車載カメラ用フィルタ切換装置
【課題】新たなセンサ等の追加的な構成を設けることを必要とせずに、自動的に赤外線カットフィルタの切換えを行うことができる車載カメラ用フィルタ切換装置を提供する。
【解決手段】AGC回路(オートゲイン調整部)12により求められた増幅度が所定値以上である場合には、車両周辺が低照度であるとして撮像素子1とレンズ2との間から赤外線カットフィルタAを退避させ、増幅度が所定値未満である場合には、車両周辺が高照度であるとして撮像素子1とレンズ2との間に赤外線カットフィルタAを配置させることにより、車載カメラとの組合せで用いられる既存のAGC回路12が求める増幅度を用いて車両周辺が低照度であるか高照度であるかを判断し、この判断に基づいて赤外線カットフィルタAの切換えを行い、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく赤外線カットフィルタAの切換えを自動で行うものである。
【解決手段】AGC回路(オートゲイン調整部)12により求められた増幅度が所定値以上である場合には、車両周辺が低照度であるとして撮像素子1とレンズ2との間から赤外線カットフィルタAを退避させ、増幅度が所定値未満である場合には、車両周辺が高照度であるとして撮像素子1とレンズ2との間に赤外線カットフィルタAを配置させることにより、車載カメラとの組合せで用いられる既存のAGC回路12が求める増幅度を用いて車両周辺が低照度であるか高照度であるかを判断し、この判断に基づいて赤外線カットフィルタAの切換えを行い、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく赤外線カットフィルタAの切換えを自動で行うものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ用フィルタ切換装置に関し、詳細には、赤外線フィルタを使用する車載カメラ用フィルタ切換装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、鮮明な画像を得ることを目的として、ビデオカメラに赤外線カットフィルタを設けたものが知られている。このような技術によれば、昼間など十分な光量が得られる場合には撮像素子とレンズとの間に赤外線カットフィルタを配置して色再現性を確保し、一方、夜間時など十分な光量が得られない場合には撮像素子とレンズとの間から赤外線カットフィルタを退避させて撮像感度を上げることができる。
【0003】
そして、このような赤外線カットフィルタの出し入れの切換え操作は、周囲の光量等、環境の変化に応じて、使用者が手動で操作つまみを動かすことで行う(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−125852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に提案されている技術を車載カメラにそのまま適用すると、運転者が赤外線カットフィルタの切換え操作を行う必要があり、運転操作の妨げとなる虞がある。
【0006】
このため、車載カメラにおける赤外線カットフィルタの切換えは自動に行われることが望ましい。そこで、車両周辺の環境の変化を検出するセンサを用いることで自動的に赤外線カットフィルタを切換えるように構成することも可能であるが、この場合には新たにセンサ等の構成を追加することが必要となり、部品点数の増加やコストの上昇という問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることを必要とせずに、自動的に赤外線カットフィルタの切換えを行うことができる車載カメラ用フィルタ切換装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置は、オートゲイン調整部により求められた増幅度が所定値以上である場合には、車両周辺が低照度であるとして撮像素子とレンズとの間から赤外線カットフィルタを退避させ、増幅度が所定値未満である場合には、車両周辺が高照度であるとして撮像素子とレンズとの間に赤外線カットフィルタを配置させることにより、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることを必要とせずに、自動的に赤外線カットフィルタの切換えを行うものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置は、撮像素子と、前記撮像素子に像を結像させるレンズと、1又は2以上のフィルタを同一平面上に設けた支持板と、前記支持板に設けられた前記フィルタのうち1つを選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置させるように前記支持板を駆動させる駆動部と、前記駆動部の駆動制御を行う駆動制御回路と、前記撮像素子からの出力信号の変換を行う信号変換部と、前記信号変換部に設けられ、前記信号変換部に入力された信号のゲインの調整を行うオートゲイン調整部と、を有し、前記フィルタのうち1つは赤外線カットフィルタであり、前記駆動制御回路は、前記オートゲイン調整部により求められた増幅度が所定値以上である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記赤外線カットフィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記増幅度が所定値未満である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記赤外線カットフィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行うことを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、車載カメラとの組合せで用いられる既存のオートゲイン調整部が求める増幅度を用いて車両周辺が低照度であるか高照度であるかを判断し、この判断に基づいて赤外線カットフィルタの切換えを行うため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく赤外線カットフィルタの切換えを自動で行うことができる。
【0011】
また、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記撮像素子の露光時間が適正となるように前記撮像素子の電子シャッタ機能を制御するタイミングジェネレータを備え、前記フィルタのうち1つは減光フィルタであり、前記駆動制御回路は、前記電子シャッタ機能のシャッタスピードが所定値より速い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記減光フィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記シャッタスピードが前記所定値より遅い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記減光フィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行う構成とすることが好ましい。
【0012】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、車両周辺の照度が特に高い場合には、減光フィルタが撮像素子とレンズとの間に配置されて光量が減衰されるため、スミア現象やブルーミングを防ぐことができ、一方、車両周辺がスミア現象やブルーミングが生じる虞がない程度の照度時には、減光フィルタが撮像素子とレンズとの間から退避されて、撮像素子に到達する光量が減衰されないため、撮像感度を上げることができる。
【0013】
さらに、照度が特に高い状況であるか否かの判断は、シャッタスピードに基づいて行うため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく減光フィルタの切換えを自動で行うことができる。
【0014】
そして、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記支持板は円板状に形成され、前記フィルタは前記支持板の中心と同心の円周上に配列され、前記支持板の中心に設けられた中心軸は前記レンズの光軸から偏位した箇所に配置され、前記支持板が前記中心軸を中心として回転することにより、前記フィルタのうち1つが選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置される構成とすることが好ましい。
【0015】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、支持板を回転させることでフィルタの切換えを行うため、複数のフィルタを設けている場合であってもスムーズに切換えることができる。
【0016】
また、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記駆動部はウォームギアであり、前記ウォームギアと噛み合うウォームホイールが前記支持板の外周に形成されている構成とすることが好ましい。
【0017】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、ウォームギアとウォームホイールとが噛み合うことで支持板の回転が制御されているため、車両の振動等により支持板が不用意に回転することを防ぐことができる。
【0018】
さらに、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記支持板は、前記フィルタが設けられた同一円周上に前記フィルタの屈折率と略同一の屈折率を有するように処理された屈折率補正部を有し、前記駆動制御回路は、1又は2以上の前記フィルタのいずれもが前記レンズの光軸上から外れる場合、前記屈折率補正部が前記レンズの光軸上に位置するように前記駆動部の駆動制御を行なう構成とすることが好ましい。
【0019】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、1又は2以上のフィルタのいずれもが光軸上から外れている場合であっても、屈折率補正部により、フィルタが光軸上に配置されている場合と略同一の屈折率が得られるため、フィルタが光軸上に配置されているか否かによって屈折率が異なることを防止することができる。
【0020】
そして、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記フィルタは、前記支持板上に蒸着を施すことにより形成されている構成とすることが好ましい。
【0021】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、支持板上に直接、多層の膜を重ね合わせてフィルタを設けるため、フィルタの特性を確保し、かつ、厚みを薄くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることを必要とせずに、自動的に赤外線カットフィルタの切換えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の車載カメラ用フィルタ切換装置100の構成を示すブロック構成図である。
【図2】車載カメラ用フィルタ切換装置100の機構を示す断面図である。
【図3】図2のE−E線断面図である。
【図4】支持板3と開口部Dとの位置関係を示す分解図である。
【図5】赤外線カットフィルタA、減光フィルタB、および屈折率補正部Cの光の透過特性を示したグラフである。
【図6】フィルタ切換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】図6のステップS3の夜間制御の流れを説明するフローチャートである。
【図8】図6のステップS4の昼間制御の流れを説明するフローチャートである。
【図9】実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200のフィルタ切換作用を示すフローチャートである。
【図10】駆動部としてモータを用いた変形例を示す断面図である。
【図11】図10の支持板3と開口部Dとの位置関係を示す分解図である。
【図12】支持板3に赤外線カットフィルタAおよび屈折率補正部Cのみを設けた変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
以下、図1〜図5に基づいて本発明の最良の実施形態としての実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100について説明する。
[全体の構成]
図1は実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100の構成を示すブロック構成図である。
【0025】
車載カメラ用フィルタ切換装置100は、図1に示すように、撮像素子1と、撮像素子1に像を結像させるレンズ2と、撮像素子1とレンズ2との間に設けられた支持板3と、支持板3を駆動させる駆動部4と、駆動部4の駆動制御を行う駆動制御回路5と、撮像素子1からの出力信号の変換を行う信号変換部6と、信号変換部6からの画像データを所要の処理を施して出力する信号処理部7と、日の出時刻および日の入時刻が入力されており、さらに現在の時刻を得るタイマ8と、信号処理部7からの画像データをディスプレイ等の画面に表示するモニタ9と、撮像素子1の露光時間が適正となるように撮像素子1の電子シャッタ機能を制御するタイミングジェネレータ(TG)10と、を備えている。
【0026】
また、信号変換部6は、CDS回路11と、AGC回路(オートゲイン調整部)12と、A/D変換回路13と、を有しており、CDS回路11は信号変換部6に入力された出力信号に基づきサンプリング処理を行い、AGC回路12はそのサンプリング処理された信号のオートゲイン調整を行い、A/D変換回路13はその信号を画像データに変換する。
[レンズ、支持板、撮像素子および駆動部の機構]
図2は車載カメラ用フィルタ切換装置100の機構を示す断面図であり、図3は図2のE−E線断面図であり、図4は支持板3と開口部Dとの位置関係を示す分解図であり、図5は赤外線カットフィルタ(IRCF)A、減光フィルタ(NDF)Bおよび屈折率補正部Cの光の透過特性を示したグラフである。
【0027】
撮像素子1は、図2に示すように、基板20に接着して固定され、この撮像素子1を覆うようにフランジ14が設けられている。
【0028】
レンズ2は、図2に示すように、レンズ鏡筒15の内部に具備され、レンズ鏡筒15に設けられたネジ部15aとフランジ14に設けられたネジ部14aとが螺合することにより、レンズ2およびレンズ鏡筒15がフランジ14に固定される。
【0029】
支持板3は、図3に示すように、円板状に形成されており、その外周にはウォームホイール16が形成されている。フランジ14の内部には図2に示すように、駆動部4としてのウォームギア(以下、「ウォームギア4」とする)が設けられており、このウォームギア4とウォームホイール16とが噛み合うように、かつ、支持板3が中心軸Oを中心として回転可能に配置されている。
【0030】
そして、支持板3には、図3および図4(a)に示すように、同一半径を有する円形の赤外線カットフィルタAと、減光フィルタBと、屈折率補正部Cと、が同一平面上に設けられている。また、これら赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cは、円形状である支持板3の中心軸Oと同心の円周上に配列されている。
【0031】
さらに、フランジ14の内部には、図2に示すように、レンズ2からの光を撮像素子1に到達させるための円形の開口部Dが設けられており、支持板3に設けられた赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cのうち1つが選択的に撮像素子1とレンズ2との間に配置された場合に、この選択された1つが開口部Dに重なるように形成されている。
【0032】
赤外線カットフィルタAは、図5に示すように、赤外線領域(約700nm〜約1000nm)の光の透過を遮る特性を有しており、減光フィルタBは、光量を減衰させる特性を有している。これらの赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBは、透明な樹脂材料で形成された支持板3上に蒸着を施すことにより形成されている。
【0033】
また、屈折率補正部Cは、支持板3を形成する樹脂材料の一部に、例えば、厚みを調整する等の処理を行い、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBの屈折率と略同一の屈折率を有するように形成されている。そして、この屈折率補正部Cは、図5に示すように、広い波長領域の光を高い透過率で透過させる。
【0034】
次に、車載カメラ用フィルタ切換装置100によるフィルタ切換作用を説明する。
【0035】
図6は、フィルタ切換処理の流れを説明するフローチャートであり、図7は、図6のステップS3の夜間制御の流れを説明するフローチャートであり、図8は、図6のステップS4の昼間制御の流れを説明するフローチャートである。
[フィルタ切換処理の流れ]
車載カメラ用フィルタ切換装置100が起動されると、図6に示すように、タイマ8から現在時刻、日の出時刻および日の入時刻が駆動制御回路5に入力される(ステップS1)。
【0036】
そして、駆動制御回路5は、入力された日の出時刻および日の入時刻を基準として、1日24時間を夜の時間帯と昼の時間帯とに分け、入力された現在時刻に基づいて、現在が夜の時間帯であるか否かの判断を行う(ステップS2)。
【0037】
現在が夜の時間帯であると判断された場合には夜間制御に移行し(ステップS3)、一方、現在が夜の時間帯ではない(昼の時間帯である)と判断された場合には昼間制御に移行する(ステップS4)。
[夜間制御]
夜間制御に移行すると、図7に示すように、初期設定が行われ、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されるように、ウォームギア4が支持板3を駆動させる(ステップS5)。
【0038】
その後、駆動制御回路5がAGC回路12が求めた増幅度(AGCゲイン)を取得し(ステップS6)、この増幅度が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS7)。この所定値とは、赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行うための閾値として予め設定されている。
【0039】
増幅度が所定値未満である場合には高照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS6、S7を繰り返す。
【0040】
一方、増幅度が所定値以上である場合には低照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるために駆動部4が支持板3を駆動させ、屈折率補正部Cが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS8)。
【0041】
そして、ウォームギア4の回転数等に基づき、赤外線カットフィルタAが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS9)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS8、S9を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS10)。
【0042】
さらに、ステップS6と同様に、駆動制御回路5がAGC回路12が求めた増幅度を取得し(ステップS11)、この増幅度が所定値未満であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0043】
増幅度が所定値以上のままである場合には、屈折率補正部Cが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS11、S12を繰り返す。
【0044】
一方、増幅度が所定値未満となった場合には高照度時になったものと判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されるようにウォームギア4が支持板3の駆動の制御を行う(ステップS13)。
【0045】
また、ステップS9と同様に、ウォームギア4の回転数等に基づいて、赤外線カットフィルタAが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS14)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS13、S14を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されると駆動部4の駆動が停止される(ステップS15)。
[昼間制御]
昼間制御に移行すると、図8に示すように、初期設定が行われ、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS16)。
【0046】
その後、駆動制御回路5がタイミングジェネレータ10により制御された撮像素子1の露光時間(シャッタスピード)を取得し(ステップS17)、このシャッタスピードが所定値より速いか否かを判断する(ステップS18)。この所定値とは、赤外線カットフィルタAと減光フィルタBとの切換えを行うための閾値として予め設定されている。
【0047】
シャッタスピードが所定値より遅い場合には、赤外線カットフィルタAにより対応可能であり、スミア現象やブルーミングが生じる虞が少ない程度の照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS17、S18を繰り返す。
【0048】
一方、シャッタスピードが所定値より速い場合には、スミア現象やブルーミングが生じる虞がある程、照度が特に高い状況であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるために駆動部4が支持板3の駆動を行い、光量を減衰させるための減光フィルタBが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS19)。
【0049】
そして、ウォームギア4の回転数等に基づいて、減光フィルタBが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS20)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS20、S21を繰り返し、減光フィルタBが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS21)。
【0050】
さらに、ステップS17と同様に、駆動制御回路5がシャッタスピードを取得し(ステップS22)、このシャッタスピードが所定値より遅いか否かを判断する(ステップS23)。
【0051】
シャッタスピードが所定値より遅い状態のままである場合には、減光フィルタBが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS22、S23を繰り返す。
【0052】
一方、シャッタスピードが所定値より速くなった場合には、減光フィルタBから赤外線カットフィルタAに切換えられる(ステップS24)。
【0053】
また、ウォームギア4の回転数等に基づいて、赤外線カットフィルタAが所定の位置となっているか否かの判断が行われ(ステップS25)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS24、S25を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されると駆動部4の駆動が停止される(ステップS26)。
【0054】
このように、夜間ではAGC回路12が求めた増幅度の値に基づいて赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行い、昼間ではタイミングジェネレータ10により制御された撮像素子1の露光時間(シャッタスピード)に基づいて赤外線カットフィルタAと減光フィルタBとの切換えを行う。
【0055】
次に、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100による効果を説明する。
【0056】
このように構成された実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、車載カメラとの組合せで用いられる既存のAGC回路12により求められた増幅度が所定値以上である場合には、撮像素子1とレンズ2との間から赤外線カットフィルタAが退避され、増幅度が所定値未満である場合には、撮像素子1とレンズ2との間に赤外線カットフィルタAが配置されるため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく赤外線カットフィルタAの切換えを自動で行うことができる。
【0057】
また、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、電子シャッタ機能のシャッタスピードが所定値よりも速い場合には、撮像素子1とレンズ2との間に減光フィルタBが配置され、シャッタスピードが所定値より遅い場合には、撮像素子1とレンズ2との間から減光フィルタBが退避されるため、特に照度が高い場合であっても減光フィルタBにより光量が減衰されるためスミア現象やブルーミングを防ぐことができ、一方、スミア現象やブルーミングが生じる虞がない程度の照度時には減光フィルタBが退避されることにより、撮像素子1に到達する光量が減衰されないため、撮像感度を上げることができる。
【0058】
さらに、照度が特に高い状況であるか否かの判断は、シャッタスピードに基づいて行うため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく減光フィルタBの切換えを自動で行うことができる。
【0059】
そして、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、支持板3は円板状に形成され、赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cは支持板3の中心と同心の円周上に配列され、レンズ2の光軸から偏位した箇所に配置された中心軸Oを中心として支持板3が回転することにより、フィルタのうち1つが選択的に撮像素子1とレンズ2との間に配置されるため、複数のフィルタを設けている場合であってもスムーズに切換えることができる。
【0060】
また、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、ウォームギア4と噛み合うウォームホイール16が支持板3の外周に形成されているため、ウォームギア4とウォームホイール16とが噛み合い、車両の振動等により支持板3が不用意に回転することを防ぐことができる。
【0061】
さらに、このように構成された実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、支持板3は、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBが設けられた同一円周上に赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBの屈折率と略同一の屈折率を有するように処理された屈折率補正部Cを有し、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBのいずれもがレンズ2の光軸上から外れる場合、屈折率補正部Cがレンズ2の光軸上に位置するため、赤外線カットフィルタAや減光フィルタBが光軸上の配置されているか否かによって屈折率が異なることを防止することができる。
【0062】
そして、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBは、透明な樹脂材料で形成された支持板3上に蒸着を施すことにより形成されているため、フィルタの特性を確保し、かつ、厚みを薄くすることができる。
【実施例2】
【0063】
次に、本発明の最良の実施形態としての実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200について説明する。
【0064】
実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200の構成は、図1〜図5に示す実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100の構成と同様であるため、説明を省略し、各構成の符号は実施例1と同じ符号を用いて説明する。
【0065】
実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200は、現在時刻に拘わらずフィルタ切換作用を行うものである。
【0066】
図9は、実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200のフィルタ切換作用を示すフローチャートであり、この図9に基づいて実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200のフィルタ切換作用を説明する。
[フィルタ切換処理の流れ]
車載カメラ用フィルタ切換装置200が起動されると、図9に示すように、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されるように、ウォームギア4が支持板3を駆動する初期設定が行われる(ステップS27)。
【0067】
その後、駆動制御回路5が、AGC回路12が求めた増幅度(AGCゲイン)およびタイミングジェネレータ10により制御された撮像素子1の露光時間(シャッタスピード)を取得する(ステップS28、S29)。
【0068】
さらに、駆動制御回路5は、取得した増幅度が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS30)。増幅度が所定値未満である場合には高照度時であると判断し、ステップS34に移行する。
【0069】
一方、増幅度が所定値以上である場合には低照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるためにウォームギア4が支持板3の駆動を行い、屈折率補正部Cが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS31)。
【0070】
ウォームギア4の回転数等に基づいて、赤外線カットフィルタAが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS32)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS31、S32を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS33)。
【0071】
また、ステップS34に移行した場合には、駆動制御回路5が、取得したシャッタスピードが所定値より速いか否かを判断する(ステップS34)。
【0072】
シャッタスピードが所定値よりも遅い場合には、赤外線カットフィルタAにより対応可能な程度の照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS28から再び処理を繰り返す。
【0073】
一方、シャッタスピードが所定値よりも速い場合には、スミア現象やブルーミングが生じる虞がある程、照度が特に高い状況であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるためにウォームギア4が支持板3の駆動を行い、減光フィルタBが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS35)。
【0074】
ウォームギア4の回転数等に基づいて、減光フィルタBが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS36)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS35、S36を繰り返し、減光フィルタBが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS37)。
【0075】
なお、昼間制御において赤外線カットフィルタAと減光フィルタBとの切換えを行うための閾値であるシャッタスピードの所定値は、夜間制御において赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行うための閾値である増幅度の所定値と比較し、照度が高い方に設定されている。
【0076】
すなわち、照度が特に高い場合には減光フィルタBが、スミア現象等が生じる虞は少ない程度の高照度時には赤外線カットフィルタAが、低照度時には屈折率補正部Cが、それぞれ選択的に撮像素子1とレンズ2との間に配置される。
【0077】
次に、実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置200による効果を説明する。
【0078】
このように構成された実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置200によれば、実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100による効果に加えて、現在時刻に拘わらずフィルタ切換作用を行うため、日の出時刻および日の入時刻が入力されているタイマ8を備えていない場合であっても照度に適したフィルタの切換えを行うことができる。
【0079】
なお、実施例1および実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100、200によれば、駆動部4としてウォームギアが用いられ、支持板3の外周にウォームホイール16が形成されている場合について説明したが、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、図10および図11に示すように、駆動部4としてモータを用いることも可能である。
【0080】
このような構成によれば、支持板3の外周にウォームホイール16を形成することを必要としないため、製造コストを低減させることができる。
【0081】
また、実施例1および実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100、200によれば、支持板3に赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cが設けられている場合について説明したが、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、減光フィルタBを備えず、赤外線カットフィルタAおよび屈折率補正部Cのみを設ける構成とすることも可能である。
【0082】
このような構成によれば、赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えのみを行うため、図12に示すように、支持板3を扇形に形成し、支持板3の外周の一部に設けられたストッパ係合部17とストッパ18とが係合する位置まで、中心軸Oを中心として支持板3を回転させることにより、赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行うことができる。
【0083】
このため、赤外線カットフィルタAが所定位置に配置されているか否かの判断を行うことを必要とせずに、簡単な構成で赤外線カットフィルタAの切換えを行うことができる。
【0084】
以上、本発明の車載カメラ用フィルタ切換装置を実施例1および実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0085】
1 撮像素子
2 レンズ
3 支持板
4 駆動部(ウォームギア)
5 駆動制御回路
6 信号変換部
7 信号処理部
8 タイマ
9 モニタ
10 タイミングジェネレータ
11 CDS回路
12 AGC回路
13 A/D変換回路
100 車載カメラ用フィルタ切換装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ用フィルタ切換装置に関し、詳細には、赤外線フィルタを使用する車載カメラ用フィルタ切換装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、鮮明な画像を得ることを目的として、ビデオカメラに赤外線カットフィルタを設けたものが知られている。このような技術によれば、昼間など十分な光量が得られる場合には撮像素子とレンズとの間に赤外線カットフィルタを配置して色再現性を確保し、一方、夜間時など十分な光量が得られない場合には撮像素子とレンズとの間から赤外線カットフィルタを退避させて撮像感度を上げることができる。
【0003】
そして、このような赤外線カットフィルタの出し入れの切換え操作は、周囲の光量等、環境の変化に応じて、使用者が手動で操作つまみを動かすことで行う(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−125852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に提案されている技術を車載カメラにそのまま適用すると、運転者が赤外線カットフィルタの切換え操作を行う必要があり、運転操作の妨げとなる虞がある。
【0006】
このため、車載カメラにおける赤外線カットフィルタの切換えは自動に行われることが望ましい。そこで、車両周辺の環境の変化を検出するセンサを用いることで自動的に赤外線カットフィルタを切換えるように構成することも可能であるが、この場合には新たにセンサ等の構成を追加することが必要となり、部品点数の増加やコストの上昇という問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることを必要とせずに、自動的に赤外線カットフィルタの切換えを行うことができる車載カメラ用フィルタ切換装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置は、オートゲイン調整部により求められた増幅度が所定値以上である場合には、車両周辺が低照度であるとして撮像素子とレンズとの間から赤外線カットフィルタを退避させ、増幅度が所定値未満である場合には、車両周辺が高照度であるとして撮像素子とレンズとの間に赤外線カットフィルタを配置させることにより、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることを必要とせずに、自動的に赤外線カットフィルタの切換えを行うものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置は、撮像素子と、前記撮像素子に像を結像させるレンズと、1又は2以上のフィルタを同一平面上に設けた支持板と、前記支持板に設けられた前記フィルタのうち1つを選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置させるように前記支持板を駆動させる駆動部と、前記駆動部の駆動制御を行う駆動制御回路と、前記撮像素子からの出力信号の変換を行う信号変換部と、前記信号変換部に設けられ、前記信号変換部に入力された信号のゲインの調整を行うオートゲイン調整部と、を有し、前記フィルタのうち1つは赤外線カットフィルタであり、前記駆動制御回路は、前記オートゲイン調整部により求められた増幅度が所定値以上である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記赤外線カットフィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記増幅度が所定値未満である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記赤外線カットフィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行うことを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、車載カメラとの組合せで用いられる既存のオートゲイン調整部が求める増幅度を用いて車両周辺が低照度であるか高照度であるかを判断し、この判断に基づいて赤外線カットフィルタの切換えを行うため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく赤外線カットフィルタの切換えを自動で行うことができる。
【0011】
また、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記撮像素子の露光時間が適正となるように前記撮像素子の電子シャッタ機能を制御するタイミングジェネレータを備え、前記フィルタのうち1つは減光フィルタであり、前記駆動制御回路は、前記電子シャッタ機能のシャッタスピードが所定値より速い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記減光フィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記シャッタスピードが前記所定値より遅い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記減光フィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行う構成とすることが好ましい。
【0012】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、車両周辺の照度が特に高い場合には、減光フィルタが撮像素子とレンズとの間に配置されて光量が減衰されるため、スミア現象やブルーミングを防ぐことができ、一方、車両周辺がスミア現象やブルーミングが生じる虞がない程度の照度時には、減光フィルタが撮像素子とレンズとの間から退避されて、撮像素子に到達する光量が減衰されないため、撮像感度を上げることができる。
【0013】
さらに、照度が特に高い状況であるか否かの判断は、シャッタスピードに基づいて行うため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく減光フィルタの切換えを自動で行うことができる。
【0014】
そして、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記支持板は円板状に形成され、前記フィルタは前記支持板の中心と同心の円周上に配列され、前記支持板の中心に設けられた中心軸は前記レンズの光軸から偏位した箇所に配置され、前記支持板が前記中心軸を中心として回転することにより、前記フィルタのうち1つが選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置される構成とすることが好ましい。
【0015】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、支持板を回転させることでフィルタの切換えを行うため、複数のフィルタを設けている場合であってもスムーズに切換えることができる。
【0016】
また、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記駆動部はウォームギアであり、前記ウォームギアと噛み合うウォームホイールが前記支持板の外周に形成されている構成とすることが好ましい。
【0017】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、ウォームギアとウォームホイールとが噛み合うことで支持板の回転が制御されているため、車両の振動等により支持板が不用意に回転することを防ぐことができる。
【0018】
さらに、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記支持板は、前記フィルタが設けられた同一円周上に前記フィルタの屈折率と略同一の屈折率を有するように処理された屈折率補正部を有し、前記駆動制御回路は、1又は2以上の前記フィルタのいずれもが前記レンズの光軸上から外れる場合、前記屈折率補正部が前記レンズの光軸上に位置するように前記駆動部の駆動制御を行なう構成とすることが好ましい。
【0019】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、1又は2以上のフィルタのいずれもが光軸上から外れている場合であっても、屈折率補正部により、フィルタが光軸上に配置されている場合と略同一の屈折率が得られるため、フィルタが光軸上に配置されているか否かによって屈折率が異なることを防止することができる。
【0020】
そして、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置においては、前記フィルタは、前記支持板上に蒸着を施すことにより形成されている構成とすることが好ましい。
【0021】
このように構成された本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、支持板上に直接、多層の膜を重ね合わせてフィルタを設けるため、フィルタの特性を確保し、かつ、厚みを薄くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置によれば、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることを必要とせずに、自動的に赤外線カットフィルタの切換えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の車載カメラ用フィルタ切換装置100の構成を示すブロック構成図である。
【図2】車載カメラ用フィルタ切換装置100の機構を示す断面図である。
【図3】図2のE−E線断面図である。
【図4】支持板3と開口部Dとの位置関係を示す分解図である。
【図5】赤外線カットフィルタA、減光フィルタB、および屈折率補正部Cの光の透過特性を示したグラフである。
【図6】フィルタ切換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】図6のステップS3の夜間制御の流れを説明するフローチャートである。
【図8】図6のステップS4の昼間制御の流れを説明するフローチャートである。
【図9】実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200のフィルタ切換作用を示すフローチャートである。
【図10】駆動部としてモータを用いた変形例を示す断面図である。
【図11】図10の支持板3と開口部Dとの位置関係を示す分解図である。
【図12】支持板3に赤外線カットフィルタAおよび屈折率補正部Cのみを設けた変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
以下、図1〜図5に基づいて本発明の最良の実施形態としての実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100について説明する。
[全体の構成]
図1は実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100の構成を示すブロック構成図である。
【0025】
車載カメラ用フィルタ切換装置100は、図1に示すように、撮像素子1と、撮像素子1に像を結像させるレンズ2と、撮像素子1とレンズ2との間に設けられた支持板3と、支持板3を駆動させる駆動部4と、駆動部4の駆動制御を行う駆動制御回路5と、撮像素子1からの出力信号の変換を行う信号変換部6と、信号変換部6からの画像データを所要の処理を施して出力する信号処理部7と、日の出時刻および日の入時刻が入力されており、さらに現在の時刻を得るタイマ8と、信号処理部7からの画像データをディスプレイ等の画面に表示するモニタ9と、撮像素子1の露光時間が適正となるように撮像素子1の電子シャッタ機能を制御するタイミングジェネレータ(TG)10と、を備えている。
【0026】
また、信号変換部6は、CDS回路11と、AGC回路(オートゲイン調整部)12と、A/D変換回路13と、を有しており、CDS回路11は信号変換部6に入力された出力信号に基づきサンプリング処理を行い、AGC回路12はそのサンプリング処理された信号のオートゲイン調整を行い、A/D変換回路13はその信号を画像データに変換する。
[レンズ、支持板、撮像素子および駆動部の機構]
図2は車載カメラ用フィルタ切換装置100の機構を示す断面図であり、図3は図2のE−E線断面図であり、図4は支持板3と開口部Dとの位置関係を示す分解図であり、図5は赤外線カットフィルタ(IRCF)A、減光フィルタ(NDF)Bおよび屈折率補正部Cの光の透過特性を示したグラフである。
【0027】
撮像素子1は、図2に示すように、基板20に接着して固定され、この撮像素子1を覆うようにフランジ14が設けられている。
【0028】
レンズ2は、図2に示すように、レンズ鏡筒15の内部に具備され、レンズ鏡筒15に設けられたネジ部15aとフランジ14に設けられたネジ部14aとが螺合することにより、レンズ2およびレンズ鏡筒15がフランジ14に固定される。
【0029】
支持板3は、図3に示すように、円板状に形成されており、その外周にはウォームホイール16が形成されている。フランジ14の内部には図2に示すように、駆動部4としてのウォームギア(以下、「ウォームギア4」とする)が設けられており、このウォームギア4とウォームホイール16とが噛み合うように、かつ、支持板3が中心軸Oを中心として回転可能に配置されている。
【0030】
そして、支持板3には、図3および図4(a)に示すように、同一半径を有する円形の赤外線カットフィルタAと、減光フィルタBと、屈折率補正部Cと、が同一平面上に設けられている。また、これら赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cは、円形状である支持板3の中心軸Oと同心の円周上に配列されている。
【0031】
さらに、フランジ14の内部には、図2に示すように、レンズ2からの光を撮像素子1に到達させるための円形の開口部Dが設けられており、支持板3に設けられた赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cのうち1つが選択的に撮像素子1とレンズ2との間に配置された場合に、この選択された1つが開口部Dに重なるように形成されている。
【0032】
赤外線カットフィルタAは、図5に示すように、赤外線領域(約700nm〜約1000nm)の光の透過を遮る特性を有しており、減光フィルタBは、光量を減衰させる特性を有している。これらの赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBは、透明な樹脂材料で形成された支持板3上に蒸着を施すことにより形成されている。
【0033】
また、屈折率補正部Cは、支持板3を形成する樹脂材料の一部に、例えば、厚みを調整する等の処理を行い、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBの屈折率と略同一の屈折率を有するように形成されている。そして、この屈折率補正部Cは、図5に示すように、広い波長領域の光を高い透過率で透過させる。
【0034】
次に、車載カメラ用フィルタ切換装置100によるフィルタ切換作用を説明する。
【0035】
図6は、フィルタ切換処理の流れを説明するフローチャートであり、図7は、図6のステップS3の夜間制御の流れを説明するフローチャートであり、図8は、図6のステップS4の昼間制御の流れを説明するフローチャートである。
[フィルタ切換処理の流れ]
車載カメラ用フィルタ切換装置100が起動されると、図6に示すように、タイマ8から現在時刻、日の出時刻および日の入時刻が駆動制御回路5に入力される(ステップS1)。
【0036】
そして、駆動制御回路5は、入力された日の出時刻および日の入時刻を基準として、1日24時間を夜の時間帯と昼の時間帯とに分け、入力された現在時刻に基づいて、現在が夜の時間帯であるか否かの判断を行う(ステップS2)。
【0037】
現在が夜の時間帯であると判断された場合には夜間制御に移行し(ステップS3)、一方、現在が夜の時間帯ではない(昼の時間帯である)と判断された場合には昼間制御に移行する(ステップS4)。
[夜間制御]
夜間制御に移行すると、図7に示すように、初期設定が行われ、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されるように、ウォームギア4が支持板3を駆動させる(ステップS5)。
【0038】
その後、駆動制御回路5がAGC回路12が求めた増幅度(AGCゲイン)を取得し(ステップS6)、この増幅度が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS7)。この所定値とは、赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行うための閾値として予め設定されている。
【0039】
増幅度が所定値未満である場合には高照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS6、S7を繰り返す。
【0040】
一方、増幅度が所定値以上である場合には低照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるために駆動部4が支持板3を駆動させ、屈折率補正部Cが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS8)。
【0041】
そして、ウォームギア4の回転数等に基づき、赤外線カットフィルタAが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS9)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS8、S9を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS10)。
【0042】
さらに、ステップS6と同様に、駆動制御回路5がAGC回路12が求めた増幅度を取得し(ステップS11)、この増幅度が所定値未満であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0043】
増幅度が所定値以上のままである場合には、屈折率補正部Cが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS11、S12を繰り返す。
【0044】
一方、増幅度が所定値未満となった場合には高照度時になったものと判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されるようにウォームギア4が支持板3の駆動の制御を行う(ステップS13)。
【0045】
また、ステップS9と同様に、ウォームギア4の回転数等に基づいて、赤外線カットフィルタAが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS14)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS13、S14を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されると駆動部4の駆動が停止される(ステップS15)。
[昼間制御]
昼間制御に移行すると、図8に示すように、初期設定が行われ、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS16)。
【0046】
その後、駆動制御回路5がタイミングジェネレータ10により制御された撮像素子1の露光時間(シャッタスピード)を取得し(ステップS17)、このシャッタスピードが所定値より速いか否かを判断する(ステップS18)。この所定値とは、赤外線カットフィルタAと減光フィルタBとの切換えを行うための閾値として予め設定されている。
【0047】
シャッタスピードが所定値より遅い場合には、赤外線カットフィルタAにより対応可能であり、スミア現象やブルーミングが生じる虞が少ない程度の照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS17、S18を繰り返す。
【0048】
一方、シャッタスピードが所定値より速い場合には、スミア現象やブルーミングが生じる虞がある程、照度が特に高い状況であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるために駆動部4が支持板3の駆動を行い、光量を減衰させるための減光フィルタBが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS19)。
【0049】
そして、ウォームギア4の回転数等に基づいて、減光フィルタBが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS20)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS20、S21を繰り返し、減光フィルタBが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS21)。
【0050】
さらに、ステップS17と同様に、駆動制御回路5がシャッタスピードを取得し(ステップS22)、このシャッタスピードが所定値より遅いか否かを判断する(ステップS23)。
【0051】
シャッタスピードが所定値より遅い状態のままである場合には、減光フィルタBが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS22、S23を繰り返す。
【0052】
一方、シャッタスピードが所定値より速くなった場合には、減光フィルタBから赤外線カットフィルタAに切換えられる(ステップS24)。
【0053】
また、ウォームギア4の回転数等に基づいて、赤外線カットフィルタAが所定の位置となっているか否かの判断が行われ(ステップS25)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS24、S25を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されると駆動部4の駆動が停止される(ステップS26)。
【0054】
このように、夜間ではAGC回路12が求めた増幅度の値に基づいて赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行い、昼間ではタイミングジェネレータ10により制御された撮像素子1の露光時間(シャッタスピード)に基づいて赤外線カットフィルタAと減光フィルタBとの切換えを行う。
【0055】
次に、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100による効果を説明する。
【0056】
このように構成された実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、車載カメラとの組合せで用いられる既存のAGC回路12により求められた増幅度が所定値以上である場合には、撮像素子1とレンズ2との間から赤外線カットフィルタAが退避され、増幅度が所定値未満である場合には、撮像素子1とレンズ2との間に赤外線カットフィルタAが配置されるため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく赤外線カットフィルタAの切換えを自動で行うことができる。
【0057】
また、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、電子シャッタ機能のシャッタスピードが所定値よりも速い場合には、撮像素子1とレンズ2との間に減光フィルタBが配置され、シャッタスピードが所定値より遅い場合には、撮像素子1とレンズ2との間から減光フィルタBが退避されるため、特に照度が高い場合であっても減光フィルタBにより光量が減衰されるためスミア現象やブルーミングを防ぐことができ、一方、スミア現象やブルーミングが生じる虞がない程度の照度時には減光フィルタBが退避されることにより、撮像素子1に到達する光量が減衰されないため、撮像感度を上げることができる。
【0058】
さらに、照度が特に高い状況であるか否かの判断は、シャッタスピードに基づいて行うため、新たなセンサ等の追加的な構成を設けることなく減光フィルタBの切換えを自動で行うことができる。
【0059】
そして、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、支持板3は円板状に形成され、赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cは支持板3の中心と同心の円周上に配列され、レンズ2の光軸から偏位した箇所に配置された中心軸Oを中心として支持板3が回転することにより、フィルタのうち1つが選択的に撮像素子1とレンズ2との間に配置されるため、複数のフィルタを設けている場合であってもスムーズに切換えることができる。
【0060】
また、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、ウォームギア4と噛み合うウォームホイール16が支持板3の外周に形成されているため、ウォームギア4とウォームホイール16とが噛み合い、車両の振動等により支持板3が不用意に回転することを防ぐことができる。
【0061】
さらに、このように構成された実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、支持板3は、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBが設けられた同一円周上に赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBの屈折率と略同一の屈折率を有するように処理された屈折率補正部Cを有し、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBのいずれもがレンズ2の光軸上から外れる場合、屈折率補正部Cがレンズ2の光軸上に位置するため、赤外線カットフィルタAや減光フィルタBが光軸上の配置されているか否かによって屈折率が異なることを防止することができる。
【0062】
そして、実施例1に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100によれば、赤外線カットフィルタAおよび減光フィルタBは、透明な樹脂材料で形成された支持板3上に蒸着を施すことにより形成されているため、フィルタの特性を確保し、かつ、厚みを薄くすることができる。
【実施例2】
【0063】
次に、本発明の最良の実施形態としての実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200について説明する。
【0064】
実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200の構成は、図1〜図5に示す実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100の構成と同様であるため、説明を省略し、各構成の符号は実施例1と同じ符号を用いて説明する。
【0065】
実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200は、現在時刻に拘わらずフィルタ切換作用を行うものである。
【0066】
図9は、実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200のフィルタ切換作用を示すフローチャートであり、この図9に基づいて実施例2の車載カメラ用フィルタ切換装置200のフィルタ切換作用を説明する。
[フィルタ切換処理の流れ]
車載カメラ用フィルタ切換装置200が起動されると、図9に示すように、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されるように、ウォームギア4が支持板3を駆動する初期設定が行われる(ステップS27)。
【0067】
その後、駆動制御回路5が、AGC回路12が求めた増幅度(AGCゲイン)およびタイミングジェネレータ10により制御された撮像素子1の露光時間(シャッタスピード)を取得する(ステップS28、S29)。
【0068】
さらに、駆動制御回路5は、取得した増幅度が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS30)。増幅度が所定値未満である場合には高照度時であると判断し、ステップS34に移行する。
【0069】
一方、増幅度が所定値以上である場合には低照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるためにウォームギア4が支持板3の駆動を行い、屈折率補正部Cが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS31)。
【0070】
ウォームギア4の回転数等に基づいて、赤外線カットフィルタAが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS32)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS31、S32を繰り返し、赤外線カットフィルタAが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS33)。
【0071】
また、ステップS34に移行した場合には、駆動制御回路5が、取得したシャッタスピードが所定値より速いか否かを判断する(ステップS34)。
【0072】
シャッタスピードが所定値よりも遅い場合には、赤外線カットフィルタAにより対応可能な程度の照度時であると判断し、赤外線カットフィルタAが撮像素子1とレンズ2との間に配置されたままの状態でステップS28から再び処理を繰り返す。
【0073】
一方、シャッタスピードが所定値よりも速い場合には、スミア現象やブルーミングが生じる虞がある程、照度が特に高い状況であると判断し、赤外線カットフィルタAを撮像素子1とレンズ2との間から退避させるためにウォームギア4が支持板3の駆動を行い、減光フィルタBが撮像素子1とレンズ2との間に配置される(ステップS35)。
【0074】
ウォームギア4の回転数等に基づいて、減光フィルタBが所定の位置であるか否かの判断が行われ(ステップS36)、所定の位置に配置されていない場合にはステップS35、S36を繰り返し、減光フィルタBが所定の位置に配置されるとウォームギア4の駆動が停止される(ステップS37)。
【0075】
なお、昼間制御において赤外線カットフィルタAと減光フィルタBとの切換えを行うための閾値であるシャッタスピードの所定値は、夜間制御において赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行うための閾値である増幅度の所定値と比較し、照度が高い方に設定されている。
【0076】
すなわち、照度が特に高い場合には減光フィルタBが、スミア現象等が生じる虞は少ない程度の高照度時には赤外線カットフィルタAが、低照度時には屈折率補正部Cが、それぞれ選択的に撮像素子1とレンズ2との間に配置される。
【0077】
次に、実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置200による効果を説明する。
【0078】
このように構成された実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置200によれば、実施例1の車載カメラ用フィルタ切換装置100による効果に加えて、現在時刻に拘わらずフィルタ切換作用を行うため、日の出時刻および日の入時刻が入力されているタイマ8を備えていない場合であっても照度に適したフィルタの切換えを行うことができる。
【0079】
なお、実施例1および実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100、200によれば、駆動部4としてウォームギアが用いられ、支持板3の外周にウォームホイール16が形成されている場合について説明したが、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、図10および図11に示すように、駆動部4としてモータを用いることも可能である。
【0080】
このような構成によれば、支持板3の外周にウォームホイール16を形成することを必要としないため、製造コストを低減させることができる。
【0081】
また、実施例1および実施例2に係る車載カメラ用フィルタ切換装置100、200によれば、支持板3に赤外線カットフィルタA、減光フィルタBおよび屈折率補正部Cが設けられている場合について説明したが、本発明に係る車載カメラ用フィルタ切換装置はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、減光フィルタBを備えず、赤外線カットフィルタAおよび屈折率補正部Cのみを設ける構成とすることも可能である。
【0082】
このような構成によれば、赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えのみを行うため、図12に示すように、支持板3を扇形に形成し、支持板3の外周の一部に設けられたストッパ係合部17とストッパ18とが係合する位置まで、中心軸Oを中心として支持板3を回転させることにより、赤外線カットフィルタAと屈折率補正部Cとの切換えを行うことができる。
【0083】
このため、赤外線カットフィルタAが所定位置に配置されているか否かの判断を行うことを必要とせずに、簡単な構成で赤外線カットフィルタAの切換えを行うことができる。
【0084】
以上、本発明の車載カメラ用フィルタ切換装置を実施例1および実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0085】
1 撮像素子
2 レンズ
3 支持板
4 駆動部(ウォームギア)
5 駆動制御回路
6 信号変換部
7 信号処理部
8 タイマ
9 モニタ
10 タイミングジェネレータ
11 CDS回路
12 AGC回路
13 A/D変換回路
100 車載カメラ用フィルタ切換装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、前記撮像素子に像を結像させるレンズと、1又は2以上のフィルタを同一平面上に設けた支持板と、前記支持板に設けられた前記フィルタのうち1つを選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置させるように前記支持板を駆動させる駆動部と、前記駆動部の駆動制御を行う駆動制御回路と、前記撮像素子からの出力信号の変換を行う信号変換部と、前記信号変換部に設けられ、前記信号変換部に入力された信号のゲインの調整を行うオートゲイン調整部と、を有し、
前記フィルタのうち1つは赤外線カットフィルタであり、
前記駆動制御回路は、前記オートゲイン調整部により求められた増幅度が所定値以上である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記赤外線カットフィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記増幅度が所定値未満である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記赤外線カットフィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行うことを特徴とする車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項2】
前記撮像素子の露光時間が適正となるように前記撮像素子の電子シャッタ機能を制御するタイミングジェネレータを備え、
前記フィルタのうち1つは減光フィルタであり、
前記駆動制御回路は、前記電子シャッタ機能のシャッタスピードが所定値より速い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記減光フィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記シャッタスピードが前記所定値より遅い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記減光フィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項3】
前記支持板は円板状に形成され、前記フィルタは前記支持板の中心と同心の円周上に配列され、前記支持板の中心に設けられた中心軸は前記レンズの光軸から偏位した箇所に配置され、前記支持板が前記中心軸を中心として回転することにより、前記フィルタのうち1つが選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項4】
前記駆動部はウォームギアであり、
前記ウォームギアと噛み合うウォームホイールが前記支持板の外周に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項5】
前記支持板は、前記フィルタが設けられた同一円周上に前記フィルタの屈折率と略同一の屈折率を有するように処理された屈折率補正部を有し、
前記駆動制御回路は、1又は2以上の前記フィルタのいずれもが前記レンズの光軸上から外れる場合、前記屈折率補正部が前記レンズの光軸上に位置するように前記駆動部の駆動制御を行なうことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項6】
前記フィルタは、前記支持板上に蒸着を施すことにより形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項1】
撮像素子と、前記撮像素子に像を結像させるレンズと、1又は2以上のフィルタを同一平面上に設けた支持板と、前記支持板に設けられた前記フィルタのうち1つを選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置させるように前記支持板を駆動させる駆動部と、前記駆動部の駆動制御を行う駆動制御回路と、前記撮像素子からの出力信号の変換を行う信号変換部と、前記信号変換部に設けられ、前記信号変換部に入力された信号のゲインの調整を行うオートゲイン調整部と、を有し、
前記フィルタのうち1つは赤外線カットフィルタであり、
前記駆動制御回路は、前記オートゲイン調整部により求められた増幅度が所定値以上である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記赤外線カットフィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記増幅度が所定値未満である場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記赤外線カットフィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行うことを特徴とする車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項2】
前記撮像素子の露光時間が適正となるように前記撮像素子の電子シャッタ機能を制御するタイミングジェネレータを備え、
前記フィルタのうち1つは減光フィルタであり、
前記駆動制御回路は、前記電子シャッタ機能のシャッタスピードが所定値より速い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間に前記減光フィルタを配置させるように前記駆動部の駆動制御を行い、前記シャッタスピードが前記所定値より遅い場合には、前記撮像素子と前記レンズとの間から前記減光フィルタを退避させるように前記駆動部の駆動制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項3】
前記支持板は円板状に形成され、前記フィルタは前記支持板の中心と同心の円周上に配列され、前記支持板の中心に設けられた中心軸は前記レンズの光軸から偏位した箇所に配置され、前記支持板が前記中心軸を中心として回転することにより、前記フィルタのうち1つが選択的に前記撮像素子と前記レンズとの間に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項4】
前記駆動部はウォームギアであり、
前記ウォームギアと噛み合うウォームホイールが前記支持板の外周に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項5】
前記支持板は、前記フィルタが設けられた同一円周上に前記フィルタの屈折率と略同一の屈折率を有するように処理された屈折率補正部を有し、
前記駆動制御回路は、1又は2以上の前記フィルタのいずれもが前記レンズの光軸上から外れる場合、前記屈折率補正部が前記レンズの光軸上に位置するように前記駆動部の駆動制御を行なうことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【請求項6】
前記フィルタは、前記支持板上に蒸着を施すことにより形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車載カメラ用フィルタ切換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−41216(P2011−41216A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189450(P2009−189450)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
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