説明

農作業機

【課題】効率良く耕耘作業が行なえる農作業機を提供することを課題としている。
【解決手段】耕耘爪19を備えた耕耘用のロータリ6と、耕耘作業時に耕耘深さを維持する耕深維持装置と、該耕深維持装置を支持するブラケット13とを備え、ブラケット13が側面視で耕耘爪19の回転軌跡Dの一部と重複するように配置された農作業機において、回転に伴い耕耘爪19がブラケット13に近づく際に、互いに対向するブラケット13及び耕耘爪19の端縁13a,26が、少なくともブラケット13と上記耕耘爪19の回転軌跡Dとの重複範囲で、側面視前記耕耘爪19の回転軌跡Dの外側に向かって次第に大きく開くようにブラケット13と耕耘爪19とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリを備えた歩行型管理機等の農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘爪を備えた耕耘用のロータリと、耕耘作業時に耕耘深さを維持する耕耘維持装置としてのゲージ輪と、該ゲージ輪を支持するブラケットとを備え、ブラケットが側面視で耕耘爪の回転軌跡の一部と重複するように配置された農作業機が公知となっている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−61076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記文献の農作業機は耕耘作業時に耕耘爪によって掻き上げられた石等が、耕耘爪の回転に伴って対向しながら近づくブラケットの端縁と耕耘爪の端縁との間に挟み込まれ、耕耘用のロータリがスムーズに回転せず、耕耘作業の効率が低下するという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため本発明の農作業機によれば、耕耘爪19を備えた耕耘用のロータリ6と、耕耘作業時に耕耘深さを維持する耕深維持装置と、該耕深維持装置を支持するブラケット13とを備え、ブラケット13が側面視で耕耘爪19の回転軌跡Dの一部と重複するように配置された農作業機において、回転に伴い耕耘爪19がブラケット13に近づく際に、互いに対向するブラケット13及び耕耘爪19の端縁13a,26が、少なくともブラケット13と上記耕耘爪19の回転軌跡Dとの重複範囲で、側面視前記耕耘爪19の回転軌跡Dの外側に向かって次第に大きく開くようにブラケット13と耕耘爪19とを形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
以上のように構成される本発明の農作業機によれば、耕耘作業時に耕耘爪によって掻き上げられた石等が、回転に伴い耕耘爪がブラケットに近づく際に、互いに対向するブラケット及び耕耘爪の端縁の間に挟み込まれることが防止され、上記石等はロータリの外側に排出されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は本発明を適用した農作業機である歩行型管理機の側面図、図2は正面図である。ミッションケース1が機体フレームを構成する。ミッションケース1の下方後方側には車軸2が、前方にはロータリ軸3が左右に突出して設けられている。
【0007】
車軸2には走行用の車輪4が軸支されている。ロータリ軸3には耕耘用のロータリ6が軸支されている。ロータリ6の上方及び後方上部はロータリカバー7によって覆われている。前方側の持ち手を兼用するカバーフレーム8がミッションケース1側に固定され、上記ロータリカバー7はカバーフレーム8に取り付けられている。
【0008】
ミッションケース1の上方にはエンジン9が設置さている。エンジン9とミッションケース1との間には、エンジン9からミッションケース1内に構成されたトランスミッションに駆動力を伝動する伝動ケース10が設けられている。上記トランスミッションは車輪4用の走行変速機構と、ロータリ6用のロータリ変速機構とを備えている。ミッションケース1からは車輪4及びロータリ6の駆動変速を操作する主操作レバー11が突設されている。
【0009】
ロータリ6の前方には、ゲージ輪12が設けられている。ゲージ輪12はミッションケース1側に取り付けられたブラケット13に、アーム14を介して上下揺動調節可能に支持されている。アーム14側にはゲージ輪12の上下揺動調節用のレバー15が設けられている。
【0010】
ミッションケース1の後方側にはハンドル用ブラケット16が取り付けられている。ハンドル用ブラケット16には後方斜め上方に向かってハンドル17が取り付けられている。ハンドル17には伝動ケース10内に設けられたクラッチの入切を操作するクラッチ操作レバー18が設けられている。
【0011】
上記ロータリ6は、ロータリ軸3に取り付けられた複数の耕耘爪19からなる。該耕耘爪19は耕耘量の少ない直爪19aと、耕耘量の多いナタ爪19bとの2種類がある。ナタ爪19bが左右の外側方に、直爪19aが、ナタ爪19bの内側に各々配置されている。
【0012】
直爪19aはミッションケース1の左右側面に隣接している。直爪19aの先端部分は側面視で長方形状になっている。各直爪19aは、正面視で先端の直線状になっている部分が内側に位置するクランク形状に形成されている。
【0013】
直爪19aに隣接するナタ爪19bは正面視で先端側が内側に向かって湾曲した形状になっている。さらにその外側に配置されている2個のナタ爪19bは互いが対向するように湾曲した形状になっている。ナタ爪19bはロータリ軸3に一体的に取り付けられている。
【0014】
ナタ爪19bはロータリ軸3の回転駆動によってロータリ軸3と一体に回転する。直爪19aはロータリ軸3の回転駆動時に、ロータリ軸3の回転方向の逆方向に回転するようにロータリ軸3に回転自在に支持されている。これによりロータリ軸3を回転駆動することによってナタ爪19bと直爪19aとが互いに逆方向に回転する。
【0015】
上記ブラケット13は、前述のカバーフレーム8に一体的に固定されている。ブラケット13は、左右の直爪19aの間に配置されている。このため直爪19aの回転時、先端部分がブラケット13の側面に周期的に近接する。
【0016】
図3は本歩行型管理機の要部側面図である。ロータリ軸3にはフランジ20を介して3個の直爪19aが均等に軸支されている。上記ブラケット13は側面視で上記直爪19aの回転軌跡Dの一部と重複するように、ロータリ軸3の上方に配置されている。ブラケット13の前端縁13aの側面形状は、直爪19aの回転軌跡Dとの重複部分が斜め上方に向かう放射線状の直線状をなし、該直線部分に連続して上方前側に向かって反り返る円弧形状となっている。
【0017】
ブラケット13には支点溝21と円弧状のガイド溝22とが設けられている。支点溝21には、前述のアーム14の基端部に設けられた支点軸23が収容されている。ガイド溝22には、アーム14の中間部分に設けられたガイド軸24が挿入されている。
【0018】
ゲージ輪12は上記のようにブラケット13に支持されており、ガイド軸24のガイド溝22内の固定位置を変えることにより、ゲージ輪12の位置をレバー15で上下に調整することができる。このゲージ輪12は耕耘深維持装置であり、上下調整によってロータリ6による耕耘深さを容易に調整することができる。
【0019】
本歩行型管理機は上記のように構成されており、車輪4とゲージ輪12を接地させて作業者がハンドル17をもち、エンジン9を作動させ、クラッチ操作レバー18によってエンジン9からトランスミッションに駆動力を伝動させることによって、主操作レバー11により変速操作しながら車輪4の駆動により機体を走行させ、この機体の走行に伴って回転するロータリ6により耕耘作業を行うことができる。
【0020】
通常の耕耘作業では機体を前進させ、耕耘爪19のうち耕耘量の多いナタ爪19bを機体の進行方向に対して正回転(図1における反時計回りに回転)させる。この際耕耘量の少ない直爪19aは機体の進行方向に対してX方向に逆回転(図3における時計回りに回転)する。直爪19aの逆回転により、機体のダッシング現象が防止される。また直爪19aは回転時に先端部分がミッションケース1の側面に周期的に近接し、ミッションケース1の側面に付いた泥等を掻き落とす。
【0021】
上記耕耘作業時、直爪19aの逆回転によって、側面視においてブラケット13と重複しない位置にある直爪19aは、回転に伴いブラケット13の前端縁13aに徐々に近づく。この際各直爪19aは、回転方向において各々上記前端縁13aに対向する直線状の対向端縁26が、ブラケットの上記端縁13aに近づいていく。
【0022】
直爪19aの対向端縁26と、ブラケット13の前端縁13aとは、側面視においてブラケット13の前端縁13aの直爪19aの回転軌跡Dとの重複部分が上方に向かう放射線状をなし、直爪19aの対向端縁26が直線状をなすため、少なくともブラケット13の前端縁13aにおける直爪19aの回転軌跡Dとの重複部分は、全ての範囲において、直爪19aの回転軌跡Dの外側に向かって連続的に次第に大きく開く。
【0023】
本実施形態においては、上記ブラケット13の上記放射線状部分に連続する円弧状部分も直爪19aの対向端縁26の延長線に対して、直爪19aの回転軌跡Dの外側に向かって連続的に次第に大きく開く。
【0024】
耕耘作業時、直爪19aやナタ爪19b等によって掻き上げられた一部の石等は、直爪19aの対向端縁26と、ブラケット13の前端縁13aとの間に挟まれるが、上記のように直爪19aの対向端縁26と、ブラケット13の前端縁13aにおける直爪19aの回転軌跡Dとの重複部分とが、側面視において連続的に次第に大きく開き、前方向に開いたくさび形状となるため、上記石等は徐々に直爪19aの回転軌跡Dの外側に案内され、円滑に排出される。
【0025】
上記作用によって直爪19aの対向端縁26と、ブラケット13の前端縁13aとの間への石詰まり等が防止され、作業者は効率よくに耕耘作業を行うことができる。特に本実施形態においては、上記ブラケット13の上記放射線状部分に連続する円弧状部分も直爪19aの対向端縁26の延長線に対して、直爪19aの回転軌跡Dの外側に向かって連続的に次第に大きく開くため、上記石等の排出がより円滑に行われる。
【0026】
なおブラケット13の前端縁13aにおける直爪19aの回転軌跡Dとの重複部分の側面形状は、直爪19aの対向端縁に対して、直爪19aの回転軌跡Dの外側に向かって次第に大きく開けば、円弧状や、階段状等いかなる形状であってもよい。また耕深維持装置は上記ゲージ輪14に限定されるものではなく、ブラケット13に固定され耕す深さを維持できるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】歩行型管理機の側面図である。
【図2】歩行型管理機の正面図である。
【図3】歩行型管理機の要部側面図である。
【符号の説明】
【0028】
6 ロータリ
13 ブラケット
13a 前端縁(端縁)
19 耕耘爪
26 対向端縁(端縁)
D 耕耘爪の回転軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘爪(19)を備えた耕耘用のロータリ(6)と、耕耘作業時に耕耘深さを維持する耕深維持装置と、該耕深維持装置を支持するブラケット(13)とを備え、ブラケット(13)が側面視で耕耘爪(19)の回転軌跡(D)の一部と重複するように配置された農作業機において、回転に伴い耕耘爪(19)がブラケット(13)に近づく際に、互いに対向するブラケット(13)及び耕耘爪(19)の端縁(13a),(26)が、少なくともブラケット(13)と上記耕耘爪(19)の回転軌跡(D)との重複範囲で、側面視前記耕耘爪(19)の回転軌跡(D)の外側に向かって次第に大きく開くようにブラケット(13)と耕耘爪(19)とを形成した農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−6(P2008−6A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169624(P2006−169624)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】