駆動される。
【0027】
この圧縮機11としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチ11aの断続により圧縮機作動の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機のいずれを使用してもよい。また、圧縮機11として電動圧縮機を使用すれば、電動モータの回転数調整により冷媒吐出能力を調整できる。
【0028】
この圧縮機11の冷媒吐出側には凝縮器12(冷却用熱交換器)が配置されている。凝縮器12は圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン(図示略)により送風される外気(車室外空気)との間で熱交換を行って高圧冷媒を冷却する。
【0029】
凝縮器12の出口側には、受液器12aが設けられている。この受液器12aは周知のように縦長のタンク形状のものであり、冷媒の気液を分離してサイクル内の余剰液冷媒を溜める気液分離器を構成する。受液器12aは、タンク形状内部の下部側から液冷媒を導出するようになっている。なお、受液器12aは本例では凝縮器12と一体的に設けられている。
【0030】
受液器12aの出口側には、温度式膨張弁13が配置されている。この温度式膨張弁13は受液器12aからの液冷媒を減圧する減圧手段であって、圧縮機11の吸入側通路に配置された感温部(図示略)を有している。
【0031】
温度式膨張弁13は周知のように、圧縮機11の吸入側冷媒(後述の蒸発器出口側冷媒)の温度と圧力とに基づいて圧縮機吸入側冷媒の過熱度を検出し、圧縮機吸入側冷媒の過熱度が予め設定された所定値となるように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。
【0032】
温度式膨張弁13の出口側には、エジェクタ14が配置されている。このエジェクタ14は冷媒を減圧する減圧手段であるとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用(巻き込み作用)によって冷媒の循環を行う冷媒循環手段(運動量輸送式ポンプ)でもある。
【0033】
エジェクタ14には、温度式膨張弁13を通過後の冷媒(中間圧冷媒)の通路面積を小さく絞って、冷媒をさらに減圧膨張させるノズル部14aと、ノズル部14aの冷媒噴出口と同一空間に配置され、後述する第2蒸発器18からの気相冷媒を吸引する冷媒吸引口14bが備えられている。
【0034】
さらに、ノズル部14aおよび冷媒吸引口14bの冷媒流れ下流側部位には、ノズル部14aからの高速度の冷媒流と冷媒吸引口14bの吸引冷媒とを混合する混合部14cが設けられている。そして、混合部14cの冷媒流れ下流側に昇圧部をなすディフューザ部14dが配置されている。このディフューザ部14dは冷媒の通路面積を徐々に大きくする形状に形成されており、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する作用を果たす。
【0035】
エジェクタ14のディフューザ部14dの出口側には、第1蒸発器15が接続され、この第1蒸発器15の出口側は圧縮機11の吸入側に接続される。
【0036】
一方、エジェクタ14の入口側(温度式膨張弁13の出口側とエジェクタ14の入口側との間の中間部位=分岐点Z)から冷媒分岐流路16が分岐され、この冷媒分岐流路16の下流側はエジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続される。
【0037】
この冷媒分岐流路16には、絞り機構17が配置され、この絞り機構17よりも冷媒流れ下流側には第2蒸発器18が配置されている。また、蒸発器15,18は周知の積層型のものであって、アルミニウム等の金属薄板等により構成した扁平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。
【0038】
また、絞り機構17は、第2蒸発器18への冷媒流量の調節作用をなす減圧手段であって、具体的にはオリフィスのような固定絞りで構成できる。また、電動アクチュエータにより弁開度(通路絞り開度)が調整可能になっている電気制御弁を絞り機構17として用いてもよい。
【0039】
本実施形態では、第1蒸発器15と第2蒸発器18とは、ろう付けにより一体構造化されている。さらに、本冷凍サイクル10は、蒸発器15の上流側に配置される電動送風機19を備え、この電動送風機19により空気を矢印の方向(図1において上から下)へ送風し、この送風空気を2つの蒸発器15,18で冷却するようになっている。
【0040】
2つの蒸発器15,18で冷却された冷風を共通の冷却対象空間(図示略)に送り込み、これにより、2つの蒸発器15,18で共通の冷却対象空間を冷却するようになっている。ここで、2つの蒸発器15,18のうち、エジェクタ14下流側の主流路に接続される第1蒸発器15を空気流れの上流側(風上側)に配置し、エジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続される第2蒸発器18を空気流れの下流側(風下側)に配置している。
【0041】
次に、上記構成を有する冷凍サイクル10の作動を説明する。圧縮機11を車両エンジンにより駆動すると、圧縮機11で圧縮され吐出された高温高圧状態の冷媒は凝縮器12に流入する。凝縮器12では高温の冷媒が外気により冷却されて凝縮する。凝縮器12から流出した高圧冷媒は受液器12a内に流入し、この受液器12a内にて冷媒の気液が分離され、液冷媒が受液器12aから導出され温度式膨張弁13を通過する。
【0042】
この温度式膨張弁13では、第1蒸発器15の出口冷媒(圧縮機吸入冷媒)の過熱度が所定値となるように弁開度(冷媒流量)が調整され、高圧冷媒が減圧される。この温度式膨張弁13通過後の冷媒流れは、エジェクタ14に向かう冷媒流れと、冷媒分岐流路16から絞り機構17に向かう冷媒流れとに分流する。
【0043】
そして、エジェクタ14に流入した冷媒流れはノズル部14aで減圧され膨張する。従って、ノズル部14aで冷媒の圧力エネルギーが速度エネルギーに変換され、このノズル部14aの噴出口から冷媒は高速度となって噴出する。この際の冷媒圧力低下により、冷媒吸引口14bから冷媒分岐流路16の第2蒸発器18通過後の冷媒(気相冷媒)を吸引する。
【0044】
ノズル部14aから噴出した冷媒と冷媒吸引口14bに吸引された冷媒は、ノズル部14a下流側の混合部14cで混合してディフューザ部14dに流入する。このディフューザ部14dでは通路面積の拡大により、冷媒の速度(膨張)エネルギーが圧力エネルギーに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する。
【0045】
そして、エジェクタ14のディフューザ部14dから流出した冷媒は第1蒸発器15に流入する。そして、第1蒸発器15では、低温の低圧冷媒が電動送風機19による送風空気から吸熱して蒸発する。この蒸発後の気相冷媒は、圧縮機11に吸入され、再び圧縮される。
【0046】
一方、冷媒分岐流路16に流入した冷媒流れは絞り機構17で減圧されて低圧冷媒となり、この低圧冷媒が第2蒸発器18に流入する。そして、第2蒸発器18では、低温の低圧冷媒が、第1蒸発器15通過後の送風空気から吸熱して蒸発する。この蒸発後の気相冷媒は、冷媒吸引口14bを介してエジェクタ14内に吸引される。
【0047】
以上のように構成される冷凍サイクル10によれば、エジェクタ14のディフューザ部14dの下流側冷媒を第1蒸発器15に供給するととともに、冷媒分岐流路16側の冷媒を絞り機構17を通して第2蒸発器18にも供給できるので、第1、第2蒸発器15,18で同時に冷却作用を発揮できる。そのため、第1、第2蒸発器15,18の両方で冷却された冷風を冷却対象空間に吹き出して、冷却対象空間を冷房(冷却)できるようになっている。
【0048】
(HVAC(送風ユニット2、空調ユニット3)の構成およびエジェクタ14の搭載態様について)
次に、上記詳述した冷凍サイクル10を備える車両用空調装置1の構造について詳細に説明する。図2は、車両用空調装置1を上面から見た平面図であり、図3は、車両幅方向センタ部を示す垂直断面模式図である。なお、図2、図3に示す構成は、エジェクタ14の搭載態様は除いて、以下、第3実施形態まで共通である。
【0049】
図2に示すように、本実施形態の車両用空調装置1の通風系は、大別して、送風ユニット2と空調ユニット3との2つの部分に分かれている。送風ユニット2は車室内の計器盤下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット3は車室内の計器盤下方部のうち、左右方向で送風ユニット2より中央側に配置されている。
【0050】
送風ユニット2は、周知のごとく、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替箱21と、この内外気切替箱21から導入される空気を送風する送風機22とから構成されている。この送風機22は周知の遠心多翼ファン(例えばシロッコファン)を電動モータにて回転駆動するものである。
【0051】
図3に示すように、空調ユニット3は、一つの共通の空調ケース31内に前述の蒸発器15,18とヒータコア32とを内蔵するタイプのものである。空調ケース31はポリプロピレンのような、ある程度弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品である。
【0052】
空調ユニット3は、車両の前後上下方向に対して、図3に示す形態で配置されている。これ以後、図3に示す車両搭載時における上下方向を上下とし、車両前方(図3における左側)を前、車両後方(図3における右側)を後ろ、として説明する。
【0053】
空調ケース31の最も前方部の部位には、空気導入口33が配設されており、この空気導入口33には、送風ユニット2から送風される空気が流入する。この空気導入口33は助手席前方の部位に配置される送風ユニット2の空気出口部(図示略)に接続するために、空調ケース31のうち、助手席側の側面に開口している。
【0054】
空調ケース31内において、空気導入口33直後の部位に前述の蒸発器15,18が空気通路の全域を横切るように、その長手方向を車両幅方向と一致させた状態で配置されている。ここで、蒸発器15,18は、垂直状態に設置されている。そして、蒸発器15,18の空気流れ下流側に、所定の間隔を空けてヒータコア32が隣接配置されている。
【0055】
このヒータコア32は、蒸発器15,18を通過した冷風を加熱するものであって、その内部に高温のエンジン冷却水(温水)が流れ、この冷却水を熱源として空気を加熱するものである。このヒータコア32は、前後方向には薄型で、垂直状態から上端側が後側へ若干傾斜して設置されている。ヒータコア32は周知のものであって、アルミニウム等の金属薄板等により構成した扁平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。
【0056】
また、空調ケース31内で、蒸発器15,18の後方部位には、ヒータコア32をバイパスして空気(冷風)が流れる冷風バイパス流路34a,34b(前席用冷風バイパス流路34a、後席用冷風バイパス流路34b)が形成されている。空調ケース31内において、ヒータコア32の下流側にはヒータコア32と所定間隔をおいて前方から後方へ向けて延びる内壁部31aが設けられている。この内壁部31aにより、ヒータコア32の上方部位に、ヒータコア32を通過した空気(温風)が流れる温風流路35が区画形成されている。
【0057】
そして、蒸発器15,18の下流側かつヒータコア32の上流側の部位には、前席用冷風バイパス流路34aを通過する冷風量と温風流路35を通過する温風量の風量割合を調整するエアミックスドア36が配置されている。
【0058】
前席用冷風バイパス流路34aおよび温風流路35の下流側部位(前席用冷風バイパス流路34aの後方、温風流路35の上方)には、前席用冷風バイパス流路34aからの冷風と温風流路35からの温風とを混合させる冷温風混合部37が形成されている。
【0059】
さらに、蒸発器15,18の下流であって前席用冷風バイパス流路34aの上方部位には、補助冷風バイパスドア38が配置されている。
【0060】
空調ケース31の後方上面部には、フェイス開口部41が開口している。このフェイス開口部41は、冷温風混合部37から温度制御された空気が流出するものであって、フェイスダクト42を介して計器盤略中央部に配置されるセンターフェイス吹出口および計器盤左右方向側部に配置されるサイドフェイス吹出口に接続されている。これらの吹出口から前席乗員の上半身(頭部)側に向けて空調空気を吹き出すようになっている。フェイス開口部41はフェイスドア43により開閉される。
【0061】
空調ケース31内の上面において、フェイス開口部41より下流側(フェイス開口部41より前方部位)には、デフロスタ開口部44が開口している。このデフロスタ開口部44も冷温風混合部37から温度制御された空気が流出するものであって、デフロスタダクト45を介してデフロスタ吹出口に接続され、この吹出口から車両前面窓ガラスの内面に向けて空調空気を吹き出すようになっている。デフロスタ開口部44はデフロスタドア46により開閉される。
【0062】
また、空調ケース31内のうち、冷温風混合部37に対応する左右側面には、フット開口部47が開口している。このフット開口部47にも冷温風混合部37から温度制御された空気が流出する。フット開口部47は、フットダクト(図示略)を介してフット吹出口に接続され、この吹出口から車室内の乗員足元に向けて空調空気を吹き出すようになっている。なお、フット開口部47はフットドア(図示略)によって開閉されるようになっている。
【0063】
さらに、空調ケース31の後方部位(内壁部31aの下部)であって、ヒータコア32の下流側(後方側)には、後席用冷風バイパス流路34bを通過する冷風量と温風流路35を通過する温風量の風量割合を調整する後席用エアミックスドア51が配置されている。後席用エアミックスドア51の下流側には、リア用フェイス開口部52(リア用開口部)と、このリア用フェイス開口部52の下方位置にリア用フット開口部53とがそれぞれ開口している。
【0064】
これらのリア用開口部52,53からも温度調節された空気が流出するものであって、リアフェイスダクト54(リア用ダクト)およびリアフットダクト55(リア用ダクト)を介して後席用吹出口(図示略)に接続され、この吹出口から後席乗員に向けて空調空気を吹き出すようになっている。なお、各開口部52,53は、リア用フェイスフットドア56によって開閉されるようになっている。
【0065】
上記詳述した空調ユニット3(空調ケース31)は、エンジンルームと車室内とを仕切るダッシュパネル61と、インストルメントパネル62(計器盤)と、車両底部と車室内とを仕切るフロアパネル63とによって囲まれて形成される空間内に収容されている。
【0066】
また、車両上部のフロントウィンドウ64、外気吸込み用カウル65(=カウルトップ。以下、単に「カウル65」と言う。)、フード66により車両ボデーの上方外形が構成されている。さらに、デフロスタダクト45とフェイスダクト42との前後方向隙間には、補強板としてのリインホースメント67が車両幅方向に亘って配置されている。
【0067】
さらに、フェイスダクト42とリアフェイスダクト54との上下方向間の車室内側には、オーディオ機器類68(ステレオ、テレビ、カーナビゲーション等)が配置されている。
【0068】
すなわち、本実施形態の空調ユニット3(空調ケース31)は、より詳しくは、その周りを、ダッシュパネル61、フロアパネル63、外気吸込み用カウル65、各ダクト42,45,54,55、リインホースメント67、オーディオ機器類68等により囲まれている。
【0069】
なお、本実施形態において、各吹出ダクト42,45,54,55、ダッシュパネル61、インストルメントパネル62、フロアパネル63、フロントウィンドウ64、カウル65、リインホースメント67、オーディオ機器類68が「車両側部材」に相当する。
【0070】
次に、冷凍サイクル10のエジェクタ14の搭載態様について説明する。図3に示すように、空調ケース31においてデフロスタダクト45が接続される部位には、蒸発器15,18の上部より上方へ突出して延びる立設部31bが形成されており、この立設部31bと蒸発器15,18の上部に対向する空調ケース31の部位とによって、空調ケース31が側断面視において凹んだ凹み部71が形成されている。
【0071】
第1実施形態では、デフロスタ開口部44の前方部位であって、凹み部71と、デフロスタダクト45の前壁面と、カウル65とに囲まれた領域Aに、エジェクタ14を搭載する。なお、エジェクタ14における配管は、空調ケース31を貫通させることが前提となる。
【0072】
上記のように、本実施形態は、空調ケース31の外部にエジェクタ14を搭載することが特徴であり、特に、空調ケース31の外形に形成される凹み部(凹み部71)と車両側部品(デフロスタダクト45等)とによって形成される空間を有効利用することが特徴である。この点について、以下、第7実施形態まで共通である。
【0073】
一般に、空調ケース31の外側の凹み部71とデフロスタダクト45、カウル65とによって囲まれる領域Aは、余剰空間として車両内に残っていることが多く、このスペースにエジェクタを搭載することは、他部品への影響を与えることなく搭載可能であるということができる。また、このスペースは空調ケース31の外部であって、通風経路上でないため、通風抵抗が増加することもない。さらに、エジェクタ14を搭載することによって、蒸発器15,18のコア部(熱交換面積)を、空調ケース31内の搭載制約上低減させる必要も生じない。
【0074】
したがって、エジェクタ搭載に起因する通風経路での損失を無くし、蒸発器15,18の性能を最大限に引き出すことができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照して説明する。図3に示すように、空調ケース31においてリア用開口部52,53の上方部位(内壁部31aの後方部位)には、空調ケース31が側断面視において凹んだ凹み部72が形成されている。
【0076】
第2実施形態では、リア用開口部52,53の上方部位であって、凹み部72と、オーディオ機器類68とに囲まれた領域Bに、エジェクタ14を搭載する。本実施形態においても、領域Bは余剰空間として車両内に残っているスペースであって、空調ケース31の外部(通風経路の外)であるため、通風抵抗を生じず、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図2を参照して説明する。図2に示すように、蒸発器15,18は、ダッシュパネル61に対向する位置に垂直配置されている。そして、空調ユニット3の左側方に位置する送風ユニット2からの空気は、蒸発器15,18の流入面15aにおいて、蒸発器15,18の長手方向の左端側(一端側)から右端側(他端側)へ向けて流入する。そして、蒸発器15,18の全面(流入面15a)に対して、風速分布が均一化された状態で流入するように、空調ケース31は、送風ユニット2から遠ざかって空調空気流れの下流に行くに従い(図2においては右方に行くに従い)後方に斜めの傾斜をなすように形成されている。
【0078】
すなわち、空調ケース31の流入面15aと対向する壁面は、蒸発器15,18の右端側(他端側)に対向する下流側壁面31cと流入面15aとの距離が、蒸発器15,18の左端側(一端側)に対向する上流側壁面31dと流入面15aとの距離より狭くなるように構成されている。そして、この斜めの傾斜、すなわち、空調ケース31の下流側壁面31cによって、平面視において後方に凹んだ凹み部73が形成されている。
【0079】
本実施形態では、エジェクタ14を、凹み部73とダッシュパネル61とで囲まれた領域Cに搭載する。本実施形態においても、領域Cは余剰空間として車両内に残っているスペースであって、空調ケース31の外部(通風経路の外)であるため、通風抵抗を生じず、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図4を参照して説明する。図4は、第4実施形態における車両幅方向センタ部を示す垂直断面模式図である。なお、図4に示す構成は、エジェクタ14の搭載態様は除いて、以下、第7実施形態まで共通である。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と共通する構成部材には第1実施形態と同様の符号を付しており、以下、第1実施形態との相違部分に着目して説明することとする。
【0081】
図4に示すように、本実施形態では、空調ケース31の最も下方部位には、空気導入口33が配設されており、この空気導入口33直後の部位に蒸発器15,18が水平配置されている。蒸発器15,18は、その前端部が水平位置から約20度上方へ傾いて配置されている。なお、「蒸発器15,18が水平配置される」とは、蒸発器15,18の前端部が水平位置から概ね10度〜30度傾いた態様を示す。
【0082】
そして、蒸発器15,18の空気流れ下流側であって上方部位には、所定間隔を空けてヒータコア32が配置されている。ヒータコア32も、蒸発器15,18と同様にその前端部が水平位置から約20度上方へ傾いて配置されている。
【0083】
そして、蒸発器15,18の下流側かつヒータコア32の上流側の部位には、冷風バイパス流路34を通過する冷風量と温風流路35を通過する温風量の風量割合を調整するエアミックスドア36が配置されている。このエアミックスドア36は、スライド式のフィルムドアで構成されている。
【0084】
また、本実施形態におけるフェイスデフロスタ切替ドア48は、フェイス開口部41とデフロスタ開口部44とを選択的に開閉するドアであって、ロータリドアとして構成されている。また、フット開口部47とリア用フット開口部53は、フットドア49によって開閉されるようになっており、ロータリドアとして構成されている。
【0085】
次に、エジェクタ14の搭載態様について説明する。第4実施形態は、上記第1実施形態と略同様であって、デフロスタ開口部44の前方部位における空調ケース31の外側には、側断面視略三角形状の凹み部74が形成されている。この凹み部74と、デフロスタダクト45の前壁面と、カウル65とに囲まれた領域Dに、エジェクタ14を搭載する。
【0086】
本実施形態においても、領域Dは余剰空間として車両内に残っているスペースであって、空調ケース31の外部(通風経路の外)であるため、通風抵抗を生じず、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0087】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図4を参照して説明する。図4に示すように、空調ケース31において、蒸発器15,18とヒータコア32との前方端部の上下方向間には、段差部位として側断面視略三角形状の凹み部75が形成されている。第5実施形態では、蒸発器15,18とヒータコア32との前方端部の段差部位であって、凹み部75と、ダッシュパネル61とに囲まれた領域Eに、エジェクタ14を搭載する。
【0088】
本実施形態においても、領域Eは余剰空間として車両内に残っているスペースであって、空調ケース31の外部(通風経路の外)であるため、通風抵抗を生じず、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、上記第4実施形態における領域Dと比較すると、より蒸発器15,18に近い部位にエジェクタ14を配置できるため、エジェクタ14と蒸発器15,18との接続配管が短くてすみ、配管が煩雑になることを軽減することができる。
【0089】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図4を参照して説明する。図4に示すように、蒸発器15,18は、フロアパネル63に対向する位置に配置されている。そして、空調ユニット3の左側方に位置する送風ユニット2からの空気は、蒸発器15,18の流入面15aにおいて、蒸発器15,18の長手方向の左端側(一端側)から右端側(他端側)へ向けて流入する。そして、蒸発器15,18の全面(流入面15a)に対して、風速分布が均一化された状態で流入するように、空調ケース31の蒸発器15,18と対向する壁面(下側)は、送風ユニット2から遠ざかって空調空気流れの下流に行くに従い(図4においては紙面奥方に行くに従い)右上方に斜めの傾斜をなすように形成されている。
【0090】
図4中、空調ケース31の下部において、実線で示しているラインがセンタ部(後述する下流側壁面31c)の形態であり、二点鎖線で示しているラインが助手席側(紙面手前側であって、後述する上流側壁面31d)の形態である。空調ケース31は、助手席側からセンタ部にかけて、空調ケース31の下部(底面)が徐々に上がって、流路幅が狭くなっている。
【0091】
すなわち、空調ケース31の流入面15aと対向する壁面は、蒸発器15,18の右端側(他端側)に対向する下流側壁面31cと流入面15aとの距離が、蒸発器15,18の左端側(一端側)に対向する上流側壁面31dと流入面15aとの距離より狭くなるように構成されている。そして、この斜めの傾斜、すなわち、空調ケース31の下流側壁面31cによって、車両前方から見た場合に、空調ケース31が上方に凹んだ凹み部76が形成されている。第6実施形態では、エジェクタ14を、凹み部76とフロアパネル63とで囲まれた領域Fに搭載する。
【0092】
本実施形態においても、領域Fは余剰空間として車両内に残っているスペースであって、空調ケース31の外部(通風経路の外)であるため、通風抵抗を生じず、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0093】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図4を参照して説明する。図4に示すように、空調ケース31の後方端部であって下方部位(図4において二点鎖線で示すライン)には、凹み部77が形成されている。第7実施形態では、蒸発器15,18の後方端部の下方部位であって、凹み部75と、フロアパネル63と、リアフットダクト55とに囲まれた領域Gに、エジェクタ14を搭載する。
【0094】
本実施形態においても、領域Gは余剰空間として車両内に残っているスペースであって、空調ケース31の外部(通風経路の外)であるため、通風抵抗を生じず、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、上記第5実施形態と同様に、例えば第4実施形態における領域Dと比較すると、より蒸発器15,18に近い部位にエジェクタ14を配置できるため、エジェクタ14と蒸発器15,18との接続配管が短くてすみ、配管が煩雑になることを軽減することができる。
【0095】
(その他の実施形態)
・ 上記各実施形態において、冷凍サイクル10の構成は、種々変更できる。例えば、圧縮機11の入口側に気液分離器(アキュムレータ)を設ける構成としても良い。また、上記各実施形態では、冷媒として、フロン系、炭化水素系等の冷媒であって高圧圧力が臨界圧力を超えないものとしたが、その他、超臨界サイクルとなる二酸化炭素等を冷媒として用いても良い。
【0096】
・ 上記各実施形態において、空調ケース31の凹み部71,72,73,74,75,76,77に、エジェクタ14を装着可能なリブを形成して、エジェクタ14と空調ケース31とを一体的に構成しても良い。
【0097】
・ 上記各実施形態では、蒸発器15,18やエアミックスドア36等の各種ドアのレイアウトにより空調ケース31に必然的に形成される凹み部71,72,73,74,75,76,77を利用してエジェクタ14を搭載するものとしたが、凹み部を空調ケース31の外側に意図的に形成してエジェクタ14を搭載するスペースを形成しても良い。
【0098】
・ 上記第5実施形態(領域E)では、蒸発器15,18とヒータコア32との前端側の段差部位における凹み部75にエジェクタ14を配置するものとした。この変形例として、例えば、蒸発器15,18が垂直配置(図3参照)であって、リア用開口部52,53が形成されないタイプの車両用空調装置1であれば、蒸発器15,18の下端部とヒータコア32の下端部との前後方向間に通常形成される側断面視略三角形状の凹み部(図示略)と、フロアパネル63とによって囲まれた領域にエジェクタ14を搭載しても良い。
【0099】
・ 上記第3実施形態および第6実施形態では、空調ケース31の蒸発器15,18と対向する壁面が傾斜していることで、凹み部73,76が形成されるものとした。これに換えて、例えば、空調ケース31の壁面が、下流側へ行くほど(送風ユニット2から離れるほど)階段状に流路幅が狭くなるように構成されることで凹み部を形成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態を示すエジェクタを用いた冷凍サイクルを示す模式図である。
【図2】車両用空調装置を上面から見た平面図である。
【図3】第1実施形態において、車両幅方向センタ部を示す垂直断面模式図である。
【図4】第4実施形態において、車両幅方向センタ部を示す垂直断面模式図である。
【符号の説明】
【0101】
1 車両用空調装置
2 送風ユニット
3 空調ユニット
10 蒸気圧縮式冷凍サイクル
11 圧縮機
12 凝縮器(冷却用熱交換器)
13 温度式膨張弁(減圧手段)
14 エジェクタ
15 第1蒸発器
15a 流入面
18 第2蒸発器
22 送風機
31 空調ケース
31c 下流側壁面
31d 上流側壁面
42 フェイスダクト(車両側部材)
44 デフロスタ開口部
45 デフロスタダクト(車両側部材)
52 リア用フェイス開口部(リア用開口部)
53 リア用フット開口部(リア用開口部)
54 リアフェイスダクト(リア用ダクト、車両側部材)
55 リアフットダクト(リア用ダクト、車両側部材)
61 ダッシュパネル(車両側部材)
62 インストルメントパネル(車両側部材)
63 フロアパネル(車両側部材)
64 フロントウィンドウ(車両側部材)
65 外気吸込み用カウル(カウルトップ、車両側部材)
67 リインホースメント(車両側部材)
68 オーディオ機器類(車両側部材)
71,72,73,74,75,76,77 凹み部
A,B,C,D,E,F,G 領域(エジェクタ14の搭載領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(11)、冷却用熱交換器(12)、減圧手段(13)、エジェクタ(14)、蒸発器(15,18)が環状に接続されて構成される冷凍サイクル(10)と、
内部に前記蒸発器(15,18)を収容し、空調ユニット(3)の外形を形成する空調ケース(31)と、を備え、
前記エジェクタ(14)は、前記空調ケース(31)の外形が凹んで形成された凹み部(71)と、前記空調ケース(31)の外方に位置する車両側部材(45,65)とに囲まれた領域(A)内に配設されたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空調ケース(31)の車両上方部位には、デフロスタ開口部(44)が開口形成され、
前記凹み部(71,74)は、前記デフロスタ開口部(44)の車両前方部位に形成され、
前記車両側部材(45,65)は、少なくとも、前記デフロスタ開口部(44)に接続されるデフロスタダクト(45)と、カウルトップ(65)とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記空調ケース(31)の車両後方部位には、後席側の吹出口に連通するリア用開口部(52)が開口形成され、
前記凹み部(72)は、前記リア用開口部(52)の車両上方部位に形成され、
前記車両側部材(68)は、少なくとも、前記リア用開口部(52)の車両上方部位の車室内側に配置されるオーディオ機器類(68)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記空調ケース(31)内に空気を取り込み、前記蒸発器(15,18)の長手方向の一端側に配置される送風機(22)を備え、
当該送風機(22)からの空気は、前記蒸発器(15,18)への流入面(15a)において前記蒸発器(15,18)の一端側から他端側へ向けて流入するものであって、
前記空調ケース(31)の前記流入面(15a)と対向する壁面は、前記蒸発器(15,18)の前記他端側に対向する下流側壁面(31c)と前記流入面(15a)との距離が、前記蒸発器(15,18)の前記一端側に対向する上流側壁面(31d)と前記流入面(15a)との距離より狭くなるように構成されており、
前記凹み部(73,76)は、前記空調ケース(31)の前記下流側壁面(31c)によって形成され、
前記車両側部材(61,63)は、前記蒸発器(15,18)の流入面(15a)と対向する位置に配置されるダッシュパネル(61)もしくはフロアパネル(63)であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記空調ケース(31)内に収容され、前記蒸発器(15,18)の下流側に配置されるヒータコア(32)を備え、
前記凹み部(75)は、前記蒸発器(15,18)と前記ヒータコア(32)との間に段差部位として形成され、
前記車両側部材(61,63)は、前記段差部位と対向するダッシュパネル(61)もしくはフロアパネル(63)であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記蒸発器(15,18)は、車両前端部が水平位置から10度〜30度上方へ傾いた状態に配置されており、
前記凹み部(77)は、前記蒸発器(15,18)の車両後方端部の車両下方部位に形成され、
前記車両側部材(63,55)は、少なくとも、フロアパネル(63)と、リア用ダクト(55)とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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