説明

農作業機

【課題】ロータリ作業機の耕耘体と均平板の間を覆う側板により耕耘後に溝ができることを防止する農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体13と、この耕耘体13の後方で作業をする均平板9とを備え、その間を覆う後方側板20を備える。後方側板20は上下分割可能にすることにより、下方への長さが短くなり、底面が圃場に刺さり込んで耕耘後の側部に溝ができるのを防止するよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に装着され、走行機体の走行に応じて進行しながら走行機体から伝達される動力によって耕耘作業を行う農作業機に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開平05−137402号公報 従来、例えばトラクタに装着して耕耘作業を行うロータリ装置において後側部カバーを設けた作業機が知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の後側部カバーを固定して構成した場合、深耕作業を行うと、後側部カバーによって耕耘後に溝ができてしまう問題があった。
また、圃場面との擦れにより後側部カバーがすぐに磨耗してしまい部品を交換しなければならないため、コスト高になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする均平板と、前記耕耘体と均平板との間の側面を覆う後方側板とを備え、後方側板を上下に分割したものである。
【0005】
請求項2に記載の農作業機は、上下に分割した後方側板の下側側板が上側側板の下方に位置する通常作業状態と、下側側板が上側側板と側面視で重なる深耕作業状態とに固定可能としたものである。
請求項3に記載の農作業機は、上下に分割した側板の下側側板は上側側板に沿ってスライドして通常作業状態から深耕作業状態に段階的に変更可能としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば後方側板を上下に分割したことにより深耕作業時に側板により耕耘後に溝ができるのを防止できる。
【0007】
請求項2に係る発明によれば下側側板を上側側板と側面視で重なる状態に固定可能としたことにより、後方側板の底面の磨耗を防止できる。
【0008】
請求項3に係る発明によれば上下に分割した側板の下側側板は上側側板に沿ってスライドして通常作業状態から深耕作業状態に段階的に変更可能としたことにより底面の位置を調節可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の一方の側面図である。
【図2】同上農作業機の他方の側面図である。
【図3】本発明の後方側板を表す通常作業位置の側面図と背面図である。
【図4】同上後方側板を表す深耕作業位置の側面図と背面図である。
【図5】本発明の第2の実施例を表す後方側板の通常作業位置の側面図と背面図である。
【図6】本発明の第3の実施例を表す後方側板の通常作業位置の側面図と背面図である。
【図7】本発明の第4の実施例を表す後方側板の通常作業位置の側面図と背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1ないし図4において、1は作業機本体で、この作業機本体1は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結された状態でトラクタの走行により圃場を耕耘する農作業機である。
【0012】
作業機本体1は、トラクタ後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体3を備えている。
【0013】
機体3は、一端部である左端部にチェーンケース部7を有し、他端部である右端部にブラケット部30を有し、これら左右のチェーンケース部7およびブラケット部30間には入力軸5側からの動力で左右方向の耕耘軸15を中心として所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリ式の耕耘体13が回転可能に配設されている。
【0014】
耕耘体13は、左端部がチェーンケース部7にて回転可能に支持されかつ右端部がブラケット部30にて回転可能に支持された左右方向長手状の回転軸である耕耘軸15と、この耕耘軸15のうちこの耕耘軸15の軸方向に所定間隔をおいた複数のフランジ16に放射状に突設された複数の耕耘爪17とを有している。
耕耘軸15は、チェーンケース部7内のチェーン、フレームパイプ部4内の伝動シャフトおよびミッションケース部6内のギア等にて構成された動力伝達手段(図示せず)を介して入力軸5に接続されている。入力軸5は、図示しないトラクタのPTO軸にジョイント等からなる動力伝達手段(図示せず)を介して接続される。
【0015】
また、機体3は、耕耘体13の上方を覆う耕耘部カバー部であるカバー部8を有している。そして、カバー部8の後端部には、耕耘体13の後方で圃場面に追従するように機体3に対して左右方向の回動中心線を中心として上下方向に回動しながら整地作業をする略板状の整地体である均平板9が上下方向に回動可能に設けられている。なお、均平板9は、図1に示されるように、通常作業深さAはチェーンケース部7の下面付近であり、深耕作業深さBは耕耘軸15の下部付近となる。
【0016】
均平板9は、耕耘体13と略同じ作業幅をもつ左右方向長手状のもので、平面視で略矩形板状をなす形状に形成されている。
【0017】
また、作業機本体1は図1ないし図4に示されるように、耕耘体13と均平板9との間の空間部の側面を覆う左右一対の後方側板20を備えている。つまり、作業機本体1は、機体3のカバー部8にボルト等の取付部材23で取り付けられ、互いに離間対向して位置し耕耘体13の後側の外側方部を覆う鉛直面状の後方側板20を備えている。
これら左右の後方側板20のうちの一方の後方側板20は耕耘体支持部であるチェーンケース部7の後方に近接して配設され、他方の後方側板20は、耕耘体支持部であるブラケット部30の後方に近接して配設されている。そして、各後方側板20は上下に2分割して構成され、上側側板21と下側側板22にて後方側板20を構成している。
【0018】
なお、後方側板20は図1ないし図4に示すように、上側側板21にカラー24が固着され、下側側板22には取付板25が固着され、止めピン26にて回動を規制されている。
【0019】
つまり、前記構成により、図3および図4に示すように通常作業位置で作業をする場合は後方側板の姿勢を、上側側板21の下方に下側側板22が位置するように止めピン26にて固定する。そして深耕作業位置で作業をする場合は止めピン26を抜いて下側側板22をピン27を回動支点として上方に回動させる。
【0020】
そして、下側側板22を上方に回動すると、下側側板22と上側側板21が側面視で重なる状態になり、止めピン26で固定する。
次に、農作業機1の作用等を説明する。
【0021】
水田等の圃場においてトラクタの前進走行により作業機本体1を進行方向前方に移動させると、耕耘体13にて耕耘作業が行われ、この耕耘体13の後方で、均平板9にて整地作業が行われる。
【0022】
ここで、例えば作業機本体1を通常の作業位置の深さより深く耕耘する場合、後方側板20の底面28が圃場に刺さり込み、耕耘後に溝ができてしまう恐れがある。
【0023】
そこで、後方側板20の止めピン26を抜いて下側側板22を上側側板21と側面視で重なる状態にする。これにより後方側板20の下方への長さが短くなるため、後方側板の底面が圃場に刺さり込むことがなくなり、耕耘後に溝ができることを防止できる。
【0024】
そして、図5に示す第2の実施例のように上側側板21にコ字状の金具42を固着し、下側側板32に角パイプ41を固着した構成においては、リンチピン40を抜き、下側側板32を一度取り外し、下側側板32と上側側板21が側面で視重なる状態にした後、リンチピン40で固定することで、実施例1と同様の効果が得ることができる。
【0025】
また、図6に示す第3の実施例のように下側側板54に長孔51を形成し、上側側板53の側面に沿ってスライドするように上下方向に下側側板54を移動し、蝶ボルト50等で締付固定することによって、無段階に側板の底面28の位置を調節することも可能である。
【0026】
なお、図7に示す第4の実施例においては、上側側板59にコ字状の金具57を固着し、下側側板58に角パイプ55を固着し、角パイプ55には複数の調節用孔56を形成し、リンチピン40にて任意の孔に差し込むことにより、下側側板58の上下方向の調節を任意の段階(例えば8段階)に調節することで、側板の底面28の位置を変更することが可能である。
【0027】
さらに、図4ないし図7に示す構成には限定されず、上側側板と下側側板が中間位置で分割される構成であれば2分割に限らず3分割としても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0028】
1 作業機本体
3 機体
9 整地体である均平板
13 耕耘体
20 後方側板
21、53、59 上側側板
22、32、54、58 下側側板
26 止めピン
40 リンチピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする均平板と、前記耕耘体と均平板との間の側面を覆う後方側板とを備え、後方側板を上下に分割して構成したことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記上下に分割した後方側板の下側側板が上側側板の下方に位置する通常作業位置と、下側側板が上側側板と側面視で重なる深耕作業位置とに固定可能としたことを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記上下に分割した後方側板の下側側板は上側側板に沿ってスライドして通常作業位置から深耕作業位置に段階的に変更可能としたことを特徴とする請求項1に記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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