説明

軽量で高断熱性を有する内装板材及びその製造方法

【課題】 軽量性と高断熱性及び不燃性若しくは難燃性を保持する内装板材及びその製造方法の提供。
【解決手段】 支持基材が板紙、天然繊維若しくは無機繊維からなる織物或いは金網からなり、該支持基材相互の間若しくは支持基材の一側に、黒曜石を焼成発泡させた独立気孔構造で、その平均粒径が0.1乃至2mm及び見掛比重が0.05乃至0.15のパーライトに、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が15乃至35容量%割合で混合混練した混合混練塗材を所要の厚さに挟着若しくは塗着のうえ、150乃至260℃の加熱乾燥でパーライト相互及び支持基材が一体的且強固に接着固定された構成の内装板材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軽量性と高断熱性に加えて難燃で断熱材の削減と施工性に極めて優れる内装板材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の構築には、仮設工事、基礎工、コンクリート工事(木工事)、鉄筋鉄骨工事、組積タイル工事、屋根防水工事、左官塗装工事、建具ガラス工事、内装工事、管工事等の多様な工事が付帯されるものであるが、これらのうち内装工事ではその建物の使用目的に合せて極めて多種多様な建築材が使用されてきている。
そして近年に至っては、都市部における土地の有効利用のうえから店舗や事務所或いは住居に至るまで鉄骨高層化構造建物へと移行され、且郊外の戸建て住宅においても耐震耐火はもとより工期の短縮や価格低減のうえからプレハブ構造やプレカット構造に転換されており、これらとともに使用される建物外装材や内装材も改善改良がなされ且建物区画の密閉性も一段と高まっている。
【0003】
これがため現状の内装材は、利用者や就労者或いは居住者に近接する区画で使用するものであるから、使用素材も自然感やくつろぎ感が感得され、且区画内の快適な環境保持即ち吸湿性や遮音性の保持に加えて有害ガスや有害物質の揮散や溶出の無い安全性と、火災発生に際しての不燃性若しくは難燃性、更には施工性を高めるための軽量性及び省エネルギー化のための断熱性を保持するものが不可欠とされている。
【0004】
而して現状の内装材においては、硫酸カルシウム所謂石膏を略9乃至15mmの厚さを以って且その厚さが0.4乃至0.5mmの板紙の間に挟着固化させた石膏ボートなるものが膨大量に亘って天井面に直接張設され若しくは壁面地下材として張設され、且その外面に塗料や塗材を塗着し若しくは壁紙等を貼着して美装化を図っている。
【0005】
然るに今日の如き大気汚染が進んだ状況下、とりわけ都市部における有害ガスが多量に拡散された状況と、及び密閉性の高い区画内には内装施工に際して使用する接着剤からの揮散物質或いは区画内に収納される什器や備品等からの揮散する各種のガス等により、硫酸カルシウムからの亜硫酸ガスの発生危険が指摘され、更には石膏ボードは少なくともその重量が6乃至10kg/mと多重で高齢化する建設作業者の作業性を著しく至難ならしめている。
加えて省エネルギー化が強く要請される状況においては、該石膏ボードにはグラスウールや合成樹脂発泡断熱材を併用せねばならず、建設コストの低減化には何等の寄与もなしえない。
【0006】
かかる実情に鑑み発明者等は研究を重ねた結果、黒曜石を破砕のうえ焼成発泡させることにより、独立気孔構造で見掛比重が0.05乃至0.15の軽量嵩高で構造強度に優れるパーライトが生産上市されていることに着目するとともに、発明者等が開発中の無機発泡成形材の加熱発泡成形に用いるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が、耐火不燃性で且加熱により強力なシロキサン結合の促進と加熱融着性の創出とにより、パーライト相互はもとより広範囲の被着体と強力な接着固化がなしえることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は軽量性と高断熱性及び不燃性若しくは難燃性を保持する内装板材を、安価に提供することの可能な、軽量性と高断熱性を保持する内装板材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、支持基材が板紙、天然繊維若しくは無機繊維からなる織物或いは金網からなるとともに、該支持基材相互の間に若しくは支持基材の一側面に、黒曜石を焼成発泡させた独立気孔構造で、その平均粒径が0.1乃至2mmで且見掛比重が0.05乃至0.15のパーライトが、シロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至55重量%に水分が45乃至55重量%の組成で、且分子量換算で略4,000程度に多分子量化させた錯化合物状のシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が15乃至35容量%割合で混合混練された混合混練塗材が所要の厚さを以って挟着若しくは塗着されたうえ、150乃至260℃の加熱乾燥によりパーライト相互及び支持基材とを一体的且強固に接着固化させてなる構成からなる、軽量性と高断熱性を有する内装板材に存する。
【0009】
更に所要の厚さと幅で且所要の長さに巻回された支持基材を、それぞれ送出ロールで所要速度で送出させる送出工程と、この送出される一方の支持基材の上面に及び他方の支持基材の下面に、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を塗着させる塗着工程と、一方の支持基材の上面に塗着されたシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液の上面に、所要の厚さを以って独立気孔構造で平均粒径が0.1乃至2mmで、且見掛比重が0.05乃至0.15のパーライトに対しシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が容量比で15乃至35容量%割合で混合混練された混合混練塗材を所要の厚さに塗着させる塗工工程と、この塗着された混合混練塗材の上面に、他方の支持基材の下面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が塗着された支持基材を挟着させ且その挟着厚及び幅を調整して予備成形物とする挟着調整工程と、この予備成形物を供給ロールと供出ロールとにより所要速度で移送させつつ、150乃至260℃の温度範囲で加熱乾燥を施し、パーライト相互並びに支持基材とを一体的強固に接着固化させる加熱工程と、接着固化され形成された本発明品を、所要の長さに裁断する裁断工程とからなる、軽量性と高断熱性を有する内装板材の製造方法に存する。
【0010】
加えて支持基材を送出工程で送出のうえ、該支持基材の上面に塗着工程でシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を塗着のうえ、塗工工程でその上面に更に混合混練塗材を所要の厚さに塗着させたうえ挟着調整工程で厚さ及び幅を調整して予備成形したうえ、加熱乾燥工程でパーライト相互と支持基材とを一体的強固に接着固化させたうえ裁断工程で所要の長さに裁断する、軽量性と高断熱性を有する内装板材の製造方法に存する。
【発明の実施するための最良の形態】
【0011】
表裏面の支持基材が厚さ0.4乃至0.5mmの板紙からなり、この支持基材の中間に独立気孔構造で平均粒径が0.5乃至1.0mmで且見掛比重が0.1のパーライトに対し、シロキサン及びシラノール塩からなる固形分が50重量%に水分が50重量%割合の組成からなり、且分子量換算で略4,000程度に多分子量化された錯化合物状のシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を20容量%割合で混合混練させた混合混練塗材が8mm厚さを以って塗着されたうえ、180℃の加熱乾燥によりパーライト相互及び支持基材とが一体的強固に接着固化されてなる、軽量性と高断熱性を有する内装用板材。
【実施例1】
【0012】
以下に本発明実施例をその製造方法に基づき詳細に説明すれば、図1は本発明製造方法の工程図、図2は本発明製造方法の説明図、図3は支持基材1の例示図であって該支持基材1は軽量で比較的柔軟なうえ接着成分として使用するシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの塗着性と且塗着含浸による難燃性が発揮しえるもの、或いは本来的に不燃性を保持するものが要請されることから、板紙10Aや麻、ジュート若しくは綿等の植物繊維や、岩石繊維若しくは金属繊維を織成させてなる織物10B或いは薄い金属板を切開させてなるラス板10C等が使用できる。かかる場合において支持基材1は成可く長尺状で巻回された状態のものが連続生産のうえで好都合であることから、板紙10Aの場合でも、その厚さは0.1乃至0.5mm程度のものが選択される。
【0013】
そして該支持基材1において特筆すべきは、内装板材としての使用においては不燃性若しくは準不燃性としての難燃性が要請されるものであるが、本発明において接着成分として使用するシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cは、板紙10Aや植物繊維による織物10B等可燃性素材を用いた場合にも、これらと塗着され且塗着含浸されたうえ加熱乾燥されることにより、酸化珪素態成分へと変化して実質的に可燃性素材を難燃性素材に転化させることにある。
【0014】
かくして選択された支持基材1は、図5において示されてなる如く、本発明軽量性と高断熱性を有する内装板材9が、その表裏面より支持基材1で挟着させた構成で形成させるためには、それぞれ一方の支持基材1A及び他方の支持基材1Bを一対組として用いる。
そしてこの一対組の支持基材1A及び支持基材1Bは、送出工程2における送出ロール2A並びに送出ロール2Bを以って所要の速度で送出される。
【0015】
送出ロール2A並びに2Bにより所要の速度で送出される支持基材1A及び1Bには、塗工工程4において所要の厚さを以って塗着される混合混練基材4Aと、より強固な接着を図ること並びに可燃性素材からなる支持基材1に塗着及び塗着含浸させて難燃性に転化させるうえから、塗着工程3における塗着ロール3A並びに塗着ロール3Bにより支持基材1Aの上面及び支持基材1Bの下面に、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cが塗着される。
【0016】
このシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cは、シロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至55重量%と、水分45乃至55重量%割合の組成からなり、且分子量換算で略4,000程度の多分子量化させた錯化合物状の水溶液で、加熱に伴い水分蒸散とともに強力なシロキサン結合の促進と加熱融着性の創出により強度の接着性を発揮し、且水分蒸散に伴い酸化珪素態で而も高温度の加熱により急激な水分蒸散をなすことにより連続気孔構造の接着層9Bを形成する。
【0017】
かかる場合のシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの塗着は、引続いてなされる塗工工程4において、所要の厚さを以って塗着される混合混練塗材4A中に容量比で15乃至35容量%割合で混合されてなるため、主として支持基材1との接着性及び難燃性の補強にあるから、その塗着量としては略20乃至50g/m程度で十分である。
【0018】
支持基材1Aの上面及び支持基材1Bの下面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cが塗着されたるうえは、塗工工程4において所要の厚さを以って混合混練塗材4Aが塗着される。
この混合混練塗材4Aは、形成される本発明軽量性と高断熱性を有する内装板材9の軽量性や高断熱性に大きく関与するもので、且実用上から該混合混練塗材4Aはその塗着厚さとして略8乃至20mm程度で塗着がなされる。
これがためには押出塗工手段が有利であって、該押出塗工手段としては押出塗工装置40の使用が好適であって、該押出塗工装置40は図示するように、ホッパー40Aに供給された混合混練塗材4Aは、スクリュー40Bの回転に伴い吐出ダイ40Cに加圧移送されたうえ、該吐出ダイ40Cよりシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cが予め塗着された支持基材1Aの上面に押出され塗着される。従って吐出ダイ40Cを所要の幅と厚さに形成させておき、混合混練塗材4Aを吐出ダイ40Cより吐出させれば良い。
【0019】
ところでかかる場合に用いられる混合混練塗材4Aは形成される本発明軽量で高断熱性を有する内装板材9に、石膏ボードに比べて少なくとも1/3乃至1/4以上の軽量性と且石膏ボードには実現しえない優れた高断熱性即ち熱伝導率において、0.033乃至0.035kcal/m・h・c°を保持させるものであって、かかる軽量性や高断熱性には、塗着される混合混練塗材4Aが大きく関与する。ところで該混合混練塗材4Aは図4に示す如く、黒曜石を焼成発泡させて耐火不燃性はもとより、独立気孔構造からなり構造強度に優れるとともに見掛比重が0.05乃至0.15で、その熱伝導率も公称0.035乃至0.036kcal/m・h・c°とされ、且軽量性や断熱性並びに形成される本発明軽量で高断熱性を有する内装用板材9の粗密さの調整等のうえから、その平均粒径が0.1乃至2.0mmのパーライト3Dが選択使用される。
【0020】
そしてこの選択されたパーライト3Dの容量に対してシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cが容量比で15乃至35容量%割合で混合されたうえ、該シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cがパーライト3Dの外表面全体に均等に塗着されるよう混練させるもので、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cは常温で略2,000乃至8,000cp(センチポアズ)と低粘度であるから、該混練には適宜のブレンダーやヘンシエルミキサー等でも容易に混練が可能である。
このパーライト3Dに対するシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの混合割合は、使用するシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの粘度や使用するパーライト3Dの平均粒径によっても多少の変動はあるが、一般的には平均粒径が0.1乃至0.2mmの場合には、平均粒径が1.6乃至2.0mmの場合に比べて略2乃至4容量%割合で多量に混合させることが、塗工工程4における塗着性や挟着調整工程5における予備成形のうえから望ましい。
【0021】
一方支持基材1Aの上面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cが塗着され、且その上面に混合混練塗材4Aが所要の厚さに吐出させて塗着されたうえは、挟着調整工程5において更に該塗着された混合混練塗材4Aの上面に、その下面に予めシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cが塗着されてなる他方の支持基材1Bが挟着される。
この挟着に際しては挟着厚さや挟着圧と且幅を調整しえるよう一側に調整フランジ50Aが設けられた挟着調整ロール50が用いられるもので、該挟着調整工程5により一方の支持基材1Aと所要の厚さの混合混練塗材4A及び他方の支持基材1Bとが一体的に挟着されて予備成形物7が形成される。
【0022】
かくして挟着調整工程5で予備成形された予備成形物7は,加熱工程6において等速で回転する供給ロール60A及び供出ロール60B、及び補助移送ロール60Cにより加熱体60Dが配位された加熱区画60Eで、150乃至260℃の温度で加熱乾燥を施すことにより、混合混練塗材4A内のシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの加熱による水分蒸散とシロキサン結合の促進と加熱融着性の創出とにより、パーライト相互及び表裏面の支持基材1とを一体的に強固に接着固化させて、本発明軽量性と高断熱性を有する内装板材9が形成される。
【0023】
かかる場合に加熱乾燥に係わる加熱乾燥温度が150乃至260℃の温度でなされる所以は、加熱乾燥温度を150乃至200℃程度で加熱することにより、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの水分蒸散が緩かになされ、挟着固化に係わる酸化珪素態の接着層9Aが無気孔構造に形成され吸湿性の抑制と接着強度の向上に寄与すること、及び加熱乾燥温度を200乃至260℃の高温度で加熱することにより、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの水分蒸散が急激になされ、連続気孔構造の発泡状酸化珪素態の接着層9Bが形成され、吸湿性と且断熱性の向上に寄与することによる。
当然のことながら、高温度により高速度で加熱乾燥をなすことにより、短時間に接着固化がなしえることは言うまでもない。
【0024】
而して予備成形物7を加熱工程6において、加熱乾燥させて形成される本発明軽量及び高断熱性を有する内装板材9は連続長尺状のものであるから、裁断工程8において実用使用に供しえる寸法に裁断される。この裁断に際しては硬度も低く適宜のカッターや鋸等の切断具8Aで裁断することにより、本発明軽量で高断熱性を有する内装板材9が製造される。
【0025】
加えて本発明軽量で高断熱性を有する内装板材9は、図5に示すように所要の厚さを以って塗着される混合混練塗材4Aをその表裏面に支持基材1を挟着させ一体的に接着固化させる構成以外に、図6に示す如く所要の厚さを以って塗着される混合混練塗材4Aの一側面に支持基材1を一体的に接着固化させた構成のものも実用に供される。
【0026】
本発明製造方法においては、かかる一側面に支持基材1を一体的に接着固化させた構成の内装板材9の製造も容易になしえるものであって、その製造に際しては図2に従って説明すれば、一方の支持基材1Aを送出工程2の送出ロール2Aで送出させながら、塗着工程3の塗着ロール3Aでその上面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cを塗着させたうえ、更にその上面に塗工工程4における押出塗工装置40の吐出ダイ40Cより所要の厚さを以って混合混練塗材4Aを塗着させたうえ、挟着調整工程5における挟着調整ロール50で厚さや幅等の調整をなして予備成形物7となしたるうえ、加熱工程6において供給ロール60A、供出ロール60B及び補助移送ロール60Cにより等速で移送させつつ150乃至260℃の加熱乾燥を施し、支持基材1と混合混練塗材4Aとを一体的強固に接着固化させ、而して裁断工程8において所要の長さに裁断すれば良い。
【0027】
図5は本発明品の部分拡大説明図であって、同図5には下面には支持基材1A、上面には支持基材1Bで挟着されその中間には所要の厚さを以って塗着された混合混練塗材4Aが加熱乾燥により、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの水分蒸散により酸化珪素態と化した無気孔の接着層9Aにより、パーライト3D相互及び支持基材1とが強固一体的に接着固化されていることが理解される。かかる図5において無気孔の接着層9Aには水分蒸散による連続気孔90が形成されていないことから、加熱乾燥が150乃至200℃の低温度で緩やかな水分蒸散がなされた結果による。
【0028】
図6は一側に支持基材が接着固化された本発明品の部分拡大説明図であって、下面に支持基材1Aとその上面には所要の厚さを以って塗着された混合混練塗材4Aが高温度の加熱乾燥により、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液3Cの急激な水分蒸散によって酸化珪素態と化し且連続気孔構造の接着層9Bによりパーライト3D相互と支持基材1とが、強固一体的に接着固化されていることが理解できる。
【0029】
以下に本発明品の物理的性能を述べれば、試料としての本発明品には支持基材として厚さ0.4mmの板紙を用い、且それぞれの内側面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を20g/mの割合で塗着し、且混合混練塗材として独立気孔構造で見掛比重が0.1及び平均粒径が1mmのパーライトに、シロキサン及びシラノール塩からなる固形分が55重量%に水分45重量%の組成で、且分子量換算で略4,000に多分子量化された錯化合物状のシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を17容量%割合で混合混練させたものを厚さ8.8mmで支持基材の間に挟着させ、180℃20分の加熱乾燥させたものを用い、対照として厚さ9.5mmの石膏ボードを用いたもので、物理的性能は次表の通りである。
【0030】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0031】
所要の寸法に形成することで天井材や壁材として即時に使用可能。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】 本発明製造方法の工程説明図である。
【図2】 本発明製造方法の説明図である。
【図3】 支持基材の例示図である。
【図4】 混合混練塗材の説明図である。
【図5】 支持基材で挟着された本発明品の部分拡大説明図である。
【図6】 支持基材の一側に接着された本発明品の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
1 支持基材
1A 一方の支持基材
1B 他方の支持基材
10A 板紙
10B 織物
10C ラス板
2 送出工程
2A 送出ロール
2B 送出ロール
3 塗着工程
3A 塗着ロール
3B 塗着ロール
3C シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液
3D パーライト
4 塗工工程
4A 混合混練塗材
40 押出塗工装置
40A ホッパー
40B スクリュー
40C 吐出ダイ
5 挟着調整工程
50 挟着調整ロール
50A 調整フランジ
6 加熱工程
60A 供給ロール
60B 供出ロール
60C 補助移送ロール
60D 加熱体
60E 加熱区画
7 予備成形物
8 裁断工程
8A 切断具
9 本発明内装板材
9A 無気孔の接着層
9B 連続気孔の接着層
90 連続気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材が板紙、天然繊維若しくは無機繊維からなる織物或いは金網からなり、該支持基材相互の間若しくは支持基材の一側に、黒曜石を焼成発泡させた独立気孔構造で、その平均粒径が0.1乃至2mm及び見掛比重が0.05乃至0.15のパーライトに、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が15乃至35容量%割合で混合混練された混合混練塗材が挟着若しくは塗着されたうえ、150乃至260℃の加熱乾燥によりパーライト相互及び支持基材とが一体的且強固に接着固化されてなる、軽量で高断熱性を有する内装板材。
【請求項2】
シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が、シロキサン及びシラノール塩からなる固形分が45乃至55重量%に水分が45乃至55重量%の組成からなり、且分子量換算で略4,000程度に多分子量化された錯化合物である、請求項1記載の軽量で高断熱性を有する内装板材。
【請求項3】
支持基材の不燃化若しくは難燃化と混合混練塗材との接着固化の向上を図るため、支持基材の接着面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が塗着されてなる、請求項1若しくは請求項2記載の軽量で高断熱性を有する内装板材。
【請求項4】
所要の厚さと幅及び長さに巻回された支持基材を所要の速度で送出させる送出工程と、送出される一方の支持基材の上面及び他方の支持基材の下面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を塗着させる塗着工程と、一方の支持基材上面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が塗着された上面に、独立気孔構造で平均粒径が0.1乃至2mmで且見掛比重が0.05乃至0.15のパーライトに、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が15乃至35容量%割合で混合混練された混合混練塗材を所要の厚さに塗着させる塗工工程と、この塗着された混合混練塗材の上面に他方の支持基材の下面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が塗着された支持基材を挟着させ且その挟着厚さ及び幅を調整して予備成形物とする挟着調整工程と、予備成形物を所要速度で移送させつつ150乃至260℃の温度範囲で加熱乾燥し、パーライト相互並びに支持基材とを一体的且強固に接着固化させる加熱工程と、接着固化された本発明品を所要の長さに裁断する裁断工程とからなる、軽量で高断熱性を有する内装板材の製造方法。
【請求項5】
所要の厚さと幅及び長さに巻回された支持基材を所要の速度で送出させる送出工程と、送出される支持基材の上面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を塗着させる塗着工程と、この塗着された上面に独立気孔構造で平均粒径が0.1乃至2mmで且見掛比重が0.05乃至0.15のパーライトに、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液が15乃至35容量%割合で混合混練された混合混練塗材を、所要の厚さで塗着させる塗工工程と、支持基材及びこの塗着された混合混練塗材との厚さ及び幅を調整し予備成形物とする挟着調整工程と、この予備成形物を加熱工程で加熱乾燥し且裁断工程で裁断する、請求項4記載の軽量で高断熱性を有する内装板材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−43512(P2010−43512A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235669(P2008−235669)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(507176493)
【Fターム(参考)】