説明

輻射暖房パネルシステム

【課題】パネルに温度センサを要せずともパネル表面温度を室温に応じた所定の温度や予め設定された温度になるよう自動的に略一定に保持して運転することができる輻射暖房パネルシステムを提供する。
【解決手段】壁45または天井46に取り付けて使用され、正温度係数をもつ発熱量特性を有する面状発熱体5が内部に設けられた輻射暖房パネル2と、面状発熱体5に通電される電流値を検知する電流検知手段と、面状発熱体5に連続的に通電する立上げ運転モードを開始し、輻射暖房パネル2のパネル表面温度が予め設定された温度まで上昇したことを、電流検知手段により検知した電流値により面状発熱体5の発熱量特性に基づいて判別した後、立上げ運転モードから、面状発熱体5に通電と通電停止とを繰り返す間欠運転モードに切り換えるパネル温度制御手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射暖房パネルシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の壁パネルに暖房用ヒータを内蔵した暖房壁構造が知られている(特許文献1、2参照)。また特許文献2には、暖房用ヒータとしてPTCヒータを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−42464号公報
【特許文献2】実用新案登録第3142453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の暖房壁構造で用いられるPTCヒータは正温度係数をもつ発熱量特性を有し、温度に応じて抵抗値が変わる特性があるため、暖房を始める際に生じるヒータの突入電流が大きくなる。
【0005】
また、立上げ運転の終了後には、パネル表面の温度を略一定とする定常運転に移行する必要がある。
【0006】
そして定常運転時にヒータの温度を略一定に保持する点等も考慮すると、パネル表面温度を検知するための温度センサをパネルに設置する必要があるが、部品点数が増えるという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、パネルに温度センサを要せずともパネル表面温度を室温に応じた所定の温度や予め設定された温度になるよう自動的に略一定に保持して運転することができる輻射暖房パネルシステムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0009】
第1に、本発明の輻射暖房パネルシステムは、壁または天井に取り付けて使用され、正温度係数をもつ発熱量特性を有する面状発熱体が内部に設けられた輻射暖房パネルと、面状発熱体に通電される電流値を検知する電流検知手段と、面状発熱体に連続的に通電する立上げ運転モードを開始し、輻射暖房パネルのパネル表面温度が予め設定された温度まで上昇したことを、電流検知手段により検知した電流値により面状発熱体の発熱量特性に基づいて判別した後、立上げ運転モードから、面状発熱体に通電と通電停止とを繰り返す間欠運転モードに切り換えるパネル温度制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2に、上記第1の輻射暖房パネルシステムにおいて、室温を検知する室温検知手段を備え、パネル温度制御手段は、室温に対応して予め設定された間欠運転モードにおける通電時間および通電停止時間に基づいて、立上げ運転モードの開始前に室温検知手段により検知した室温に対応する通電時間および通電停止時間により間欠運転モードにおける通電を制御し、パネル表面温度を室温に応じた所定の温度になるよう略一定に保持することを特徴とする。
【0011】
第3に、上記第1の輻射暖房パネルシステムにおいて、パネル温度制御手段は、間欠運転モードにおいて一定の通電停止時間を設定し、通電停止後に再度通電を開始した際に、電流検知手段により面状発熱体の電流値を検知し、電流値が予め設定されたパネル表面温度に対応する規定値以上である場合には通電を継続し、電流値が当該規定値を下回る場合には、一定の通電停止時間の間再度通電を停止し、以上の制御を繰り返し行うことで、パネル表面温度を予め設定されたパネル表面温度になるよう略一定に保持することを特徴とする。
【0012】
第4に、上記第3の輻射暖房パネルシステムにおいて、さらに室温を検知する室温検知手段を備え、パネル温度制御手段は、室温に対応して予め設定された間欠運転モードにおける一定の通電停止時間に基づいて、立上げ運転モードの開始前に室温検知手段により検知した室温に対応する一定の通電停止時間を設けて間欠運転モードにおける通電を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の発明によれば、パネル表面温度が予め設定された温度まで上昇したことを、面状発熱体の発熱量特性に基づいて判別することにより、立上げ運転モードから定常的な間欠運転モードに切り換えるようにしている。従って、パネル表面温度を検知するための温度センサを要せずとも、室温に応じて立上げ運転の時間、すなわち面状発熱体に連続的に通電する時間を自動的に最短にすることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、温度センサがパネルに不要になるため、部品点数が少なくて済み低コスト化も図ることができる。
【0014】
上記第2の発明によれば、間欠運転モードにおける通電時間および通電停止時間を室温に対応して予め設定しておき、これに基づいて、立上げ運転モードの開始前に検知した室温に対応する通電時間および通電停止時間により間欠運転モードにおける通電を制御している。従って、上記第1の発明の効果に加え、面状発熱体の温度を略一定に保つことができるので、面状発熱体の近傍にあるパネル表面の温度を室温に応じた所定の温度になるように、自動的に略一定に保持することができる。
【0015】
上記第3の発明によれば、間欠運転モードにおいて一定の通電停止時間を設定しておき、通電停止後に再度通電を開始した際に、面状発熱体の電流値が予め設定されたパネル表面温度に対応する規定値以上である場合には通電を継続し、電流値が当該下限値を下回る場合には、一定の通電停止時間の間再度通電を停止するようにしている。従って、上記第1の発明の効果に加え、面状発熱体の温度を略一定に保つことができるので、面状発熱体の近傍にあるパネル表面の温度を予め設定された所定の温度になるように、自動的に略一定に保持することができる。
【0016】
上記第4の発明によれば、室温に対応して予め設定された間欠運転モードにおける一定の通電停止時間に基づいて、立上げ運転モードの開始前に室温検知手段により検知した実際の室温に対応する一定の通電停止時間を設けて間欠運転モードにおける通電を制御するようにしている。従って、室温に応じてパネル表面温度を自動的に略一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態における輻射暖房パネルシステムの全体を示した概略図である。
【図2】輻射暖房パネルシステムの輻射暖房パネルを示す分解斜視図である。
【図3】輻射暖房パネルにおける電気接続部が設けられた側端部周辺の拡大図である。
【図4】輻射暖房パネルシステムを住宅の室内に施工した状態の例を示した図である。
【図5】PTCヒータの温度−発熱量特性を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における輻射暖房パネルシステムのコントローラによるパネル表面温度の制御方法を示すフローチャートである。
【図7】立上げ運転モードから間欠運転モードに至るパネル表面温度の推移を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態における輻射暖房パネルシステムのコントローラによるパネル表面温度の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
以下、図1から図4を用いて説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の輻射暖房パネルシステム1は、輻射暖房パネル2と、輻射暖房パネル2のパネル表面温度を制御するコントローラ3とを備えている。
【0020】
輻射暖房パネル2は、例えば、図1および図4に例示するように住宅の室内の壁45、または図4に示すように天井46に、1枚で、または複数枚を並列して取り付けられる。
【0021】
輻射暖房パネル2は、図2に示すように、矩形状のパネル本体4と、パネル本体4の内部に組み込まれた面状発熱体5とを備えている。
【0022】
パネル本体4は、基材10と、断熱材16a、16bと、表面板18とを備えている。
【0023】
基材10は、保形性を有する硬質発泡樹脂等の樹脂や、木材等を材料とする枠体12と、その背後に裏打ちされる背面板11とが一体に、あるいは別体で構成されている。
【0024】
断熱材16a、16bは、基材10の背面板11と枠体12とから構成される空間の凹み部13内に嵌め込まれる。断熱材16a、16bのうち、背面側に位置する断熱材16aはウレタン樹脂等による補強用断熱層として機能し、表面側に位置する断熱材16bは、真空断熱材からなる軽量断熱層として機能する。
【0025】
なお、基材10と補強用断熱層としての断熱材16aとを別体で構成する以外に、一体に構成することも可能である。
【0026】
面状発熱体5は、パネル本体4の断熱材16bと表面板18との間に介挿される。面状発熱体5として、本実施形態では、正温度係数をもつ発熱量特性を有するPTCヒータを用いている。
【0027】
なお、面状発熱体5の数は図2のような2つに限らず、1つの大面積のもの、あるいは3つ以上の小面積のものであってもよいし、図示はしていないが、不要な場合には一方のみに面状発熱体5を入れ、他方は面状発熱体5と同様の厚みを持つ板体を介挿してもよい。
【0028】
パネル本体4の短辺側の一方の側端部4aには、図3に示すように、表面板18の側端部18aが基材10を構成する枠体12の側端部12aよりも外方に突出しているとともに、背面板11の側端部11aは表面板18の側端部18aとほぼ重なるように配置されている。
【0029】
さらにパネル本体4の側端部4aには、配線用空間部20が形成されている。この配線用空間部20は、側端部4aと略直交する方向および側端部4aと隣接する両側の長辺側の側端部4b、4bにそれぞれ開放されている。なお、図2および図3の矢印A、B、Bは側端部4aの開放方向を示している。これにより、例えば複数枚のパネル本体4の側端部4b、4b同士を互いに隣接して並列配置した場合には、各パネル本体4の配線用空間部20が一直線上に連続するようになっている。
【0030】
配線用空間部20には、VVF電線等の外部電源供給用の渡り配線25が納められる。配線用空間部20の中央部には、パネル本体4の内側に向けて凹むように収納凹所21が形成されている。この収納凹所21は、パネル本体4の電気接続部を構成する中継器30を出し入れ可能に収納するものであり、中継器30を収納凹所21と配線用空間部20との間で引き出し自在となっている。
【0031】
配線用空間部20における収納凹所21を挟んだ両側の位置には、パネル本体4の内側に向けて凹むように余剰配線収納部23が設けられており、配線用空間部20に沿って配線される渡り配線25の余剰部分25aが収納可能とされている。
【0032】
パネル本体4内の面状発熱体5は、中継器30に電気的に接続されている。また、基材10を構成する枠体12の側端部12aに設けた配線溝14を介して、基材10の面状発熱体5等を収納する図1の凹み部13と収納凹所21とが互いに連通しており、この配線溝14に沿って面状発熱体5からの給電線6が通線され、給電線6の先端に設けたコネクタ7が収納凹所21内に収納された中継器30の後端の接続部に接続されている。
【0033】
この給電線6は中継器30の引き出し時に追随して引き出され、中継器30の押し込み時には無理なく押し込まれるように構成されている。
【0034】
中継器30を収納する収納凹所21の近傍には、図3に示すように、中継器30に接続される渡り配線25のコネクタ26、27のそれぞれの形状に合わせたコネクタ嵌合凹部22が設けられている。このコネクタ嵌合凹部22は、中継器30に対してコネクタ26、27を確実に接続した場合にのみコネクタ26、27がコネクタ嵌合凹部22に嵌合可能とされ、これにより不完全な接続を防止するようにしている。
【0035】
以上のような構成を備えた輻射暖房パネル2を図1および図4に示すように壁45または天井46の一部に取り付ける際には、例えば、図4に示すように複数の輻射暖房パネル2を並列して天井46に配置する場合を例にして説明すると、次のようにして行うことができる。
【0036】
まず、各パネル本体4を取付面上に固定ビスで固定し、その後、各パネル本体4の中継器30に対して室内側から配線作業を行う。すなわち、配線用空間部20を介して中継器30を収納凹所21から引き出した状態で、中継器30の片面の接続部に渡り配線25のコネクタ26、27を接続する。この要領で、各パネル本体4のそれぞれの中継器30に対して渡り配線25を順次接続していく。
【0037】
最後に、パネル本体4の配線用空間部20に、図1に示すように廻り縁となる端部カバー35を被せて作業を完了する。
【0038】
また、図1に示すコントローラ3とその操作パネル3aや、室温を検知する室温検知手段としてのサーミスタ(図示せず)、電源配線40等も設置し、図1に示すような輻射暖房パネルシステム1とされる。
【0039】
なお、コントローラ3は、使用者のための操作パネル3aと、その他、図示はしないが、図6に示すようなアルゴリズムや設定等の所定のデータを格納するメモリ等を含む、パネル温度制御手段としてのマイクロコンピュータ等を備えている。また、面状発熱体5に通電される電流値を検知する電流検知手段を備えている。電流検知手段は、電流を測定するための公知の電流センサを操作パネル3a内の回路の途中に設けることで行うことができる。
【0040】
コントローラ3の操作パネル3aは、通電(ON)と通電停止(OFF)とを操作するON/OFFスイッチ、パネル表面温度設定切換スイッチ、室温センサ等を備えている。また、パネル本体4の枚数を設定し消費電流測定値を1枚当たりに換算する負荷容量設定スイッチ等を備えている。
【0041】
以上に説明したような輻射暖房パネルシステム1は、図1のコントローラ3により次のようにして運転制御される。
【0042】
まず、面状発熱体5の発熱量特性について説明する。面状発熱体5には、PTCヒータを用いている。PTCヒータは、チタン酸バリウム(BaTiO3)等の半導体セラミックやカーボンブラック等を材料とし、例えば、リレーによる周期的通電制御、トライアック等による電源位相制御等の出力制御が適用できる。
【0043】
本実施形態で用いる面状発熱体5の温度−発熱量特性を表1および図5に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
なお、表1の発熱量係数および抵抗値係数は、20℃を1.00とした温度別係数を示す。このように面状発熱体5のPTCヒータは正温度係数(Positive Temperature Coefficient)をもつ発熱量特性を有している。発熱量特性は面状発熱体5の材料によりほぼ一定であり、発熱量は面状発熱体5の大きさや発熱密度により設定できる。
【0046】
この面状発熱体5は、室温=発熱体温度が0℃のとき、発熱量(消費電力)は750Wであり、温度上昇するとともに発熱量が低下し、20℃のときは600W、40℃のときは380Wとなる。
【0047】
本実施形態では、この面状発熱体5の発熱量特性に基づいて、コントローラ3の検知手段により検知した面状発熱体5の電流値によりパネル表面温度を特定し、次のようにして輻射暖房パネルシステム1の運転制御を行うようにしている。
【0048】
図6は、本実施形態の輻射暖房パネルシステム1のコントローラ3によるパネル表面温度の制御を工程順に示すフローチャート、図7は、立上げ運転モードから間欠運転モードに至るパネル表面温度の推移を示すグラフである。
【0049】
図6に示すように、電源を投入して運転を開始した後(S1)、まずコントローラ3の室温検知手段により室温を検知する(S2)。
【0050】
そして、検知した室温に応じて立上げ運転モードを開始するか否かを判別する(S3)。本実施形態では、室温が30℃未満の場合は、立上げ運転モードを開始する(S4)。また、室温が30℃以上の場合には、夏季と判断して暖房を行わずに運転を停止する(S8)。
【0051】
室温が30℃未満の場合には、立上げ運転モードを開始するとともに、コントローラ3は、間欠運転モードの設定を行う。すなわち、コントローラ3には室温に対応して予め間欠運転モードにおける通電時間および通電停止時間が設定されている。そして、この設定に基づいて、コントローラ3の室温センサにより検知した実際の室温に対応する通電時間および通電停止時間を設定する。
【0052】
本実施形態では、室温に対応して間欠運転モードにおける通電時間および通電停止時間が予め次のように設定されている。
【0053】
【表2】

【0054】
このように、室温が低いほど通電時間を長くし通電停止時間を短くするようにしている。コントローラ3の室温センサにより検知した実際の室温を考慮して、間欠運転モードにおける通電時間および通電停止時間の設定は、例えば33〜41℃となるように温度別に設定される。
【0055】
一方、消し忘れ防止時間(S6)の基準時として総運転時間のカウントを開始する(S4)。
【0056】
次に、輻射暖房パネル2のパネル表面温度が予め設定された温度まで上昇したか否かを、検知手段により検知した電流値により面状発熱体5の発熱量特性に基づいて判別する(S5)。
【0057】
本実施形態では、コントローラ3にて電流値を測定し、電源投入時からの輻射暖房パネル2の立上げ温度(パネル表面温度)を40℃に設定している。この場合、図5に示す発熱量特性も考慮すると、「380Ω/印加電圧」に相当する電流値に低下した時点で立上げ運転を終了し、間欠運転モードに切り換える(S6)。
【0058】
間欠運転モードでは、上記のように設定した、運転開始前の室温に対応する通電時間および通電停止時間により、面状発熱体5に通電と通電停止とを繰り返す。
【0059】
図7は、電源投入時からのパネル表面温度の時間推移を示す。なお、図中の点線は100%連続運転をした場合を参考として示したものであり、また下線を引いた時間はパネル表面温度が40℃に到達するまでの時間を示す。また、輻射暖房パネル2のパネル表面温度≒面状発熱体5の表面温度と仮定している。
【0060】
このようにして、間欠運転モードによりパネル表面温度を略一定に保持しながら定常運転を行う。そして、予め設定された、安全や浪費防止等のための消し忘れ防止時間に到達した場合には(S7)、運転を停止する(S8)。
【0061】
なお、S3において室温が30℃以上の場合であっても、30℃以下になった場合は運転再開と判断し、パネル表面温度が40℃に到達した時点で間欠運転モードに移行する。
(第2の実施形態)
本実施形態では、輻射暖房パネルシステム1における輻射暖房パネル2の構成やコントローラ3の装置構成は上記の第1の実施形態と同様である。一方、本実施形態では、コントローラ3によるパネル表面温度の制御を図8のフローチャートに示すように行っている。
【0062】
すなわち図8に示すように、電源を投入して運転を開始した後(S1)、まずコントローラ3の室温検知手段により室温を検知する(S2)。
【0063】
そして、検知した室温に応じて立上げ運転モードを開始するか否かを判別する(S3)。本実施形態では一例として、室温が30℃未満の場合は、立上げ運転モードを開始する(S4)。また、室温が30℃以上の場合には、夏季と判断して暖房を行わずに運転を停止する(S8)。
【0064】
室温が30℃未満の場合には、立上げ運転モードを開始するとともに、コントローラ3は、間欠運転モードの設定を行う。すなわち、コントローラ3には室温に対応して予め間欠運転モードにおける通電停止時間が設定されている。そして、この設定に基づいて、コントローラ3の室温センサにより検知した実際の室温に対応する通電停止時間を設定する。
【0065】
通電停止時間の設定は、検知した室温に基づいて例えば次のようにして行うことができる。
【0066】
通電停止時間をコントローラ3により自動制御で設定する場合、例えば次のように設定することができる。
【0067】
【表3】

【0068】
また、通電停止時間を使用者の選定により設定する場合、レベル別に例えば次のように設定することができる。
【0069】
【表4】

【0070】
コントローラ3の室温センサにより検知した実際の室温を考慮して、間欠運転モードにおける通電停止時間の設定は、例えば33〜41℃となるように温度別に設定される。
【0071】
一方、消し忘れ防止時間(S11)の基準時として総運転時間のカウントを開始する(S4)。
【0072】
次に、輻射暖房パネル2のパネル表面温度が予め設定された温度まで上昇したか否かを、電流検知手段により検知した電流値により面状発熱体5の発熱量特性に基づいて判別する(S5)。
【0073】
本実施形態では、電源投入時からの輻射暖房パネル2の立上げ温度(パネル表面温度)を40℃に設定している。この場合、第1の実施形態と同様に、図5に示す発熱量特性も考慮すると、「380Ω/印加電圧」に相当する電流値に低下した時点で立上げ運転を終了する。
【0074】
立上げ運転を終了後、間欠運転モードに移行するが、まず、上記において設定した通電停止時間の間、面状発熱体5への通電を停止する(S6)。
【0075】
通電停止時間が終了した後(S7)、面状発熱体5への通電を開始する(S8)。そして、検知手段により面状発熱体5の電流値を検知しながら、電流値が予め設定されたパネル表面温度に対応する規定値以上である場合には通電を継続する(S9、S10)。一方、電流値が当該規定値を下回る場合には、図8のS6に戻り、一定の通電停止時間の間再度通電を停止し、以上に説明した工程を繰り返し行う。このようにして、パネル表面温度を略一定に保持するようにしている。
【0076】
本実施形態では、パネル表面温度についてコントローラ3において上限値および下限値を設定しておき、電流値が予め設定されたパネル表面温度の下限値に対応する値以上である場合には、冷めていると判断して通電を継続する(S9)。一方、当該値未満の場合には、S10に進み、電流値が予め設定されたパネル表面温度の上限値に対応する値以上である場合には、まだ暖まっていないと判断して通電を継続する。一方、当該値未満の場合には、十分に暖まっていると判断してS6に戻り、通電を一定時間停止する。
【0077】
以上の制御を繰り返し行うことで、間欠運転モードによりパネル表面温度を略一定に保持しながら定常運転を行うようにしている。そして、S10において通電を継続する際に、予め設定された、安全や浪費防止等のための消し忘れ防止時間に到達している場合には(S11)、運転を停止する(S12)。
【0078】
以上のように、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 輻射暖房パネルシステム
2 輻射暖房パネル
5 面状発熱体
45 壁
46 天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁または天井に取り付けて使用され、正温度係数をもつ発熱量特性を有する面状発熱体が内部に設けられた輻射暖房パネルと、面状発熱体に通電される電流値を検知する電流検知手段と、面状発熱体に連続的に通電する立上げ運転モードを開始し、輻射暖房パネルのパネル表面温度が予め設定された温度まで上昇したことを、電流検知手段により検知した電流値により面状発熱体の発熱量特性に基づいて判別した後、立上げ運転モードから、面状発熱体に通電と通電停止とを繰り返す間欠運転モードに切り換えるパネル温度制御手段とを備えることを特徴とする輻射暖房パネルシステム。
【請求項2】
室温を検知する室温検知手段を備え、パネル温度制御手段は、室温に対応して予め設定された間欠運転モードにおける通電時間および通電停止時間に基づいて、立上げ運転モードの開始前に室温検知手段により検知した室温に対応する通電時間および通電停止時間により間欠運転モードにおける通電を制御し、パネル表面温度を室温に応じた所定の温度になるよう略一定に保持することを特徴とする請求項1に記載の輻射暖房パネルシステム。
【請求項3】
パネル温度制御手段は、間欠運転モードにおいて一定の通電停止時間を設定し、通電停止後に再度通電を開始した際に、電流検知手段により面状発熱体の電流値を検知し、電流値が予め設定されたパネル表面温度に対応する規定値以上である場合には通電を継続し、電流値が当該規定値を下回る場合には、一定の通電停止時間の間再度通電を停止し、以上の制御を繰り返し行うことで、パネル表面温度を予め設定されたパネル表面温度になるよう略一定に保持することを特徴とする請求項1に記載の輻射暖房パネルシステム。
【請求項4】
室温を検知する室温検知手段を備え、パネル温度制御手段は、室温に対応して予め設定された間欠運転モードにおける一定の通電停止時間に基づいて、立上げ運転モードの開始前に室温検知手段により検知した室温に対応する一定の通電停止時間を設けて間欠運転モードにおける通電を制御することを特徴とする請求項3に記載の輻射暖房パネルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−153746(P2011−153746A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14799(P2010−14799)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】