説明

農作業機

【課題】側板に対するスタンドホルダの取付強度が良好な農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は作業機本体3の左右両側に設けた側板23を備え、各側板23にはスタンド2を装着可能なスタンドホルダ31を設ける。各側板23は、互いに交差状に位置する第1被取付板部および第2被取付板部を有する。各スタンドホルダ31は、互いに離間対向する一対の対向板部およびこれら一対の対向板部の縁部相互を連結する連結板部を有する。一方の対向板部を側板23の第1被取付板部に取り付け、かつ、連結板部を側板23の第2被取付板部に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側板に対するスタンドホルダの取付強度が良好な農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば作業機本体と、この作業機本体の左右両側に設けられた側板と、この各側板に設けられスタンドが装着されるスタンドホルダとを備え、スタンドホルダの取付板が側板の前側部にボルト・ナットにて取り付けられた農作業機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭64−26904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の農作業機のようにスタンドホルダの取付板が側板の前側部に取り付けられた構成では、側板に対するスタンドホルダの取付強度不足を招くおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、側板に対するスタンドホルダの取付強度が良好な農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の農作業機は、作業機本体と、この作業機本体の左右両側に設けられた側板と、この各側板に設けられ、スタンドが装着されるスタンドホルダとを備え、前記各側板は、互いに交差する方向に沿って位置する第1被取付板部および第2被取付板部を有し、前記各スタンドホルダは、互いに離間対向する一対の対向板部およびこれら一対の対向板部の縁部相互を連結する連結板部を有し、前記一対の対向板部のうちの一方の対向板部が前記第1被取付板部に取り付けられ、かつ、前記連結板部が前記第2被取付板部に取り付けられているものである。
【0006】
そして、スタンドホルダの一対の対向板部のうちの一方の対向板部が側板の第1被取付板部に取り付けられ、かつ、スタンドホルダの連結板部が側板の第2被取付板部に取り付けられているため、従来の構成に比べて、側板に対するスタンドホルダの取付強度が良好となる。
【0007】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、各側板は作業機本体に固着された側板本体部を有し、この側板本体部の前縁部から第1被取付板部が内方に向って突出し、この第1被取付板部の内縁部から第2被取付板部が前方に向って突出しているものである。
【0008】
そして、側板の側板本体部の前縁部から第1被取付板部が内方に向って突出し、この第1被取付板部の内縁部から第2被取付板部が前方に向って突出しているため、スタンドホルダの側板本体部からの突出量が少なくなる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、スタンドホルダの一対の対向板部のうちの一方の対向板部が側板の第1被取付板部に取り付けられ、かつ、スタンドホルダの連結板部が側板の第2被取付板部に取り付けられているため、従来の構成に比べて、側板に対するスタンドホルダの取付強度が良好である。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、側板の側板本体部の前縁部から第1被取付板部が内方に向って突出し、この第1被取付板部の内縁部から第2被取付板部が前方に向って突出しているため、スタンドホルダの側板本体部からの突出量を少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1ないし図3において、1は折畳み式の農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結して使用する牽引式のものである。そして、農作業機1は、トラクタに連結されかつ左右一対のスタンド2が取り外された状態で、トラクタの走行により圃場上を移動しながら農作業である耕耘整地作業をする。
【0013】
農作業機1は、トラクタの3点リンク部に連結される左右方向長手状の作業機本体(中央作業部)3と、この作業機本体3の左右方向両端部に略前後方向の支軸(回動支点)4を中心として上下方向に回動可能に設けられ作業位置および非作業位置間で回動する延長作業体(延長作業部)5と、この延長作業体5を上下方向に回動させる駆動手段6とを備えている。
【0014】
作業機本体3は、左右方向長手状の機枠11と、機枠11に回転可能に設けられ入力軸12側からの動力で駆動回転しながら耕耘作業をする耕耘体13と、機枠11の後部に上下回動可能に設けられ圃場面に追従するように上下回動しながら整地作業をする整地体14とを有している。
【0015】
機枠11は、左右方向に延在したパイプ状の主フレーム部15を有し、この主フレーム部15の左右方向両端部には、略箱状のチェーンケース部16の上端部および略板状のブラケット部17の上端部が固着されている。そして、チェーンケース部16の下端部およびブラケット部17の下端部間に耕耘体13が回転可能に配設されている。耕耘体13は、左右方向の耕耘軸18とこの耕耘軸18に放射状に取り付けられた複数の耕耘爪19とにて構成されている。また、整地体14は、第1整地板(均平板)21とこの第1整地板21の後端部に取り付けられた第2整地板(レーキ)22とにて構成されている。
【0016】
また、作業機本体3の機枠11の左右両側には、互いに離間対向する左右一対の側板23が設けられている。
【0017】
そして、図3に示されるように、左右一対の側板23のうちの一方の側板23は、例えば中間の2箇所で略直角に折り曲げられた2枚の板部材にて構成されたもので、チェーンケース部16の前縁部に前方に向って突出状に設けられている。
【0018】
この一方の側板23は、チェーンケース部16の前縁部に後縁部が固着された側板本体部24を有し、この側板本体部24の前縁部から第1被取付板部25が内方(他方の側板側)に向って略直角に一体に突出し、この第1被取付板部25の内縁部から第2被取付板部26が前方に向って略直角に一体に突出している。なお、図3から明らかなように、一方の側板23の第1被取付板部25および第2被取付板部26は、例えば互いに直交(交差)する方向に沿って位置している。すなわち、第1被取付板部25は農作業機1の左右方向に沿って位置し、第2被取付板部26は農作業機1の前後方向に沿って位置している。
【0019】
他方の側板23は、例えば中間の2箇所で略直角に折り曲げられた1枚の板部材にて構成されたもので、ブラケット部17の前縁部に前方に向って突出状に設けられている。
【0020】
この他方の側板23も、一方の側板23と同様、ブラケット部17の前縁部に後縁部が固着された側板本体部24を有し、この側板本体部24の前縁部から第1被取付板部25が内方(一方の側板側)に向って略直角に一体に突出し、この第1被取付板部25の内縁部から第2被取付板部26が前方に向って略直角に一体に突出している。なお、図3から明らかなように、他方の側板23の第1被取付板部25および第2被取付板部26は、例えば互いに直交(交差)する方向に沿って位置している。すなわち、第1被取付板部25は農作業機1の左右方向に沿って位置し、第2被取付板部26は農作業機1の前後方向に沿って位置している。
【0021】
そして、左右の各側板23には平面視で断面略コ字状のスタンドホルダ31が固設され、各スタンドホルダ31には非作業時に作業機本体3および延長作業体5を支持するスタンド2が抜差し止めピン27にて着脱可能に装着されている。
【0022】
なお、スタンドホルダ31にスタンド2を装着する際には、スタンド2の上端側の軸部32をスタンドホルダ31の上端部に上方に向って開口した切欠部33内に挿入し、抜差し止めピン27をスタンド2およびスタンドホルダ31に形成されたピン用孔部34内に挿通する。また、スタンド2は、前後方向に長手状の水平杆部36を有し、水平杆部36の前後方向両端部にはキャスタ37が取り付けられ、水平杆部36の前端近傍からは四角筒状の傾斜杆部38が前斜め上方に向って突出している。
【0023】
左右一対のスタンドホルダ31のうちの一方のスタンドホルダ31は、チェーンケース部16に取り付けられた一方の側板23の外面側に取り付けられている。
【0024】
この一方のスタンドホルダ31は、互いに離間対向する前後一対の対向板部41を有し、これら前後一対の対向板部41の内縁部相互が連結板部42にて一体に連結されている。そして、後側の対向板部41の一部分である内端部が一方の側板23の第1被取付板部25の前面側に溶接等により面状に接触した状態で固定的に取り付けられ、かつ、連結板部42の全体が一方の側板23の第2被取付板部26の外面側に溶接等により面状に接触した状態で固定的に取り付けられている。
【0025】
他方のスタンドホルダは、一方のスタンドホルダと同一形状のもので、ブラケット部に取り付けられた他方の側板の外面側に取り付けられている。
【0026】
この他方のスタンドホルダ31も、一方のスタンドホルダ31と同様、互いに離間対向する前後一対の対向板部41を有し、これら前後一対の対向板部41の内縁部相互が連結板部42にて一体に連結されている。そして、後側の対向板部41の一部分である内端部が他方の側板23の第1被取付板部25の前面側に溶接等により面状に接触した状態で固定的に取り付けられ、かつ、連結板部42の全体が他方の側板23の第2被取付板部26の外面側に溶接等により面状に接触した状態で固定的に取り付けられている。
【0027】
一方、延長作業体5は、作業機本体3に支軸4を介して回動可能に取り付けられた延長機枠44と、延長機枠44に回転可能に設けられ作業機本体3の耕耘体13からの動力で駆動回転しながら耕耘作業をする延長耕耘体45と、延長機枠44の後部に上下回動可能に設けられ圃場面に追従するように上下回動しながら整地作業をする延長整地体46とを有している。
【0028】
延長耕耘体45は、左右方向の耕耘軸47とこの耕耘軸47に放射状に取り付けられた複数の耕耘爪48とにて構成されている。また、延長整地体46は、第1延長整地板(延長均平板)49とこの第1延長整地板49の後端部に取り付けられた第2延長整地板(延長レーキ)50とにて構成されている。
【0029】
なお、図4に示されるように、各スタンドホルダ31は平面視で耕耘体13の外端位置の耕耘爪19の前方近傍に位置しており、残耕が少なくなるように耕耘体13の外端位置の耕耘爪(センタ爪)19と延長耕耘体45の内端位置の耕耘爪(サイド爪)48との間の距離が小さくなっている。特に、ブラケット部17側におけるセンタ爪19およびサイド爪48間の距離がチェーンケース部16側に比べて小さくなっている。また、図5に示されるように、スタンド2がトラクタに当たらないように、各スタンドホルダ31が耕耘爪19の回転径の近傍に配設されている。
【0030】
次に、上記一実施の形態の作用等を説明する。
【0031】
非作業時には、農作業機1を容易に運搬できるように、スタンド2をスタンドホルダ31に抜差し止めピン27にて装着し、作業機本体3および延長作業体5をスタンド2によって支持する。
【0032】
また、作業時には、農作業機1をトラクタの3点リンク部に連結し、農作業機1をその3点リンク部で持ち上げた後、スタンド2をスタンドホルダ31から取り外す。
【0033】
そして、上記農作業機1によれば、左右のスタンドホルダ31の一対の対向板部41のうちの一方の対向板部41が左右の側板23の第1被取付板部25にそれぞれ取り付けられ、かつ、左右のスタンドホルダ31の連結板部42が左右の側板23の第2被取付板部26に取り付けられているため、従来のようにスタンドホルダの取付板を側板の前側部に取り付けた構成に比べて、側板23に対するスタンドホルダ31の取付強度が良好であり、耐久性に優れている。
【0034】
また、側板23の側板本体部24の前縁部から第1被取付板部25が内方に向って突出し、この第1被取付板部25の内縁部から第2被取付板部26が前方に向って突出しているため、スタンドホルダ31の側板本体部24からの突出量を少なくできる。
【0035】
なお、対向板部41の一部分が側板23の第1被取付板部25の前面側に取り付けられ、かつ、連結板部42の全体が側板23の第2被取付板部26の外面側に取り付けられた構成には限定されず、例えばスタンドホルダ31の側板23への取付強度がより強くなるように、対向板部41の全体が第1被取付板部25の前面側に取り付けられかつ連結板部42の全体が第2被取付板部26の外面側に取り付けられた構成としてもよい。
【0036】
また、スタンド2が着脱可能に装着されるスタンドホルダ31には限定されず、例えばスタンド2が作用位置および非作用位置間で上下回動するように装着されるスタンドホルダ31でもよい。
【0037】
さらに、チェーンケース部16側の側板23がブラケット部17側の側板23より厚くなっている構成には限定されず、両側板23が同じ厚さのものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の農作業機に係る一実施の形態の斜視図である。
【図2】同上農作業機の側面図である。
【図3】同上農作業機の部分平面図である。
【図4】同上農作業機の概略平面図である。
【図5】同上農作業機の概略側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 農作業機
2 スタンド
3 作業機本体
23 側板
24 側板本体部
25 第1被取付板部
26 第2被取付板部
31 スタンドホルダ
41 対向板部
42 連結板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機本体と、
この作業機本体の左右両側に設けられた側板と、
この各側板に設けられ、スタンドが装着されるスタンドホルダとを備え、
前記各側板は、互いに交差する方向に沿って位置する第1被取付板部および第2被取付板部を有し、
前記各スタンドホルダは、互いに離間対向する一対の対向板部およびこれら一対の対向板部の縁部相互を連結する連結板部を有し、
前記一対の対向板部のうちの一方の対向板部が前記第1被取付板部に取り付けられ、かつ、前記連結板部が前記第2被取付板部に取り付けられている
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
各側板は作業機本体に固着された側板本体部を有し、この側板本体部の前縁部から第1被取付板部が内方に向って突出し、この第1被取付板部の内縁部から第2被取付板部が前方に向って突出している
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−141281(P2006−141281A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335742(P2004−335742)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】