説明

農作業機械における処理条件の自動設定

【課題】作物の生育状況に関する情報から、処理部の処理条件を自動制御し、収穫効率を向上し得る、作業性および生産性を向上させた農作業機械を提供する。
【解決手段】機体に配設した処理部wにより、処理対象に処理を施す農作業機械であって、処理部wは、制御部35によって駆動制御し、処理対象に関わる情報a,b,c,d,eを取得して、データベース化するとともに、データベースを管理、かつ提供する情報部31,31´を設け、制御部35は、情報部31,31´からの情報に基づいて、処理部wの処理条件を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に配設した処理部により、処理対象に処理を施す農作業機械に関し、より詳細には、処理部は、制御部によって駆動制御し、処理対象に関わる情報を取得して、データベース化するとともに、データベースを管理、かつ提供する情報部を設け、制御部は、情報部からの情報に基づいて、処理部の処理条件を設定する農作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインなどの農作業機械の中には、例えば、その作動情報を、コンバイン側の記憶媒体に対して、現在より一定時間前までの情報を一時保存し、通信手段によってコンバインの所在位置とは別位置にあるサービスセンターのコンピュータに作動情報を伝え、コンバインにトラブルが発生した場合に、トラブル関連情報を通信手段によりにコンピュータへ送り、コンバインとコンピュータとの間を双方向通信させることにより、トラブル回復情報をユーザーに伝達する手段を設けることで、サービスセンターは、正常な過去と異常な現在とを対比させてコンバインの不具合の原因を解明し、ユーザーに対して迅速な対応ができるもの(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−190871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような農作業機械は、製造メーカーからの出荷時点において、機体に備える、各処理部の処理条件(コンバインであれば、刈取部の引起し速度や、脱穀部の扱胴回転速度など)の制御仕様が固定されており、作業条件などによりそれら処理条件の設定を変更したい場合には、作業者が、機体に備える調整スイッチを操作することで、処理条件を若干調整できるものの、例えば、圃場の地域性や、品種の違い、気候条件などによって、作物は生育状況が異なることから、作業者は、その都度、それら生育状況に応じて効率的に作物を収穫できるように、各処理部の処理条件を設定変更しなければならず、設定操作の煩わしさや、人為的な設定ミスによる収穫量や収穫効率の低下など、作業性および生産性が悪いという問題があった。
そこで、この発明の目的は、作物の生育状況に関する情報から、処理部の処理条件を自動制御し、収穫効率を向上し得る、作業性および生産性を向上させた農作業機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、機体に配設した処理部により、処理対象に処理を施す農作業機械において、前記処理部は、制御部によって駆動制御し、前記処理対象に関わる情報を取得して、データベース化するとともに、前記データベースを管理、かつ提供する情報部を設け、前記制御部は、前記情報部からの前記情報に基づいて、前記処理部の処理条件を設定することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機械において、前記情報部は、機外に設置するとともに、前記制御部は、通信手段により前記情報部から情報を取得することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機械において、前記情報部は、前記機体に設置することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機械において、前記情報部は、前記データベースを更新可能とすることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機械において、前記農作業機械は、穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備えるコンバインであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、機体に配設した処理部により、処理対象に処理を施す農作業機械において、処理部は、制御部によって駆動制御し、処理対象に関わる情報を取得して、データベース化するとともに、データベースを管理、かつ提供する情報部を設け、制御部は、情報部からの情報に基づいて、処理部の処理条件を設定するので、コンバインなど農作業機械が作業を行う圃場の地域性や、天候状態、作物の品種および生育状況など処理対象の変化や状況に応じて、作業者が手動調整を行うことなく、機体の制御部が、刈取部や脱穀部など処理部を最適な処理条件に自動設定し、作物の収穫効率を向上させることができる。従って、作業性および生産性を向上させた農作業機械を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、情報部は、機外に設置するとともに、制御部は、通信手段により情報部から情報を取得するので、どの地域の圃場に投入しても、通信手段によって、情報部に容易にアクセスが可能であるため、処理対象に関わる情報を簡単に取得することができる。従って、作業性および生産性を向上させた農作業機械を提供することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、情報部は、機体に設置するので、農作業機械の各機体に備える情報部の処理対象に関わる情報により、処理部を最適な処理条件に自動設定して、収穫効率を向上させることができる。特に、山間部など通信状態の悪い圃場では、通信によることなく、機体に備える情報部の情報により、処理部を最適な処理条件に自動設定することができる。従って、作業性および生産性を向上させた農作業機械を提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、情報部は、データベースを更新可能とするので、情報部は、常に処理対象に関わる最新の情報を有し、過去の情報と比較して、農作業機械の各機体の処理部を最適な処理条件に自動設定することができる。従って、作業性および生産性を向上させた農作業機械を提供することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、農作業機械は、穀稈を刈り取る刈取部と、この刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、この脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備えるコンバインであるので、処理部の設定箇所が多いコンバインの処理条件を作業者の手動調整によることなく、情報部からの処理対象に関わる情報によって容易に自動設定し、収穫物の収穫効率を向上させることができる。従って、作業性および生産性を向上させた農作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るコンバインの一例を示した左側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの右側面図である。
【図4】コンバインの正面図である。
【図5】情報部の構成図である。
【図6】情報部へ入力する、圃場に関する情報の一例を示す説明図である。
【図7】機体処理部における処理条件の制御ブロック図である。
【図8】通信手段により外部に設置した情報部の情報を機体側が取得する処理条件の自動制御システム図である。
【図9】機体側に情報部を実装した処理条件の自動制御システム図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を図面に示しながら説明する。なお、本発明の実施形態は請求項記載の範囲内で任意に変更することができる。図1は本発明に係るコンバインの一例を示した左側面図、図2は同平面図、図3は同右側面図、図4は同正面図である。
【0017】
まず、本発明における農作業機械の一例として示すコンバイン1は、図1〜4に示すように、トラックフレーム2の左右にクローラ式走行装置3L,3Rを支持し、該トラックフレーム2上に機体フレーム4を架設している。
【0018】
そして、機体前部には、処理部wとしての刈取部16が形成される。この刈取部16には、圃場の未刈り穀稈を引き起こす穀稈引起装置21や、未刈り穀稈の株元を切断する刈刃17、穀稈を後述する脱穀部5へ搬送するフィードチェーン6などが備えられる。
【0019】
さらに、その刈取部16の後方には、丸型の操向ハンドル18や運転席19を配置したキャビン11が設置される。そして、キャビン11側方の機体フレーム4前部上には、刈取部16を上下に回動自在に支持する載置台20と、該載置台20上の刈取部16を、刈取フレーム21を介して昇降させる油圧シリンダ22とが備えられる。
【0020】
さらに、キャビン11の下方で、機体フレーム4前部には、エンジン23が配置され、該エンジン23からの動力により、クローラ式走行装置3L,3Rを駆動して走行するとともに、穀稈をコンバイン1の前方から刈取部16で連続的に刈取って、脱穀部5で脱穀するように構成している。
【0021】
そして、機体中央に配設される処理部wとしての脱穀部5には、穀稈を脱穀する扱胴7や、扱胴7の下方に落下した脱粒物を選別する揺動選別装置8と、この揺動選別装置8に選別風を供給する唐箕ファン24と、扱胴7の後部から取出される排出物を再処理する処理胴25などが設けられる。
【0022】
そして、揺動選別装置8により選別された穀粒を、揚穀筒9を介して搬入する穀粒タンク10が、キャビン11後方に備えられる。さらに、穀粒タンク10内の穀粒を機外に搬出する排出オーガ13を機体上部に備え、機体後端には、排藁チェーン14の終端を臨ませる排藁処理部15が配置される。
【0023】
次に、本願発明の特徴である処理部における処理条件の自動設定について詳述する。図5は情報部の構成図、図6は情報部へ入力する、圃場に関する情報の一例を示す説明図、図7は機体処理部における処理条件の制御ブロック図、図8は通信手段により外部に設置した情報部の情報を機体側が取得する処理条件の自動制御システム図、図9は機体側に情報部を実装した処理条件の自動制御システム図である。
【0024】
大豆、トウモロコシ、麦、米など農作物は、地域により収穫物が異なるとともに、同じ米であっても、寒冷地や温暖地、もしくは土壌の違いにより収穫される品種が異なる。さらには、現在および過去の気象状態などによって、それら作物の生育状況も左右されることから、収穫の際には、このような特色に応じてコンバインなど農作業機械における脱穀条件などの処理条件を頻繁に設定変更する必要がある。
【0025】
そこで、上述したような、農作業機械による処理対象(農作物の播種から収穫物まで)に関わる圃場における地域や気象、作物の品種や生育状況などの情報を取得して、データベース化するとともに、前記データベースを管理し、かつ農作業機械に提供する情報部31が設けられる。以下、農作業機械として、コンバインを例に説明する。
【0026】
まず、情報部31は、図5に示すように、入力部32と、情報コントローラ33と、出力部34とから構成されるもので、圃場に関する情報が入力部32を介して情報コントローラ33に格納される。
【0027】
また、情報部31は、後述するコンバイン1から離れた位置に有する機外の、例えば情報提供会社の情報センターC内などに設置される。
【0028】
そして、情報センターCは、圃場に関して得られた各情報を、情報センターCの作業者が情報部31に入力するが、この圃場に関する情報は、例えば図6に示すように、まず地域情報aとして、各地方における、各県の各地域(中国地方の岡山県であれば、津山地域や、真庭地域、新見地域他などで、さらに町や村、あるいは各担い手の圃場ごとに設定してもよい)ごとに区分け設定される。
【0029】
そして、情報部31には、例えば、津山地域に関する詳細な情報として、その年における週単位あるいは月単位での天気や、気温、日照量、雨量、台風通過や地震、害虫発生数などの気候情報bが入力される。なお、これら気候情報bは、過去数年分の上記情報が、情報コントローラ33に蓄積される。
【0030】
また、情報部31には、例えば、津山地域に関する農作物における、その年の生育情報cが入力されるとともに、過去数年分の作物の生育状況が、土壌の痩肥状態を示すものとして、情報コントローラ33に蓄積される。なお、図中の例では、年ごとの生育状況を、良・並・悪などと表示したが、表示方法はこれに限定されず、例えば、月ごと(各年)に、パーセント表示や、穀稈の平均高さなどで表示してもよい。
【0031】
次いで、情報部31には、例えば、津山地域に関する作物情報dとして、米や麦など農作物の種類が入力されるとともに、米であれば、その品種情報eとして、コシヒカリやあけぼの、ヒノヒカリなどの品種が入力される。この品種情報eは、地域情報aの例えば津山地域における各圃場に対応したものとされ、どの圃場にどの作物が栽培されているか詳細な情報を有することができる。
【0032】
なお、圃場に関する各情報は、情報センターCなどにおいて、上述した例に加え、他にも情報項目を適宜設定して入力し、データベース化されるとともに、それら入力情報を逐次更新させることができる。
【0033】
次に、機体側における各処理部の処理条件制御は、例えば、図7に示すように、刈取部16の穀稈引起装置23や、フィードチェーン6、脱穀部5の扱胴7や、唐箕ファン24などが機体に設置された制御部35に接続される。
【0034】
具体的には、上述した穀稈引起装置23や、フィードチェーン6、扱胴7、唐箕ファン24などを駆動するそれぞれ図示しない各モータが制御部35に接続されることで、制御部35の指示により、個別に各装置の処理条件を変更させることができる。
【0035】
本願発明の農作業機械では、この制御部35と、情報部31とが連係される。つまり、例えば、情報センターC内などに設置された情報部31の出力部34には、図8に示すように、情報部31側の通信部36が接続されるとともに、コンバイン1の機体に設置された制御部35に、機体側の通信部37が接続される。
【0036】
ここで、例えば、コンバイン1を用いて圃場で作物を収穫する際、通常収穫作業を行う圃場とは異なる地域の圃場で作業をする場合には、作業者が機体に備える不図示のスイッチなどを投入することで、制御部35と、情報部31との通信を開始させる。このとき、制御部35は、機体に備える図示しないGPS(Global Positioning System)装置などにより検索した機体の現在位置を情報部31に送信する。
【0037】
そして、機体位置が例えば、岡山県津山地域の圃場であれば、当該地域の圃場に関する上述した各情報a,b,c,d,eなどを制御部35の要請により、情報部31の情報コントローラ33が制御部35に通信手段を用いて供給する。
【0038】
これら各情報a,b,c,d,eなどにより、例えば、これまでの天気や、気温、日照量、雨量などの気候条件に恵まれ、成育状況が良い(比較的に穀稈量が多いとともに穀稈の高さが高く、籾量が多い)、あけぼの米などの情報が、情報部31の情報コントローラ33から制御部35に伝達されると、制御部35は、図9に示すように、例えば、刈取部16における穀稈引起装置23やフィードチェーン6などを駆動する図示しないモータの出力を通常よりも上げ、これら穀稈引起装置23やフィードチェーン6などの駆動速度を上昇させる。
【0039】
さらに、制御部35は、脱穀部5における扱胴7や唐箕ファン24などを駆動する図示しないモータの出力を通常よりも上げ、これら扱胴7の回転速度や唐箕ファン24の風量などを上昇させる。
【0040】
このような構成にすることで、穀稈高さが高く、籾量の多さにより稲穂が大きく垂れた成育状況の良い稲を、コンバイン1の刈取部16における穀稈引起装置23で迅速に引き起こすとともに、刈刃17による刈取後の穀稈をフィードチェーン6により脱穀部5に迅速に搬送させることができる。
【0041】
さらには、脱穀部5において、それら穀稈の穂先を扱胴7で迅速に脱穀するとともに、扱胴7下方の揺動選別装置8に落下した多量の脱粒物を、唐箕ファン24の比較的に強い風量で迅速に籾と異物とに選別させることができる。
【0042】
従って、コンバイン1などによる圃場の地域性や、天候状態、作物の品種および生育状況など処理対象の変化や状況に応じて、作業者が手動調整を行うことなく、機体の制御部35が、刈取部16や脱穀部5など処理部wを最適な処理条件に自動設定し、作物の収穫効率を向上させることができる。
【0043】
なお、上述とは反対に、情報部31が、各情報a,b,c,d,eなどとして、例えば、これまで天候に恵まれず、低温多雨で、日照量が少ないなど、成育状況がやや悪い(比較的に穀稈の高さが低く、籾量が少ない)あけぼの米などの情報を有していれば、コンバイン1側の要請により、情報部31の情報コントローラ33から制御部35にそれら情報が伝達されると、制御部35は、刈取部16における穀稈引起装置23やフィードチェーン6などを駆動する図示しないモータの出力を通常よりも下げ、これら穀稈引起装置23やフィードチェーン6などの駆動速度を抑える。
【0044】
さらに制御部35は、脱穀部5における扱胴7や唐箕ファン24などを駆動する図示しないモータの出力を下げ、これら扱胴7の回転速度や唐箕ファン24の風量などを抑える。
【0045】
このように作用させることで、比較的に穀稈量が少ないとともに穀稈高さが低く、籾量が少ないために稲穂があまり垂れず、穀稈全体があまり倒れていない成育状況がやや悪い稲は、コンバイン1の刈取部16における穀稈引起装置23により適度に引き起こすとともに、刈刃17による刈取後の穀稈をフィードチェーン6により脱穀部5に比較的ゆっくりと搬送する。
【0046】
さらに、脱穀部5において、それら穀稈の穂先を扱胴7でゆっくりと脱穀するとともに、扱胴7下方の揺動選別装置8に落下した、比較的少量の脱粒物を、唐箕ファン24の比較的に弱い風量で、籾を飛散除去させることなく、籾と異物とに確実に選別することができるため、このような成育状況がやや悪い作物でも、情報部31からの情報により処理部wを最適な処理条件に迅速に自動設定されることで、効率的に収穫処理を行い、収穫率を向上させることができる。
【0047】
また、コンバイン1などは、どの地域の圃場に投入しても、通信手段によって、情報部31に容易にアクセスが可能であるため、処理対象に関わる情報を簡単に取得することができる。
【0048】
そして、この情報部31は、圃場の地域性や、天候状態、作物の品種や生育状況など処理対象に関わる様々な情報を一元的に有するとともに、常に最新の情報としてデータベースを更新し、コンバイン1などに容易に情報提供できることから、農作業機械による作物の収穫効率を迅速かつ効率的に向上させることができる。
【0049】
また、上述のように処理対象に関わる情報a,b,c,d,eは、圃場の地域や天候状態および作物の品種や生育状況とするので、作物の生育状態を左右する要因を情報としてコンバイン1に提供することにより、コンバイン1は、作物の収穫効率を上昇させるために自動設定された最適な処理条件で稼動することができる。
【0050】
さらに、農作業機械は、処理部wの設定箇所が多いコンバイン1であるため、処理条件は、作業者の手動調整によることなく、情報部31からの処理対象に関わる情報によって容易に自動設定される結果、作物の収穫効率を向上させることができる。
【0051】
なお、上述では、コンバイン1の制御部35に、穀稈引起装置23やフィードチェーン6、扱胴7、唐箕ファン24などを接続したが、その他機体の処理装置を接続し、適宜処理条件を自動設定させることができる。
【0052】
上述では、情報部31を、コンバイン1の機体から離れた、情報センターC内などに設置し、情報部31と、機体の制御部35とを通信手段により送受信させて連係したが、情報部31は、コンバイン1の機体に設置させることもできる。
【0053】
この場合、例えば、機体の適宜位置に設置した情報部31´と、制御部35とを有線または通信により連係し、情報部31´の情報コントローラ33への処理対象に関わる情報a,b,c,d,eなどは、情報提供会社あるいは担い手などの作業者が、逐次入力してデータベース化することで、情報部31´は常に最新の処理対象に関わる情報を有し、処理部wの処理条件を迅速に自動設定することができる。
【0054】
さらに、情報部31´の情報コントローラ33´への処理対象に関わる情報は、情報提供会社においてデータベースを作成・更新し、それらデータベース化された情報を、CD−ROMやフラッシュメモリーなどの記憶媒体で機体に設置した情報部31´に逐次ダウンロードさせてもよい。
【0055】
なお、上述した、情報部31,31´の処理対象に関わる情報から処理部wの処理条件を自動設定する農作業機械を、コンバイン1を例に説明したが、この発明ではコンバイン1に限定されず、例えば、圃場に肥料や除草剤などを散布する農業用無人ヘリコプタでは、処理対象に関わる情報により、それら肥料や除草剤などの散布量を自動設定して、圃場の状態に応じた適切な散布量にすることができる。
【0056】
また、トラクタでは、処理対象に関わる情報により、耕耘機などを圃場の状態に応じて適切な耕耘深さに自動設定させたり、田植機においても処理対象に関わる情報により、圃場の状態に応じて適切な苗の植付間隔や植付数などを自動設定でき、作物を効率的に生産することができる。
【0057】
以上詳述したように、この例のコンバイン1は、機体に配設した処理部wにより、処理対象に処理を施す農作業機械であって、処理部wは、制御部35によって駆動制御し、処理対象に関わる情報a,b,c,d,eを取得して、データベース化するとともに、データベースを管理、かつ提供する情報部31,31´を設け、制御部35は、情報部31,31´からの情報に基づいて、処理部wの処理条件を設定するものである。
【0058】
加えて、農作業機械の処理部wの処理条件を設定する制御部35に、処理対象に関わる情報a,b,c,d,eを提供する情報部31,31´は、処理対象に関わる情報a,b,c,d,eを取得して、データベース化するとともに、データベースを管理、かつ農作業機械からの要請に応じて情報を提供するものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
なお、この発明は、処理対象に関わる情報を提供する情報部に連係可能な、処理部の処理条件を設定する制御部を機体に備える、あらゆる作業機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 コンバイン
6 フィードチェーン
7 扱胴
23 穀稈引起装置
24 唐箕ファン
31,31´ 情報部
32 入力部
33 情報コントローラ
34 出力部
35 制御部
36,37 通信部
C 情報センター
a,b,c,d,e 処理対象に関わる情報
w 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に配設した処理部により、処理対象に処理を施す農作業機械において、
前記処理部は、制御部によって駆動制御し、
前記処理対象に関わる情報を取得して、データベース化するとともに、前記データベースを管理、かつ提供する情報部を設け、
前記制御部は、前記情報部からの前記情報に基づいて、前記処理部の処理条件を設定することを特徴とする農作業機械。
【請求項2】
前記情報部は、機外に設置するとともに、前記制御部は、通信手段により前記情報部から情報を取得することを特徴とする、請求項1に記載の農作業機械。
【請求項3】
前記情報部は、前記機体に設置することを特徴とする、請求項1に記載の農作業機械。
【請求項4】
前記情報部は、前記データベースを更新可能とすることを特徴とする、請求項1に記載の農作業機械。
【請求項5】
前記農作業機械は、穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部で刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀した穀粒を選別する選別部とを備えるコンバインであることを特徴とする、請求項1に記載の農作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−77980(P2011−77980A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229410(P2009−229410)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】