説明

農作業機

【課題】トラクタに装着し農作業を行う作業機に有する出力機器の電源を作業機側から得られる農作業機を提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタ1に装着する作業機2で農作業を行う農作業機において、作業機1以外の場所に無線で操作信号を送信する送信部12が配置され、作業機2には、出力機器40と、送信部12から無線による操作信号を受信する無線受信部21と、無線受信部21が受信した操作信号に基づき出力機器40を制御する制御部22と、少なくとも出力機器40の電源となる蓄電装置31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機に関し、特に、トラクタに装着し農作業を行う作業機に有する出力機器の電源を作業機側から得られる農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着して農作業を行う作業機には、様々な農作業等に対応するため、出力機器を備えている。出力機器は、トラクタのPTO回転から動力を得る場合もあるが、多様な出力機器の出力に対応するため、トラクタのバッテリから電源をとって出力機器を作動させている場合も多い。例えば、特許文献1には、トラクタのバッテリを電源とする農作業機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−195447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、トラクタのバッテリから電源を取る場合、出力機器の電気の使い方によっては、トラクタのバッテリあがりを引きおこしたり、電源ケーブルの配線に時間がかかったりしていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着し農作業を行う作業機に有する出力機器の電源を作業機側から得られる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の農作業機は、トラクタに装着する作業機で農作業を行う農作業機において、前記作業機以外の場所に無線で操作信号を送信する送信部が配置され、前記作業機には、出力機器と、前記送信部から無線による操作信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部が受信した操作信号に基づき前記出力機器を制御する制御部と、少なくとも前記出力機器の電源となる蓄電装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
さらに本発明の農作業機は、前記トラクタが有するトラクタバッテリと前記蓄電装置とが接続され、前記トラクタバッテリから前記蓄電装置の充電が可能であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機は、前記トラクタバッテリと前記蓄電装置の間には、前記トラクタバッテリから前記蓄電装置の方向にのみ電力が供給されるようにする逆流防止装置を有することを特徴とする。
【0008】
さらに本発明の農作業機は、前記トラクタが有する外部電源と前記蓄電装置とが接続され、前記トラクタの外部電源から前記蓄電装置の充電が可能であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機は、前記外部電源と前記蓄電装置の間には、前記外部電源から前記蓄電装置の方向にのみ電力が供給されるようにする逆流防止装置を有することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の農作業機は、前記作業機は、ソーラーパネルを有し、前記蓄電装置は、前記ソーラーパネルから充電可能であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機は、前記蓄電装置は、蓄電池あるいは蓄電システムであることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機は、前記蓄電装置は、蓄電器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、農作業機において、トラクタに装着し農作業を行う作業機に有する出力機器の電源を作業機側から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の農作業機の第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】本発明の農作業機の第2の実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の農作業機の第3の実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の農作業機が有する作業機の一例を示す正面図である。
【図5】本発明の農作業機が有する作業機の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の農作業機の第1の実施形態を示す平面図である。トラクタ1の後部には、作業機2が装着されており、トラクタ1の牽引力や、トラクタ1のPTO回転動力、出力機器等を利用して農作業を行う。トラクタ1には、運転席11近傍に無線送信部12が配置されている。作業機2には、蓄電装置31と、無線受信部21と、コントローラである制御部22と、出力機器であるアクチュエータ40とが設置されている。
【0014】
無線送信部12は、アクチュエータ40の操作を行うための操作スイッチを有しており、作業者はトラクタの運転席11に座ったまま操作スイッチを操作することができる。すると、操作信号が無線受信部21へ送信される。また、無線送信部12は、トラクタ1の外へ持ち出し可能とし、作業者がアクチュエータ40をトラクタ1を降りた場所から操作するようにしてもよい。
【0015】
無線受信部21は、無線送信部12から無線で送られてくる操作信号を受信する。そして制御部22は、受信した操作信号に基づきアクチュエータ40の制御を行う。制御部22は、例えば、必要なデバイス等をボックス内に格納して構成されてもよいし、無線受信部21と一体に構成してもよい。アクチュエータ40は作業機2のための出力機器でありその具体例は後述する。
【0016】
蓄電装置31は、作業機2に設置されるバッテリであり、アクチュエータ40や無線受信部21に電力を供給するためのものである。トラクタとは独立した蓄電装置31を有することで、従来のトラクタのバッテリから電力を得ていた場合に比べ、トラクタとの電源ケーブルの接続が不要なり、さらに、トラクタのバッテリあがりを防止する等の効果を有する。特に、操作信号を無線により送受信するシステムの場合は、操作信号のための接続ケーブルが必要ないため、作業機を取り付け取り外しする際の、トラクタ1と作業機2の間のハーネスの接続作業がなくなる。このため、作業者は、農作業の作業内容に合わせ、作業機2を容易に交換可能となり、利便性及び効率が高いものとなる。蓄電装置31は、蓄電池で、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛電池等が挙げられる。また、蓄電装置31は、この他に、蓄電のための回路等を介してリチウム電池等の蓄電池に蓄電する蓄電システムとしての構成であってもよい。またさらに、蓄電装置31は、バッテリとしての構成以外に、蓄電器であるキャパシタ(コンデンサ)による構成としてもよい。
【0017】
〔第2の実施形態〕
本発明の農作業機の第2の実施形態を示す平面図である。第2の実施形態では、蓄電装置31への充電方法を示し、第1の実施形態に加えて適用可能である。トラクタ1には、トラクタバッテリ13を有している。そして、トラクタバッテリ13と蓄電装置31は、接続ハーネス25により接続され、途中に逆流防止装置27を介在している。
【0018】
接続ハーネス25は、途中に、コネクタ25aを有しており、コネクタ25aにおいて、トラクタ側ハーネス25bと、作業機側ハーネス25cに分離(脱着)可能となっている。このため、作業機2をトラクタ1から取り外している時は、コネクタ25aを取り外し、また、蓄電装置31の充電量が少なくなってきた時は、コネクタ25aを接続する等、必要な時だけ接続することができる。
【0019】
逆流防止装置27は、接続ハーネス25の途中に介在するように設置されている。特に、作業機側ハーネス25c側に有していれば、コネクタ25aを取り外してトラクタ1を取り替えることがあっても、逆流防止装置27は常に作業機2側にあり、トラクタごとで逆流防止装置27を用意する必要がなくなる。逆流防止装置27は、トラクタバッテリ13から蓄電装置31への方向のみ電力が供給されて蓄電装置31の充電がされるようにするもので、電位差などの関係で、蓄電装置31からトラクタバッテリ13に電力が供給されないようにするためのものである。逆流防止装置27は、例えば、アイソレータで構成される。
【0020】
ソーラーパネル32は、蓄電装置31と接続され、太陽光により発電した電気は蓄電装置31に充電される。作業機2は、主に屋外で使用されるため太陽光によるエネルギーを有効に活用できる。
【0021】
〔第3の実施形態〕
図3は、本発明の農作業機の第3の実施形態を示す平面図である。第3の実施形態は、蓄電装置31への第2の実施形態とは異なる充電方法を示し第1の実施形態に加えて適用可能である。トラクタ1には、トラクタバッテリ13と、トラクタバッテリ13に接続される外部電源ハーネス16とを有し、外部電源が構成されている。一方、作業機2には、第1ハーネス28と、第1ハーネス28と接続される逆流防止装置付充電器26と、逆流防止装置付充電器26と接続される第2ハーネス29と、第2ハーネス29と接続される蓄電装置31とを有している。
【0022】
外部電源ハーネス16は、一端が外部電源ハーネス16と接続され他端がコネクタ16aとなっており、途中にスイッチ15を有している。これにより、スイッチ15がONになった時のみ、トラクタバッテリ13の電力が、コネクタ16a側に供給される。スイッチ15はトラクタ1のエンジン始動のスイッチと共有でき、例えば、エンジン始動のためのキーを回転させるときにONとなるように構成することができる。これにより、コネクタ16aは外部電源として各種の機器に接続可能となる。
【0023】
第1ハーネス28は、一端にコネクタ28aを有しており、他端が逆流防止装置付充電器26に接続さている。コネクタ28aは、外部電源ハーネス16のコネクタ16aと脱着可能なコネクタであり、第2の実施形態同様に充電に必要な時だけ接続することができる。
【0024】
逆流防止装置付充電器26は、逆流防止装置27を有する充電器であり、供給された電気エネルギーを蓄電装置31に充電する。逆流防止装置27は、第2の実施形態と同様の構成であり、外部電源側(トラクタバッテリ13)から蓄電装置31への方向のみ電力が供給されるように構成されている。また、充電器の方式は、接触式でも非接触式でもよい。なお、ソーラーパネル32は、本実施形態にも設置することも可能である。
【0025】
〔作業機の一例〕
図4は、本発明の農作業機が有する作業機の一例を示す正面図である。図5は、本発明の農作業機が有する作業機の一例を示す平面図である。図4と図5の作業機2は折りたたみ機構を備えた代掻き機50であり、入力軸51側をトラクタ1に装着し、カバー52や均平板53の内側で代掻き爪が回転することにより代掻き作業を行う。これを用いて、出力機器(アクチュエータ40)の例について説明する。
【0026】
電動油圧シリンダ56は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構57を作用させサイド作業部55を(図4の左側のように)上側に折りたたみ、代掻き機50の全幅を短くすることができる。延長レーキ開閉装置60は、内部のモーターが回転することにより、制御バー62やワイヤ63を介して延長レーキ61を回動軸61aを中心に上下に回動させ、延長レーキ61を使用するか否かを選択することができる。土引きユニット66は、内部のモーターの回転により土引き部67等を介してレーキ65の上下動を制御し、土引きを調整することができる。
【0027】
これら、電動油圧シリンダ56や、延長レーキ開閉装置60(のモーター)、土引きユニット66(のモーター)をアクチュエータ40として、蓄電装置31を電源として動作させることができる。また、ソーラーパネル32は、均平板53に取り付けて発電された電気が蓄電装置31に充電される。
【符号の説明】
【0028】
1 トラクタ
2 作業機
12 無線送信部
13 トラクタバッテリ
15 スイッチ
16 外部電源ハーネス
16a コネクタ
21 無線受信部
22 制御部
25 接続ハーネス
26 逆流防止装置付充電器
27 逆流防止装置
31 蓄電装置
32 ソーラーパネル
40 アクチュエータ
50 代掻き機
53 均平板
55 サイド作業部
56 電動油圧シリンダ
60 延長レーキ開閉装置
61 延長レーキ
65 レーキ
66 土引きユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着する作業機で農作業を行う農作業機において、
前記作業機以外の場所に無線で操作信号を送信する送信部が配置され、
前記作業機には、出力機器と、前記送信部から無線による操作信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部が受信した操作信号に基づき前記出力機器を制御する制御部と、少なくとも前記出力機器の電源となる蓄電装置とを備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機において、
前記トラクタが有するトラクタバッテリと前記蓄電装置とが接続され、前記トラクタバッテリから前記蓄電装置の充電が可能であることを特徴とする農作業機。
【請求項3】
請求項2記載の農作業機において、
前記トラクタバッテリと前記蓄電装置の間には、前記トラクタバッテリから前記蓄電装置の方向にのみ電力が供給されるようにする逆流防止装置を有することを特徴とする農作業機。
【請求項4】
請求項1に記載の農作業機において、
前記トラクタが有する外部電源と前記蓄電装置とが接続され、前記トラクタの外部電源から前記蓄電装置の充電が可能であることを特徴とする農作業機。
【請求項5】
請求項4記載の農作業機において、
前記外部電源と前記蓄電装置の間には、前記外部電源から前記蓄電装置の方向にのみ電力が供給されるようにする逆流防止装置を有することを特徴とする農作業機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の農作業機において、
前記作業機は、ソーラーパネルを有し、前記蓄電装置は、前記ソーラーパネルから充電可能であることを特徴とする農作業機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の農作業機において、
前記蓄電装置は、蓄電池あるいは蓄電システムであることを特徴とする農作業機。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の農作業機において、
前記蓄電装置は、蓄電器であることを特徴とする農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−97835(P2011−97835A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252848(P2009−252848)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】