車両用電動コンプレッサの駆動装置
【課題】簡単な構成で的確に地絡を検出することができる車両用電動コンプレッサの駆動装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載されたバッテリー2より疑似交流出力を生成するインバータ13を備え、インバータの出力により空調用の電動コンプレッサ14のモータ16を駆動する。バッテリーから上記インバータに至る高電圧ライン11、12を流れる電流値の差を検出するための電流値差検出装置26と、この電流値差検出装置の出力が入力される制御装置17を備え、この制御装置は、上記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生した場合、上記電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断する。
【解決手段】車両に搭載されたバッテリー2より疑似交流出力を生成するインバータ13を備え、インバータの出力により空調用の電動コンプレッサ14のモータ16を駆動する。バッテリーから上記インバータに至る高電圧ライン11、12を流れる電流値の差を検出するための電流値差検出装置26と、この電流値差検出装置の出力が入力される制御装置17を備え、この制御装置は、上記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生した場合、上記電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成して電動コンプレッサの駆動用モータを駆動するための車両用電動コンプレッサの駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(PEV、HEV、PHEV)用の空調装置としてバッテリー電源で駆動される電動コンプレッサを搭載した空調装置(カーエアコン)が開発されている。この空調装置は、バッテリー(直流電源)と、このバッテリーから高電圧ラインを介して給電されるインバータと、このインバータにて生成される三相疑似交流電圧で駆動される電動コンプレッサから構成されている。
【0003】
このような車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーの高電圧ラインから電動コンプレッサに渡る範囲、及び、これら以外の一箇所(走行用の主軸モータ側の回路)で地絡が発生した場合、バッテリーが車体から絶縁されている関係上、地絡を検出することができなかった。そのため、このまま地絡に気づかずに放置して、更に他の箇所で地絡が発生すると、漏れ電流が流れて感電や電流による火災や機器の損傷に至る恐れがあった。
【0004】
そこで、係る自動車における地絡を検出する手段として、所定のパルス波形を生成する発振回路と、該発振回路からのパルス波形を検出する検出回路からなる地絡検出回路を設けて、発振回路のパルス波形の振幅の変化により地絡の発生を検出するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、コンデンサと抵抗によって決まるOPアンプの出力の周波数が、地絡の発生によって変化することで地絡を検出するものも開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2933490号公報
【特許文献3】特開平5−244701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この種空調装置用の電動コンプレッサでは、地絡が発生していない正常時にも、電動コンプレッサの密閉容器内の冷媒及び密閉容器などを介して、車体にはモータの巻線から漏れ電流が流れている。この漏れ電流のために前記特許文献1に記載の構成を適用した場合はパルス波形の振幅が変化してしまい、特許文献2の構成を適用した場合にもOPアンプの出力周波数が変化してしまうため、誤って地絡と判断されてしまう問題があった。
【0007】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、簡単な構成で的確に地絡を検出することができる車両用電動コンプレッサの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、この電流値差検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、この高電圧ラインを流れる電流値に差が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、この電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、地絡が発生したものと判断することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、電流値差検出手段及び電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、この電流値差検出で差が検出され、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断し、この電流値差検出で差が検出されず、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、上記各発明において制御手段は、地絡が発生したものと判断した場合、バッテリーからの給電を断つための動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
車両用電動コンプレッサの場合、地絡が発生していない正常時にも、電動コンプレッサ内の冷媒を介して、車体にはモータから漏れ電流が流れている。その状態で、高電圧ラインから電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生すると、モータから冷媒及び車体を介して地絡箇所に電流が流れるため、高電圧ラインを流れる電流値に差が発生する。
【0013】
そこで、請求項1の発明では、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、この電流値差検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、この電流値差検出手段に差が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断するようにしたので、簡単な回路構成で、電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で発生した地絡を的確に検出することが可能となる。
【0014】
また、高電圧ラインと車体間にコンデンサ又は抵抗を接続しておくと、地絡が発生していない正常時にも、このコンデンサ又は抵抗には電動コンプレッサのモータから冷媒及び車体を介して流れる漏れ電流が流れる。その状態で、何れかの箇所で地絡が発生すると、当該地絡箇所からの電流が加わってコンデンサ又は抵抗に流れるため、このコンデンサ又は抵抗に流れる電流値が変化する。
【0015】
そこで、請求項2の発明では、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、この電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、地絡が発生したものと判断するようにしたので、簡単な回路構成で、何れかの箇所で地絡が発生していることを的確に検出することが可能となる。
【0016】
尚、電動コンプレッサを駆動するインバータの入力の電流値の差を検出する地点から電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生しても、モータから冷媒及び車体を介して地絡箇所に電流が流れ、それは再び高電圧ラインに戻るため、このインバータの入力の電流に差は発生しない。
【0017】
そこで、請求項3の発明では、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、上記電流値差検出手段及び電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、上記電流値差検出手段で検出される電流値に差が発生し、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、前記電流値差検出位置から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断し、上記電流値差検出手段で検出される電流値に差が発生しておらず、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、上記電流値差検出位置から電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生したものと判断するようにしたので、簡単な回路構成で、高電圧ラインから電動コンプレッサまでの箇所における地絡か、それ以外の箇所での地絡かを的確に判定することが可能となる。
【0018】
そして、請求項4の発明の如く制御手段が、地絡が発生したものと判断した場合、バッテリーからの給電を断つための動作を実行するようにすれば、地絡による感電や火災、機器の損傷を未然に回避することが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した実施例の車両用電動コンプレッサの駆動装置1を含む電気自動車の電気回路図を示している。実施例の車両用電動コンプレッサの駆動装置1は車両用の空調装置(カーエアコン)を構成する車両用の電動コンプレッサ14を駆動するものであり、自動車に搭載されたバッテリー2と、走行用の主軸モータ3と、この主軸モータ3を駆動するための主軸モータ用のインバータ4、これらバッテリー2と主軸モータ用のインバータ4間のプラス側の高電圧ライン6及びマイナス側の高電圧ライン7のうちのプラス側の高電圧ライン6に接続された開閉装置8から成る走行用の駆動装置5とを備えた車両に用いられる。尚、バッテリー2は感電防止のために車体から絶縁されている。
【0020】
車両用電動コンプレッサの駆動装置1は、開閉装置8の後段の高電圧ライン6及び7にそれぞれ接続されたプラス側の高電圧ライン11及びマイナス側の高電圧ライン12を介してバッテリー2に接続された電動コンプレッサ用のインバータ13と、制御手段17などから構成されており、インバータ13により車両に搭載された電動コンプレッサ14のモータ16を駆動する。即ち、主軸モータ用のインバータ4と電動コンプレッサ用のインバータ13は何れも開閉装置8を介したかたちでバッテリー2に対して並列に接続されている。
【0021】
走行用の駆動装置5を構成する主軸モータ用のインバータ4は複数(6個)のスイッチング素子21などにて構成され、開閉装置8が閉じている状態で、バッテリー2からの直流電圧を三相疑似正弦波(三相疑似交流出力)に変換して主軸モータ3に印加する。これにより、主軸モータ3を駆動して自動車を走行させるものである。
【0022】
また、電動コンプレッサ用のインバータ13も複数(6個)のスイッチング素子22などにて構成され、開閉装置8が閉じている状態で、バッテリー2からの直流電圧を三相疑似正弦波(三相疑似交流出力)に変換し、電動コンプレッサ14のモータ16に印加して駆動し、車室内の空調を行うものである。制御装置17は車両側の制御装置からのデータ(車室内温度や日射量など)を入力し、電動コンプレッサ14の運転を制御する。
【0023】
また、駆動装置1の高電圧ライン11及び12には、バッテリー2(主軸モータ用の高電圧ライン6、7との分岐点より後段)とインバータ13との間の接続点P1、P2(これら接続点P1、P2が後述する電流値差検出装置26による電流値差検出点となる。)にカレントトランス23、24が取り付けられている。これらカレントトランス23、24は、高電圧ライン6、7を流れる電流値を検出する。尚、これらカレントトランス23、24はそれに限らず、電流値を検出する手段であれば他の方式(例えばシャント抵抗方式)でも構わない。
【0024】
これらカレントトランス23、24が検出する電流値は、電流値差検出装置26に入力され、これらカレントトランス23、24及び電流値差検出装置26により本発明における電流値差検出手段が構成される。この電流値差検出装置26は、各カレントトランス23及び24が検出する各高電圧ライン11、12を流れる電流値(絶対値)の差を検出し、制御装置17に出力する。
【0025】
また、これらカレントトランス23、24の接続点P1、P2よりバッテリー2側におけるマイナス側の高電圧ライン12と車体間には、コンデンサ27及びカレントトランス(電流値検出手段)28の直列回路が接続されている。尚、コンデンサ27は高抵抗値の抵抗に置き換えてもよい。このカレントトランス28はコンデンサ27に流れる電流を検出して制御装置17に出力する。
【0026】
以上の構成で次に制御装置17の地絡検知に関する制御について説明する。先ず、図2乃至図15を参照して、地絡検知の方法について説明する。
【0027】
(1)地絡検知方法1
図2は図1の回路に地絡を擬似的に作り出すテスト回路31を接続した電気回路図を示している(図1の開閉装置8はコンデンサ27、制御装置17は示していない)。テスト回路31は一端が車体に接続された抵抗32とスイッチ33が直列に接続された地絡ライン34を備えてスイッチ33の開閉により、地絡(車体へ電流が流れること)を擬似的に作り出すものである。図2では地絡ライン34の他端が主軸モータ3の巻線に接続されている。
【0028】
尚、電動コンプレッサ14では、地絡が発生していない正常時においても密閉容器内の冷媒(各図にRFで示す。コンデンサ又は抵抗として把握される)及び密閉容器を介してモータ16の巻線から車体に漏れ電流が流れている。この電流はスイッチング素子22でスイッチングされた周波数の電流であるが、地絡が発生していない正常時には高電圧ライン11及び12を流れる電流値の絶対値に差は生じない。図3は電流値差検出装置26の出力を示しており、図3の左側に示すように、正常状態では電流値差検出装置26の出力は零となる。
【0029】
その状態で、テスト回路31のスイッチ33(開閉装置8を閉じてから例えば5秒経した過後。以下、同じ)を閉じて主軸モータ3の巻線が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−主軸モータ3の巻線の経路で電流が流れるため、駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値に差が発生し、電流値差検出装置26の出力は図3の右側に示すようにスイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れることになる。
【0030】
次に、図4は地絡ライン34の他端を走行用の駆動装置5の高電圧ライン6に接続した場合を示している。同様にスイッチ33を閉じて駆動装置5の高電圧ライン6が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−高電圧ライン6の経路で電流が流れるため、同様に駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値に差が発生し、電流値差検出装置26の出力は図5の右側に示すようにスイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れることになる。
【0031】
次に、図6は地絡ライン34の他端を電動コンプレッサ14のモータ16の巻線に接続した場合を示している。尚、この図ではバッテリー2の他の負荷としてインバータ4及び主軸モータ3では無く、例えばヒータ36を採り上げている。同様にスイッチ33を閉じて電動コンプレッサ14のモータ16の巻線が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−モータ16の巻線の経路で電流が流れ、高電圧ライン12に戻るため、駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値には差は発生しない。従って、電流値差検出装置26の出力は図7に示すように零となる。
【0032】
次に、図8は地絡ライン34の他端を車両用電動コンプレッサの駆動装置1のマイナス側の高電圧ライン12(但し、接続点P2の後段)に接続した場合を示している。同様にスイッチ33を閉じて駆動装置1側の高電圧ライン12が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−高電圧ライン12の巻線の経路で電流が流れて戻るため、駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値には差は発生しない。従って、電流値差検出装置26の出力は図9に示すように零となる。
【0033】
即ち、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14まで(即ち、電流値差検出点から電動コンプレッサ14まで。以下、同じ。)の箇所以外の箇所で地絡が発生した場合、電流値差検出装置26が各高電圧ライン11、12を流れる電流値の差を検出して出力を発生する。また、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所で地絡が発生した場合には、各高電圧ライン11、12を流れる電流値に差が生じないため、電流値差検出装置26の出力は正常時と同じ零のままとなることが分かる。
【0034】
(2)地絡検知方法2
次に、図10は地絡ライン34の他端を車両用電動コンプレッサの駆動装置1の高電圧ライン12に接続した場合を示している。尚、図1の開閉装置8、電流値差検出装置26、制御装置17などは示していない。その代わりに、コンデンサ27、カレントトランス28を示す。前述したように正常状態においても電動コンプレッサ14からは冷媒及び密閉容器を介して車体に漏れ電流が流れているので、この漏れ電流は車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路でコンデンサ27に流れる。このコンデンサ27に流れる電流値Icはカレントトランス28により検出される。
【0035】
図11の左側は、スイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れる電流Icを示している。この状態でスイッチ33を閉じて駆動装置1の高電圧ライン12が地絡した状態を作り出すと、高電圧ライン12−地絡ライン34−抵抗32−車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路で流れる電流が、前述したコンデンサ27を流れる漏れ電流の値を減少させる方向で作用するため、電流値Icの振幅は図11の右側に示すように縮小する方向で変化することになる。
【0036】
次に、図12は地絡ライン34の他端を走行用の駆動装置5の高電圧ライン6に接続した場合を示している。前述同様に正常状態においても電動コンプレッサ14からは冷媒及び密閉容器を介して車体に漏れ電流が流れているので、この漏れ電流は車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路でコンデンサ27に流れる。このコンデンサ27に流れる電流値Icはカレントトランス28により検出される。
【0037】
図13の左側は、スイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れる電流Icを示している。この状態でスイッチ33を閉じて駆動装置5の高電圧ライン6が地絡した状態を作り出すと、高電圧ライン11−地絡ライン34−抵抗32−車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路で流れる電流が、前述したコンデンサ27を流れる漏れ電流の値を減少させる方向で作用するため、電流値Icは振幅は図13の右側に示すように縮小する方向で変化することになる。
【0038】
次に、図14は地絡ライン34の他端を電動コンプレッサ14のモータ16の巻線に接続した場合を示している。前述同様に正常状態においても電動コンプレッサ14からは冷媒及び密閉容器を介して車体に漏れ電流が流れているので、この漏れ電流は車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路でコンデンサ27に流れる。このコンデンサ27に流れる電流値Icはカレントトランス28により検出される。
【0039】
図13の左側は、スイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れる電流Icを示している(図11、図13とはレンジが異なる)。この状態でスイッチ33を閉じて電動コンプレッサ14のモータ16の巻線が地絡した状態を作り出すと、モータ16−地絡ライン34−抵抗32−車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路で流れる電流が、前述したコンデンサ27を流れる漏れ電流にプラスされるかたちとなるため、電流値Icは振幅は図15の右側に示すように増大する方向で変化することになる。
【0040】
即ち、何れの箇所で地絡が発生した場合にも、コンデンサ27に流れる電流値Icは変化することになる。
【0041】
(3)地絡判定制御
次に、上記地絡検知方法1及び2を利用した制御装置17の地絡判定制御について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。先ず、制御装置17は図16のステップS1で電流値差検出装置26の出力に基づき、前述したように駆動装置1の各高電圧ライン11、12を流れる電流値に差が生じているか否か判断する。差が生じていない場合には、ステップS5に進み、今度はカレントトランス28の出力に基づき、コンデンサ27に流れる電流値Icが変化したか否か判断する。そして、変化が無い場合にはステップS7に進み、制御装置17は回路に地絡は発生しておらず、正常状態であるものと判断する。
【0042】
一方、ステップS1で電流値差検出装置26の出力に基づき、各高電圧ライン11、12を流れる電流値に差が発生している場合、制御装置1はステップS2に進み、カレントトランス28の出力に基づき、コンデンサ27に流れる電流値Icが変化したか否か判断する。ここで、高電圧ライン11、12に電流値の差が生じているということは、前述したように駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所以外の箇所で地絡が発生していることである。そして、ステップS2でコンデンサ27の電流Icに変化があった場合は、何れかの箇所で地絡が発生していることであるから、制御装置17はステップS3に進み、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断する。
【0043】
また、ステップS5でカレントトランス28の出力に基づき、コンデンサ27に流れる電流値Icに変化があった場合、制御装置17はステップS6に進む。ここで、ステップS1で駆動装置1の高電圧ライン11、12に電流値の差が発生していないということは、正常であるか、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所で地絡が発生していることである。そして、ステップS5でコンデンサ27の電流値Icに変化があった場合には、何れかの箇所で地絡が発生しているということであるから、制御装置1はステップS6に進み、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所で地絡が発生したものと判断する。
【0044】
そして、ステップS6及びステップS3で駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所、又は、それ以外の箇所で地絡が発生したものと判断した場合、制御装置17はステップS4に進み、例えば、車両側の制御装置(或いは、図示しないバッテリー2の制御装置)に地絡の発生を通知する。車両側の制御装置(或いはバッテリー2の制御装置)はこれを受けて開閉装置8を解裂(開放)し、バッテリー2から各高電圧ライン6、7、11、12を介した各インバータ4、13への給電を断つ(停止)。それによって、感電や機器(各モータ、インバータのスイッチング素子)の損傷、火災などの発生を防止する。
【0045】
尚、ステップS2でコンデンサ27の電流値Icに変化が無い場合、制御装置17はステップS8に進み、地絡検知のための各素子(電流値差検出装置26やカレントトランス23、24、28など)に不良が発生しているものと判断する。高電圧ライン11、12の電流値に差が発生した場合(駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所以外で地絡が発生)、コンデンサ27の電流値Icが変化しないことはあり得ないので、これは上記各素子又は制御装置17自体に異常が発生したことになるからである。
【0046】
尚、以上説明した実施例で示した各素子はそれに限定されるものでは無く、同様の機能を有するものと置き換えられることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を適用した一実施例の車両用電動コンプレッサの駆動装置を搭載した電気自動車の電気回路図である。
【図2】図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するための電気回路図である。
【図3】図2における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図4】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図5】図4における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図6】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図7】図6における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図8】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図9】図8における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図10】図1の電気回路において、地絡を検知する方法2を説明するための電気回路図である。
【図11】図10におけるコンデンサを流れる電流値を示す図である。
【図12】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法2を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図13】図12におけるコンデンサを流れる電流値を示す図である。
【図14】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法2を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図15】図14におけるコンデンサを流れる電流値を示す図である。
【図16】図1の電気回路の制御装置の地絡判定制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用電動コンプレッサの駆動装置
2 バッテリー
3、16 モータ
8 開閉装置
6、7、11、12 高電圧ライン
4、13 インバータ
14 電動コンプレッサ
17 制御装置(制御手段)
21、22 スイッチング素子
23、24、28 カレントトランス(電流値検出手段)
26 電流値差検出装置(電流値差検出手段)
27 コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成して電動コンプレッサの駆動用モータを駆動するための車両用電動コンプレッサの駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(PEV、HEV、PHEV)用の空調装置としてバッテリー電源で駆動される電動コンプレッサを搭載した空調装置(カーエアコン)が開発されている。この空調装置は、バッテリー(直流電源)と、このバッテリーから高電圧ラインを介して給電されるインバータと、このインバータにて生成される三相疑似交流電圧で駆動される電動コンプレッサから構成されている。
【0003】
このような車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーの高電圧ラインから電動コンプレッサに渡る範囲、及び、これら以外の一箇所(走行用の主軸モータ側の回路)で地絡が発生した場合、バッテリーが車体から絶縁されている関係上、地絡を検出することができなかった。そのため、このまま地絡に気づかずに放置して、更に他の箇所で地絡が発生すると、漏れ電流が流れて感電や電流による火災や機器の損傷に至る恐れがあった。
【0004】
そこで、係る自動車における地絡を検出する手段として、所定のパルス波形を生成する発振回路と、該発振回路からのパルス波形を検出する検出回路からなる地絡検出回路を設けて、発振回路のパルス波形の振幅の変化により地絡の発生を検出するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、コンデンサと抵抗によって決まるOPアンプの出力の周波数が、地絡の発生によって変化することで地絡を検出するものも開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2933490号公報
【特許文献3】特開平5−244701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この種空調装置用の電動コンプレッサでは、地絡が発生していない正常時にも、電動コンプレッサの密閉容器内の冷媒及び密閉容器などを介して、車体にはモータの巻線から漏れ電流が流れている。この漏れ電流のために前記特許文献1に記載の構成を適用した場合はパルス波形の振幅が変化してしまい、特許文献2の構成を適用した場合にもOPアンプの出力周波数が変化してしまうため、誤って地絡と判断されてしまう問題があった。
【0007】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、簡単な構成で的確に地絡を検出することができる車両用電動コンプレッサの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、この電流値差検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、この高電圧ラインを流れる電流値に差が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、この電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、地絡が発生したものと判断することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、電流値差検出手段及び電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、この電流値差検出で差が検出され、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断し、この電流値差検出で差が検出されず、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明の車両用電動コンプレッサの駆動装置は、上記各発明において制御手段は、地絡が発生したものと判断した場合、バッテリーからの給電を断つための動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
車両用電動コンプレッサの場合、地絡が発生していない正常時にも、電動コンプレッサ内の冷媒を介して、車体にはモータから漏れ電流が流れている。その状態で、高電圧ラインから電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生すると、モータから冷媒及び車体を介して地絡箇所に電流が流れるため、高電圧ラインを流れる電流値に差が発生する。
【0013】
そこで、請求項1の発明では、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、この電流値差検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、この電流値差検出手段に差が発生した場合、この電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断するようにしたので、簡単な回路構成で、電流値差検出点から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で発生した地絡を的確に検出することが可能となる。
【0014】
また、高電圧ラインと車体間にコンデンサ又は抵抗を接続しておくと、地絡が発生していない正常時にも、このコンデンサ又は抵抗には電動コンプレッサのモータから冷媒及び車体を介して流れる漏れ電流が流れる。その状態で、何れかの箇所で地絡が発生すると、当該地絡箇所からの電流が加わってコンデンサ又は抵抗に流れるため、このコンデンサ又は抵抗に流れる電流値が変化する。
【0015】
そこで、請求項2の発明では、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、この電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、地絡が発生したものと判断するようにしたので、簡単な回路構成で、何れかの箇所で地絡が発生していることを的確に検出することが可能となる。
【0016】
尚、電動コンプレッサを駆動するインバータの入力の電流値の差を検出する地点から電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生しても、モータから冷媒及び車体を介して地絡箇所に電流が流れ、それは再び高電圧ラインに戻るため、このインバータの入力の電流に差は発生しない。
【0017】
そこで、請求項3の発明では、車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、このインバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する車両用電動コンプレッサの駆動装置において、バッテリーからこのインバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、このコンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、上記電流値差検出手段及び電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、この制御手段は、上記電流値差検出手段で検出される電流値に差が発生し、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、前記電流値差検出位置から電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断し、上記電流値差検出手段で検出される電流値に差が発生しておらず、且つ、コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、上記電流値差検出位置から電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生したものと判断するようにしたので、簡単な回路構成で、高電圧ラインから電動コンプレッサまでの箇所における地絡か、それ以外の箇所での地絡かを的確に判定することが可能となる。
【0018】
そして、請求項4の発明の如く制御手段が、地絡が発生したものと判断した場合、バッテリーからの給電を断つための動作を実行するようにすれば、地絡による感電や火災、機器の損傷を未然に回避することが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した実施例の車両用電動コンプレッサの駆動装置1を含む電気自動車の電気回路図を示している。実施例の車両用電動コンプレッサの駆動装置1は車両用の空調装置(カーエアコン)を構成する車両用の電動コンプレッサ14を駆動するものであり、自動車に搭載されたバッテリー2と、走行用の主軸モータ3と、この主軸モータ3を駆動するための主軸モータ用のインバータ4、これらバッテリー2と主軸モータ用のインバータ4間のプラス側の高電圧ライン6及びマイナス側の高電圧ライン7のうちのプラス側の高電圧ライン6に接続された開閉装置8から成る走行用の駆動装置5とを備えた車両に用いられる。尚、バッテリー2は感電防止のために車体から絶縁されている。
【0020】
車両用電動コンプレッサの駆動装置1は、開閉装置8の後段の高電圧ライン6及び7にそれぞれ接続されたプラス側の高電圧ライン11及びマイナス側の高電圧ライン12を介してバッテリー2に接続された電動コンプレッサ用のインバータ13と、制御手段17などから構成されており、インバータ13により車両に搭載された電動コンプレッサ14のモータ16を駆動する。即ち、主軸モータ用のインバータ4と電動コンプレッサ用のインバータ13は何れも開閉装置8を介したかたちでバッテリー2に対して並列に接続されている。
【0021】
走行用の駆動装置5を構成する主軸モータ用のインバータ4は複数(6個)のスイッチング素子21などにて構成され、開閉装置8が閉じている状態で、バッテリー2からの直流電圧を三相疑似正弦波(三相疑似交流出力)に変換して主軸モータ3に印加する。これにより、主軸モータ3を駆動して自動車を走行させるものである。
【0022】
また、電動コンプレッサ用のインバータ13も複数(6個)のスイッチング素子22などにて構成され、開閉装置8が閉じている状態で、バッテリー2からの直流電圧を三相疑似正弦波(三相疑似交流出力)に変換し、電動コンプレッサ14のモータ16に印加して駆動し、車室内の空調を行うものである。制御装置17は車両側の制御装置からのデータ(車室内温度や日射量など)を入力し、電動コンプレッサ14の運転を制御する。
【0023】
また、駆動装置1の高電圧ライン11及び12には、バッテリー2(主軸モータ用の高電圧ライン6、7との分岐点より後段)とインバータ13との間の接続点P1、P2(これら接続点P1、P2が後述する電流値差検出装置26による電流値差検出点となる。)にカレントトランス23、24が取り付けられている。これらカレントトランス23、24は、高電圧ライン6、7を流れる電流値を検出する。尚、これらカレントトランス23、24はそれに限らず、電流値を検出する手段であれば他の方式(例えばシャント抵抗方式)でも構わない。
【0024】
これらカレントトランス23、24が検出する電流値は、電流値差検出装置26に入力され、これらカレントトランス23、24及び電流値差検出装置26により本発明における電流値差検出手段が構成される。この電流値差検出装置26は、各カレントトランス23及び24が検出する各高電圧ライン11、12を流れる電流値(絶対値)の差を検出し、制御装置17に出力する。
【0025】
また、これらカレントトランス23、24の接続点P1、P2よりバッテリー2側におけるマイナス側の高電圧ライン12と車体間には、コンデンサ27及びカレントトランス(電流値検出手段)28の直列回路が接続されている。尚、コンデンサ27は高抵抗値の抵抗に置き換えてもよい。このカレントトランス28はコンデンサ27に流れる電流を検出して制御装置17に出力する。
【0026】
以上の構成で次に制御装置17の地絡検知に関する制御について説明する。先ず、図2乃至図15を参照して、地絡検知の方法について説明する。
【0027】
(1)地絡検知方法1
図2は図1の回路に地絡を擬似的に作り出すテスト回路31を接続した電気回路図を示している(図1の開閉装置8はコンデンサ27、制御装置17は示していない)。テスト回路31は一端が車体に接続された抵抗32とスイッチ33が直列に接続された地絡ライン34を備えてスイッチ33の開閉により、地絡(車体へ電流が流れること)を擬似的に作り出すものである。図2では地絡ライン34の他端が主軸モータ3の巻線に接続されている。
【0028】
尚、電動コンプレッサ14では、地絡が発生していない正常時においても密閉容器内の冷媒(各図にRFで示す。コンデンサ又は抵抗として把握される)及び密閉容器を介してモータ16の巻線から車体に漏れ電流が流れている。この電流はスイッチング素子22でスイッチングされた周波数の電流であるが、地絡が発生していない正常時には高電圧ライン11及び12を流れる電流値の絶対値に差は生じない。図3は電流値差検出装置26の出力を示しており、図3の左側に示すように、正常状態では電流値差検出装置26の出力は零となる。
【0029】
その状態で、テスト回路31のスイッチ33(開閉装置8を閉じてから例えば5秒経した過後。以下、同じ)を閉じて主軸モータ3の巻線が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−主軸モータ3の巻線の経路で電流が流れるため、駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値に差が発生し、電流値差検出装置26の出力は図3の右側に示すようにスイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れることになる。
【0030】
次に、図4は地絡ライン34の他端を走行用の駆動装置5の高電圧ライン6に接続した場合を示している。同様にスイッチ33を閉じて駆動装置5の高電圧ライン6が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−高電圧ライン6の経路で電流が流れるため、同様に駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値に差が発生し、電流値差検出装置26の出力は図5の右側に示すようにスイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れることになる。
【0031】
次に、図6は地絡ライン34の他端を電動コンプレッサ14のモータ16の巻線に接続した場合を示している。尚、この図ではバッテリー2の他の負荷としてインバータ4及び主軸モータ3では無く、例えばヒータ36を採り上げている。同様にスイッチ33を閉じて電動コンプレッサ14のモータ16の巻線が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−モータ16の巻線の経路で電流が流れ、高電圧ライン12に戻るため、駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値には差は発生しない。従って、電流値差検出装置26の出力は図7に示すように零となる。
【0032】
次に、図8は地絡ライン34の他端を車両用電動コンプレッサの駆動装置1のマイナス側の高電圧ライン12(但し、接続点P2の後段)に接続した場合を示している。同様にスイッチ33を閉じて駆動装置1側の高電圧ライン12が地絡した状態を作り出すと、電動コンプレッサ14のモータ16の巻線−冷媒−密閉容器−車体−抵抗32−地絡ライン34−高電圧ライン12の巻線の経路で電流が流れて戻るため、駆動装置1側の各高電圧ライン11と12に流れる電流値には差は発生しない。従って、電流値差検出装置26の出力は図9に示すように零となる。
【0033】
即ち、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14まで(即ち、電流値差検出点から電動コンプレッサ14まで。以下、同じ。)の箇所以外の箇所で地絡が発生した場合、電流値差検出装置26が各高電圧ライン11、12を流れる電流値の差を検出して出力を発生する。また、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所で地絡が発生した場合には、各高電圧ライン11、12を流れる電流値に差が生じないため、電流値差検出装置26の出力は正常時と同じ零のままとなることが分かる。
【0034】
(2)地絡検知方法2
次に、図10は地絡ライン34の他端を車両用電動コンプレッサの駆動装置1の高電圧ライン12に接続した場合を示している。尚、図1の開閉装置8、電流値差検出装置26、制御装置17などは示していない。その代わりに、コンデンサ27、カレントトランス28を示す。前述したように正常状態においても電動コンプレッサ14からは冷媒及び密閉容器を介して車体に漏れ電流が流れているので、この漏れ電流は車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路でコンデンサ27に流れる。このコンデンサ27に流れる電流値Icはカレントトランス28により検出される。
【0035】
図11の左側は、スイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れる電流Icを示している。この状態でスイッチ33を閉じて駆動装置1の高電圧ライン12が地絡した状態を作り出すと、高電圧ライン12−地絡ライン34−抵抗32−車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路で流れる電流が、前述したコンデンサ27を流れる漏れ電流の値を減少させる方向で作用するため、電流値Icの振幅は図11の右側に示すように縮小する方向で変化することになる。
【0036】
次に、図12は地絡ライン34の他端を走行用の駆動装置5の高電圧ライン6に接続した場合を示している。前述同様に正常状態においても電動コンプレッサ14からは冷媒及び密閉容器を介して車体に漏れ電流が流れているので、この漏れ電流は車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路でコンデンサ27に流れる。このコンデンサ27に流れる電流値Icはカレントトランス28により検出される。
【0037】
図13の左側は、スイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れる電流Icを示している。この状態でスイッチ33を閉じて駆動装置5の高電圧ライン6が地絡した状態を作り出すと、高電圧ライン11−地絡ライン34−抵抗32−車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路で流れる電流が、前述したコンデンサ27を流れる漏れ電流の値を減少させる方向で作用するため、電流値Icは振幅は図13の右側に示すように縮小する方向で変化することになる。
【0038】
次に、図14は地絡ライン34の他端を電動コンプレッサ14のモータ16の巻線に接続した場合を示している。前述同様に正常状態においても電動コンプレッサ14からは冷媒及び密閉容器を介して車体に漏れ電流が流れているので、この漏れ電流は車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路でコンデンサ27に流れる。このコンデンサ27に流れる電流値Icはカレントトランス28により検出される。
【0039】
図13の左側は、スイッチング素子22のスイッチング周波数でプラスマイナスに大きく振れる電流Icを示している(図11、図13とはレンジが異なる)。この状態でスイッチ33を閉じて電動コンプレッサ14のモータ16の巻線が地絡した状態を作り出すと、モータ16−地絡ライン34−抵抗32−車体−コンデンサ27−高電圧ライン12の経路で流れる電流が、前述したコンデンサ27を流れる漏れ電流にプラスされるかたちとなるため、電流値Icは振幅は図15の右側に示すように増大する方向で変化することになる。
【0040】
即ち、何れの箇所で地絡が発生した場合にも、コンデンサ27に流れる電流値Icは変化することになる。
【0041】
(3)地絡判定制御
次に、上記地絡検知方法1及び2を利用した制御装置17の地絡判定制御について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。先ず、制御装置17は図16のステップS1で電流値差検出装置26の出力に基づき、前述したように駆動装置1の各高電圧ライン11、12を流れる電流値に差が生じているか否か判断する。差が生じていない場合には、ステップS5に進み、今度はカレントトランス28の出力に基づき、コンデンサ27に流れる電流値Icが変化したか否か判断する。そして、変化が無い場合にはステップS7に進み、制御装置17は回路に地絡は発生しておらず、正常状態であるものと判断する。
【0042】
一方、ステップS1で電流値差検出装置26の出力に基づき、各高電圧ライン11、12を流れる電流値に差が発生している場合、制御装置1はステップS2に進み、カレントトランス28の出力に基づき、コンデンサ27に流れる電流値Icが変化したか否か判断する。ここで、高電圧ライン11、12に電流値の差が生じているということは、前述したように駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所以外の箇所で地絡が発生していることである。そして、ステップS2でコンデンサ27の電流Icに変化があった場合は、何れかの箇所で地絡が発生していることであるから、制御装置17はステップS3に進み、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断する。
【0043】
また、ステップS5でカレントトランス28の出力に基づき、コンデンサ27に流れる電流値Icに変化があった場合、制御装置17はステップS6に進む。ここで、ステップS1で駆動装置1の高電圧ライン11、12に電流値の差が発生していないということは、正常であるか、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所で地絡が発生していることである。そして、ステップS5でコンデンサ27の電流値Icに変化があった場合には、何れかの箇所で地絡が発生しているということであるから、制御装置1はステップS6に進み、駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所で地絡が発生したものと判断する。
【0044】
そして、ステップS6及びステップS3で駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所、又は、それ以外の箇所で地絡が発生したものと判断した場合、制御装置17はステップS4に進み、例えば、車両側の制御装置(或いは、図示しないバッテリー2の制御装置)に地絡の発生を通知する。車両側の制御装置(或いはバッテリー2の制御装置)はこれを受けて開閉装置8を解裂(開放)し、バッテリー2から各高電圧ライン6、7、11、12を介した各インバータ4、13への給電を断つ(停止)。それによって、感電や機器(各モータ、インバータのスイッチング素子)の損傷、火災などの発生を防止する。
【0045】
尚、ステップS2でコンデンサ27の電流値Icに変化が無い場合、制御装置17はステップS8に進み、地絡検知のための各素子(電流値差検出装置26やカレントトランス23、24、28など)に不良が発生しているものと判断する。高電圧ライン11、12の電流値に差が発生した場合(駆動装置1の高電圧ライン11、12(但し、接続点P1、P2より後段)から電動コンプレッサ14までの箇所以外で地絡が発生)、コンデンサ27の電流値Icが変化しないことはあり得ないので、これは上記各素子又は制御装置17自体に異常が発生したことになるからである。
【0046】
尚、以上説明した実施例で示した各素子はそれに限定されるものでは無く、同様の機能を有するものと置き換えられることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を適用した一実施例の車両用電動コンプレッサの駆動装置を搭載した電気自動車の電気回路図である。
【図2】図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するための電気回路図である。
【図3】図2における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図4】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図5】図4における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図6】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図7】図6における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図8】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法1を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図9】図8における電流値差検出装置の出力を示す図である。
【図10】図1の電気回路において、地絡を検知する方法2を説明するための電気回路図である。
【図11】図10におけるコンデンサを流れる電流値を示す図である。
【図12】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法2を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図13】図12におけるコンデンサを流れる電流値を示す図である。
【図14】同じく図1の電気回路において、地絡を検知する方法2を説明するためのもう一つの電気回路図である。
【図15】図14におけるコンデンサを流れる電流値を示す図である。
【図16】図1の電気回路の制御装置の地絡判定制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用電動コンプレッサの駆動装置
2 バッテリー
3、16 モータ
8 開閉装置
6、7、11、12 高電圧ライン
4、13 インバータ
14 電動コンプレッサ
17 制御装置(制御手段)
21、22 スイッチング素子
23、24、28 カレントトランス(電流値検出手段)
26 電流値差検出装置(電流値差検出手段)
27 コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、該インバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、
前記バッテリーから前記インバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、
該電流値差検出手段の出力が入力される制御手段を備え、
該制御手段は、前記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生した場合、前記電流値差検出点から前記電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【請求項2】
車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、該インバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、
前記バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、
該コンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、
該電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、
該制御手段は、前記コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、地絡が発生したものと判断することを特徴とする車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【請求項3】
車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、該インバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、
前記バッテリーから前記インバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、
前記バッテリーから前記インバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、
該コンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、
前記電流値差検出手段及び電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、
該制御手段は、
前記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生し、且つ、前記コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、前記電流値差検出点から前記電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断し、
前記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生しておらず、且つ、前記コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、前記電流値差検出点から前記電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【請求項4】
前記制御手段は、地絡が発生したものと判断した場合、前記バッテリーからの給電を断つための動作を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、該インバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、
前記バッテリーから前記インバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、
該電流値差検出手段の出力が入力される制御手段を備え、
該制御手段は、前記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生した場合、前記電流値差検出点から前記電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【請求項2】
車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、該インバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、
前記バッテリーからインバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、
該コンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、
該電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、
該制御手段は、前記コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、地絡が発生したものと判断することを特徴とする車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【請求項3】
車両に搭載されたバッテリーより疑似交流出力を生成するインバータを備え、該インバータの出力により空調用の電動コンプレッサのモータを駆動する装置であって、
前記バッテリーから前記インバータに至る高電圧ラインを流れる電流値の差を検出するための電流値差検出手段と、
前記バッテリーから前記インバータに至る高電圧ラインと車体間に接続されたコンデンサ又は抵抗と、
該コンデンサ又は抵抗を流れる電流値を検出するための電流値検出手段と、
前記電流値差検出手段及び電流値検出手段の出力が入力される制御手段を備え、
該制御手段は、
前記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生し、且つ、前記コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、前記電流値差検出点から前記電動コンプレッサまでの箇所以外の箇所で地絡が発生したものと判断し、
前記高電圧ラインを流れる電流値に差が発生しておらず、且つ、前記コンデンサ又は抵抗に流れる電流値に変化が発生した場合、前記電流値差検出点から前記電動コンプレッサまでの箇所で地絡が発生したものと判断することを特徴とする車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【請求項4】
前記制御手段は、地絡が発生したものと判断した場合、前記バッテリーからの給電を断つための動作を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両用電動コンプレッサの駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−225528(P2009−225528A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66003(P2008−66003)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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