農作業機
【課題】所望の保持力で延長整地体を保持でき、ばね端部が擦れて破損することがない農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機11は、耕耘作業をする耕耘体と、耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体21とを備える。第1整地体21の下端部には、第2整地体23を設ける。第2整地体23の左右の側端部には、前後方向の軸25を中心とする回動により作業状態および非作業状態になる延長整地体24を設ける。第2整地体23および延長整地体24間には、延長整地体24を作業状態および非作業状態に保持するねじりばね26を設ける。延長整地体24の非作業状態時には、ねじりばね26は、第2整地体23の側端より内側方に位置する。
【解決手段】農作業機11は、耕耘作業をする耕耘体と、耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体21とを備える。第1整地体21の下端部には、第2整地体23を設ける。第2整地体23の左右の側端部には、前後方向の軸25を中心とする回動により作業状態および非作業状態になる延長整地体24を設ける。第2整地体23および延長整地体24間には、延長整地体24を作業状態および非作業状態に保持するねじりばね26を設ける。延長整地体24の非作業状態時には、ねじりばね26は、第2整地体23の側端より内側方に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも耐久性に優れた農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の農作業機は、例えば耕耘作業をする耕耘体と、耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ一方向への回動により第2整地体の外側方に位置する作業状態になり他方向への回動により第2整地体の上方に位置する非作業状態になる左右一対の延長整地体と、延長整地体を作業状態および非作業状態に保持する引きばね(引張りコイルばね)とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、図10および図11に示すように、延長整地体(サイドレーキ)1の内端部が第2整地体(レーキ)2の側端部に軸3を介して回動可能に取り付けられ、延長整地体1のばね取付部4に引きばね5の一端部が取り付けられ、引きばね5の他端部が第2整地体2の側端板6に取り付けられている。
【特許文献1】実開昭63−9807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の農作業機では、長期間の使用により引きばね5による延長整地体1の保持力が弱くなるおそれがあるとともに、第2整地体2の側端板6に引っ掛けられた引きばね5のばね端部があぜ際等と擦れて破損するおそれもある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも耐久性に優れた農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するねじりばねとを備え、前記延長整地体の非作業状態時には、前記ねじりばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置するものである。
【0007】
請求項2記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持する押しばねとを備え、前記延長整地体の非作業状態時には、前記押しばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置するものである。
【0008】
請求項3記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するガススプリングとを備え、前記延長整地体の非作業状態時には、前記ガススプリングは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、延長整地体の非作業状態時にねじりばねが第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する構成であるから、そのねじりばねによって所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも、そのねじりばねのばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、延長整地体の非作業状態時に押しばねが第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する構成であるから、その押しばねによって所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも、その押しばねのばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、延長整地体の非作業状態時にガススプリングが第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する構成であるから、そのガススプリングによって所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも、そのガススプリングの端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の農作業機の一実施の形態を図1ないし図4を参照して説明する。
【0013】
図1において、11は農作業機で、この農作業機11は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結して使用する牽引式の代掻き機である。そして、農作業機は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により圃場を前方に移動しながら代掻作業および土引作業を選択的に行うものである。
【0014】
農作業機11は、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体12を備えている。
【0015】
機体12の左右のチェーンケース部13およびブラケット部14間には、入力軸に接続されたギア、シャフトおよびチェーン等からなる伝動手段からの動力に基づいて所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリ式の耕耘体(図示せず)が回転可能に設けられている。耕耘体は、左右方向に長手状の耕耘軸およびこの耕耘軸に放射状に設けられた耕耘爪を有している。
【0016】
機体12の耕耘カバー部15の後端部には、耕耘体の後方位置で整地作業をする略板状の第1整地体(均平板)21が弾性板であるゴム板22を介して上下方向に回動可能に設けられている。第1整地体21の下端部には、圃場面に追従するように上下方向に回動しながら整地作業をする左右方向長手状で略板状の第2整地体(レーキ)23が左右方向の軸を中心として上下方向に回動可能に設けられている。
【0017】
第2整地体23の左右の側端部には、一方向への回動により第2整地体23の外側方にこの第2整地体23の側端から突出した状態で位置して整地作業をする作業状態になり、他方向への回動により第2整地体23の上方にこの第2整地体23と重なった状態で位置する非作業状態になる略板状の延長整地体(サイドレーキ)24が前後方向の軸25を中心として回動可能に設けられている。
【0018】
第2整地体23と延長整地体24との間には、延長整地体24を弾性復元力によって作業状態および非作業状態に保持するねじりばね26が設けられている。
【0019】
ここで、図2ないし図4に示されるように、第2整地体23は、後端側に略三角形状をなす複数の切欠部31が形成された左右方向長手状の整地板部32を有している。整地板部32の長手方向両端には垂直状の側板部33が設けられている。整地板部32の長手方向両端部上面には軸受部34が設けられ、この軸受部34に形成された軸用孔35に軸25が挿通されている。軸受部34の上側角部近傍には、ばね用孔36が形成されている。
【0020】
また、延長整地体24は、後端側に略三角形状をなす複数の切欠部41が形成された左右方向やや長手状の延長整地板部42を有している。延長整地板部42の内端部上面には軸受部43が設けられ、この軸受部43に形成された軸用孔44に軸25が挿通されている。この軸受部43は、互いに離間対向した前後の対向板45と、両対向板45の上端部相互を連結する連結板46および連結棒47とを有している。延長整地板部42の外端部には、操作ワイヤ48がリング49を介して取り付けられている。
【0021】
さらに、ねじりばね26は、2つのコイル部51と、両コイル部51相互をつなぐ連絡部52と、両コイル部51の各々から延出する延出部53とを有している。そして、2つの延出部53が第2整地体23の軸受部34のばね用孔36に差し込まれ、かつ連絡部52の屈曲部分52aが延長整地体24の軸受部43の連結棒47に引っ掛けられることにより、ねじりばね26が第2整地体23の軸受部34と延長整地体24の軸受部43との間に装着されている。
【0022】
延長整地体24の作業状態時(展開時)には、ねじりばね26の2つのコイル部51は延長整地体24の軸受部43の連結板46の下方に位置し、このコイル部51の上方部が覆い部である連結板46にて覆われている(図3参照)。また、延長整地体24の非作業状態時(折畳時)には、ねじりばね26は、第2整地体23の側端を構成する側板部33から外側方に向って突出することなく第2整地体24の側板部33より内側方に位置する(図4参照)。
【0023】
なお、図3および図4から明らかなように、農作業機11では、ねじりばね26と第2整地体23との接続部Aとねじりばね26と延長整地体24との接続部Bとの間の距離に関して、延長整地体24の非作業状態時における距離が、延長整地体24の作業状態時における距離に比べて短くなる構成となっている。また、延長整地体24の作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置するが、延長整地体24の非作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置しない構成となっている。
【0024】
次に、上記農作業機11の作用等を説明する。
【0025】
農作業機11を使用して代掻作業をする場合、左右の延長整地体24を前後方向の軸25を中心として所望位置まで回動させて作業状態に設定する。この作業状態に設定された延長整地体24は、ねじりばね26の弾性復元力によって作業状態に保持され、所望の整地性能を発揮する。
【0026】
この状態で、農作業機11全体をトラクタの走行により前方に移動させると、耕耘体にて耕耘作業が行われ、第1整地体21、第2整地体23および延長整地体24にて整地作業が行われる。
【0027】
また、例えば運搬時等の非作業時には、トラクタに乗った作業者は、操作ワイヤ48を操作することにより、左右の延長整地体24を前後方向の軸25を中心として所望位置まで回動させて非作業状態(折畳状態)に設定する。この非作業状態に設定された延長整地体24は、ねじりばね26の弾性復元力によって非作業状態に保持され、ばたつくようなことがない。
【0028】
このように農作業機11によれば、延長整地体24の非作業状態時にねじりばね26が第2整地体23の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体23の側端より内側方に位置する構成であるから、そのねじりばね26によって長期間にわたって所望の保持力で延長整地体24を適切に保持できるばかりでなく、そのねじりばね26のばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0029】
次に、農作業機11は、図5および図6に示すものでもよい。
【0030】
図5および図6に示す農作業機11は、1つのコイル部62とこの1つコイル部62からそれぞれ延出する一方側延出部63および他方側延出部64とにて構成されたねじりばね61を備えている。一方側延出部63は第2整地体23の整地板部32に立設されたばね取付板66の上部に取り付けられ、他方側延出部64は延長整地体24の延長整地板部42に立設されたばね取付板67の上部に取り付けられている。なお、この農作業機11においても、前記図1等に示すものと同様、ねじりばね61と第2整地体23との接続部Aとねじりばね61と延長整地体24との接続部Bとの間の距離に関して、延長整地体24の非作業状態時における距離が、延長整地体24の作業状態時における距離に比べて短くなる構成となっている。また、延長整地体24の作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置するが、延長整地体24の非作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置しない構成となっている。
【0031】
そして、図5および図6に示す農作業機11でも、前記図1等に示すものと同様、ねじりばね61によって長期間にわたって所望の保持力で延長整地体24を適切に保持できるばかりでなく、そのねじりばね61のばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0032】
また、農作業機11は、図7に示すように、ねじりばね26,61の代わりに、延長整地体24を弾性復元力によって作業状態および非作業状態に保持する押しばね(圧縮ばね)71を使用したものでもよい。
【0033】
第2整地体23の整地板部32に立設された立設板72の上部には丸棒等の棒部材73の基端側が回動可能に取り付けられ、延長整地体24の延長整地板部42に立設された立設板74の上部には丸パイプ等の筒状部材75の基端側が回動可能に取り付けられ、この筒状部材75内には棒部材73の先端側がスライド自在に挿入されている。そして、棒部材73に固定された受部である座金76と筒状部材75の先端部の間に、押しばね71が圧縮された状態で装着されている。
【0034】
そして、図7に示す農作業機11でも、前記図1等に示すものと同様、押しばね71によって長期間にわたって所望の保持力で延長整地体24を適切に保持できるばかりでなく、その押しばね71のばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0035】
また、例えば図8に示す略く字形状をなす押しばね(圧縮ばね)81を備えたものでも、同様の作用効果を奏することができる。略く字形状の押しばね81の一端部が第2整地体23の整地板部32に立設された立設板82の上部に取り付けられ、略く字形状の押しばね81の他端部が延長整地体24の延長整地板部42に立設された立設板83の上部に取り付けられている。
【0036】
さらに、例えば図9に示すように、延長整地体24を作業状態および非作業状態に保持するガススプリング91を備えたものでも、同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
窒素ガス等の高圧ガスを封入したガススプリング91は、シリンダ部94およびピストンロッド部95を有し、ピストンロッド部95の先端部が第2整地体23の整地板部32に立設された立設板92の上部に回動可能に取り付けられ、シリンダ部94の基端部が延長整地体24の延長整地板部42に立設された立設板93の上部に取り付けられている。
【0038】
なお、延長整地体24を第2整地体23の左右の側端部にそれぞれ設けた構成には限定されず、例えば図示しないが、延長整地体24を第2整地体23の左右いずれか一方の側端部のみに設けた構成でもよい。
【0039】
また、延長整地体24を操作ワイヤ48を用いて手動操作する構成には限定されず、例えばモータ等の駆動手段からの動力で延長整地体24を回動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の平面図である。
【図2】同上農作業機の延長整地体の作業状態時の平面図である。
【図3】同上延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図4】同上延長整地体の非作業状態時の後面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図6】同上延長整地体の非作業状態時の後面図である。
【図7】押しばねで保持される延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図8】別の押しばねで保持される延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図9】ガススプリングで保持される延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図10】従来の延長整地体の作業状態時の平面図である。
【図11】従来の延長整地体の非作業状態時の後面図である。
【符号の説明】
【0041】
11 農作業機
21 第1整地体
23 第2整地体
24 延長整地体
25 軸
26,61 ねじりばね
71,81 押しばね
91 ガススプリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも耐久性に優れた農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の農作業機は、例えば耕耘作業をする耕耘体と、耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ一方向への回動により第2整地体の外側方に位置する作業状態になり他方向への回動により第2整地体の上方に位置する非作業状態になる左右一対の延長整地体と、延長整地体を作業状態および非作業状態に保持する引きばね(引張りコイルばね)とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、図10および図11に示すように、延長整地体(サイドレーキ)1の内端部が第2整地体(レーキ)2の側端部に軸3を介して回動可能に取り付けられ、延長整地体1のばね取付部4に引きばね5の一端部が取り付けられ、引きばね5の他端部が第2整地体2の側端板6に取り付けられている。
【特許文献1】実開昭63−9807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の農作業機では、長期間の使用により引きばね5による延長整地体1の保持力が弱くなるおそれがあるとともに、第2整地体2の側端板6に引っ掛けられた引きばね5のばね端部があぜ際等と擦れて破損するおそれもある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも耐久性に優れた農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するねじりばねとを備え、前記延長整地体の非作業状態時には、前記ねじりばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置するものである。
【0007】
請求項2記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持する押しばねとを備え、前記延長整地体の非作業状態時には、前記押しばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置するものである。
【0008】
請求項3記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するガススプリングとを備え、前記延長整地体の非作業状態時には、前記ガススプリングは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、延長整地体の非作業状態時にねじりばねが第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する構成であるから、そのねじりばねによって所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも、そのねじりばねのばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、延長整地体の非作業状態時に押しばねが第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する構成であるから、その押しばねによって所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも、その押しばねのばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、延長整地体の非作業状態時にガススプリングが第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する構成であるから、そのガススプリングによって所望の保持力で延長整地体を保持でき、しかも、そのガススプリングの端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の農作業機の一実施の形態を図1ないし図4を参照して説明する。
【0013】
図1において、11は農作業機で、この農作業機11は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結して使用する牽引式の代掻き機である。そして、農作業機は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により圃場を前方に移動しながら代掻作業および土引作業を選択的に行うものである。
【0014】
農作業機11は、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体12を備えている。
【0015】
機体12の左右のチェーンケース部13およびブラケット部14間には、入力軸に接続されたギア、シャフトおよびチェーン等からなる伝動手段からの動力に基づいて所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリ式の耕耘体(図示せず)が回転可能に設けられている。耕耘体は、左右方向に長手状の耕耘軸およびこの耕耘軸に放射状に設けられた耕耘爪を有している。
【0016】
機体12の耕耘カバー部15の後端部には、耕耘体の後方位置で整地作業をする略板状の第1整地体(均平板)21が弾性板であるゴム板22を介して上下方向に回動可能に設けられている。第1整地体21の下端部には、圃場面に追従するように上下方向に回動しながら整地作業をする左右方向長手状で略板状の第2整地体(レーキ)23が左右方向の軸を中心として上下方向に回動可能に設けられている。
【0017】
第2整地体23の左右の側端部には、一方向への回動により第2整地体23の外側方にこの第2整地体23の側端から突出した状態で位置して整地作業をする作業状態になり、他方向への回動により第2整地体23の上方にこの第2整地体23と重なった状態で位置する非作業状態になる略板状の延長整地体(サイドレーキ)24が前後方向の軸25を中心として回動可能に設けられている。
【0018】
第2整地体23と延長整地体24との間には、延長整地体24を弾性復元力によって作業状態および非作業状態に保持するねじりばね26が設けられている。
【0019】
ここで、図2ないし図4に示されるように、第2整地体23は、後端側に略三角形状をなす複数の切欠部31が形成された左右方向長手状の整地板部32を有している。整地板部32の長手方向両端には垂直状の側板部33が設けられている。整地板部32の長手方向両端部上面には軸受部34が設けられ、この軸受部34に形成された軸用孔35に軸25が挿通されている。軸受部34の上側角部近傍には、ばね用孔36が形成されている。
【0020】
また、延長整地体24は、後端側に略三角形状をなす複数の切欠部41が形成された左右方向やや長手状の延長整地板部42を有している。延長整地板部42の内端部上面には軸受部43が設けられ、この軸受部43に形成された軸用孔44に軸25が挿通されている。この軸受部43は、互いに離間対向した前後の対向板45と、両対向板45の上端部相互を連結する連結板46および連結棒47とを有している。延長整地板部42の外端部には、操作ワイヤ48がリング49を介して取り付けられている。
【0021】
さらに、ねじりばね26は、2つのコイル部51と、両コイル部51相互をつなぐ連絡部52と、両コイル部51の各々から延出する延出部53とを有している。そして、2つの延出部53が第2整地体23の軸受部34のばね用孔36に差し込まれ、かつ連絡部52の屈曲部分52aが延長整地体24の軸受部43の連結棒47に引っ掛けられることにより、ねじりばね26が第2整地体23の軸受部34と延長整地体24の軸受部43との間に装着されている。
【0022】
延長整地体24の作業状態時(展開時)には、ねじりばね26の2つのコイル部51は延長整地体24の軸受部43の連結板46の下方に位置し、このコイル部51の上方部が覆い部である連結板46にて覆われている(図3参照)。また、延長整地体24の非作業状態時(折畳時)には、ねじりばね26は、第2整地体23の側端を構成する側板部33から外側方に向って突出することなく第2整地体24の側板部33より内側方に位置する(図4参照)。
【0023】
なお、図3および図4から明らかなように、農作業機11では、ねじりばね26と第2整地体23との接続部Aとねじりばね26と延長整地体24との接続部Bとの間の距離に関して、延長整地体24の非作業状態時における距離が、延長整地体24の作業状態時における距離に比べて短くなる構成となっている。また、延長整地体24の作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置するが、延長整地体24の非作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置しない構成となっている。
【0024】
次に、上記農作業機11の作用等を説明する。
【0025】
農作業機11を使用して代掻作業をする場合、左右の延長整地体24を前後方向の軸25を中心として所望位置まで回動させて作業状態に設定する。この作業状態に設定された延長整地体24は、ねじりばね26の弾性復元力によって作業状態に保持され、所望の整地性能を発揮する。
【0026】
この状態で、農作業機11全体をトラクタの走行により前方に移動させると、耕耘体にて耕耘作業が行われ、第1整地体21、第2整地体23および延長整地体24にて整地作業が行われる。
【0027】
また、例えば運搬時等の非作業時には、トラクタに乗った作業者は、操作ワイヤ48を操作することにより、左右の延長整地体24を前後方向の軸25を中心として所望位置まで回動させて非作業状態(折畳状態)に設定する。この非作業状態に設定された延長整地体24は、ねじりばね26の弾性復元力によって非作業状態に保持され、ばたつくようなことがない。
【0028】
このように農作業機11によれば、延長整地体24の非作業状態時にねじりばね26が第2整地体23の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体23の側端より内側方に位置する構成であるから、そのねじりばね26によって長期間にわたって所望の保持力で延長整地体24を適切に保持できるばかりでなく、そのねじりばね26のばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0029】
次に、農作業機11は、図5および図6に示すものでもよい。
【0030】
図5および図6に示す農作業機11は、1つのコイル部62とこの1つコイル部62からそれぞれ延出する一方側延出部63および他方側延出部64とにて構成されたねじりばね61を備えている。一方側延出部63は第2整地体23の整地板部32に立設されたばね取付板66の上部に取り付けられ、他方側延出部64は延長整地体24の延長整地板部42に立設されたばね取付板67の上部に取り付けられている。なお、この農作業機11においても、前記図1等に示すものと同様、ねじりばね61と第2整地体23との接続部Aとねじりばね61と延長整地体24との接続部Bとの間の距離に関して、延長整地体24の非作業状態時における距離が、延長整地体24の作業状態時における距離に比べて短くなる構成となっている。また、延長整地体24の作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置するが、延長整地体24の非作業状態時には軸25が接続部Aと接続部Bとの間に位置しない構成となっている。
【0031】
そして、図5および図6に示す農作業機11でも、前記図1等に示すものと同様、ねじりばね61によって長期間にわたって所望の保持力で延長整地体24を適切に保持できるばかりでなく、そのねじりばね61のばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0032】
また、農作業機11は、図7に示すように、ねじりばね26,61の代わりに、延長整地体24を弾性復元力によって作業状態および非作業状態に保持する押しばね(圧縮ばね)71を使用したものでもよい。
【0033】
第2整地体23の整地板部32に立設された立設板72の上部には丸棒等の棒部材73の基端側が回動可能に取り付けられ、延長整地体24の延長整地板部42に立設された立設板74の上部には丸パイプ等の筒状部材75の基端側が回動可能に取り付けられ、この筒状部材75内には棒部材73の先端側がスライド自在に挿入されている。そして、棒部材73に固定された受部である座金76と筒状部材75の先端部の間に、押しばね71が圧縮された状態で装着されている。
【0034】
そして、図7に示す農作業機11でも、前記図1等に示すものと同様、押しばね71によって長期間にわたって所望の保持力で延長整地体24を適切に保持できるばかりでなく、その押しばね71のばね端部があぜ際等と擦れて破損するようなこともなく、耐久性に優れている。
【0035】
また、例えば図8に示す略く字形状をなす押しばね(圧縮ばね)81を備えたものでも、同様の作用効果を奏することができる。略く字形状の押しばね81の一端部が第2整地体23の整地板部32に立設された立設板82の上部に取り付けられ、略く字形状の押しばね81の他端部が延長整地体24の延長整地板部42に立設された立設板83の上部に取り付けられている。
【0036】
さらに、例えば図9に示すように、延長整地体24を作業状態および非作業状態に保持するガススプリング91を備えたものでも、同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
窒素ガス等の高圧ガスを封入したガススプリング91は、シリンダ部94およびピストンロッド部95を有し、ピストンロッド部95の先端部が第2整地体23の整地板部32に立設された立設板92の上部に回動可能に取り付けられ、シリンダ部94の基端部が延長整地体24の延長整地板部42に立設された立設板93の上部に取り付けられている。
【0038】
なお、延長整地体24を第2整地体23の左右の側端部にそれぞれ設けた構成には限定されず、例えば図示しないが、延長整地体24を第2整地体23の左右いずれか一方の側端部のみに設けた構成でもよい。
【0039】
また、延長整地体24を操作ワイヤ48を用いて手動操作する構成には限定されず、例えばモータ等の駆動手段からの動力で延長整地体24を回動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の平面図である。
【図2】同上農作業機の延長整地体の作業状態時の平面図である。
【図3】同上延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図4】同上延長整地体の非作業状態時の後面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図6】同上延長整地体の非作業状態時の後面図である。
【図7】押しばねで保持される延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図8】別の押しばねで保持される延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図9】ガススプリングで保持される延長整地体の作業状態時の後面図である。
【図10】従来の延長整地体の作業状態時の平面図である。
【図11】従来の延長整地体の非作業状態時の後面図である。
【符号の説明】
【0041】
11 農作業機
21 第1整地体
23 第2整地体
24 延長整地体
25 軸
26,61 ねじりばね
71,81 押しばね
91 ガススプリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、
この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、
この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、
この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するねじりばねとを備え、
前記延長整地体の非作業状態時には、前記ねじりばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、
この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、
この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、
この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持する押しばねとを備え、
前記延長整地体の非作業状態時には、前記押しばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、
この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、
この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、
この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するガススプリングとを備え、
前記延長整地体の非作業状態時には、前記ガススプリングは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、
この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、
この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、
この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するねじりばねとを備え、
前記延長整地体の非作業状態時には、前記ねじりばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、
この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、
この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、
この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持する押しばねとを備え、
前記延長整地体の非作業状態時には、前記押しばねは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方位置で整地作業をする第1整地体と、
この第1整地体に上下方向に回動可能に設けられた第2整地体と、
この第2整地体の側端部に前後方向の軸を中心として回動可能に設けられ、一方向への回動により前記第2整地体の外側方に位置する作業状態になり、他方向への回動により前記第2整地体の上方に位置する非作業状態になる延長整地体と、
この延長整地体を作業状態および非作業状態に保持するガススプリングとを備え、
前記延長整地体の非作業状態時には、前記ガススプリングは、前記第2整地体の側端から外側方に向って突出することなくこの第2整地体の側端より内側方に位置する
ことを特徴とする農作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−20456(P2007−20456A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206343(P2005−206343)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】
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